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来年度の借換債は約7.5兆円の増額に

 9月14日に国債市場参加者特別会合(PD墾)などにおいて、財務省から、今後の国債発行予定等に関しての以下のような説明があった。

 「平成25年度概算要求における国債発行額のうち借換債の発行額は、60年償還ルール等に基づいて計算される約119.9兆円を計上しており、平成24年度予算と比べて約7.5兆円の増額となっている。」

 「概算要求において買入消却の財源に充てることを想定している23年度剰余金の今後の処理状況や、25年度の買入消却の規模によっては、さらに借換債を増額する必要が生じる可能性がある。」(以上、財務省のサイトにアップされた国債市場特別参加者会合(第45回)議事要旨より)

 来年度の借換債が今年度に比べて約7.5兆円の増額となるのは、「リーマン・ショックが起こった2008~2009年にかけ、景気対策のための財政出動の財源として5年物国債を大量発行。その満期を13~14年度に迎える」(14日の日経新聞)ためとされる。

 建設国債と赤字国債(特例国債)には発行時の償還期限にかかわらず、すべて60年かけて償還される仕組み(60年償還ルール)があり、それに基づいて発行される国債が借換国債もしくは借換債と呼ばれている。

 実は同じようなことが過去にも起きている。国債の「2008年問題」と呼ばれていたものである。2008年問題とは小渕政権当時の1998年に銀行の不良債権処理やアジア市場の金融危機による日本経済への影響を踏まえての何でもありの景気対策のために、10年国債が大量に発行され、その10年後に借換債が大量発行されることによる問題である。

 2008年には1998年発行の10年国債が大量に償還されたのは確かであったが、それがすべて現金で償還されるわけではない。国債には前述のように60年償還ルールがあり、2008年における「10年国債」の現金償還はその六分の一だけであり、残りの分は借換債が発行される仕組みとなっている。問題とされていたのはその借換債の発行額の大きさであった。

 2008年問題において、発行が集中していた借換債については手が打たれ、財務省によるバイバックや前倒し発行などを通じて借換債の平準化に向けての作業も進み、国債市場への影響は限られた。

 今回についても平準化に向けた動きも出ると予想され、そもそも借換債に対しては、国債への信認が続き、他金融商品への乗換のインセンティブが強まるようなことがなければ、再投資されるはずのものであり、それほど懸念する必要もないと思われる。

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by nihonkokusai | 2012-09-20 09:33 | 国債 | Comments(0)

日銀は相乗効果型追加緩和を実施

 日銀は9月18・19日の金融政策決定会合において追加の金融緩和策を発表した。市場では一部に期待感はあったものの、追加緩和があるとすれば展望レポートの発表にタイミングを合わせるため10月との見方も強かっただけに、サプライズともなった。これを受けて日経平均は9200円台を回復し、さらに外為市場では円が売られ、ドル円は79円近辺、ユーロ円も103円近辺と円安が進んだ。

 今回の追加緩和決定は全員一致。資産買入等の基金を70兆円程度から80兆円程度に10兆円程度増額する。増額の対象となるのは短期国債5兆円程度、長期国債5兆円程度。資産買い入れ増額は2013年12月末を目途に完了し、このうち短期国債は2013年6月末を目途に完了する。これにより2012年12月末、2013年6月末と2013年12月末の基金の規模はそれぞれ65兆円程度、75兆円程度、80兆円程度となる。

 長期国債の買入を確実に行うため、買入における下限金利(現在、年0.1%)を撤廃する。社債の買入についても同様とする。

 9月16日の私のコラム(牛熊ブログ、若き知)で、下記のようなコメントをしていた。

「今回のECBとFRBの追加緩和により、為替の動き次第にかかわらず、日銀も何らかの手を打った方が良いのかもしれない。民主党の代表選や自民党の総裁選も控えているが、総選挙を見据えて、日本の政治は当面機能停止に陥る懸念もあり、このためECBやFRBとともに、日銀も景気回復に向けての協調姿勢見せれば、市場はそれを好感しよう。また直接関係はないものの、10月にはIMFの年次総会が日本で開催されることで、日本の政策そのものにも注目が集まろう。そのための追加緩和というわけではないが、協調性も意識すれば、9月18日~19日の金融政策決定会合は良いタイミングとなるのかもしれない。これは実質的な効果はさておき、あくまでアナウンスメント効果を意識しての話ではあるが。ただし、日銀の白川総裁は円高是正のため「劇場型金融政策」を求める声に対し「サプライズは長続きしない」として否定的な姿勢を示しており、この意味では追加緩和の可能性はそれほど高いわけではない。 」

 意外にも白川総裁が否定したはずの、劇場型金融政策に結果としてなっている(たぶん会見でこれは否定されると思うが)。個人的には今回の日銀の追加緩和は期待していたが、予想としてはそれほど高くないかもしれないと思っていたのは、この総裁の「サプライズは長続きしない」との発言も意識したものであった。しかし、結果は予想以上に思い切った追加緩和を行ってきたといえる。

 また、本日19日の私のコラム(牛熊ブログ、若き知)では、下記のようなコメントをした。

 「9月18日、19日の日銀の金融政策決定会合でもし追加緩和が実施されれば(どうやら可能性は薄いようだが)、「相乗効果型金融政策」となることが期待される。ただし、考えられる追加の緩和手段は限られる。もし基金による国債買入を5兆円程度増額するには、下限金利の撤廃をもう少し長めの年限まで適用させるなり、買入国債の対象となる年限をさらに長期化する必要も出てくる。今回は7月に行ったように固定金利オペを減額し、その分を短国の買入に切り替えるのではないかとの見方もある。これは実質的な追加緩和ではないが、追加緩和と同様の効果をもたらすとして行えば、アナウンス効果は出るかもしれない。」

 追加緩和の可能性は実はそれほど薄いものではなかったようであった。今日、安住財務相は閣議後の会見で、同日まで行われる日銀の金融政策決定会合について、米国の量的緩和第3弾(QE3)はじめ先週以来の動きも含め、日本が何をすべきか、今すべきかどうか議論があると思うとの考えを示した(ロイター)。このあたりの発言内容を見ても、どうやら政府からも相乗効果型金融政策への期待はそれなりにあったものと予想される。このあたりも意識しての追加緩和の決定であったのかもしれない。今回の日銀の追加緩和は良い意味で予想を裏切られ、期待に沿った格好での追加緩和となったと思われる。たぶん10月に単独で行うよりも、今回の方がタイミングから見ても適切ではなかったかと個人的には思っている。それにしても、いろいろな意味においてかなり思い切った追加緩和であった。

「お知らせ」
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by nihonkokusai | 2012-09-19 13:59 | 日銀 | Comments(0)

ECBは背水の陣型金融政策、FRBは後方支援的金融政策か

 日銀の白川方明総裁は8月24日の大阪市内での講演・会見において、円高是正のため「劇場型金融政策」を求める会場の声に対して、白川総裁は「普段から金融政策が理解されていればサプライズはない。驚かせるより、よく理解されるのが大事」と反論した(ロイター)。

 個人的には、金融引き締めの際には市場に事前に浸透させることが必要であり、金融緩和の際にはサプライズの方が効果的と考えるが、白川総裁が指摘したように効果が一時的であるのも確かである。しかし、それでもその際のショックを市場は覚えており、日銀の金融政策の変更の影響度をまざまざと感じさせることにもなり、その意味では効果的と考えられなくもない。それは裏を返すと金融政策への市場の依存度を高めさせる結果ともなる。

 現状型の金融政策を試した例としては、今年1月25日のFRBによる物価に対してのゴールの設定と2月14日の日銀によるバレンタイン緩和(物価の目途の設定)がそうではなかったろうか。しかし、どうやらFRBも日銀もこれについては、あまり成功例としは見ていない節がある。外部から見れば、ついにFRBも日銀もインフレターゲット政策を導入かとみられたが、どうもそのようには受け取ってほしくない感じのようである。日銀としては、結果として劇場型金融政策を試す例になったが、これが金融政策の良い事例とはならなかったのではなかろうか。

 その後のFRBやECBの動きを見ても、たしかに劇場型金融政策を行ってはいない。どちらかといえば、これまでのような「予告型の金融政策」とも言える。

 9月6日のECBによる国債買入については、ユーロ圏の危機回避のためドラギ総裁がユーロ安定のために「あらゆる手段を取る」と表明し、やれることはやるとして退路を自ら断ってしまい、「背水の陣型金融政策」を行った。

 それに対して9月13日FOMCでの決定は、デュアルマンデートのうち、金融政策には直接影響を与える術のない雇用の回復を旗印にしたものであった。米国経済の回復、ECBの国債買入とタイミングを合わせて、リスクオンの動きを加速させるといった効果も考えた上でのものであろうが、実際には大統領選挙を踏まえ、現職大統領に対する「後方支援的金融政策」とも言えた。

 大統領選挙を控えての10月に入ってからのあからさまな金融緩和は当然非難されよう。効果的なカードは限られるため、大統領選挙後、財政の崖への対応等見定めて、カードを切るのが適切と思われた。しかし、共和党のロムニー候補はFRB議長は再指名せずと発言し、ライアン副大統領候補も追加緩和策は悪い考えとの認識を示した。これに何も感じないのがおかしいと言えばおかしい。自らの進退はさておき、追加緩和も否定されてはたまらない。ここで追加緩和のカードを出して、現職大統領にとって再任のカギともなる雇用に対し少しでも働きかけたいとの気持ちがあったとしてもおかしくない。

 これに対して9月18日、19日の日銀の金融政策決定会合でもし追加緩和が実施されれば(どうやら可能性は薄いようだが)、「相乗効果型金融政策」となることが期待される。ただし、考えられる追加の緩和手段は限られる。もし基金よる国債買入を5兆円程度増額するには、下限金利の撤廃をもう少し長めの年限まで適用させるなり、買入国債の対象となる年限をさらに長期化する必要も出てくる。今回は7月に行ったように固定金利オペを減額し、その分を短国の買入に切り替えるのではないかとの見方もある。これは実質的な追加緩和ではないが、追加緩和と同様の効果をもたらすとして行えば、アナウンス効果は出るかもしれない。

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by nihonkokusai | 2012-09-19 09:26 | 中央銀行 | Comments(0)

金融政策を決める場は男性社会、ただし米国は異なる

 ロイターによると、欧州議会はルクセンブルク中銀のメルシュ総裁の欧州中央銀行(ECB)専務理事就任に向けた公聴会開催を延期したそうである。これはECB内の人事に男性への「システミックな」偏りが見られることが理由だとか。欧州議会では、ECBの運営組織が男性のみで構成されていることや、女性の候補者が検討さえされないことに懸念が示されていたそうである。

 ECBの定例理事会の議決権を持つメンバーは、ECBの役員6名(総裁、副総裁、理事4名)と域内17か国の中央銀行総裁も加えて23名。このうちECBの役員は、イタリア出身のドラギ総裁(前職はイタリア銀行総裁)、ポルトガル出身のコンスタンシオ副総裁(同ポルトガル銀行総裁)、専務理事としてベルギー出身のプラート氏(元IMFのエコノミスト)、ドイツ出身のアスムセン氏(同財務次官)、フランス出身のクーレ氏(同財務省のチーフエコノミスト)という顔ぶれ。確かに男性ばかりである。ただし、以前にはハマライネン氏(フィンランド中銀総裁)、トゥンペルグゲレル氏(オーストリア中銀副総裁)という女性理事がいた。つまり過去には女性枠があったのが、トゥンペルグゲレル氏の退任後はなくなってしまっていた。

 参考までに、ユーロ圏17か国の中央銀行総裁を確認しておくと、オーストリア国立銀行はノボトニー総裁(男性)、ベルギー国立銀行はカデン総裁(男性)、キプロス中央銀行はデメトリアデス総裁(男性)、エストニア銀行はリプストク総裁(男性)、フィンランド銀行はリーカネン総裁(男性)、フランス銀行はノワイエ総裁(男性)、ドイツ連邦銀行はバイトマン総裁、ギリシャ銀行はプロボポラス総裁(男性)、アイルランド中央銀行はホノハン総裁(男性)、イタリア銀行はビスコ総裁(男性)、ルクセンブルク中央銀行はメルシュ総裁(男性)、マルタ中央銀行はマルタ総裁(男性)、オランダ銀行はクノット総裁(男性)、ポルトガル銀行はコスタ総裁(男性)、スロバキア国立銀行はマクチ総裁(男性)、スロベニア銀行はクラニェツ(男性)、スペイン銀行はリンデ総裁(男性)とすべて男性であった。

 日銀の政策委員も女性が一人いる(これも女性枠と称される)。新制度になってからは、篠塚英子氏、須田美矢子氏、そして現在の白井さゆり委員となっている。ここにきての審議委員の選定にあたっては男女の割合などより、デフレ脱却に向けて、というより政府の意向を反映した人事かどうかだけで判断された気配がある。まあ、それでも一人いるだけでも、ECBやBOEに比べてまだましともいえる。

 イングランド銀行の金融政策委員会(MPC)は、総裁1名、副総裁2名、理事2名と、財務大臣により任命された外部委員4名の計9名で構成されている。キング総裁は大学教授、BOEのチーフエコノミスト・副総裁を経て現職。ビーン副総裁は財務省、大学教授、BOEのチーフエコノミスト・常任理事を経て現職。ダッカー副総裁はマーチャント・バンク、BOE理事を経て現職。常任理事はBOEの金融政策と金融調節担当者が選ばれ、現在はデール理事とフィッシャー理事。外部委員のブロードベント委員は財務省の経済顧問、ゴールドマン・サックスのエコノミスト。マイル委員はモルガン・スタンレーのチーフエコノミスト。ボーゼン委員はアメリカ人のエコノミスト、ウィール委員はケンブリッジ大学で経済学を教えていた。 こちらも男性ばかりである。

 ただし、FOMCのメンバーの7名の理事に関しては、女性の比率が高くなっている。バーナンキFRB議長はプリンストン大学の教授等の後FRB理事、CEA委員長などを経てFRB議長に就任。イエレン副総裁(女性)は元サンフランシスコ地区連銀総裁。デューク理事(女性)は銀行界出身、タルーロ理事は大学教授やクリントン政権時代に大統領補佐官を務めた。ラスキン理事(女性)の前職はメリーランド州金融規制局長、NY連銀でも働いていた経歴を持つ。パウエル理事はブッシュ大統領の下で財務次官を務め、スタイン理事はハーバード大学の経済学教授。

 こちらも連銀総裁についてみてみると、ボストン連銀のローゼングラム総裁(男性)、リッチモンド連銀のラッカー総裁(男性)、ミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁(男性)、ニューヨーク連銀のダドリー総裁(男性)、アトランタ連銀のロックハート総裁(男性)、カンザスシテイ連銀のジョージ総裁(女性)、フィラデルフィア連銀のプロッサー総裁(男性)、シカゴ連銀のエバンス総裁(男性)、ダラス連銀のフィッシャー総裁(男性)、クリーブランド連銀のピアナルト総裁(女性)、セントルイス連銀のバラード総裁、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁(男性)と、こちらは男性10人、女性2人となっている。

 これを見る限り、欧州では金融政策は男性の仕事と意識されているようで、米国では女性の割合が欧州に比べて高い。日本ではこれまで政策委員の9人中1人とこれは1人ぐらい入れておかないとまずいので1人いるといった感じにもとれなくもない。これを見ても日本の金融政策は米国より欧州の影響を強く受けているようにも思えるような。たしかに日銀のモデルになったのはベルギーの中央銀行ではあったが。

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by nihonkokusai | 2012-09-18 09:43 | 中央銀行 | Comments(0)

FRBの追加緩和で日銀も動くのか

 FRBは9月13日のFOMC後に発表した声明で、雇用の伸びは緩慢で、失業率は依然として高止まりしているとして追加の緩和策を発表した。まず、住宅ローンを担保にした証券であるMBSを毎月400億ドル追加購入することを表明した。

 6月に発表した通り保有証券の平均残存期間を長期化するプログラムは「今年末」まで継続し、政府機関債とMBSの元本償還資金をMBSに再投資する政策を維持することにより、長期証券保有は今年末まで毎月約850億ドル増加する。

 物価安定の下で労働市場の改善が実現できるまでMBSの購入を継続し、さらに追加の資産購入を実施するとともに、その他の政策手段を適宜活用する。つまり今回のMBSの買入はオープンエンド型となる(無期限)。

 さらに超低金利政策を据え置く時期を、2015年半ばまでとして時間軸を延長させた。これにより、およそ2年ぶりに量的緩和に踏み切るとともに、時間軸の強化を図ってきたことになる。

 今回の政策は市場ではすでにQE3と呼んでいるが、その買入は国債ではなくMBSとなった。直接的に長期金利の低下に働きかけるというよりも、住宅ローンを担保にした証券であるMBSを買い入れることで住宅市場に働きかけ、ここから雇用の拡大に影響を与えようとしたものと思われる。

 前回のFOMCでは米国債やMBSの市場機能を阻害するのではとの懸念が示されたが、連銀スタッフは機能を阻害せずに買い入れる余地はまだあるとの分析を行っていた。 しかし、いずれFRBのバランスシートを正常化させる際に詐害要因になるとの懸念も示され、数人の参加者からは中期的なインフレ期待を引き上げてしまうのではないかとの懸念も示された。

 それにもかかわらず今回、MBSの買入に踏み切ったのは、バーナンキFRB議長がジャクソンホールで雇用市場の停滞は特に深刻な懸念事項だと発言していように、雇用の回復が重視されたためとみられる。ただし、FRBが直接雇用に働きかける手段は持っておらず、そのため国債よりも直接住宅投資に働きかけやすいMBSの買入に踏み切ったものと考えられる。

 自ら追加緩和を臭わせて市場の期待を醸し出して、その期待は結果として裏切られなかったことで、これは米株式市場には好感された。しかし、12日の米国債券市場では短期債は買われたものの、30年債は売られた。米国債の買入期待もそれなりにあったものと思われる。

 米国債もしくはMBSの買入という切り札は、大統領選挙やその後の財政の崖問題もあり、切り札として温存しておくかと思われたが、バーナンキ議長は早めに手を打ってきた。それだけ中央銀行に向けられた期待感も大きかったこともあろうし、ECBによる国債買入とタイミングを合わせたことで、世界経済への回復まで意識した動きのように感じられる。早めに手を打ったのは、むしろ大統領選挙を見据えて、共和党のロムニー候補がFRB議長は再指名せずと発言し、ライアン副大統領候補も追加緩和策は悪い考えとの認識を示したことなどを意識した可能性も指摘されていた。

 今回のECBとFRBの追加緩和により、為替の動き次第にかかわらず、日銀も何らかの手を打った方が良いのかもしれない。民主党の代表選や自民党の総裁選も控えているが、総選挙を見据えて、日本の政治は当面機能停止に陥る懸念もあり、このためECBやFRBとともに、日銀も景気回復に向けての協調姿勢見せれば、市場はそれを好感しよう。また直接関係はないものの、10月にはIMFの年次総会が日本で開催されることで、日本の政策そのものにも注目が集まろう。そのための追加緩和というわけではないが、協調性も意識すれば、9月18日~19日の金融政策決定会合は良いタイミングとなるのかもしれない。これは実質的な効果はさておき、あくまでアナウンスメント効果を意識しての話ではあるが。ただし、日銀の白川総裁は円高是正のため「劇場型金融政策」を求める声に対し「サプライズは長続きしない」として否定的な姿勢を示しており、この意味では追加緩和の可能性はそれほど高いわけではない。

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by nihonkokusai | 2012-09-16 09:28 | 中央銀行 | Comments(0)

7月の海外からの日本国債への投資状況

 財務省は9月10日に7月の国際収支(速報)を発表した。これによると経常収支は前年比40.6%減の6254億円の黒字となった。貿易収支は3736億円の赤字に。赤字は2か月ぶり。また、サービス収支も3462億円の赤字。所得収支は1兆4221億円の黒字となったが、これは利払いの集中する6月末日が週末と重なり7月にずれ込んだことも影響か。

 国際収支の発表には、付表として対外・対内直接投資、対外・対内証券投資も発表されている(財務省トップページ > 国際政策 > 関連資料・データ > 国際収支状況 > 報道発表資料)。このうち、7月の対外・対内証券投資を確認してみたい。

 国内から海外の国債等への投資は、主要国・地域ソブリン債への対外証券投資で確認できる。米国債への国内からの投資は、ネットで7月は5326億円の減少となり、6月の9466億円の増加から減少に転じた。ユーロ圏の国債についてみると、7月のドイツのソブリン債への投資は4751億円の減少、フランスへは4427億円の増加、オランダへは2406億円の増加、英国は900億円の増加となっていた。

 日本の国債に対する海外からの投資を見てみると、7月はネットで9547億円の増加となり、6月の1兆6661億円の増加幅からは減少した。内訳としては中長期債が3361億円、短期債が6186億円の増加となっていた。6月は中長期債が1兆2660億円、短期債が4001億円の増加となっていた。

 7月の対内証券投資の地域別内訳をみると、日本の中長期債での購入額が大きいのが、米国の7024億円増(6月は294億円の減)、中国の1045億円(同1484億円増)。流出ではシンガポールの868億円減、香港の852億円減。

 中長期債への英国からのネットでの購入額は6月に1兆3534億円増となっていたが、7月は543億円の増加に止まった。それに対して米国が買いを入れてきた格好に。

 日本の短期債で購入が大きいのは、英国の7兆6709億円増(6月は5兆8434億円増)と突出している。これに対して流出は、フランスの1兆4339億円減(同1兆7995億円減)、ルクセンブルグの1兆6904億円減(同1兆7129億円減)、シンガポール7384億円減、中国7204億円減、国際機関6952億円減等々。

 7月の日本の国債を主体とする債券への海外からの投資は増加していたものの、7月に比べると増加幅は減少。特に中長期債の増加額が減少しており、英国の増加分が減少していたのが影響か。7月の債券相場は7月23日から25日あたりでいったんピークアウトして戻り売りに押されており、この間に中長期債には利益確定売りなどが海外からも入ったものと思われる。

 ちなみに9月10日に発表された8月の対外及び対内証券売買契約等の状況(月次・指定報告機関ベース)によると、対内証券投資については中長期債が5212億円(7月が2554億円)、短期債が1兆4412億円(7月が5771億円)のそれぞれ取得超となっており、8月に入り一時調整局面となった債券相場ではあったが、8月16日あたりを底に切り返してきたことで、海外からも押し目買いが入っていたようである。

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by nihonkokusai | 2012-09-14 09:48 | 債券市場 | Comments(0)

来年の日銀総裁人事にも影響するか、イングランド銀行総裁の公募制

 NHKの報道によると、イギリスのオズボーン財務相は11日、議会での演説の中で、来年6月で任期を終えるイングランド銀行のキング総裁の後任について、公募する方針を明らかにしたそうである。

 総裁の公募はイングランド銀行では初めてだそうだが、世界の中央銀行でも極めて異例となる。オズボーン財務相は「公正で開かれた手続きで行う」と述べ、選考過程の透明性を高めるためだと説明したとか(NHK)。

 選考にあたっては、中央銀行や同じような機関での職務経験か、民間の大手金融機関で経営トップを務めた経験を持っていることなどが条件となる見通し。イングランド銀行の理事には外国人もおり、今回の総裁人事でも外国人が要件を満たす可能性もあるようである。

 イングランド銀行総裁の人事については、副総裁含めて、首相の助言に基づいて女王が任命する形式となっている。任期は5年で再任できる。人選にあたっては財務省の影響が大きく、これまでは現役の総裁や財務次官などと検討し、財務相が首相に候補者を推薦する格好となっていた(このあたりは日銀総裁人事とも似ているか)。ちなみに現在のキング総裁は副総裁から総裁に就任している。

 実は次期総裁候補にはタッカー副総裁が最有力とされていたものの、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の不正操作問題で関与が疑われたことで流動化した。カナダ銀行のカーニー総裁を推す声もあるようだが(共同通信)、LIBORの不正操作問題もあり、公募という形式を取らざるを得なかったようにも思われる。公募は10月8日まで受け付け、年末までに決定する。

 ちなみにFRB議長は14年任期の7名の中から議長と副議長が選ばれる。議長と副議長の任期は4年。議長・副議長・理事は大統領が上院の助言と同意に基づいて任命する。その後、上院の公聴会を経て上院本会議で承認される。FRB議長は大統領に次ぐ影響力を持つと言われ、世界的にも注目される人事であり、今回も大統領選挙でのひとつの争点ともなっている。米共和党の大統領候補に内定しているロムニー氏は、自身が大統領に当選した場合、2014年1月に2期目の任期が切れるバーナンキ現議長を再指名する意思がないと言明している。  ECB総裁の人事については、欧州理事会が候補者を推薦し、欧州議会とECB政策理事会の承認後に欧州理事会が任命する形式となっている。国を跨ぐ異例の中央銀行であるだけに、その中核国であるドイツやフランスの意向が反映されやすくなるとともに、ドイツとフランスの対立がさらに人事をややっこしくさせている面もある。

 たとえば、ECBの初代総裁となったのが、オランダ銀行総裁やオランダ大蔵大臣を歴任したウィム・ドイセンベルク氏であった。本来であれば総裁の任期は8年であったが、総裁選出や本部所在地との兼ね合い等々があり、ドイセンベルク氏の任期半ばでの退任と、その後継にはフランス銀行総裁のトリシェ氏を任命することが、公然の密約として取り交わされていた。つまり、ドイツとフランスの対立などが反映され政治色が非常に強いものとなっていたのである。

 ECBのトリシェ総裁の後任には当初、ドイツ出身者が就任するであろうことが暗黙の了解のようになっており、ドイツ連邦銀行のウェーバー前総裁が最有力視されていた。しかし、そのウェーバー前総裁が、個人的な理由(ECBの国債買入に反対)で2011年4月末にドイツ連邦銀行総裁を辞任したことで、トリシェ総裁の後任にはイタリア出身のマリオ・ドラギ氏が就任する結果となった。

 そして、日銀の総裁人事は国会同意人事となっている。政府から人事案が衆参両院の議院運営委員理事会に提示され、衆参両院の議院運営委員会で総裁候補者からの所信聴取のあと、衆参両院の本会議で採決されるという仕組みになっている。しかし、福井総裁の後任人事では、両院の同意が得られず一時、日銀総裁が戦後初めての不在となるなどの事態も発生したこともあり、人事案がどのような経緯で出されているのかはやや不透明なところがある。

 来年4月8日に白川総裁は任期満了となる。再任の可能性も残るが、新日銀法に基づく制度となってから速水氏、福井氏ともに1期のみであり、白川総裁も1期のみとなる可能性も高いと思われる。年内にも解散総選挙となれば、政権がどのような形になるのかも皆目見当がつかず、来年の日銀総裁人事も前回以上に厳しい状況となる可能性がある。この際、日本でも英国同様に公募制にしてしまったほうが透明度も強まり、良いのかもしれない。今度のイングランド銀行の総裁の公募制は、来年の日銀総裁人事にもかなり参考になるのではないかと思われる。


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by nihonkokusai | 2012-09-13 09:43 | 中央銀行 | Comments(0)

中央銀行による国債の無制限買入で果たして効果は出るのか

 9月6日のECB理事会で、市場から国債を買い取る新たな対策を正式に決定した。ここでのキーワードは、対象となるイタリア、スペイン、ポルトガルなどの国債の「無制限買入」となっていた。確かに今回は目標や量をあらかじめ設定しないことが市場では注目された。

 ECBのアスムセン理事(ドイツ出身)は、ECBの新たな国債購入プログラムについて、上限を設定しなかったのはその効果を確実にするためだと説明した。ただし、ドイツ連邦銀行のバイトマン総裁の金融政策による政府財政ファイナンスと同義だとの批判に対して、「新プログラムは旧来のものよりはましだ」との発言もしている(ブルームバーグ)。

 市場では無制限介入という言葉の影響を与えながら、実際にはECBの購入には厳しい経済的条件が課され、期間も1~3年となるなど、現実にはかなりの制約もあり、その意味では前回の買入のように何ら制約条件がない買入に比べると効果がそれほど大きいものであるのかは疑問である。ただし、それでも市場はこの国債買入決定を好感し、スペインの10年債利回りが6%を下回るなどの効果がすでに出ている。市場での「無制限介入」への期待はそれだけ強かったと思われる。

 また、米国でも7日の米雇用統計を受けて、規模・期限定めないQE3を実施すべきとの、サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁が主張している。ほかにシカゴ連銀のエバンズ総裁、ボストン連銀のローゼングレン総裁も同様の主張をしている。また、アトランタ連銀のロックハート総裁も、これが選択肢に挙がっていると発言している。

 ただし、FOMC内ではQE3について、現状ではそのプログラムの有効性について疑問視している見方や、米国債やMBSの市場機能を阻害するのではとの懸念、中期的なインフレ期待を引き上げてしまうのではないかとの懸念も示されている。

 米国の雇用については不透明感も強いが、QE3を打ち出さなければならない水準かと言えば、それほど雇用が急激に悪化しているわけでもない。ここでたとえば規模・期限定めない無制限の米国債の買入をFOMCで決定したとしても、米長期金利に低下圧力、米株に上昇圧力は加わろうが、果たしてそれで雇用に影響が出るのかどうかも不透明である。インパクトは強いものの、のちのちにその副作用が出る懸念もある。

 日銀の国債買入については無制限ではない。しかし、これについてもやや不透明となってきてはいる。これまでの通常の国債買入(輪番オペ)については、日銀券ルールという制約がある。つまり、日銀の保有する国債残高を銀行券発行残高の範囲内とする運営ルールである。これに対して基金による国債買入は別枠としており、さらに買入残高を決めていることで無制限介入とはならない。ただし、この基金による国債残高を加えるとすでに日銀券残高を上回っていることも確かではあるが、とにかく歯止めがあることも確かである。

 ECBの国債の無制限買入も実際は前回ほど緩やかなものではない。FRBにとっても無制限買入まで行うにはその副作用も出ることが考えられるため、そう簡単には踏み切れないと思われる。どちらかといえば、追加緩和として基金による国債買入残高を増加させてきた日銀こそ、ある意味無制限買入に近いような格好であるが、それでも効果については限定的のように思われる。今回のECBの「無制限」という言葉はあくまで市場に向けたアナウンス効果も意識したものとみられ、それによる実質的な効果については、今後の動向で明らかになると思われる。


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by nihonkokusai | 2012-09-12 09:30 | 中央銀行 | Comments(0)

日本の財政の持続可能性(白川日銀総裁講演より)

 9月6日の白川日銀総裁の講演では、日本の「財政の持続可能性」についても触れており、今回はその部分を取り上げてみたい。

 財政の持続可能性の問題について白川総裁は、「やや長いタイムスパンで考えた場合、日本経済にとって非常に重要なテーマである」と指摘している。

 まず、国の財政バランスが長期にわたって悪化した場合、財政の持続可能性を回復す る方法は、論理的にも歴史を振り返ってみても、3つしか考えられないとしている。ここは重要ポイントである。

第1は、成長力の引き上げや歳出入の改革を行って、財政バランスを回復すること。
第2は、国債の債務不履行、デフォルト。
第3は、インフレで帳消しにする方法。

 日本のデフォルトに対してあり得ないという見方については、先日のこのコラムで触れた。第3のインフレで帳消しにする方法については、この事例も過去の歴史を振り返ればたびたび出てくる。第一次大戦後のドイツ、フランスのポアンカレの奇跡と呼ばれたもの、また日本の終戦後なども事例となると思われる。これについては、デフレ下にある今の日本でインフレなどは到底想定することすら難しく、そのような可能性はやはり皆無に等しいとみる人も多いのかもしれない。しかし、オイルショックの頃の日本人に将来デフレがやってくると言っても誰も信じてくれなかったと思う。デフレという確証バイアスが働いてしまっていると、未来のリスクも見えなくさせてしまう恐れるもある。ただし、そう簡単にインフレが起きるとは現状、考えづらいことでもあることも確かではある。

 「わが国では大幅な財政赤字が続き、政府債務残高の対GDP比率は、国際的にみてもきわめて高い水準であるにもかかわらず、国債発行は円滑に行われ、長期金利も低位で安定しているのは何故か」

 この質問に対して白川総裁は2つの答えを用意している。第1の理由は、「日本は最終的に財政再建にしっかり取り組む意思と能力を有している」と投資家が信頼している点。そして第2の理由は、「金利はこれまで安定してきたのだから、これからも安定しているだろう、と投資家が漠然と予想している」という点である。

 「厳しい財政状況が国債金利の上昇というかたちで表面化していないことのもっも本質的な理由としては、第1の理由、すなわち、財政再建に対するわが国の意思と能力に対する信認にあると考えています。」

 これについてはやや疑問を呈したい。確かにこれまでの政府は財政再建に向けた努力を行ってきた。野田政権も非常に苦労して消費増税法案を可決したが、これも根底に財政再建がある。しかし、そもそも結果があまり見えてこない。たしかに海外の金融ショックや震災などの影響も大きかったが、新規財源債の発行額の推移を見ても減少する兆しがない。歳出も形式上現状維持に抑えるのがやっとの状況にある。

 さらに消費増税だけでもかなりの大仕事となるなど、現在の政局動向をみると、財政再建に対する能力というか、やる気があるのかすらも疑問が残る。このあたり今年中にも衆院の解散総選挙が実施される可能性があり、その結果次第でさらに状況は変わりうる。

 白川総裁も次のように述べている。「ただし、意思と能力は最終的には実績で裏打ちされなければなりません。中長期的な観点から、財政健全化に向けた取り組みを着実に進めていくことについて、市場の信頼をしっかりと維持していくことはきわめて重要です。同時に、金融政策面でも、中央銀行が物価安定のもとでの持続的成長を目的として運営されているということに対する信認維持がきわめて重要であり、日本銀行は財政ファイナンスを目的とした国債買入れは行いません。」

 そして白川総裁がもうひとつ指摘していた「金利はこれまで安定してきたのだから、これからも安定しているだろう、と投資家が漠然と予想している」という点については、今後も注意が必要である。漠然とした楽観は、何かのきっかけで崩れる可能性がある。市場の信認を形成させるにはそれを得るにはかなりの努力が必要だが、失うのはあっと言う間である。市場での信認を維持させることは国債価格の安定には必要不可欠であり、このあたり、国や中央銀行にとり重要な仕事となろう。

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by nihonkokusai | 2012-09-11 09:59 | 財政 | Comments(0)

日米欧の金融政策を決める人達の男女比

 ロイターによると欧州議会は、ルクセンブルク中銀のメルシュ総裁の欧州中央銀行(ECB)専務理事就任に向けた公聴会開催を延期した。ECB内の人事に男性への「システミックな」偏りが見られることが理由だそうである。欧州議会では、ECBの運営組織が男性のみで構成されていることや、女性の候補者が検討さえされないことに懸念が示されていたそうである。

 日銀の政策委員も女性は白井委員一人だけであるが、審議委員の選定にあたっては男女の割合などより、デフレ脱却に向けて、というより政府の意向を反映した人事かどうかだけで判断された気配がある。まあ、それでも一人いるだけでも、まだましともいえる。

日銀の政策委員
http://www.boj.or.jp/about/organization/policyboard/index.htm/


 ECBの定例理事会の議決権を持つメンバーは、ECBの役員6名(総裁、副総裁、理事4名)と域内17か国の中央銀行総裁も加えて23名。このうちECBの役員は、イタリア出身のドラギ総裁(前職はイタリア銀行総裁)、ポルトガル出身のコンスタンシオ副総裁(同ポルトガル銀行総裁)、専務理事としてベルギー出身のプラート氏(元IMFのエコノミスト)、ドイツ出身のアスムセン氏(同財務次官)、フランス出身のクーレ氏(同財務省のチーフエコノミスト)という顔ぶれ。

 理事が一堂に会した写真はこちら。男性ばかりである。写真には5月末に退任したゴンサレスパラモ氏も。
http://www.ecb.int/ecb/orga/decisions/eb/html/index.en.html

 イングランド銀行の金融政策委員会(MPC)は、総裁1名、副総裁2名、理事2名と、財務大臣により任命された外部委員4名の計9名で構成されている。キング総裁は大学教授、BOEのチーフエコノミスト・副総裁を経て現職。ビーン副総裁は財務省、大学教授、BOEのチーフエコノミスト・常任理事を経て現職。ダッカー副総裁はマーチャント・バンク、BOE理事を経て現職。常任理事はBOEの金融政策と金融調節担当者が選ばれ、現在はデール理事とフィッシャー理事。外部委員のブロードベント委員は財務省の経済顧問、ゴールドマン・サックスのエコノミスト。マイル委員はモルガン・スタンレーのチーフエコノミスト。ボーゼン委員はアメリカ人のエコノミスト、ウィール委員はケンブリッジ大学で経済学を教えていた。

 こちらも一堂に会した写真はこちら。男性ばかりである。
http://www.bankofengland.co.uk/monetarypolicy/Pages/overview.aspx


 ただし、FOMCのメンバーの7名の理事に関しては、女性の比率が高くなっている。バーナンキFRB議長はプリンストン大学の教授等の後FRB理事、CEA委員長などを経てFRB議長に就任。イエレン副総裁(女性)は元サンフランシスコ地区連銀総裁。デューク理事(女性)は銀行界出身、タルーロ理事は大学教授やクリントン政権時代に大統領補佐官を務めた。ラスキン理事(女性)の前職はメリーランド州金融規制局長、NY連銀でも働いていた経歴を持つ。パウエル理事はブッシュ大統領の下で財務次官を務め、スタイン理事はハーバード大学の経済学教授。

 こちらのメンバーの写真はこちら。4対3の割合。
http://www.federalreserve.gov/aboutthefed/default.htm

 これを見る限り、欧州では金融政策は男性の仕事と意識されているようで、米国では女性の割合が高い。日本ではこれまで政策委員の9人中1人。これを見ても日本の金融政策は米国より欧州の影響を強く受けているようにも思えるような。たしかに日銀のモデルになったのはベルギーの中央銀行ではあったが。


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by nihonkokusai | 2012-09-10 16:54 | 中央銀行 | Comments(0)
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