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日本政府は戦後初の予算執行抑制を実施か

 8月29日に参議院で野田総理大臣に対する問責決議が可決されたことで、赤字国債の発行に必要な特例公債法案の今国会成立は絶望的となった。特例公債法案が審議未了のまま廃案となった場合には、政府は秋の臨時国会に再提出し、成立を目指すそうである(時事通信)。

 今年度予算のうち税収や税外収入は46.1兆円、これに建設国債5.9兆円を合わせれば、50.2兆円の財源は確保できるが(財政法第四条に基づいて発行される建設国債は予算が通れば発行できる)、歳入の4割強を占める赤字国債38.3兆円は特例公債法案が成立しなければ発行できない。

 資金のやり繰りのため財務省証券の発行をすればなんとかなるとの見方があるかもしれないが、国債発行はむやみに発行されないように法律に基づいており、確実な財源が見込まれない中での自転車操業のような財務省証券の発行は認められない。

 財務省によると公共事業などの建設国債発行対象を除いた9月末の支出見込み額は39.3兆円。これに例年の10月の平均的支出額約5兆円を加えると約45兆円に達するという。特例公債法案が成立しないとなれば、38.3兆円分の執行ができなくなる。このままでいけば10月中にほぼ財源が底をつく計算になる。もしそうなった場合には、支出を厳しく抑える必要がある。

 このため政府は特例公債法案の成立まで、「予算執行を抑制する」方針を固め、来月、全国の地方自治体に支給する地方交付税およそ4兆円の減額や、政党交付金の支給を遅らせるほか、国立大学への交付金といった、いわゆる補助金を半減する方向で、調整を進めることになった。予算の執行抑制が実施されれば、戦後初めての異例の事態となる(NHK)。ただし、生活保護など社会保障や、国債の償還・利払い費などを含む国債費は対象外となる見通しのようである。

 地方交付税交付金の16.4兆円は4月と6月、9月、11月に分割して支払われているが、9月4日とみられていた4.1兆円の支払いの一部が先送りされる公算が大きいとされる(ロイター)。

 予算執行の抑制策については、安住淳財務相がその基本的な方針を31日に示す方向で調整が進んでいるそうである。

 米連邦債務の法定上限引き上げをめぐる協議も年中行事となってしまった感があるが、日本でもねじれ国会となる中、特例公債法案の行方は今年もまた綱渡りの状態となり、ついに戦後初の予算執行抑制の実施を招く結果となってしまうようである。

 特例公債法案が廃案となり、政府があらためて秋の臨時国会に再提出し、成立を目指すといっても、成立の目途が立っているわけではない。野党も選挙を意識して特例公債法案を人質にとる可能性がある。そうなると政府機関の一時封鎖(シャットダウン)等も意識され、国債市場にも影響を及ぼす懸念がある。格付け会社なども動きを見せる懸念もある。

 特例公債法案を政争の具にするには、あまりにリスクが大きいことを認識すべきだが、どうも与野党ともに、それよりも選挙の方が重要であるようである。国債市場は盤石との過信は禁物である。市場参加者のセンチメントが変わると、相場は激変する懸念がありうる。そのあたりも政治家の方々にはしっかり認識してほしいと思うのだが。


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by nihonkokusai | 2012-08-31 09:32 | 財政 | Comments(0)

ドイツのESMの違憲判決とECBの新たな国債買入策の関係

 報道によると、ECBのドラギ総裁は、9月12日にドイツの憲法裁判所が恒久的な救済基金である欧州安定化メカニズム(ESM)の合憲性をめぐる判断を下した後に、ECBによる国債買い入れ計画の詳細を発表する見込みだと伝えられた(ブルームバーグ)。

 欧州金融安定ファシリティー(EFSF)に代わるESMはドイツで違憲性が問われたことから、7月に予定されていた本格稼働が遅れている。

 EFSFとは「European Financial Stability Facility」の略で、日本語では「欧州金融安定基金」とも呼ばれているものである。この欧州金融安定基金は、2010年5月のギリシャ危機を踏まえて、EU(欧州連合)の加盟国によって合意されたユーロ圏諸国の資金支援を目的とした基金である。ルクセンブルクに本部を置き、株式会社として登録されている。ただし、2013年6月までという期限が設けられ、その後は恒久的な危機対応の機関として、2013年に欧州版のIMFともいえるESM(欧州安定メカニズム、European Stability Mechanism)がEFSFの業務を引き継ぐ予定となっていた。

 ESMの発足には出資比率で9割の国の批准が必要となり、6月29日にドイツ連邦議会はEFSFの機能拡充案を賛成523票、反対85票で可決した。ところが、野党議員や学識経験者などが、他国を救うために税金を投入する権限は議会に与えられていないとして提訴した。ESMについて国内法に反するとして訴訟を起こしたのである。このため大統領の署名は見送られ、憲法裁判所が合憲か否か審議する事態となり、その発表は9月12日に持ち越されたのである。

 ただし、ユーロ危機が渦巻く中にあり、その影響の大きさから見て、違憲判決が下される可能性は低いとされる。しかし、ECBによる国債買い入れについては、この判決を確認したのちに正式に発表されるとみられる。

 これは前回のECBによる流通市場における国債買入(証券市場プログラム、SMP)と異なり、今回のECBによる新たな国債買入計画には明確な条件が付けられているためである。国債買入の対象となる国は、まずユーロ圏諸国に対しEFSF・ESMによる支援を要請し、その支援を受けるための財政再建等に取り組む必要がある。つまりECBによる国債買入を実施するには、対象となる国がEFSF・ESMによる支援を受けることが前提となる。

 このため9月6日のECB政策理事会では、国債買い入れ計画の詳細までは明らかにされないのではなかろうか。ESMが仮にドイツで違憲となれば、最大の出資国であるドイツによる出資が不透明となりかねず、このためECBは判決を確認した上で、もちろん合憲判決が前提だが、新たな国債買入策の詳細を発表するものと思われる。

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by nihonkokusai | 2012-08-30 09:16 | 中央銀行 | Comments(0)

ドラギ総裁はジャクソンホールに急遽欠席、その理由とは

 8月31日に米国ワイオミング州ジャクソンホールで開催されるカンザスシティ連銀主催のシンポジウムが市場参加者にとり大きな注目材料となっている。まず、注目されているのがバーナンキFRB議長の講演内容である。これは2010年の同シンポジウムの講演で、バーナンキ議長がQE2を示唆したため、今回も何らかの追加緩和を示唆するのではないかとの期待があるためである。

 実際に7月31日・8月1日に開催されたFOMCの議事要旨では、経済が大幅に改善しないかぎり、かなり早期に追加緩和を行うとの姿勢が示された。また、バーナンキFRB議長が8月22日付で下院委員会に出した書簡で、追加措置をとる余地があるとの姿勢を示していたようであり、9月12日から13日にかけて開催されるFOMCでの追加緩和期待は強まっており、可能性はさておき、QE3を期待する声もある。

 過去の歴史を見ても、ジャクソンホールで開催されるカンザスシティ連銀主催のシンポジウムでは興味深い出来事が多かったため、市場関係者からの注目度が高い。このシンポジウムは、ある程度マスコミ等から遮断されての意見交換の場もあるとみられている。これには著名学者などとともに、日銀の白川総裁など各国の中央銀行首脳が多数出席することで、金融関係者によるダボス会議のようなものになっているためである。

 なぜこのようなシンポジウムが、ワイオミング州ジャクソンホールという小さな町で行なわれるかといえば、FRB議長だったポール・ボルカー氏がフライ・フィッシングの趣味があり、この街を良く訪れていたお気に入りの場所であったからという説がある。

 ロシア危機とヘッジファンド危機に見舞われた1998年に、当時のグリーンスパンFRB議長がこのカンザスシティ連銀主催のシンポジウムの合間に FRB理事や地区連銀総裁とひそかに接触し、その後の利下げの流れをつくったと言われた。また、1999年には日銀の山口副総裁(当時)と、バーナンキ・プリンストン大学教授(現FRB議長)が、日本のバブルに対する日銀の金融政策の評価をめぐり、論争を行ったことでも知られる。

 今回は、FRBが次の一手として行う緩和の内容も気になるところではあるが、それとともにドラギECB総裁の言動も注目されていた。

 ドイツ週刊誌シュピーゲル(電子版)は8月19日に、欧州中央銀行(ECB)がスペインなど債務危機に陥ったユーロ圏諸国の国債利回りに目標水準を設定し、この水準を下回るまで流通市場で国債を買い上げることを検討していると報じた。さらにイギリスのデーリー・テレグラフ紙もこのシュピーゲル誌の記事の内容を確認することができると報じている。

 その後もECBが債券買い入れ計画で、利回り幅の目標設定を検討しているとあらためて報じられるなど、どうやら実際に検討していることは確かなようである。ただし、ここで問題となるのは、国債買入に反対しているドイツ連銀総裁の動向ともなる。ECBの政策理事会が9月6日に迫っているだけに、ジャクソンホール内での関係者達の動向にもかなり関心が高まっていた。

 ドラギ総裁は9月1日に講演をする予定であり、さすがにドラギ総裁は具体的な国債買入等の示唆はないと思われるが、その講演内容は良く吟味して9月6日のECBの動向を確認したいという投資家も多かったのではなかろうか。

 ところが、そのドラギ総裁は直前になってシンポジウムへの参加を取りやめたと発表された。その理由として、向こう数日に多忙を極めると予想されるためとECB報道官は語っていた。確かにドラギ総裁は9月3日に欧州議会の経済金融委員会で銀行同盟について証言する予定だそうで、9月6日には定例理事会も控えている。しかし、今回のジャクソンホールで開催されるシンポジウムやECB定例理事会の日程はかなり以前から決められていたものであり、9月1日にはドラギ総裁のパネルディスカッションの出席も予定されているなど、ある程度スケジュールは詰められていたはずなのに、今回の直前の欠席はやや不可解であり、何かしら別の理由があったとみられる。

 9月6日のECB政策理事会や9月12日・13日のFOMCを前にして、日銀を含め他の中央銀行も、その動向を探ろうしていたと思われる。今回のジャクソンホールはこの情報収集のための絶好の場とも言える。ECBとFRBが追加緩和を実施し、それにより円高圧力が強まるような事態となった際には、9月18日・19日の金融政策決定会合で日銀も動かざるを得なくなる。しかし、どうやらECBの動向については、探りが入れられない状況となってしまうようである。

 ちなみに、2010年8月27日にバーナンキFRB議長はQE2を示唆するカンザスシティ連銀主催のジャクソンホールでの講演を行った際、このシンポジウムに出席のため米国出張中であった白川総裁は予定を1日に早めて急遽帰国し、8月30日の9時から臨時の金融政策決定会合を開催し、新型オペの拡充策を決定した。すでに外為市場ではQE2を期待して円高圧力が強まっていたが、民主党の代表選に小沢氏が出馬を決定したことで、当時の菅総理が円高と景気への対策をアピールする必要もあり、日銀も急遽動かざるを得なかったものとみられる。

 今回はドラギ総裁が、2010年のジャクソンホールでの白川総裁のように仲間の集まる集会にのんびりと出席できる状況ではなくなってしまったようである。これはつまり現在、ECBが検討しているとされる短期国債主体としたスペインやイタリアの国債を買い上げるための非公表の利回りターゲット設定が完全に詰められていない可能性がある。特にブンデスバンクのバイトマン総裁が国債買入再開に反対の姿勢を示しており、最終的な落としどころをいまだ探っている可能性がある。 さらにドイツの憲法裁判所が欧州安定化メカニズム(ESM)の合憲性をめぐる判断を9月12日に行うことなども影響している可能性がある。

 今回のジャクソンホールでのシンポジウムにはドラギ総裁とともにECBの理事は出席しないそうであるが、バイトマン総裁は出席するそうである。こうなるとシンポジウムにおけるバイトマン総裁の言動にも注目が集まりそうである。

 毎年のジャクソンホールでは何かが起こりうる。今年はバーナンキ議長の発言内容に注目が集まっているが、個人的にはECBの動向に関心がある。しかし、肝心のドラギ総裁は参加しない。これは何かと注目が集まり過ぎているシンポジウムで、まだ固まり切れていない次の手について、自らのコメント等により市場に期待感や失望感を生むことを避けるためではないかとも思われるのである。


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by nihonkokusai | 2012-08-29 09:49 | 中央銀行 | Comments(0)

スウェーデンの財政再建のきっかけとは

 スウェーデンでは、1980年代に入り段階的に進められてきた金融自由化や通貨安を背景に、株価や不動産価格が急騰し、1980年代後半にいわゆる「バブル」が発生した。しかし、世界経済の減速などからバブルは崩壊し、スウェーデン経済はリセッション入りした。主要金融機関の経営が危機に陥るなど大恐慌以来最悪の経済金融危機を迎えた。

 これに対し、スウェーデン政府は1992年9月に「スウェーデンの銀行免許を持つ全銀行の債務を政府が保障する」旨の発表を行い、12月には「金融システム強化策」が議会で承認された。1993年5月に金融機関支援委員会(BSA)が設立され、BSAは経営の悪化した銀行に対する出資を行ったほか、特別債権回収銀行(バッドバンク)を設立して銀行の不良債権を分離移管し、優良資産の部分を銀行に残して(グッドバンク)存続させるといった施策を行った。

 この際に金融機関に公的資金を投入する際に保有株式の引き渡しを株主に求めた。税金による公的資金を回収するためには、政府が金融会社の株主になる必要があったためである。その後、グッドバンクはリストラ策などにより業績が回復し、政府は保有株の一部を売却して国有化の際に投入した資金を回収した。 バッドバンクでは政府は専門家の助言を得て再生可能な事業は多様な手法で再建し、再建不能な事業は不動産や株式に転換するなど、多様な手法を用いて付加価値を高めて売却した。

 こうしてスウェーデンの金融危機はほぼ2年で収束した。政府による迅速な対応に加え、支援に対して銀行側から各種データを提出させ金融機関の中身を詳細に調査した上で対応を決定するなど透明性も強め、国民の理解を得られたことが危機を早期に克服できた要因とされた。

 このように、日本とほぼ同じ時期に金融バブルが起こって崩壊したスウェーデンでは、GDPの4%以上の公的資金を投入して銀行の資産の22%を国有化し、抜本的な再構築を行なった。その結果、1994年にはマイナス成長から回復し、それに加えて財政再建によって1998年に財政黒字に転じたのである。その財政再建のきっかけになったのが、ある保険会社の行動であったと言われる。

 スウェーデンでは財政収支は、1993年にGDP比11.9%の赤字、債務残高は1994年にGDP比77.9%にものぼっていた。1994年7月に国内最大の生命保険会社であるスカンディアが、「信頼できる財政再建計画ができるまで、国債の購入を停止する」と表明し、これにより長期金利が7.0%近辺から11%台に急上昇し、スウェーデン国債はデフォルトの危機に陥ったのである。

 これをきっかけに、スウェーデンにおける財政再建の必要性が喫緊の課題として国民に浸透したことで、政府は増税と社会保険料の引上げ等の財政構造改革を行い、危機を脱出できた。

 スウェーデン政府はまず財政支出を大幅に削減した。そして、すでに高額であった税金をさらに上げている。付加価値税をさらに上げ、高額所得者に対する所得税税率も上げた。これには政権を担っていた中道右派連立政権のみならず、野党であった社会民主党も建設的な協力を行ったことで、迅速な財政再建が進められた。

 ただし財政危機の最中にあり予算が大幅にカットされたにもかかわらず、教育、環境技術、IT技術などの分野は重点項目として余りカットしなかった。これにより同様の改革を行ったフィンランドとともに、その後、環境やIT分野で頭角を表すようになったのである。


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by nihonkokusai | 2012-08-28 09:16 | 財政 | Comments(0)

ドイツの国債利回りを確認する前に、ドイツの国債制度を確認しよう

 ドイツは7月18日に発行した新発2年債(クーポンをゼロ%)の平均落札価格が100.106と100を上回ったことにより、平均落札利回りがマイナス0.06%となった。流通市場ですでに2年債はマイナスとなっていたが、発行時の利回りでマイナスとなったのは初めてである。

 ドイツの国債の入札結果については、下記のサイトで確認できる。
http://www.deutsche-finanzagentur.de/en/institutional/primary-market/auctions-results/

 ドイツの2年債(Schatz)は、2012年に入りクーポンは0.25%が続いていたが、5月23日の入札からはゼロ%に引き下げられている。7月18日の入札では平均落札利回りがマイナスとなったが、8月22日の入札では平均落札価格が99.994となり、その結果平均落札利回りはゼロ%と、マイナスは免れていた。

 今回はこのドイツの国債入札を確認するにあたり、ドイツの国債制度そのものがどのようになっているのかを、あらためて確認してみたい。

 ドイツにおける国債の発行根拠法は、連邦基本法及び予算基本法である。連邦予算における信用調達(国債、借入金)については連邦法で限度額の授権が必要となり、信用調達の額は、連邦予算の投資的支出の額を超えてはならないこと、が定められている。

  連邦政府は、上記限度額の範囲内で、国債の種類・年限等を自由に選択することができる。1993年から四半期毎の入札・発行予定を、また、1999年分から年間の入札・発行予定を公表している。

 連邦大蔵省、連邦銀行及び連邦債務管理庁の3機関に分散していた国債管理事務はドイツ国債会社(German Finance Agency:GFA)に統合された。これにより国債の入札や管理の仕事はドイツ国債会社に移され、国債の入札スケジュールや国債発行計画などはドイツ国債会社から発表される。

 ドイツ国債の入札に参加できるのは一定の落札シェアという条件を満たし、入札への参加を希望する金融機関等でオークション・グループと呼ばれている。1990年に、それまでの全額引受シンジケート団による発行からシ団と入札の併用となり、1998 年からは全額入札による発行となっている。

  ただし、ドイツでは入札予定に届かなかった金額分の国債は、いったん政府が保有し、それを7つある証券取引所で売却する場合にはドイツ連銀が、そして電子取引プラットフォームで売却する際にはドイツ国債会社(German Finance Agency)が行う格好となる。したがって流通市場で売却したのち国庫にお金が入る仕組みとなっているそうである。

 ドイツの国債の種類には短期国債、中期国債、長期国債がある。このうちの短期国債としては1996年から短期割引国債(BuBills)の6か月物が定期発行されている。また、2009年から1年物、そして3か月物、9か月物を新規発行している。

 中期国債としては期間2年物(Schatz)と5年物(Bobl)が発行されている。そして、長期国債はブンズ(Bund)とも呼ばれ、発行量も多くドイツ国債の中心的や役割を担っている。また、5年物と10年物の物価連動国債も発行されている。


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by nihonkokusai | 2012-08-27 10:48 | 国債 | Comments(0)

QE3という最終兵器は温存したほうが賢明か

 「宇宙戦艦ヤマト2199」というタイトルのアニメがある。我々の年代にとって「宇宙戦艦ヤマト」というアニメは強烈なインパクトを残している。次々と続編が生まれ、実写版が映画化されるなどしたが、あまり評判は良くなかった。しかし、今回の「宇宙戦艦ヤマト2199」については昔からのファンもそれなりに満足したものとなっているようである。元になっている「宇宙戦艦ヤマト」に忠実に、さらに現在のアニメの技術等も生かして、リアリティのある内容となっている。

 「宇宙戦艦ヤマト2199」の最新作では冥王星にあるガミラス基地を破壊し、いよいよ太陽系を脱するところまで描かれている。その冥王星のガミラス基地を攻撃する際、ヤマトの最大の武器である波動砲を打つかどうかでもめるシーンがあった。結局、波動砲は使わずに通常兵器で攻撃することになるが、波動砲はあまりに攻撃力が強く、冥王星そのものを破壊しかねないためというのが理由であった。

 米FRBは追加緩和策として、「a new large-scale asset purchase program」(新たな大規模資産購入プログラム)という名の最終兵器を用意している。これを市場ではQE3と呼んでいる。

 果たしてこの武器が市場に向けて使われるかどうかが、ひとつの焦点となっている。7月31日から8月1日にかけて開催されたFOMCの議事要旨をみると、現場スタッフは使用は可能との認識を示してはいたが、決定するメンバー達からはそれによる弊害を意識した発言が出ていた。

 現在の日欧米の中央銀行は、短期金利がゼロ水準となっているため、すでに通常兵器では市場に対する有効な手段を持ち得ていない。このため、非通常兵器が用いられることになったが、そこには数々の弊害もある。特に気にすべきは日銀が量的緩和を行った際に問題となった市場機能の低下である。

 QE3は市場にとり、破壊力のある兵器となりうるが、それによって債券市場での価格発見機能の喪失等が懸念される。連銀という大きな買い手の存在に市場が依存してしまいかねず、市場機能そのものを破壊しかねない。

 それ以前に、本当に市場に大きな影響を及ぼせるのかという問題もある。すでに市場では2回のQEを経験している。3度目ではさほどインパクトがなくなる可能性もある。

 そもそも米国の長期金利は一時よりも上昇したとはいえ歴史的低水準にいることで、ここからの金利低下を促すといっても限界はあろう。また、それにより影響を及ぼそうとしている住宅市場そのものも回復基調にある。

 さらにまたQE3が使いづらい要因がほかにもある。米大統領選挙と財政の崖の問題である。米大統領選挙中はよほどのことがない限り、金融政策は変更しづらい。このため、予防的な意味で9月6日のFOMCで何らかの追加緩和策を決定してくるかもしれないが、そこでQE3は使いづらい。

 その理由のひとつが、米大統領選候補となるロムニー前マサチューセッツ州知事による発言である。ロムニー氏は、FRBはQE3の実施を回避すべきだとテレビで語っていた。QE1はプラスの効果があったかもしれないが、新たな量的緩和は米経済の役に立たないだろうとの認識を示したのである。ここで無理にQE3を使い、共和党とFRBの対立を深めさせる必要もないはずである。

 さらに財政の崖の問題もある。これについては、さすがに米経済を大きく悪化させるようなことは避けられると期待したいが、何が起きるかは予測できない面もある。例え実質的な効果は少なくても、市場での期待度が高いということは、心理的なインパクトはそれなりにあるとみられるQE3は、もしものときの切り札として温存しておいた方が賢明ではないかと思われるのである。


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by nihonkokusai | 2012-08-25 10:39 | 中央銀行 | Comments(1)

FOMC議事要旨に見るQE3の可能性

 8月22日に公表された7月31日から8月1日にかけて開催された、連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨から、特にQE3の可能性について探ってみたい。

 ちなみに「minutes」は議事録と訳されることが多いが、FOMCの約3週間後に発表されるものは日銀が会合の約1か月後に発表する議事要旨に内容が近い。日銀は10年後に精細な内容が記された議事録を発表するが、米国も議事中のジョークまでも含めた議事録(Transcript)を5年後に公表しているため、ここでは日銀に合わせる格好で議事録ではなく「議事要旨」としたい。

 そしてQE3という表現についてだが、市場ではFRBによる大規模資産購入を量的緩和(Quantitative Easing)として、その頭文字をとってQEと呼んでいる。しかし、バーナンキ議長などは自らの政策を「量的緩和(QE)」とは呼んでいない。今回の議事要旨内でも、QE3という用語を見つけようとしても出ていない。それに該当するのは「a new large-scale asset purchase program」、つまり「新たな大規模資産購入プログラム」である。

 この大規模資産購入プログラムについては、多くの参加者(投票権を持つメンバー以外の参加者含む)が、長期金利に低下圧力を加え、金融環境を緩和する効果を持つことで、景気回復へのサポートになることは明らかであるとした。

 加えて、何人かの参加者からは新たなプログラムが、企業や家計の信頼を得ることで、デュアル・マンデート達成に向けの委員会の姿勢が強化される効果もあるとの指摘もあった。

 しかし、他の参加者からは、現状ではそのプログラムの有効性について疑問視しており、さらに、経済活動への影響は一時的なものかもしれないと指摘する参加者もいた。

 さらに何人かの参加者から、米国債やMBSの市場機能を阻害するのではとの懸念が示されたが、連銀スタッフは機能を阻害せずに買い入れる余地はまだあるとの分析を行っていたようである。

 しかし、いずれFRBのバランスシートを正常化させる際に詐害要因になるとの懸念も示され、数人の参加者からは中期的なインフレ期待を引き上げてしまうのではないかとの懸念も示された。

 今回の議事要旨では、経済が大幅に改善しないかぎり、かなり早期に追加緩和を行うとの姿勢が示されたと受け止められた。しかし8月1日の声明文で、「必要な時に適切な追加の緩和策を行う」として、前回の「さらなる措置を適切な時に行う用意がある」との表現からやや踏み込んだ格好となっていた。このため、9月12日から13日にかけて開催されるFOMCでの追加緩和期待は、すでに出ていたが、それをあらためて今回の議事要旨で裏付ける格好となった。ただし、問題はその手段である。

 以前、議会証言でバーナンキ議長が示唆した追加緩和として、米国債やモーゲージ担保証券(MBS)などの追加債券買い入れ、つまりQE3。そして、連銀窓口貸出や超過準備金利引き下げ。さらに超低金利政策の継続期間についていつまで続けるかの予想期間の先延ばしなど時間軸の強化を指摘していた。

 このうち市場ではQE3を最も期待していると思われる。また、連銀スタッフもゴーサインを出しているかのように思われる。しかし、今回の議事要旨の内容をみると、FOMCの参加者の間からはその効果に疑問を呈し、さらにはそれによる弊害も意識した発言が出ていた。この参加者の発言内容を見る限り、かなり米経済もしくは金融システムに危機的な状況にでも陥らない限りは、QE3の可能性はさほど高くはないのではないかとも考えられる。

 今回は、経済が大幅に改善しない限り、という条件がついたが、会合後に発表された米雇用統計などでは改善が示されていることで、少なくともQE3の可能性はさほど高くはないのではなかろうか。加えて、年末に向けては財政の崖への懸念もあり、これに備えてむしろQE3という切り札は温存しておく可能性が高いと思われる。

 ただし、米大統領選挙も意識すると今回手を打たなければ、年末まで動きづらくなる。このため、QE3ではなく他の手段、特に「時間軸の強化」あたりが実施される可能性がありそうである。


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by nihonkokusai | 2012-08-24 09:30 | 中央銀行 | Comments(0)

ブンデスバンクがECBの国債買入に反対する理由

 ECBのトリシェ前総裁の後任には当初、ドイツ出身者が就任するであろうことが暗黙の了解のようになっており、ドイツ連邦銀行(ブンデスバンク)のウェーバー総裁(当時)が最有力視されていた。しかし、そのウェーバー総裁は、「個人的な理由」で2011年4月末にドイツ連銀総裁を辞任した。

 ウェーバー総裁は、ECB理事会において、インフレを加速し中央銀行の政治的独立性を損なうとして加盟国の国債買い入れに強硬に反対しており、それがドイツ連銀総裁を辞任し、つまりは次期ECB総裁候補から降りた要因となった。

 ドイツ連銀でウェーバー総裁のあとを継いだバイトマン総裁も、メルケル首相の経済顧問を退いて以降は、国債買い入れに強く反対するようになった。

 また、2011年9月には、ユルゲン・シュタルクECB専任理事が「個人的な事情」を理由に辞意を表明した。辞意の理由についてはユーロ圏諸国の国債買い入れに反対したものではないかとの観測が流れた。

 シュタルク氏はドイツの財務次官やドイツ連銀副総裁を経て、2006年6月からECB理事に就任した。ECBが2011年8月に国債買い入れを再開した際に、バイトマン総裁やシュタルク専務理事ら4人が、債券買い入れに反対したとも伝わった。

 シュタルク専任理事の辞意を受けて、ドイツ政府は後任にヨルグ・アスムセン財務次官を指名した。アスムセン氏は、ウェーバー前ドイツ連銀総裁の教え子だそうである。

 今年8月2日のECB政策理事会後のドラギ総裁の会見で、イタリアやスペイン国債の買い入れの準備を進めていることは表明したが、国債の買い支えの時期等や新たな政策の詳しい内容は明らかにされなかった。さらにドラギ総裁は、ドイツ連銀のバイトマン総裁一人が国債買入に反対したことを明らかにしている。

 そもそも何故これほどまでに、ドイツ連銀がECBによる国債買入に反対するのか。それは言うまでもなく、ライヒスバンク(ドイツ帝国銀行)の亡霊がつきまとっているためであろう。

 第一次世界大戦の敗戦により、ドイツは天文学的な賠償金を背負わされ、財政支出の切り札になったのが、国債を大量発行しライヒスバンクに買い取らせるという手法であった。その結果、ドイツはハイパーインフレに見舞われ、ライヒスバンクの後継者であるブンデスバンク(連邦銀行)は、インフレに対して極度に神経質となり、その要因となった中央銀行による国債買入に対して警戒感というか嫌悪感を強めたのは、この歴史が背景にある。

 7月26日にECBのドラギ総裁はロンドンでの講演で、(ソブリン債の)高利回りの問題はECBの責務の範囲内にあるとし、ECBは責務の範囲内で、ユーロ存続のために必要ないかなる措置をも取る用意があると表明した。またドラギ総裁は、数週間以内に、これまで行ってこなかった非伝統的な金融政策の追加の枠組みを準備するとの発言もあった。

 ドイツ週刊誌シュピーゲル(電子版)は19日、欧州中央銀行(ECB)がスペインなど債務危機に陥ったユーロ圏諸国の国債利回りに目標水準を設定し、この水準を下回るまで流通市場で国債を買い上げることを検討していると報じた。さらにイギリスのデーリー・テレグラフ紙もこのシュピーゲル誌の記事の内容を確認することができると報じている。

 これに対しECB報道官は、未決定の計画やまだ理事会で協議されていない特定の見解について報道することは誤解を招く恐れがあると発言した。これは、当然の発言である。さらにドイツ財務省の報道官も、そうした計画は認識していない、聞いたこともないと発言したそうである。

 ただし、火のないところに煙は立たぬ。今回のシュピーゲルやデーリー・テレグラフの報道は意図的なリークではなかったかとの観測すら出ていた。ドラギ総裁のこれまでの発言内容からは、9月6日の政策理事会でECBが利回りスプレッド目標を設定して国債を買い上げるという手段をとってくる可能性はまだ完全に否定もできない。

 しかし、単純な国債買入に対してもドイツ連銀は反対の意向を示し、過去にはドイツ連銀総裁や専任理事の辞任まで招いている。今回、もし報じられたような方式での国債買入が検討されるようなことになれば、ドイツ連銀は国債買入に対してはさらに強行に反対姿勢を示すことが考えられる。これにより再びECB内に大きな亀裂が生じる懸念がある。

 それでもイタリア出身のマリオ・ドラギ総裁は強行突破をはかってくるのかもしれない。その際には、ドイツ出身のアスムセン理事の対応も気になるが、アスムセン理事はインタビューで、ドイツ連銀がECBの国債購入への反対で孤立しているとの観測を否定していた。

 ECBはブンデスバンクの影響を強く受けていると言われていたが、その影響下からむしろ脱しようとしているかに思える。ブンデスバンクが神経質すぎるのか、それともドラギ総裁一派が足下の危機回避を優先するあまり、国債買入の弊害を甘く見過ぎているのか。その結果が出るのはまだ先のことである。

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by nihonkokusai | 2012-08-23 09:33 | 中央銀行 | Comments(0)

7月に10年債利回りが0.720%に低下した際の買い手とは

 8月20日に日本証券業協会は7月の公社債投資家別売買高を発表した。これによると、都銀は2922億円、地銀は1兆4033億円、生保は1兆223億円の買い越しとなっていた。都銀は6月は2兆2899億円の買い越しとなっており、都銀の買越額は減少した半面、地銀の買い越し額が1兆円を越えていた。

 国債投資家別売買高をみると、都銀は超長期を1443億円買い越し、地銀は長期債を1兆250億円買い越していた。また、生保は超長期債を7601億円の買い越しとなっていた。

 そのほかの投資家を見ると、信託銀行が4033億円、農林系金融機関が3830億円、第二地銀が2469億円、信用金庫が3562億円など金融機関が総出で買い越していた。信託と農林系は超長期主体、第二地銀と信金は長期債主体の買い越しとなっていた。

 海外投資家も5757億円の買い越しとなっていたが、こちらは長期債が3620億円、中期債が2087億円となっていた。

 7月の債券先物のチャートを見ると、月初から右肩上がりの相場上昇となっていた。7月23日から25日にかけてつけた144円64銭が今回の上昇相場における高値となった。10年債でみると7月23日から26日にかけて0.720%まで連日買われていたが、やはりこの0.720%で利回りは反転した。

 この7月の債券相場の上昇は、欧州の信用不安が燻り続け、欧州の景気悪化懸念もあり、世界経済への影響も危惧され、ドイツや英国、米国を中心に一部の国債利回りが歴史的水準にまで低下したことが大きく影響した。つまり、リスクオフの動きの強まりが背景にあった。それらを材料に金融機関を中心とした国内投資家が積極的に超長期債や長期債を買い進めていたことが、今回の7月の公社債投資家別売買高からも明らかとなった。

 その後、債券相場は下落基調となった。これは米債などが調整局面入りし、いわゆるリスクオンの動きに転じたことによる影響も大きかった。それとともに、国内要因として8月に入り、消費増税の行方が不透明になったこと、さらに8月7日の債券先物のシステム障害も加わり、国内投資家も利食い売りやポジションの調整を急いだ可能性がある。このあたり9月20日に発表される8月の公社債投資家別売買高で確認してみたいところである。

 ちなみに7月の短期債の売買高をみると、外国人が14兆1707億円もの買い越しとなり、6月の11兆4585億円、5月の11兆6562億円を越える規模の買い越しが続いていた。外国人は昨年10月以降、10兆円を超える短期債の買い越しを継続させている。

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by nihonkokusai | 2012-08-22 09:30 | 債券市場 | Comments(0)

ECBによる一定利回りでの国債買い支えは劇薬

 ドイツ週刊誌シュピーゲル(電子版)は19日、欧州中央銀行(ECB)がスペインなど債務危機に陥ったユーロ圏諸国の国債利回りに目標水準を設定し、この水準を下回るまで流通市場で国債を買い上げることを検討していると報じた(時事通信)。

 8月2日のECB政策理事会で、主要政策金利であるリファイナンス金利を0.75%に据え置いたが、記者会見でドラギ総裁は、利下げの可能性について討議したことも明らかにし、数週間以内に、非伝統的な金融政策の追加の枠組みを準備するとも発言、そしてイタリアやスペイン国債の買い入れの準備を進めていることも表明した。

 7月26日にECBのドラギ総裁はロンドンでの講演で、(ソブリン債の)高利回りの問題はECBの責務の範囲内にあるとし、ECBは責務の範囲内で、ユーロ存続のために必要な、いかなる措置をも取る用意があると表明していた。

 戦後、日米欧の中央銀行が自国の国債の利回りに上限を設け、それを越えてきた際に買入を行い利回り低下をはかるといった措置が講じられたケースはたぶんないはずである。

 シュピーゲル誌によると、今回ECB内で検討されているのは、各国の国債利回りとドイツ国債利回りスプレッドに目標を設定し、このスプレッドが目標に収まるようECBは随時、国債を買い上げるそうである。

 2011年11月にスイス中銀は、スイスフラン高を抑制するため、スイスフランの対ユーロレートの下限を1ユーロ1.20スイスフランに設定すると発表し、この水準を守るために無制限に外貨を購入する、つまりスイスフランを売る用意があると表明した。今回のECBが行うかもしれない政策は、このスイス中銀が行ったものの国債版となり、まさに国債市場への介入となる。

 これに対しECB報道官は、未決定の計画やまだ理事会で協議されていない特定の見解について報道することは誤解を招く恐れがあると発言し、この報道内容については否定した。さらにドイツ財務省の報道官も、そうした計画は認識していない、聞いたこともないと発言したそうである。

 たしかに中央銀行による国債市場への介入となれば、様々な弊害も生じよう。そもそも国債市場がそのターゲットを意識した動きとなってしまいかねず、正常な利回り水準を探る動きを阻害する可能性がある。ある意味、投機筋の動きを牽制する機能もあろうが、むしろ為替介入の際などの時のようにヘッジファンドなど投機筋の仕掛けの標的にされる可能性もある。1992年にジョージ・ソロス氏の標的にされたイングランド銀行の二の舞になりかねない。

 さらに中央銀行は無尽蔵に紙幣を発行できるため、国債の介入も可能との見方も非常にリスクがある。そもそもドイツ連銀(ブンデスバンク)がタカ派的なイメージを強めたのは、中銀の国債引受により、第一次大戦後にハイパーインフレを招いてしまった歴史の教訓による。

 8月2日にドラギECB総裁は会見で、ドイツ連銀のバイトマン総裁一人が国債買入に反対したことを明らかにしている。ECBが採決の内容を外部に公表するのは日銀やFRB、ECBなどと異なり、極めて異例であった。また、ドイツ連銀は最新の月報でもユーロ圏ソブリン債の買い入れには引き続き批判的だとの見方を示した

 8月2日の政策理事会で反対したのはバイトマン総裁だけで、過去に同様なことがあった際にドイツ連銀に組みしたルクセンブルグやオランダの中銀総裁、さらにドイツ出身のアスムセン理事(ドイツの前財務次官)もドイツ連銀側には付かなかった。ただし、アスムセン理事はその後のインタビューで、ドイツ連銀がECBの国債購入への反対で孤立しているとの観測を否定している。

 9月6日のECB政策理事会では、ドイツ連銀の反対を押し切って、して何らかのかたちでの国債買入を決定するものと予想される。ただし、今回報じられたような国債利回りスプレッドに目標を設定するようなことになると、ECBは無制限にリスクが高い国債が資産に積み上がり、状況次第ではインフレ圧力を強めさせかねない。ECBの信認への懸念が出れば、ユーロそのものが売られ欧州危機をさらに深刻化させかねない。これはかなりリスクの伴う手段であり、ここまで踏み込む必要はないであろう。

 もちろんあまり中途半端な政策では、投機筋の動きが牽制できないとの意識もあろうが、劇薬を使うならばその副作用も意識しなくてはいけない。ちなみに、スペインのデギンドス経済相は、スペインの借り換えコストを圧縮し、ユーロ圏の今後に関する懸念を払しょくするため、ECBが効果的で無制限の国債買い入れに踏み切るべきと発言していたようである(ロイター)。

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by nihonkokusai | 2012-08-21 10:09 | 中央銀行 | Comments(0)
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