牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

<   2012年 06月 ( 25 )   > この月の画像一覧

ユーロ圏首脳会議におけるドイツ攻略作戦

 28日から29日に開催されたユーロ圏・欧州連合(EU)首脳会議では、踏み込んだ危機対策が発表され、どうせたいした政策は出ないと冷ややかに見ていた市場に、冷水ならぬ熱湯を浴びせる結果となった。このあたりの動向については、30日の日経新聞や読売新聞朝刊(我が家の購読紙)にその経緯が書かれており、いったい何がブリュッセルで起きていたのかをそこから探ってみたい。

 28日の会議は長丁場となったが、午前一時に初日の討議を終えた英国のキャメロン首相やデンマークのシュミット首相らは相次いで会場を後にしていたそうである。しかし、ここにメルケル首相やオランド首相らの姿はなかった。実はこのとき、ユーロ圏の緊急首脳会議が開催されていたのである。通信社からは、断片的ながらイタリアが基金による国債買い入れ案で合意出来ない限り成長戦略にも応じないとの強い姿勢を示したことや、メルケル首相が予定されていた記者会見をキャンセルすることなども伝えられていた。

 28日にスペインの10年債利回りは、ユーロ圏首脳会議では具体策が打ち出されないとの懸念から一時7%台に乗せてきた。ところがその後押し目買いが入り、スペインの10年債利回りは6.93%とほぼ前日比変わらず近辺に戻していた。また、米国株式市場でダウ平均は3日ぶりに反落したものの、こちらも引けにかけて下げ幅を縮小させるなど、市場は断片的な報道などから何かしらの兆候を感づいていたような動きを示していた。

 報じられるところによると、最初に動いたのはイタリアのモンティ首相とスペインのラホイ首相だったようである。モンティ首相は市場安定化策で合意が得られなければ、日曜まででも首脳会議を続ける覚悟だと公言していた。そもそもユーロ圏の首脳会議は27か国の欧州連合(EU)首脳会議後に開催予定であったが、28日にEU首脳会議が開幕すると、イタリアのモンティ首相とスペインのラホイ首相は、唐突に1200億ユーロの成長戦略等の議事に対し、「首を縦に振らない」と言い始めた。このため急遽、「臨時」のユーロ圏首脳会議が開催されることになったのである。

 つまり今回、唯一の目立った対策ともいえた成長戦略を人質にとり、踏み込んだ対策を迫る駆け引きに出たのである。これにフランスのオランド大統領が直ちに呼応する。フランス、イタリア、スペインが結託し相対するのが、ドイツのメルケル首相となる。

 マーケットが欧州連合(EU)首脳会議では、踏み込んだ危機対策など出ないと高を括ったそもそもの理由は、ドイツのメルケル首相が25日の講演で、ユーロ共同債、共同証券、欧州預金保険に関して経済的に間違っており非生産的だと発言したり、自分が生きている限りは欧州の債務共有化はないとの姿勢を強調していたためである。市場では、危機対策としてユーロ共同債の発行が意識されており、それにメルケル首相が強い反対を表明していたことで失望感が強まっていたのである。

 ところが、ドイツは銀行の直接支援という手段に対し、強力な銀行監督体制ができるなら、その可能性がありうることをドイツの政府高官が示し、ドイツ側としても市場の動向を見てか、柔軟な姿勢に変わりつつあった。これが今回の想定外の合意を生むことになった。ショイブレ財務相は、EUの権限強化を条件に南欧支援の拡充を容認するとのサインを出していたそうであるが、ドイツがこれまでの頑なな姿勢を貫いてしまうと、EU首脳会議が立ち行かなくなり、それはつまり市場からの仕打ちを受け、さらなる危機感を強める結果ともなりかねなかった。

 こうして長時間にわたる協議の末、今回の危機対策が打ち出された。ここにはユーロ共同債の導入は盛り込まれてはいなかったが、フランス、イタリア、スペインの連合側がドイツに勝利した格好となった。ただし、南欧支援と引き替えに、ドイツはユーロ圏の銀行を一元管理する制度の創立も盛り込まれるなどドイツにもかなり配慮した内容となった。

 日経新聞によると、EU大統領とバローゾ欧州委員長の二人が開いた現地時間の早朝の記者会見に出席した記者は数えるほどであったそうである。結果として、マーケットを大きく動かすことになったスクープ記事が書けたのは数社だったことになる。マスコミもどうやら期待していなかったようであるが、いわゆる記者の勘として、何かが動いているという予兆のようなものは掴めなかったのであろうか。このあたりの状況も興味深い。

 ユーロ圏でのこのような政治の駆け引きは非常に面白い。背景には危機感があり、面白いと片付けてはいけないかもしれないが、これも政治であろう。果たしてこのような外交上の駆け引きができような日本の政治家はいるのであろうか。何かつまらない駆け引きばかりしている政治家はいるようであるが。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ、通称、牛熊メルマガでは毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。登録申込当月分の1か月は無料でお読み頂けます。ご登録はこちらからお願いいたします。

BLOGOS版「牛さん熊さんの本日の債券」
まぐまぐ版「牛さん熊さんの本日の債券」

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp




[PR]
by nihonkokusai | 2012-06-30 09:52 | 国際情勢 | Comments(0)

財政再建のための消費増税ではないのか

 言うまでもなく、社会保障と税の一体改革なるものは、日本の財政悪化に歯止めをかけることが目的のはずである。

 2000年代から社会保障費が急激に増加してきたが、これは高齢化に伴う自然増や基礎年金の国庫負担割合引き上げ、子ども手当の創設などが要因となっている。社会保障関係費はほぼ一貫して増え続けている。それに対して、税収など歳入面では、景気低迷による影響に加え度重なる減税も影響し、減少している。このように日本の政府債務残高の増加要因は、社会保障費の増加がその主因であり、そこに税収の落ち込みも影響している。

 日本の財政健全化を進めるには歳出と歳入両面での改革が必要であり、だからこそ「社会保障と税の一体改革」なのであろう。今後も伸びが予想される社会保障費に対して、税収がこのまま落ち込みを続ければ国債への依存度はますます大きくなりかねない。

 足下の日本の国債の需給からみて、そう簡単に国債が暴落するようなことは考えづらい。しかし、このような好環境が永久に続くことのほうが考えづらいことも確かであり、国債市場が好環境のうちに手を打たねば、もし日本に対し欧州のような信用不安が生じて長期金利が上昇してからでは、手の打ちようがない。

 財務省の「平成24年度予算の後年度歳出・歳入の影響試算」によると、消費税の引き上げにより、プライマリーバランスが改善されることは確かであるが、今後の国債発行額を見る限り、消費税の引き上げを加味してもなお毎年度45兆円規模の新規国債が発行される計算となっている。

 名目経済成長率3%程度を前提とし消費税の引き上げを加味した試算でも、差額部分は2012年度44.2兆円、2013年度45.4兆円、2014年度44.6兆円、2015年度44.3兆円と44兆円以上の規模が続く予測である。

 この試算は長期金利の2.0%が前提基準となっている。この前提からの変化幅がプラス1%の場合、国債費の増加は2013年度が1.0兆円、2014年度2.4兆円、2015年度4.1兆円。そしてプラス2%の場合、国債費の増加は2013年度が2.0兆円、2014年度4.9兆円、2015年度8.3兆円となる。反対にマイナス1%の場合には、2013年度が-1.0兆円、2014年度-2.4兆円、2015年度-4.1兆円となる。

 利払い費に絡んでは、「金利ボーナス」と呼ばれる利払い費用の抑制効果がなくなり、その分増加しやすい状況となっていることにも注意が必要である。金利ボーナスとは、過去の高い金利の国債が償還期を迎えると、その分は低い金利で借り換えることになり、その分の利払い負担が軽減される効果のことである。しかし、1990年代後半以降は長期金利の低位安定が長く続き、その抑制効果は次第になくなりつつあり、今後は国債残高の増加がもろに利払い費に影響する状況となっている。

 このように消費税の引き上げを加味しても国債発行額の抑制は限定的であり、長期金利がもし上昇してしまうと利払い費もそれに応じて増加してしまえば、増税分はあっさりと打ち消され、財政はさらに悪化しかねない。だからこそ、日本の長期金利の跳ね上がりを抑制するためにも、財政再建に向けての姿勢を示す必要がある。

 ところが、消費増税を行ったとして、その分を景気刺激策に使ってしまえば、それは財政再建とは矛盾する。それにより将来の税収が増加するとの保証があれば良いが、過去の財政出動による税収増への効果はどれほど認められたのか。今回の消費増税に景気対策もセットとなっているのであれば、財政再建への意味合いはその分、薄れることにもなる。

 国債市場は足下の好需給に支えられ、簡単には売り圧力が高まるようなことは考えづらい。しかし、市場に将来の財政再建に対する懸念が次第に蔓延してくるような事態となれば、現在の国債相場がかなりの高値圏にあることも手伝い、相場が神経質な動きを見せる可能性も否定できない。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ、通称、牛熊メルマガでは毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。登録申込当月分の1か月は無料でお読み頂けます。ご登録はこちらからお願いいたします。

BLOGOS版「牛さん熊さんの本日の債券」
まぐまぐ版「牛さん熊さんの本日の債券」

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp




[PR]
by nihonkokusai | 2012-06-29 09:44 | 財政 | Comments(1)

国債の市中消化の原則(日銀による国債引受の禁止)確立の経緯

 日銀による国債の引受けは、財政法第5条によって原則として禁止されているが、これは「国債の市中消化の原則」とも呼ばれる。

 白川総裁は三重野元総裁が亡くなった際に、三重野氏が総裁就任前から「ゆるぎない信念と強靭な胆力」を持ち、戦後初めて発行された国債の市中消化原則確立などに尽力した功績を振り返ったと報じられていた。

 このあたりの経緯については、三重野氏の名前は出ていないが、日銀の百年史にそれをうかがわせる記述があった。

 戦後初めて日本で国債が発行される際に、大蔵省は市中消化が難しく一部を資金運用部り残りを日銀引き受けにという意見も残り、市中銀行は市中公募による発行に消極的で、さらに市中公募に賛成していた証券業界からも40年度分は日銀引き受けで発行すべきとの意見があったそうである。また、マスコミにも日銀引き受けで発行すべきとの意見があったと、百年史では指摘している。

 そこで日銀は、「大蔵省のみならず各方面に対し、市中消化原則の考え方について理解を求める努力を開始した」。その努力の甲斐あって、大蔵省内で日銀引受論は次第に後退し、市中公募に消極的であった銀行は、IMF総会から帰国した当時の岩佐富士銀行頭取が、「国際信用という面からも市中消化にすべきである」と強調したことで、急速に市中公募方式の支持に傾いたそうである。このあたりの日銀の動きに、三重野氏が大きく絡んでいたことが考えられる。

 ところで、昭和41年1月に日本で戦後最初に国債が発行された際、日銀は資金運用部の国債消化に必要な場合は資金運用部の金融債買い入れを行うこととしていた。昭和40年度の国債の市中消化をなるべく少額に抑えようとした結果、その負担が資金運用部にかかったが、資金運用部は年度後半に運用計画を見直すことが困難となるため、同年度限りとしながら資金運用部保有の金融債を日銀が買い入れる方針を定めた。

 これについて日銀の100年史は下記のように記述している。

 「この措置は国債の市中消化という大原則を長期に渡って確保するための、やむをえない一時の便法として打ち出されたものであるが、この買入れが事実上国債の日銀引き受けという側面を持っていたことも事実であり、その点で問題のあったことは否定できない」

 その後、日銀は債券売買の対象に国債を買い入れるという問題が議論され、長期国債が断続的に発行される事態となり、長期国債を金融調節のなかにどのように組み込むかが検討の課題となった。その結果、政保債・金融債・電力債の売り戻し条件付き買入れという方式を長期国債の無条件買入れ(買切り)を中心とする方式にあらためることになったと日銀百年史にある。

 これが日銀による国債買入のスタートとなるわけであるが、このあたりの経緯について、百年史はかなりあっさりとした記述になっている。資金運用部の金融債を一時的に買い入れることに対して、国債の市中消化という大原則からみて「問題のあったことは否定できない」としていながら、長期国債を直接市中から買い入れることについては、それほど問題視されなかったのであろうか。

 国債が戦後初めて発行されるまで、債券といえば政保債、金融債や電力債が中心であり、その買い現先が資金供給手段となっていたのなら、日銀も買い入れではなく現先方式がまず検討されてもおかしくなかったようにも思うが、このあたりについてはもう少し当時の様子を探る必要もありそうである。

 日銀が国債を買い入れるにあたり、発行後間もない国債を買い入れるということは、市中消化の原則からいって適当でないとの考え方から、発行後1年以内の国債は買入れの対象から除外することになった。ところが2002年1月に日銀、国債買入れ対象を発行年限別の直近発行2銘柄を除くに拡大している。このあたりの経緯についても、のちほどあらためて振り返ってみることにしたい。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ、通称、牛熊メルマガでは毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。登録申込当月分の1か月は無料でお読み頂けます。ご登録はこちらからお願いいたします。

BLOGOS版「牛さん熊さんの本日の債券」
まぐまぐ版「牛さん熊さんの本日の債券」

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp




[PR]
by nihonkokusai | 2012-06-28 09:15 | 国債 | Comments(0)

日本国債が政治の動きに鈍感な理由

 国債市場にとり、財政再建の行方は今後の国債需給などにも影響するはずのものであり、その影響力は大きいように思われるが、現実には今回の社会保障と税の改革法案の行方に関しても、あまり反応していない。日本の長期金利が低位安定しているのは、社会保障と税の一体改革関連法案は可決されるであろうとの楽観的な見通しが強かったため、とは言えまい。昨日、衆院で可決されたものの、事前にマーケット参加者の予想は可決される可能性は五分五分との見方も強かったはずである。このため多少なりとも、相場の変動要因に消費増税の行方が組み込まれているとすれば、民主党と自民、公明との折衝の状況を見ながら、もう少し神経質な動きを見せていてもおかしくはなかったはずである。

 債券市場では日本国内の政治の動きへの反応は限られている。2010年9月の民主党代表選挙で小沢前幹事長が立候補し、小沢氏が勝利すれば、ばら撒き政策による国債増発等があるのではないかと危惧され、その結果、債券先物が売られた小沢ショックなるものがあったが、それも一時的なものであった。

 何故、国債市場ではその発行額に大きな影響があるはずの政治動向に影響を受けにくいのか。この背景としては、先々にたとえ国債消化への懸念があろうとも、足下の需給についてはほとんど不安がないためであろう。市場に国債へのニーズがある限り、国債の急落はむしろ買い控えているような投資家の絶好の押し目買いチャンスと見なされてしまう。日本の信用不安を意識してのヘッジファンドなどによる債券先物の売り仕掛けがことごとく失敗しているのも同様の理由によるものである。

 日本国債の需給が安定しているのは、40兆円を超す新規国債が毎年度のように発行されようが、それを消化しうる資金が存在していることによる。国内資金で消化しうるからという見方もあるが、とにかく買い手が存在しているためである。

 1998年の海外格付け会社による日本国債格下げや運用部ショックを受けて、日本国債への危機説が高まったが、この時点でまだまだ国内資金に余裕が存在していた。その後も金融システム不安やITバブルの崩壊などもあり、金融不安や経済の低迷により安全資産としての預貯金に資金が流入した。また貸出の低迷、銀行への公的資金導入、日銀による国債買入増額を含めての金融緩和による市場への資金流入等もあり、国債に対して資金が流入しやすい構図が続いてきていた。

 リーマン・ショックや欧州の信用不安などを経て、日本の財政はさらに悪化するものの、日銀によるあの手この手の金融緩和策に加え、円高進行にともなう海外投資家による日本国債の購入増などもあり、とにかく国債に資金が回ってくる構図はむしろ強まるばかりとなっている。

 もちろん先々の日本国債への懸念は、大手銀行のトップもそのリスクを指摘するなどしているように、全く無視されているわけではない。しかし、それ以上に足下需給からは、そのリスクを意識してのポジションを取りにくくさせている。都銀は4月、5月と公社債を売り超しとはなっており、またここにきての超長期ゾーンの上値の重さなども、その背景には、日本国債への信用リスクの先行きへの懸念が多少影響しているのかもしれないが、せいぜい買いを控える程度のことしかできない。たとえば国債の価格下落に保険をかけようと債券先物をヘッジ売りしても、踏まされてその分の損失を被るだけである。

 一部の地銀が、日本国債へのリスクを意識してその保有を減らし、その分外債の比率を上げるとの報道があった。信用不安で日本国債の価格が急落すれば、外為市場では円安となり、その意味ではこれも保険になりうるが、その分為替リスクが増加する。日本国債は現状、そう簡単に暴落するようなことは考えづらく、信用不安での円安に賭けるとすれば、過去のオオカミ少年と同様の結果となることも予想される。この場合、日本国債への保険の意味合いで後ろ向きにポジションを調整するより、むしろ円高修正を予想しての外債運用と割り切ったほうが、運用担当者としてもやりやすいのではなかろうか。

 社会保障と税の一体改革関連法案は可決されるであろうが、その先、いったい政局はどのように変わるのかはまったく予測がつかない状況にある。もしこれがギリシャやスペインで同様の事態となれば、かなり長期金利は神経質な動きをしていたに違いない。しかし、日本国債については足下の好需給が先々のリスクも見えなくしている。だから政治の動きには鈍感となっているともいえるのではなかろうか。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ、通称、牛熊メルマガでは毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。登録申込当月分の1か月は無料でお読み頂けます。ご登録はこちらからお願いいたします。

BLOGOS版「牛さん熊さんの本日の債券」
まぐまぐ版「牛さん熊さんの本日の債券」

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2012-06-27 09:58 | 国債 | Comments(0)

6月以降の相場の流れの変化に注意

 いまさらではあるが、6月に入り金融市場の流れが大きく変わりつつある。欧州では6月17日のギリシャの再選挙という大きなイベントがあり、その結果次第ではギリシャのユーロ離脱も懸念されたが、最悪の事態は回避された。さらにギリシャへの懸念が後退したと思ったら、今度はスペインの金融不安が再浮上してきた。さらに欧米の景気の先行きが怪しくなり、これは中国などでも同様であり、世界的な景気減速の懸念もまた強まってきていたが、市場の動きを見る限り、いわゆるリスクオフの動きは6月に入ってからは弱まりつつあるように思われる。

 これについては何を持ってリスクオンやリスクオフをはかるのかという問題があるかもしれないが、ひとつの指標としては米国、ドイツ、英国、そして日本の各国債の利回りの推移変化がある。

 6月1日にドイツ、フランス、オーストリア、ベルギー、オランダ等の長期金利(10年国債の利回り)が過去最低を記録し、英国債も10年債が一時1.5%割れとなるなど、あらゆる年限で利回りでの過去最低を記録した。米10年債利回りも1.4%台に低下しており、30年債利回りも一時2.51%近辺に低下し過去最低利回りを記録していた。日本では4日に10年債利回りは0.8%割れとなり0.790%まで低下した。そして債券先物は一時144円台に上昇したのである。これを見る限り、リスクオフの動きがかなり強まっていたことがことが伺えた。

 しかし、これらの国債については、欧米では6月1日、日本では4日がピーク(利回りではボトム)となり、その後はそれぞれ動き方はことなるものの、利回りは上昇しつつある。

 株式市場においても同様の動きとなっており、日経平均株価は4日につけて8200円台を底にじりじりと値を戻す展開が続いている。米国株式市場でもダウ平均は6月5日をボトムに大きく上げ下げしながらもトレンドとしては上向き基調になっている。

 外為市場では、ユーロドルも6月1日あたりから徐々にユーロがドルに対して戻り基調となり、また逃避先のひとつとして買われていた円についても、ユーロやドルに対してじり安基調となっており、ユーロ円は一時101円台、ドル円は80円台を回復している。

 これらの動きについては、欧州への不安の強まりとそれを材料とした仕掛け的な動きも相まって、大きなリスクオフ相場を形成してきたが、さすがにその動きについても息切れしてきたことで少し反動があったと言えるかもしれない。ドイツ国債については、欧州危機によるドイツへの財政負担への懸念により売られている側面もあろう。

 これらの動きに対して、日本国債については10年債の0.8%割れや債券先物中心限月の144円台というのは、4日にピークアウトしたが、その後は意外なほどの下げ渋りとなり、10年債は0.8%台前半、債券先物も143円台後半でのもみ合いが続いている。ただし、超長期債については20年債が4日の1.6%割れから1.7%近くまで、30年債は4日の1.760%近辺から一時1.9%近くまで利回りが上昇するなど、それなりの調整が入っていた。こちらの方が、他市場の動きからみて素直な動きにも見えなくもない。

 10年債などの底堅さの背景には、6月の国債大量償還による影響などもあったと思われる。以前では投資家層が薄いといわれた10年債ではあるものの、日銀の金融政策による影響などもあり、0.8%近辺の膠着相場が続いているものと考えられる。

 しかし、日本の長期金利の1%割れの水準は、以前にも指摘していたが、警戒すべき水準でもある。何かしらのきっかけにより、一時的に今後調整売りが入り、大きく下げる可能性もありうる。もちろん2003年の債券急落相場の経験もあり、高値警戒も強いため0.8%を割り込んで買い進むこともないことで、この水準が居心地良いという見方もあるかもしれない。しかし、それでも過去の国債の動きを見る限り、利回りが歴史的な低水準にあることに変わりはない。

 現状、欧州の信用不安が後退するとの見方はむしろ少数派であろうし、欧米などの景気減速への懸念も強く、このままリスクオンの動きが続くというのも考えづらい面はある。しかし、あとから確認して世界的なリスクオフの動きは実は6月初めでピークを迎えていた、ということになる可能性も否定はできない。このあたり、欧米の市場動向、特にチャート面での動きについてみ注意深く見守る必要もありそうである。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ、通称、牛熊メルマガでは毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。登録申込当月分の1か月は無料でお読み頂けます。ご登録はこちらからお願いいたします。

BLOGOS版「牛さん熊さんの本日の債券」
まぐまぐ版「牛さん熊さんの本日の債券」

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp




[PR]
by nihonkokusai | 2012-06-26 09:43 | 債券市場 | Comments(0)

またまた少数派となったイングランド銀行のキング総裁

 イングランド銀行は20日に、6月6~7日の金融政策委員会(MPC)の議事要旨を発表しており、これによりこのMPCの際、資産買い入れ枠を3250億ポンドに据え置いたのは5対4の賛成多数による決定であったことが明らかとなった。しかも、キング総裁は、マイルズ委員、ポーゼン委員がとともに500億ポンドの増額を主張しており、フィッシャー委員の250億ポンドの増額の主張と合わせ、現状維持に対しての反対票を投じていたのである。キング総裁が少数派になるのは2009年8月以来だとか。

 2009年8月のMPCでは6対3で資産買取枠の500億ポンド増額が決定されたが、反対票(750億ポンドの増額主張)を投じた3名にキング総裁が含まれていた。 結果として少数派となっていたのである。

 2007年6月のMPCではキング総裁は0.25%の利上げに一票入れたものの、結局5対4で利上げは見送りとなった。2005年8月のMPCでも、5対4とこのときもキング総裁は少数派となっていた。

 このように現在のイングランド銀行の金融政策の決め方では、総裁が少数派となることがある。これについては1997年のイングランド銀行の改革の際、当時のジョージ総裁が次のような発言をしていた。

 「(新設されたMPCでは)学識のある9人の個人がそれぞれ結論を出す。そのプロセスが重要なのであって、たまたま(委員会)の議長(総裁)だからといって、1人が「こうでなければいけない」と仕切るのはプロセスの意図に逆らうこと。原則として、議長が考えを通そうとするのは間違いだと思ったからだ」(2005年5/3・10週刊エコノミスト「ロンドンで見たイングランド銀行 華麗なる改革史」より)

 まさに委員会制度をとるのであれば、このような決め方はたいへん透明性がある。ただし、日銀ではこのように議長である総裁が少数派に回ることは考えづらい。確かに2008年10月の0.5%から0.3%への利下げに際しては、利下げ幅を巡り水野委員、中村委員、亀崎委員そして須田委員が議長案に反対した。票決は4対4と真っ二つに別れ可否同数となったため議長が決するという異例の事態となったことはある。それでも議長案を出す際には、ある程度それが通るという見通しのもとで行われているようで、議長が少数派になりにくい決め方となっている。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ、通称、牛熊メルマガでは毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。登録申込当月分の1か月は無料でお読み頂けます。ご登録はこちらからお願いいたします。

BLOGOS版「牛さん熊さんの本日の債券」
まぐまぐ版「牛さん熊さんの本日の債券」

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp




[PR]
by nihonkokusai | 2012-06-25 09:49 | 中央銀行 | Comments(0)

イングランド銀行はいつどうして、インフレ・ターゲッティングを導入したのか

 2012年は米国と日本の中央銀行が揃って、実質的なインフレ目標値を採用したとして歴史に刻まれるのかもしれない。そこに至る経緯については、リーマン・ショックや欧州の信用不安により、中央銀行への期待がかつてないほど高まり、そのひとつの結果としてFRBも日銀も中長期的な物価目標を設定することになったと言えるのではなかろうか。

 インフレ目標とインフレ・ターゲッティングでは、言葉の上では目標達成への強制力の違いを感じるものの、実際には同じような意味の用語である。これは元々、ニュージーランドが導入したものを参考に、そののちイギリスでも導入したものである。

ここには現イングランド銀行総裁のマービン・キング氏も大きく関わっている。そして、その背景にはブラック・ウェンズデー(暗黒の水曜日)とも呼ばれたポンド危機があったのである。

 今回も2005年5/3・10週刊エコノミスト「ロンドンで見たイングランド銀行 華麗なる改革史」を元に、そのあたり探ってみたい。

 ブラック・ウェンズデーとは、英国ポンドがジョージ・ソロスらの投機筋により売り叩かれ、この結果、イギリスは1992年9月16日にEMRから離脱させられることになったまさに不名誉な日である。ジョージ・ソロスはこれにより「イングランド銀行を破産させた男」とも呼ばれた。

 しかし、この日をきっかけに英国は長期にわたる経済成長や低失業率とともに、歴史的にも低いインフレ率を享受するようになる。さらにこれをきっかけとして、イギリスはインフレ・ターゲッティングを導入することになる。

 ERM離脱により英国ポンドは変動相場制に移行し、ドイツマルクという大きなアンカーを失うことになる。さらに金融政策面ではインフレファイターとも呼ばれたブンデスバンクに追随することで間接的に得ていた物価安定の道標を失うこととなった。これはブンデスバンクからの楔から解き放たれたという見方もできるかもしれない。このため新しいよりどころを探る動きが英国財務省とイングランド銀行に出てきたのである。

 当時、イングランド銀行のチーフエコノミストとなっていたのが、マービン・キング氏であり、キング氏はもともとインフレ・ターゲッティングに意欲的で、ニュージーランドの事例を研究していた。

 ブラック・ウェンズデーから一週間もたたないうちに、導入の基本路線が固まり、時間を置かずに新政策が生まれた。1992年10月29日に当時のラモント財務相がインフレ・ターゲッティング導入に伴う新政策の内容を発表したのである。この際のインフレ目標は年率1~4%とした。

 1997年5月に英国ではブレア政権が誕生し、ブラウン財務相は就任わずか4日目に金融政策の大転換を行い、財務省から中央銀行であるイングランド銀行に金融政策の決定権を移し、独立性を高めるという大胆な改革に踏み切ったが、あらためてこの際にインフレ・ターゲッティングの土台も築かれた。インフレーション目標は政府が設定し、イングランド銀行はこれを達成するために必要な政策手段を決定するという役割となったのである。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ、通称、牛熊メルマガでは毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。登録申込当月分の1か月は無料でお読み頂けます。ご登録はこちらからお願いいたします。

BLOGOS版「牛さん熊さんの本日の債券」
まぐまぐ版「牛さん熊さんの本日の債券」

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp




[PR]
by nihonkokusai | 2012-06-24 12:18 | 中央銀行 | Comments(0)

5月も都銀は債券を売り超しに

 6月20日に日本証券業協会は5月の公社債投資家別売買高を発表した。これによると都銀は5993億円の売り越しとなった。4月に都銀は過去最高水準の5兆1028億円もの売り越しとなったことで、5月は多少なり買い越しに転じるのではないかとの見方もあったが、2か月連続での売り超しとなった。

 同時に発表された国債の投資家別売買高でみると、都銀は中期債を1兆237億円買い越したものの、超長期債は2498億円の売り超し、そして長期債は1兆4298億円の売り超しとなっていた。

 5月の10年債利回りは0.8%台での狭いレンジ内での動きが続いていたが、この水準では高値警戒も強くなり、都銀は結果として長期債は戻り売りスタンスとなったことで、結果として保有国債の残存期間は短期化したとみられる。

 ちなみに生保も5月は1215億円の売り超しとなっていたが、こちらは中期債を2174億円、長期債を3260億円売り超していたが、超長期債は3669億円と買い越しており、全体額をやや減らしたものの、保有国債の残存期間の長期化を行っていた。

 5月に都銀は売り超していたが、地銀は4284億円の買い越し、信託銀行も3168億円の買い越し、農林系金融機関も6674億円の買い越し、信金も7948億円の買い越し、そして外国人も6933億円の買い越しとなっていた。地銀は中期債主体、信託は超長期主体、農林系も超長期主体、信金は中期主体、外国人は長期主体のそれぞれ買い超しとなっていた。

 5月の債券相場が高値圏で安定していたのは、ギリシャの連立協議の決裂やスペインの銀行への懸念などにより、欧州の信用不安がさらに強まり、リスクオフの動きが強まったことで安全資産として米国債やドイツ国債等が買われ、日本国債も買われた。ただし、2003年のVARショックの記憶も残り、都銀や生保などは売買を慎重に行っていたようである。これに対して都銀以外の金融機関はこつこつと買いを入れていたようである。

 ちなみに5月の短期債の売買高をみると、外国人が11兆6562億円、信託銀行が9兆3760億円の買い越しとなっていた。それぞれ大幅な買い越しが続いており、特に外国人は昨年10月以降、10兆円を超える短期債の買い越しが継続している。この背景には欧州の信用不安とともに円高が影響しているとみられ、この買越額が大きく減少するようなことがなければ、日本の債券相場は高値圏での推移が続くと見ることができるのかもしれない。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ、通称、牛熊メルマガでは毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。登録申込当月分の1か月は無料でお読み頂けます。ご登録はこちらからお願いいたします。

BLOGOS版「牛さん熊さんの本日の債券」
まぐまぐ版「牛さん熊さんの本日の債券」

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp




[PR]
by nihonkokusai | 2012-06-22 09:47 | 債券市場 | Comments(0)

2012年3月末の日本国債の保有者

 19日に日銀は1~3月期の資金循環統計を発表した。これによると2012年3月末時点の家計の金融資産は1513兆3619億円(2011年12月末速報値1483兆4822億円)、金融資産・負債差額は1145兆3902億円(同1126兆6471億円)となった。

 家計の金融資産は12月末より増加していたが、1500兆円近辺での頭打ち状態は続いている。また、民間の非金融法人企業の現金・預金は224兆8566億円(同204兆8121億円)となっていた。

 これに対して一般政府の金融資産は487兆6465億円(同473兆6671億円)、金融資産・負債差額はマイナス611兆6411億円(同625兆4282億円)となっており、負債総額は1099兆2876億円(同1099兆953億円)となっていた。

 この資金循環統計を基に、2012年3月末時点の国債保有者別の残高と全体に占める割合を算出してみた(国債・財融債のみ、国庫短期証券は含まず)。

 3月末の国債(国債・財融債のみ)の残高は、760兆6926億円(同755兆3903億円)と12月末から5兆3023億円増加した(速報ベース)。国庫短期証券を加えると約919兆円となる。参考までに日銀の資金循環統計の数値は額面ベースではなく時価ベースとなっている。

 日本国債の最大の保有者は銀行など民間預金取扱機関となり、金額で280兆1178億円(同274兆2246億円)、全体に占める割合は36.8%(同36.3%)となった。次に民間の保険・年金が199兆9108億円(同198兆5191億円)の26.3%(同26.3%)、そして、公的年金が69兆9124億円(同69兆7122億円)の9.2%(同9.2%)、日本銀行が72兆3903億円(同67兆6307億円)で9.5%(同9.0%)、海外が47兆1546億円(同50兆9099億円)の6.2%(同6.7%)、投信など金融仲介機関が33兆571億円(同36兆1849億円)の4.3%(同4.8%)、家計が27兆6729億円(同28兆4541億円)の3.6%(同3.8%)、財政融資資金が8795億円(同7559億円)の0.1%(同0.1%)、その他29兆5972億円(同28兆9989億円)の3.9%(同3.8%)となった。

 前回の2012年12月末に比べて残高が大きく増加していたのが、銀行など民間預金取扱機関で5兆8932億円増(速報ベースでの比較)、続いて日銀の4兆7596億円増となった。民間の保険・年金は1兆3917億円増となっていた。

 これに対して大きく減少していたのが、海外投資家で3兆7553億円の減少となっていた。また、投信など金融仲介機関も3兆1278億円減、家計が7812億円の減となった。

 9月から12月にかけて大きく売り越していた銀行が今年1月から3月期は買越しに転じ、日銀は基金による国債買入等も進め残高は膨らみ、全体のなかのシェアも10%近くまで上昇してきた。これに対し海外投資家は、欧州の信用不安が今年に入り一時的に後退していたこともあり、やや残高を落としていたものとみられる。

 国庫短期証券を含んだ数字でみると、海外は全体の8.3%のシェアとなり(日銀の参考図表を参考)前回の8.5%よりは低下したものの、これまで最高だった2008年9月末の8.5%に近い水準となっている。

 参考までに前年度末に比べての国庫短期証券を含んだ国債の合計額を比較すると、海外が23.0兆円、中央銀行が13.4兆円、国内銀行が12.4兆円増となっている。これに対し一般政府・公的金融機関の保有額が13.4兆円減、家計が11.1兆円減という数字となっていた。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ、通称、牛熊メルマガでは毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。登録申込当月分の1か月は無料でお読み頂けます。ご登録はこちらからお願いいたします。

BLOGOS版「牛さん熊さんの本日の債券」
まぐまぐ版「牛さん熊さんの本日の債券」

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp




[PR]
by nihonkokusai | 2012-06-21 09:45 | 国債 | Comments(0)

1997年のイングランド銀行改革の背景

 これまで本やコラムを書くために中央銀行の歴史を調べてきたが、ひとつ気になっていたことがあった。それは1997年のイングランド銀行の改革に関してである。これについては以下のように私は本の原稿でまとめていた。

 「1997年5月にブレア政権が誕生し、ブラウン財務相は就任わずか4日目に金融政策の大転換を行い、財務省から中央銀行であるイングランド銀行に金融政策の決定権を移し、独立性を高めるという大胆な改革に踏み切ったのです。この改革とは、イングランド銀行総裁、副総裁、理事、外部らの委員で構成される金融政策委員会へ政策運営権限を委譲すること、外国為替市場介入権限を部分的にイングランド銀行へ委譲すること、準備預金制度の法制化、銀行監督権限をイングランド銀行から分離し新設された金融監督庁へ移管すること、そして国債管理業務の財務省への移管などでした。」(「金融」のことがスラスラわかる本、秀和システム)

 しかし、実際になぜ、このときにイングランド銀行の改革が進められ、それは誰がどのようなことを背景に企画していたのか。もう少し具体的なことが知りたかった。これについて、毎日新聞の福本容子論説委員が、以前、週刊エコノミストに投稿された記事に詳しくまとめられていたことをご本人から教えていただいた。今回はその記事を元に、当時何が起きたのかを振り返ってみたい。

 1997年5月6日、18年ぶりに労働党が勝利した総選挙から6日目に開かれたゴードン・ブラウン新財務相(のちに首相)の初会見では、記者が皆、利上げの発表と予想していたようであるが(当時の金融政策の決定権は財務相)、実際に利上げも発表されたが、それと同時に発表されたのが、上記にもあるように金融政策決定権を財務相からイングランド銀行に移譲するというものであった。これは記者達も度肝を抜かれたそうである。

 この世紀の大改革のシナリオはすでに5年前に書かれていたそうで、その著者は当時25歳の若さでブラウン氏から顧問に起用された「フィナンシャル・タイムズ」の記者、エド・ボールズであった。「万年野党に甘んじていた労働党が政権党として信頼を得るには、経済界、特に金融市場の信用が不可欠だとボールズ氏は考えていた・・・金融政策を政治から切り離し、イングランド銀行に任せることで、労働党は独自の経済政策に専念できると訴えていた。訴えは、そのままブラウン氏の政策方針となった。」(2005年5/3・10週刊エコノミスト「ロンドンで見たイングランド銀行 華麗なる改革史」より)

 これが1997年のイングランド銀行における改革が行われたそもそもの背景であった。しかし、この改革のシナリオを若干25歳の若者が作り上げたのは驚きであった(エド・ボールズ氏はのち議員となり、影の財務相となっている)。

 金融市場の信任を得るために中央銀行の独立性をはかるということは、長らく市場を見てきたものとしても正しい認識であると考える。これに対し日本では、長らく野党に甘んじていた民主党が政権を担ったあと、その民主党内から日銀の独立性を縛りかねない日銀法改正のような動きが出るというのは何事であろうか。ましてや自民党からも同様の動きが出ている。この動きは市場からの信任をも失いかねないことを、果たして日本の国会議員達は理解しているのであろうか。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ、通称、牛熊メルマガでは毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。登録申込当月分の1か月は無料でお読み頂けます。ご登録はこちらからお願いいたします。

BLOGOS版「牛さん熊さんの本日の債券」
まぐまぐ版「牛さん熊さんの本日の債券」

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2012-06-20 09:49 | 中央銀行 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー