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8月の海外からの日本国債への投資状況

 財務省は10月9日に8月の国際収支(速報)を発表した。これによると経常収支は前年比4.2%増の4547億円の黒字となった。貿易収支は6445億円の赤字に。また、サービス収支も2225億円の赤字。所得収支は1兆3890億円の黒字となった。

 国際収支の発表には、付表として対外・対内直接投資、対外・対内証券投資も発表されている(財務省トップページ > 国際政策 > 関連資料・データ > 国際収支状況 > 報道発表資料)。このうち、8月の対外・対内証券投資を確認してみたい。

 「国内から海外の国債等への投資」は、主要国・地域ソブリン債への対外証券投資で確認できる。米国債への国内からの投資は、ネットで8月は5374億円の増加となり、7月の5326億円の減少から増加に転じた。ユーロ圏の国債についてみると、8月のドイツのソブリン債への投資は4663億円の増加とこちらも7月の4751億円減から増加に転じた。フランスへは954億円の増加、イタリアへは466億円の増加、英国は603億円の減少となっていた。

 日本の債券(主に国債か)に対する海外からの投資を見てみると、8月はネットで2兆2094億円もの増加となり、7月の9547億円の増加からさらに大きく増えた格好。内訳としては中長期債が7738億円、短期債が1兆4357億円の増加となっていた。7月は中長期債が3361億円、短期債が6186億円の増加となっていたが中期債も短期債もほぼ倍額の増加幅となっていた。

 8月の対内証券投資の地域別内訳をみると、日本の中長期債での購入額が大きいのが、英国の9329億円(7月は543億円増)がダントツで、次にタイの862億円(7月は478億円増)。中長期債への英国からのネットでの購入額は7月は小幅増に止まっていたが、8月に再び増加額を増やしてきた格好に。反対に中長期債での流出で多かったのは、中国の1592億円減(7月は1045億円増)、シンガポールの899億円減、フランスの873億円減。

 日本の短期債で購入が大きいのは、英国の5兆2017億円増(7月は7兆6709億円増)と引き続き突出している。これに中国の8590億円増(7月は7205億円減)が続く。中国は中長期債はやや減少させたが、その分短期債は買い越しに。これに対して流出は、フランスの1兆3003億円減(同1兆4339億円減)、ルクセンブルグの7625億円減(7月は1兆6904億円減)。アラブ首長国連邦3374億円減(7月は2591億円減)、シンガポール2546億円減(7月は7384億円減)、国際機関7387億円減(7月は6952億円減)。

 8月の日本の国債を主体とする債券への海外からの投資は大きく増加した。中長期債では英国が再び増加幅を広げたこと、中短期債では英国の増加額は7月に比べれば大きく低下したが、ルクセンブルグの減少幅が少なくなったことや中国の増加額がカバーした格好に。

 8月の債券相場は上旬は消費増税の行方が不透明となり、債券先物でシステム障害などもあって荒れた展開となるなか下落基調となった。しかし、8月中旬に10年債利回りで0.8%台に乗せてきたあたりからじりじりと押し目買いが入り、米債もQE3への期待感などから買われたことで、8月16日に143円27銭まで下落した債券先物は8月31日に再び144円台を回復させた。

 ちなみに10月9日に発表された9月の対外及び対内証券売買契約等の状況(月次・指定報告機関ベース)によると、対内証券投資については中長期債が4522億円(8月が5212億円)、短期債が6952億円(8月が1兆4412億円)のそれぞれ取得超となっており、9月に入ってからは、やや短期債への資金流入額が8月に比べて減っていた。短期債は9月に入り上旬にいったん大きく売り超した分を中旬でカバーし、下旬で買い越しのなった部分が全体の買い越しになった格好に。

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by nihonkokusai | 2012-10-10 09:12 | 債券市場 | Comments(0)

再び発行が増えている個人向け劣後債購入にあたっての注意点

 2009年に発行された銀行が発行した劣後債は、8年満期が多く、つまりそれは3年後に繰り上げ償還される可能性が高いことで、今年に入り、その借り換え目的とみられる個人向け劣後債の発行が増加している。

 劣後債とは、劣後特約のついた社債のことである。劣後特約とは社債に付けられた特約条項のことである。その特約条項の内容は通常、劣後債を発行した企業が倒産した場合、劣後特約のついた社債の返済は一般債権者への支払いが全て完了した後に行うという内容となっている。デフォルト時の元利金の支払い順位が一般債務よりも低くなっており、もし発行した企業が経営破たんした場合には、株式と同じく紙切れ同然になるリスクがある。劣後債のリスクは、一般に普通社債と株式の間くらいとの認識のようであるが、その分、普通社債よりも利率は高く設定されている債券である。

 劣後債の発行体をみると金融機関が比較的多い。金融機関は法律で一定以上の自己資本比率の維持を義務付けられている。劣後債は、会計上は負債に分類されるものの、銀行経営の健全性を維持するための国際ルールであるBIS規制では、自己資本の補完的項目(Tier2)への算入が一定限度まで認められている。このため、株主の権利を希薄化させずに、金融機関は自己資本を高められるというメリットがあり、金融機関は劣後債を発行しているのである。

 金融機関の発行する劣後債には、満期前に繰上償還される「期限前償還(コーラブル)条項」が付いているものが多い。劣後債の期限前償還条項とは、発行体が債券の繰上償還をするかどうかは決めることができるもので、いつ償還となるか事前には確定していない。しかし、劣後債を自己資本とみなすルールには、劣後債の償還まであと5年以上残っていなければならない、というルールが存在する。残存期間が5年を切ると年率20%で累積的に減価しなければならないのである。このため、実際には残存5年のタイミングで繰上償還となるケースが大半となっている。劣後債は、BIS規制において自己資本に算入可能であるため、金融機関には残存5年のタイミングで繰上償還し、再度劣後調達を行うインセンティブが働くのである。

 ただし、絶対にコールがかかるというわけではない。これまで大手金融機関が発行した劣後債で、繰上償還が見送られた事例は少ない。しかし、発行体の財務内容が大幅に悪化し繰上償還するだけの余裕がなかったり、金利の上昇などにより再調達コストが大幅に上昇した場合などでは、期限前償還が見送られる可能性があることにも注意が必要である。  ちなみに、現在発行されている個人向けの劣後債はバーゼル3には非対応のものがほとんどである。バーゼル3とは、バーゼル3とは、国際的に業務を展開している銀行の健全性を維持するための新たな自己資本規制のことであり、バーゼル2(新BIS規制)をさらに規制強化したものであり、2012年から2019年にかけて段階的に適用されていくとされている。

 バーゼル3では劣後債を自己資本に算入するには、実質破綻に陥った際、元本の返済免除か普通株に転換することを条件としているバーゼル3対応としては以前、野村ホールディングスが発行した劣後債があるが、同社が仮に実質経営破綻した場合は投資家に元本を返済しなくてよい条件付きとなっている。バーゼル3に非対応であれば、倒産前の公的資金注入により救済される可能性がわずかに残る。

 個人投資家にとって劣後債を買い付ける際には、上記の劣後債そのものの性質とともに、買付金額の大きさ、そのタイミングの難しさ、さらに途中売却の難しさも意識する必要がある。

 金融機関の発行する劣後債の最低単位は100万円とか250万円、1000万円と通常の個人向け債券よりも大きくなっている(ちなみに個人向け国債は1万円単位で購入が可能)。さらに利率が比較的高いことなどもあって人気化しているものなどは、なかなか入手が難しく、ある程度取引やつきあいのある証券会社などからの情報が得られないと購入そのものも難しいケースも多い。

 さらに、劣後債は売りたい時に必ず売れるとは限らず、その流動性の低さに注意が必要である。個人向け国債は途中売却の際に財務省が買い取るが、劣後債は発行する銀行側が買い戻す義務はない。ただし、販売した証券会社が買い取ることは考えられるが、流動性がない分、購入価格よりもかなり安い値段で買い取ることも考えられるため、できる限り途中売却は避け、基本的には購入したら償還(そのほとんどは残存5年目で途中償還される見込み)まで持ちきることを前提に購入する必要がある。

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by nihonkokusai | 2012-10-09 11:04 | 債券市場 | Comments(0)

ドルマークの由来、そして円と元のマークは同じだった

 先日、あるテレビ番組の製作スタッフから突然の電話があり、ドルマークの由来を教えてほしいという。その担当者はいろいろと調べてスペイン領アメリカにおいて使われていたスペインのペソに由来するのではとの話であった。たしかにネットで調べて見るとウィキペディアなどては諸説あり、そのひとつにスペイン領メキシコ・ペソの記号として使われていたものが由来ひとつと記されている。また当時のペソは、ピアストル、(英語圏では)ダラーとも呼ばれていた。

 これについては自分で書いた本(「金融」のことがスラスラわかる本―歴史に学ぶ金融の基本)にこのように記していた。

 「312年にローマのコンスタンティヌス大帝が発行したソリドス金貨は長い期間に渡り高い純度を維持し、その後11世紀末まで東地中海世界の標準貨幣として使われた。ノミスマとも称されたソリドス金貨は中世のドルとも呼ばれているように当時の基軸通貨となっていたのである。中世フランスや南米などで使われた通貨ソル(Sol)、中世イタリアで使われたソルド(soldo)、中世スペインで使われたスエルド(sueldo)などはこのソリドス由来するとされ、ドルのマークが$であるのも、ソリドス(Solidu)にあやかろうとしたものとも言われている。」

 残念ながらもらった電話では、すぐにこのことを伝えられず、曖昧な返事となってしまったが、この場を借りてこのような説があることを伝えておきたい。

 ちなみに円マーク(¥)については、英語で「en」ではなく「yen」と綴られることとなった円を、ドルの習慣に合わせてその頭文字Yに二重線を入れたものが円マークの由来であるとする説が一般的であるとか。中国では本来の通貨単位である「圓」を「元」に代替したが、記号は日本の円記号と同じ¥である。 いずれこれについてもめなければ良いのだが。


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by nihonkokusai | 2012-10-07 13:13 | 金融 | Comments(0)

前原大臣は金融政策決定会合に出席して何ができるのか

 前原誠司経済財政相は就任早々、日銀の金融政策決定会合に出席する方針を固め、10月5日に政府代表として出席した。前原誠司国家戦略相・経済財政担当相は10月2日の記者会見で、日銀について「(物価上昇率1%の目標を)実現するための努力をしっかりと政府からお願いしていく」と積極的な金融緩和を求めた。「(努力が)足りない時には政策決定会合に私も出られる立場になる」と述べ、普段出席する内閣府副大臣だけでなく自らも決定会合に出る可能性を示唆し、実際に5日の会合に出席したのである。先日のコラムでも指摘したが、大臣自ら決定会合に出席したのは、2003年4月に竹中平蔵経済財政担当大臣が出席して以来となった。

 日銀法第十九条によると、財務大臣又は内閣府設置法第十九条第二項に規定する経済財政政策担当大臣(経済財政政策担当大臣が置かれていないときは、内閣総理大臣。次項において「経済財政政策担当大臣」という。)は、必要に応じ、金融調節事項を議事とする会議に出席して意見を述べ、又はそれぞれの指名するその職員を当該会議に出席させて意見を述べさせることができる、とある。

 さらに2項として、「金融調節事項を議事とする会議に出席した財務大臣又はその指名する財務省の職員及び経済財政政策担当大臣又はその指名する内閣府の職員は、当該会議において、金融調節事項に関する議案を提出し、又は当該会議で議事とされた金融調節事項についての委員会の議決を次回の金融調節事項を議事とする会議まで延期することを求めることができる。」とある。

 日銀の金融政策決定会合には、政府の代表が2人出席している。この2人とは財務大臣または経済財政政策担当大臣、あるいはそれぞれの指名する職員となっている。ただし、大臣が直接参加するのは極めてまれである。これは日銀法上、政府代表は議決権がなく、あくまでオブザーバー的な存在となっているためである。ただし、政府からの出席者は、決定会合において、経済情勢や政府の政策運営、金融政策運営などに関する意見を述べることができる。

 政府からの出席者は議決権はないものの、提案された議案について、議決を次回の会合まで延期することを求めることができる。これが議決延期請求権である。これは2000年8月のゼロ金利解除の際に行使されている。このときは大臣は出席していないが、これについて全権を委託されていたとされる宮沢蔵相の最終判断により、過去に例のない議決延期請求権が行使された。

 日銀法第十九条3項では、前項の規定による議決の延期の求めがあったときは、委員会は、議事の議決の例により、その求めについての採否を決定しなければならない、とある。実際に2000年8月の決定会合では、同条第3項に基づいて採決した結果、議決の延期の求める請求を反対多数で否決した。

 政府からの出席者は、また自ら議案を提出することができる。つまり前原大臣が自ら追加緩和なり、たとえば持論の外債購入についての議案を提出することは可能である。ただし、仮にそうする場合があったとしても、あくまで政府代表としての立場である以上、単独というよりも財務大臣の了解を得ることも前提条件になろう。

 そもそも仮に政府が議決延期請求権を行使しようが、自ら追加緩和策の議案を提出しようが、議決権のある政策委員会で否決されればそれでお仕舞いである。もちろんそれを行ったという事実は、決定会合後に明らかにされ(それ以前に明らかになったならばそれはリークがあったことになる)、それなりにマーケットなどにインパクトを与えることになるかもしれない。

 しかし、そこに至る過程等含め、会合での発言内容は議事要旨である程度明らかにされ。議事録では発言者とともに発言内容もそのまま記録される。このようなことを考えれば、あまり迂闊な発言はできなくなる。大臣ともなれば、安易な発言は当然差し控えることも予想され、まして持論による単独議案の提出などはかなり困難となる。つまり、いくら大臣自ら出席しようが、日銀の決定会合での政策決定そのものにそれほど大きな影響を与えることは考えづらいのである。日銀としてそれなりのプレッシャーも感じるかもしれないが、あくまで政府代表は決定会合ではオブザーバーでしかない。

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by nihonkokusai | 2012-10-06 09:10 | 日銀 | Comments(0)

南アフリカ国債が世界国債インデックスに組み入れられたことによる影響

 年金の運用機関などは、その多くが「インデックス運用」を採用している。インデックス運用とは、ある一定の組み入れ基準にもとづいて構成されている債券ポートフォリオの運用成績に連動するよう、自らのポートフォリオを管理する手法である。TOPIX(東証株価指数)などの株価指数に連動することを目標とするインデックスファンドと運用方針は同じである。

 いくつかの証券会社や金融機関が、こうした債券のインデックスを開発しているが、国内債に関して大半の年金が採用しているのは、野村證券が開発した「NOMURA-BPI」である。年金はこれを参考に月末もしくは月初に国内債の入れ替えをすることが多い。

 海外の年金もまた多くがインデックス運用を採用しているが、そこでよく利用されているのが、シティグループ世界国債インデックス(Citigroup World Government Bond Index=WGBI)である。WGBIは、世界主要国の国債の総合投資利回りを各市場の時価総額で加重平均し、指数化したものである。債券で運用されるファンドのベンチマーク(評価基準)になっている。日本においても、シティグループ世界国債インデックスのうち日本を除いた指数が、公的年金や企業年金、投資信託などで幅広く利用されている。

 今年5月に、南アフリカの国債が「シティグループ世界国債インデックス」の組入要件を満たした」との発表があった。このインデックスの組入要件としては、市場の時価総額が500億米ドル、400億ユーロ、5兆円をそれぞれ上回る(市場規模基準)、S&P社でA-、あるいはムーディーズ社でA3以上の格付を保有すること(信用格付け基準)、さらに市場参入障壁がないこととなっている(シティグループのサイトより)。

 ちなみにシティグループ世界国債インデックスに組み入れられているアジアの国は日本とシンガポール、マレーシアだけである。韓国については組入要件はほぼ満たしているものの、資本規制等の市場参入の障壁がネックとなって組み入れられていない。

シティグループ世界国債インデックス http://index.citigroupglobalmarkets.jp/free_pdf/bond/info.pdf http://index.citigroupglobalmarkets.jp/free_pdf/bond/IX34.pdf

 南アフリカの国債が継続して組入要件を維持した場合、2012年10月より同インデックスに採用される予定となっていたが、実際に10月1日より「シティグループ世界国債インデックス」に、新たに南アフリカ国債が組み入れられた。

 インデックスに国債が採用される国は、南アフリカのほか22か国あり、WGBIを参考にするファンドの運用資産総額は推定で2兆ドルに上るとされる。シティグループは、WGBIへの組み入れが決まった南アフリカ国債は12種類で、これらの時価総額は938億2000万ドル、WGBIの0.45%に相当するようである(10月1日のロイターより)。

 インデックス運用を行っている投資家による南アフリカ国債への買いは9月末あたりまでにほぼ終了していたようで、南アフリカ国債の利回りは9月末に過去最低に近い水準にまで低下していた。また、南アフリカの通貨ランドが思惑的な動きもあってか、10月1日に買われるなど、多少影響はあったようである。ただし、南アフリカ国債の組み入れがある程度行われてしまうと、それ以降の需要は限られる点にも注意しておきたい。また、

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by nihonkokusai | 2012-10-05 09:06 | 国債 | Comments(2)

前原経済財政担当相は日銀の決定会合に出席か

 日経新聞によると、前原誠司国家戦略相・経済財政担当相は2日の記者会見で、日銀について「(物価上昇率1%の目標を)実現するための努力をしっかりと政府からお願いしていく」と積極的な金融緩和を求めた。「(努力が)足りない時には政策決定会合に私も出られる立場になる」と述べ、普段出席する内閣府副大臣だけでなく自らも決定会合に出る可能性を示唆したそうである。ちなみに今日から明日にかけて、その金融政策決定会合が開催されるが、今回出席するかどうかは定かではない(追加、これについては4日に日経が、「前原誠司経済財政相は日銀の金融政策決定会合に出席する方針を固めた。4日始まった決定会合2日目の5日に政府代表として出席する。」と報じた)

 日銀の金融政策決定会合には、政府の代表が2人出席している。この2人とは財務大臣または経済財政政策担当大臣、あるいはそれぞれの指名する職員となっている。ただし、大臣が直接参加するのは極めてまれである。これは日銀法上、政府代表は議決権がなく、あくまでオブザーバー的な存在となっているためである。ただし、政府からの出席者は、決定会合において、経済情勢や政府の政策運営、金融政策運営などに関する意見を述べることができる。 

 政府からの出席者は議決権はないものの、提案された議案について、議決を次回の会合まで延期することを求めることができる。これが議決延期請求権である。これは2000年8月のゼロ金利解除の際に行使されているが、このときも大臣は出席していない。しかし、これについて全権を委託されていたとされる宮沢蔵相の最終判断により、過去に例のない議決延期請求権が行使された。過去に例のないというのは、この議決延期請求権はブンデスバンクの方式を取り入れたものの、そのブンデスバンクでは一時も行使されなかったためである。その後、金融政策はECBに委ねられたため、今後もドイツでの議決延期請求権行使はありえなくなった。

 過去において大臣が決定会合に出席したのを調べてみたところ、新日銀法が改正され初めての会合(1998年4月)で、松永光蔵相と尾身幸次経企庁長官が出席した。ただしこれは初回の金融政策決定会合という記念の意味も込めての出席とみられる。同年6月に尾身幸次経済企画庁長官、7月に松永光大蔵大臣がそれぞれ出席した。そして1999年2月と3月に堺屋太一経済企画庁長官、2001年6月~11月、2002年3月・5月・7月・12月、2003年4月に竹中平蔵経済財政担当大臣が出席している。これ以降、特に副大臣が設置されてからは副大臣の出席が目立つことになる。

 堺屋氏や竹中氏は前原氏同様に、日銀に対して批判的な立場であったこともあり、今回の前原氏と同様の意気込みで参加していたともみられる。ただし、それによって金融政策に影響がどの程度あったのかは不透明ながら、この間に議決延期請求権が行使されるようなこともなかった。

 経済財政政策担当の大臣も参加できる以上、前原氏が決定会合に参加するのは全く問題はない。むしろ大臣が直接金融決定の現場に参加することは、良い経験ともなるのではないかと思われる。日銀の外債購入についても財務相や官房長官がやんわりと否定しているように、特に為替に影響を与える以上は管轄が日銀にはなく、これは決定会合に出て日銀に何とかしろと言える筋合いのものでもない。このあたり含めて、とにかく一度決定会合に出てお互いの意見を聞くことも大事なのかもしれない。


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by nihonkokusai | 2012-10-04 08:07 | 日銀 | Comments(0)

来週東京で開催されるIMF世界銀行年次総会に注目

 世間の関心度はあまり高くなさそうだが、来週10月12日から14日にかけて「IMF・世銀年次総会 2012」が開催される。

 IMF世界銀行年次総会は、国際通貨基金(IMF)と世界銀行、それぞれの最高意思決定機関である総務会が、毎年秋に合同で開催する会議であり、年次総会は通常、2年続けてワシントンDCのIMF及び世界銀行の本部で開催され、3年に一度加盟国で開催される。

 前回2009年はトルコのイスタンブールで開催され、約1万3千人が参加した。日本では開催は1964年以来開催されておらず、今回で2度目となり、また2012年は日本がIMF・世銀に加盟して60年目の節目にあたる。

 総会には世界中の財務大臣・中央銀行総裁等が集う。つまり米国からは今期限りで退任を表明したガイトナー財務長官とともに、バーナンキFRB議長、そしてユーロ圏からもドイツのショイブレ財務相など各国財務相とともに、ドラギECB総裁も来日することになる。英国からはオズボーン財務相とともに、来年6月で任期を終えるイングランド銀行のキング総裁も出席する。

 この総会はまさにサッカーで言えばワールドカップと言えるものであり、財務相になったばかりの城島財務相の国際舞台のデビュー戦はいきなり、ワールドカップの本戦になってしまったとも言える。

 主要会議のほか数多くの二国間会談や通例、G7、G20、G24、G10、大臣会合等の会議、各種イベントが開催される。現在のところ10月11日に日米欧7カ国(G7)の財務相が東京で会合を開く予定とされている。この会合では為替動向について協議する公算が大きいとされているが、当局者によると「短時間の会合になる見通しで、会合後に声明が出されたり記者会見が行われる可能性は低い」と語ったそうである(ロイター)。

 総会そのものには大臣や政府幹部だけではなく、金融関係者、報道関係者等々が集まり、セミナーやシンポジウムが開催され、期間中は大小約200の会議・イベントが開催される予定で、参加人数は公式参加者で1万人、非公式の参加者を含めれば2万人とも言われる、世界最大規模の国際会議となる(主催国公式ホームページより)。

 開催期間は2012年10月12日(金)から10月14日(日)。関連会議・イベントは10月9日(火)から始まる予定で、メイン会場は東京国際フォーラムと帝国ホテルとなる。

 すでに公式ホームページも立ち上がっている。 「2012 ANNUAL MEETING」http://www.imf-wb.2012tokyo.mof.go.jp/

 9月の日銀の追加緩和について、個人的にこのIMF世界銀行年次総会の東京開催も意識したのではないかと勝手に解釈したが、とにかく財務省や中央銀行の関係者等にとっては大きな会合であることは間違いない。

 今回の会合では、為替市場の問題などとともに、スペインやギリシャなど問題が燻り続けるユーロ圏の問題や、欧州の景気後退などによる影響、さらにそれらに対応すべく行動を起こしたECBやFRB、さらに日銀などの金融政策とその効果等などについても議論が交わされるのではなかろうか。ただし、ここにも中国と日本との領土問題による影響が出る懸念もあり、いろいろな意味で来週のMF世界銀行年次総会には世界の市場関係者も注目しよう。実際に中国の大手銀行がIMF・世界銀行年次総会やその関連行事への参加をキャンセルしたことを明らかにしたとの報道も出てきた(WSJ)。

 財政問題ではユーロ圏の問題もさることながら、米国の財政の崖問題も注目されよう。また、日本の特例公債法案の行方も懸念されるかもしれない。しかし、日米ではそれぞれ大統領選挙と総選挙も大きく影響するとみられ、その行方次第で流動的な面もあり、今後の懸念材料として取り上げられる可能性もある。

 いまのところユーロ圏の財政問題もやや落ち着きを取り戻しており、ECBはすでに国債の買入を決定し、FRBもマーケットの期待の強かったQE3をすでに決定している。日銀も9月に追加緩和を決定するなどしており、バーナンキ議長やドラギ総裁、さらに主役の一人でもあるラガルドIMF専務理事の発言等はそれほど市場では注目を集めないかもしれない。しかし、金融に関わる重要メンバーがいったいどのような意見を東京で交わすのかは、今後の金融市場にも影響が出る可能性もあり、さすがに注意が必要となる。

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by nihonkokusai | 2012-10-03 09:26 | 国際情勢 | Comments(0)

9月の日銀短観を見る上での注意点

 日銀が10月1日に発表した9月の短観によると、大企業の製造業DIはマイナス3ポイントで、3期ぶりの悪化となった。マイナス3ポイントというのはほぼ事前の予想の中心値に近いものとなった。

 日銀短観は3月、6月、9月、12月に調査が実施され、およそ1万1000社を対象に、今回は8月下旬から9月下旬にかけて調査が行われた。

 日銀短観は、各企業が業況感に関しての所定の調査表を記入し、それを郵送するかオンラインによって調査するものである。短観は、サンプル数も多い上、日銀が相手ということもあって回収率も高く、数多くある経済指標の中でも注目されている統計となる。

 短観は他の経済指標に比べ速報性に優れ、企業が認識している足元の業況判断とともに先行きの業況について、どのような予測をしているのかを見るためにも貴重な指標となる。

 短観の発表時間は発表当日の朝8時50分。同時刻に日銀のホームページにアップされる。

 10月1日に発表された9月の短観で大企業の製造業DIが悪化したのは、記録的な円高が長期化していることに加え、欧州や中国など海外経済の減速が長引き、それが国内の製造業の輸出や生産などに弱い動きが出ていることが主な要因とされる。

 ただし、今回の回答が9月11日で7割程度届いていたようで、9月16日以降に発生した中国の反日デモによる影響がほとんど加味されていない点には注意したい。もしこれが加味されていれば、大企業の製造業DIの先行きのマイナス3がさらに悪化していた可能性もある。

 大企業の非製造業はプラス8と6月調査と変わらずとなった。東日本大震災の復興需要から建設業の改善が引き続き影響しているようだが、ここにきて個人消費で弱めの指標もでるなどしており、先行きについてはプラス5とブラス幅が縮小している。

 事業計画の前提となっている想定為替レート(大企業・製造業) は6月の78円95銭から、79円06銭とやや円安に修正されている。現状(10月1日10時現在)はまだ78円近辺ではある。

 2012年度大企業・全産業の設備投資計画は前年度比プラス6.4%となった。中小企業・全産業の設備投資計画は前年比0.0%となった。

 9月28日に発表された8月の鉱工業生産指数速報値で生産指数が前月比1.3%の低下となり、市場予想を上回る減少となったこともあり、今回の日銀短観については思ったほどの悪化ではないとの印象である。

 ただし、中国の暴動の影響などもあり、たとえば設備投資について、「基調としては増加を続ける可能性が高いと思いますが、グローバルな企業マインドの悪化の影響が出てこないか、注意してみていく必要」(日銀の山口副総裁の講演より)がある。欧州の景気悪化懸念に加え、米国では財政の崖問題なども控えている。今後もなかなか企業マインドが改善してくるような状況ではなさそうである。

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by nihonkokusai | 2012-10-02 08:06 | 景気物価動向 | Comments(0)

10月の債券相場を見る上での注意点

 予想はなかなか当たるものではないというのは、ディーラー時代から実感しており、自分の予想を信じずに、なるべく臨機応変にディールした方が儲かる事は実証済み。このため、あまり予想を立てることは得意ではないものの、相場そのものよりも相場に関連ありそうな10月の出来事を中心に、その注意点などを探ってみたい。

 国内要因として最初に気になるのが景気の動向か。28日に発表された8月の鉱工業生産指数速報値は生産指数が前月比1.3%の低下となり、市場予想を上回る減少となった。9月の月例経済報告で政府は基調判断を前月に続き下方修正しているが、ここにきて景気減速を示す数値も多くなっている。日銀が9月19日に追加緩和を行った理由のひとつが、世界経済の下振れによる日本経済への影響を意識したものであった。

 この意味で注目されるのが10月1日に発表された日銀短観となる。大企業・製造業DIは、6月に行われた前回の調査と比べて悪化するとの予測が多かったが、実際に6月のマイナス1から、今回はマイナス3に悪化した。ただし、今回の短観結果については回収日の関係で、9月15日あたりからの中国の暴動による影響等はそれほど加味されていないと思われる点には注意したい。

 この短観を受けて10月30日の日銀の金融政策決定会合で公表される展望レポートで景気見通しを下方修正するとみられている。しかし、これを意識してすでに日銀は追加緩和を実施していることで、あらためて追加緩和期待が10月中に盛り上がるようなことはないと思われる(期待そのものは強まる可能性はあるが)。

 8月の全国の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、前年同月比マイナスの0.3%となり、4か月連続のマイナスとなった。こちらも日銀が物価の目途とする1%にはほど遠い。このあたりについては、自民党総裁選で勝利し、デフレ脱却を旗印にした安倍氏の動向も気になるところである。

 現在のところ、総選挙を行えば自民党が勝利するとの予想となっており、もし安倍総裁が総理に再び返り咲くと、デフレ脱却のためとしての日銀法改正が現実味を帯びる可能性がある。ただし、それについては、日銀法改正案に慎重な甘利明元経済産業相が自民党政調会長となるこや、日銀法改正法の急先鋒とも言えた中川秀直氏が次期衆院選に立候補せず、議員を引退する考えを表明したことも多少なり影響が出るかもしれない。

 たしかに与野党には、リフレ派政策を掲げる議員も多いが、中央銀行の独立性を脅かすリスクを理解している議員も当然いるはずであり、中央銀行の歴史の流れに反するような行動はさすがに取りづらくなるのではなかろうか。

 その解散総選挙に絡んで注意すべきは、秋の臨時国会の行方が大きな焦点となる。自民党総裁に安倍氏が就任したことで、公債特例法案については政争の具とせず、成立させる可能性は多少強まった。しかし、総選挙が絡んでどのように転ぶかは不透明である。

 公債特例法案が成立せずとも、国債の利払いや償還については滞りなく行われることで日本国債のデフォルトと言う事態はないものの、今後の予算執行への懸念が強まれば、社会不安を招くと共に、海外からの懸念等が広がる恐れもある。総選挙の時期やその結果の行方とともに、この公債特例法案の行方も10月は気にしておくべきものとなろう。

 海外要因としては、引き続き欧州の動向も大きな焦点となる。スペインについては政府が歳出削減に重点を置いた2013年予算案を提示し、経済改革の行程表を明らかにし、欧州委員会が要請していた予算の執行状況を監督する独立機関の設立も発表するなど、支援要請を意識しての動きを示している。これでひとまず懸念は後退している。

 しかし、欧州での景気後退も深刻化しており、それが財政再建を難しくさせている。また、ドイツについては南欧への支援なども影響してか、今後のドイツ国債の下落リスクを指摘する見方もあり、このあたりの動向にも注意しておきたい。

 米国では大統領選挙が今後の最大の焦点となるが、共和党のロムニー候補の失策が続いたこともあり、民主党の現職のオバマ大統領が再選される可能性が高い。そうなれば9月にQE3を決定したFRBというかバーナンキ議長も一安心となろう。

 その後は、あらためて財政の崖対策が注目される。すでにQE4を期待する声が市場では上がっているが、財政の崖問題は、景気減速を前提とした金融政策の問題である前に財政問題である以上、議会の動向にこそ注目すべきものとなろう。

 以上の状況を踏まえて、10月の日本の債券市場を占ってみると、引き続き安全資産としての日本国債には買いが入りやすく、長期金利は低位安定し、あまり大きな動きは見せないとの予想となる。

 しかし、状況次第ではさらに長期金利は低下し、0.7%近辺あたりまで下げてくる可能性もある。この背景としては、日本の景気動向が大きく影響し、欧州の信用リスクもなかなか後退しないことなども、後押し材料となりそうである。

 下期入りしての銀行の動向も気になるが、海外投資家の動向も今後の相場にも影響を与えるものとみられ、いまのところ売りというよりも、買いスタンスで望む可能性が高そうである。

 もちろん何か現時点では予測できない要因をきっかけとして、相場が大きく変動する可能性もあり、それには臨機応変で望む必要がある。

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by nihonkokusai | 2012-10-01 09:25 | 債券市場 | Comments(0)
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