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2年国債入札における事務トラブル

 2012年5月29日の2年国債入札において、珍しいアクシデントが発生した。事務トラブルにより2年国債入札が再入札となったのである。この原因とともに、その影響等について考えてみたい。

 現在、利付国債の入札は10時30分に利率や回号、償還日等々の条件が通知される。入札締め切りは12時ちょうど。入札結果の発表は12時45分となっている。

 ところが29日の入札結果の発表時間前に、財務省は「入札事務トラブルの発生により、結果の発表時刻は、予定時刻(12時45分)から遅れる見込みです」との通知を出した。

 この時点では、何が起きたのかは市場参加者には具体的に知らされておらず、「入札事務トラブル」という言葉からある程度、推測せざるを得なかった。懸念されたのは入札で使われる日銀ネットそのもののシステムトラブルであったが、事務トラブルということで、システムそのものではなく、どうやら人為的なミスであった可能性が高いと思われた。

 日本の財政にも大きな影響を与えかねない国債入札のトラブルではあったが、市場はかなり冷静に対応した。債券先物はむしろ買いが入り、143円43銭の高値をつけたぐらいである。このあたり、大きなトラブルではないとの認識もあったであろうし、2年国債ということでの安心感もあったとみられる。

 ここで国債市場関係者以外の方には説明が必要なことがある。日本国債の入札は財務省が担当しているが、利払い、償還、そして決済等は日銀が行っており、入札における事務作業も、通知を行ってからは日銀の仕事となる。入札の入力には、財務省とのオンラインシステムとかがあるわけではなく、日本の金融の基幹インフラである日銀ネットが使われているのである。国債入札のシステムの設定等は日銀の担当者が行っており、いち早く国債入札の結果を知るのも日銀の担当者と言うことになる。

 今回のアクシデントについて、入札事務トラブルとの表現が使われ、それはつまり日銀の国債関係の担当者による何かしらのミスがあったということが考えられた。実際に日銀の事務方が誤った入力をしたことが原因とも報じられた。

 国債入札では、その落札実績に応じて四半期ごとの落札限度額を増減させる仕組みがあるのだが、日銀の担当者がその情報を更新し忘れたことが原因のようであった。入札の際に日銀ネットの入力に際しては、証券会社などの担当者も数度のチェックが必要となる。当然ながら日銀の担当者はその設定等に対しては、それ以上に二重三重のチェックを行っていたようだが、それが機能しなかったとの説明があったようである(ロイターの記事を参考)。

 今回のアクシデントにあたっては、日銀ネットを使う作業でありながら、短時間のうちに再入札の実施を決めるなどのすばやい対応もあり、大きな影響が出ることはなかった。このあたり財務省や日銀担当者が非常事態に対して適格に対応した結果と思われる。

 今回は2年国債であったことも、その影響を限定させた。日銀の「強力な金融緩和策」も手伝い、銀行からの2年債へのニーズは強い。現実に昨日の2年国債の再入札における応札倍率は10倍に近かった。さらに2年債では、残存7年の国債に連動する債券先物でヘッジを使うことは考えづらく、このあたりも再入札の結果発表が15時15分と、先物の大引けあととなったことによる影響もなかった。もしこれが10年債とかの入札であれば、市場参加者からの苦情等が出ていた可能性はある。

 29日の事務トラブルで、財務省や日銀の国債担当者はかなり冷や汗をかいたのではなかろうか。しかし、このような人為的トラブルは完全に無くすことはできない。むしろ、国債入札がシステム化されてから、ほとんどトラブルらしいトラブルがなかったことのほうが奇跡に近いような気がする。今回のことはむしろ良い教訓とともに良い経験になったのではなかろうか。今後も日本国債の大量発行は続く。日本国債の信認を維持させるには、このような裏方の仕事もたいへん重要であり、小さなミスが大きな事故とならぬよう心がけていただければと思う。


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by nihonkokusai | 2012-05-31 09:53 | 国債 | Comments(0)

東日本大震災の際の日銀の対応を振り返る

 2011年3月11日の14時46分頃に発生した東日本大震災の際に、日銀はどのような行動を起こしていたのか。日銀のサイトにアップされていた「東日本大震災におけるわが国決済システム・金融機関の対応」、「決済システムレポート2010-2011」、「2010年度の金融市場調節」などを参考に追ってみたい。

 マグニチュード9.0の地震と、その後の大規模な津波により甚大な被害が東北地方を中心に生じたが、最も気になる決済システムに関しては、日銀ネットや各民間決済システムは正常に稼働し、資金決済・証券決済は予定通り終了していた。日銀のシステムセンター所在地でも震度5弱を記録したが、日銀ネットの運行に支障はなく安定的な稼働が維持されたそうである。

 これについて日銀の資料(決済システムレポート)でも「決済システムや金融機関は、震災発生後も全体として安定的に業務を継続し、金融インフラとしての正常な機能を維持した。」とある。

 金融機関では、一時多くの営業店舗を閉鎖せざるをえず、各地の手形交換所も、施設の損壊や参加金融機関店舗の被災から、休業を余儀なくされるところが目立った。都心部でも一部金融機関の施設・設備等に影響が出ていたようである。

 日銀は地震発生直後(15時)に、総裁を本部長とする災害対策本部を設置した。大きな災害時には預金者による預金の引出しが増加する傾向があるため、日銀は金融機関と連携し、その対応を行った。被災直後の 12 日(土)、13 日(日)には、青森、仙台、福島の各支店や盛岡事務所において、金融機関への現金供給を継続した。

 日銀本店でも、12日に臨時に窓口を開け、硬貨を中心に現金を金融機関に供給した。首都圏では地震発生当日の 11日夜から 12日の朝にかけて、帰宅困難者を中心に、コンビニエンスストアや商店で飲食物や日用品が大量に購入された結果、一部に硬貨の不足が懸念されたことに対応したものだそうである。

 また、津波の被害が大きく水に浸かった現金の引換えや、火災で損傷した現金の引換え依頼も生じており、こうした損傷現金の引換えに応じる体制も整えた。1923年9月1日(土)に発生した関東大震災によって日銀も被災したが、週明け3日には営業を再開し、焼損した紙幣の引換に応じるなどしていた。

 さらに金融上の特別措置として、預金証書、通帳を紛失した場合でも預金者であることを確認して払戻しに応じること、届出の印鑑がない場合には拇印で応じること、災害時における手形の不渡処分について配慮すること、汚れた紙幣の引換えに応じること、有価証券喪失の場合の発行手続きについて協力する等の対応も行われた。

 「今回の大震災では、一時、海外を中心に、わが国証券市場や決済インフラに関する根拠のない噂が一部に聞かれた」とあり、これに対応するため、日銀は、震災発生直後から、ホームページ等を通じて、日本銀行の業務継続状況や、決済システムや金融機関の対応について、正確かつ迅速に情報を発信することに努めたとある。関東大震災でのデマ等が大きな問題となったが、今回の震災では、根拠のない噂や情報不足に起因する不安心理は回避されていたようである。

 「短期金融市場、外国為替市場および証券市場では、災害時に市場参加者間のネットワークを維持するための取組み(市場レベルBCP)が行われている。具体的には全国銀行協会、東京外国為替市場委員会および日本証券業協会が事務局となって、あらかじめ専用ウェブサイトを設け、災害時に情報収集や市場慣行変更の推奨等を行える仕組みを整備している。今回の大震災では、参加者は専用ウェブサイトを通じて、取引・決済の可否などの業務状況につき情報を共有した。この結果、主要な取引・決済システムや市場参加者は正常な稼働を続けていることが確認されたため、市場慣行変更の推奨等を行うには至らなかった。」(決済システムレポート)

 14日の金融市場では、震災の影響が十分に把握できないもとで、先行きの不確実性が強く意識されたことに対応し、日銀は9時1分(過去最大規模の7兆円)、10時30分(5兆円)、12時50分(3兆円)の3回に分けて、総額15兆円の即日資金供給オペを実施した。また、先日付オペについても、7月15日を最後にオファーを停止していた国債買現先オペを再開するなど、総額6.8兆円の資金供給オペを実施している。

 そして、14日から15日にかけて開催予定の日銀の金融政策決定会合は、14日のみの開催とし当初13時からとしていた開始時間を12時に早めた。この日、日銀は追加緩和を決定し、資産買い入れ基金を総額5兆円から10兆円に拡充した。


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by nihonkokusai | 2012-05-30 10:03 | 日銀 | Comments(0)

4月27日の追加緩和の理由

 2012年4月27日に日銀は資産買入等の基金を5兆円程度増額するという追加緩和策を決定した。資産買入等の基金を65兆円程度から70兆円程度に5兆円程度増額する。内訳としては、長期国債(残存1年以上3年以下)を10兆円程度増額し、期間6か月の固定金利式・共通担保供給オペは応札額が未達となるケースが発生しているため、これを5兆円程度減額する。そしてETFの買入を2千億円、J-REITの買入を百億円程度増額する。

 何故、このタイミングで追加緩和を行ったのか。それと緩和効果を引き出すために、いろいろと工夫もみられたが、このあたりのやりとりについて28日に発表された金融政策決定会合から探ってみたい。

 追加緩和の理由として、「依然として様々な不確実性があることを踏まえ、委員は、そうした見通しをより確かなものとするため」とある。不確実性は常に存在しており、追加緩和の理由としては少し弱い。しかし、市場や政府関係者からの追加緩和要求や、同時に発表された展望レポートとの兼ね合いなどがあったとも推測され、不確実性を理由としたのは致し方のないところか。

 今回の基金増額が国債主体となったことについて、「複数の委員は、日本銀行の国債買入額がきわめて多額となっていることを踏まえると、日本銀行の強力な金融緩和が財政ファイナンスと誤解されることのないよう、細心の注意を払う必要があると付け加えた」とある。基金による国債買入を含むと、今年末には日銀の保有する国債が、日銀券残高を上回る計算となり、このあたりも意識しての発言と思われる。現状、市場では日銀の国債買入について、財政ファイナンスと認識して懸念する見方は表面上は出ていない。

 資産買入等の基金の増額にあたって議長が、執行部に説明を求めている。執行部から、J-REITは少額ならば買入増額の余地はあるとし、長期国債については、買入額を大幅に増額し、かつ残存期間を1~2年程度に限定した場合 、円滑に買入れを進めていくうえで先々支障が生じる可能性がある。日銀の財務の健全性という観点からみると、ETFについては、価格変動リスクが大きい点に留意する必要があるとの指摘があった。

 これを踏まえて委員は議論を行ったとあるが、これは事前に検討されていたものと推定される。6か月物の固定金利オペにおいて応札額が未達となるケースも配慮され、固定金利オペを5兆円程度減額し 、長期国債の買入れに振り替えることが適当との認識を共有したとある。しかし、事前に市場参加者からこのような予想はほとんど出ておらず、このあたりは工夫がみられたとの認識であった。

 ここで用語の使い方について、少し注意したいのが「未達」と「札割れ」である。6か月物の固定金利オペについて日銀は「未達」と表現している。日経新聞などではこれを「札割れ」としているが、確かに目標額に対して達成しておらず、札割れが生じているのだが、ここでは少し使い分けも必要となる。つまりオペや入札で目標額に達してなくても、別なかたちで目標額がカバーされれば、それは「札割れ」と表現されることが多い。2002年9月の日本の10年国債入札で生じたものや、2011年11月のドイツ国債の入札で起きたのは、それぞれシ団や中央銀行が残りを一時的にカバーしたことで、政府は目標とした資金は調達できたため「札割れ」と表現された。これに対し目標額を完全に調達もしくは供給できない場合は、これと区別し「未達」との表現が使われる。今回、日銀も「札割れ」と表記しなかったのはその理由によると推測される。

 そして「2年までの金利がきわめて低い水準まで低下してきていることを踏まえると多額の長期国債や社債の買入れを円滑に進め、長めの金利に効果的に働きかけていくためには、買入対象年限を3年まで延ばすことが適当との考えで一致した」とあるが、年限を5年まで延ばすことを主張した委員はいなかったのであろうか。現在、利付国債は2年債の次は5年債が発行されており、現在3年債の発行は停止されている。新発債はそこそこ流動性はあるが、いったんポートフォリオに組み込まれたものは、新発債ほどの流動性はない。このあたりのことを配慮すると5年まで延長してはとの意見があったとしてもおかしくはなかったはずである。

 これについては、「期間3年以下の貸出の割合が高く、それに概ね対応する期間の金利に働きかけることが引き続き効果的と考えられる」との付言もあったのを見ても、事前に3年までの延長で問題ないとの認識が出来ていたのかもしれない。

 「本年中の長期国債の買入れペースがすでにきわめて大きな金額となっていることを考えると、長期国債5兆円分については 、2013年入り後、同年6月末を目途に買入れていくことが適当との認識を共有した。」

 このあたりの技術的なことが、あっさりと共有されたとも考えづらく、事前に検討されていた可能性が高い。また、2013年6月末を見据えた数字も示されたことで、現在の買入ペースを来年に入っても行うとすれば、あと5兆円程度の国債買入等も可能との見方も出来ることとなる。

 このあと、「消費者物価の前年比上昇率1%が見通せるまでは、機械的に基金の増額を続けていくという誤解が一部にみられることについて」の懸念も示されたが、これは2月14日のバレンタイン緩和により、「誤解」というより「期待」を生じさせて、それが為替市場や株式市場に影響を与えたとも言える。もし市場心理も意識しての金融政策となるのであれば、勝手な市場の解釈(?)について無理に誤解を解くこともないように思うのであるが。


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by nihonkokusai | 2012-05-29 10:06 | 日銀 | Comments(0)

日本の債券の最大保有国は中国

 日銀が発表している国際収支統計の中に、「直接投資・証券投資等残高地域別統計」というものがあり、毎年5月か6月頃に前年末の数字が発表されている。5月22日に2011年末のデータが公開されており、日銀のサイトにアップされているZIPファイルを開くとこの数字が確認できる。

日銀のサイトにある国際収支統計 http://www.boj.or.jp/statistics/br/bop/index.htm/

 このうち証券投資等(負債)残高地域別統計の数字が海外からの証券投資(株式・債券)、さらに派生商品のそれぞれ残高が確認できる。今回はこのうち債券に絞り、日本の債券(そのほとんどは国債と推測される)の保有国を確認してみたい。

 現在、日本の債券の最大保有国は中国となっており、17兆9538億円の保有額となっている。内訳として中長期債が5兆6603億円、短期債が12兆2935億円となっている。保有する外貨準備の運用の多様化の一環として、日本の債券を保有しているとみられるが、中長期債の保有額は英国や米国に比較すれば小さい。英国はトータルで11兆4884億円、中長期債が8兆8948億円、短期債は2兆5936億円。さらに米国はトータルで10兆1153億円で、中長期債は6兆4807億円、短期債は3兆6346億円の保有となっている。

以下は主な日本の債券保有国。

国、日本の債券保有額、うち中長期債、短期債
中国、17兆9538億円、5兆6603億円、12兆2935億円
英国、11兆4884億円、8兆8948億円、2兆5936億円
米国、10兆1153億円、6兆4807億円、3兆6346億円
ルクセンブルグ、7兆2234億円、1兆3994億円、5兆8241億円
フランス、5兆2799億円、3184億円、4兆9615億円
シンガポール、4兆7653億円、2兆6709億円、2兆944億円
ベルギー、4兆1388億円、2兆4101億円、1兆7287億円
ケイマン諸島、3兆4486億円、2兆4590億円、9896億円
スイス、2兆6624億円、2兆3974億円、2650億円
タイ、2兆434億円、3262億円、1兆7172億円
サウジアラビア、1兆9153億円、1兆8985億円、168億円
カナダ、1兆4355億円、1兆645億円、3710億円
香港、1兆3820億円、5343億円、8477億円
アラブ首長国連邦、1兆3612億円、3871億円、9741億円

国際機関、5兆9310億円、5648億円、5兆3661億円

 海外諸国による日本の債券保有は全体91兆6391億円のうち、中国・英国・米国で40%以上を占めている。短期債を見ると大量に保有していたとみられる英国が少ないが、これは毎月の国際収支統計で公表されている対内外証券投資統計とは異なり、こちらの数字は英国経由で買われてもその資金元となっている国に数字がカウントされているためとみられる。

 ついでに10年前の2001年の同じ資料を見ると、最大保有国は英国で14兆7142億円と突出して多く、次に米国の6兆1475億円、シンガポールの2兆4733億円が目立つ程度。このときの中国による日本の債券保有は9011億円にすぎなかった。


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by nihonkokusai | 2012-05-28 09:21 | 国債 | Comments(2)

付利引き下げの可能性と市場との対話(白川日銀総裁会見より)

 2012年5月23日の金融政策決定会合の終了後に行われた白川日銀総裁の会見の内容が日銀のサイトで公表された。今回はこの中から気になったところをピックアップしてみたい。

 まず、5月16日に日本の2年債利回りが0.1%割れとなり、この日にオファーされた日銀の基金による国債買入(残存1年以上2年以下)で初の札割れが発生した要因のひとつともなった当座預金の付利水準の引下げに関して白川総裁は下記のように答えている。

 「当座預金の付利水準の引下げについては、日本銀行として金融緩和政策を行うことによる金利低下の効果と、他方で市場金利が低下し過ぎて短期金融市場における流動性が低下し、いざという時に市場参加者が資金調達を行おうとしてもなかなかできないという副作用があります。その双方を勘案した上で、現在の枠組み、つまり、0.1%の超過準備への付利金利と、0~0.1%程度の金利誘導目標という組合せのもとで、金融緩和効果が最大限発揮されると考えています。従って、それらの金利の更なる引下げは、デメリットが大きいという点で、現在の水準が実質的なゼロ金利だと考えています。」

 この表現から見る限り、日銀は付利水準の引下げを行う可能性は極めて低いものと思われる。実際に付利水準の引下げをしたとしても、実質的な緩和効果は極めて限定的であり、これをゼロとしてしまうと固定金利オペの応札等が減少し、短期金融市場における流動性低下も避けられない。このあたりのことを意識すれば、追加緩和としての付利水準の引下げは、日銀の選択肢には現状では入っていないと思われる。

 そして、こちらは外為市場などで少し材料視されたとみられる「強力な金融緩和を推進していく」という表現が今回の金融市場調節方針に関する公表文から消えたことについての質問があった。ちなみにこれを削除したことで、日銀が金融緩和に前向きの姿勢が中立に変わったのかとの思惑も市場では出ていたようである。

 これに対して総裁は、「日本銀行が中立的なスタンスになったということは全くありません。日本銀行の政策スタンスは、4月の展望レポート発表時の公表文に書いた通り、「強力な金融緩和を推進していく」ということで、全く変わっていません。」と答えている。

 しかし記者からは畳みかけるように、「最近、行内の人事異動が発表されましたが、これは政策姿勢と何ら関係ないという理解でよいかどうか、確認させて下さい。」との質問が出ていた。

 ちなみに日銀は5月11日に金融政策を立案する企画局の門間一夫局長が政策担当理事の理事に昇格し、政策担当理事の雨宮正佳氏が大阪支店長となり、後任の企画局長には内田真一氏が就任している。このタイミングでの異動は極めて異例とみられた。当然ながら、この人事異動により金融政策のスタイルが変化するのではとの観測は、特に記者の中では当然あったはずである。それがこの「強力な金融緩和を推進していく」との表現の削除に影響があったのではと思われても致し方はないところではなかったろうか。

 「これはしつこいようですが、全く関係ありません。日本銀行はオフィシャルな文章で「強力な金融緩和政策を推進する」と 2月に発表し、4月の文章にも書いています。ご質問は、「その文章を反故にする」ような趣旨に聞こえましたが、そうした意図は全くありません。そうした誤解がないように、皆さんの報道をよろしくお願いします。それから、人事と政策は全く関係ありません。」

 果たしてこれを額面どおり記者が受け取ったかどうかは定かではないが、政策そのものを決めるのは確かに決定会合での政策委員ではあるが、表明文などにはそれを作成する企画担当者が変われば、表現方法に変化があってもおかしくはない。市場はそれに対してやや過剰に反応した面もあるが、ここに日銀が何かしらの意図を秘めていると推測されてもやむを得ないものでもあったと思われる。このあたり、日銀が市場との対話を重視するのであれば、必要以上に憶測が出るようなことは避けるべきではなかったかと思われる。

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by nihonkokusai | 2012-05-27 09:43 | 日銀 | Comments(0)

首都圏で震災があった際の債券市場

 1923年9月1日に発生した関東大震災によって、東京株式取引所(現在の東京証券取引所)の建物が全焼し、10月27日から焼け跡の天幕内で株式の現物取引を開始したと東証のサイトにある「日本経済の発展を支えた東証の足跡」に記されている。

 日銀も被災したが、週明け3日には営業を再開し、焼損した紙幣の引換に応じるなどした。ただし、大蔵省印刷局も被災したため、紙幣不足が見込まれ、200円という高額紙幣を国債証書の用紙を用いて大阪で作られた。しかし、これは結局使われることはなかったそうである(日銀サイト「日本銀行 あの日の記録」より一部引用)。

 この震災によって、関東地方の企業は壊滅的な打撃を受け、損害を受けた企業は震災前に振り出した手形を決済することができず、それを抱えた市中銀行も資金繰りに支障をきたすようになった。政府はこのためモラトリアムを出して、9月中に支払期限を迎える金融債権のうち被災地域の企業・住民が債務者となっているものについては支払期限を1か月間猶予した。

 さらに9月29日に震災手形割引損失補償令が出され、震災地を支払地とする手形や震災地に営業所を有していた商工業者を債務者とする手形等(震災手形)については、特別に日本銀行による再割引、つまり、銀行がもっている震災手形を日本銀行に買い取らせた。これに伴い日本銀行が損害を受けた場合は政府が補償することになった。

 もし、関東大震災クラスの直下型地震が首都圏で発生した際には、どのような状況になるであろうか。東日本大震災の際には、支払期日に企業が手形の決済ができない場合も、「不渡り」として扱わないよう全国銀行協会が金融機関に要請した。また、被災者が預金通帳や印鑑を持っていなくても、免許証などで本人だと確認できる場合、預金の引き出しに応じるといった対応もなされた。

 しかし、首都圏には企業が集中しているばかりか、金融機関の本店も被災される可能性がある。もちろん大手金融機関などはバックアップシステムも整ってはいると思われるが、かなりの混乱は避けられないとみられる。

 また、金融取引の基幹システムといえる日銀ネットなどの日銀のシステムについても、機能停止になることはないと思われる。しかし、一時的にせよ停電等の発生により、ATMが使えなくなるケースも多くなるとともに、電子決済は難しくなるため、現金がより必要となることになるものと予想される。このあたりについては、日銀などを中心にいろいろな想定でシミュレーションも行われていると予想される。

 それでは債券市場はどうなってしまうであろうか。たとえ決済システムが生きていたとしても、債券相場そのものは当分の間は停止状態になるものと思われる。債券市場でのベンチマークとなっている長期国債先物を取引している東証は、被害状況によるが一時的にせよ売買を停止してくる可能性がある。また、現物債については日本相互証券の売買が止まってしまうと、現物国債の取引の目安がつかなくなる可能性がある。そもそも市場参加者が取引どころではなくなる可能性があり、むしろ震災前に約定したものの決済が問題視されるかもしれない。これについても現物債は4日目渡しから3日目渡しになったことで、以前に比べればそのリスクは1日分軽減されている。日銀ネット等の決済システムは機能しているとみられるが、日銀ネットを使わない決済分については、一部で支障が出てくる恐れもある。

 現在の国債の売買は東京中心で行われていることで、それを大阪などで代替で行われることも考えづらい。つまり首都機能がある程度回復されるまでは、日本の債券の売買は一時的に停止される可能性がある。もちろんこれはあくまで債券の約定や決済の動向予想であり、相場そのものは日本経済が壊滅的な影響を受けた段階で、海外市場などで大きな動きを見せることが考えられる。そして、さらに国債市場にとり問題になるのは、その後の復興費用とそれにともなう巨額の国債発行となろう。

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by nihonkokusai | 2012-05-26 10:09 | 債券市場 | Comments(0)

ユーロのアキレス腱

 ギリシャ神話に出てくるアキレス(アキレウス)は、本来不死身の体となるはずであったが、そのために冥界の河に体を浸した際、母親が掴んでいたかかとだけが不死とならず、トロイア戦争ではここを射られ、アキレウスは死に到る。これがアキレス腱の由来となったのはご存じの通り。

 欧州の信用危機の発端となったギリシャだが、ここにきてユーロ離脱という最悪の事態が現実味を帯びだした。ギリシャのパパデモス前首相がダウ・ジョーンズ通信のインタビューで、ギリシャがユーロ圏から離脱するリスクは現実味がある、と述べたと伝わり、のちにそれは否定されたが、その後、ギリシャ離脱に備えユーロ圏各国が対応策準備へ、との報道も出た。ベルギー財務相が、ギリシャのユーロ離脱に備えた危機管理計画が策定されていると明らかにしているとも報じられた。

 6月17日の選挙結果次第では、ギリシャのユーロ離脱の可能性があり、それに備えた動きがあることが表面化した。このような備えは当然必要ながら、それが公然と報じられるほど、ギリシャを巡る問題は深刻化しているようである。

 オーストリア財務相が「ギリシャがユーロから離脱するにはEUから脱退する必要がある」との認識が示されていたように、ユーロ圏だけでなくEUからの離脱の可能性もある。そうなれば、盤石であったはずのヨーロッパの壮大な試みに対して、ギリシャがアキレス腱となり、崩れ去る懸念もある。

 そういえばJPモルガンの巨額損失問題では、損失を出したのはギリシャ出身のアキレス氏だそうだが、こちらも盤石なリスク管理をしていたはずの銀行で、アキレス氏がまさにアキレス腱となったようである。

 それはさておき、ロイターによると、ユーロ圏諸国が検討すべき要素をまとめた文書の中で、ギリシャがユーロ圏の離脱に踏み切った場合、ギリシャの痛みを和らげるため、欧州連合と国際通貨基金は最大500億ユーロの資金援助を行う可能性があるとしていたようである。

 ユーロ圏離脱はギリシャ政府に甚大なコストをもたらす。それはギリシャ国民に降りかかることになるが、もちろんユーロ圏諸国の負担も非常に大きなものとなる。だからこそ、市場ではギリシャのユーロ離脱の懸念だけでも、敏感に反応し、リスクオフの動きを強める格好となっている。

 ユーロの中でのギリシャは、当初からアキレス腱とみられていたようだが、政治的な配慮などからある程度、ギリシャの財政については目をつぶっていた節がある。ギリシャのユーロ参加審査の際、実際にはユーロ参加のためのマーストリヒト基準を満たしていなかったことが明らかになっていた。さらに2009年の政権交代後に改訂された財政収支GDP比の数値が大幅に下方修正されたことをきっかけに、ギリシャに対する不信が強まり、ギリシャ・ショックが起きている。これは見方によれば、起こるべきして起きたこととも言えるのかもしれない。

 6月17日のギリシャの選挙に向けて、ユーロのアキレス腱となっていたギリシャがどのような選択をし、それをユーロ圏の他の諸国がどのように解釈してくるのか。まさに大きな正念場を迎えつつある。


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by nihonkokusai | 2012-05-25 09:38 | 国際情勢 | Comments(0)

日米欧の長期金利反転のきっかけとは

 2012年5月18日にドイツの10年債利回りは一時1.396%まで下げ、データが残っている中での最低利回りを記録した。また、同日に英国債の10年債利回りも一時は1.808%まで下げ、記録が残る中での最低利回りを記録した。米国の10年債利回りは9月23日につけた1.67%近辺まで利回りが低下している。

 日本の10年債利回りも18日に一時0.815%と2003年7月以来の水準に低下した。また20年債利回りも一時4.5毛強の1.570%と2010年8月以来の水準に、30年債利回りも4.5毛強の1.730%と2010年9月以来の水準に低下した。ただし、日本の長期金利の最低記録は2003年6月11日に30年債が0.960%、20年債0.745%、そして10年債0.430%とそれぞれ過去最低利回りを記録しており、まだその水準までには達していない。

 先日のコラム「日本の長期金利はどこまで下がるか」の中で、現在の長期金利の水準はかなり警戒ゾーンにあることを指摘した。これは日本ばかりではなく、過去最低水準をつけているドイツ、英国、さらに米国の国債についても同様であろう。

 これをバブルと呼んで良いのかはわからないが、これらの国債に資金が流入する背景としては、欧州の信用不安がなかなか収まらず、特にギリシャのユーロ離脱という懸念が残り、安全資産としてこれらの国債に資金が流入している。

 ただし、これには信用不安を少しでも緩和するために、日銀やFRB、ECB、イングランド銀行によるこれまでの国債の買入や積極的な資金供給も影響している。積極的な資金を供給しても、行き着く先は国債という安全資産となる。これは長期金利の低下を促すものの、その長期金利の低下によって不安が解消されるわけでもなく、景気に対する影響もここまで金利が下がってしまうと効果も限定的となる。

 為替の変動や株価の下落、また景気が少しでも悪化傾向となると日本に限らず、欧米でも出てくるのは中央銀行への期待であり、それに応えるとなれば、結果として国債はさらに買われることになる。しかし、その根本には欧州が抱える不安があり、もし国債に資金が回る構図に少しでも変化が出てくるとなれば、その欧州の不安が解消の方向に向かう時となろう。

 現状ではそのきっかけは掴めない。しかし、ギリシャについては6月17日の選挙で一つの結果が出る。これでもしギリシャのユーロからの離脱が避けられることになれば、不安材料がひとつ後退することになる。それは日米独英の長期金利反転のひとつのきっかけとなりうる。もちろん反対にユーロ離脱も避けられないようなことになれば、欧州の問題はさらに深刻化する懸念もある。

 ただ、過去の相場を見る限り、相場の反転は事前に予想されていたものというよりも、意外な要因がきっかけとなることも多い。また、気が付いたら反転していたということも多い。一時的な反動かと思っていたら、そのまま流れが変わっていたこともある。このあたりの流れを掴むには、市場動向を丹念に追ってゆくことも不可欠となろう。


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by nihonkokusai | 2012-05-23 10:08 | 債券市場 | Comments(0)

4月は都銀が債券を過去最大規模で売り越す

 5月21日に日本証券業協会が発表した4月の公社債投資家別売買高(短期証券を除く)によると、都市銀行は5兆1028億円もの売り越しとなった。1998年1月以来の数値で見ると最も大きな売り越しとなった。3月は3兆659億円もの買越しとなっていたが、4月となり期初に売りを先行させてきたものとみられる。同時に発表された国債の投資家別売買高をみると、都銀は超長期債を2687億円、長期債を2兆1068億円、中期債を2兆6454億円、それぞれ売り越していた。

 地方銀行は4453億円の買越し、信託銀行は3862億円の買越し、農林系金融機関は4492億円の売り越しとなっていた。

 生損保も9177億円の買越しとなり、超長期国債を6244億円買越していた。3月の生保による超長期債の買越額は2004年4月以降での最高水準となっていたが、4月に入っても超長期債主体の買越しは継続していた。

 そして海外投資家は1兆3616億円の買越しと3月の売り越しから買越しに転じていた。国債でみると超長期債を6111億円、長期債を4429億円、中期債を2920億円、それぞれ買越していた。海外投資家が超長期債を6千億円規模で買越したのは、2007年11月以来となる。

 このように公社債投資家別の売買高を見ると、3月に大量買い越しとなっていた都市銀行は、4月に入り大量売り越しとなっていたが、地銀・信託などは買越しとなり、生保も超長期債主体に買い越しとなっていた。そして、海外投資家の超長期債を主体としての買越しも目立った。

 4月に入っての債券相場は、4日に10年債が1.05%まで売られたが、その後は反発している。4日から5日にかけてそこそこまとまった買いが長期債や超長期債主体に入ったとの観測もあった。欧州の信用不安が再燃したことにより、10年債利回りは1%割れとなり、その後の債券相場はじり高となった。4月の公社債投資家別売買高を見る限り、都銀が大量売り越しとなったにもかかわらず、その他の金融機関とともに海外投資家の買い等が相場反発の原動力となったものとみられる。


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by nihonkokusai | 2012-05-22 10:10 | 債券市場 | Comments(2)

金融政策と債券市場との関係

 金融政策に債券市場は大きな影響を受けます。伝統的手段において、中央銀行は短期金利を動かすことにより、より長めの金利に働きかけようとします。つまり、債券市場そのものに影響を与えることで、景気や物価の動向に働きかけようとしているのです。将来の物価変動とともに短期金利の先行きの見通しが、長期金利を形成します。短期金利の将来の見通しについては中央銀行の金融政策の動向が大きな影響を与えます。これについては、政策金利が実質的なゼロ近辺にまで低下してしまった場合の金融政策、いわゆる非伝統的手段における金融政策の内容を確認するとそのあたりが明確になります。

 2001年3月に日銀は非伝統的手段といえる量的緩和政策を導入しました。これは政策金利の引き下げが限界にあったことで、金融政策の目標を日銀の当座預金残高としたものですが、市中に資金を供給するために使った手段に国債買入があります。量的緩和政策の導入とともに、日銀による国債買入も増加させました。これは国債価格を上昇させることが目的ではないものの、国債の需給が引き締まることになります。

 そして、2010年10月の決定会合で決められた包括緩和政策についても、ゼロ金利政策を復活させたことに加え、「中期的な物価安定の理解」に基づき、物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで、実質ゼロ金利政策を継続していくとし、時間軸を明確化しました。これによりゼロ金利が長期化されると市場が予想すれば、より長い期間の金利の低下を促します。これが時間軸の強化とも呼ばれるもので、長期金利の低下を促すことが目的となります。さらに日銀のバランスシート上に基金を創設することを決定しましたが、この基金による長期国債の買入は、日銀券ルールには縛られないかたちでのものとなりました。このあたりも長期国債の需給に大きな影響を与えることとなります。

 日銀ばかりではありません。FRBもリーマン・ショックや欧州の信用不安による金融経済ショックを受けて、量的緩和策として国債の買入を実施しました(QE1で3000億ドル、QE2で6000億ドルの国債買入)。さらに2011年9月にはツイストオペも導入しています。ツイストオペとは短期債を売却して長期債を買うものであり、長期金利の低下を促すことが目的です。また、欧州でもイングランド銀行も2009年3月から国債の買入を行い、ECBも2010年5月に市場機能の安定を目的として南欧諸国の国債買入を実施するとともに、2011年11月から3年という長い期間の資金供給オペも実施しました。それぞれ、結果として長期金利の低下を促そうとしていることは明らかです。

 このように各国の中央銀行の政策をみると、債券相場に働きかけ国債を中心とした利回り低下に働きかけようとしています。実はこの働きかけがなくても、米国債やドイツ国債、英国債、そして日本国債には安全資産としての買いが入ってきており、その結果、歴史的な水準にまで長期金利の低下を促すこととなっています。

 債券市場での価格形成は、中央銀行による金融政策だけに影響を受けるわけではなく、景気や物価の動向、さらに国債の発行量に影響を与える財政などにも大きな影響を受けることになります。また、価格が市場で形成されている以上は、市場参加者のマインドにも影響を受けます。その結果、価格が上げ下げすることになるわけですが、国債価格の安定には、その国債に対しての信用度が高いことが必要条件となっており、それには財政の健全性などとともに、中央銀行への信用度も大きな要因となっています。このようなかたちで中央銀行の金融政策と債券市場の動向は密接に結びついていると言えるのです。


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by nihonkokusai | 2012-05-21 11:09 | 債券市場 | Comments(0)
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