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消費増税の行方と日本国債

 民主党は29日、税制調査会・社会保障と税の一体改革調査会の合同総会を開き、消費増税について、合意にこぎつけた。

 29日の15時過ぎに開始された合同総会は、途中、インドから帰国した野田首相も参加し、休憩を挟んで約9時間に及ぶ協議の末、執行部への一任を取り付けた。

 ただし、総会に出席した野田首相は消費税率の引き上げについて、党内での反対意見が強いことを踏まえて、素案のたたき台で示した引き上げ時期を半年遅らせ、2014年4月に8%に引き上げたうえで、2015年10月に10%とする素案の修正案を提示した。

 さらに衆議院の議員定数を80削減するための法案などの早期成立を図るとともに、経済状況によっては税率の引き上げを停止する規定を盛り込むなどしたことで、この修正案が了承されたのである。

 今回の民主党の消費増税を巡る長時間に及ぶ議論をみると、ユーロ圏の首脳会議における議論を思い起こさせる。時間をかければ良いということではないが、ある程度議論を戦わせ、その結果、方向性を導き出さざるを得ないのは、主義主張が異なる議員、もしくは異なる国の代表者が集まる会議では致し方のないところなのであろうか。

 消費増税の時期を半年遅らせることで、その分、財政再建の時期が先送りされることとなり、また、基礎年金の国の負担分を二分の一に維持する財源の問題等もあるが、なにはともあれ消費増税案が民主党内で消滅するような事態とならなかったことは好感したい。

 しかし、これからが大変であろう。すでに増税に反対する議員が次々に民主党を離党し、離党者は今後も増加する可能性がある。そして、野党の自民党や公明党はいまのところ消費増税の協議に応じる構えを見せておらず、衆議院の議員定数削減方針などに対して一方的だとして、反発を強めている。

 ただし、自民党は消費増税そのものには反対はできないはずである。消費増税を先送りし、財政再建そのものも先送りしてきたのは自民党政権の頃からである。2011年度までにプライマリー・バランスを黒字化させるという目標を立てていたのは、ほかならぬ自民党政権であったはずである。

 しかし、ねじれ国会となっている以上、過去の事はさておいて、そう簡単には自民党も賛成はしてこないであろう。それをどのような格好で国会で法案を通すのか。そもそも法案成立ができるのか。これは来年における大きな注目材料となろう。

 財政再建に向けて最低条件として消費増税があり、これだけで財政再建が可能になるわけではなく、さらなる踏み込みも必要となる。日本国債がすぐに危険な状況に陥ることは、現状考えづらいが、年間50兆円規模の新規国債を5年、10年と発行し続けていけば、いずれ国債が国内資金で賄えなくなることが、目に見えている。経常黒字の縮小化も懸念されるなど、決して未来永劫、日本国債は安泰とは言いがたい。安泰であるうちに手を打たなければ、危機が来てからでは対処のしようがなくなる。

 いまのところ消費増税の動向はあまり国債市場には影響を与えてはいないように見える。ただし、それを売買している担当者にとっては、まったく無視できるものではないはずである。市場は機械的に動いているのではなく、市場参加者の不安や期待、そして信用等により価格(利回り)が形成させていることを為政者も肝に銘じておく必要があろう。


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by nihonkokusai | 2011-12-31 10:23 | 国債 | Comments(0)

今年の債券相場を振り返る(10月から12月編)」

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 10月に入り、ベルギー・フランス系金融機関のデクシアは解体され、欧州の銀行に対する懸念が強まった。欧州の債務問題に関する報道などにより、市場はかなり神経質な展開を続けていた。ドイツとフランスの利回り格差がユーロ導入後最も広がるなどしていたが、日本の債券市場は次第に小動きとなり、債券先物は142円から143円のレンジの中での方向感に乏しい展開が続いた。

 10月27日の日銀の金融政策決定会合では、資産買入れ等の基金を5兆円程度増額する追加緩和策を決定した。欧州の首脳会議は難航しながらも、包括的な対策の3つの柱を主体とする包括戦略で合意し、28日の日本の債券先物は142円11銭まで下落したが、下値もやはり限られた。

 10月31日の早朝、ドル円は一時75円32銭をつけて過去最高値を更新した。これを受けて政府・日銀は8月4日以来の円売り介入に踏み切った。為替介入により31日の日経平均は9100円台に上昇し、債券先物は一時142円を割り込む場面があったが、それも一時的なものとなった。

 31日には米国の金融大手のMFグローバルが連邦破産法11条の適用を申請。同社はイタリアやスペインの短期国債に積極的に投資し、それが裏目に出た格好に。

 ギリシャのパパンドレウ首相が、包括戦略を受け入れるかどうか国民投票を実施するという考えを突然示したことで、欧州の債務不安が再び強まり、11月1日の米10年債利回りは2%を割り込み、2日に日本の10年国債利回りも再び1%割れとなった。しかし、今度はパパンドレウ首相の辞任観測が流れ、ギリシャの国民投票の可能性が薄れた。

 11月8日にイタリアのベルルスコーニ首相が辞意を表明、9日には証券決済機関のLCHクリアネットが、イタリア国債の証拠金を引き上げたことから、イタリアの10年債利回りが7%台に上昇し、アイルランドやポルトガルが金融支援を余儀なくされた水準である長期金利7%という分岐点を突破した。11月9日の米株式市場では金融株を中心に大幅な下げとなり、ダウ平均は389ドル安となり、10日の東京株式市場も大幅下落となった。債券先物は一時143円台に乗せる場面もあった。

 11月16日のユーロ圏の債券市場では、フランス国債の格下げの噂などからフランスとドイツの利回り格差が過去最高水準に拡大し、オランダやオーストリアなどの国債の上値が重くなるなど、信用不安が中核国にも及んだ。17日の日本の債券先物は143円14銭をつけて直近の高値を更新しこれが今年の債券先物中心限月の最高値となった(12月28日現在)。10年債利回りも0.940%まで低下した。17日のユーロ圏の債券市場では、今度はスペインの10年債利回りが6.8%近辺に上昇し、危機水域の7%に迫った。

 11月21日から東証は債券先物においてTdex+システムを稼働した。これに合わせ債券先物の取引時間が、前場が8時45分から11時2分、そして後場は12時30分から15時2分に、イブニングセッションは18時の終了時間が23時30分まで延長された。

 11月23日にドイツの10年物国債の入札が札割れとなり、ドイツ国債10年物の利回りは2.06%近辺に上昇した。ユーロ圏内の国債の中で最後の砦となっていたドイツ国債まで下落し、ドイツ国債だけでなく最上位格付けのフランスやフィンランド、オランダの国債も下落し、欧州の信用不安が周辺国から中核国まで拡がりを見せた。25日の日本の債券市場では、ドイツ債の下落により不安感も強まったことで、10年債利回りはあっさりと1%台に上昇した。

 11月30日に欧州危機の深刻化に伴い欧州系金融機関を中心にドル資金の調達コストが上昇していたことに対応し、日米欧の主要中央銀行は市場に対する資金供給の拡充策を決定した。これが好感され、この日の米国株式市場でダウ平均は490ドルもの上昇となり、この株高などから米債は売られ10年債利回りは2.07%近辺に上昇した。

 12月1日の日本の債券先物も売りが先行し、一時141円52銭まで下落し、10年債の利回りも1.090%まで上昇した。債券先物は17日の高値143円14銭から12月1日にかけて、1円62銭の下落となったが、これは先物のシステム変更の影響というより、ドイツ国債札割れによる影響が大きかったと言える。

 12月5日に格付け会社のS&Pはユーロ圏17か国のうちドイツなど15か国の格付けを格下げ方向で見直すと発表し、また7日に欧州連合(EU)の格付けをクレジットウォッチ・ネガティブに指定した。

 12月8日のECB理事会では政策金利を0.25%引き下げて年1.0%にすると決定したが、市場が期待した国債買入拡大はなく、欧米の株式市場は下落し、質への逃避からドイツ国債や米国債は買われた。これを受けて9日に中心限月となった債券先物3月限は買い進まれて142円台に、また10年債利回りは1%近くまで低下した。

 12月8日から9日にかけて開催されたEU首脳会議では英国を除く26か国が基本条約とは別の新たな財政協定に参加する意向を表明した。しかし、この結果に対しては期待はずれと認識された。欧州の信用不安は収まらず、13日にユーロ円は101円台をつけた。14日にはユーロ・ドルが1.30ドルを割り込んだ。質への逃避から米債は買い進まれ、15日の日本の債券市場も買いが入るが先物は142円台半ばあたりまでとなり、上値も重くなった。

 12月19日の正午に北朝鮮の金正日総書記の死去が伝えられた。地政学的リスクが意識されたことで、アジア株が下落し、東京株式市場も売られたものの、一時的なものとなった。

 12月21日に格付投資情報センター(R&I)は、日本の外貨建て・自国通貨建て発行体格付けをAAAからAA+に引き下げると発表した。日本の格付け会社が日本国債の格付けを引き下げるのは初めとなったが、債券相場への影響はほとんどなかった。

 年末にかけては、欧州の動向とともに日本の消費増税の行方が大きな焦点となり、その動向に注目が集まった。しかし、相場そのものはあまり大きな動きはみせず債券先物は142円台でのもみ合い小動きが続いていた。


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by nihonkokusai | 2011-12-30 08:33 | 債券市場 | Comments(0)

今年の債券相場を振り返る(6月から9月編)

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 6月に入りギリシャの債務問題がかなり深刻化した。米国では景気減速観測もあり、米国市場はかなり神経質な展開となったことで、米債は乱高下し、円債もその影響を受けた。ただし、日々の乱高下はあっても相場そのものはレンジ相場となり、債券先物は140円台後半から141円近辺での動きとなった。

 6月29日にギリシャ議会は緊縮財政案を可決したのに続き、30日には実施方法を定めた関連法案が可決された。これによりEUとIMFから第5弾の融資として120億ユーロを受け取る条件が満たされたことになり、ギリシャのデフォルトは一旦、回避されることになった。

 これを受けて米債が売られ、7月1日に債券先物は141円を割り込み、7月8日には141円51銭まで下落した。5月上旬以降の債券先物のレンジの下限が141円50銭近辺となっていたが、今回もここが下限となり、その後再び上昇基調を強めることとなった。

 今度は欧州の債務危機がイタリアにも波及するのではとの懸念が強まり、7月12日にイタリアの10年国債利回りは6%を上回った。安全資産として日本国債は買い進まれ、7月19日に債券先物は141円89銭をつけ、10年債利回りも1.060%に低下した。ところが、好調な企業決算を受けて米株が上昇してきたことで、7月20日の日経平均は1万円の大台を回復し、これが債券の上値を抑えた。

 その後今度は米国の動向が焦点となった。8月2日が期限となる14.3兆ドルの連邦債務上限の引き上げをめぐる協議で合意が出来ず、これが金融市場に影響を与えた。8月1日にオバマ米大統領は米債務上限引き上げの協議で民主・共和両党指導部が合意したと発表し、この合意により米国債のデフォルトといった事態は回避された。

 しかし、欧州ではイタリアやスペインの債務問題が浮上し、世界的なリスク回避の動きが強まった。スイスフランや円が買い進まれ、スイス国立銀行は3日に金融緩和を実施し、4日には政府・日銀は円買いドル売り介入を行なった、日銀は金融政策決定会合を4日の1日だけに短縮し、資産買入等の基金を40兆円から50兆円と10兆円追加するという追加緩和策を決定した。

 しかし、世界的なリスクオフの動きは止まらず、4日の米国株式市場ではダウが512ドル安に、米2年債利回りが過去最低水準をつけた。日本の債券市場も直近の高値を試す展開となり、10年債利回りは1%を割り込み、債券先物も2日に142円台に乗せた。

 格付会社S&Pは、8月6日に米国の長期格付けを最上位のAAAからAA+に1段階引き下げた。これを受け米国市場はかなり不安定な動きとなり、8日の米国株式市場はダウ平均が634ドルの下落となり、米債は株安などから買い進まれ、米10年債の利回りは2.3%台の前半まで低下した。

 8月9日のダウ平均はFRBの追加緩和期待により今度は429ドル高となるが、10日にはフランスの格下げ懸念などから、519ドルの下落となるなど乱高下した。日本の債券市場では10年債利回りの1%近辺では高値警戒感も強まり、債券先物は一時142円を割り込んだ。

 その後再び世界的なリスク回避の動きが強まり、18日にはドイツ連邦債が2.03%近辺、英国債も2.23%近辺と過去最低水準まで低下し、米10年債利回りも1.976%と記録的な低水準にまで低下した。19日には日本国債も買われ、10年債利回りは1%を割り込み、ドル円も76円を割り込んだ。

 しかし、その後は少し相場は落ち着きを取り戻した。8月24日に格付会社のムーディーズは、日本政府の自国通貨建て・外貨建て債務格付けをAa2からAa3に一段階引き下げたが、この格下げによる影響も限られた。

 8月29日に実施された民主党の代表選挙は野田氏が勝利して民主党代表となり、30日の衆院本会議で野田氏は首相に指名された。野田氏が今回の立候補者の中では唯一の財政再建論者でもあっただけに、債券市場はこれを好感し債券先物は一時142円60銭台に上昇した。

 9月2日に発表された8月の米雇用統計を受け米国のリセッション入りへの懸念が強まり、欧州の債務不安が再燃し、6日に債券先物は143円台に乗せ、10年債の利回りも1%を割り込んだ。6日にスイス国立銀行は無制限の市場介入を表明した。

 9月14日にはドイツとフランスそしてギリシャの首脳が電話会談を行ない、15日には日米欧の中央銀行5行は10月から年末を越す期間約3か月のドル資金を無制限に供給する枠組みを設けることで合意したが、欧州の信用不安は燻り続けた。

 9月21日のFOMCではツイスト・オペの実施を決定した。これを受け米国債券市場では長い期間の債券主体に買われ、米30年債は3%割れとなった。ただし、円債は上値の重い状態が続き、先物で143円が上値の壁となったのである。 (だいぶ長くなってしまった関係で、10月以降の分は明日、お送りいたします)


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by nihonkokusai | 2011-12-29 11:11 | 債券市場 | Comments(0)

震災直後を除き比較的動きが鈍かった2011年前半の国債市場

 2011年は東日本大震災、それによる福島原発事故などが起きたが、日本の債券相場そのものの動きは鈍く、これを見る限り、今年の債券相場はあまり印象には残らないかもしれない。

 とはいうものの、時期的にもそろそろ、債券先物の中心限月のチャートを見ながら今年の債券相場を振り返ってみたい。

 一見してわかるのは、震災直後にやや乱高下はあったものの、それ以外にはさほど大きな動きはなく、先物の値幅も昨年11月から12月にかけて相場が急落した際の値幅の中に収まってしまっているということであった。

 今年の債券先物は140円70銭で、10年債利回りは1.150%近辺での出合いでのスタートとなった。その後、米国経済の回復期待の高まりや米国債の入札が低調な結果となるなどしたことで、2月に入り米10年債利回りは3.7%台に上昇した。これを受けて2月9日に日本の債券先物は138円32銭まで下落し、10年債利回りも1.350%まで上昇した。1月27日に格付け会社のS&Pは日本国債の格付けを、AAからAA-に一段階引き下げたがこれによる影響は限定的であった。

 その後、エジプトやリビアでの政情不安の強まりなどにより、中東の地政学的リスクとともに、原油価格の上昇による景気への悪影響なども意識され、債券は買戻し圧力を強めた結果、先物は2月末から3月上旬にかけて140円近くまで上昇し、10年債利回りも1.3%割れとなった。

 3月11日の引け際の14時46分に巨大地震が発生した。のちに東日本大震災と名付けられたこの地震の影響で、中心限月が6月限に変わったばかりの債券先物は139円90銭まで急騰し、その後戻り売りに押され大引けは139円20銭と乱高下した。10年債利回りは1.2%台半ばあたりまで低下した。

 東日本大震災を受けて週明けの3月14日に、日銀は15兆円に達する積極的な資金供給を実施し、これを受けて債券先物は140円台に乗せ、10年債利回りは1.2%割れとなった。

 3月17日にドル円は一時76円台をつけ、史上最高値を更新。株安から債券先物は140円36銭まで上昇するが、その後株が戻し債券先物は139円70銭で引けるなど、やや波乱含みの展開に。18日には日米欧の金融当局が日本の要請に基づき協調介入に参加で合意し、介入が実施された結果、ドル円は79円台から一気に81円台をつけ、ユーロ円も111円台から114円近辺に跳ね上がった。

 ECBの利上げ観測に加え、FRBの出口政策が意識され米債が再び下落し、震災復興のための国債増発は避けられないものとの認識も強まり、4月に入り債券先物は139円割れとなった。8日には138円38銭まで下落し、10年債利回りも1.3%台に上昇した。しかし、ここがボトムとなり、その後債券相場は切り返した。

 債券先物中心限月のチャート(前後場のみ)を見ると、2月9日の138円32銭と4月8日の138円38銭がいわゆるダブルボトムとなったのである。

 債券相場はその後、5月上旬に向けて上昇相場となった。4月15日に格付け会社のムーディーズはアイルランドの格付けを2段階引下げ、ギリシャの債務再編の話も出てくるなど欧州の債務問題により、質への逃避の動きが強まった。米国債は4月上旬あたりからの上昇トレンドが継続し、日本の債券も同様に上昇基調が続き、債券先物は4月28日に140円台を回復し、10年債利回りは1.2%近辺に低下した。

 米国経済については一時の楽観的な見方は後退し、景気減速が意識された上に、ギリシャがユーロ圏を離脱するのではないかとの観測報道もあり、5月の大型連休の間に上昇基調を強めた結果、債券先物は141円近く、そして10年債利回りは1.1%近くまで利回りが低下した。

 6月2日に内閣不信任案の採決が行われたが、菅総理が第二次補正予算などに一定の目処をつけた段階での辞意表明を受けて、民主党の分裂が回避され、不信任案は否決された。これが好感されこの日の債券先物は141円台に乗せてきた。

 その後、ギリシャの債務問題が深刻化するとともに、日本の震災などの影響から米国経済に対して減速懸念も強まり、それが欧州経済にも影響を与える懸念もあり、米債やドイツ連邦債の利回りは低下した。これを受けて円債も買われ、6月24日に10年債利回りは節目とみられた1.1%を割り込み、債券先物も6月28日に141円63銭まで買い進まれたのである(後半に続く)。


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by nihonkokusai | 2011-12-28 09:42 | 債券市場 | Comments(0)

日本が中国の国債を買う理由と中国の国債制度

 25日に野田総理大臣と中国の温家宝首相は、日本が外貨準備の資金を使って、中国の国債を購入することで合意した。日経新聞によると、人民元の国際化を急ぐ中国にとり、日本が持ちかけた国債の持ち合いを好機ととらえたようである。

 また、日本にとって最大の貿易相手国である中国と、金融面での協力を含め、経済のうえで一層関係を強めるねらいがあるとNHKは伝えている。日中が互いに国債を購入することにより、定期的な情報交換などにもつながるとして、安住財務大臣は「外交上も必要だろうと思う」と述べたようである(NHKのサイトより)。

 ここで少し中国の国債について見てみたい。中国の国債を発行しているのは中華人民共和国財政部であり、中華人民共和国国務院に属する行政部門で日本の財務省に相当する。中国の会計年度は1月から12月であるが、予算案を可決する全人代は3月に開催され、可決は3月半ばあたりとなる。

 中国の国債には、市場性国債(普通国債、特別国債)と非市場性で個人向けの貯蓄国債(証書式国債、電子式国債)がある。特別国債とは、2007年に外貨準備運用会社である中国投資有限公司(CIC)の資金調達のため財政部が発行した国債である。

 発行される国債はゼロクーポン債(割引債)が期間2年から5年債など。また、利付債が3か月、6か月、1年、3年、5年、7年、10年、15年、20年、30年そして50年債まである。1996年からは流通可能な国債について全面的に入札制度が導入されている。

 債券の流通市場は、上海と深センの両証券取引所の他、1997年からはインターバンク(銀行間)市場、2002年には店頭市場(個人や非金融法人)が導入されたが、取引の約9割をインターバンク市場が占めている。

 投資家別の国債の保有割合を見ると、ちょっと古い数字だが、2009年12月末で商業銀行が61%、特殊決算メンバーが29%、保険会社が5%となっている。特殊決算メンバーとは、人民銀行など当局者であり、当局者、商業銀行、保険会社で9割弱を保有していることになる。

 海外投資家に関しては、2002年に導入されたQFII(Qualified Foreign Institutional Investors)制度により、QFIIつまり「適格外国機関投資家」以外の海外投資家は投資ができない。このため今回、日本が中国国債を購入するためには、中国人民銀行の認可を得て適格外国機関投資家となる必要がある。

 これまでナイジェリアやマレーシアなどが認可を得て中国国債を購入しているようで、先進国としては日本が初めてのケースとなる。

 日本は最大で100億ドル相当の中国国債を購入するようだが、それでも日本の外貨準備(約1.3兆ドル)に占める割合は0.8%程度でしかない。NHKでは、ドルに偏っている外貨準備の運用を多様化する可能性を指摘していたが、日経では「極めて少額であり、外貨準備運用の多様化という位置づけでは全くない」との政府高官の発言を取り上げている。

 これは極めて政治的な判断であり、「国債の持ち合い」をすることによる経済関係強化が大きな目的であり、日本における外貨準備の多様化や、お互いの国債市場への関与を意識したものではないと思われる。

 それよりも、円と人民元を直接取り引きできる為替市場の整備を支援し、円建てや人民元建てでの貿易決済を促進したりすることでも合意したことによる影響の方が大きいのではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2011-12-27 08:06 | 国債 | Comments(0)

見かけ上の財政規律と国債への信認

 国の来年度予算案の焦点となっている、基礎年金の国の負担分を二分の一に維持する財源について、政府は「交付国債」を発行して対応する。

 小宮山厚生労働大臣は、将来の消費税率の引き上げ分を充てることを目的に発行する「つなぎ国債」によって財源を確保するべきだと求めていたのに対し、財務省は、消費税率の引き上げを巡る政府・与党内の議論が予算編成の前に決着する見通しが立っていない以上、「つなぎ国債」の発行は難しいとし、安住財務大臣は「交付国債」を発行する案を示した。

 ここで再び交付国債が登場した。交付国債とは、戦没者などの遺族や強制引揚げを余儀なくされた引揚者などに対して、弔慰金、給付金などの金銭の支給に代えて交付されたが、その後、1997年の金融危機に際し、金融システム安定化策として30兆円の財政資金を用意された際に、その財源として交付国債10兆円と政府保証枠20兆円で賄われた。最近では福島の原発事故の賠償金支払いのため交付国債が活用された。

 交付国債は債券の発行による発行収入金を伴わず、出資金の払込、弔慰金の支払及び損失補償金等、国が金銭の給付に代えて交付するために発行する債券のことである。原則として利子が付けられず、必要に応じて現金化できるが、譲渡は禁じられている。

 交付国債にすることで、見かけ上は一般会計の総額を押さえられ、国債の増発もその分避けられる。これは交付国債の発行により、厚労省が支払いを要求するまで、国債増発を先送りできるためである。

 数字上は来年度予算で政策経費は中期財政計画の約71兆円から約68.4兆円に抑制され、新規国債発行額は44兆円以下を堅持するとしても、この数字はあくまで見かけ上のものであり、これにより財政規律が守れているとは決して言えるものではない。

 このような先送りはもちろん今に始まったものではなく、債券市場参加者もそのあたりのことは重々承知していよう。しかし、日本国債の信認が維持されなければそのツケは自分に巡ってくる。交付国債の発行はそれほど簡単には信認低下には繋がらないというのが市場の一般的な見方だが、その本音は繋がってほしくない、というところだろう。

 交付国債が見かけ上の財源を確保するだけのものであるように、日本国債への信認もあくまで見かけ上のものである可能性がある。強固な信認の上で日本国債は買われ続けており、その結果として外部要因もあり日本の10年債利回りは1%以下を保っている、と断言できる国内投資家は果たしてどれだけいるのであろうか。


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by nihonkokusai | 2011-12-26 09:17 | 国債 | Comments(0)

日本の為替介入における資金調達の仕組み

 為替介入の資金調達の仕組みについては、以前にも紹介したが、日銀サイトのアドレスが変わり、また基本的な仕組みがいまだに理解されていないようにも思われることで、あらためて紹介したい。

 まずは、日銀のサイトに説明があり、これを参考にしていただきたい。

「日本銀行における外国為替市場介入事務の概要」 
http://www.boj.or.jp/intl_finance/outline/expkainyu.htm/

 日本での為替介入は財務大臣の権限において実施される。日本銀行はその際に財務大臣の代理人として、財務大臣の指示に基づいて為替介入の実務を遂行している。

 ニュースなどで以前、しばしば使われていた「日銀介入」という言葉は、やや誤解を招きやすい表現であるとわざわざ指摘している。ただし、最近では政府・日銀による介入と使われることも多くなっているが、いまだに日銀が自らの判断で実施しているとの誤解も一部にあるようだ。

 財務大臣が指示を出し、実務部隊となる日銀の金融市場局為替課は電話もしくは電子ブローキングシステム(EBS)などを使って民間金融機関に注文を出している。

 そして、ここが肝心な為替介入に要する資金の調達についてだが、日本での為替介入はすべて政府の外国為替資金特別会計の資金を用いて行われている。日銀の勘定ではなく政府の勘定において実施されている点に注意していただきたい。

 外国為替資金特別会計とは政府が実施する外国為替等の売買(為替介入等)等の円滑化に資するため設けられているものである。円売り・ドル買い介入の場合には、政府短期証券(為券)の発行により円資金を調達し、外国為替市場における為替介入によりこの円資金を売却しドルを購入する。通常、この代金の決済は二営業日後に行われる。

 ここで為券について少し解説したい。

 政府が国庫や特別会計などの一時的な資金不足を補うために発行されているのが、FB(Financing Bills)と呼ばれる政府短期証券である。発行根拠法により財務省証券、食糧証券、外国為替資金証券などに分かれている。このうち外国為替資金証券が為券と呼ばれるものである。

 現在、TBとFBは「国庫短期証券(Treasury Discount Bills)」として統合発行されている。しかし、発行される毎にそれが短国なのか、財務省証券、食糧証券、外国為替資金証券なのかは区別されている。

 ついでに、財政融資資金法の第9条二項をみると、「融通証券の限度額については、予算をもつて、国会の議決を経なければならない。」とあるが、外国為替資金証券は無制限な発行を防ぐため、毎年度の予算で発行残高の上限が規定されている。2011年度第四次補正予算で195兆円に設定されている。

 円売り・ドル買い介入の場合には、政府が政府短期証券(為券)を発行することにより円資金を調達する。

 1999年以前は為券を日銀が主に引き受けていたが同年以降は、為券は公募で発行され市中消化されている。この仕組のもとでは為替介入は常に不胎化介入となる。なぜなら、円売りドル買い買い介入の場合、まず為券が発行されるが、それによって民間銀行の為券保有が増加し、その購入資金の支払いのため銀行準備が減少する。外貨買い介入が行われると民間銀行の外貨資産が減少し、銀行準備が(先ほどの減少分と同額だけ)増加する。したがって、民間銀行の銀行準備は変化せず、マネタリーベースは不変となる。

 日銀による公債の引受けは、財政法により原則として禁止されているが、FBについては当該条項の適用を受けないと解されており、日銀法でも日銀がFBの引受けを行うことができる旨の条項が設けられている(日本銀行法第34条第4号3)。

 ただし、FBの発行が1999年度以降、原則として市場における公募入札により発行する方式に改められ、この公募入札方式への移行後は、日銀がFBの引受けを行う場合は、政府からの要請に応じて例外的に行う臨時引受けと、日銀の業務運営上必要がある場合に自らが行う引受けに限られることとなった。

 このうち、政府からの要請に応じて実施する臨時引受けには、市場における公募入札において募集残額等が生じた場合と、為替介入の実施や国庫資金繰りの予想と実績との乖離の発生などにより「予期せざる資金需要」が発生した場合に限定されている。また、臨時引受けを行った政府短期証券については、可及的速やかに償還を受ける扱いとなっている。このように、臨時引受けについては、中央銀行による政府向け信用のあり方の観点も踏まえ、一時的な流動性の供給と なるような明確な「歯止め」が設けられている。 (以上、「日本銀行の対政府取引」についてより、http://www.boj.or.jp/statistics/outline/exp/exseifu01.htm/

 非不胎化させるさせないの議論があるが、現在の日本の為替介入の仕組みでは、結果とすればこのように常に不胎化となる。ただし、不胎化されるまでタイムラグの間、日銀の当座預金残高がその分一時的積み上がる。為券を発行し資金返済がなされてももしその分が上乗せされたまま当座預金残高を維持するというような金融調節を日銀が行うならば、 それは結果として、見た目は非不胎化ということになろう。

 ただし、現在のように金融政策で金利をターゲットにして、さらに当座預金残高の超過準備分には政策金利と同じ0.1%の補完金利が付いている。この状況下にあっては、介入資金を形式上当座預金残高に多少反映させたとしても緩和効果そのものは限定的なのであり、あくまでアナウンスメント効果を意識したものでしかない。それを日銀は上手く使っているようではあるが。

 要するに為替介入により、結果として購入している米国債等は、あくまで国内で借金して円を調達して買ったものであり、それを売却して何かに使おうとするのはその分、単純に借金を増加させるだけである。日本政府は巨額の外貨資産を抱えているといってもその多くは借金をして買っているだけであることを認識しておく必要がある。


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by nihonkokusai | 2011-12-25 09:11 | Comments(0)

来年度の国債発行総額は174兆2313億円、国債依存度は過去最悪の49.0%

 財務省が24日に発表した2012年度の国債発行計画によると、新規財源債が44兆2440億円(前年度当初44兆2980億円)、借換債が112兆3050億円(うち復興債分3兆4488億円、前年度当初111兆2963億円)、財投債が15兆円(前年度当初14兆円)、そして復興債が2兆6823億円となった。

 これにより2012年度の国債の発行総額は174兆2313億円(前年度当初169兆5943億円)と、2011年度の当初ベースから4兆6370億円の増加となった。2011年度の四次補正予算後は181兆5024億円となっており、ここからは7兆2711億円の減少となった。当初ベースでの発行総額は昨年を上回り過去最高額となる。

 国債の消化別発行額を見るとカレンダーベースの市中消化額は、149兆7000億円(前年度当初144兆9000億円)となり、2011年度当初から4兆8000億円の増額となり、これも年度別で過去最高額となる。

 第2非競争入札による予定発行額は市中消化額の3.75%の4兆1850億円となり、また前倒し債発行による調整分は6463億円に押さえられている(2011年度当初6兆3893億円、四次補正後14兆6735億円)。

 そして日銀乗り換えが16兆7000億円(前年度当初11兆8000億円)、個人向け販売分が3兆円(前年度当初2兆5000億円、四次補正後3兆5000億円)。個人向け販売分の内訳としては、個人向け国債が2兆5000億円、新型窓販などの窓販分が5000億円となっている。

 買入消却は総額3兆円を上限に実施される(具体的な実施方法は、四半期毎に市場の状況を見ながら決定)。来年度における前倒し債の発行限度額は12兆円となった。

 前倒し債の発行額による調整分についてもう少し説明すると、今年度すでに発行されている来年度分の前倒し発行分が存在する。もしそれを取り崩さなければ、そのまま再来年度の前倒し発行分がその分確保できる。しかし、来年度のカレンダーベースの市中消化額をある程度抑えるために、今年度すでに発行された前倒し債のうちの6463億円を来年度の国債発行額として加算するものである。つまりはその分、再来年度の前倒し発行可能なバッファーが減ることになる。

 カレンダーベースの市中消化額は三次補正で2年債と5年債をそれぞれ一回あたり2.7兆円、2.5兆円に増発されており、その金額が来年度も継続される。これに加え、10年債を一回あたり今年度の2.2兆円から2.3兆円、そして20年債を1.1兆円から1.2兆円に増額される。2年債、5年債、10年債、20年債は毎月発行されていることで、今年度当初に比べ合計4.8兆円の増額となる。

 物価連動国債については、「発行再開に向け、市場関係者を交え、具体的な商品性等に係る実務的な検討を進める。準備・環境等が整い次第、発行を再開」としている。

 年限別に観ると40年債が5月、8月、11月、2月の4回の発行予定で一回あたり0.4兆円、30年債は4月、6月、7月、9月、10月、12月、1月、3月の8回の発行予定で一回あたり0.7兆円となる。そして、20年債が増額され一回あたり1.2兆円、10年債は2.3兆円、5年債は2.5兆円、2年債は2.7兆円を、1年割引短期国債は2.5兆円がそれぞれ毎月発行される。また、6か月割引短期国債が合計で9千億円発行され、流動性供給入において0.6兆が毎月発行されることで、全体のカレンダーベース消化額合計が149.7兆円となる。

 カレンダーベース市中発行額の平均償還年限は、7年9か月となった。

 以上のカレンダーベースの市中消化額の内訳は、直前での国債市場特別参加者会合などにおけるコンセンサスに近いものとなっており、これによる債券市場への影響はほとんどないとみられる。国債需給については、来年度も債券市場にとり波乱要因とはならないであろう。しかし、新規財源債を今年度並に抑えこまれたのは、復興債が別枠となっていることに加え、基礎年金の国庫負担分約2.6兆円について一般会計から除外し、年金交付国債としたことによるものである。

 新規国債発行額(44兆2440億円)が税収(42兆3460億円)を上回る異常事態も続いており、2012年度の公債依存度は49.0%と過去最悪の数字となっている。国債需給への目先の懸念はなくとも、日本の財政そのものへの懸念が生じれば国債は売られる。税制の抜本的な改革や、できうる限りの歳出抑制により、日本の財政リスクを軽減するための果断な努力を実際の行動で示さない限り、いずれかの段階で日本国債の信用が崩れる可能性がある。


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by nihonkokusai | 2011-12-24 11:48 | 国債 | Comments(0)

何故、格下げで米国債も日本国債も売られないのか

 21日のR&Iによる国内格付け会社として初の日本国債の格下げは、全くと言って良いほど無反応だった。8月のS&Pによる米国の格下げの際も、売られたのは米国債ではなくてむしろ米株であった。格付け会社のソブリン格付けは、あくまで民間会社の意見に過ぎない。このため、そんなものに影響される方がおかしいと、日本国債や米国債からは言えそうである。

 それでは、ユーロ圏の国債(ドイツを除く)についてはどうであろう。格下げに影響されて国債が売られ、長期金利の上昇で、さらに国債による資金調達が困難となり、それでまた格下げされるというような悪循環に陥っているのは何故なのか。

 日本国債や米国債と、ユーロ圏の国債(ドイツ国債は除く)の根本的な違いは何か。

 それは信用という言葉に尽きると思う。

 ユーロ圏の国債はギリシャの信用が毀損されたことで、17個入っているミカンの箱の底にある1つが腐りかけ、それにより周りのミカンも腐り始めてしまった。腐ったミカンは取り除ければ良いが、ユーロというシステム上、そうはいかず、なんとか腐るのを押さえようとするのだが、それがなかなかうまくいかない。ユーロ圏諸国の格下げにより、腐りかけのミカンに対して食べられないというレッテルを貼られることになり食指を動かす人が余計にいなくなってしまうことで、影響度が大きくなる。

 これに対して、米国債も日本国債も多少腐る心配があり、格付け会社がそれを指摘しようが本当に腐ることは、ユーロ圏の国債に比較して、今は考えづらいとしてミカンそのものの相対価値は上がっている。

 米国は後退したといえど基軸通貨を持つ大国である。

 日本は中国に抜かれたとは言え、経済大国であることに加え、あれだけの国債を発行してもビクともしないだけの、買い付け可能な国内資金を維持している。国内資金はそう簡単には枯渇しないであろうとの認識も強く、枯渇するまでは買っても良いと思われている。

 とにかくいまのところは、米国債や日本国債、ドイツ国債、さらに英国債も含めて、市場からの信用度は非常に高い。さらに国債をいつでも換金できるという流動性リスクにもすぐれている面もあり、短期国債を中心に余剰資金が流れ込んでいる。

 ただし、その信認もあくまで市場参加者の期待により形成されていることに注意しなければいけない。何かしらの出来事でその信用が一気にひっくり返される懸念もないわけではない。

 人間の体はうまく出来ているもので、予測できない危険性ばかりに神経を使っては身が持たないので、それを思考から排除させる仕組みがあるように、日本国債を購入している投資家も、予測できないリスク、いや予測できるようなリスクにさえ、それを思考から排除しなければ、資金運用などは出来ないような状況となっている。

 つまり、市場参加者の間で日本国債は大丈夫であろうとの期待が形成され、それが信用力を生み出している。そんな信用力は実は盤石ではなく、非常に脆いものでもある。

 日本国債はいくらでも発行しても問題ないと言う評論家がいるが、市場に少しでも携わった者が決してそんなことは言えないのは、信用力の移ろいやすさも理解しているためだと思う。でもまだ買うしかないというのが本音であろう。


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by nihonkokusai | 2011-12-23 11:02 | 国債 | Comments(0)

海外投資家による日本国債への資金シフト

 21日に日銀は7~9月期の資金循環統計を発表した。これによると2011年9月末時点の家計の金融資産は1471兆1268億円、金融資産・負債差額は1116兆8574億円となっていた。家計の金融資産はこのところ1500兆円近くでの頭打ち状態が続いている。これに対して一般政府の金融資産は482兆7287億円、金融資産・負債差額はマイナス609兆9853億円となっており、負債総額は1092兆7140億円となっていた。

 この数値をどう捉えるかによるが、日本国債を国内資金で賄えるには限度があることは確かである。個人だけでなく事業会社の余剰資金も国債に向かっており、まだ多少の余地が残されていることも確かであろう。しかし、それでも復興債を合わせれば年間50兆円以上の新規国債を発行している状況がこのまま続けば、いずれ国内資金では賄えなくなることは確かである。

 この資金循環統計を基に、2011年9月末時点の国債保有者別の割合を算出してみた(国債・財融債のみ、国庫短期証券は含まず)。引き続き日本国債の最大の保有者は銀行など民間預金取扱機関となり、金額で284兆2743億円、全体に占める割合は38.0%となった。次に民間の保険・年金が続き、185兆4285億円の24.8%、そして、公的年金が70兆3370億円の9.4%、日本銀行が63兆6166億円で8.5%、海外が47兆4040億円の6.3%、投信など金融仲介機関が39兆8137億円の5.3%、家計が29兆4916億円の3.9%、財政融資資金が8817億円の0.1%、その他26兆9444億円の3.6%となっていた。

 前回の2011年6月末に比べて残高が大きく増加していたのが海外(5兆2878億円増)と民間の保険・年金(5兆310億円増)である。このためシェアも民間の保険・年金が前回の24.4%から24.8%に、そして海外は5.7%から6.3%に上昇している。欧州の信用危機により海外投資家が日本国債への資金シフトを強めていたことが、この数字からも伺える。国庫短期証券を含んだ数字でみると、海外は全体の8.2%のシェアと、これまで最高だった2008年9月末の8.5%に次ぐ水準だった。しかし、これはあくまで欧州の信用不安を受けての一時的に資金の日本国債への待避であるとみられる。

 これに対して前回から減少していたのが、公的年金の1兆189億円減、家計8923億円減、投信など金融仲介機関8293億円減であった。

 公的年金はGPIFが株安や円高によって株式と外国債券での運用が振るわず、運用資産額そのものが6月末から全体で約4兆9000億円減少しており、それが響いた格好に。投信なども欧州の信用不安による株安による投信の残高そのものの減少などが響いたものとみられる。そして、家計については5年固定利付きの個人向け国債の償還を迎え、この時期の個人向け国債の販売額そのものは回復してものの、その一部は預貯金等に流れたため残高そのものは減少したものとみられる。


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by nihonkokusai | 2011-12-22 09:52 | 国債 | Comments(0)
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