牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

<   2013年 08月 ( 29 )   > この月の画像一覧

首相は消費税をどうしたいのか

 政府は消費税率を来年4月に引き上げるかどうか、安倍首相の判断の参考にするため有識者60人から意見を聴く「集中点検会合」を26日にスタートさせた。いまさら60人の話を聞いても、ある程度結論は出ているはずである。まさか多数決で決めるわけではないと思うが、増税反対派、増税賛成派それぞれの意見もすでに集約されているものであり、いまさら話を聞いてどうするのか。

内閣府「今後の経済財政動向等についての集中点検会合」、http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/tenken/index.html

 この有識者会号は政府向けではなく、マスコミや国民向けのものと理解すべきかと思う。すでに法律を通してしまったものであり、国際公約となってしまっているものを覆すには、増税反対派もかなりおり、その意見に耳を傾け国民の間でも賛否両論ある以上は、いったん見送りにして1年後に再び考えても良いのではないかとするつもりなのであろうか。

 そもそもアベノミクスのブレーンであり、生みの親ともいえる浜田宏一、本田悦朗両内閣官房参与が消費税の引き上げに反対しており、首相も本音では増税の見送りを意識していると考えざるを得ない。そうでなければ、今頃になって費用もかけての有識者会合など開く必要性がないはずである。

 リフレ派といってもいろいろいるが、その壮大な実験を始めたばかりであり、円安・株高とそれによる影響以外には、異次元緩和により目立った効果は見当たらない。コアCPIのプラス転換も規定路線である。景気の回復についても、アベノミクスによるものというよりも、世界的なリスク後退とそれによる欧米の景気回復に負うところも大きく、そこに円安の影響が加わっている。

 浜田宏一内閣官房参与は集中点検会合の2回目会合で、 消費税率引き上げの1年先送り、または毎年1%ずつの引き上げを提言したが、1年先送りについては、壮大な実験を行ってしまった以上はその効果を確認する必要があり、消費増税がその結果そのものを不透明にさせかねないとの意識があるのかもしれない。興味深いことに浜田氏は1年後は景気の善し悪しに関わらず、消費増税を行うとしている点である。つまりは増税そのものを引っ込めるべきとの主張ではないが、1年先送りする理由を明らかにしてもらわないと、意味がわからない。

 この2人のブレーンだけでなく、ある人物が安倍首相の消費増税に対する揺らぎに影響していた可能性が出てきた。8月31日の読売新聞の社説のタイトルが「消費税率 「来春の8%」は見送るべきだ」となっていた。内容については下記を読んでいただきたいが、無利子非課税国債にも触れている。つまりこの社説は、自民党にも大きな影響力を持っており、無利子国債について以前から主張していた人物の意向が反映されている可能性があり、安倍首相にもその影響が及んでいる可能性がある。

消費税率 「来春の8%」は見送るべきだ(8月31日付・読売社説)、http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130830-OYT1T01397.htm  

 この社説では景気の本格回復を実現したうえで、2015年10月に5%から10%へ引き上げることが現実的な選択としている。ただし、浜田氏のように1年後は景気の善し悪しに関わらず、消費増税を行うとは指摘していないが、似たように主張とも言える。

 個人的には消費増税は予定通りに実行すべきと思ってはいるが、この際、リフレ的な政策をどんどん推し進めて何が起きるのかを試してもらうのもひとつの手なのかもしれない。消費増税は先送りし、東京オリンピックの招致も決まれば、公共投資も積極化できる。日銀が大量の国債を買い入れている状況化、国債発行には支障はなく、過去最大規模の予算も組める。物価が思うように上がらなければ、日銀にはさらなる国債買入を行わせ、財政ファイナンスとの懸念も出ようが、それで円安・株高が進行すれば目先は問題はない?。日本国債は簡単には暴落はしないし、需給は日銀がコントロールできる。そんな状況はあと1年ぐらいは継続できるのかもしれない。しかし、そのあとに何が待ち構えているのか。リフレ的な政策の行き着く先に何があるのか、それはぜひ拙著『聞け! 是清の警告 アベノミクスが学ぶべき「出口」の教訓』を首相にも読んでいただきたいと思う。

拙著「聞け! 是清の警告 アベノミクスが学ぶべき「出口」の教訓」、発売中です。 8月31日の日本経済新聞朝刊に広告が掲載されています。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2013-08-31 12:54 | 財政 | Comments(0)

岩田副総裁の指摘した戦後のハイパーインフレの要因

 2月28日の京都における岩田規久男日銀副総裁の講演では、どうやら質疑応答も行われたようである。大胆な金融緩和は、戦前の軍事調達のための国債発行同様にハイパーインフレを招かないかと出席者から質問された岩田副総裁は、「終戦直後は戦争で生産力がなくなったため人々が少ない物を買おうとして猛烈なインフレが起こった。今は生産能力はあるが需要がない状況。高いインフレになる確率は少ない」と説明したそうである(ロイター)。

 戦後という特殊な状況下にあり、生産力の低下により食料品をはじめとして物資が不足し、この物不足がハイパーインフレを起こしたとの説明である。しかし、質問者の意図は、戦前の膨大が軍事費拡大のため高橋是清の考案した日銀による引受による国債発行方式が恒常的なものとなり、いわゆる財政ファイナンスが戦後のハイパーインフレの要因となったのではないかとの指摘であろう。

 これについては、「物価が2%を超え、3%、4%と中期的に上昇していくような場合には、政府の財政規律が緩んで『どんどん国債を買ってくれ』と言われても日銀は買いません」と言い切った。「戦前は軍の言いなりで国債を買わざるをえなかったが、今の日銀は独立しておりそういう状況でない」と付け加えた(ロイター)。

 高橋是清が行った日銀引受方式の国債発行は、財政拡大の必要上からの国債発行手段が制限されていたなか、それを選択せざるを得ないものであった。物価上昇を抑制する意味においても、日銀は引き受けた国債を市中に売却していた。ところが銀行の引受余力が減少し、軍事費主体に財政の拡大財要求は続き、財政規律を意識した高橋是清と軍部が対立した結果、高橋是清は暗殺された(2・26事件)。その後の日銀は軍事費主体の財政拡大により、国債引受を続けざるを得なくなった。(参考、拙著「聞け! 是清の警告」すばる舎)

 今年4月4日の日銀が決定した「量的・質的金融緩和」と呼ばれる大胆な金融緩和策は、日銀が自ら決定したことではあるが、その内容は安倍自民党総裁が昨年11月から唱えていたものそのままであった。見方によれば、このときの日銀は安倍政権、つまり政府の言うとおりに国債を買わざるを得なかったわけであり、さらに安倍総裁は日銀法改正までちらつかせて日銀の独立性そのものも脅かそうとしていた。

 アベノミクスとは、日銀に大量の国債を買わせることで、市場に財政ファイナンスを意識させて、円高調整を図ったものとも言える。これは安倍総裁の輪転機発言等からも明らかであった。財政規律への懸念もあったが、海外投資家はこれを円売り・日本株買いのチャンスと捉えてアベノミクスと呼ばれる現象が生まれることになる。

 戦後のハイパーインフレについては、物不足だけで説明し、巨額な政府債務や日銀の国債引受等を使っての臨時軍事費の支払いなどによる影響がまったくなかったとは言えないはずである。むしろ後者による影響が大きかったことは、日銀の百年史でも記述されている。

 日銀の百年史では「昭和7年以降継続的に長期国債の本行引受によって財政赤字を賄ったことがインフレーション進展の基本的なメカニズムであった」との記述もある。これがむしろ一般的な見方ではなかろうか。

 政府の財政規律が緩んでどんどん国債を買ってくれと言われても日銀は買いませんと、岩田副総裁は言い切った。しかし、異次元緩和により国債保有についての日銀依存度が高まり、物価の上昇はさておき、国債への信認低下による長期金利の上昇が始まった際に、果たして民間金融機関は国債価格の急落を目の当たりにして国債を日銀の代わりに買い入れることができるのか。長期金利が3%、4%と上昇すれば、政府からの依頼ではなく必要に迫られて日銀は国債を買い入れざるを得なくなることも想定されるのである。

拙著「聞け! 是清の警告 アベノミクスが学ぶべき「出口」の教訓」、発売中です。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2013-08-30 09:41 | 日銀 | Comments(2)

10年前に起きていたこと

 米政府は、内戦が続くシリアで化学兵器が使われたとして、軍事行動を含む選択肢を検討し、早ければ数日以内に、シリア政府側に対してミサイル攻撃が行われる可能性があると報じられた。中東への米国を主体とした軍事介入といえば、2003年のイラク戦争が思い起こされる。この際もイラクが化学兵器搭載可能なミサイルを保有していたとして、米英はイラクに対する軍事行動を起こしたのである。

 アメリカのNBCテレビによると、今回のシリアへの攻撃は3日間に限定したもので軍事力をそぐよりも、アサド大統領に警告を発するためだとしている。しかし、シリアの出方次第では紛争が拡大する懸念もある。

 2003年のイラク攻撃にはフランス、ドイツ、ロシア、中華人民共和国などが強硬に反対を表明していたが、今回もロシアや中国などが米英とフランスも含めた軍事行動に反対の姿勢を示すことが予想され、国際問題ともなりかねない。シリア政府の出方次第では軍事介入が拡大する可能性もありうる。

 10年前の2003年3月20日に米英軍はバグダッドへの攻撃を開始した。当初、フセイン大統領などを狙ったピンポイントの攻撃だったようだが、その後本格的に空爆が行われ、地上軍もバグダッドめざし進行を開始した。

 それではこの10年前に日本では何が起きていたのか。私のコラムを参考に振り返ってみると、2003年3月23日に宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」がアカデミー賞を受賞していた。そういえば今年、同監督の「風立ちぬ」が公開されている。

 2003年3月25日に発表された2002年末の国の借金は643兆1945億円と過去最高を記録した。先日8月9日に発表された2013年6月末の国の借金は1000兆円を超えていた。

 2003年3月10日には最初の個人向け国債(10年変動)が発行された。これが今年3月に償還を迎えた。国債関係でみると2003年1月に国債のペーパーレス化がスタートしていた。

 2003年2月に米国の財務長官にスノー氏が就任、今年2月にはサインで有名なルー氏が米財務長官に就任した。

 2003年3月20日に総裁に就任したばかりの福井日銀総裁は、3月25日に臨時の金融政策決定会合を開催。これ以降、矢継ぎ早に手を打ってくる。この日銀の積極緩和(?)もあり、国債は買われ2003年6月に0.430%に長期金利が低下し、その後長期金利は急騰(国債価格は急落)し、これはVaRショックと呼ばれた。

 10年前にも積極的な量的緩和政策により長期金利がじりじりと低下し、その後急反発したわけだが、今年も黒田総裁が就任後、異次元緩和を実施してやはり長期金利は0.315%と過去最低を記録し、その後反発している。このあたり10年前ほどではないが、似たような状況となっていた。これに加えて中東への米英の軍事介入となれば、さらに10年前と似た状況となる。歴史は繰り返さないが、同じようなことは起こりうる。相場の先行きを見る上でも、念のため、10年前のことを振り返っておくことも必要なのかもしれない。

拙著「聞け! 是清の警告 アベノミクスが学ぶべき「出口」の教訓」、発売中です。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2013-08-29 09:31 | 国際情勢 | Comments(0)

日本の財政の分岐点となった過去のオリンピック自国開催

 2020年の夏季オリンピック開催地を決める国際オリンピック委員会総会の9月7日の開催まで11日に迫った。東京、マドリード、イスタンブールの3都市が名乗りを上げ、現在は東京、マドリードの一騎打ちとの見方となっているようだが、かなりの接戦とも伝えられている。

 東京でオリンピックが開催されたのは1964年(昭和39年)であるが、実はその前に1940年(昭和15年)に東京でオリンピックが開催されることが予定されていたことをご存じであろうか。このオリンピックは日中戦争の拡大などにより東京は開催権を返上し、未開催となった。

 この幻のオリンピックが決定したのが1936年7月31日であった。この東京でのオリンピック開催が決定される数か月前の1936年2月26日に起きたのが2・26事件であり、高橋是清蔵相が軍部により暗殺されたのである。

 拙著『聞け! 是清の警告 アベノミクスが学ぶべき「出口」の教訓』(すばる舎)では、高橋財政とアベノミクスの共通項をいくつか指摘した。世界的な恐慌、デフレ、震災などの共通項を指摘したが、どうやらこのオリンピック招致も共通項であった。

 オリンピック招致は国が行うものではなく都市が行うものであるが、もしオリンピック招致が決まれば国が動く。昭和39年の東京オリンピックに向けては、国内で大規模なインフラ整備が急ピッチで行われた。東海道新幹線、東名高速道路、首都高、東京モノレール、青山通り等々である。現在はこれらのインフラの老朽化も問題化している。

 東京オリンピックに向けてのインフラ整備等の反動が昭和40年不況を呼び、戦後初の国債発行に繋がった。実は過去のオリンピックの国内開催は、すべて日本の財政面で大きな転換の年となっていた。

 札幌で冬季オリンピックが開催された1972年は日本列島改造論が出た事に加え、福祉元年と言われた年となった。その後のオイルショックも加わり、高度成長から低成長時代に移るとともに、一般歳出に占める社会保障費を増加させるきっかけともなった。

 そして、長野で冬季オリンピックが開催されたのが1998年である。日本では不良債権問題が大きくクローズアップされ、11月にはムーディーズによる日本国債の格下げがあり、年末には運用部ショックもあった。このあたりから日本の財政が急速に悪化した。

 このオリンピック招致が高橋財政時に行われていたということは興味深い。軍拡が背景にあったが、当時の産業は中小企業中心のものから重化学工業に移りつつあった。産業構造が変わり、高橋財政により景気そのものも回復し、オリンピックが招致できる下地となっていた。当時のオリンピック招致には高橋財政によるデフレからの脱却も大きく関係していたと思われる。

 アベノミクスを打ち出した安倍政権は4年前の民主党政権時とは異なり、自ら陣頭に立って招致活動を行っている。安倍首相の外遊の多さの背景には、このオリンピック招致も関係しているとされている。

 9月7日にどのような決定が下されるのか。もし東京に決まったとなれば、2020年が日本の財政にとり転換の年となる可能性が高い。1940年の東京オリンピックは幻に終わったがその後日本ではハイパーインフレを迎えた。1964年の東京オリンピックは戦後の財政の転換の年となり、1972年の札幌オリンピックは財政悪化のきっかけとなり、それが加速したのが1998年の長野オリンピックあたりからとなる。

 参考までに、政府は次回東京でオリンピックが開催されるかもしれない2020年度までに、プライマリーバランスを黒字化することを国際公約としている。

拙著「聞け! 是清の警告 アベノミクスが学ぶべき「出口」の教訓」、発売中です。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2013-08-28 09:39 | 財政 | Comments(2)

今年のジャクソンホールには欧米の主要中銀トップは欠席

 例年8月に米国ワイオミング州ジャクソンホールで開催されるカンザスシティ連銀主催のシンポジウムは、2010年の同シンポジウムの講演で、バーナンキ議長がQE2を示唆したように、過去の歴史を見ても興味深い出来事が多かったため、市場関係者からの注目度が高い。

 このシンポジウムでは、ある程度マスコミ等から遮断されての意見交換の場もあるとみられている。これには著名学者などとともに、日銀総裁を含む各国の中央銀行首脳が多数出席することで、金融関係者によるダボス会議のようなものになっている。

 このようなシンポジウムが、ワイオミング州ジャクソンホールという小さな町で行なわれるかといえば、FRB議長だったポール・ボルカー氏がフライ・フィッシングの趣味があり、この街を良く訪れていたお気に入りの場所であったからという説がある。

 ロシア危機とヘッジファンド危機に見舞われた1998年に、当時のグリーンスパンFRB議長がこのカンザスシティ連銀主催のシンポジウムの合間に FRB理事や地区連銀総裁とひそかに接触し、その後の利下げの流れをつくったと言われた。

 1999年には日銀の山口副総裁(当時)と、バーナンキ・プリンストン大学教授(現FRB議長)が、日本のバブルに対する日銀の金融政策の評価をめぐり、論争を行ったことでも知られる。

 2005年に退任を控えたグリーンスパンFRB議長がジャクソンホールに登場した際には、会場には前議長の功績を称える声が広がったそうである。

 2010年8月27日のジャクソンホールでの講演で、バーナンキFRB議長はQE2を示唆する行った。この際に出席していた白川日銀総裁(当時)は予定を1日に早めて急遽帰国し、8月30日の9時から臨時の金融政策決定会合を開催し、新型オペの拡充策を決定した。

 現職のバーナンキ議長は任期最後となる今年のジャクソンホールでのシンポジウムを欠席した。バーナンキ議長は2006年の就任以降、このシンポジウムで毎年基調演説をしていた。個人的なスケジュールの都合だとしているが、9月のFRBの量的緩和政策縮小観測も流れているなかにあり、また次期FRB議長への関心も高いなか、参加を控えたのではないかとの憶測もあるが、報道官は個人的な事情としている。

 昨年のジャクソンホールのシンポジウムでは、直前になってECBのドラギ総裁が参加を取りやめた。向こう数日に多忙を極めると予想されるためとECB報道官は語っていたが、新たな国債買入の政策に対するバイトマン総裁との対立なども影響かとの観測もあった。そのドラギ総裁は今回も出席しない。

 今年就任したばかりのカーニー・イングランド銀行総裁も出席しない。フォワード・ガイダンスを取り入れたばかりのECBとイングランド銀行の総裁も揃って出席しないのは何故なのか。たまたまそうなってしまったのかもしれないが、その言動に注目が集まりかねないために、控えた可能性もある。

 今回、日銀の黒田総裁は出席し、イングランド銀行のビーン副総裁、ECBのコンスタンシオ副総裁は参加する。次期FRB議長候補でもあるイエレン副議長も出席するが、もう一人の有力議長候補であるサマーズ氏は出席しない。

 バーナンキ議長、ドラギ総裁、カーニー総裁は何故、今回のジャクソンホールでのシンポジウムを欠席したのか。むろん出席する義務があるシンポジウムではないが、出席することに本来は意義があるはずのものである。主要中銀のトップ3人が欠席したという事実については、それぞれ何かしら事情というか、意味もあるはずであり、今後の金融政策の行方を占う上でも、そのことを認識しておくことも必要となりそうである。

拙著「聞け! 是清の警告 アベノミクスが学ぶべき「出口」の教訓」、発売中です。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2013-08-27 09:41 | 中央銀行 | Comments(0)

日銀には次のバズーカ砲の砲弾はない

 日銀の黒田東彦総裁は20日、毎日新聞の単独インタビューに応じ、その内容が報じられた(毎日新聞8月20日電子版)。黒田氏が3月の総裁就任後、メディアの単独インタビューに応じるのは初めてだそうである。

 まず、量的・質的金融緩和(異次元緩和)策について「円高是正や株価回復、消費・投資改善、物価上昇期待という三つの好転が起きていると説明した。

 円高是正は2012年11月のアベノミクスの登場をきっかけに加速されたものであり、2013年4月4日の異次元緩和がきっかけではない。円安による株高も同様である。消費の改善については円安効果もあるが、欧米の景気回復、その背景にある欧州の信用リスクの後退によるところが大きい。国内景気も昨年末からと内閣府も指摘している。異次元緩和のスタート前にすでに回復基調となっていた。物価上昇期待の期待については計りようがない。また異次元緩和への期待が景気回復に寄与したとしてもそれを証明する手立てはない。

 また、黒田総裁は来年4月に予定される消費増税や海外経済変調で景気失速リスクが高まる場合には「金融政策は調整される。ちゅうちょしない」とし、追加緩和策を検討する考えを示した。

 消費増税については、「日本は政府債務残高の対名目GDP(国内総生産)比が諸外国と比べ高水準」と消費増税の必要性を指摘。1月に政府と日銀が公表した共同声明に財政健全化を進める方針が明記されたことも挙げて「(政府は)ぜひしっかりやってほしい」と述べ、予定通りの消費増税実施を求めた。

 異次元緩和による中央銀行による大胆な国債買入が財政ファイナンスとみなされないのは、政府による財政規律が担保になっている。その政府が消費増税に対しては先送りを意識するなどしており、それに異を唱えることは日銀総裁としては当然のことであろう。消費増税の景気への影響については「税率が予定通り上がっても経済が失速するとは考えていない」と説明しているが、景気に対するマイナスの影響は避けられない。消費の前倒しの反動、消費増税による物価上昇の影響による消費の後退等が予想される。ただし、その影響は外部で大きなショックが生じるようなことがなければ、一時的なものに収まる可能性はある。

 黒田日銀総裁は「経済は生き物で(海外経済の変調も含めて)国内外にいろいろなリスク要因がある」と指摘しており、我々のコミットメントに対し、経済がそれほど改善せず物価も上がらない状況になれば、金融政策は調整されると明言したそうだが、それではそのときに何をするのか、いや何ができるのか。

 国債をこれ以上買い入れた上に消費増税が先送りされると、財政ファイナンスとの認識が強まり、円や日本国債の信用低下に繋がりかねない。日本の長期金利は絶対に上がらない(国債は暴落するわけはない)との見方もあるが、そのような考え方が出てきていること自体がそもそも危険な兆候である。

 残念ながら日銀には次のバズーカ砲の砲弾はない。リスク商品の買入増額等、機関銃もしくは竹槍程度しか残されていない。むろん国債やリスク商品をさらに大量に買い込むことも可能ではあるが、それこそ自爆テロになりかねない。日銀は戦力の随時投入をしないのではなく、異次元緩和を行ってしまった以上は、市場の期待というか要求に答え、随時投入できるようなバズーカ砲の砲弾は持ち合わせていない。

拙著「聞け! 是清の警告 アベノミクスが学ぶべき「出口」の教訓」、発売中です。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2013-08-26 09:40 | 日銀 | Comments(0)

日銀の量的緩和解除とFRBの量的緩和縮小

 7月の米FOMC前にニューヨーク連銀が実施したプライマリーディーラー調査によると、FRBの資産買い入れ縮小は9月に150億ドル(国債100億ドル減、MBS50億ドル減)の規模で始まるとの見方が中心。さらに12月に150億ドル(国債50億ドル減、MBS100億ドル減)との見方となっていた。

 このように9月のFOMCで資産買入縮小、つまり量的緩和政策の縮小がコンセンサスとなっている。過去の量的緩和政策の解除といえば2006年3月の日銀の例がある。FRBの量的緩和政策は国債やMBSの買入額そのものが目標値となっていたことに対し、2006年3月まで日銀が行っていた量的緩和政策の目標値は日銀の当座預金残高であったことの違いはあるが、2006年3月にどのようなことが起きていたのか、当時の私のコラムなどから振り返ってみたい。

 2006年3月9日の金融政策決定会合で日銀は2001年3月から続けていた量的緩和政策を解除した。当時の小泉首相は「まだ、デフレ状況を脱却したとは言えない」としながらも「量的緩和政策解除の判断は日銀総裁に任せる」と述べている。日銀の量的緩和解除に対しては政府の意向がかなり意識されていたことが確かである。2月26日の読売新聞は日銀が3月に開く金融政策決定会合で、仮に量的緩和策の解除が提案された場合でも、小泉首相は議決延期請求権を行使しない方針を固めたと伝えていた。2001年8月のゼロ金利解除の際の政府との対立は、今回は避けられるとの見方も量的緩和解除の背景にあったものとみられる。

 これに対して、今回のFRBの量的緩和縮小に対しては米政府からの発言はほとんど伝わってこない。これはむしろ米政府は黙認しているとの見方もできる。さらにオバマ大統領は次期FRB議長にサマーズ氏を推すのではないかとの観測もあるように、利上げまで見越しているのではとの憶測もある。

 2006年3月の量的緩和の解除の際の債券市場への影響は限定的であった。毎月1兆2千億円の長期国債の買い入れは継続することで国債への需給にはさほど影響は与えないとの見方がある一方、すでに相場が量的緩和解除を織り込んでいたこともある。また長期金利の居所をみると、1999年2月以降は2%以下での推移が続いていたことで、長期金利が量的緩和政策以前に戻るといっても上値余地は限られていた。ちなみに量的緩和解除後に長期金利は1.9%台に上昇した。

 また短期金融市場でも当座預金残高の縮小はあくまで技術的なものとなり、むしろ市場機能が回復すると好感されたような状況にあった。

 FRBの量的緩和の解除にあたっては、米国債の需給に直接影響を与えることもあり、米金利の上昇を誘ったが、これも3%あたりまでの上昇は許容範囲ではなかろうか。さらにFRBの政策は世界的な影響力があり、新興国の通貨安や株安を招くことになった。こちらはやや膨らみすぎたバブルの崩壊となり、新興国の経済に影響が出ようが、1997年のアジアの通貨危機などのような金融危機を発生させる可能性は薄いのではなかろうか。

拙著「聞け! 是清の警告 アベノミクスが学ぶべき「出口」の教訓」、発売中です。



*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2013-08-25 13:08 | 日銀 | Comments(0)

FRBの資産買入縮小

 8月21日に公表された7月30、31日のFOMC議事要旨では、9月の資産買入の縮小の判断を巡って、具体的な手がかりは示されなかった。年内に縮小開始、14年半ばメドに証券新規購入を停止とするバーナンキ議長の方針はほぼ支持された。このうち数人のメンバーが、資産買入縮小の判断を巡り慎重論を唱え、数人のメンバーは近いうちに緩和縮小が適切になると主張した。そして、ほぼすべてのメンバーが証券購入額を縮小するのは、このタイミングでは時期尚早だとの判断で一致していた。

 年内に縮小開始とのバーナンキ議長の方針はほぼ支持されたことで、9月か12月の議長会見があるFOMCでの縮小決定の可能性は高く、次のFRB議長の人選が固まり新体制が意識される12月よりも、バーナンキ議長の影響力の残る9月での縮小決定が規定路線と言えよう。もちろんそれには経済指標を含めての外部要因を念入りにチェックした上でのものとなる。

 ちなみに7月の米FOMC前にニューヨーク連銀が実施したプライマリーディーラー調査によると、FRBの資産買い入れ縮小は9月に150億ドル(国債100億ドル減、MBS50億ドル減)の規模で始まるとの見方が中心。さらに12月に150億ドル(国債50億ドル減、MBS100億ドル減)との見方となっていた。

「Responses to Survey of Primary Dealers」http://www.newyorkfed.org/markets/survey/2013/July_result.pdf

 たとえば米長期金利の上昇は資産買入縮小決定に影響を与えるであろうか。FOMC議事要旨では、金利上昇による影響は限定的との見方が示されていた。量的緩和縮小が非常時からの脱却を意味するのであれば、長期金利が3%台に上昇したとしても、それは2011年7月の水準に戻るだけであり、極端に高いというわけではない。1%台にいたことがむしろ低すぎたとも言える。

 それでは資産買入縮小による新興国の通貨や株価の下落による影響をどうみるか。新興国バブルの原因は、百年に一度と言われるような世界的な危機が立て続けに発生したことに対処するための、日米欧の中央銀行による異次元緩和であった。これを意識すれば、ある程度のバブル崩壊の動きはいたしかたない。むしろ、異次元緩和に頼り切ってしまうことのほうがリスクが高くなりかねない。

 非常に大きな病気が併発し、それに対処するには直接患部を治癒させることに加え、大量の薬が投与された。特に精神的な苦痛(マーケット)に対しての効果も意識されての投与(もしくは必要なら劇薬投与との意思表示)であったが、それがある程度の効果が発揮され、少なくとも精神的な苦痛はかなり減ってきた。大量投与には当然ながら副作用も意識せねばならず、そこで薬の量を減らそうとしたところ、薬に依存しすぎてきた別の器官が今度は悲鳴を上げてきた格好である。

 最高レベルにあった警戒レベルを、一段階引き下げるだけの状況になりつつあることは確かである。ギリシャ、ポルトガル、スペイン、イタリアなどの金利の状況がそれを示している。今回の危機はあくまで欧州の危機であったはずである。一段階下げたとしても警戒レベルは引き続き高い位置にある。非常時の対応を続けば続けるほど、その副作用が大きくなる。新興国のバブル崩壊の影響をなるべく抑えるためにも、それはむしろタイミングを遅らせないほうが良いと思われる。

拙著「聞け! 是清の警告 アベノミクスが学ぶべき「出口」の教訓」、発売中です。



*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2013-08-23 08:46 | 中央銀行 | Comments(0)

7月も都銀は国債を売り越し。異次元緩和後の国債売買高は減少傾向

 日本証券業協会は8月20日に7月の公社債投資家別売買高を発表した。7月の債券相場は先物で143円、10年債利回りで0.8%を挟んでの比較的落ち着いた動きとなっていた。

 短期債を除いたベースで4月、5月、6月と1兆円を超える売り越しとなっていた都市銀行は、7月も9240億円の売り越しとなり、1兆円を超えることはなかったが1兆円近く売り越しとなっていた。国債の投資家別売買高を確認すると、中期債を1兆4402億円売り越していた。長期債は6613億円の買い越し、超長期債は1087億円の売り越しに。

 4月からの都市銀行の動きをみると、長期債は買い越しの月もあるが、超長期債と中期債は売り越しが続いており、特に中期債の売り越しが目立つ。ちなみに、6月の都銀の売買高は3兆5165億円と2004年4月以降では最低となっていたが、7月は7兆2864億円と6月の約2倍程度に回復していた。

 ほかの投資家の売買状況を確認すると、買い越しの最大手は6月に続き信託銀行となり、1兆612億円の買い越し。超長期債を1236億円、長期債を3192億円、中期債を4185億円それぞれ買い越しとなっていた。

 続いて外国人が6472億円の買い越し。超長期債を969億円買い越し、長期債を2177億円売り越し、中期債を7656億円買い越し。

 生損保は6279億円の買い越し。超長期債を6543億円の買い越し、長期債は2523億円のこちらは売り越し、中期債は1006億円の買い越しに。

 地銀は2578億円の買い越し、農林系金融機関は2601億円の買い越し、投資信託は3582億円の買い越しに。

 7月も目立ったのは都銀の売りであり、売り越し額は1兆円を割り込んだが、日銀の異次元緩和以降の国債の売り越しが進み、その資金は主に日銀の当座預金に滞留している格好となっているようである。

 参考までに国債の投資家別売買高(一覧)を基に、投資家全体の売買高の状況を確認してみたところ、7月は国債合計(短期債除く)で、126兆9632億円となっていた。データの残る2004年4月以降での最低は2009年5月の120兆3842億円となっており、7月はかなり低い水準となっている。異次元緩和が決定された4月が約199兆円、5月が約171兆円、6月が約146兆円となっており、次第に売買高が減少している。日銀の巨額の国債買入が影響しているとみられるが、今後はこの全体の売買高についてもチェックしておきたい。

拙著「聞け! 是清の警告 アベノミクスが学ぶべき「出口」の教訓」、発売中です。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2013-08-22 09:23 | 債券市場 | Comments(0)

FOMCでの量的緩和縮小決定が9月とされる理由

 2012年9月のFOMCで住宅ローンを担保にした証券であるMBSを毎月400億ドル追加購入することを表明したが(QE3)、物価安定の下で労働市場の改善が実現できるまでMBSの購入を継続するとして、このMBSの買入はオープンエンド型(無期限)となった

 2012年12月のFOMCで、年末に終了するツイストオペの代わりに毎月450億ドル規模の米国債購入を決定した。これまでのツイストオペでは、450億ドルの短期債を売って長期債を購入していたが、短期債を売却しない分、FRBのバランスシートは拡大することになる。これにより現在FRBは、400億ドルのMBSの買入を含めると月額850億ドルを買い入れている。国債の償還分の買入も行っている。この買入もオープンエンド型(無期限)となった。

 この際に少なくとも2015年半ばまで低金利を維持するとの文面が声明文から削除され、その代わりに、米失業率が6.5%を上回り、向こう1~2年のインフレ率が2.5%以下にとどまると予想される限り、政策金利を低水準にとどめる、という数値のガイダンスに変更された。これがフォワード・ガイダンス(時間軸政策)である。

 FRBのバーナンキ議長は2013年6月19日のFOMC後の記者会見において、失業率が低下基調を維持するなどの経済情勢が見通しどおりに改善すれば、今年後半に資産購入プログラム(LSAP)の規模縮小をスタートさせるのが適当と見ていると述べ、一定のペースで規模を縮小し、失業率が7.00%程度に下がっていくことを目安に、来年半ばにかけて緩和策を終了するという意向を示した。

 FRBはオープンエンド型としていた債券の買入については、無期限ではなく来年半ばにかけて終了する意向を示した。その後はデュアル・マンデートに目標値を置いた政策金利を超低位に維持するという量から金利に移行させようとしている。これまでは出口を見えにくくさせての効果を意識していたが、それはあくまで非常時の対応であり、世界的なリスク後退と景気の回復を確認し、危機対応レベルを一段階引き下げようというのが今回のFRBの意図とみられる。

 FOMCメンバーの多くは早期の量的緩和縮小については賛同しているように思われることに加え、バーナンキFRB議長の会見が予定されている9月に決定されるとの見方が市場関係者の間では強まっている。上記のように重要な政策変更があったのは昨年もFRB議長会見が予定されていたFOMCであったことからも、その可能性は高いと言える。今後のFOMC後の会見が予定されているのは、9月と12月であるが、12月では月日が経過してしまうことに加え、次期FRB総裁の人選もある程度進んでいると予想され、バーナンキ議長としては自らの影響力の残る9月に決定したいのではないかとの観測もある。

 FRBの債券買入縮小は、余程の外的ショックが発生したり、雇用関係の数値が大きく悪化しない限りは既定路線であり、9月のFOMC(17日、18日)で縮小が決定されよう。

拙著「聞け! 是清の警告 アベノミクスが学ぶべき「出口」の教訓」、発売中です。



*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2013-08-21 09:32 | 中央銀行 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー