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格付け会社によるトリプルAの在庫一掃セール迫る?

 日頃のご愛顧に感謝してか、大手格付け会社による欧州、そして日本での年末年始格下げジャンボセールが開催されそうな予感が漂っている。

 格付け会社のムーディーズは、EUサミットの共同声明には、新たな政策がほとんどないとして、来年初頭に欧州諸国の格付けを見直す方針を確認した。フィッチも、包括的解決策の取りまとめに失敗したとした上で、ユーロ圏諸国の格付けに対する短期的圧力は高まった、との見方を示した。もちろんS&Pは先んじて格下げ準備を整いつつあり、ユーロ圏の15か国の格付けを引き下げ方向で見直すとした結果、格下げの対象となる債券発行体の数が増加したことを明らかにした。このように、いよいよ欧州ではトリプルAの格付けがほぼ一掃されるような可能性すら出てきた。

 そして日本でも格付け会社R&Iが、国内格付け会社として初の日本国債格下げを準備している。格下げ誘致とばかりに民主党議員からは消費増税反対の声も強まり、そのおかげで来年度の基礎年金の国庫負担分をどうするのか、財務省と厚労省がもめている。ただし、どう転んでもその分の財政負担が増すことは確かで、来年度予算案を決定するとされる24日までに、日本の格付け会社による日本国債のトリプルAからの引き下げ準備は整うであろう。

 すでに格下げ慣れした日本では、トリプルAの在庫一掃セール効果はあまりないかもしれないが、ユーロ圏ではそれなりに効果があるかもしれない。なにはともあれ、市場はまだまだ荒れ模様となり、それには格付け会社もまた一役絡んでくることが予想される。


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by nihonkokusai | 2011-12-14 11:15 | 国債 | Comments(0)

イタリア国債の下げを加速させた背景に、国債先物の存在も

 日本の債券市場にとり、債券先物と呼ばれている長期国債先物の存在は非常に大きなものとなっている。日本で国債の先物取引は東京証券取引所において取引されており、債券市場のベンチマークのような役割を果たしている。国債市場の動きを手っ取り早く把握できるのは、国債先物の動きとなっていることは言うまでもない(ただし、これを把握しているのは市場関係者か債券取引に関心ある一部の人に限られるかもしれないが)。

 あらためて紹介すると、日本の長期国債先物は東京証券取引所に上場されている。最低取引単位1億円(ラージ)、売買するのは標準物と呼ばれる債券で、利率は6%の架空の国債となる。受渡日を統一していることで、同じ限月の先物の価格と利回りは一致する。このため、利回りでの売買ではなく価格で取り国されており、1銭刻みで値が動く(ラージ)。上げ下げもわかりやすく、東証に上場されていることで比較的、価格をチェックするのも現物債などに比べて容易である。

 債券先物は現物国債のヘッジを容易にするため作られたデリバティブと呼ばれる派生商品であるが、売買が比較的容易であることで、ヘッジだけでなく売買益を目的として売買が行われており、それ故、海外投資家による売買も積極的で、2010年の東証の集計によると、全体の35.09%の売買を海外投資家が占めている。

 海外の債券先物取引を行っている取引所は、統合などを経て大きく様変わりしているが、代表的なものにユーレックス、NYSEユーロネクスト、CMEグループがある。ユーレックス市場の取扱商品には、ドイツ連邦債の先物取引がある。そして、NYSEユーロネクストには、日本国債や英国債先物が上場されている。米国を代表するデリバティブの取引所のCMEグループでは、グローバルで24時間取引が行える電子取引システムのグローベックスを提供しており、米国債の先物などが終日取引されている。

 国債の発行量、残高の増加などで次第に流通市場が整備され、その過程で国債先物も生まれたわけだが、こちらは各取引所が開発している商品のひとつであり、そこには競争等も出てくる。日本の国債先物に限っても、東証で中期国債、超長期国債の先物、さらにミニ長期国債先物などが生まれたが、残念ながらそれが育つことはなく、日本の債券の先物としては長期国債先物に売買が集中している。

 日本の債券先物は国債先物発祥の地である米国の債券先物と並び、世界有数の先物市場といえるが、欧州市場にも国債の先物は上場されている。欧州市場においては、英国債先物そしてドイツ国債先物などが活発に取引されているが、実はここでも新規参入とともに競争等があり、国債先物が機能しているのは、英国債先物、ドイツ国債先物、そしてイタリア国債先物だけとなる。

 今回のギリシャを発端とした欧州の信用不安、つまりは国債相場の下落に際し、ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、スペイン、ベルギーなど国債市場には先物が存在していないのである。さらに驚くことに、フランス国債の先物も閉店休業状態となっている。

 統一通貨のユーロ圏では、当初はユーロ圏諸国の国債にほとんど利回り格差はなかった。ただし、ユーロ圏の国債のヘッジツールとして先物は必要とされ、そこで起きたのがドイツとフランスの先物のベンチマーク争いであった。それに勝ったのがドイツ国債の先物である。いまでこそ、ユーロの信用不安が進んだことで、ドイツとフランスに利回り格差が生じているが、最近にいたるまでドイツ国債もフランス国債もほとんど同じ物として市場では売買されていたのである。

 ところが2009年9月からユーレックスでイタリアの国債先物が上場された。これは翌年からのギリシャ・ショックを予言して作られたもの、とかではもちろんない。なぜイタリアなのかと言えば、日本と米国に続く国債残高があったのがイタリアであったためと推測される。ただし、当初は上記の理由もあり、あまり売買高等は多くはなかったようである。

 しかし、欧州の信用不安の拡がりにより、ギリシャ・ポルトガルがスペインそしてイタリアに及んで状況が変わってきた。イタリア国債がなぜ売られたのかといえば、イタリアの債務残高規模の大きさとともに、政局への不安などもあり、ユーロ圏内での国債の入れ替え、つまりは域内の金融機関がイタリア国債を売却し、安全とされるドイツ国債を購入するなどしたことも大きい。

 それとともにイタリアの国債の下落には、先物の存在も影響していたとの指摘がある。これは12月9日に行われたQUICKのセミナーで、JPモルガン証券の山脇貴史チーフ債券ストラテジストが指摘されていた(ご本人の了承をいただき掲載させていただきました)。ユーロ圏で数少ない国債先物(実質的にドイツ国債とイタリア国債のみ)において、イタリア国債先物が、イタリアだけでなくスペインなど周辺国のヘッジ等にも使われていた可能性があったようである。

 イタリアの国債が売られた背景についてはスペインなどに比較して海外投資家比率が高かった面などもあるが、さらに売りを加速させた要因としては、このようにイタリア国債先物への他国の国債を含めたヘッジ売りが影響していた可能性がある。さらにヘッジファンドの投機的な動きなども加わり、売りを加速させていた面もありそうである。


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by nihonkokusai | 2011-12-13 08:22 | 債券市場 | Comments(0)

国債急落の際の国内金融機関による国内の資金シフト

 欧州の信用不安において、ユーロ域内での国債の資金シフトが起きた際に、ギリシャ、ポルトガル、スペイン、イタリアさらにベルギーやフランスの国債が売られ安全資産としてドイツ連邦債が買われる構図となっていた。統一通貨であり、為替リスクなしに資金シフトが可能であり、それがイタリアやスペインの国債下落を促した面はある。

 それでは、日本国内ではどうであろうか。もしも、日本国債への信用不安が起きた際に何が起きるのか、少し頭の体操をしてみたい。

 すぐに資金がドルやユーロ等に流れることは想定しづらい。ましてや金などに向かうことも考えられない。国債への投資資金の規模が大きすぎるためである。本当に日本がヤバイとなれば、海外資産への逃避は起きるかもしれないものの、その前に起きることが予想されるのは、デュレーションの短期化である。つまり保有する国債の平均残存年数の短期化である。

 国債は長い期間のものほど、同じ利回りに対する価格変動幅が大きい。つまり、日本国債への信用不安が生じた際には、まずは長い期間の国債が売られる可能性が高い。ただし、生保・年金などはその運用期間にマッチさせるべく長い期間の国債に投資しており、これらの投資家がいきなり売却を急ぐことは考えづらい。それよりも動きが速い大手銀行などが、保有する債券の期間をより短期に修正してくる可能性がある。国内投資家による売りが入れば、債券先物はヘッジファンドなどの売りから下げを加速させよう。

 つまり国内の銀行などは長期金利上昇による損失をなるべく回避するため、10年債などを売って、その資金をより安全とされる日銀の当座預金に残すなり、1年以下の期間の国庫短期証券などより短期の国債に振り向けて来る可能性がある。これは国内での資金シフトであり、債券相場全体に影響はないように見えるが、これにより短期金利は低位で張り付くのに対し、長期金利は大きく上昇してくることになる。

 長期金利が上昇すれば、本来であれば投資家により絶好の収益を向上させるチャンスとなるが、その背景が経済・物価動向ではなく、財政プレミアムがオンされてしまっている状況であれば、残念ながら投資家は利回りだけを見て国債を購入することはない。日本の信用不安が解消されるまでは、手は出せないであろう。これについては、これだけ利回りが上昇しても見向きもされない現在のギリシャ国債を見れば明らかである。


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by nihonkokusai | 2011-12-12 15:49 | 国債 | Comments(0)

若さとスピードが売りの英国の財政再建

 欧州連合(EU)首脳会議はユーロ圏の財政規律強化で基本合意した。ただし、EUに加盟している27か国による基本条約改正では合意できず、条約改正を通じた財政規律の強化については英国が反対した。英国のキャメロン首相は、首脳会議に提案された内容は英国の国益に沿わなかったと発言しており、国際金融街ロンドン・シティを抱えることで、金融取引税の導入に対する強い反対が背景にあったと藻指摘されている。ただし、これで英国が財政再建に後ろ向きと捉えるべきではない。むしろ、英国は積極的に財政再建に取り組んでいる。

 1997年5月に英国ではブレア政権が誕生し、ブラウン財務相は就任わずか4日目に金融政策の大転換を行い、財務省から中央銀行であるイングランド銀行に金融政策の決定権を移し、独立性を高めるという大胆な改革に踏み切った。

 ブレア政権によるイングランド銀行の改革により、イングランド銀行総裁、副総裁、理事、外部らの委員で構成される金融政策委員会へ政策運営権限が委譲され、外国為替市場介入権限を部分的にイングランド銀行へ委譲され、準備預金制度の法制化、銀行監督権限をイングランド銀行から分離し、新設された金融サービス機構(FSA)へ移管し、そして国債管理業務は財務省へ移管されたのである。

 金融政策に関しては、インフレーション目標の土台が築かれた。インフレーション目標は政府が設定し、イングランド銀行はこれを達成するために必要な政策手段を決定するという役割となった。また、量的緩和策の導入やその拡大にあたっても財務相の了承が必要となっている。

 しかし、この改革の際には「財政安定化規律」がセットとして設けられていることに注意したい。1980年代後半から90年代前半にかけての英国では財政赤字の拡大、公的債務の累増が生じた。こうした状況に陥った最大の要因は、明確で透明性の高い財政政策の目標がなかったことにあった。このためブレア政権下において、1998年に財政安定化規律(The Code for Fiscal Stability)が議会の承認を経て制定されたのである。

 また、1998年4月に英国の国債管理政策に関する権限と責任は、イングランド銀行から「債務管理庁」に移されている。国債の年間発行額、固定利付債と物価連動債の発行額、入札回数、入札予定日等は、年度開始直前(3月)に財務省から債務管理庁(DMO)に通達されるが、債務管理庁はこの通達に基づき、債務管理庁は各回の発行毎に具体的な年限、利率、発行額を決定している。

 参考までに、2009年3月末に英国の国債入札による発行予定額に応札が届かない未達が7年ぶりに発生した際、DMOは金融機関によるシンジケート団の提示した買い入れ額に応じて発行する仕組みも再導入した(朝日新聞の特集記事より引用)。

キャメロン政権による財政再建

 2010年5月の総選挙により政権についたキャメロン首相は財政再建を最優先課題とした。その5年間という任期在任中に財政再建を果たすために、6月に財政再建に向けた緊急予算案を発表した。オズボーン英財務相が発表した緊急予算案によると、第二次大戦後で最悪規模に膨らんだ公的債務を減らすため、2011年1月4日から付加価値税の基礎税率を現在の17.5%から20%に引き上げた。

 オズボーン財務相は2010年度の公的債務が1490億ポンドに上るとの見通しを示した。このため、年間20億ポンド規模の銀行新税を2011年から導入するとともに子供手当てや福祉給付カットなどの歳出削減を組み合わせ、財政赤字のGDP比を2015年度までに1%まで引き下げるとした。

 財政再建には大きな痛みを伴う。これは財政再建に向けた動きに対して、デモが発生したギリシャなどの例を見ても明らかである。しかし、ギリシャなどは外部からの財政再建の圧力に屈したものであり、内部からその声が強まったわけではない。

 これに対して英国では、選挙で財政再建を最優先課題とした保守党を国民は支持したことになり、内なる声に耳を傾けた結果の財政再建であり、国民は自らの責任において財政再建を推し進めるべきとしたものである。ちなみに、1990年代でのカナダのクレティエン政権による財政再建も同様に国民の声に答えたものである。

 英国の政治を見ると、スピード感が日本などとまったく異なる。キャメロン政権の財政再建もそうであるが、1997年5月に誕生したブレア政権もやはりそうであった。当時のブラウン財務相は就任わずか4日目に金融政策の大転換を行い、財務省から中央銀行であるイングランド銀行に金融政策の決定権を移し独立性を高めるという大胆な改革を進めている。

 キャメロン首相もブレア元首相も非常に若いときに首相に就任しており、若さ故のスピード感もあった。また、高い支持率がある政権交代時にすぐに行動に移すことにより、時間をかけることによって生じかねない反対意見を抑えこんで、とにかく既成事実化する必要もあったと思われる。


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by nihonkokusai | 2011-12-12 09:55 | 財政 | Comments(0)

日本国債のバルスを避けるには

 消費増税の行方も怪しくなっているようだが、日本国債でも「滅びの呪文」が唱えられる日が刻々と迫りつつあるように思われる。市場内で、9日の放映で話題となった天空の城ラピュタの有名な呪文「バルス」が唱えられないようするためにはどうすれば良いのであろうか。

財政制度等審議会 財政制度分科会がまとめた下記レポートもおおいに参考になるのではなかろうか。
「財政の健全化に向けた考え方について」

 このレポートをざっと読んでいて、ふと目にとまった箇所があった。下記の部分である。

 「例えば、経常収支黒字国であるにもかかわらず大きな財政赤字と債務残高の増加、そして言語対立等による政治混乱に苦しんでいたベルギーでは、1993年に、実質経済成長率がマイナスの中で、付加価値税の増税などの増収措置と社会保障の効率化などを決定して実行に移し、その後も着実に歳出歳入の両面にわたって財政健全化の取組を行うことによって、2001年度には一般政府ベースでの財政黒字を実現している。」

 実質経済成長率がマイナスの中で付加価値税の増税を行ってまで財政健全化を目指した国もある。しかもベルギーは経常収支黒字国でありながら、大きな財政赤字と債務残高の増加が問題となりまさに現在の日本と同様の状況にあったようであり、このあたりの事例も参考になりうる。

 ただし、財政再建を進めたベルギーの国債は、政権の不在が1年半に渡るという異常な事態が続いていた事に加え、ユーロ圏の信用不安の影響を受けてイタリア・スペインなどの金利上昇にも影響され、10年債利回りは一時6%近くまで大きく上昇していた。このあたり、日本のような経常黒字国の国債急落はありえないとする見方に対して疑問符を投げかけよう。経常黒字国であろうが、財政リスクプレミアムの上昇などにより長期金利の上昇、つまりは国債価格の急落はありうるのである。

 マーケットに少しでも不安心理が生じれば、「バルス」の呪文が唱えられる懸念が強まる。日本国債は暴落するわけないと唱えたり信じるのは勝手だが、国債への信用は、あくまで市場参加者の漠然とした信頼感の上に成り立っていることを認識すべきである。先日のJGB関係者のパーティーに参加した際、近くにいた若手の資金運用担当者たちの会話をつい聞いてしまった。

「日本の国債って大丈夫なんだろうか」
「たぶん大丈夫だと思うけどな」

 市場参加者は日本国債に万全の信頼を置いているわけでは決してない。特に今回の欧州の信用不安で、多少の揺らぎも国内投資家の間では広がっている可能性もある。 その揺らぎが本格的な懸念に繋げないよう何をすべきか。それは今、政治家が判断しなければいけないことである。一度呪文が唱えられてしまうと、取り返しのつかない状況に陥りかねないのが現在の日本の財政状態であり、それを支えているのは、市場参加者の心理状態が大きく影響する国債市場であることを認識しておくべきである。


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by nihonkokusai | 2011-12-11 10:46 | 国債 | Comments(5)

ECBに見る市場との対話の難しさ

 8日に欧州中央銀行(ECB)は定例理事会で、政策金利であるリファイナンス・オペ金利を0.25%引き下げて年1.0%にすると決定した。また、上限金利である限界貸出金利と、下限金利である中銀預金金利もそれぞれ0.25%引き下げた。総裁会見によれば、利下げについては全会一致ではなく多数決での決定だったようである。

 さらに非標準的手法として、流動性を供給するため期間36か月の長期リファイナンス・オペ(LTRO)を新設する。また、ファインチューニングオペの再開、支払い準備率の2%から1%への引き下げ、適格担保要件の緩和なども行われるようである。

 ただし、証券市場プログラム(SMP)を通じた国債等の買入については、物価安定の使命を外れたことはできない、とドラギ総裁は否定的とも言えるコメントをした上、IMFへの融資を通じた域内国債の買い支え案についても、EU条約に触れるとして応じられないと発言した。

 12月1日にドラギ総裁はブリュッセルの欧州議会で「新たな財政協定が、信頼を回復させ始めるための最重要の要素であることは間違いない」とし「その後には他の要素もあるかもしれないが、順序は大切だ。共有される共通の財政協定を整えることが、何よりも重要だ」と語った(産経新聞)。

 債券購入は「限定的にのみ可能だ」と述べたとも伝えられたが、市場ではこのドラギ総裁の発言から、かなりの期待も込めてか、ECBによる国債買入拡大の可能性ありと判断していたようである。

 ただし、昨日の会見でドラギ総裁は、EU首脳会議で財政規律の強化策に合意すれば、ECBとして積極的に国債を買い入れると言った観測について「答えはノーだ」と言い切り、理事会で議論しなかったと明言した(日経新聞)。

 つまりは市場が勝手に期待してしまったとも言えるものではあろうが、この発言等により欧米の株式市場は大きく下落し、ユーロ圏の債券市場では、イタリア・スペイン国債の利回りが急上昇するなどしてしまった。

 このあたり、ドラギ総裁による欧州議会での発言に考慮が必要であったように思われる。ECBの政策への期待感を出すつもりはなかったのかもしれないが、特に国債買入拡大についてはもう少し明確に否定しておくべきであったと思われる。ドラギ総裁にとって、言わずもがな、であったとしても。

 まだ、ドラギ氏はECB総裁となって日も浅く、マーケットとのコミュニケーションの難しさを今回、かなり認識したのではなかろうか。今後は発言等により気を配ってくる可能性もあるが、とにかく総裁が誰であれ、ECBはあくまでブンデスバンクの血を引いているという事実をマーケットも認識すべきである。

 ちなみにECBは再び政策金利を史上最低水準に戻した。この動き、どこかで見たことを思い出す方もいるのではなかろうか。

 2006年3月に量的緩和政策を解除した日本銀行は、7月にゼロ金利政策を解除し政策金利を0.25%に引き上げ、2007年2月に政策金利を0.50%に引き上げた。しかし、2008年10月に政策金利を0.5%から0.3%に引き下げ、12月には0.3%から0.1%に引き下げた。

 日銀も金融緩和からの方向転換は一時的であり、再び実質的なゼロ金利政策に戻ってしまった。今回のECBの動向を見ても、どうやら歴史は繰り返されるようである。


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by nihonkokusai | 2011-12-10 10:34 | 中央銀行 | Comments(0)

石田日銀審議委員の講演より、最近の情勢のまとめ

 12月7日に行われた石田浩二日銀審議委員の静岡の講演内容が、日銀のサイトにアップされており、今回はその内容について見て行きたい。ちなみに石田審議委員は、住友銀行出身で今年の6月30日に日銀の審議委員に就任している。

 やはり注目すべきは欧州の動向をどのように見ているかであろうが、それについて石田委員は以下のようにコメントしている。

 「欧州債務問題は、09年10月、政権交代により発足したギリシャの新政権が、同国の財政赤字がそれまで公表されていたものよりも大きいことを明らかにしたことに端を発しております。翌10年4月に、ギリシャはEU/IMFに支援を要請しました。その後、問題はより拡大し、同年11月にアイルランドが、また翌11年4月にはポルトガルが同じく支援を要請することとなりました。さらに、足もとではユーロ圏の大国であるイタリア・スペインへの伝播もみられており、これらの国々の国債の利回りが歴史的な高水準まで上昇しています。」

 「欧州債務問題は、発生当初から、国債価格の下落が、こうした国債を多く保有する欧州金融機関の財務状況を悪化させ、これが貸出の抑制へ繋がり、企業・家計の経済活動を下押しし、実体経済を悪化させるとともに、財政赤字をさらに増加させ、一段の国債価格の低下を招くという「負の相乗効果」に繋がることが懸念されていました。夏場以降、こうしたリスクが急速に高まり、既に一部では顕現化しています。」

 欧州の債務問題は、このように金融システム問題に波及する可能性があり、というか、かなり波及しつつあり、それが実態経済にも影響が及ぶ可能性が出てきている。それによりさらに財政を悪化させて、財政再建が滞るという悪循環が生まれつつある。

 「金融市場の不安感が高まるなかで、グローバルな投資家の安全資産選好が強まっており、株式市場の下落を招いたり、相対的に安全とみられる資産に資金が集まることになっています。こうしたもとで、外国為替市場では円が買われているということであります。」

 なぜ欧州の信用不安で、日本の円が買われるのか。これはなかなか理解しがたい部分もあろうが、「安全資産選好」、「相対的に安全」というあたりがポイントとなろう。

 「先行き国際金融資本市場において、投資家のリスク回避姿勢が一段と強まることがあれば、新興国からの資金流出に繋がる可能性もあります。また、欧州金融機関では、ドル資産を圧縮する動き─いわゆるデレバレッジング─もみられており、先行き、新興国向けの貸出が抑制され、貿易金融などに影響が及ぶことも懸念されます。」

 すでにこれについても影響は出てきているとみられるが、リスク回避志向による新興国からの資金流出については、投資信託などを経由して日本の個人投資家にも影響が及ぶ可能性がある。ちなみに、デレバレッジングは負債圧縮とも訳される。

 「わが国の輸出に占めるユーロ圏向けの輸出は1割弱ですが、わが国の主たる貿易の相手国である米国、新興諸国のユーロ圏への輸出比率は高く、これらの国の景気の減速がわが国の輸出に与える影響が懸念されます。また、円高は、企業収益を下押ししますし、企業や家計のマインドを悪化させます。」

 日本からのユーロ向け輸出は全体の1割しかないものの、最大の輸出先である米国や中国などからのユーロ圏への輸出額は多いことで、間接的ながらもユーロの景気減速はこれらの国を通じて日本にも影響を与えかねない。

 「(欧州の)問題の本質は、財政状態や経済力の格差が大きな国々が単一の通貨を利用しているにも拘わらず、財政政策は統合されていないという構造にありますので、抜本的な解決には相当な時間を要すると思われます。抜本的な解決に向かうための時間をつくるうえでも、ひとつひとつの問題に対する処方箋を実行していくことが望まれます。」

 まさにこのあたりが、現在、最大の問題点であり、それについてどのような対策をするべきかが、今回のEU首脳会議でも大きなテーマになるものと思われる。

 「現在、ギリシャなどの各国の国債に非常に高い金利がついています。しかし、つい3年ほど前にはギリシャをはじめこれらの国々の金利は一番信用の高いドイツの金利とほぼ同程度でありました。一旦、国の信用が失われれば、如何に大きな打撃を受けるのかということが分かります。」

 欧州の債務危機は、国や国債に対する信認・信用の揺らぎが大きな要因となっており、いったんその信認を失えば、それを再構築するにはたいへんな努力がひつようとなり、それ以前に世界経済にも大きな影響を与えることが実証された。

 「翻ってわが国をみますと、政府債務残高の対名目GDP比は先進国では突出しています。現在、日本の国債金利が極めて低水準を保っている背景としては、大幅な経常黒字国であること、国債の国内消化率が高いこと、などが指摘されていますが、今後とも低水準の金利が続く確たる保証があるわけではありません。信認をしっかりと確保していくことが大変重要であると考えます。」

 これについてはいまさら言うまでもないことではあるが、日本も決して安泰ではない。債務の規模も非常に大きく、何かのきっかけで日本に対する信認が揺らぐ可能性がないとは言えない。日本国債が暴落するなどありえないから、積極的に財政出動や日銀による国債直接引き受けを行えとの意見をいまだに目にするが、それで信認が失われたら誰が責任をとってくれるのであろうか。


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by nihonkokusai | 2011-12-09 09:59 | 日銀 | Comments(0)

国債の役割低下への懸念

 欧州の債務危機、信用問題は国債の役割を低下させる懸念が出てきた。もし仮にユーロ圏のトリプルAの国が格下げされると、世界の公共債残高に占めるトリプルA(ただしS&Pベース)の国債は、まさにレッドデータブック(絶滅危惧種)入りしてしまう。

 国債は債券市場の中にあっていわゆるベンチマークとなっている。北極星に例えられるように、国債の利回りを基準にして他の債券の居所などが計られる(スワップの金利がベースにされることもある)。また、債券市場全体の中の国債の残存額、さらに売買高は突出しており、まさに債券市場、いや金融市場の中で中心的な存在となっている。

 これに対し、国際決済銀行(BIS)のバーゼル銀行監督委員会は、新たな短期流動性基準を満たすため、現金と国債に加えて、株式の算入と社債の比重拡大を銀行に認める可能性があると伝えられた(6日のブルームバーグ)。つまり、最も安全資産として認識され、その故に安全な金融資産として中核的な役割となっていた国債の役割が低下する懸念が出てきたとの見方もできる。

 これはバーゼル3が昨年承認されてからの一連の欧州の信用不安の拡大が影響しているようである。すでにギリシャ国債の保有者が50%の債務減免に同意せざるを得なくなる一方で、ポルトガルやスペイン、さらにイタリアの国債まで売られ、それによりユーロ圏内の銀行は大きな痛手を食うことになった。

 格付け会社の格下げなどもあり、世界的に国債に対する信認が問題視されつつある。欧州問題とは異なる要因ではあるが、米国債も今年8月に最上位格付けを引き下げられている。

 もし今後、国債の役割が低下するようなことになると、それでなくとも信認が低下しつつある国債に対する銀行などの需要が減少し、信用不安をさらに深刻化させる事態ともなりかねない。

 世界最大の国債残高を誇る(?)日本にあっては、国内資金で国債が賄われてしまっている分、このようなリスクはいまのところ少ない。しかし、いずれは国内資金だけでは賄えきれなくなるため、そうなれば自国の国債の信認を高めることがかなり重要なポイントとなりうる。


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by nihonkokusai | 2011-12-08 10:12 | 国債 | Comments(0)

喧嘩を売ったのか警告を発したのか、S&Pはユーロ圏15か国を格下げ方向で見直し

 米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は5日、ユーロ圏15か国の格付けを「クレジットウォッチ・ネガティブ」にするとした。見直し作業は90日以内に行われ、50パーセント以上の確率で実際に格付けが下げられるそうである。

 格下げされる場合は、最も高いトリプルAの格付けを持つ6か国のうち、ドイツ、オランダ、オーストリア、フィンランド、ルクセンブルクについては最大で1段階、フランスについては最大で2段階の引き下げになるという認識を示した。また信用不安が飛び火しているイタリアやスペインについても、格下げとなる場合には、最大で2段階の引き下げになるとしている。ただし、キプロスについてはクレジットウオッチ・ネガティブを維持し、ギリシャはクレジットウオッチに指定していない(NHKの報道などを参照)。

 見直し作業は90日以内に行われるとしているが、8日から9日にかけて開催される欧州連合(EU)首脳会議の結果次第では格下げする可能性があるとの指摘もあったようである。

 EU連合首脳会議を控えて格付けの見直しを発表した理由について、S&Pは「会議でのEU当局の対応が断固としたものだと投資家に受け止められなければ、市場の不安が急速に強まり、政府や金融機関にとって市場からの資金調達がより困難になるおそれがあるため」と説明したそうである(NHKのサイトより)。

 5日にサルコジ大統領とメルケル首相はEU首脳会議を前にパリで会談し、独仏が財政赤字規則に抵触するメンバー国への自動的制裁を支持し、債務上限をユーロ圏諸国の憲法に盛り込むことを一致協力して推進すると表明し、ユーロ共同債に関しては反対であることをあらためて表明した。さらに、共同声明では今回のS&Pによる動きを、認識しているとの発言もあったようである。

 今回のS&Pの動きは、EU首脳会議を前にドイツやフランスを中心として積極的な危機対応を行わなければ、問題がさらに深刻化することを懸念しての、警告とも捉えられる。

 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は11月に格付け会社に対する規制強化を提案していた。格付け会社がギリシャ発の債務危機を助長した可能性があるとして、格付け会社が誤った格付け情報を流した場合、投資家が損害賠償を求められる法令を制定することなどを柱とする新たな規制案を発表していた。また、EU独自の格付け指標も検討するとしていた(毎日新聞)。

 こういった動きに対して、格付け会社が喧嘩を売ったというか買ったような動きにとれなくもないが、もし仮にドイツやフランスもトリプルAを外されるようなことになれば、ユーロ圏の救済基金である欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の格付けにも当然ながら影響してくる。格付け会社S&Pは6日に、EFSFについても、格付けを引き下げる方向で見直すと発表した。

 そのS&Pに対してドイツのショイブレ財務相は、8、9両日にブリュッセルで開かれる首脳会議での打開合意に向けた最高の激励だと述べたそうである。皮肉にも聞こえなくもないが、それならそうと受けて立とうという意思の現れのようにも伺える。一方のS&Pの欧州ソブリン格付け担当者は、財政統合めぐる独仏合意で格下げ回避の可能性も指摘するなど、格付け会社も過度な刺激は禁物とみたのか、せめぎ合いも演じられているように思われるが、いずれにしても8日から9日にかけてのEU首脳会議に注目したい。

 さてもし仮にS&Pがユーロ圏のトリプルAの国の格下げを行えば、公共債残高の上位国、日本 11,213、米国 10,746、イタリア 1,975、フランス 1,696、中国 1,617、ドイツ 1,556、英国 1,344、カナダ 971、スペイン 606、その他 6,150(単位10億ドル、2010年、出所TheCityUK「Bond Markets 2011」)のうち、ドイツとフランスが外れ、トリプルA(S&P)の国は英国とカナダしかなくなる。まさにトリプルAの国債はレッドデータブック(絶滅危惧種)入りしてしまう懸念もある。

 果たして民間の格付け会社がこれほどまでに影響力を持って良いのであろうか。警告を発することはたいへん重要ながらも、相場の攪乱要因となってしまうどころか、ちょっと大袈裟かもしれないが国の存亡にすら関わりかねない。そもそもソブリン格付けは格付け会社にとり勝手格付けであり、収益源とはなっていない。もちろん社債等の格付けをするには、そのベンチマークとなる国債の格付けは必要であろうが、そのソブリン格付けが欧州の信用危機などにより一人歩きし、さらなる影響力を持ってしまった。このため政府や市場、そしてマスコミなどからの注目度も増すことにより、格付け会社にとって本来は意見・見方であるはずの格付けが、大きな武器のような存在になってきていることは、かなり気になるところである。


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by nihonkokusai | 2011-12-07 10:15 | 国債 | Comments(0)

個人向け復興国債の販売は滑り出し順調、来年3月からは金貨・銀貨付きの新型も

 5日から「個人向け復興国債」の募集が開始された。「個人向け国債」ではなく「個人向け復興国債」と銘打っているように、今回から募集される個人向けの国債は、発行根拠法上はこれまでのものとは異なる。これまでの個人向け国債の発行根拠法上の種別は借換債であったが、12月から発行されるものは復興債となる。

 ただし、発行根拠法上の種別は異なっていても国債の期間や利子の決定方法などの条件についてはこれまでの個人向け国債と全く同じ物である。一点異なっているのは、購入者全員に安住淳財務相の名前で感謝状が贈られる点である。

 その安住財務相は2日の閣議後の記者会見で、「本当に復興は大変だから、国として手伝えることはやっていきたい。私も5日に100万円購入する」とコメントしたそうである(産経新聞)。せっかくなので100万円といわずにもう少し購入してほしい気もするが、それはさておき、今回の個人向け復興国債の条件を確認してみたい。

 今回の個人向け復興債の募集期間は12月5日(月)から12月30日(金)までとなる。発行日は来年1月16日。

 まず、変動金利型10年満期(マウンテン変動10)37回債の発行条件は、初期利子は0.72%(税引き前)となり、前回と同じであった。固定金利5年満期(ゴーイング固定5)25回債の利率は0.33%(税引き前)となり、前回の0.32%より0.01%引き上げられた。ちなみに毎月発行されている固定金利3年満期(マンスリー固定3)19回債の利率は0.18%(税引き前)であり前月と同じであった。

 利率を見る限り、四半期毎に発行されているマウンテン変動10、ゴーイング固定5はあまり変化はないが、今回の「個人向け復興国債」は東日本大震災の復興財源として活用されることで、どの程度の需要が出てくるのかに注目したいが、5日の日経新聞によるとメガバンクなどでは初日の販売額が前回の9月に比べて2倍に達するなど順調な滑り出しとなったそうである。

 それとともに新たな個人向け復興国債の概要も日経新聞で報じられていた。来年3月から発行が予定されている「新型」の個人向け復興国債は、マウンテン変動10と同様に変動金利型の10年債であるが、当初3年間の金利は年0.05%と通常の変動金利型よりかなり低いが、4年目からは通常型と同じ金利になる。

 その代わり、購入から3年間に中途換金しなければ復興記念の金貨や銀貨をもらえる。(昔のCMではないが、残念ながら金・銀だけでパールはない模様)。1口1000万円以上を購入した投資家は金貨(額面1万円)、100万円以上は銀貨(同1000円)を受け取る。例えば総額で200万円を購入する投資家は銀貨を2枚、1500万円の投資家は金貨1枚と銀貨5枚を手にできる。

 金貨や銀貨の額面と当初3年間の金利を加えた利回りはマウンテン変動10よりも低いが、金貨や銀貨の実質的な価値は額面を大幅に上回る見通しのようで、さらに希少価値等により収集家らの間で記念金貨や銀貨の人気が出れば、投資家にとっては市中の売買価格が上昇することも期待できる。

 この復興に関わる金貨、銀貨は個人向け復興債保有者だけでなく、入手が可能となるようだが、これについては今後の発表を待ちたい。少なくとも3月から発行される新型の個人向け国債を1100万円購入すれば、金貨と銀貨を間違いなく一枚ずつ取得できることになる。どの程度のニーズが集まるのかは予想しづらいものの人気化する可能性もあり、非常にユニークな個人向け国債が来年3月から発行されることになる。


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by nihonkokusai | 2011-12-06 09:58 | 国債 | Comments(0)
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