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プロの投資家とは

 28日の日経新聞によると、AIJ投資顧問が運用を受託した企業年金資産の大半が消失した問題を受け、金融庁は多くの企業年金を「プロ投資家」と扱う現行の仕組みを見直す検討に入るそうである。資産規模が小さく運用体制が不自由分な場合は「一般投資家(アマ)」と見なし、金融商品を提案する際にはきめ細かい説明を金融機関に求める方向であるとか。

 2007年施行の金融取引法では、リスクのある金融商品の販売方法を厳しく規制する一方で、投資家を資産規模などに応じて一般投資家(アマチュア)と特定投資家(プロ)に分類している。

 法人投資家の場合、地方公共団体、政府系機関、上場会社、資本金の額が5億円以上の株式会社等、個人投資家の場合、取引の状況等から合理的に判断して純資産額及び投資性のある金融資産が3億円以上と見込まれ、かつ、最初の契約を締結してから1年を経過している者が特定投資家、つまりプロの投資家と認定される。

 相手がプロであるならば、複雑な書類を使った説明を受ける手間が省ける上に、プロ限定の私募投資信託に投資できるなどの「利点」があるそうである。つまり、AIJの問題に対して金融庁は、規制強化ではなく現行の規制の対象を見直すことで対応するとしている。

 AIJ投資顧問の問題については、運用益が出たのは最初の1年だけで、その後は損失を出し続けていたとの同社幹部による証言もあったようだが、これではそもそも資金運用者がプロとは言えまい。損失を隠していたことはプロとかアマという以前の問題であり、これも金融機関のプロとは決して言えない。

 投資家のプロとアマの線引きをすることそのものが、たいへん難しい問題であり、アマチュアだから詳しく説明をすれば良いという問題でもそもそもなかろう。

 投資家のプロというのは、投資のリスクを理解した上で、自らの判断で資金運用ができるものであろうが、そこにひとつ重要な要素がある。それは経験と知識である。だから、個人については「1年を経過している者」という条件が付いていると思うが、これはあくまで自ら相場に直接関わった経験でなければならないはず。他人に運用を任せていては、現場での相場感覚は身につかず、投資のプロとは言えまい。

 さらにもうひとつ必要なのが金融知識である。ある程度の金融知識と相場経験があれば、いくら巧妙に隠していたとはいえ、AIJの投資手法に疑問を感じる部分があったのではなかろうか。投資のプロであれば投資先の運用手法についても、ある程度は把握していなければならないはずである。それがわからなければ運用は任せるべきではない。結果の数字だけで判断するのでは、プロの投資家とは言えまい。

 投資家のプロの理想像を追い求めるわけではないが、会社の規模や資産額などでプロとアマを区別することには、やはり疑問を感じる。少額の個人投資家でも、投資のプロはいるとみられ、AIJのように本来はプロ中のプロのような法人投資家でも、アマチュアのような投資家が存在する。自分のディーラー経験からも、いろいろなプロの投資家が存在するのを見てきた。中には、今回のAIJのように犯罪に手を染めた者もいた。もちろん、安定的に利益を出せるディーラーもわずかながら存在していたことも確かではある。

 投資にはリスクが伴うというよりも、投資により利益を生み出すことそのものが容易ではない。プロの投資家であれば、まず知っておかなければいけないのは、この部分ではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2012-02-29 09:28 | 投資 | Comments(0)

野田首相と白川日銀総裁の差しでの会談の意味

 24日付けの日経新聞によると、野田首相は23日の衆院予算委員会で白川日銀総裁との会談について、「定期的というよりは随時、頻繁に会う」と表明したそうである。そして、記事によると首相と白川総裁は14日の金融政策決定会合の翌日、都内で二人きりで朝食をともにしたという。

 15日の会談については当日にベンダーなどで伝えられていたが、野田首相と白川日銀総裁の二人きりでの朝食であったという点が少し気になった。たとえば、米FRB議長がFOMC後に財務長官ではなく大統領に直接報告をしに行くであろうか。米国と比較するな、と言われそうだが、「14日の決定会合」の翌日に首相が日銀総裁と2人で朝食をともにして、いったい何を話したのか非常に関心がある。

 14日の金融政策決定会合では、中長期的に持続可能な物価の安定と整合的な物価上昇率として「中長期的な物価安定の目途(Goal)」を示すことにすることを決定し、実質的なインフレ目標を導入した。さらに資産買入等の基金をこれまでの55兆円程度から65兆円程度に10兆円増額することも決定した。これは日銀にとっては大きな政策転換であったと個人的には思っているが、マーケットでもこれが好感され円安株高をさらに進行させることとなった。

 野田氏は首相になる前2010年6月8日から2011年9月2日にかけて財務大臣に就任していた。2008年4月に日銀総裁に就任した白川氏とは、G7やG20などでは当然ながら同席し、旧知の間柄であったはずである。

 ただし、日銀総裁が議員として出席する経済財政諮問会議は政権交代後、凍結状態となり、政府と日銀の意見交換の場は失われていた。これについて首相は、「総裁、副総裁と関係閣僚との会合は定期的にすることも検討したい」と述べる一方で、白川総裁との2人きりの会談に対しては「随時、頻繁」と別に開く考えを示したという(日経新聞)。

 財務大臣などを交えずに、首相と日銀総裁が差しでしかも頻繁に話をするというのは異例ではなかろうか。

 野田首相は、たとえば先月27日の衆院本会議の各党代表質問でデフレ脱却に関し、「日本銀行と一体となって速やかに安定的な物価上昇を実現することを目指して取り組む」と表明するなど、これまでも日銀をかなり意識した発言を行っていた。

 2月14日の日銀によるインフレ目途政策というか実質的なインフレ目標政策の設定とともに追加緩和を行った背景には、政治的な圧力があったのではないかとの見方があった。これについては圧力はさておき、翌日に首相と朝食を2人でとったということは、その報告も兼ねてか、もしくは首相が前日の日銀の動きを評価してのものと考えてもおかしくはないのではなかろうか。

 このようにデフレ脱却に向けて政府と日銀が一丸となって取り組む姿勢は好感されよう。しかも、野田首相ではトップ同士での直談判というか、直接の意見交換を重視する姿勢を示した。これは日本の政治でのやり方としては極めて異例にも感じるが、その効果等を考えれば、方法としては正しいのかもしれない。


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by nihonkokusai | 2012-02-25 08:00 | 日銀 | Comments(0)

物価に対する理解・目途・目標の違い

 2月17日の白川日銀総裁の講演内容から、あらためて物価に対する「理解」と「目途」、「目標」の違いについて探ってみたい。

 各国中銀の各国の中央銀行の物価安定の数値表現については、イングランド銀行は目標(target)」、欧州中央銀行やスイス国民銀行は定義(definition)、FRBはこれまで採用していた物価の長期的な見通し(longer-run projection)を、1月25日に長期的な目標(longer-run goal)に変更している。そして日銀はこれまでの物価安定の理解(understanding)から物価安定の目処(goal)に変更している。

 日銀の言う「理解」とは、物価が安定していると各政策委員が理解している物価上昇率を個別に提示し、それらを包含する範囲での数値表現、つまり各委員の見解の集合体という位置づけと、総裁は説明しているが、これは「固定的なイメージ」の強い「インフレ目標」とは一線を画すために、このような表現にしたのではないかと、私は推測している。

 ところがFRBが1月25日にインフレ目標に近いかたちを示したことで、日銀もさらに踏み込んだ対応を行うことを検討したと思われる。ちなみにFRBが長期的な目標設定を発表する直前に開催された日銀の金融政策決定会合では次のような発言があったことが、議事要旨(1月23日・24日)に記されていた。

 「政策金利を巡る時間軸について、委員は、中長期的な物価安定の理解に基づき、物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで、実質ゼロ金利政策を継続していくとの方針を、これまで以上に粘り強く対外的に説明していくことがきわめて重要との認識を共有した。何人かの委員は、こうした時間軸の示し方は、現下の日本経済の情勢等を踏まえると、金融政策の透明性や有効性の観点から適切であるが、米国FRBがコミュニケーション政策を見直していることもあり、情報発信のあり方については不断に点検を続けていくことが重要であると付け加えた」

 「これまで以上に粘り強く対外的に説明していく」、「情報発信のあり方については不断に点検を続けていく」との発言は、2月14日の会合での理解を目処に変更したことに繋がっていったものと推測される。

 そして中長期的な物価安定の目途について、これまでの理解との違いを白川総裁は講演で説明している。第1として今回の「目途」は「各政策委員の見解」ではなく、「日本銀行としての判断」であるということを指摘している。そして第2として、物価安定の領域として「消費者物価の前年比上昇率で2%以下のプラス」としたうえで、「当面は1%を目途とする」ことを明確にしたとする。

 それではなぜ「目標」あるいは「ターゲット」という表現を使わなかったのかという点について総裁は、「今回の目途は、中央銀行の使命と整合的な物価上昇率を数値的に示し、それを中長期的に目指していくという点では、ターゲットという表現を使っている国の中央銀行と、考え方そのものに大きな違いはありません。しかし、わが国では、インフレ目標という言葉が、一定の物価上昇率と関係づけて機械的に金融政策を運営することと同義に使われることも未だ多いように思われます」

 つまり、1%という目途というか目標を設定した以上、それを達成するために無理矢理物価上昇を促すような政策を取るというのではなく、中長期的にみた物価や経済の安定を重視して行われる政策が重要であるとしている。

 その上で、「そうした金融政策運営の実態にもっとも相応しい日本語の言葉は、中長期的な物価安定の目途であると判断しました。」とある。しかし、本当に「目処」という表現で良かったのかどうか。私は、あまりぱっとしない表現と感じてしまったのだが。ただし、ゴールという英語の表現は使いづらく、また目標とすると機械的なインタゲとも捉えられかねず、「固定的なイメージ」も強い。このため、目処という言葉の選択は、苦肉の策というか苦肉の表現であったと推測される。

 いずれにせよ、昔、バーナンキ教授が主張していた「固定的なイメージ」に近いインフレのターゲットと、今回、FRBや日銀が採用したインフレのゴールとはやはり別物であるとの認識であろう。ただし、インフレ目標の定義そのものが、物価上昇(インフレ)率の目標値(または範囲)を設定・公表して、その達成に向けて中央銀行が「金融政策運営を実施する」という金融政策の「枠組み」とするならば、まさにFRBも日銀も実質的なインフレ目標を設定したと言えよう。


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by nihonkokusai | 2012-02-24 09:46 | 日銀 | Comments(0)

個人向け復興応援国債の概要が明らかに

 21日に財務省は、個人向け復興応援国債(「個人向け利付国庫債券(変動10年)」第801回債)の発行条件等を発表した。新型の個人向け復興国債といえる個人向け復興応援国債は変動金利型の10年債であるが、当初3年間の金利は年0.05%(税引後0.04%)と通常の変動金利型より低い変わりに、購入から3年間に中途換金しなければ金額に応じて復興記念の金貨や銀貨がもらえるというものである。4年目からの適用利率は「基準金利×0.66(下限は0.05%)」として、通常型と同じ金利になる。2012度にも四半期毎に複数回の募集を予定しているそうである。

 第801回債の募集期間は3月5日から3月30日まで。発行日は4月16日。利払い日は毎年4月15日及び10月15日の年2回、償還期限は2022年4月15日となる。中途換金等については、これまでの個人向け国債の変動10年と同じ条件となり、第2期利子支払日(発行から1年経過)以後であれば、いつでも中途換金可能となる。ただし、直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれる。

 財務省の発表によると、復興応援国債の発行の日から3年目に当たる利払日(15日)を基準日として、基準日に「100万円以上の残高を有している方」を対象に、残高1000万円毎に一万円金貨を1枚、100万円毎に千円銀貨1枚を、国債購入者限定特製ケースに入れて財務省または取扱金融機関から発送するそうである。

 そして今回、記念貨幣の形式等についての発表もあり、金貨と銀貨のデザインも発表された。金貨と銀貨の共通面として、津波に耐えた高田松原の一本松がデザインされている。個別面として金貨は、東北地方の地図とともにハトが飛んでいるデザインとなり、銀貨については「たわわに実る稲穂」と「大漁旗を掲げた船」がデザインされた。この記念貨幣のデザインは、各回号(募集月)毎に異なり、一つの回号(募集月)につき金貨・銀貨各々一種類となるそうである。

 また、この記念貨幣の一部は造幣局から抽選販売される予定とも伝えられたが、かなりの競争率となることも予想され、確実に金貨と銀貨を1枚ずつ入手するためには1100万円の個人向け復興応援国債を購入した上で、最低3年間途中換金しないことが条件となる。

 金貨の額面は1万円であっても純金であり、その重さは15.6グラム(二分の一トロイオンス)とその価値は金価格の変動により変わるがプレミアムが付く。銀貨も31.1グラムの純銀である。現在での金や銀の価格を考えれば、1000万円の資金は他の個人向け国債等に投じた方が利息そのものは多いかもしれないが、復興支援であり、プレミアム付きの記念貨幣を確実に入手できるとなれば、ニーズはあると思われる。

 個人向け国債の購入者の多くは年配者であり、また1000万円以上の金額を3年間寝かせておけるのもやはり年配者が多くなると予想される。銀行に預金保険の対象となる1000万円まで預け、それ以上の資金は個人向け国債を購入しているという個人投資家もいるようである。金額に応じて記念貨幣がもらえる個人向け復興応援国債にどの程度のニーズが存在するのかはやや不透明ながら、個人向け国債が個人向け復興債となって販売額が大きく増加したように、今回の個人向け復興応援国債も意外と人気化するのではないかと予想している。


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by nihonkokusai | 2012-02-23 10:11 | 国債 | Comments(0)

意外に興味深いカード利用の国際比較

 ツイッターでクレジットカードで決済される金額の国際比較みたいなものはないかとのツイートを見て、そういえば「金融の基本とカラクリがよーくわかる本」を書いた際に、日銀の小口決済に関わるレポートを参考にした記憶があり、検索したところ、面白いレポートが日銀のサイトにアップされていた。今回はこの内容をご紹介したい。ちなみに、拙著の「金融の基本とカラクリがよーくわかる本」は、もうすぐ改訂版が出る予定でもあり、こちらもよろしくお願いしたい。

 その日銀のレポートの題名は「最近のリテール決済を巡る動向」というもので、昨年12月15日に日銀の決済機構局が出したものである。

「最近のリテール決済を巡る動向」 http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/data/rel111222a5.pdf

 ここで興味深いのは「小口決済手段の国際比較」の箇所である。まず、「クレジットカード」年間決済金額を名目GDPで割った数値を米国と英国、そしてドイツと日本を比べた結果、やはり米国がトップであった。しかし米国は2008年から2009年にかけやや減少しており、これはリーマン・ショックなどの影響が出ていたものと推測される。これに対し日本はこの期間を含めて右肩上がりになっていた。このため、クレジットカード年間決済金額/名目GDPでは、すでに英国を抜いている。

 また、この数値ではドイツに関してはゼロに近い状態が続いている。ドイツ人がクレジットカードは全く使わないということは考えづらい。そこで調べて見ると、ドイツではECカードと呼ばれる多機能なICカードがクレジットカード以上に使われているようである。つまり、それはデビットカードと呼ばれるものである。  ちなみに、デビットカード(Debit Card)とは、1取引毎に銀行の口座から(即時に)引き落とされる決済サービスの総称名であり、日本ではJ-Debitサービスというサービスがある。

 そのデビットカードの年間決済金額/名目GDPというのもこの資料で確認できる。それによると、英国が右肩上がりで上昇しており、英国はクレジットカードよりデビットカードを利用する人が増えているようである。米国でもデビットカードを利用する人が増加しているようで、ドイツでもある程度利用されていることが伺える。それに対して日本ではグラフ上ではほぼゼロに近い状態となっている。

 欧米ではクレジットカードよりもデビットカードの利用が増加している。できるだけ借金しての買い物は控えようということなのであろうか。それに対して日本でのクレジットカードの利用額の伸びは、米国のように借金しても物を買うという消費構造に向かっているというよりも、クレジットカードが利用できる場所の増加で利用する機会が増えたためではないかと推測される。

 そして、電子マネー年間決済金額/名目GDPというグラフもある。これをみるとシンガポールが非常に高い数字となっている。シンガポールでは「ez-link Card」と呼ばれる電子マネーが普及しているようで、人口を遙かに超える枚数が発行されているそうである。ただし、そのシンガポールは2009年から2010年にかけてはやや落ち込んでいる。これに対して急速に伸びているのが日本である。これはスイカやパスモなどの普及が大きく影響していると思われる。また、韓国も伸びている。これに対してドイツやフランスではほぼゼロの状態にある。

 そして、もうひとつ現金流通残高/名目GDPというグラフを見ると、ユーロ圏、米国、英国に比べてダントツに高いのが日本である。電子マネーやクレジットカードの利用が伸びてはいるものの、やはり現金そのものを日本人は持ち歩いていることが伺える。東日本大震災の際に、現金しか利用できない状況を私も経験しており、今後も日本人の財布の中から現金が消えることは考えづらい。

 このようにリテール決済の状況は、いろいろと国ごとに特色があるようで、これは現地に滞在したことのある人は知っているかもしれないが、意外と実情を知らない人も多いのではなかろうか。このようなリテール決済の動向が景気に直接影響するようなことはないかもしれないが、それぞれの国の特色を知っておくと、消費動向をみる上でも参考になるのではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2012-02-22 09:57 | 日銀 | Comments(0)

1月の公社債投資家別売買高より

 20日に日本証券業協会は1月の公社債投資家別売買高を発表した。短期証券を除いた公社債売買高でみるとほぼ全業態で買い越しとなっていた。

 短期証券を除いた公社債売買高で、都市銀行は7717億円の買い越しとなり、12月は2兆5724億円の売り越しに転じていたが再び買い越しとなった。都市銀行は2011年3月以降は売り越しと買い越しが交互に繰り返されており、今回も同様となった。国債の投資家別売買高でみると超長期を4670億円、長期を3310億円買い越したが、中期債は582億円の買い越しにとどまり、国庫短期証券は1兆5731億円の売り越しとなっていた。

 地方銀行、信託銀行、農林系金融機関はそれぞれ6955億円、7101億円、7616億円の買い越しに。国債でみると地銀は中長期、信託と農林系は超長期と中期主体に買い越しとなっていた。

 信金は4724億円、そして生損保は4110億円の買い越しに。信金は長期債主体、そして生損保は超長期主体での買い越しとなった。ただし、生損保の超長期主体での国債の買い越し額は1695億円と2009年5月以来の低さとなっており、これが一時的なものであるのかどうかも注意したい。

 そして海外投資家は4459億円の買い越しとなっており、国債でみると中期債を4715億円買い越していた。また、国庫短期証券は11兆8048億円の買い越しとなった。今年に入りユーロ圏の信用不安はやや後退したかに見えたが、海外投資家による中短期債主体の日本国債への買いは継続しているようである。直近の国庫短期証券への海外投資家の買い越し額をみると、昨年10月が10兆1447億円、11月が14兆3241億円、12月10兆6589億円、そして今年1月が11兆8048億円となっている。ただし、2月に入ってからは多少なり、海外投資家による短期債への


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by nihonkokusai | 2012-02-21 09:55 | 債券市場 | Comments(0)

物価安定の目途(ゴール)とはインタゲなのか

 2月14日の日銀の金融政策決定会合では、中長期的に持続可能な物価の安定と整合的な物価上昇率として「中長期的な物価安定の目途(The Price Stability Goal in the Medium to Long Term)」を示すことにすることを決定した。「中長期的な物価安定の目途」とは、消費者物価指数の前年比上昇率で2%以下のプラス領域にあるとある程度幅を持って示すこととした。その上で、「当面は1%を目途(Goal)」として、金融政策運営において目指す物価上昇率を明確にした。

 この物価安定の目処について、白川総裁は会見で次のように述べている。

 「この数字(物価安定の理解)は、個々の委員の数字を集めているもので、必ずしも、日本銀行という組織、日本銀行政策委員会としての意思、判断を表すものになっていないのではないかという批判がありました。これに対し、今回の「目途」という数字は、日本銀行政策委員会としての判断を示したものであり、そこが大きな違いです。」

 「物価安定と整合的な物価上昇率をどのような言葉で呼ぶかは、それぞれの中央銀行の置かれた状況によって異なると思います。FRBは、今回、「longer-run goal(長期的な目標)」という言葉を導入しました。ECBあるいはスイス国民銀行は「definition(定義)」という言葉を使っています。BOEは「ターゲット」という言葉を使っています。日本銀行は「目途」という言葉を使っています。」

 「わが国ではインフレ目標という言葉が、目標物価上昇率との関係で金融政策を機械的に運用することと同義に使われることが――もちろんそれだけではありませんが――多いように思います。」

 「実際の金融政策運営は、いわゆるインフレーション・ターゲティングを採用している国を含めて、物価の変動と目標との関係で機械的に金融政策を運営するのではなく、今は、中長期的にみた物価や経済の安定を重視した政策運営をするようになっています。日本銀行は、そうした金融政策の運営の仕方を表すのに最も相応しい言葉は何かを考え、中長期的な物価安定の目途という言葉を今回使いました。」

 白川総裁は、インフレ目標もしくはインフレ・ターゲットという言葉が、目標物価上昇率との関係で金融政策を「機械的に運用する」ことと捉えてほしくなかったために、あえて目処という表現をし、さらにその英訳では目途(Goal)とすることで、FRBが1月25日に発表した政策に似ていることを示したのではなかろうか。これについては下記のような発言も白川総裁からあった。

 「日本国内の新聞各紙の報道を見ても、随分、日本語の用語が異なっていたわけですが、バーナンキ議長は、longer-run goalという言葉を使った上で、記者会見でインフレーション・ターゲティングではないと、はっきりとおっしゃっています。」

 物価目標を設定し何が何でもそこに向けて政策を行うということではないことを、あらためて示したものであろう。しかし、それではこれまでの物価安定の理解とほとんど変わりのないもので、単に表現を変えたものでしかないことになる。そこで、総裁は次のような発言もしている。

 「ただ、本人(バーナンキ議長)の否定にも拘わらず、仮に今回のFRBの金融政策運営の枠組みをインフレーション・ターゲティングと呼ぶのであれば、日本銀行の今回の金融政策運営の枠組みは、FRBの金融政策運営の枠組みに近いということは言えるように思います。」

 このあたりに本音が隠れているかに思える。今回の日銀の政策変換はかなり大きなものであったと思う。それはまさにこれまでその採用を見送っていたインフレーション・ターゲティングを実質的に日銀が採用したと思われるためである。しかし、それを強調してしまうと、その目標数値に縛られかねない。現在、インタゲを採用している国も、たとえばイングランド銀行しかり、しゃかりきにその目標値に物価を調整させようとしているわけではない。ただし、インタゲはインタゲであろう。

 インフレ・ターゲットとは、物価上昇(インフレ)率の目標値(または範囲)を設定・公表して、その達成に向けて中央銀行が金融政策運営を実施するという金融政策の「枠組み」とのひとつの定義がある。日銀は今回、「当面は1%を目途」として、金融政策運営において目指す物価上昇率を明確にした、としている。これはまさに、実質的なインフレ・ターゲットという枠組みを導入したということになろう。


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by nihonkokusai | 2012-02-19 08:25 | 日銀 | Comments(1)

米国債保有額のツートップ、日本と中国の保有額が接近

 米財務省が2月15日に発表した2011年12月の米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES、http://www.ustreas.gov/tic/mfh.txt)によると、日本の米国債(短期債含む)は、1兆424億ドルとなり2か月連続で1兆ドルを超えた。

 国別でのトップは引き続き中国で、12月は1兆1007億ドルとなっていたが、前月の1兆1326億ドルからさらに減少し、日本の保有額との差がさらに縮まった。

 上位10か国は次の通り(単位、10億ドル)。中国(China, Mainland)1100.7 、日本(Japan)1042.4、英国(United Kingdom) 414.8、石油輸出国(Oil Exporters) 233.5、ブラジル(Brazil)206.9、カリブ海の金融センター(Carib Bnkng Ctrs)174.8、台湾(Taiwan)149.2、スイス(Switzerland)116.2、香港(Hong Kong)112.0、カナダ(Canada )96.6。

 11月に比べて英国やカリブ海の金融センターが保有額を減少させており、ユーロ圏諸国の信用不安による米国債投資の動きが幾分か和らいだようである。そして今回10位となり、ロシアと入れ替わったカナダがここにきてじりじりと米国債の保有額を増加させつつある。ただし、中国と日本のツートップの金額が突出していることは確かであり、この2か国でトータルの4兆7321億ドルの45%と約半分近くを占めていることに変わりはない。

 11月に統計がさかのぼれる2000年以降はじめて日本の米国債保有が1兆ドル超えとなったが、この要因としては、昨年10月末の大規模介入によって得たドル資金を米国債に振り向けているとみられ、その動きが継続しているものと思われる。

 ちなみに財務省が2月7日に発表した2011年10~12月の外国為替平衡操作の実施状況によると、10月31日の8兆722億円に続き、政府・日銀は11月1日に2826億円、2日に2279億円、3日に2028億円、4日に3062億円のドル買い円売り介入を行っていたことが明らかになっている。

 財務省が2月7日に発表した1月末の外貨準備高は、昨年12月末に比べ、108億2700万ドル増の1兆3066億6800万ドルとなり、これは昨年11月末の1兆3047億ドルを超えて2か月ぶりに過去最高を更新した。12月末の外貨準備高は1兆2958億ドルと11月末に比べてやや減少していたが、その後の米国の長期金利低下により保有している米国債の価格が上昇したことや、対ドルでユーロが上昇して評価額が増えたことなどが主な要因と指摘されている。また、また外貨準備に占める預金が減少しており、昨年の大規模介入で得た米ドルを米国債の購入に充てた可能性もある。

 中国は外貨準備の多様化を進めていることなどから、今後も米国債の保有額は頭打ちとなるとみられ、日本の米国債の保有額は上記の理由などから今年に入っても増加しているものと思われる。いずれかの段階で日本が再び米国債保有の国別トップに返り咲く可能性がありそうである。


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by nihonkokusai | 2012-02-18 07:59 | 国債 | Comments(0)

14日の決定会合での全員一致には違和感

 2月14日の日銀の金融政策決定会合では、中長期的に持続可能な物価の安定と整合的な物価上昇率として「中長期的な物価安定の目途」を示すことにすることを決定した。さらに緩和強化をはかるため、日銀は基金の増額も行った。この決定の採決については、委員全員が賛成した。

 今回の日銀による政策変更は「中長期的な物価安定の理解」から「中長期的な物価安定の目途」と言葉を換えただけに過ぎないとの見方は適切ではなかろう。これは、「当面は1%を目途として、金融政策運営において目指す物価上昇率を明確にした」との「中長期的な物価安定の目途」に関する表明文からも明らかである。

 インフレ・ターゲットの定義・解釈はいろいろとあるかもしれないが、インフレ・ターゲットとは、物価上昇(インフレ)率の目標値(または範囲)を設定・公表して、その達成に向けて中央銀行が金融政策運営を実施するという金融政策の「枠組み」であるとの見方があり、今回はまさに日銀はこれに沿った格好での政策変更を行ったともいえる。さらにこの政策変更は表現の変更だけに止めず、予想外ともいえる基金の増額も実施した。ここにきての外為市場や株式市場での、円安株高の動きなどからみて、市場参加者の多くはここまでの動きは想定していなかったと思われる。

 実質的なインフレ・ターゲット政策ともいえる今回の政策変更に際して、政策委員が全員一致で賛成したことに対しては疑問が残る。もちろん大きな政策変更であるから、全員一丸となって政策を取り決めたとの姿勢も重要かもしれないが、まったく反対意見はなかったのであろうか。

 FRBが物価に対して特定の長期的な目標(Goal)を置くこととし、結果としては日銀もそれに追随した格好となった。これは政治的な圧力も見据えての動きととられても致し方がない。このあたり、タイミングからも反対する意見はなかったのか。少なくとも日銀内部にはインタゲに対して過去には否定的な意見もあったはずであり、全員一致というのは、むしろ腑に落ちない。

 以前にも指摘したが、出身母体も異なる9人の委員がまったく同じ意見であるということは考えづらい。もちろん会合内での意見の対立があった可能性は十分にある。しかし、それが採決そのものに反映されていないとなれば、やはり委員会制度となっている政策委員会が形骸化しているのではないか、とみられてもおかしくはない。

 自分がもしも政策委員であったならば、今回の政策変更については反対していたと思う。このタイミングで、何故に日銀とすれば大きな政策変更とも言える、実質的なインフレ・ターゲットを採用しなければならないのか、その理由がはっきりしないためである。デフレに対して強力に対応するとするのなら、今までいったい日銀は何をしていたのか、ということにもなりかねない。また、ここにきて急激にデフレ圧力が強まっているわけでもない。今回の政策変更の理由が納得できないとの理由での反対はおかしいであろうか。


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by nihonkokusai | 2012-02-17 09:46 | 日銀 | Comments(0)

資産買入等の基金の増額による日銀の国債保有額への影響

 2月14日の日銀の金融政策決定会合では、中長期的に持続可能な物価の安定と整合的な物価上昇率として「中長期的な物価安定の目途」を示すことにすることを決定した。さらに緩和強化をはかるため、日銀は基金の増額も行った。

 資産買入等の基金をこれまでの55兆円程度から65兆円程度に10兆円増額し、その増額対象は長期国債(期間1~2年)とすることを決定した。資産買入の中での長期国債(期間1~2年)の買入額は従来の9兆円から19兆円に増額される。これにより日銀の国債保有額はさらに増加する。

 日銀券ルールという縛りがある日銀による国債買入は毎月1.8兆円ずつ行われ、年間で21.6兆円の買入が行われている。

 現在、資産買入等の基金の残高は43兆円程度であるため、今回の増額分と併せ2012年末までに残高は22兆円程度増加することになる。資産買入の中での長期国債(期間1~2年)の残高規模は19兆円とする予定だが、2月10日現在の基金国債買入の残高は3.8兆円しかない。

営業毎旬報告(平成24年2月10日現在)
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2012/ac120210.htm/

 つまり、今年12月末までにあと15.2兆円買い入れる必要があり、およそ毎月1.5兆円規模の買入が行われることになる(今年途中で資産買入等の基金増額があった場合にはさらに増加も)。

 15日の日経新聞には、資産買入基金の増額により、日銀による長期国債の買い入れ額は年間で40兆円規模となるとあったが、これは毎月の通常の国債買入(日銀券ルール縛りあり)1.8兆円と基金による国債買入1.5兆円の3.3兆円を12か月買い入れた場合の合計金額39.6兆円規模を示したものと思われる。40兆円規模となれば、来年度の新規国債の発行額の44.2兆円近くを買い入れる規模となり、発行総額174兆円の23%程度を占めることになる。

 日銀は2010年6月に日銀は包括緩和策を決定し、実質的なゼロ金利政策を再開し、時間軸政策とともに基金オペの実施を決定した。その基金オペ中で、長期国債と国庫短期証券を合計3.5兆円程度買い入れることにしたが、この基金による長期国債の買入は、現行の長期国債買入とは異なる目的のもとで臨時の措置として行うものとし、これにより買入れて保有する長期国債は、日銀券ルールには縛られない国債買入とした。その後、2011年3月に資産買い入れ基金を増額し、その中には長期国債と短国の増額も含まれた。また、8月と10月にも基金の増額を実施した。

 日銀の国債保有額は2011年11月には再び90兆円の大台に乗せていたが、直近では83兆円規模となっている。今回の日銀による資産買入基金の増額により、日銀保有の国債残高はさらに増加し、いずれ2004年3月以来の100兆円台に乗せることも予想される。昨年は海外投資家による国債保有が増加していたが、今後さらに日銀による国債保有の増加が見込まれ、国債市場ではさらに需給面で好条件が加わることになる。


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by nihonkokusai | 2012-02-16 08:18 | 日銀 | Comments(0)
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