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27日の日銀の追加緩和について

 日銀は27日の金融政策決定会合で、資産買入基金の増額というかたちで追加緩和を決定した(全員一致)。まず資産買入等の基金を65兆円程度から70兆円程度に5兆円程度増額する。内訳としては、長期国債(残存1年以上3年以下)を10兆円程度増額し、期間6か月の固定金利式・共通担保供給オペは応札額が未達となるケースが発生しているため、これを5兆円程度減額する。そしてETFの買入を2千億円、J-REITの買入を百億円程度増額する。

 買入対象となる長期国債の残存期間は、多額の買入を円滑にすすめ、長め金利に効果的に働きかける観点から、これまでの「1年以上2年以下」から「1年以上3年以下」に延長する。社債についても、国債と同様に、買入対象の残存期間を延長する。

 基金の70兆円程度への増額は2013年6月末を目途に完了する。今年末までの基金の規模は65兆円とする。つまり、今年末までの国債買入は5兆円程度増額するが、期間6か月の固定金利式・共通担保供給オペの残高は今年末に15兆円規模であったものを10兆円に減額する。さらに来年に入り、6月までに基金による国債の残高をあらたに5兆円積み増すことになる。

 事前予想としては資産買入基金の増額を5兆円もしくは10兆円増額し、長期国債の残存期間も3年以下に延長するとの観測が強かったことで、ほぼ予想通りの結果内容といえる。株式市場を意識してか、ETFやJ-REITの買入を増やし、年末に向けた固定金利式・共通担保供給オペの残高を減少させ、その分、国債の残高を今年末まで5兆円増やし、さらにそこから来年6月までに5兆円増加させる。これはFRBによるツイストオペなども意識してのものとも考えられる。短期債を売るわけではないものの、結果としては基金のデュレーションを長めにすることになり、たしかにツイストオペと言えなくもない。

 決定会合後に発表された公表分によると、今回の追加緩和は、これまでの措置の累積的な効果と合わせ、日本経済が物価安定のもとでの持続的成長経路に復することを、さらに確実なものとするためと説明された。また、「財政の持続可能性に対する市場の信認をしっかりと確保すること」が金融政策の効果浸透や、金融システムの安定・経済の持続的な成長に極めて重要と指摘している。このあたりは、ワシントンの白川総裁の講演でも触れていたものである。

 2月14日のバレンタイン緩和により、日銀は物価安定の目途に向けて能動的な金融政策を行うことを明確にした。今回の追加緩和もその一環であろうが、その目途達成が見えない限り、さらなる緩和圧力に日銀は晒されることになる。すでに資産買入等の基金規模は70兆円にも達している。国債の買入については別に年間21.6兆円もの買入も行っている。日銀が財政ファイナンスやマネタイゼーションを行っているとみなされれば、財政の持続可能性に対する市場の信認を確保することも難しくなる。日銀はかなり危ない橋を渡っていることも確かではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2012-04-28 12:05 | 日銀 | Comments(1)

バーナンキFRB議長による日本のデフレへの言及

 4月24日から25日にかけて開催されたFOMCでは、政策金利であるフェデラルファンド金利誘導目標水準は0~0.25%に据え置くことを決定し、この政策金利を少なくとも2014年終盤まで据え置く公算が大きいであろうとの予想をあらためて示した。

 バーナンキFRB議長は、FOMC後の記者会見において、「必要なら一段の緩和の用意はできている」とし、追加緩和の可能性が残っていることを示した。

 さらに今回の記者会見では、日本のデフレに関するコメントが出たようで、この内容が興味深い。今回は日経新聞のサイトに掲載されたFRB議長の記者会見の訳文を元に、日本に関するバーナンキ議長の発言を中心にみてみたい。

 「日銀の政策について15年前に私が示した見解は現在の自分の見解と異なるとの批判を受けるがそれはまったく間違いだ。今の金融政策は15年前に示した見解と首尾一貫している」

 これについては、かなり疑問が残る。1月25日のFOMCのゴール設定の際に、これが昔、バーナンキ教授が主張していたようなインフレ・ターゲットの導入ではないことを、バーナンキ議長は強調していたと思うのだが。

 「確固たる意思を持つ中央銀行はデフレをなくすための政策を実施する必要があるということ、短期金利がゼロになっても中央銀行は金融緩和を実施できるということだ」と議長は言うが、その手段として「デフレ克服のためにはヘリコプターからお札をばらまけばよい」と発言が過去にあった。また「物価がデフレ前の水準に戻るまでお札を刷り続け、さらに日銀が国債を大量に買い上げ」れば、確かに物価は上昇するであろうが、FRB議長となり米国の財政政策にも注文を付ける立場にいて、この意見は現在でも変わっていないのか、財政ファイナンスを中銀が行っても良いのかと、あらためて問いたいところである。

 米国では物価の下落が起きずにデフレを誘発しなかったのは、量的緩和によるバランスシートによる適格な金融政策によるものと、自負しているが、日本では雇用体系が大きく変化するなどの要因も重なり、デフレを招いたとの指摘もある。このあたり、15年前の日本と2010年以降の米国の、金融政策と物価の関わりについて、状況の違いをあらためて分析する必要もあるのではなかろうか。

 そして、バーナンキ議長は米国がデフレを免れることができたことについて、米国の対処が良かった点は、銀行への資本注入を非常にすばやく実施したことをあげている。これについてもバブル崩壊後の日本の対応の遅れなどを、かなり参考にしたはずである。ただし、銀行への資本注入は中央銀行の問題ではなく政治の問題である。当時の宮沢喜一首相が公的資金注入に躊躇したのは、世論の反対によるものであった、この遅れがさらなる金融システム不安を招く結果となったのは確かであろう。

 どうも今回のバーナンキ議長の会見を見てみると、日本と違いデフレを招かなかったことをあえて強調しているようにも見える。現在の日銀の金融政策について直接言及しているわけではないが、かなり意識している可能性もある。今回の日本を意識したコメントを見る限り、バーナンキ議長も27日に日銀が何をしてくるのか、かなり関心を持っているのかもしれない。


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by nihonkokusai | 2012-04-27 09:31 | 日銀 | Comments(0)

27日に日銀は何をしてくるのか

 4月27日の日銀の金融政策決定会合での追加緩和期待が強まっている。強まっているというより、日銀執行部、つまり総裁や副総裁のこれまでの講演や会見内容等を見る限り、追加緩和を行う可能性は極めて高いとみられる。

 それでは27日に日銀はいったい何をしてくるのか。2月14日のバレンタイン緩和にて、実質的なインフレ目標政策を導入し、強力な金融緩和を継続する「時間軸」(コミットメント)を明確化した。さらに「条件が充たされるまで継続を約束する政策として、実質的なゼロ金利政策に加えて金融資産の買入れ等を明記」(西村副総裁)している。

 となれば、2月14日に資産買入等の基金を10兆円規模で増額したのと同様に、今回も5兆円もしくは10兆円の資産買入等の基金の増額が予想され、その対象は国債となろう。国債の買入増となれば、その買入の期間の延長とともに、買い入れる長期国債の残存期間も、これまでの1年~2年から、1年~3年もしくは1年~5年あたりに伸ばされる可能性がある。マスコミ等が報じることによると、それはどうやら3年あたりとなる見込みだとか。

 ただし、この追加緩和が行われたとしても、それが実態経済に与える影響はそれほど大きくはないであろう。このため、重視されるのはアナウンスメント効果である。日銀によるデフレ退治は、金融政策が実態経済に影響を与える経路を考えれば、それなりの創意工夫が求められる。

 そこで注意すべきは、27日に発表される展望レポートである。

 日銀のバレンタイン緩和の背景には、1月25日のFOMCでの長期的に見た物価のゴールの設定があった。それに加え、この際のFOMCでは「異例に低いFF誘導水準の維持が2014年後半まで続く事が正当化されるとFOMCは予想している」として、事実上のゼロ金利政策を解除する時期を、これまで公表してきた来年の半ばから1年余り先延ばして、少なくとも2014年の遅い時期まで続ける方針を示した。つまり時間軸の強化である。

 27日に発表される展望レポートでは、日銀の物価安定の目途となる消費者物価指数の予想について、2012年度は0%台前半、2013年度は0%台後半に上方修正する方向で検討しているともすでに報じられたが、いずれにしても目途とした1%には届かないと予想される。

 そこで例えば、1月25日にFRBが取り入れたように、日銀も「適切な政策引き締め時期に関する予想」というより、政策委員による「物価安定の目途に到達しうる時期の予想」などを組み入れてくるような可能性はなかろうか。

 これらより1月のFOMCの際のように、より時間軸を明確化させることで、緩和効果を高めることも可能ではなかろうか。現在の物価の状況では、FRBと同様に日銀のゼロ金利政策も2014年度以降まで続けることになる可能性が高く、その分、アナウンスメント効果も期待できる。さらに今回も基金の増額という追加緩和の分だけ、市場はFRBと比較しての緩和効果をより意識する可能性があり、つまりそれは為替市場に働きかける可能性もある。

 これはあくまでそのような可能性もあるという個人的な意見である。ただし、市場が予想している5兆か10兆円の資産買入等の基金増額だけでは、むしろ失望感も招きかねない。このため、何かしらのアナウンスメント効果が期待できる工夫もあれば、2月14日のようなサプライズ効果も期待できるのではと考えた次第である。いずにしても、日銀は動くであろうし、その結果とともに、展望レポートについても注目しておく必要があるかもしれない。


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by nihonkokusai | 2012-04-26 08:12 | 日銀 | Comments(0)

ユーロ諸国の財政事情

 欧州連合(EU)の統計局(Statistical Office of the European Communities)は4月23日に、加盟27か国の2011年中の財政状況を発表した。ちなみにEU統計局が発表する統計資料のことをまとめてEUROSTAT(ユーロスタット)と呼んでいるが、EU統計局そのものをユーロスタットとも呼んでいるようである。

 ユーロスタットのサイトのアドレスは、下記となる。
http://epp.eurostat.ec.europa.eu/portal/page/portal/eurostat/home/

 今回発表された「Provision of deficit and debt data for 2011 - first notification」は下記のファイルとなる。
http://epp.eurostat.ec.europa.eu/cache/ITY_PUBLIC/2-23042012-AP/EN/2-23042012-AP-EN.PDF

 まずEuro area (EA17)、つまりユーロ圏17か国での公的債務残高はGDP比で87.2%となり、2010年比で1.9ポイント上昇している。 ユーロ圏の債務残高のGDP比は1999年のユーロ創設以来の最高水準を更新した(日経新聞)。ユーロ全体の債務残高は8兆2153億ユーロと、日本円で約870兆円に膨らんだ。また、ユーロ圏の2011年の財政赤字のGDP比は4.1%となっている。EUで定め競れている財政規律の基準は3%である。

 それではユーロ圏17か国に関して、同様に2011年の公的債務残高のGDP比、債務残高、財政赤字を確認してみたい(以下、公的債務残高のGDP比の大きい順)

ギリシャ(Greece)、公的債務残高のGDP比165.3%、債務残高3556億ユーロ、財政赤字のGDP比9.1%

イタリア、公的債務残高のGDP比120.1%、債務残高1兆8972億ユーロ、財政赤字のGDP比3.9%

アイルランド(Ireland)、公的債務残高のGDP比108.2%、債務残高1693億ユーロ、財政赤字のGDP比13.1%

ポルトガル(Portugal)、公的債務残高のGDP比107.8%、債務残高1843億ユーロ、財政赤字のGDP比4.2%

ベルギー(Belgium )、公的債務残高のGDP比98.0%、債務残高3617億ユーロ、財政赤字のGDP比3.7%

フランス(France)、公的債務残高のGDP比85.8%、債務残高1兆7173億ユーロ、財政赤字のGDP比5.2%

「参考、イギリス(United Kingdom)、公的債務残高のGDP比85.7%、債務残高1兆2926億ユーロ、財政赤字のGDP比8.3%」

ドイツ(Germany)、公的債務残高のGDP比81.2%、債務残高2兆885億ユーロ、財政赤字のGDP比1.0%

オーストリア(Austria )、公的債務残高のGDP比72.2%、債務残高2174億ユーロ、財政赤字のGDP比2.6%

マルタ(Malta )、公的債務残高のGDP比72.0%、債務残高46億ユーロ、財政赤字のGDP比2.7%

キプロス(Cyprus)、公的債務残高のGDP比71.6%、債務残高127億ユーロ、財政赤字のGDP比6.3%

スペイン(Spain )、公的債務残高のGDP比68.5%、債務残高7350億ユーロ、財政赤字のGDP比8.5%

オランダ(Netherlands)、公的債務残高のGDP比65.2%、債務残高3925億ユーロ、財政赤字のGDP比4.7%

フィンランド(Finland )、公的債務残高のGDP比48.6%、債務残高930億ユーロ、財政赤字のGDP比0.5%

スロベニア(Slovenia)、公的債務残高のGDP比47.6%、債務残高170億ユーロ、財政赤字のGDP比6.4%

スロバキア(Slovakia)、公的債務残高のGDP比43.3%、債務残高299億ユーロ、財政赤字のGDP比4.8%

ルクセンブルグ(Luxembourg)、公的債務残高のGDP比18.2%、債務残高78億ユーロ、財政赤字のGDP比0.6%

エストニア(Estonia)、公的債務残高のGDP比6.0%、債務残高10億ユーロ、財政黒字のGDP比1.0%

 ユーロ圏が定める公的債務残高上限の60%以下となったのは、フィンランド、スロベニア、スロバキア、ルクセンブルク、エストニアの5か国にとどまった。また、財政赤字のGDP比3%以下の国は、エストニア、ルクセンブルグ、フィンランド、マルタ、オーストリア、ドイツとなった。

 この数字を見る限り、先週まで懸念を強めたスペインや、総選挙が実施されることになったオランダなどはさほど懸念する必要はないようにみえる。ただし、スペインは国内銀行の不良債権問題が注視され、オランダについては政局の先行き不透明感が残り、これについてはフランスも同様となる、それでもユーロ圏諸国の公的債務残高のGDP比がそれほど大きく見えないのは、あまりに大きな日本の数値に見慣れてしまったためであろうか。


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by nihonkokusai | 2012-04-25 07:59 | 財政 | Comments(0)

財政の持続可能性の重要性(白川日銀総裁の講演より)

 日銀に対して政府や市場からは金融緩和に対する期待が強まりつつある。2月14日のバレンタイン緩和により、実質的なインフレ目標政策を導入し、能動的な政策対応を行うことを表明したことにより、期待が強まってしまうのは致し方ないところではある。  このため、4月27日の金融政策決定会合では、5兆円か10兆円の資産買入等の基金の増額が決定される可能性がある。国債の買入増となれば、買入の期間の延長とともに、買い入れる国債も残存1年から2年ではなく5年あたりへの延長となることも予想される。ただし、これはあくまで推測であり、2月14日のように市場にとりサプライズとなる追加緩和を仕掛けてくる可能性もある。

 ただし、このままコアCPIの前年比が目標の1%に満たないからといって、国債買入を無制限に増やし続けるとなれば、それは財政ファイナンスと受け取られる懸念が出てくる。基金による国債買入はいまのところ残存期間や買入期間などによる歯止めはあっても、金額による歯止めはない。日銀にとっては非常に危ない橋を渡ってしまったことになるが、日銀が財政の関してどのような見解を持っているのかをはっきりと示しておくことも重要となる。

 4月21日のフランス銀行主催における白川総裁の講演は、そのものスバリの「財政の持続可能性の重要性」であり、今回はこの内容をチェックしてみたい(日銀サイトにアップされた邦訳より)。

 日銀の通貨の安定を通じて経済の持続的成長に貢献するという使命の目的として、金融システムと物価の安定がある。ところが、財政の持続可能性への信認が喪失した場合に、最終的には、インフレか国債のデフォルトかのどちらか選択しかなくなる。そうなれば、日銀は物価の安定と金融システムの安定のトレードオフに直面することになるという。このようなトレードオフに直面する事態を初めから回避することが重要であり、財政の持続可能性は中央銀行が正常に機能するための必要条件だと言えると、総裁は指摘している。

 もし国債のデフォルトリスクが増大した場合、流動性リスクの増大やキャピタル・ロスの増大を通じて、金融システムが不安定化する可能性が高くなる。この場合に「最後の貸し手」として流動性を供給することになろうが、これはあくまでも「時間を買う」政策に過ぎない。これは現在、ECBが直面している問題でもある。

 そして総裁は次のような問題提起をしている。

 「しかし、財政改革へ向けての意志が弱かったり、決定された措置が実効性を欠くものであった場合は、時間を買うことの副作用も大きくなります。すなわち、金融市場の小康が保たれ国債金利が安定することで、事態の深刻さへの危機意識が薄れ、改革へのモメンタムが低下する可能性もあります。」

 これは言うまでもなく我が国の状況がそのまま当てはまるのではなかろうか。

 「その結果として財政赤字の拡大が続き、金融システム不安が再燃すれば、中央銀行は国債担保の流動性供給、あるいは国債買い入れを通じて、最終的に際限のない流動性供給に追い込まれる可能性があります。それによる膨大な通貨供給の帰結は、歴史の教えにしたがえば制御不能なインフレです。」

 日本の財政危機が意識され、国内金融機関などを中心に動揺が走るようなことになれば、最終的には日銀が国債を大量に買い入れることになろうが、それはいずれ制御不能なインフレを招くことは避けられない。そうなった際には、ブレーキを掛けることは困難となる。それは二・二六事件における高橋是清の暗殺などを思い起こさせるのではなかろうか。このため、総裁は以下のような発言もしている。

 「投資家や国民はそうした歴史を知っているために、どこかの時点で、言わば「レジーム」の変化を予想し、国債や通貨への信認が非連続的に変化すると、制御不能なインフレのプロセスが始まります。」

 さらに白川総裁は、あらためて日本のケースについて述べている。日本の国債金利の低さについては、「成長率と物価上昇率の動きと大きくは乖離していませんので、論点となるのは財政悪化に起因するプレミアムの解釈です。」としている。

 1998年以降の日本の長期金利の低位安定は、成長率と物価上昇率の動きつまり結果してはデフレによるものであり、さらに国内資金で十分賄われ、国債管理政策も十分機能しているとともに、国債への信認も維持されているためであろう。ファンダメンタルズや需給面では問題はないとしても、財政リスクプレミアムの動向次第では、国債金利が跳ね上がるリスクを秘めている。これは近年におけるユーロ圏諸国の国債金利の動きを見ても明らかなものである。

 「経済・財政の構造改革が進み財政の健全性は回復されるはずだ、と人々が予想しているからこそ、国債金利が安定していると考えるべきでしょう。ただ、現在のところ、そうした人々の予想は、十分に具体的な改革のプランによって裏打ちされているわけではないために、人々は将来の財政状況への不安から支出を抑制し、そのことが低成長と緩やかなデフレの一因になっていると考えられます。」

 なかなか痛烈な政治への不満と受け取れるコメントである。デフレは消極的な日銀の金融政策に起因することで、日銀法改正論議なども政治家の間で盛んであるが、デフレはむしろ財政再建を怠っていた政治家が原因のひとつであると批判しているようにみえる。

 「巨額の政府債務が、もともとの成長期待の弱さともあいまってデフレ的に作用しうる」との白川総裁の見方も、日本独自のデフレ構造を説明するものではなかろうか。そして、総裁は結論として以下のような指摘をしている。

 「生産性の引き上げを通して潜在成長率を強化することと、高齢化のもとでも持続可能な財政構造の確立が、中長期的なマクロ経済を安定化させるための最重要課題だと考えています。」

 結論というか対策としてはある意味理想的な手段ではあるものの、具体策が述べられているわけでもなく、中長期的なとの表現から見て、かなりの期間を有する手段であり、これが抜本的な解決策になるのであろうか。今後、国債金利において、財政悪化に起因するプレミアムを発生させるリスク、つまり長期金利における財政プレミアムの発生をどのように抑えるのか。財政の持続可能性が日銀の使命達成のために必要である以上、日銀総裁も積極的に政府に対して国債の信認維持の必要性と、そのために政府が何をすべきかを説くことも重要であろう。


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by nihonkokusai | 2012-04-24 08:18 | 日銀 | Comments(4)

三重野日銀総裁当時の日銀の金融政策

 平成の鬼平とも呼ばれた三重野元日銀総裁が亡くなった。三重野氏は1989年12月に第26代日本銀行総裁に就任したが、まさにこの1989年末の大納会に、日経平均株価は史上最高値の3万8915円を付けていたのである。このあと1994年12月の任期満了となるまで、バブル崩壊による対応に追われることになる。

 1989年5月に日銀は公定歩合を3.25%に、10月には3.75%に引き上げたことで、完全に金融引締め政策に転じていた。この日銀による公定歩合の度重なる引き上げを受け、債券相場は1989年にはすでに伸び悩みの状態となっていたが、1990年に入ると債券に加え、株式や円のトリプル安でのスタートとなった。

 1990年3月20日に日銀は第四次の公定歩合引き上げを実施し、これは1.0%という大幅引き上げとなり、公定歩合は年率5.25%にまで引き上げられた。その後、株式は一時的に戻したものの、原油価格の急騰などからインフレ懸念が一段と高まり再び下落した。この原油価格の高騰の原因となったのは、8月2日のイラク軍によるクウェート侵攻である。株の下落にもかかわらず、物価上昇を気にしてか、日銀は8月30日に公定歩合を0.5%引き上げて年6.0%とするという第五次公定歩合の引き上げを実施。これを受けて債券先物は急落し、9月27日には債券先物市場開設以来の安値となる87円8銭まで下落し、長期金利も8%台に上昇、株価も大きく下落し、10月1日に日経平均は2万円を割り込んだのである。

 このような度重なる金融引き締めを行ったことで、三重野総裁は「平成の鬼平」ともいわれたのである。これにより三重野総裁はバブル経済を崩壊させ、失われた10年を起こした張本人とされたが、バブル時の引き締めのタイミングそのものが遅れたことも問題であったように思われる。このあたり金融政策の舵取りの難しさも露見した。結果として、1990年に入ってからの引き締めは株や債券の下落ピッチを早め、バブル崩壊を加速させる結果となったことも確かであった。

 1991年はバブル崩壊の実態が本格的に表面化し始めた年となる。1月16日に典型的なバブル企業の倒産と言われたナナトミの倒産があり、25日にはイトマンの河村社長が解任された。8月には女相場師で有名であった大阪ミナミの料亭の女将が逮捕されも大手証券の損失補てんが発覚し投資家の株式離れが進む。

 日銀は1991年6月に短期金利の低め誘導を行い、7月1日には公定歩合を6.0%から5.5%に引き下げ、さらに11月14日、12月30日と続けて公定歩合を引き下げて4.5%とするなど、金融緩和に向けて方向転換したものの、これによる効果は限られた。

 1992年1月に地価税が導入され、土地神話は完全に打ち砕かれた。3月末に公共事業の施行推進など、緊急経済対策が決定し、公定歩合も3.75%に引き下げられ、7月にも0.5%の追加引き下げが実施された。8月には総合経済対策が策定され、公共事業投資の拡大などを主体とした事業規模は10.7兆円までに達したのである。

 バブル崩壊後の景気回復が思わしくなく、加えて米国による内需拡大要請もあり、1993年4月に宮沢首相は事業規模13兆円の景気対策を実施。この年は円高に加え冷夏ということもあり消費も停滞した。国会での政治的混乱から6月には宮沢内閣に対して不信任が決議され、総選挙が実施された。選挙の結果、8月6日に38年ぶりの非自民政権である細川内閣が誕生した。

 細川内閣の経済運営にも失望感が広がり、株価の下落は続く。9月に6.2兆円の「緊急経済対策」を実施。また、金融緩和もさらに進められ、日銀は公定歩合の第7次引き下げを実施し公定歩合は1.75%にまで引き下げらた。また、補正予算が組まれ、約15兆円の「総合経済対策」が、1993年2月に実施された。これには所得税減税など5.8兆円も盛り込まれた。

 三重野総裁当時の金融政策は公定歩合操作が中心であった。しかし、1995年3月の日銀による短期金利低め誘導以来、コールレートを操作目標にしている。

 1991年以降債券相場は、上昇トレンドが続くことになる。日銀が金融緩和に舵を取り、バブル崩壊とそれによる金融システム不安の強まりにより、安全資産としての国債に資金が集まり、1990年に8%台をつけていた長期金利は1998年に1%を割り込むことになる。


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by nihonkokusai | 2012-04-23 08:13 | 日銀 | Comments(0)

4月23日から国債の決済がT+2に移行

 国債取引の決済期間は4月23日(月)の約定分から現行のT+3からT+2に短縮される。つまり、売買約定日から起算して原則3営業日目の日に受渡し・決済を行うことになる。

 国債の決済については関係者以外はあまり意識されていないかもしれないが、国債の売買にあたっては当然ながらその資金の受け渡しは大変重要なものであり、今回のT+2への決済機関の短縮についても、時間をかけて準備されてきた。

 ちなみにT+2のTとは「Trade date」のことで証券の売買が成約された日、つまり約定日を意味する。慣行上、T+1は「ティ・プラスいち」、T+3は「ティ・プラスさん」といった呼び方をしている。

 国債の決済に関しては、1995年時点ですでにアメリカ、イギリスなどは約定日から起算して2営業日目(T+1)、つまり翌日決済を行っていた。日本でも1996年9月19日の売買分より、約定日から起算して8営業日目(T+7)に決済を行うローリング決済に移行し、1997年4月21日売買分からは約定日から起算して4営業日目(T+3)に決済を行うことになった。そして、2012年4月23日約定分からは3営業日目(T+2)に決済を行う予定である。1日短縮するのに15年の月日を要したことになる。

 これは、すでに日本では証券と資金の振替が同時に行われる決済方式であるDVP決済が1994年に導入され、2001年からは国債決済にRTGS(即時グロス決済)が導入され、さらに2005年5月からは日本国債清算機関の業務が開始されるなど、現在のT+3でもシステマティックリスクなどの国債の決済に対してのリスクはかなり軽減されていたためでもある。

 しかし、それでも国債など金融商品の決済期間の短縮は、未決済残高を減少させ、結果として決済リスクを削減するための有力な手段となる。たとえば急激な相場変動が起きた際にも決済不履行などの事故が生じる決済リスクを軽減させられる。このため、T+2への移行が準備されたものと思われる。

 現状ではT+2への移行について、特に大きな障害が発生することは考えづらい。事前準備も進められており、レポ市場などでは1日減る分、忙しくなる可能性はあるものの、大きな混乱が起きることは考えづらい。

 ちなみに、国債の決済は1988年に稼働した日銀ネットを通じて行われている。金融機関同士が行う資金取引の決済や国債など証券取引の代金の決済や、民間決済システムの最終的な決済に、日銀の当座預金での振替が利用されている。日銀が金融機関との間で行っているオペレーションや貸出し、国庫金の受払い、国債の発行・償還に伴う資金の受払いなどについても、日銀の当座預金を介して決済が行われている。


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by nihonkokusai | 2012-04-20 14:24 | 債券市場 | Comments(0)

インフレ目標政策を認めた西村日銀副総裁

 4月18日の岡山県での日銀の西村副総裁の講演のタイトルは、そのものズバリ「わが国経済のデフレ脱却に向けて」と、2月14日のバレンタイン緩和を実際にどのように捉えたら良いのかを理解してもらおうとの内容となっていた。今回はこの興味深い講演内容について見てみたい。

 西村副総裁は2月14日に日銀の行った政策対応は3つあるとし、ひとつは「中長期的な物価安定の目途」の導入、もうひとつは、資産買入等の基金を10兆円規模の増額、そしてもうひとつ、強力な金融緩和を継続する「時間軸」(コミットメント)を明確化したことを指摘している。

 ここでキーになるのは、最後の「時間軸」(コミットメント)の明確化であろう。これについて西村副総裁は次のようなコメントをしている。

 「1%をピンポイントで明示しつつ、目指すという表現を用いて能動的に政策対応を進めていく姿勢を明確にしています。また、条件が充たされるまで継続を約束する政策として、実質的なゼロ金利政策に加えて金融資産の買入れ等を明記しています。」

 ここで注意すべきは「能動的な政策対応」と「実質的なゼロ金利政策に加えて金融資産の買入れ等を明記」であろう。能動的との表現により、明らかにこれまでの政策から大きく変化させてきたことが伺えるとともに、そのゴールに向かうための政策手段には、「金融資産の買入れ等」が使われるであろうことが示唆されている。

 そして西村副総裁は、2月の決定を受け、日銀の政策目標、政策運営ロジック、政策スタンスは変わったのかとの問いに答えを示した。

 物価の安定に対する基本的考え方は、「中長期的な物価安定の目途」の導入で変わった訳ではないとしている。ところが、これまでの理解では、物価の安定の実現を目指して(日銀が)能動的に行動している感じが伝わり難いといった問題を西村氏は指摘している。確かにそれは伝わってはいなかったと思うが、これは数値に縛られかねないインフレ・ターゲットの導入と捉えられないようにしていた日銀の姿勢も影響していたと思われる。

 しかし、1月のFRBによる政策変更にも背中を押される格好で、日銀は実質的なインフ目標導入を明確化させた。これについて、西村副総裁は「弾力的なインフレ目標と呼んでも、私には違和感はありません」として、日銀がインフレ目標政策に変更したことを認めている。

 これは「経済・物価に関するメイン・シナリオの実現をより確かなものとする観点から、日本銀行の政策意図を一層はっきりと伝える必要性が意識されたこと、また、そのような対応を取らない場合に目途の達成の遅れにもつながりかねないこと」が懸念されたことによると西村副総裁は指摘した、

 しかし、なぜこれまでにそのような議論はあまりなされず、今年に入り急に盛り上がってきたのか。そのあたりはFRBの動向、政治との絡みなどがあるとみられ、その理由としてはわかりにくさも感じる部分でもあった。

 ただし、西村副総裁は「理解から目途に替わったことで、2つの柱による政策運営まで変更された訳ではありません」とも、念のため釘を刺している。さらに副総裁は「追加緩和の可能性は高まったのか」というところにまで言及しており、かなり市場に配慮というか、27日の会合前にそんな発言しても良いのかという部分にも踏み込んでいた。

 日銀として今後も必要に応じて追加的な手段を講じていく姿勢にあることを示し、追加緩和の可能性をまず示唆するとともに、下記のような発言もあった。

 「日本経済の現状は、前向きの動きがみえてきたとは言え、世界経済を中心に不確実性は依然として大きいと考えています。また、2月と3月の政策変更が、経済・物価に関する人々の中長期的な期待にどのような影響が及ぶのかについても、無視できない不確実性があります。今後、こうしたリスク要因を十分に考慮に入れながら、しっかりと先行きの経済物価動向を点検し、適切な政策運営に努めて参りたいと思います。」

 はっきりとは示されているわけではないが(あたりまえか)、これを読む限り4月27日の追加緩和の可能性は極めて高いと思われる。不確実性という表現が2度出てくるが、少なくとも物価が急上昇するような不確実性は現状は考えられず、世界経済の低迷や2月のバレンタイン緩和効果による円高調整も一服してしまっている中、不確実性を意識するのならば、市場の期待の強まりに答える格好で、追加緩和に踏み切らざるを得ないものと考えられるのである。


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by nihonkokusai | 2012-04-20 08:04 | 日銀 | Comments(0)

金融政策におけるコミットメントとは何か

 「コミットメント」はすでに日本語化しているが、その意味として、三省堂辞書サイトによると、「責任をもって関わること、責任をもって関わることを明言すること、責任を伴う約束をさします。」とある。

 2月14日のバレンタイン緩和で、日銀は実質的なインフレ目標、もしくはインフレ・ターゲット政策を導入した。これについて、日銀の白川総裁は、「物価上昇率を引き上げるという要素を内に秘めた能動的な政策だ」と説明し、宮尾日銀審議委員は講演で、デフレ脱却に向けた「強いコミットメント」と説明した。さらに18日の講演で西村副総裁は、強力な金融緩和を継続する「時間軸」(コミットメント)を明確化したとしている。

 FRBも1月25日に物価に対して特定の長期的な目標(ゴール)を置くことを決定したが、これについてバーナンキ議長は記者会見で、新たに公表を開始した政策金利の予想パスは、あくまで予想に過ぎず、コミットメントでない点を再三強調していた。

 FRBや日銀による政策変更は、実質的なインフレ目標の括りとして捉えられようが、その数値には法的な拘束力などがあるわけではない。あくまでECBの「物価安定の量的定義」や日銀の「物価安定の理解」の発展型とも言えよう。

 特にバーナンキ議長は、FRB議長就任前は代表的なインフレ・ターゲット論者であり、デフレ対策として日銀に「ケチャップでも何でもいいから無限に買え」と提言したとの逸話でも知られる。しかし、1月25日のFRBの政策は以前の持論とは一線を画すため、コミットメントでない点を強調したものと思われる。これはFRBの目標が物価安定だけでなく雇用の安定にもあるためとの見方もあるが、コミットメントを強めると、金融政策における柔軟性が失われることを避けるためと思われる。

 しかし、それに対して日銀は、審議委員の発言であるものの「強いコミットメント」との説明もあり、FRBよりも踏み込んだインフレ目標策であるかに思われる。実際のところ1月25日のFOMCでは、事実上のゼロ金利政策を解除する時期を、これまで公表してきた来年の半ばから1年余り先延ばしするなどしたものの、具体的な追加緩和などは行わなかった。これに対して2月14日に日銀は、緩和強化をはかり、基金の増額も行い資産買入等の基金をこれまでの55兆円程度から65兆円程度に10兆円増額し、その増額対象は長期国債(期間1~2年)とすることも決定した。まさに日銀は態度で示した格好である。

 これを見てもFRBよりも日銀のほうが踏み込んだ姿勢をとっている。なればこそ、4月27日の金融政策決定会合で、追加緩和は避けられないのではとの見通しが強まっている。27日に発表される展望レポートでは、物価予測は上方修正される可能性があるようだが、1%には届かないのではないかとの観測も出ている(日経新聞)。能動的な金融政策、そしてコミットメントを意識すれば、追加緩和をせざるを得ない。コミットメントを強めると、市場は物価の数値だけで、追加緩和を期待するようになってしまう。これはいずれ金融政策を縛りかねないし、このあたり今後の市場との対話も難しくさせかねないのではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2012-04-19 09:54 | 日銀 | Comments(0)

中央銀行への過剰な依存を打破できるのか

 「金融市場における為替あるいは株価の動きは、経済に影響を与える 1つの要因です。しかし、この金融市場における価格形成については、日本銀行の金融政策だけでなく、様々な要因で変動するものです。従って、金融市場の変化と金融政策のスタンスを、いわば1対1で対応付けて考えることは、必ずしも適切ではないと思います。」

 これは4月10日の日銀金融政策決定会合後の会見における白川日銀総裁の発言の一部である。これは確かにそうではあるものの、市場の期待や注目が中央銀行の動向に集まってしまっちているときには、金融市場の変化に対して金融政策のスタンスは大きな影響を与えうる。それがまさにここにきての日欧米の市場の動きであるかと思われる。

 これまで最大のリスク要因は欧州の債務問題であったが、それが最も深刻であったのは、昨年11月から12月にかけてであった。その後、欧州のリスクは少しずつ緩和され、いわゆるテイル・リスクは後退した。それを後押ししたのが2月14日の日銀によるバレンタイン緩和であったが、その流れを止めてしまったのは3月に入ってのFEDによる追加緩和期待の後退がきっかけとなった。

 白川総裁も会見で、大きなリスクオンの流れの中で、日本銀行の金融緩和政策の効果もあったと思いますと発言し、それを認めている。いや、それが追加緩和の大きな狙いであった可能性も高い。

 「この数週間の変化でみると、このリスクオンの流れが、スペインの問題、イタリアの問題、あるいは米国の雇用統計の解釈を巡って、また少しリスクオフの流れ、モードになってきていると思います。」と総裁は指摘していたが、それよりもECBが南欧諸国の国債買入をとりあえず停止したことや、2回目の3年物の資金供給オペの実施で、いったん追加緩和が打ち止めになったことの影響も大きい。さらにFRBのQE3への市場の期待も強いが、それについてはバーナンキ議長も言質を与えず、このため市場ではFRBによる追加緩和への期待も不透明であることも、リスクオフの流れとなった要因となっているとみられる。もちろん3月に続き4月も追加緩和は見送った日銀の動向も影響していたとみられる。

 それだけ現在の日欧米の金融市場は中央銀行による追加緩和への期待を強めている、というよりもそれに依存しすぎているような状況にある。

 しかし、現実には白川総裁が次のように指摘しているように試行錯誤の状況にあるとともに、それによる将来の副作用などについても、当然ながら意識せざるを得ない。

「どの中央銀行も、金利はほぼゼロ、中央銀行のバランスシートは非常に拡大しています。バランスシートの中身を見ても、非伝統的で、従来であれば買っていなかったような 資産もたくさん買っています。そういう中で、どうやって中央銀行の使命を遂行していくかについて皆が努力をしている、」

 市場は過度な要求をするものの、視線が中銀の金融政策から離れてしまうと、今度は過剰反応はしなくなる。もちろん作為的に金融政策から目を背けさせるようなことは必要ないが、金融政策への依存度の高すぎるような状況からは脱却する必要もある。あくまで中銀の金融政策は時間稼ぎに過ぎない。その後は、「企業、金融機関、政府、日本銀行が、それぞれの役割や持ち場に則して、全力を尽くしていくことが大事」(白川総裁)であるはずであるが、どうも要求は中銀に集中してしまう事態をなんとか打破する必要もあり、このあたり政府の動向も大きなカギとなろう。

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by nihonkokusai | 2012-04-16 10:06 | 日銀 | Comments(0)
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