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2013年度の国債発行計画の解説

 財務省が1月29日に発表した2013年度の国債発行計画によると、新規財源債が42兆8510億円(前年度当初44兆2440億円、補正後49兆4650億円)、借換債が112兆1806億円(うち復興債分3兆6690億円、前年度当初112兆3050億円)、財投債が11兆円(前年度当初15兆円)、そして復興債が1兆9026億円(前年度当初2兆6823億円)となった。

 これにより2013年度の国債の発行総額は170兆5452億円(前年度当初174兆2313億円)と、前年度の当初ベースから3兆6861億円の減少となった。2012年度の補正予算後は180兆5266億円となっており、ここからは9兆9813億円の減少となった。当初ベースでの発行総額は昨年を下回った。

 国債の消化別発行額を見るとカレンダーベースの市中消化額は、156兆6000億円(前年度当初149兆7000億円)と、2012年度当初から6兆9000億円の増額。カレンダーベースでの国債消化額とは、4月から翌年3月にかけて入札により発行される国債の金額である。これは年度の国債発行総額とは異なる。その理由は入札以外で発行される個人向けの国債や日銀乗換があるとともに、市中消化分には第2非競争入札による発行があり、さらに国債は前倒し発行と出納整理期間内発行が可能なため、年度間の調整分等が存在しているためである。

 第2非競争入札による予定発行額は4兆4775億円(前年度当初4兆1850億円)となった。年度間調整分については、前年度は前倒し債発行による調整分が6463億円となっていたが、2013年度は出納整理期間内発行分もあり、マイナスの4兆2323億円となった(前年度当初比マイナス4兆8786億円、補正後からはマイナス10兆263億円)。

 日銀乗り換えが11兆7000億円(前年度当初16兆7000億円)、個人向け販売分が2兆円(前年度当初3兆円、補正後2兆4000億円)。個人向け販売分の内訳としては、個人向け国債が1兆6000億円、新型窓販などの窓販分が4000億円となっている。

 買入消却は総額2.7兆円を上限に実施される。来年度における前倒し債の発行限度額は20兆円となった(前年度当初は12兆円)。

 カレンダーベースの市中消化額は、補正で10年債と5年債をそれぞれ一回あたり2.4兆円、2.7兆円に増発されており(2月債より)、その金額が4月以降も継続される。これに加え、2年債を一回あたり2.7兆円から2.9兆円、そして30年債を7000億円の8回発行から毎月発行になり、5000億円を4回、6000億円を8回となる。さらに物価連動国債を年度間で6000億円発行する予定。これにより、今年度当初に比べ合計6.9兆円の増額となる。

 年限別に観ると、40年債が5月、8月、11月、2月の4回の発行予定で一回あたり0.4兆円、30年債は5月、8月、11月、2月が5000億円、その他の月が6000億円の発行予定。20年債は一回あたり1.2兆円のまま、10年債は2.4兆円、5年債は2.7兆円、2年債は2.9兆円を、1年割引短期国債は2.5兆円がそれぞれ毎月発行される。6か月割引短期国債は発行予定はない。10年物の物価連動国債が年間で6000億円。流動性供給入において0.6兆が毎月発行されることで、全体のカレンダーベース消化額合計が156.6兆円となる。

 カレンダーベース市中発行額の平均償還年限は、7年11か月と前年度当初の7年9か月からさらに長期化。

 国債整理基金特別会計の基金残高約10.2兆円のうち、7.2兆円を取り崩して新年度の国債償還資金にあてることから、予想されていた120兆円弱の規模からほぼ2012年度並の112兆円程度に減額された。年度中の不測の事態に備えてストックされていたものを取り崩すことにより、万一の危機の際に備えて、政府は日銀との間で、危機の際には短期の資金を借り入れることで合意し、29日に日銀は「対政府取引における非常時の一時貸付けに関する特則」を発表した。

 新規国債発行額(42兆8510億円)が税収(43兆0960億円)を下回り、国債発行額が税収を上回る異常事態はとりあえず解消された格好。2013年度の公債依存度も46.3%に低下した(2012年度47.6%)。ちなみに国債費の積算根拠となる10年債の想定利回りは前年度の2.0%から1.8%に引き下げられている。

 2013年度予算としてみれば、政府の財政再建に向けた動きを示すものとなる。ただし、これについては厳密には今年度補正も加味して考える必要もある。

 その補正に関わる国債発行額が5兆円規模あり、さらに日銀乗換分が5兆円程度減少し、個人向けの国債も前年当初から1兆円減少するため、それも市中消化の分にオンされる。それに対して借換債の発行額を抑え、新規財源債も前年当初からは減額され、財投債も減額されたことで全体の発行額が抑えられ、その結果として市中消化額は前年当初に比べて6.9兆円の増額に止められたと言える。

 それは前年度補正後の5年債、10年債の発行規模を維持した上、国債市場特別参加者会合でも示されていた2年債や30年債の増発でカバーされた格好となり、ほぼ市場参加者の予想の範囲内とも言える。国債需給の面でも投資家ニーズは強い上、日銀による国債の買入等の影響もあり、特に問題はない。これにより今回も翌年度の国債発行計画の発表が、国債市場に大きな影響を与えるようなことは考えづらい。


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by nihonkokusai | 2013-01-31 09:18 | 国債 | Comments(0)

政府・日銀が出した共同文書の舞台裏

 1月29日の日経新聞に面白い記事が掲載されていた。「奔流アベノミクス」との記事で、政府・日銀が出した共同文書の舞台裏について書かれていた。安倍首相が日銀との交渉スタンスは「対話と圧力」だと言う。たしかに日銀に圧力をかけて2%の物価乗率目標を導入させた。デフレ脱却の責任も日銀に押しつける格好となった。

 圧力を掛けすぎると当然ながら日銀からの反発も当然予想される。ましてや市場が日銀の独立性が損なわれると認識すると、あらたなリスク要因となる可能性がある。市場からも白川総裁は辞表を出すのではないかとの憶測も確かに出ていた。現実には白川総裁は辞表を出すようなタイプではないとの話も聞いたが、それ以前に安倍首相も硬軟両様の使い分けをしていたと日経の記事では指摘していた。

 安倍首相が日銀との交渉を任せたのは、麻生財務相と甘利経済財政・再生相である。麻生氏はリフレ派の意見も聞いているとの指摘もあったが、その言動から見る限り、リフレ派とは一線を置いている。甘利氏も同様である。さらに麻生氏は白川日銀総裁と同郷(福岡県出身)であり、白川総裁の父は地元の大手企業(TOTO)の元社長であり、日本青年会議所で仕事をしていた麻生氏とも近かったそうである。

 共同文書や日銀の物価目標の設定について、リフレ派からは生ぬるいとの批判が出ていた。これは裏を返せば麻生財務相を中心に、白川総裁というか日銀に対する気配りがあったことも想定される。甘利氏も安倍首相に対して「ハードルを上げすぎると、首相が選ぶ次の日銀総裁を追い詰めてしまいます」と殺し文句を口にしたという。

 これが落としどころを探る上で結構効いたと日経の記事は指摘していた。これについては私も危惧していた。アベノミクスへの市場の期待も強まり、それは日銀への過度な期待に繋がり兼ねない。次期総裁候補と呼ばれる方々の発言内容も、かなりハト派の色彩が強まったような気もしており、それらがマネタイゼーションなどの連想を呼ぶとあらたなリスクとなりうる。

 麻生氏や甘利氏の起用は、日銀を意識してのものであったのかはわからない。たまたまそのような起用になった可能性もある。それでもこれは日銀との間合いを見る上では、微妙なバランスではあるものの、効果的であったのかもしれない。ただし、今後も日銀法改正をかざして日銀に圧力を掛ける姿勢をとり続けるとなれば、歴史の上で築き上げられてきた中央銀行の独立性が失われる懸念もあり、注意すべきものであることに変わりはない。

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by nihonkokusai | 2013-01-30 09:34 | 日銀 | Comments(0)

国債整理基金特別会計の基金残高の取り崩しとは

 1月28日の朝日新聞によると、政府は「国債整理基金特別会計」の基金残高約10兆円のうち、7兆円を取り崩し、新年度の国債償還資金にあてる方針を固めたそうである。今年度補正予算で約8兆円の国債を追加発行する影響で、国債発行額が大幅に増えかねなかったため、これを使って、借換債の発行を圧縮する。

 一般会計において発行された国債などは、一般会計からの繰入資金(これが国債費と呼ばれる)を財源として国債整理基金特別会計から利払いが行われる。一般会計から本特別会計への定率繰入や、「特別会計に関する法律」の規定により発行される借換債の発行収入金等を償還財源として、60年償還ルールに従って減債され、国債整理基金特別会計から償還が行われている(財務省のサイト、国債整理基金特別会計より)。

 「国債整理基金特別会計」の基金残高とは、「減債基金」としての基金残高とされており、国債の将来の償還に備えているものである。年度中の不測の事態に備え、基金残高について歳出権を付与しているものの、そうした事態が生じなかったため、歳出されず、剰余金として計上されているものである(財務省資料より)。 国債整理基金特別会計の基金残高は埋蔵金との指摘もあり、以前には財務省から、過去の実績を基に9兆円から10兆円程度の積立金の規模は確保したいと説明もあったが、それを今回7兆円も取り崩す。

 たしかに過去の状況を見る限り、たとえば国債の発行に絡んで不測の事態が起きたことはほとんどない。2012年5月の2年国債入札では事務処理トラブルで再入札となったが、さほど大きな問題ではなかった。 10年国債の入札で札割れが起きたのは、私の著書「日本国債は危なくない」が発売された当日の2002年9月20日、それ以来、10年国債の入札での札割れ等もない。

 さらに万一の危機の際に備えて、政府は日銀との間で、危機の際には短期の資金を貸してもらうことで合意し、29日に日銀は「対政府取引における非常時の一時貸付けに関する特則」を発表した。これは「大規模な災害、電子情報処理組織の故障等の事由により、政府(政府短期証券の発行が認められていない特別会計であって、大規模かつ頻繁に民間からの資金調達を実施しているものに限る。)が既存の対民間債務の借換えのために予定していた民間からの資金調達を行うことができず、政府内において採り得る手段を講じてもなお、当該債務を返済できない事態にある場合に、政府からの要請を受けて行う一時貸付け」となる。 これは期間は原則1営業日、金額の制限等は設けられていない。

 このように処置も行ったこともあり、10兆円もの残高は必要ないのではないかとの見方もできる。しかも、それは財政の穴埋めに使われるのではなく、新年度の国債償還資金にあてるのであれば、本来の目的にかなったものとなる。 この基金残高は政府のバランスシートからみれば両建てとなる。負債となる国債利払いは国債全体の平均金利に対し、基金での運用は短期で0.1%程度の運用利回りでしかないとすれば、これはつまり逆ざやとなり、この分が国民負担となっているとの指摘もあったようである。

 さらに、これで新年度の国債発行額を減少させ、国債の増発圧力を緩和させることになる。政府としても財政健全化を推進していることをアピールできるかもしれない。ただし、10兆円規模あった危機対策基金というべき資金が大きく減少することも確かである。さらにその主因は今年度の補正予算による国債発行によるものであろう。そして、このような埋蔵金は当然なら使えるのは一度きりである。

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by nihonkokusai | 2013-01-29 18:00 | 国債 | Comments(0)

アベノミクスはリスク後退の流れに乗ったもの

 日本ではアベノミクスへの期待から、円安株高が進んでいるとされているが、何度も繰り返すようだが、これはあくまで円安の流れを加速させた要因に過ぎない。昨年からの円安の動きは、欧州の信用不安の後退が大きな要因になっている。

 欧州中央銀行(ECB)は1月25日に、1月30日から返済が可能になる2011年12月の初回の長期リファイナンス・オペ(LTRO)で供給した4892億ユーロについて、278行が合計1372億ユーロを返済すると発表した。この金額は事前予想の1000億ユーロをも上回ったようである(ロイターの記事より)

 2011年12月8日のECB政策理事会で、流動性を供給するため期間36か月の長期リファイナンス・オペ(LTRO)を新設した。12月のLTROによる4892億ユーロの資金供給により、銀行の資金繰りが楽になり、さらにその資金はいずれ国債に向かうであろうとの期待もあり、それがユーロ圏の国債市場を支えた格好となった。

 2012年からにユーロ危機が収束を迎えつつあるのは、このECBによる長期の資金供給策もかなり影響していたとみられる。その資金の返済額が大きいということは、ユーロ圏内の銀行の資金繰りもそれなりに解消に向かいつつあることの現れとも言えよう。

 これを受けて 欧州銀行間取引金利(EURIBOR)先物は、2013~2015年のすべての期間で価格が低下し利回りが上昇した。1年物ユーロ圏無担保翌日物平均金利(EONIA)は0.22%と6か月ぶり高水準をつけたそうである(ロイター)。

 ドイツの2年債利回りは0.28%まで上昇し、米国の2年債利回りを約2年ぶりに上回った。オーストリアとベルギー、オランダ、フランスの2年債利回りも上昇した。これにより、歴史的な超低金利時代が終焉に向かう可能性が強まったと言える。

 28日にドイツの10年債利回りは1.7%近辺に上昇、英国の10年債利回りも2.1%と再び2%台に乗せてきた。米10年債利回りも28日に一時2%に上昇した。これに対して、スペインやイタリアの10年債利回りは低下基調となっている。

 欧州のリスク後退の動きについては、いまだ疑心暗鬼という方も多いと思われるが、少なくとも最悪期は脱してきていることは確かではなかろうか。ところが、それを示す証拠というか兆候がなかなか見当たらず、今回のLTROでの供給資金の返済の動きがひとつの象徴的な動きと捉えられたものと思われる。

 東洋経済オンラインの「為替は日本の金融政策で自由に動かせない」との記事で、野口悠紀雄氏が昨年1月から最近にかけてのドル円とイタリアの10年国債のグラフを合わせたグラフを掲載していた。これを見れば、ほぼ動きが連動していることがわかる。つまり欧州の信用不安に対しての市場の見方は、イタリア国債の利回りの動きでも示されており、それとドル円の動きが連動していたのである。11月以降の円安ピッチが多少速くなっているが、これはアベノミクスの影響もあったことも確かであろうが、その間のイタリアの国債利回りも低下を続けていたのである。

 今回の円安はどこまで進むのかは、アベノミクスの行方次第とか日銀の追加緩和次第とかではなく、欧州の債務危機の解消の動き次第ということになる。昨年までの急激な円高そのものが、そもそも国内要因によるものではなかった。日銀の緩和が足りなかったとの説もあったが、これは今回の動きを見ても後講釈に過ぎないであろう。アベノミクスで円安、そして株高が起きたと連想すると、今後の日銀への圧力がおかしな格好で掛かる懸念もある。あくまでアベノミクスは世界的なリスク後退のの流れにうまく乗ってきたもの、と考えておいた方が良さそうである。

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by nihonkokusai | 2013-01-29 09:52 | 国際情勢 | Comments(0)

2%の物価目標達成は可能なのか

 1月22日の金融政策決定会合で、日銀は政府からの要請のあった「物価安定の目標」を導入することを決定し、同時にあらたな追加緩和策として、「期限を定めない資産買入方式」を導入することを決めた。 物価安定の目標については昨年2月に決めた物価安定の目途を修正し、目途(Goal)を目標(Target)とした上で、その目標を消費者物価指数の前年比上昇率で2%とした。

 目標を設定するのは良いが、本当にこの2%の物価上昇は可能なのであろうか。これについて日銀の白川総裁は会見で次のようにコメントしている。

 「実現可能性ということですが、これは過去を振り返ってみると、1980年代後半のバブル期の5年間の平均が+1.3%、それから 1985年以降2011年までの平均が、確か+0.5%だと思います。そういう意味で、この「2%」という数字を達成していくためには、相当思い切った努力が必要だと思います。」

 今回の2%というのは、消費者物価指数(生鮮食料品除く)の前年同月比の上昇率のことを示す。総裁の弁にもあったように、2%どころか1%までの達成すら怪しい。そもそも金融政策だけで物価上昇を引き起こすことは、副作用なしには困難である。

 「日本銀行自身は、こういう形で、強力な金融緩和を推進するということですが、同時に、様々な主体による成長力強化の取組みは非常に重要であり、様々な主体による相当な努力を必要とすると思います。」

 日銀としては、金融政策そのもののレジーム・チェンジはかなり危険性を伴う。つまり市場で財政ファイナンスやマネタイゼーションと認識されてしまう懸念のある政策に踏み込むことはできない。外債購入等については、為替操作が目的となれば財務省の所管であるとともに、相手国との交渉も必要てこちらも政府の仕事となる。それよりも政府の財政政策と政調戦略が必要になる。

 「もちろん、そうした努力なしに成長力が上がっていくというわけではありません。そうしたことに向けて、政府も、民間も、それから日本銀行も、それぞれの立場で努力をしていくことは大事だと思います。その上で、実際にどの程度成長力の強化が図れていくのか、あるいは、エコノミストの言葉で言うと、予想インフレ率がどの程度上がっていくのかということは、これもまたしっかり点検をし、金融政策運営を行っていきたいと思います。」

 予想インフレ率の上昇ではなく、なるべく早く物価そのものの上昇を促さねばならない。しかし、財政政策は財政悪化を招く恐れがある。成長戦略という掛け声は良いが、徹底した規制緩和等には反対もあろう。しかも、これは過去いろいろなかたちで試されていたものであり、いまさら目新しく効果的な手段が出てくることも考えづらい。だから日銀に圧力を掛けた面もあったはずである。

 ただし、何もしなくても消費者物価指数(生鮮食料品除く)が2014年にも2%は超えることをご存じであろうか。2014年4月1日に消費税は5%から8%に引き上げられる予定である。日銀が発表した2012~2014年度の政策委員の大勢見通しでも、2014年度の消費者物価指数(生鮮食料品除く)の見通しは「2.9%」となっている。消費税の影響を除くと+0.9%の予想であり、政府・日銀の共同声明のには日本銀行は、物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%とする。」となっているが、特に注釈はない。暗黙の了解として「消費税の影響を除く」となっているはずであるが、これについては特に注釈等もなかったのだけれど。

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by nihonkokusai | 2013-01-28 09:27 | 日銀 | Comments(0)

日銀の金融政策とは何か

 金融政策でデフレは解消できるのでしょうか。2013年1月22日の金融政策決定会合で、日銀は政府からの要請のあった「物価安定の目標」を導入することを決定しました。2012年2月に決めた物価安定の目途を修正し、目途(Goal)を目標(Target)とした上で、その目標を消費者物価指数(除く生鮮食料品)の前年同月比の上昇率で2%としたのです。

 日銀の金融政策決定会合は、日銀の役員である政策委員が多数決により金融政策を決めるというものです。日銀の政策委員は、日銀総裁と二人の副総裁、そして六人の審議委員で構成されます。日銀の政策委員は、政府により選出され国会の同意が必要とされます。そのぐらいに金融政策を決めるメンバーは重要であるとともに、金融政策は政府が決める財政政策と同様に日本の金融経済に大きな影響を与えることは確かなのです。

 自民党の安倍晋三総裁は、日銀がこの金融政策決定会合で物価上昇率目標の設定を見送れば、日銀法改正に踏み切る考えを明らかにしていました。「次の会合で残念ながらそうでなければ、日銀法を改正して、インフレターゲットをアコード(政策協定)を結んで設ける」と述べていたのです。つまり、日銀法改正をちらつかせて日銀に物価目標を導入するように迫ったのです。

 何故、日銀に物価目標(インフレターゲット)の導入を迫ったのでしょうか。インフレターゲットやアコードとは何でしょうか。それを理解するためには、まず日銀の金融政策のお話をしておかなければなりません。

 中央銀行の役割については、学生時代の政治経済の教科書などにも書かれていたと思いますので、それをまず思い出してください。

 ひとつは発券銀行としての役割で、日銀はお札を発行できる唯一の銀行です。そして銀行の銀行という役割があります。民間の金融機関は日銀に当座預金口座を持っています。これを通じて民間銀行から預金を受け入れたり、民間銀行はその預金を引き出したりします。ちなみに民間銀行が日銀の当座預金から預金を引き出すことが、日銀券の発行ということになります。

 民間金融機関は日銀の当座預金に一定の金額を残すことが義務づけられています。預け入れなければいけない最低金額を「法定準備預金額」あるいは「所要準備額」といいます。それを超える部分が超過準備と呼ばれ、これには0.1%の利子がついています。この超過準備の付利の引き下げや撤廃についても現在、議論されています。

 中央銀行の役割には、政府の銀行という役割があります。現在の財務省は昔、大蔵省と呼ばれていましたが、大蔵省には蔵というか金庫はなく、その役割は日銀が担っているのです。政府も日銀に当座預金口座を持っています。

 民間銀行同士のお金のやり取りも日銀の当座預金を通じて行われることが多く、日銀は日本のお金の流れの胴元といえる機関なのです。日本中で使われる日々のお金はその時々の状況により、出入りがあります。

 たとえば年末年始を考えて見てください。銀行は年末年始は営業していません。このため、銀行が休みの前にある程度必要なお金を引き出す人が多くなります。つまりそれだけの資金が必要になるため、日銀はその資金をオペレーションを通じて市場に供給します。反対に年末年始の休みが終わるとデパートやスーパーなどはその間の売上金を今度は銀行に預けます。つまり市場には今度はお金が溢れることになります。その資金を通常であれば日銀はオペレーションで吸収します。日銀のオペレーション(オペ)とは、民間の金融機関の保有する国債などを購入して資金を供給したり、日銀保有の国債を売却して資金を吸収したりするものです。ただし、保管当座預金制度(超過準備に付利をつける措置)が政策金利の過度な低下を防ぐ役割となったことや、2010年10月の包括緩和政策で実質的なゼロ金利政策が再び導入されたことから、2009年度以降は資金吸収オペは実施されていません。

 これが日銀の資金調節と呼ばれるもので、金融機関同士が資金を融通し合う場である短期金融市場における資金量を調節することで、金利の跳ね上がりや急低下を抑え、ある一定の水準に誘導します。そのある一定水準というのが、金融政策における目標となっており、これを政策金利と呼んでいます。この政策金利を誘導するのが本来の意味での金融政策なのです(伝統的手段)。政策金利を上げ下げが、金融機関が企業に資金を貸し出す場合の金利などに波及することにより、日本の経済活動全体に金融政策の影響が及んでいくとされています。

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by nihonkokusai | 2013-01-27 12:18 | 日銀 | Comments(0)

日銀の独立性は政府への信認に必要なもの

 安倍政権の誕生で、今後の日銀の動向に注目が集まっている。2%の物価目標を政府から要請され、それを飲んだは良いが、それはそれで日銀の独立性の問題が出てくる。海外からは円安牽制のような発言も相次ぐが、そこには中央銀行の独立性が脅かされているとの懸念も付いていた。

 24日にドイツのメルケル首相はダボス会議に日本に関する発言をした。為替操作が競争をゆがめる恐れがあるかとの問いに対し、首相は「不安が全くない訳ではない」と答えた。その上で「日本に関し、現時点で全く懸念していないとは言い難い」とし、「中央銀行は、政治の後始末や競争力の欠如を補うためのものではないというのがドイツの立場だ」との考えを示した(ロイター)。

 ドイツのショイブレ財務相も1月17日、安倍新政権が目指している将来的な追加金融緩和に強い懸念を表明した。ショイブレ財務相は、下院議会での演説で「安倍政権の新たな政策を非常に懸念している。世界の金融市場で流動性が過剰であることを考えると、中央銀行の政策についての誤った理解がそれをあおっている」と述べた(ロイター)。

 バイトマン・ドイツ連銀総裁も、日本政府が日銀にさらなる金融緩和を迫ったことは、ハンガリー政府の同国中銀に対する行為と同様、日銀の独立性を危険にさらしていると指摘した。

 海外からも本気で心配されている日銀の独立性については、今回の共同声明の内容を見ても、今のところさほど懸念する必要はないと思う。そうではあるが、日銀法改正の動きが完全に払拭されたわけでもなさそうである。

 世界の金融の歴史の中で、築き上げられた仕組みのひとつが中央銀行制度であり、通貨の信用を維持する基本的な仕組みである。戦後、中央銀行に対して独立性を付与する動きが強まったのは、むしろ政府への信認を強めるためでもあった。

 米国については、加藤出氏が次のように書いている。「クリントン政権時代の財務長官だったロバート・ルービンは、大統領や政権幹部に対し、金融政策を公の場で批判しないほうがよいと主張した。「金融政策に言及することを政権が一貫して拒否し、FRBの独立性に無限のサポートを与えることは、金融政策の信認を高め、政権への尊敬を高めることができる」「真の中央銀行の独立性は、われわれの経済にとって明らかに最適なレジームだと私は考えている」と語っている」(「総選挙の争点で注目集める「日銀の独立性」を復習する」週刊ダイヤモンド・オンラインより)。

 1992年10月29日に当時のラモント財務相がインフレ・ターゲッティング導入に伴う新政策の内容を発表したが、このラモント氏に直接インタビューした記事があった(2012年11月23日の毎日新聞のコラムより)。これによると「ただ、目標だけではうまくいかない。当時イギリスでは、蔵相に金利決定権があった。都合よく金利を操りたがるのが政治家。だから目標を決めたら、あとは中央銀行のプロたちに任せよう。インフレ目標と中央銀行の独立性はセットだったのだ。」とある。

 1997年5月に英国ではブレア政権が誕生し、ブラウン財務相は就任わずか4日目に金融政策の大転換を行い、財務省から中央銀行であるイングランド銀行に金融政策の決定権を移し、独立性を高めるという大胆な改革に踏み切ったが、あらためてこの際にインフレ・ターゲッティングの土台も築かれた。

 今回の日銀による2%の物価目標(インフレ・ターゲット)と政府と日銀の共同声明は、その内容を見る限り、日銀の独立性を脅かすものには見えない。ただし、そこまでの過程を見ると、安倍総裁は日銀法改正までちらつかせてそれを導入した経緯がある。政権内部にも日銀の独立性を毀損するリスクを感じた人物もいたとみられ、悪い意味でのレジーム・チェンジとはならなかった。それでも今後、日銀法が改正されるようなことになれば、海外から非難されるだけではなく、今度は本当に円売りを招く恐れがある。政府も自らの信認を高めたいのであれば、中央銀行の独立性に配慮する姿勢を示すべきであることは、これまでの歴史が示している。

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by nihonkokusai | 2013-01-26 11:13 | 日銀 | Comments(0)

円安の背景をあらためて確認

 ここにきて再び円安の動きが強まり、ドル円は90円台を回復しユーロ円は121円近辺をつけている。これは24日に西村内閣副大臣が「1ドル100円は問題ないとの認識。浜田宏一内閣官房参与と共通」と発言したことなどがきっかけとされたが、そもそも円安基調には変化なく、円安の材料に反応しやすい地合となっていることが要因と思われる。それでは何故、円安基調となっているのか、その背景についてあらためて確認したい。

 財務省が24日に発表した2012年の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は6兆9273億円の赤字となった。貿易赤字は2年連続になるとともに、赤字額は1980年の2兆6129億円を大きく上回り、比較可能な1979年以降で最大となった(日経新聞の記事参照)。

 日本の国際収支の悪化とともに、これにより経常収支の黒字幅の減少は円安要因となる。そして、円安が貿易赤字をさらに拡大させる可能性もある。昨年来からの円安は日本の国際収支の悪化がその背景にあると考えられる。ただし、それでもなかなか円高傾向から脱することができなかったのは、ユーロの信用不安が円安の動きを封じていたためと思われる。

 そのユーロの信用不安が昨年から次第に後退し、重石が外れてきたことで円安が進んだ。ブルームバーグによると、ECBのドラギ総裁は1月22日の講演で、昨年講じた断固たる政策が奏功し「ユーロ圏を覆っていた暗黒の雲は後退した」と述べている。それを示す象徴的な出来事が、最近起こっていた。

 スペイン政府は1月22日に10年物国債70億ユーロ相当をシンジケート団引受方式で発行したのである。スペインが長期債を発行したのは2011年11月以来となるが、調達額は当初見込んでいた40億ユーロを大幅に上回った。この10年国債の新指標銘柄は、外国人投資家が60%以上を引き受けたそうである(ブルームバーグ)。

 1月23日には、ポルトガルもシ団を通じ、2年ぶりに国債を発行した。2011年に国際支援を受けてから初めて発行される長期債には強い需要が集まり、約20億ユーロの5年債に対し、5倍に当たる約100億ユーロの需要が集まった。

 アイルランドも1月8日にシンジケート団引受方式で2017年償還債を25億ユーロ発行している。これにより2013年の発行予定額100億ユーロの4分の1を調達したことになる。アイルランド国債管理庁(NTMA)は当初、20億ユーロ程度の発行を見込んでいたが、応募が70億ユーロを超えたことから、予定を上回る額を調達した。この際の海外投資家による購入は全体の87%を占めたそうである。国債管理庁は、月次入札を年内に再開したい考えとも伝えられた(ロイター)。

 スペインやポルトガルの長期債の発行が再開され、特に海外投資家からの強い需要があった背景には、ドラギECB総裁の発言にもあったようにユーロ危機の収束が意識されたものと思われる。実際にスペインやポルトガルの国債利回りは低下基調となっている。

 このように円を買う要因となっていたものが剥げ落ち、むしろ円を売る要因が見えてきたことが、昨年からの円安の背景にある。アベノミクスが円安を加速させたことは確かであるが、円相場が政府の掛け声だけで変化したとすると見方を誤る可能性がある。2%の物価目標を掲げても、それはあくまで目標でしかなく、現実に物価が上昇することがなければ、絵に描いた餅になる。そんな画餅の評価等だけで、相場のトレンドが変わるようなことはないと思われる。

 このため、今後の円の動きや、当面は為替の影響も受けやすい株式市場の動向をみるには、ユーロ危機の終焉、日本の貿易構造の変化等をチェックしておく必要があろう。そして債券市場にとっても、ユーロ危機の終焉化とそれによる欧州の国債市場の変化、日本の経常収支の黒字幅の減少と円安の動きは、海外投資家などの動向にも影響を与えてくる可能性があり、注意が必要と思われる。

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by nihonkokusai | 2013-01-25 09:35 | 国際情勢 | Comments(0)

12月の債券市場における投資家の動き

 1月21日に日本証券業協会は12月の公社債投資家別売買高を発表した。これによると短期国債を除くベースで、都銀は1兆1363億円の売り越しとなり3か月連続での売り越しとなった。

 それに対し、地銀が3797億円の買い越し、信託銀行が1兆997億円、農林系金融機関も1兆2089億円、第二地銀が2138億円、信用金庫は5823億円のそれぞれ買い越しとなった。

 生保も1兆1423億円の買い越しとなったが、海外投資家は2856億円の売り越しとなっていた。

 国債の投資家別売買高でみると、都銀は超長期債を1510億円売り越し、長期債を2055億円売り越し、中期債を7102億円売り越していた。今回都銀は中期ゾーン中心に売りを入れてきたようである。

 地銀は長期債を3356億円買い越し。信託銀行は超長期債を4556億円、中期債を8065億円買い越したが、長期債は4203億円の売り越しに。農林系金融機関は超長期を4185億円、長期債を6152億円それぞれ買い越していた。 信用金庫は長期債を4526億円買い越し。

 生保は超長期債を1兆385億円の買い越し。そして外国人は超長期債を1214億円、中期債を3567億円買い越していたが、長期債を7667億円売り越していた。

 債券先物は12月11日に145円30銭をつけて過去最高値を更新。その後、ユーロ危機の後退、アベノミクスへの期待などを背景として円安が進行したことから、日経平均も上昇基調に。16日の衆院総選挙において、自民・公明両党は、衆議院のすべての議席の三分の二を上回る議席を獲得。これを受け円安の流れが加速し、大型補正予算編成への思惑等から日経平均は19日に1万円台を回復した。大型補正予算による国債増発も意識され、債券は下落基調が続いた。月初に0.7%を割り込んでいた10年債利回りは27日に0.8%台に上昇し、債券先物も143円48銭まで下落した。このように12月はかなりの変動があったが、この間、都銀を中心に売りが入ったものの、ほかの金融機関はこつこつと押し目買いを入れていた模様。海外投資家も円安進行もあり、長期債主体に売りを入れていた。

 11月の短期債の売買高をみると、外国人がこの月も9兆3875億円の買い越しとなっていたが、久しぶりに買越額は10兆円割れとなった。10兆円割れは2011年9月以来。ここにも多少ながら、円安の影響もあったとみられる。ただし、それにしては買い越しの減少幅は少なく感じた。

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by nihonkokusai | 2013-01-24 09:39 | 債券市場 | Comments(0)

今度はドイツ連銀総裁からの警告

 先日のドイツのショイブレ財務相に続き、今度はバイトマン・ドイツ連銀総裁が日銀の独立性が危険との警告を発している。

 ロイターによると、バイトマン総裁はドイツ証券取引所が主催するイベントで講演し、そのなかで、日本政府が日銀にさらなる金融緩和を迫ったことは、ハンガリー政府の同国中銀に対する行為と同様、日銀の独立性を危険にさらしていると指摘した。

 ここでハンガリー政府の行った行為とは何であったのかを振り返ってみたい。2011年12月にハンガリー中央銀行の独立性を脅かす新中銀法が可決された。この新法では金融政策を決める政策委員会のメンバーを拡大し、副総裁を2人から3人に増やすことを定めた。また議会は憲法を改正し、中銀と他の金融規制当局を統合し、シモール中銀総裁を統合後の新機関の副総裁に降格させることも可能にした(ロイター)。

 この法案可決を受け、ハンガリー通貨フォリントは急落し、ハンガリーの国債も急落したのである。2012年1月5日のハンガリーでの国債入札で1年物証券の発行が未達となったが、この日にハンガリー政府はIMFおよびEUからの提案について協議し、受け入れる用意があるとし、7月6日に国立銀行法の修正案を賛成多数で可決した。修正案では、金融政策委員会の会合に政府の代表者を参加させることができるという条項、会合前に議事案を政府に提出しなければならないという条項は削除されるなどしたのである。

 バイトマン氏は「両国(ハンガリーと日本)では政府が積極的な緩和を求めて圧力をかけることで中銀の領域に大きく干渉し、その独立性を脅かしている。意図しようがしまいが結果的に為替レートの問題がますます政治問題化する可能性がある」と警鐘を鳴らした(ロイター)。

 このバイトマン氏の発言の背景には、通貨安競争への懸念があるとともに、中央銀行の独立性が脅かされるとなれば、国際的な非難を浴びるであろうことを示唆しているものとみられる。

 今回、政府と日銀は2%の物価上昇率を目標とする共同声明を政府と日銀で取り交わしたが、これはアコード(政策協定)ではないしている。政府も日銀の独立性に配慮する必要性を認識し、日銀としても日銀法改正に向けた動きは断固避ける必要性もあり、2%の物価目標を飲まざるを得なかった面もあると思われる。実際に安倍首相は今回の決定会合で物価目標を設定しなければ、日銀法改正を検討する考えを示していた。

 しかし、今後の日銀の動向次第では、再び日銀法改正の動きが出てくる可能性も否定できない。浜田宏一・内閣官房参与もインタビューで「インフレ目標と日銀法改正で日本経済を取り戻す」との発言もしている。

 アベノミクスへの期待は確かに大きい。円安とそれによ株高を招いたと歓迎する声も多い。今回の円安が円高調整の動きで済めば良いが、日本の中央銀行の独立性が脅かされるとの懸念により、本格的な円売り圧力が強まると、ブレーキを踏むことが難しくなる。昨年のハンガリーの事例は、決して他人事ではない。特に今回のように日銀の金融政策のレジームが転換されそうなタイミングでの海外からの警告は無視すべきではないと考える。

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by nihonkokusai | 2013-01-23 09:22 | 日銀 | Comments(0)
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