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アベノミクスのリスク

 12月16日の衆院総選挙において、自民・公明両党は、衆議院のすべての議席の三分の二を上回る325議席を獲得した。これにより、自民党が政権に返り咲き、安倍政権が発足する。

 安倍氏はこの総選挙に向けて、これまでリフレ政策とともに積極的な財政政策を推し進めることを主張してきた。これはアベノミクスとも呼ばれた。外為市場や株式市場からはある意味、期待を込めた用語であるかもしれないが、金利市場の関係者からは懸念を込めて使われる用語と思われる。

 今後の組閣に向けての人事はこれからであるが、すでに麻生元首相の副総理兼財務相就任の観測や、米エール大の浜田宏一教授を内閣官房参与(経済担当)に起用する方針を固めたとも伝えられている。麻生氏は財政積極派であり、浜田教授はリフレ政策を推進する立場にいる。

 リフレ政策と言っても何をするのか。さすがに日銀による国債の直接引き受けについては、安倍氏は発言していないと否定し、3%との物価目標はその後2%に修正された。また、マイナス金利等の発言もあったようだが、それものちに聞かれなくなった。しかし、物価目標を設定した上での大胆な金融緩和政策を日銀の責任のもとで行うことを提唱し、国土強靭化策として積極的な公共投資を推し進めようとしている。

 来年3月には日銀の二人の副総裁が任期満了となり、4月は白川総裁の任期が満了となる。日銀総裁人事を含む国会同意人事には、三分の二の規定は適用されない。つまり参院では過半数に達していない自公だけでは新たな総裁人事を通せない。それでも安倍政権はリフレ派に近い人材を総裁に起用しようとしてくることが予想される。

 たとえば物価目標を政府が設定し、その対策は中央銀行が行うとのスタイルは英国などで行われているインフレターゲットに近いものである。ただし、日本ではあまりに日銀の独立性が強いために日銀法を改正して、このインフレターゲット政策を導入させようとしている。ここに積極的な財政政策による国債の増発等も絡んでくれば、新政権が意図しているのは、財政ファイナンスそのものに見える。否定はしたが、日銀による国債引受を含めてのいわゆるマネタイゼーションを意識したものと捉えられてもおかしくはない。

 つまり、アベノミクスは端的に言えば、財政ファイナンスやマネタイゼーションのリスクを抱えた政権となりうる。これにより今後、何が起きるのか。これについては拙著の「超低金利時代の終わり [Kindle版]」でも指摘したが、一時的には皆、ハッピーになる。現在すでに円安・株高が進行するなど、その兆候が出ている。国債についてもたとえ日銀が直接引受とはならなくても、それに近い政策が取られ、今後さらに日銀が国債の買い手としての存在をさらに高めることが予想される。これにより国債増発があっても、市中での消化余地も十分にあることで、当面の間は国債の需給面では懸念が出るようなことは考えづらい。

 ただし、そんな都合の良い状態が続くことはない。デフレの期間があまりに長かったこともあり、急激な物価上昇とともに、金利がいきなり大きく上昇することは考えづらい。その間は確かにハッピーな状況は継続しよう。しかし、過去の歴史を振り返ればわかるように、いずれこれまで顕在化してこなかった「財政リスクプレミアム」と呼ばれる上乗せ金利が長期金利にオンされてくることが予想される。2%あたりまでの金利上昇であれば、とりあえず大きな問題は発生しないが、これが2%を超えてくるとなれば、これだけの巨額債務を抱えた上での長期金利の2%超えという、債券市場関係者にとり未体験ゾーンに突入する懸念が出てくる。これこそがまさにアベノミクスのリスクとなりうる。

 キンドルの電子書籍にて書き下ろしました「超低金利時代の終わり -そして、日銀による国債引受のリスク-」(定価300円)にも日銀の国債引受のリスクについて書いてます。是非、読んでみてください。

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by nihonkokusai | 2012-12-18 09:33 | 国債 | Comments(0)

債券先物は鬼より恐い一文新値天井をつけたのか

 長らく債券ディーラーをしていたが、その際には昔ながらの相場の格言を重要視していた。絶対に格言が正しいとは言い切れないが、その格言には何かしらこれまでの相場師が肌で感じたことが込められていると思う。実際にローソク足などを見ると、相場格言が生かされることが多々あった。このため、それを信じる信じないはさておき、それが示唆する動きに警戒することは重要であると思う。

 その相場格言のひとつを久しぶりに聞いた。しかも、債券相場に関してである。それは「鬼より恐い一文新値天井」という格言であった。文(もん)とは、昔の貨幣単位である。この場合の新値とは高値のこと示し、過去最高値や年初来の高値などが該当する。この格言の意味は、前回の高値を僅か一文(その相場の最低単位)上回ったところで上昇が止まってしまうと、その後、売り圧力が強まるので注意しろという格言である。1文としているが、かならずしも1文というわけでなく、語呂が良いのでそういう格言となったとされる。

 これが形成されると売り方は、売り崩しの絶好のチャンスと捉えて一気に攻撃を仕掛けてくるとされる。つまり鬼でさえ怖がる天井ということを示している。実はこれがどうやら日本の債券先物で起きたようなのである。

 12月11日に12月限が145円30銭まで買われ、2003年6月11日につけた過去最高値の145円28銭を更新した。つまり2003年6月11日につけたこれまでの過去最高値の145円28銭から、わずか2銭だけ上回ったのである。1銭ではなく2銭ではあるが、もしここで上昇が止まれば、一文新値となる。

 12月12日からは3月限が中心限月となったが12月と3月ではスプレッドが約50銭程度あり、3月限の12日の寄り付きは144円71銭となっていた。このまま3月限が145円30銭を上回れば、格言は生かされないが、債券相場は13日以降はむしろ大きく下落し、14日には144円30銭も割り込み高値からは1円近く下げた格好となった。もしこのまま新値をトライできないとなれば、鬼より恐い一文新値天井が成立する。現実に12日から14日の相場の動きからもそれを感じさせるものとなった。

 円安株高債券高という状況から、世界的なリスクオンの動きの強まりや米債の下落なども手伝い、円安株高債券安という状況に変化してきた。19日、20日の日銀の金融政策決定会合の動向も気になる。安倍政権が誕生するが、日銀にさらなる緩和圧力が強まったとして、それが素直に債券買いになるかどうかも疑わしい。また、財政拡大へのリスクなども強まる懸念がある。

 債券先物が過去最高値を更新するぐらいに買い進まれていた債券相場であるが、総じて動きそのものは鈍かった。そしてこの動きは2003年6月の動きとも酷似している。あのときは6月17日の20年国債入札をきっかけにVARショックと呼ばれた国債の急落があった。12月18日にはやはり20年国債の入札を控えている。年末に向けて日本の債券相場が大幅な調整を迎える可能性もありうる。

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by nihonkokusai | 2012-12-17 09:16 | 債券市場 | Comments(0)

債券先物は天井を付けたのか

 拙著「超低金利時代の終わり [Kindle版]」でも指摘していたが、どうや円安・株高の流れがここにきてやっと強まってきたようである。そしてさらに、史上最高値を更新した債券先物が1文新値を付けた可能性が出てきており、債券相場の流れそのものに変化が生じる可能性が出てきた。つまり債券相場は天井を付けた可能性がある。

 ちなみに1文新値とは前回の高値を僅か一文(その相場の最低単位)上回ったところで上昇が止まってしまうと、その後、売り圧力が強まるので注意しろという格言である。1文としているが、かならずしも1文というわけでなく、語呂が良いのでそういう格言となったとされる。

 12月11日に債券先物の12月限が145円30銭まで買われ、2003年6月11日につけた過去最高値の145円28銭を更新した。2003年6月11日につけた高値の145円28銭から、わずか2銭だけ上回った。そのあと期近物が3月限となったことも手伝い、円安・株高や米債安などから相場そのものも下落し、どうやら債券先物が1文新値を付けた可能性が強まった。

 このようにチャート上でも日本の債券相場が高値をつけて反落する可能性を示唆したが、円安株高だけではなく日本の債券に対する売り圧力が強まりそうな要因もいくつか出てきている。

 そのひとつとして、欧州の信用不安の後退に伴う安全資産への資金シフトの反転である。米国債、ドイツ国債、英国債もここにきて下落基調となっている。このままトレンドが変化するかどうかはもう少し様子を見る必要があるが、それでも市場での不安心理がかなり後退してきていることは確かであろう。

 12日のFOMCの結果を受けて、米債が売られたことも注意すべきものとなる。年末に終了するツイストオペの代わりに毎月450億ドル規模の米国債購入を決定したが、これは市場の予想通りであり、米債買いとはならなかった。そして、少なくとも2015年半ばまで低金利を維持するとの文面が声明文から削除され、その代わりに、米失業率が6.5%を上回り、向こう1~2年のインフレ率が2.5%以下にとどまると予想される限り、政策金利を低水準にとどめる、という数値のガイダンスに変更された。これは予想外のものではあったが、これについても将来のインフレ等も意識されたのか、米債の買いとはならなかった。

 19日、20日の日銀の金融政策決定会合の結果を受けての円債の動きも同様なものとなる可能性がある。16日の衆院選挙の結果、自民党政権が返り咲く可能性が高まった。安倍首相となれば、公約通り日銀への緩和圧力を強めることが予想され、財務相などの人事次第では、債券市場はむしろ警戒感を強めることも予想される。その上で、日銀が何かしらの緩和策を決定した際、これは好材料と判断されるとは限らない。もちろんそれを受けての為替や株の動き次第とも言えるが、金融緩和イコール債券買いとはなりづらいのではなかろうか。

 さらに自民党政権となれば、列島強靱化対策と称して積極的な財政政策が取られることも予想される。補正予算に絡んでの国債の増額もありうることで、超長期ゾーン主体に売り圧力も掛かりやすくなる。

 ただし、14日に発表された日銀短観では大企業製造業DIがマイナス12と大きく悪化した。これはこれで日銀の追加緩和観測を強めることにはなるものの、日経平均とこのDIの動きにはトレンドとして連動性もあることが指摘されており、円安による株高効果がどの程度まで持続可能なのか、このあたりが不透明となる。また、景気そのものの悪化も無視できない。

 さらに欧州の信用不安が新たな材料により再燃する可能性もないとはいえない。米国の財政の崖問題もいまだ未解決である。日銀による国債の買入などから国債の需給面についても問題はない。しかし、それでも新政権に対する不安などが新たな材料となれば、超低金利状態となっている日本の長期金利がある程度上昇してくる可能性は否定できない。

 来週は18日に20年国債の入札が予定されている。2003年6月のVARショックは6月17日の20年国債の入札がきっかけで起きている。今回も超長期債の動向に対してかなり神経質となっていることから、この入札の動向も念のため注意しておく必要がある。

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by nihonkokusai | 2012-12-16 10:56 | 債券市場 | Comments(0)

FOMCの決定を受けた日銀の対応とは

 12日のFOMCでは、年末に終了するツイストオペの代わりに毎月450億ドル規模の米国債購入を決定した。これまでのツイストオペでは、450億ドルの短期債を売って長期債を購入していたが、短期債を売却しない分、FRBのバランスシートは拡大する。MBS含めると月額850億ドルを買い入れることになる。また、国債の償還分の買入も行うようである。

 そして、少なくとも2015年半ばまで低金利を維持するとの文面が声明文から削除され、その代わりに、米失業率が6.5%を上回り、向こう1~2年のインフレ率が2.5%以下にとどまると予想される限り、政策金利を低水準にとどめる、という数値のガイダンスに変更された。いわゆるデュアル・マンデート(最大限の雇用と物価安定)のそれぞれに、期間を限定せずに目標が課せられた格好となる。

 ただし、これはこの目標に向けて金融政策が自動的に変更されるというわけではなく、かなり裁量部分を残している。それでも時間軸政策について雇用の数値が含まれたことは大きな変更点となる。

 FRBは以前にも雇用に対して目標を設定、というか課せられたことがあった。1978年の完全雇用・成長均衡法(ハンフリー・ホーキンス法)ではFRBに対して「1983年までに、20歳以上の成人失業率が3%を超えず、16歳以上の失業率は4%を超えないこと。1983年までにインフレ率が3%になり、1988年までにゼロになること」との目標が課せられた。これにはFRB議長や、当時CEA委員長であったグリーンスパン氏が反対したそうである。ただ、法律上も経済情勢の変化に対応する余地が残され、FRBは数値目標を達成する責任を回避できたとされた。(以上、みずほ総合研究所のレポート「米国における現下の財政論争とデュアル・マンデートを巡る経験」より一部引用)。

 今回のあらたな数値の設定についても、1978年の際と同様に、経済情勢の変化に対応する余地が残されており、厳格なターゲットというわけではない。FOMCメンバーの予測値から見ても、これまでの時間軸が伸びたり縮んだりしたわけでもない。それでも数値が出てきたことに対しては緩和圧力を強めたとの認識ともなりうる。

 これを受けて日銀はどう動くのか。16日の衆院選の結果次第ではあるが、予想されているように自民党が単独過半数を制するようなことになれば、日銀への緩和圧力はさらに強まることが予想される。選挙後の19日、20日に開催される金融政策決定会合での追加緩和期待も強いが、果たしてここに今回のFRBと同じような数値のガイダンスの変更みたいなものもあるのであろうか。

 日銀は今年1月にFRBがPCEデフレーターの2%という物価に対しての特定の長期的な目標を置いたことを受けて、2月14日の決定会合でコアCPIの1%という物価安定の目途を示すことを決定した。今回もFOMCの決定に合わせて、時間軸に関するところの変更を行ってくる可能性もありうる。

 日銀法では雇用の最大化については日銀の目標とはされていない。だから自民党などからは、日銀法を改正すべきとの声も上がっているが、現状では日銀が今回のFOMCでの決定のような雇用への目標を設定することは考えづらい。

 そこで考え得ることは、たとえば10月30日の金融政策決定会合で佐藤審議委員から提出された議案の内容も参考になるか。政策運営方針の記述について、1%を「見通せるようになるまで」から「安定的に達成するまで」に変更する可能性がある。もしくは元々、物価安定の目安が2%に置かれていたこともあり、こちらを全面に打ち出してくる可能性もありうるか。また、新たな貸出支援制度の発表もあり、さらに西村副総裁が示唆したような何かしら新たな手段を講じてくる可能性もある。来週の日銀の金融政策決定会合に対しては、ここにきて円安・株高の動きも強まっているだけに、当然ながら市場でもかなり注目されるものと思われる。

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by nihonkokusai | 2012-12-14 09:28 | 日銀 | Comments(0)

債券先物は幻の過去最高値更新、歴史は繰り返すのか

 2012年12月11日に長期国債先物(主限月)は145円30銭をつけて過去最高値を更新した。しかし、この事実はあまり騒がれることはなく、どうやら2003年6月11日につけた、これまでの過去最高値の145円28銭と同様に、市場参加者からはあくまで参考値程度の扱いとされそうである。記憶上は12月7日につけた145円26銭が中心限月の高値とされるかもしれないが、記録上は12月11日の145円30銭が債券先物の過去最高値となる(2012年12月12日現在)。

 今回もこのあたり記録しておかないと、あとで何が起きたのかがわからなくなる恐れがあるため、備忘録として今回の状況を残しておきたい。

 12月6日に債券先物は2003年6月10日につけた過去最高値の145円09銭を抜いて、過去最高値を更新と報じられたが、これはある意味正しく、ある意味正しくはない。

 先物の中心限月の交代については、正式にはイブニング・前場・後場のオークション取引(つまり立会外取引除く)の出来高が逆転した「翌営業日」から中心限月の定義が変わることになっている。

 2012年12月6日に債券先物12月限は145円24銭まで買われ、市場参加者から見た中心限月としては2003年6月10日の145円09銭を抜いて最高値を更新した。12月7日に12月限は145円26銭をつけており、これが現時点(12月12日現在)での中心限月としての高値と記憶されることになるはず。

 12月10日に2013年3月限の日中出来高が12月限を抜いて売買上では中心限月が3月限に移った。しかし、イブニングを含むトータル出来高では10日にはまだ逆転しておらず、形式上は11日まで中心限月は12月限となる。その11日に12月限が145円30銭まで買われ、2003年6月11日につけた過去最高値の145円28銭を更新した。つまり記録上では2012年12月11日に債券先物の過去最高値が更新されたことになる。

 これと同様のことが、これまでの過去最高値をつけた際にも生じていた。もう一度、2003年6月に債券先物が過去最高値をつけた際の状況を振り返ってみたい。

 2003年6月10日の後場に当時の債券先物の中心限月であった6月限は145円09銭まで上昇した。そして翌日の6月11日に10年債利回りが0.430%をつけたが、これが現在でも日本の長期金利の最低記録として残っている(世界記録は今年、スイスに更新されてしまった)。先物6月限もこの日の前場に145円28銭まで上昇した。

 この6月11日に債券先物の日中出来高で9月限が6月限を上回っていた。市場参加者の間では日中出来高が逆転すると債券先物の中心限月が実質的に移行との認識であり、トレードも新しい限月中心に移行する。市場参加者にとり11日の先物中心限月は9月限となっていた。つまりこの日つけた6月限の145円28銭は中心限月ではないとの認識であり、ある意味、幻の高値となってしまったのである。このため、債券先物の中心限月の高値は2003年6月10日に6月限でつけた145円09銭と市場では認識された。

 ところが、東京証券取引所の資料を見ると、長期国債先物(通称、債券先物)の市場開設来の最高値(主限月)は145.28(2003/6/11)と記載されている。つまり正式な債券先物の最高値は11日につけた145円28銭が記録として残っている。もしこのまま今年の先物が145円30銭を抜かなければ、今度は長期国債先物(債券先物)の市場開設来の最高値(主限月)は145.30(2012/12/11)と記載されるはずである。

「TSE Derivatives Market Highlights」
http://www.tse.or.jp/rules/derivhighlights/b7gje60000005p5l-att/b7gje6000002bbhm.pdf

 ここで注意すべきは、2003年6月に過去最高値をつけたあとに何が起きたかである。6月17日の20年国債入札をきっかけに債券相場が急落し、これはVARショックと呼ばれた。今回、債券先物が幻の最高値を更新するという同じような状況が発生したことは、単なる偶然であったのか。急落とは言わないまでも、日本の債券相場がそろそろピークアウトしてくることを示唆した可能性もあるのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2012-12-13 09:40 | 債券市場 | Comments(0)

シニョリッジとは何か

 今回はいわゆるシニョリッジ(通貨発行益)について考えてみたい。リフレ政策のひとつとしては政府紙幣の発行もあるが、日銀券と政府紙幣の発行では何が違うのか。

 そもそもシニョレッジ(seigniorage)とは、鋳造した貨幣の額面と原価の差額である。古代ローマの時代から使われているラテン語で、日本では江戸時代に「出目(でめ)」と呼ばれたものである。

 金本位制の頃は、本来であれば貨幣の額面価値(金額)と金の実質価値(金額)が等しいはずである。しかし、貨幣の金の含有量を減らせばその分、シニョリッジ(通貨発行益)が得られる。これは過去の歴史を紐解くまでもなく、現代の日本でもそれを活用した事例が存在している。

 1986年に天皇陛下御在位六十年記念硬貨が発行された。この10万円金貨は発行枚数が1000万枚と巨額であった。1枚あたり20グラムの金を使用していたが、当時のグラムあたりの金価格が2000円前後であり、金そのものの価値は額面の半分以下であり、それが政府への財源を潤した。まさに巨額の通貨発行益を得たことになる。ただし、これはその後の偽造事件もあって、金貨保有者は私も含めて、銀行に日銀券と引換に走ったのであるが。

 これに対し日銀券については、1万円の原価の約20円と額面1万円の差額9980円とはならない。日銀のバランスシート上では、負債項目に日銀券と預金などがあり、それに対して資産項目に国債や貸出金が存在する。つまり日銀券は日銀にとっては負債であり、無利息・無期限の借用証書となる。このため日銀券を発行し、それで国債を買い入れれば、買い入れた国債の利子分が、シニョリッジとなる。さらにこの日銀の毎期剰余金は法定準備金、配当を除いた額を国庫に納付することとなっている(日銀法第53条)。

 さらに日銀券を輪転機を回して増やそうとしても、そもそも日銀券への需要がなければそれは難しい。日銀券の発行というのは、市中銀行が準備預金を下ろして日銀から現金を受け取ることであるが、これは日銀にとり準備預金という負債を減らす一方で日銀券という負債項目が増加することになる。日銀は強制的に市中に日銀券をばらまくことはできない。あくまで銀行等が準備預金を取り崩して現金化しなければ、市中の日銀券残高は増加しない。

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by nihonkokusai | 2012-12-12 09:43 | 日銀 | Comments(0)

債券先物は過去最高値を更新

 12月6日に債券先物は2003年6月10日につけた過去最高値の145円09銭を抜いて過去最高値を更新と報じられたが、これはある意味正しく、ある意味正しくはない。

2003年6月10日の後場に当時の債券先物の中心限月であった6月限は145円09銭まで上昇した。そして翌日の6月11日に10年債利回りが0.430%をつけ、先物6月限もこの日の前場に145円28銭まで上昇した。

 ところがこの6月11日に債券先物の日中出来高で9月限が6月限を上回ったのである。日中出来高が逆転すると債券先物の中心限月が実質的に移行との認識であり、トレードも新しい限月中心に移行する。市場参加者にとり11日の先物中心限月は9月限となっていた。つまりこの日つけた145円28銭は中心限月ではないとの認識で幻の高値となってしまったのである。このため、債券先物の中心限月の高値は2003年6月10日の145円09銭と認識された。ところが、東京証券取引所の資料を見ると、長期国債先物(通称、債券先物)の市場開設来の最高値(主限月)は145.28(2003/6/11)と記載されている。つまり正式な債券先物の最高値は11日につけた145円28銭が記録として残っている。

 先物の中心限月の交代については、正式にはイブニング・前場・後場のオークション取引(つまり立会外取引除く)の出来高が逆転した「翌営業日」から中心限月の定義が変わることになっている。

 実は今回も同様の問題が発生した。2012年12月6日に債券先物12月限は145円24銭まで買われ、市場参加者から見た中心限月としては2003年6月10日の145円09銭を抜いて最高値を更新した。12月7日に12月限は145円26銭をつけて、これが中心限月としての高値と記録されることになる(12月11日現在)。

 12月10日に2013年3月限の出来高が12月限を抜いて実質的に中心限月が3月限に移った。しかし、イブニングを含むトータル出来高では10日にはまだ逆転せず、形式上は11日まで中心限月は12月限となる。
その11日に12月限が145円30銭まで買われ、2003年6月11日につけた過去最高値の145円28銭を更新した。つまり形式上では本日12月11日に債券先物の過去最高値が更新されたことになる。

 ただし、3月限がいずれこの12月限の記録を抜けばこのあたりもすっきりする。何はともあれ、債券先物が過去最高値を更新したことは間違いない。



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by nihonkokusai | 2012-12-11 12:23 | 債券市場 | Comments(0)

10月の海外からの日本の債券への投資状況

 財務省は12月10日に10月の国際収支(速報)を発表した。これによると経常収支は前年比29.4%減の3769億円の黒字となった。貿易収支は4503億円の赤字に。サービス収支も3568億円の赤字。所得収支は1兆2436億円の黒字となった。また、10月の季節調整済み経常収支は4141億円の黒字となった。9月は1996年1月の現行統計開始以来初めて季節調整値が赤字となったが、10月は再び黒字となった。

 国際収支の発表には、付表として対外・対内直接投資、対外・対内証券投資も発表されている(財務省トップページ > 国際政策 > 関連資料・データ > 国際収支状況 > 報道発表資料(発表日別)。このうち10月の対外・対内証券投資から債券の部分について確認してみたい。

 国内から海外の国債等への投資は、主要国・地域ソブリン債への対外証券投資で確認できる。米国債への国内からの投資は、ネットで10月は4565億円の減少となり、9月の1兆2621億円増から減少に転じた。ユーロ圏への国債投資では、10月のドイツのソブリン債への投資が706億円の減少と9月の8815億円増から減少に。フランスへは10月は5635億円増と9月の4146億円の増加に続いて増加した。イタリアへは189億円の増加、英国へは549億円の減少となっていた。

 本邦債券に対する対内証券投資から、日本の債券(主に国債)に対する海外からの投資を見てみると、10月はネットで2兆8357億円の減少となり、9月の1兆847億円増から減少に転じた。内訳としては中長期債が6989億円の増加、短期債が3兆5346億円の減少となっていた。ちなみに9月は中長期債が4136億円増、短期債が6711億円増となっていた。

 9月の対内証券投資の地域別内訳をみると、日本の中長期債での購入額が大きいのが、米国の3269億円、オーストラリアの2133億円、英国の1974億円、韓国の1243億円、反対に中長期債での流出で多かったのは、フランスの514億円減。

 日本の短期債で購入は英国の5兆4255億円増(9月は7兆5008億円増)が引き続き突出しているが増加額は9月から減少。これに対して流出が大きいのは、ルクセンブルグの1兆5168億円減(9月は1兆9963億円減)、国際機関1兆4072億円減(9月は9073億円減)、中国の1兆1303億円減、フランスの1兆1127億円減、米国が1兆1080億円減、アラブ首長国連邦6437億円減。

 10月の海外から日本の国債を主体とする債券への投資額は、中長期債は増加基調であったが、短期債は大きく減少した。英国からの増加額が9月に比べて減少した上に、ルクセンブルグや国際機関、中国、フランス、米国から差し引き1兆円を超える処分超となっていた。

 10月の債券相場は引き続き狭いレンジ内での動きとなり、先物は144円辺内での方向感に乏しい動きとなっていた。ただし、外為市場では円安傾向となり、ドル円は80円台を回復し、ユーロ円も一時104円半ばをつけた。この円安の影響により短期債の処分超となったというよりも、11月にその分回復していることで償還等に絡んでの一時的な動きであったように思われる。

 ちなみに12月10日に発表された11月の対外及び対内証券売買契約等の状況(月次・指定報告機関ベース)によると、対内証券投資については中長期債が3706億円増(10月が6081億円増)、短期債が3兆4686億円の取得増となっていた(10月が3兆5745億円処分超)。特に短期債については10月の処分超と同程度の規模で、11月はあらためて取得増に転じた。

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by nihonkokusai | 2012-12-11 09:50 | 債券市場 | Comments(0)

円安・株高、債券高の謎

 謎というのもおかしいかもしれないが、何故そうなったのかについては、背景にいくつかの要因が存在している。まず今回の相場で大きなキーとなるのが円安である。この円安の背景には、世界的なリスクオフの流れが一服したことが上げられる。これはスペインやイタリアの長期金利の動向をみれば確認できる。

 もうひとつ日本の貿易収支の赤字により、経常収支の黒字幅が減少しつつあることも、今回の円安の背景となっている。一時的に海外でのリスクオフの動きに覆い隠されていたが、そのベールがはがされると円に対しては売り圧力が掛かりやすい。

 そして、12月の総選挙を控えてデフレ脱却として、日銀への追加緩和圧力も円売り要因となっている。特に自民党が過半数を超えるとの予想も出ており、自民党が政権を取れば日銀はかなり積極的な追加緩和を迫られ、さらに来年3月の日銀副総裁人事と4月の総裁人事にも影響が出る可能性があり、こちらも円売り要因となる。

 日本の株式市場は円高圧力により低迷していた部分があり、その円高という足かせがなくなれば、ある程度戻りを試すことが想定された。ここにきての株高もある程度、想定の範囲内であろう。

 そして債券相場であるが、正直言えばここまで再び戻りを試すことは想像していなかった。しかし、日本だけでなくスイスの長期金利も過去最低、つまり地球の歴史上、最低の長期金利を更新しつつある。また、フランスの長期金利もユーロ導入以来初めての2%割れとなっている。

 スイスについては金融大手クレディ・スイスが12月10日から、銀行間の取引に利用されるスイスフラン建ての預金にマイナス金利を適用することなども影響しているとみられるが、超低金利状態は続いている。米国やドイツの長期金利も比較的低位で安定している。

 その中にあり、日本の債券相場も今後のリスクも気になる以上、なかなか積極的に買えない状況にあった。しかし、日銀の追加緩和観測もあり、投資家も手元資金がある以上、どこかのタイミングで買いを入れざるを得ない。そのきっかけが12月6日の30年国債入札であったのかもしれない。それまで上値が重かった超長期債が一気に買われたのである。

 債券先物も2003年6月10日の中心限月としての過去最高値(参考値)の145円9銭を抜けて、実質的な債券先物の最高値145円28銭に迫った。このあたりの買いの背景には、再び売りを仕掛けてきたとみられる海外ヘッジファンドの買い戻しなども入った可能性もある。

 債券相場の買いの背景にも当然ながら日銀の追加緩和期待もあり、いわゆる金融相場が形成されつつあるとの見方もできる。それであれば株高・債券高の説明もしやすい。しかし、あくまで現在の日本の相場は期待先行である。衆院選の結果が出ると、今度は現実と向き合う必要がある。日銀法を改正してまでのリフレ的な金融緩和はかなりのリスクを伴う。本当にそれを行ってくれば、債券市場関係者は再び警戒感を強めよう。ところがそんなことは現実に難しいとなれば、今度は株式市場が警戒感を強めることになるかもしれない。

 いずにせよこの金融相場はあまり長続きはしないことは確かではなかろうか。このあとどのような相場展開となるのか。日本で金融政策等の舵取りを謝ると金利そのものが大暴れしてくる懸念もある。そのあたりも今後は注意して見て行く必要があると思う。

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by nihonkokusai | 2012-12-10 09:34 | 債券市場 | Comments(0)

債券先物が最安値をつけたのはいつか

 今回は東証が発行している「TSE Derivatives Market Highlights」から、長期国債先物(債券先物)の過去最安値をつけたときの価格と時期を確認してみたい。

 債券先物の最安値は87円08銭で、これを付けたのは1990年9月27日となっている。拙著「日本国債先物入門 [改訂版] 」の先物の歴史の部分から確認してみたい。



  「1989年5月、加熱する景気に対処するため、日銀は公定歩合を3.25%に引き上げた。さらに10月には3.75%に、12月には4.25%と引き上げ、完全に金融引締策へと転向した。それでも、バブルの勢いは年末まで続き、日経平均は、その年の大納会の大引けで3万8915円を付けた。結局、これが以降、20年以上にわたっての日本株の最高値となる。公定歩合の度重なる引き上げによる短期金利の上昇で、長短金利が逆転してしまい、債券相場はすでに総じて伸び悩みの状態となっていた。」

 「1990年は、債券安・株式安・円安のトリプル安で始まった。米国での金融緩和期待の後退、ソ連情勢の悪化、日銀による公定歩合の再引き上げ観測などが要因であった。実際、日銀は3月20日に1.00%もの大幅な公定歩合の引き上げを実施し、5.25%とした。8月2日、イラク軍がクウェートに侵攻すると原油価格が急騰し、インフレ懸念が一段と高まった。その後、原油価格は下落したものの、物価上昇を気にしてか、日銀は同月30日に公定歩合をさらに0.50%引き上げ、年6.00%とした(第五次公定歩合の引き上げ)。これを受けてJGB先物は急落し、9月27日にはJGB先物市場開設以来の安値となる87円8銭にまで下落した。株価も大きく下落し、10月1日に日経平均株価は2万円を割り込んだ。」

 いわゆるバブルに対処するため、日銀は1989年から1990年にかけて幾度かの公定歩合の引き上げを行い、イラクによるクウェート侵攻により原油価格が急騰した結果、インフレ懸念も強まったことに、利上げも絡んでの債券先物の下落で、上場来の過去最安値をつけたのである。ちなみに、1990年9月末の日本の長期金利は8%台となっていた。

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