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ギリシャのユーロ離脱回避は欧州危機の転換点になるか

 6月17日のギリシャの再選挙では、救済受け入れと緊縮措置に前向きな新民主主義党(ND)と全ギリシャ社会主義運動(PASOK)が合わせて過半数を制したようである。

 今回のギリシャの選挙でギリシャ国民は、緊縮措置を受け入れるか、それともそれを放棄してユーロ圏離脱のリスクを冒すかの選択を迫られていた。どちらに転ぶのかは結果を見るまではわからなかった。このため、G20当局者は金融市場に混乱が生じた場合に備え、日欧米の中央銀行が流動性供給策を講じる準備を進めるなどしていた。

 しかし、ギリシャ国民はユーロ圏離脱のリスクを冒すような選択はしなかった。あえて価値の下落が見えている新通貨への乗り換えなどは、事態をさらに悪化させるだけとなることを意識してのギリシャ国民の投票行動となったものとみられる。

 他の欧米諸国にとっても、これ以上のユーロ圏での混乱は避けたいところであったはずである。ギリシャを放り出せばいったん問題は解決されるのかもしれないが、第二のギリシャが出るのではないかとの不安も出てこよう。ユーロというシステムがギリシャ離脱をきっかけに総崩れとなる懸念もあるため、なんとかギリシャをつなぎ止めたままてで、解決策を図ることが必要であったはずである。

 今回のギリシャの選挙結果を受けて、最悪の事態は避けられる格好となったが、今後の状況はまだ予断を許さない。いわゆるトロイカとの融資条件の再交渉も控える。ギリシャ支援の次回分が実行されるためには、事前審査があり、それまでに新政権そのものが発足していなければならない。

 今回の危機封じ込めのための事前準備では、中央銀行による流動性供給策が打ち出されていたが、結局、中央銀行頼みの姿勢は危機対策には限界があり、それも対処療法となってしまうことを示した格好となった。さらに中央銀行の政策そのものにも限界があることも確かであろう。そして、スペインの金融不安についても、先行き不透明であり、欧州危機に対してはまだまだ火種は残る。

 しかし、欧州危機がスパイラル的に広がるきっかけとなりかねなかったギリシャの選挙結果を見る限り、ユーロというシステムは守られなければならないとの意識も強いことも明らかとなった。今後は支援に向けたドイツなどの本気度も試されようが、今回のギリシャの選挙結果を受け、2010年から続くユーロ危機は、ひとつの転換点を迎えた可能性もありそうである。


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by nihonkokusai | 2012-06-19 09:36 | 国際情勢 | Comments(1)

欧州危機への封じ込め

 ロイターによると、20か国・地域(G20)当局者は、17日のギリシャ再選挙の結果を受けて金融市場に混乱が生じた場合、主要中央銀行は市場の安定化と信用収縮の阻止に向け、流動性供給策を講じる用意があると明らかにしたそうである。

 米政府高官からの発言として、今週末にはエジプトの大統領選挙、フランス総選挙(第2回投票)と主要な選挙が行われることから、これらの選挙の結果、市場に著しい圧力がかかった場合に備え、各国中銀は金融システム内に十分な流動性が確実に存在しているよう監視するそうである。

 18日から19日にかけてメキシコのロスカボスで開かれる「20か国・地域首脳会合(G20サミット)」とは、2008年のリーマン・ショックなどによる世界金融危機の深刻化を受けて開催されたものである。正式名称は「金融・世界経済に関する首脳会合」(Summit on Financial Markets and the World Economy)で、金融サミットとも呼ばれている。これは1999年から開催されている20か国・地域財務大臣・中央銀行総裁会議(G20 Finance Ministers and Central Bank Governors)とは異なるものであり、中央銀行総裁は参加していない。

 ただし、今回の会議には財務相は同行する予定となっているため、もしギリシャ選挙に市場が大きく反応した場合、日米欧7カ国(G7)財務相の緊急会合が18日、もしくは19日に開かれる場合もあるという。この際には、G7各国の中央銀行総裁も電話にて会合に参加するという(ロイター)。

 6月7日のバーナンキFRB議長の議会証言では欧州債務不安が拡大した場合の対応について、行動する用意があると述べていたが、9日にはオバマ米大統領は欧州諸国に対して債務危機への対策強化を訴えていた。

 ギリシャの再選挙の結果次第で、ギリシャのユーロからの離脱の可能性が強まれば、ここにきてスペインへの懸念が強まっていることもあり、欧州への信用不安がさらに高まり、世界の金融経済に危機的な影響を与える可能性がある。その危機を未然に防ごうと、欧州当局者ばかりでなく、米国も動かざるを得なかったものと思われる。

 既に日米欧の中央銀行は通貨スワップ枠を設けており、必要が生じた場合に十分なドル資金を引き出すことができる。各国中銀はさらに、レポを通じて追加的な資金を供給することができる。

 ドル資金供給スワップ協定は、2007年12月にECBとスイス国民銀行とのスワップに始まる第1次スワップ協定から、2008年9~10月のBOE、日銀、カナダ銀行、韓国銀行などを含む第2次スワップ協定へと展開した。その後、2011年11月30日にカナダ銀行、BOE、日銀、ECB、FRBおよびスイス国民銀行は、国際金融システムに対する流動性支援提供能力を拡充するためFRBとの間で締結している米ドル・スワップ取極、およびこれを原資とする米ドル資金供給オペレーションの期限を、2013年2月1日まで6か月延長し、上記中央銀行との間で、2013年2月1日を期限とする為替スワップ取極を締結した。また、ECBはスワップ協定で調達したドルをレポ取引を通じて域内の金融機関に供給できる。

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by nihonkokusai | 2012-06-16 10:27 | 国際情勢 | Comments(0)

日銀の政策委員のお仕事

 日本銀行の資本金は、1942年に公布された日本銀行法で1億円と定められ、このうち5500万円を政府出資、残りの4500万円を民間出資とした。これは、1998年に日銀法が改正されても受け継がれている。出資者には出資口数を証した出資証券が発行される。この出資証券はジャスダックに上場されており、株式に準じて取引されている。

 日銀は日銀法に基づいて設立された認可法人であり、米国のFRBのような政府機関との位置付けではない。日銀の最高意思決定機関として政策委員会が置かれている。そのメンバーが政策委員と呼ばれ、総裁、副総裁2人、審議委員6名の合計9名で構成されている。

 政策委員の仕事としては、月1回もしくは2回開催され、金融政策について審議、決定を行う金融政策決定会合で金融政策を決定するだけの簡単なお仕事(現実には簡単ではないだろうが)とのイメージがあるかもしれないが、それだけではない。

 政策委員会は、金融政策決定会合において通貨および金融の調節に関する方針を決定するほか、その他の業務の執行の基本方針を定め、役員の職務の執行を監督する権限なども有している。その中には、「支店その他の事務所及び代理店の設置、移転又は廃止」、「給与等の支給の基準」、「不動産その他の重要な財産の取得又は処分」なども含まれ、一般の会社での役員会(取締役会)のような業務が含まれている。

 ちなみに日銀の役員とは、日銀法では役員として、審議委員六人のほか、総裁一人、副総裁二人、監事三人以内、理事六人以内及び参与若干人を置く、となっている。

 そのほかに原則週2回定例的に開催され、金融政策以外の重要事項を審議する通常会合もある。つまり一般の会社で言うところの役員会が週2回開催されており、そこで細かい取り決め等が行われている。両会合を合わせると平日はほぼ2日に1回の割合で、金融政策や日銀の業務運営等についての審議や決定を行っている。さらに、総裁や副総裁は、国会などへの出席やBIS会議など海外での会合への出席もあり、また審議委員も講演などもあり、かなり多忙のようである。

 ちなみに日銀の金融政策決定会合の終了時間が通常よりも遅かったりする場合があり、金融政策の審議そのものが紛糾しているのではとの思惑が出ることがある。しかし、その可能性も否定はできないが、それ以前に当日、政策委員全員の署名が必要となる取り決め事項が多かったりすると時間が長引くことも多いようで、一概には言えないようである。

 日銀法によれば、「審議委員は、経済又は金融に関して高い識見を有する者その他の学識経験のある者のうちから、両議院の同意を得て、内閣が任命する。」とあり、旧日銀法にあったような業界代表方式とはなっていない。このため、審議委員が金融関係者に偏ろうが法律上は何ら問題はない。また、イングランド銀行のように外国人が登用できるかについても、法律上は規定はなく可能との認識のようである。

 日銀法では、総裁及び副総裁は、両議院の同意を得て、内閣が任命する、とあり、こちらは審議委員のような「経済又は金融に関して高い識見を有する者その他の学識経験のある者」との制約もない。もちろんそれは、あらためてそんなことを記すまでのことではないということであろうが、日銀法上では私でもなれるということであろうか(両院で同意されるはずもないが)。

 日銀法には、総裁、副総裁及び審議委員の任期は五年、監事及び理事の任期は四年、参与の任期は二年とするとある。

 今回の審議委員人事が果たして両議院の同意が得られるかどうかはまだ不透明ではあるが、もし同意を得られたとしても、今度は総裁と副総裁の人事が控えている。白川総裁の任期は来年4月8日、山口副総裁と西村副総裁の任期は来年3月19日までとなっている。

 日銀法には、「総裁、副総裁、審議委員、監事、理事及び参与は、再任されることができる」とあるが、日銀法改正以来、審議委員は再任のケースはあったが、総裁や副総裁ではそのケースはいまのところはない。再任か、との見方もいまのところほとんど出ていない。

 日銀の総裁、副総裁人事は現在の政治の状況では、どう転ぶか全くわからず、その動向次第では日銀の在り方が大きく変化しかねず、注意が必要となろう。


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by nihonkokusai | 2012-06-15 09:31 | 日銀 | Comments(0)

欧米の中央銀行での金融政策を決めるメンバー

 昨日のコラムで、日銀の意思最高決定機関メンバーである政策委員には、「経済の動向に直接向き合っていた企業経営者などの人選も不可欠ではなかろうか」と書いたが、これについては、むしろ金融の専門家が揃っていたほうが良いのではないかとの意見もある。FRBやECB、イングランド銀行などの理事の多くは、たしかに金融の専門家で占められている。

 米国の中央銀行は独特のスタイルをとっており、中央銀行に該当するのがFRBである。そのFRBのメンバーは大統領が任命し、上院の承認を受けた7名の理事から構成されている。バーナンキ議長はご存じのとおりプリンストン大学等で教鞭をとり、その後FRB理事、CEA委員長などを経て2010年にFRB議長に就任している。イエレン副総裁は元サンフランシスコ地区連銀総裁でエコノミスト。デューク理事は銀行界出身、タルーロ理事はジョージタウン大学教授からクリントン政権時代には大統領補佐官を務めた。ラスキン理事の前職はメリーランド州金融規制局長、ニューヨーク連銀でも働いていた経歴を持つ。そして5月25日に就任したパウエル理事はブッシュ大統領の下で財務次官を務めており、スタイン理事はハーバード大学の経済学教授であった。

 ちなみに最高意思決定機関であるFOMCのメンバーは、この7名の理事全員と地区連銀から5名の連銀総裁の合計12名によって構成される。

 ECBの最高意思決定機関は月2回程度のペースで開かれる定例理事会(Governing Council)である。定例理事会の議決権を持つメンバーは、ECBの役員6名(総裁、副総裁、理事4名)、および域内17か国の中央銀行総裁も加えて23名となる。

 現在のECBの役員会は、イタリア出身のドラギ総裁(前職はイタリア銀行総裁)、ポルトガル出身のコンスタンシオ副総裁(同ポルトガル銀行総裁)に加え、スペイン出身のパラモ氏(同スペイン中央銀行理事)、ベルギー出身のプラート氏(元IMFのエコノミスト)、ドイツ出身のアスムセン氏(同財務次官)、フランス出身のクーレ氏(同財務省のチーフエコノミスト)の6名の専務理事で構成されている。

 イングランド銀行の最高意思決定機関の金融政策委員会(MPC)は、総裁1名、副総裁2名、理事2名と、財務大臣により任命された外部委員4名の合計9名で構成されている。キング総裁は大学教授、イングランド銀行のチーフエコノミスト、副総裁を経て現職。ビーン副総裁は財務省、大学教授、イングランド銀行のチーフエコノミスト・常任理事を経て現職。ダッカー副総裁はマーチャント・バンク、イングランド銀行理事を経て現職。常任理事はイングランド銀行の金融政策と金融調節担当者が選ばれ現在はデール理事とフィツシャー理事。外部委員4名として、まずブロードベント委員は財務省の経済顧問、ゴールドマン・サックスのエコノミストでもあった。マイル委員はモルガン・スタンレーのチーフエコノミスト。ボーゼン委員はアメリカ人のエコノミストで米政府機関や欧州委員会などのコンサルタント等を勤めた。ウィール委員はケンブリッジ大学で経済学を教えていた。

 このように欧米での中央銀行の最高意思決定機関の構成メンバーは、学者、中銀出身者、財務次官など政府要職経験者、エコノミストなどが中心となっている。11日に政府が日本銀行審議委員に、野村證券チーフエコノミストの木内登英氏とモルガン・スタンレーMUFG証券チーフエコノミストの佐藤健裕氏と民間のエコノミスト2人を充てる人事を国会に提示した背景には、日銀の最高意思決定機関についても、金融の専門家を揃えた欧米のスタイルに近づけようとの意図が働いていた可能性も否定はできない(結果として、そうなってしまったのかもしれないが)。


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by nihonkokusai | 2012-06-14 09:44 | 日銀 | Comments(1)

今回の日銀審議委員人事に関する懸念

 11日に政府は日本銀行審議委員に、野村證券チーフエコノミストの木内登英氏とモルガン・スタンレーMUFG証券チーフエコノミストの佐藤健裕氏と民間のエコノミスト2人を充てる人事を国会に提示した。衆参両院で同意されれば、産業界出身の亀崎英敏氏と中村清次氏の後任となる。

 12日付けの日経新聞では木内、佐藤両氏ともに金融緩和派として知られるとあり、最近のレポートで木内氏は「政府と日銀の連帯強化」が必要との持論も展開していたそうである。

 今回の人事はいわゆるマーケット枠に2名入ることとなり、以前から私もマーケットに詳しい人が審議委員には必要との立場を取っていたこともあり、今回の人事にはその意味では歓迎ではあるが、しかしいくつかの懸念が残る。

 今回の人事で問題となるのは、三菱商事代表取締役副社長から審議委員となった亀崎英敏氏、元商船三井代表取締役副社長であった中村清次氏の後任と言う点である。戦後まもなく日銀に政策委員会が設けられた際の人選にあたっては、産業界を含めてのバランスを意識したものであった。日銀法が改正されてからの政策委員も、日銀出身者・学者・産業界・金融業等で比較的バランスの取れた人事が行われていた。

 しかし、今回の人事によりそのバランスがさらに崩れる懸念がある。現在の政策委員の構成は、白川総裁と山口副総裁が日銀のプロパーであり、西村副総裁、宮尾審議委員、白井審議委員が学者、石田審議委員が金融業、そして森本審議委員が産業界出身である。ここに佐藤氏と木内氏という金融業界出身者が加わると、森本委員以外は日銀関係者を含めた金融の専門家ばかりとなる。

 金融政策を決定するのが大きな仕事であるため、金融の専門家が大勢を占めるのは必然との見方もあろうが、金融政策はあくまで物価の安定をはかるのが目的であり、その波及にあたっては経済の動向に直接向き合っていた企業経営者などの人選も不可欠ではなかろうか。つまり経済そのものの現場を知る人間が必要とされるはずである。

 これには現政権が産業界からの人選を行いづらいことも影響しているとともに、産業界としてもひとつの名誉職ではありながら、政治の矢面に立たされることで、成り手がいなかったということもあったのかもしれない。

 さらに今回の人事にあたっては、金融緩和派が意識されての人選となったことも問題がある。河野龍太郎氏を審議委員に起用する政府の当初案が否決されたことで、積極的な金融緩和に反対する人物は審議委員にはふさわしくないとの印象を強めさせた。その結果として今回の人選となったのかもしれないが、今後の日銀の政策委員の選出に対して、政府の意向を反映させなければならんとするのであれば、それはそれで中央銀行設立の目的からすれば非常に大きなリスクを伴う。

 もちろん木内氏と佐藤氏が審議委員として問題であるということではなく、お二人とも優れたエコノミストであると思う。しかし、今回の審議委員人事については、その分産業界出身者がいなくなってしまい、政策委員が金融関係の分析者中心となり、これまでの政策委員の構成に比べて偏りが大きくなることへの危惧と、その人選において政府の意向を反映させるという意識が強く働いているところに懸念を持った次第である。

 ただし、FRBやECB、イングランド銀行の理事などは金融や財政に関係する出身者でほぼ占められており、今回の人事はこれに近づけようとの意図があった可能性もある。このあたりについては明日、ご紹介したい。


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by nihonkokusai | 2012-06-13 11:34 | 日銀 | Comments(0)

来週の注目イベント、ギリシャの再選挙、G20サミット、FOMC、国会会期末

 6月14日、15日に日銀の金融政策決定会合が開催される。日銀は4月27日に追加緩和を決定したが、5月の決定会合では現状維持となり、そして今回の会合でも現状維持が見込まれる。

 決定会合の日程は事前に決定されるため致し方ないところではあるが、大きなイベントが来週に控えているため、もし市場に動揺が走ることになれば、次回の会合が7月11日、12日とかなり先になってしまうことで、タイムリーな政策を打つことが難しくなるのではなかろうか(臨時会合という手段はあるが)。

 あらためて来週の注目イベントを確認してみたい。17日にギリシャの再選挙が予定されている。9日にスペインに対し銀行の資金増強に向けて最大1千億ユーロの支援が発表されたことで、スペインの金融危機はいったん回避されることになろうが、ギリシャの債務危機については選挙結果次第では、新たな展開を迎える懸念がある。

 ちなみにこのギリシャの選挙に関して「ギリシャで新政権が誕生してトロイカ――欧州委員会、国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)――と取り決めた財政再建・経済改革の遂行が頓挫すると国際金融支援が停止し、それによるデフォルト、ユーロ離脱へ至るとの連想が国際的に強く意識されるようになり、一気に市場の警戒感が高まることになりました。」と9日の講演で日銀の白井審議委員がコメントしている。

 18日から19日にかけてメキシコで開催されるG20サミットでは、この欧州危機が主要テーマとなることが予想される。9日にはオバマ米大統領が欧州諸国に対して債務危機への対策強化を訴えている。ギリシャ発の危機再発を防止するための対策がG20でも検討されることが予想される。

 そしてもうひとつ注意しなくてはいけないのが、国内での消費税増税法案を柱とした社会保障と税の一体改革関連法案の行方である。21日が国会会期末となり、それまでに法案可決が可能なのか。これに関しては15日あたりまでに衆院を通過させないと厳しい日程となっており、今週中にある程度、その可決の可能性については目途が見えてくると思われるが、ぎりぎりまで与野党の折衝が行われるものと予想される(会期延長の可能性はあるが)。

 消費増税が今国会で決まらなかったとしても、国債市場に与える影響は限定的であろう。法案成立についてはかなり厳しい見方も強いが、国債そのものはほとんどこの消費税については材料視していないように思われる。今回もまた先送りされても、影響はないとの認識なのかもしれないが、財政再建への足取りが鈍くなるとの認識は今後の国債市場には大きなリスク要因ともなりかねない。すぐに動揺を示すような事態は想定できないものの、解散総選挙となり、政局が変わるような事態になれば、あらためて材料視される可能性も皆無ではない。

 このように来週にかけては欧州のみならず、国内でも大きな材料を抱えている。その動向次第では、株価や為替市場、場合によっては債券市場にも影響が出る可能性がある。市場の動揺を金融政策で押さえ込むことは、なかなか無理はあるものの、それでも不安を少しでも抑えることもできなくもない。19日、20日にはFOMCの開催が予定されている。7日のバーナンキFRB議長の議会証言では、欧州債務不安が拡大した場合の対応について、行動する用意があると述べたそうだが、ギリシャの動向や、その後のG20サミットによる内容次第では、FRBが追加緩和策なりで市場の動揺を抑えてくる可能性もある。

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by nihonkokusai | 2012-06-12 10:11 | 債券市場 | Comments(1)

ギリシャのもしもと、日本のもしも

 6月17日にギリシャで再選挙が実施される。この結果次第では、ギリシャがもしかするとユーロを離脱せざるを得なくなるとの見方もある。ただし、ギリシャ国民そのものはユーロ離脱までは望んでいないことで、何かしらの妥協点を見いだそうと、最悪のケースは先送りされる可能性もある。

 欧米諸国にとり、これ以上のユーロ圏での混乱は避けたいところ。ギリシャを放り出せばいったん問題は解決されるのかもしれないが、一時的にせよ金融不安がユーロ圏を再度襲ってこよう。また、第二のギリシャが出るのではないかとの不安も出てこよう。ユーロというシステムを守ろうとするのであれば、なんとかギリシャをつなぎ止めたままてで、解決策を図ることが必要ではないかと個人的には思っている。

 そして、日本のもしもとは言うまでもなく消費増税の行方である。野田総理が政治生命をかけて取り組んでいるが、引き続き前途多難となる。自民党の協力なしには法案成立は困難であるが、それと等価交換されるもののことを考えると、民主党内での反対意見も強まろう。むしろ民主党内の内なる敵が表面化すると法案成立はかなり困難になる。

 もし野田政権における消費増税法案が否決、もしくは採決が先送りされるような事態となったときに、何が起きるであろうか。政治生命を賭けるとした野田内閣は、小沢元代表が発言したように総辞職に追い込まれる可能性がある。その後継者は果たして、野田氏の意思を継いで消費増税を進められるものなのか。財政健全化に向けた道筋がこれでいったん絶たれる可能性がある。

 消費増税の先送りは今に始まったことではない。国債市場への影響も限定的とみるのは危険である。確かに現在の国債需給を取り巻く環境は悪くはない。しかし、これにはデフレという国内要因というよりも、米国のサブプライム問題からリーマンショックを経て、ギリシャを中心とした欧州の信用問題による、円高圧力と日銀による度重なる金融緩和が大きく影響している。しかし、その根底には日本国債への信認がある。

 つまりこのまま消費増税がまた先送りされ、国債残高は増加し続け、日銀による国債買入も増え続けるような状況が続ければ、どこかのタイミングで国債への信認が問題視されかねない。

 ドルは基軸通貨であり、FRBがいくらでもプリント・マネーして国債を買えるからアメリカは絶対にフォルトしないとグリーンスパン氏が言ったという話がある。また、ドルは暴落しても、米国債は暴落しないとの説もある。

 日本でも同様に、日銀がお札を刷って国債を購入することで、日本国債が暴落するようなことはないとの見方もある。それはそれぞれの国への信認が維持されていれば、一定期間は確かに暴落しないかもしれない。しかし、中央銀行が際限ない紙幣増発を行い続ければ、それほどの時間をおかずにインフレ懸念が強まることは確実となる。いくらインフレターゲットを設けようが、制御はできない。

 そもそも金融引き締めをして、市中の資金を回収しようにも中銀は国債を買い続けざるを得ず、売りオペなどしたらそれでなくても上昇基調にあるはずの長期金利は跳ね上がり、こちらの制御は不可能になる。すでに日銀の国債引受に依存して市中では消化不可能となる金額に国債残高が膨らんでいれば、あらたな買い手など見つかるはずもない。

 このような状況に追い込まれないためには、何をすれば良いのか。政府による財政再建を推し進めることが最低条件として必要になる。もし、今回消費増税が先送りされ、あと10年は消費税の引き上げは困難といった見方が広まったとき、果たして国債の利回りはどのように反応するのであろうか。


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by nihonkokusai | 2012-06-11 10:44 | 国債 | Comments(0)

日本の長期金利の変動要因と今後の予想

 6月4日にQUICK月次調査「債券」5月の調査結果が発表された。これを元に債券市場関係者が今後の金利動向をどのように捉えているのかを確認してみたい。

 総括の中で、前回調査と比較し新発10年国債利回りで見て下方にシフトしたとある。これは5月の債券相場が、ギリシャやスペインへの懸念でリスクオフの動きを強め、ドイツや英国、米国の長期金利が過去最低水準にまで低下し、その影響を受けて日本の債券相場も慎重ながらも上昇基調となったことが背景にある。どうしても先々の見通しは足下の相場環境に大きく影響を受けやすい。

 相場変動要因としては、注目度で見ると「海外金利」が上昇したのは、上記の理由によろう。また、債券価格への影響を表した相場変動要因の指数(50を超えると上昇要因、50を下回ると下落要因)で「為替動向」と「海外金利」の上昇が目立ったのも、欧州の信用不安の拡大による円高等も影響していたものと推測される。

 債券価格への影響を表した主体別の指数では「外国人」と「都銀・信託銀行(投資勘定)」の上昇が目立ったとある。これは5月21日に発表された4月の公社債投資家別売買高(短期証券を除く)において、都銀が債券を過去最大規模で売り越していた半面、海外投資家は1兆3616億円の買越しと3月の売り越しから買越しに転じ、なかでも超長期債を6千億円規模で買越していたことが明らかになったことも影響していたものと考えられる。

 今後1年間、2年間、10年間平均のCPIコア変化率は、それぞれ単純平均で0.11%、0.30%、0.90%となったが、足下は低い状況は続くが、先々はいずれ1%に近づくとの想定となっている。この予想は金利の先行き予想にもある程度、反映されることになる。

 今回はギリシャの再選挙およびユーロ離脱の可能性とその影響についての調査もあった。6月17日の再選挙の結果について、「緊縮財政受け入れを軸とする政権の誕生」との回答が60%、次に「反緊縮財政を軸とする政権の誕生」が20%と続き、「主要な政党による挙国一致内閣の誕生」は16%となった。このあたり自分で予想していたものに近い内容であり、意外と市場参加者も冷静にみているなとの印象を持った。また、ギリシャのユーロ離脱の可能性については20%との回答が最も多かった。可能性は低いとみるものの、ゼロではないとの印象から、この数値が出てきたものと予想される。

 長期金利の予想数値についてもう少し詳しくみてみると、5月調査の1か月後、3か月後、6か月後の予測数値は、最頻値でそれぞれ0.900%、1.000%、1.000%となっていた。最小値はすべて0.700%、最大値は1.100%、1.300%、1.550%とあった。

 現在の債券相場を取り巻く環境をみると長期金利は上昇しにくいが、下げるにも限度があるとの認識と思われる。最小値についてはあくまで月末の数値を意識したもので、月中の最低利回りとの認識ではないと思うが、それでも2003年6月のような0.5%割れを予想している向きはまだ少数派であろうことが伺える。それだけまだVARショックの印象が市場参加者の意識には刻み込まれているものと予想される。

 最大値が上昇傾向にあるのは、ある程度の金利上昇のリスクも意識しておく必要があるためであろう。ただし、これも前回平均に比較してそれぞれ低くなっている(前月調査の最大値1.200%、1.500%、1.600%)。

 債券価格の変動要因としては、4月調査に比較し短期金利/金融政策が36%→15%、景気動向が24%→17%に低下していたのが目立つ。4月27日に追加緩和が実施されたが、5月の決定会合では現状維持となるなど、金融政策への関心度はやや低下している。それに対して、海外金利については24%→48%と大きく上昇している。

 相場の動きをみるにあたり、これらの変動要因の比重がどこに傾いているのかを、ある程度掴んでおかないと相場変動の理由がわからなくなる。債券市場関係者以外がそれを知ようとするのであれば、リアルタイムで債券価格の変動要因が数値で見ることができれば、理解も早いではなかろうかと思うが、現実にはそれはむずかしく、ある程度感覚で捉えざるを得ない。

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by nihonkokusai | 2012-06-09 09:30 | 債券市場 | Comments(0)

債券先物の過去最高値と過去最安値

 今回は東証が発行している「TSE Derivatives Market Highlights」から、長期国債先物(債券先物)の過去最安値と過去最高値をつけたときのそれぞれの価格と時期を確認してみたい。

 債券先物の最安値は87円08銭で、これを付けたのは1990年9月27日となっている。拙著「日本国債先物入門 [改訂版] 」の先物の歴史の部分から確認してみたい。

 「1989年5月、加熱する景気に対処するため、日銀は公定歩合を3.25%に引き上げた。さらに10月には3.75%に、12月には4.25%と引き上げ、完全に金融引締策へと転向した。それでも、バブルの勢いは年末まで続き、日経平均は、その年の大納会の大引けで3万8915円を付けた。結局、これが以降、20年以上にわたっての日本株の最高値となる。公定歩合の度重なる引き上げによる短期金利の上昇で、長短金利が逆転してしまい、債券相場はすでに総じて伸び悩みの状態となっていた。」

 「1990年は、債券安・株式安・円安のトリプル安で始まった。米国での金融緩和期待の後退、ソ連情勢の悪化、日銀による公定歩合の再引き上げ観測などが要因であった。実際、日銀は3月20日に1.00%もの大幅な公定歩合の引き上げを実施し、5.25%とした。8月2日、イラク軍がクウェートに侵攻すると原油価格が急騰し、インフレ懸念が一段と高まった。その後、原油価格は下落したものの、物価上昇を気にしてか、日銀は同月30日に公定歩合をさらに0.50%引き上げ、年6.00%とした(第五次公定歩合の引き上げ)。これを受けてJGB先物は急落し、9月27日にはJGB先物市場開設以来の安値となる87円8銭にまで下落した。株価も大きく下落し、10月1日に日経平均株価は2万円を割り込んだ。」

 いわゆるバブルに対処するため、日銀は1989年から1990年にかけて幾度かの公定歩合の引き上げを行い、イラクによるクウェート侵攻により原油価格が急騰した結果、インフレ懸念も強まったことに、利上げも絡んでの債券先物の下落で、上場来の過去最安値をつけたのである。ちなみに、1990年9月末の長期金利は8%台となっていた。

 債券先物の最高値は145円28銭で、これをつけたのは2003年6月11日である。これについても、拙著「日本国債先物入門 [改訂版] 」の先物の歴史の部分から確認してみたい。

 「2003年5月、りそな銀行に対する資本注入で「政府は大手銀行を潰さない」といった意識も強まり、その結果、株式市場では銀行株などが買われた。さらに海外投資家の旺盛な買いに支えられ、日経平均はバブル崩壊後の最安値となった2003年4月の7607.88円で底入れし、上昇に転じた。さらに米国や中国などの経済成長などを背景に、日本の景気も徐々に回復し始め、その後上昇基調を強めていく。一方、JGB先物は2003年6月まで1日当たりの値幅が限られながらも、じりじりと史上最高値を更新し続けていた。」

 「JGB先物は限月移行があったため同月10日の145円09銭が中心限月の高値となったが、現物債は11日に30年で0.960%、20年で0.745%、そして10年0.430%とそれぞれ過去最低利回りを記録した。この相場上昇過程で目立ったのが、メガバンクの一角や地銀を含めた銀行主体の債券買いである。銀行などがポジションのリスク管理に使っているバリュー・アット・リスク(VAR)の仕組み上、債券の変動値幅が小さいことで、そのリスク許容度がかなり広がりをみせていた。株価の低迷にともない債券での収益拡大の狙いもあり、必要以上にポジションを積み上げ、異常なほどの超低金利を演出したのである。」

 「日本国債先物入門 [改訂版] 」の記述では「JGB先物は限月移行があったため同月10日の145円09銭が中心限月の高値となったが」とある。11日には実質的に中心限月が6月限から9月限に移行していたが、その11日に6月限は145円28銭をつけていたのである。

 債券先物は先日6月1日のイブニング・セッションで144円21銭まで、4日の前場に144円06銭まで上昇し、過去最高値まであと1円ちょっとまで迫っていた。果たして今回、この債券先物は過去最高値を更新するようなことがあるのであろうか。


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by nihonkokusai | 2012-06-08 09:43 | 債券市場 | Comments(0)

欧州危機への封じ込め作戦に向けて、日銀の決定会合のスケジュール変更も必要では

 昨日あたりからどうも欧米のいわゆる当局者がいろいろと動きを見せ始めている。まず、欧米の中央銀行に何かしら動きが見えてきた。昨日、ECBは政策金利は据え置いた。期間最長3か月のリファイナンスオペでの無制限資金供給を来年1月まで延長することを決定したが、これもある程度、事前に予想されていたことであり、これらは利下げ等を期待した市場を本来であれば失望させるような内容であったが、市場はそのようには取らなかった。むしろドラギ総裁が会見で、行動する準備は整っていると発言し、欧州債務問題に立ち向かう欧州の政治家や当局者の決意を市場は過小評価しているとも述べたことなどが、今後の追加緩和の可能性を示したのではないかと好感された。ただし、金融政策をもって他の機関による政策の欠如を補完することは誤っているとの発言もあり、金融政策への過度な期待にも釘を刺した。

 しかし、市場では今日のイングランド銀行のMPCでも追加緩和期待が出てきた。それとともに米FRBもアトランタ連銀のロックハート総裁とサンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁が講演で、追加緩和に前向きな姿勢を示し、さらにイエレンFRB副議長が欧州問題の米経済への打撃回避に向け、追加緩和が必要になる可能性を示唆するなどしたことで、6月19日、20日のFOMCでの追加緩和期待が出てきた。7日にはバーナンキFRB議長の議会証言が予定されている。ここでも多少、市場の過剰な緩和期待に対しブレーキを掛けながらも緩和を臭わす発言が出てくる可能性がある。その背景には、G20を控えての政治の動きも影響しているのではなかろうか。

 昨日、米国のオバマ大統領はドイツやイタリアの首相と電話会談をしたことが伝えられた。内容は当然ながらスペイン、ギリシャを中心とした欧州問題であったはずである。スペイン銀行救済案は最終段階にあるとのドイツ当局者の発言もあったが、スペインの銀行問題をまず解決に導き、あらたな信用不安の火種にならぬようにとの動きも水面下で活発化しているものとみられる。このような政治上の動きが、欧米の中央銀行にも暗黙のプレッシャーとなっている可能性がある。このため、FRBもはっきりとしたカードは見せないものの、カードを切る姿勢を見せてきたものとみられる。

 もちろんその前の17日にはギリシャの選挙があり、18日、19日にはメキシコでのG20が予定されている。とりあえず、撃てる手は総動員でこの難局を乗り切ろうとの姿勢も垣間見れられる。そうなると問題は日本の姿勢となる。欧州リスクが強まれば、円高圧力が強まるが、為替介入については欧米諸国の理解を得ることはなかなか難しい。G7においても理解を求めていたようだが、単独介入は決して欧州のリスク回避のためとは認識されまい。ここはむしろ日本としても、欧州危機への封じ込め作戦に荷担している姿勢を見せることも重要か。

 日銀はなかなか舵取りのタイミングが難しい。FRBやECBが追加緩和となれば、為替を意識しても日銀も何らかの追加緩和を行わざるを得なくなる。日銀を含め日米欧の中銀が追加緩和となれば、欧州危機への封じ込めのための側面支援との認識も持たれよう。ただし、次回の日銀の金融政策決定会合は14日、15日とギリシャの選挙前のスケジュールとなっている。日銀が先走って動くこともリスクはある。この際、可能であれば決定会合のスケジュールを20日、21日あたりに変更することもひとつの手段ではなかろうか。そうすればギリシャの選挙結果を確認した上で、18日、19日のG20の動向、さらにFRBの動向なども確認しながら、金融政策を決められる。


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by nihonkokusai | 2012-06-07 14:58 | 日銀 | Comments(0)
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