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国債の信用力を見る物差し

 ユーロ圏における信用不安を背景に、国債の信用力が問われている。ギリシャの債務隠しに始まって、アイルランドやポルトガルの債務悪化が問題視され、それがスペイン、そしてイタリア、フランスなどの中核国に及んでいる。23日のドイツ国債の札割れにより、ドイツ国債そのものの信用力も問われつつある。

 しかし、その国債の信用力を計るものとして格付会社によるソブリン格付けに対して疑問も投げかけられている。少し古い記事になるがWSJの8月の記事によると、WSJが35年間のデータを分析したところ、米国の大手格付け会社がこれまでソブリン債(国債)のデフォルトをほとんど予想できなかったとしている。

 S&Pの格付け対象だったソブリン債のデフォルトは1975年以来15件あったが、同社はうち12件について、デフォルト1年前にシングルB以上の格付けを付与していたという。また、ムーディーズ・インベスターズ・サービスの格付けから1年以内にデフォルトした13政府のうち、11政府はB以上の格付けだったそうである。

 WSJにあったこれらのデフォルト事例の中に、いわゆる先進国の事例は含まれていないことから、格付会社独自のノウハウ蓄積の余地が乏しいとの指摘もある。企業格付の場合には、それぞれの格付会社には多くのデータが蓄積され、ある程度、格付とデフォルト率は整合的な関係が成り立っているとされるが、ソブリン債にもデフォルトの事例そのものが少ないとともに、国のデフォルトと企業のデフォルトでは大きな違いも存在している。

 企業や個人の借り入れには限度があるが、国の場合の借り入れは将来の徴税権が担保となる。しかも返済能力というよりも、どの程度の規模の債務を、どの程度の期間維持させることが可能なのかも重要であり、それを計る具体的な目安はない。たとえばユーロ圏での財政赤字のGDP比3%というのも、あくまでひとつの目安である。債務残高のGDP比も参考数値ながらグロスの債務残高が200%を超えてもいまのところ問題のない国もある。経常収支の黒字や赤字というのも、あくまで目安にすぎない。

 つまり国の信用度を測るための具体的な物差しは存在せず、そのためソブリン格付けであったり、財政赤字や債務残高のGDP比などが参考にされているに過ぎない。

 さらに国の信用度を見る上で、国債が市場でどの程度信認されているのかを計る目安も重要なものとなる。債券がデフォルトに陥るリスクに備える保証料を示すCDSスプレッドもこれを見るためのひとつ参考になる。通常5年物国債のCDSスプレッドが取引されているが、この場合のCDSスプレッドとは、その5年物国債の年間保証料といえるものである。

 ただしCDS市場そのものの規模は小さく、参加者も債券市場に比べて極めて限定的である。市場参加者にとって体感的にわかる相場の状況を数値化したのがCDSとも言える。これはマスコミなど市場関係者以外から見るのにはわかりやすい数値なのかもしれないが、市場参加者がこれを参考に債券相場を動かすようなことはないはずである。それでは本末逆転してしまう。国債市場の地合などを見て、ソブリンのCDSは動いているとも言えるためである。

 つまりは国債の市場からの信用度を測る目安はやはり市場でついた価格、つまりは利回りとなろう。ただしここが危険な水準かどうかを計る目処はない。ユーロ圏の7%というのも、あくまでアイルランド、ポルトガルなどが金融支援を求めた水準であったためで、7%が何かを意味したものではない。もしもそうであるのならば日本も1990年頃に長期金利が7%を超えており、その時点で金融支援を受けていたはずである。

 この長期金利の危険水域とは、その国の財政や経済状況とともに、これまでの長期金利の動きなどからある程度推測するほかない。イタリアの過去の長期金利の動きを見ると、その危険ゾーン、というか節目は7%ではなく実は6%であった可能性がある。

 同様に過去の日本の長期金利の推移を見ると2%という目安の数字が出てくる。現在1%近辺の長期金利からすれば、わずか1%の金利上昇で達してしまう水準である。しかし、これになかなか届かなかったのが、1999年以降の日本の長期金利なのである。もし、長期金利が市場からの信用力を計る物差しであるとするならば、日本の場合にはこの2%というのが大きな節目になっていることを再認識しておくべきかと思われる。


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by nihonkokusai | 2011-11-30 10:04 | 国債 | Comments(0)

日本国債、急落の要因

 昨日の債券先物は大幅続落となり142円を割り込んでいる。23日のドイツの10年国債入札での札割れをきっかけに、日本の債券市場の地合は大きく変化してきている。債券先物の日足チャートを見ても、急激な調整が入ってきていることがわかる。

 今回の日本の債券相場の下落要因として、米国債や英国債、そして日本国債と同様にリスク回避のための安全資産として買われていたドイツ国債に異変が起きたことが挙げられる。入札における大幅な札割れがドイツの国債に対する需要が減少と捉えられ、その結果、ドイツ国債の利回りが上昇した。ユーロ圏での信用不安が盤石とみられていたドイツに及んだことで、ユーロ圏内の信用不安がさらに高まるとともに、資金の逃避先とされている国債への警戒感も出てきた。

 ドイツと同様に経常黒字国ではあるものの、イタリア以上に債務状態が悪化している日本に対して、多少なり警戒感が出てきたことで、日本国債にも売りが入った。これは10年債利回りで1%割れという超低利回りとなっていたことや、債券先物は8月から142円から143円でのかなり高い水準でのレンジ相場が続いていた反動によるとも言える。

 きっかけは何にしろ、このような調整売りが入ることは過去の値動きを見ても当然予想はできていたと思う。しかし、何をきっかけに動くのかは予測できなかった。そのきっかけが、たまたま今回のドイツ国債の札割れであったと言える。つまり、日本国債への信用そのものが後退した結果として、債券先物が売られたと判断するのはまだ早計であろう。

 ただし、市場は財政再建にむけた野田政権への動きは歓迎しているものの、消費税の引き上げについて民主党内で意見が分かれるなど、財政再建に向けた実現性には多少警戒感も出てきているのも事実である。年末も迫り来年度の国債発行計画なども意識され、積極的には買いづらいという環境にもあり、その分、売りが入りやすかった面もある。

 債券先物は8月上旬から続いていたレンジ相場の下限を割り込んだことにより、当面は下値を模索する展開になることが予想される。チャートを見る限り、いずれ債券先物での140円半ば、10年債利回りでみると1.1%台の後半あたりまで下落してくる可能性もありうる。これは今年の5月あたりから7月上旬にかけての相場の下限となっているところである。このあたりまでの下げがあったとしても、あくまで調整と見ておいたほうが良いと思われる。日銀の包括緩和政策は当面継続されることが予想され、10月の全国CPIのコア指数が前年同月比マイナス0.1%となるなどしており、長期金利が一方的に上昇することは考えづらいためである。

 日本の国債相場の下落は欧州の信用不安が渦巻く最中、市場参加者を含めてかなり神経質にさせることも確かである。水準訂正ではあるものの、そこに日本への信用不安が多少なり生じると下げのピッチを早めさせ、予想以上の下落となり、その価格下落によりさらに売りを誘発させるような事態が起きかねない。このあたりは、日本も財政再建に向けた努力を怠ってはいないことを内外に示す必要がある。財政再建に向けて消費増税すらできないと見なされれば、それが日本国債の利回りに直接反映される恐れもある。

 信用リスク・プレミアムと呼ばれるものがある。日本語でのプレミアムとは楽しいおまけのような印象があるが、この場合のプレミアムとは信用不安に伴い上乗せされる金利分である。それには方程式は存在しない。まさにマーケットの不安心理が反映されるものである。ギリシャの20%を超える利回り、イタリアの7%を超える利回りは日本国債には無縁と片付けられるものではない。いったん不安心理が高まってしまうと、その利回り上昇は急激なものとなることを今回のユーロ圏の国債が教えてくれている。そうさせないためにどうしたら良いのか。それはまず政治家が考えるべきものであろうが、その前に日本国債を間接的に保有している国民こそが真剣に考えなければならないものである。


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by nihonkokusai | 2011-11-29 10:02 | Comments(0)

9月の米国債や日本国債の保有者の動き

 米財務省が毎月発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、今年9月の中国の保有高は1兆1480億ドルで、引き続き最大の保有国となった。中国は8月に前月から365億ドルの大幅な減少となっていたが、9月にかけてはやや上積みとなった。8月の減少は米国債の格下げが影響したとみられるが、影響は一時的なものであったようである。

 増加額で目立ったのは20兆円以上8月から増加させていた日本そして英国であるが、それまで多くても30兆円程度の保有となっていたフランスの保有額が43.9兆円となっていた。推測するにフランスの銀行などが、保有するユーロ圏内の国債の一部を売却し、安全資産とみられる米国債の投資を増加させてきた可能性がある。これに対しドイツやイタリアについては、あまり米国債の保有額は8月から変化はなかった。また、8月に大きく米国債の保有額を増加させていたスイスも9月の保有額にあまり変化はなかった。

 9月は8月の中国のように残高を大きく減少させていた国は見当たらず、米国債には安全資産としての買いが淡々と入ってきているようである。

 それでは同じ9月の日本の国際収支統計から、今度は日本からの海外の債券への投資と、日本国債に対する海外からの投資を確認してみたい。

 財務省のサイトにある国際収支統計の資料から、主要国・地域ソブリン債への対外証券投資を確認すると、中長期債について米国への投資はネットで2兆1031億円の増加、英国へは3946億円増、ドイツに2390億円増となっているが、イタリアについては1386億円の減少となっている。

 これに対して対内証券投資を見てみると、中長期債を中国がネットで4655億円減少させたが、短期債は2199億円増加させた。そして英国は中長期債を5168億円増加させ、短期債は3兆7965億円もの増加となった。ヘッジファンドや中東、アジア諸国の資金が英国を通して安全資産としての日本の債券に向かっているようである。

 そしてフランスを見ると中長期債で917億円減、短期債は8634億円の減少となっている。このあたりフランスの金融機関などによる換金売りなどが入った可能性がありそうである。


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by nihonkokusai | 2011-11-28 14:27 | 国債 | Comments(0)

ドイツ国債下落による日本国債への影響

 23日のドイツの10年債入札における札割れをきっかけに、ユーロ圏内の国債の中で最後の砦となっていたドイツ国債まで下落し、24日にドイツ10年債利回りは2.2%近辺に上昇した。

 ドイツ国債だけでなく、ドイツと同様に最上位格付けのフランスやフィンランド、オランダの国債も下落しており、欧州の信用不安が周辺国から中核国まで拡がりを見せた格好である。

 24日の日本の債券市場では朝方は買いが先行し143円06銭で寄り付いたものの、143円07銭を高値に下落基調となり、大引けは142円80銭となった。さらにこの日のイブニング・セッションでは142円46銭まで売られ、10年債利回りも0.995%と1%に接近した。25日に債券先物は142円13銭まで、10年債利回りは1%台に乗せ1.030%まで利回りが上昇した。

 格付会社S&Pのアナリストから、日本の財政健全化の取り組みについて、何も進まなければ、どんどん状態は悪くなるとの発言があり、日本国債の格下げも懸念された。またIMFが、日本の国債利回りが突然急上昇するリスクがあり、債務水準が維持不可能になる可能性があると指摘したことも影響した可能性がある。

 ただし、格付け会社による日本国債の格下げはこれまで相場にはほとんど影響を与えてこなかったことを考えれば、やや過剰反応したとも言える。また、IMFの報告書もあくまで可能性があることを指摘しただけで、そのような兆候があるわけではない。

 しかし、今回のドイツのように、札割れそのものは珍しいものではなにもかかわらず、これだけ反応したのは、不足額の大きさとともにドイツ国債が売られやすい地合になっていたためと思われる。

 ギリシャを発端としてアイルランド、ポルトガルからスペイン、イタリアに及んだユーロ圏の信用不安はフランスにも波及していた。ギリシャ、イタリア、そしてスペインで首相が変わるような事態となったが、債務問題解決に向けた糸口はつかみ切れていない。

 ユーロ共同債の発行やECBの機能強化についても、ドイツとフランスの考え方が異なり、なかなか決定打が見いだせない。しかし、いずれにしても中核をなすドイツがユーロを離脱するようなことがなければ、ユーロ共同債の発行などの対策を行うしかないとみられ、それは結果としてドイツの負担を大きくさせ財政そのものを圧迫させることになろう。

 このため、今回のドイツを含めた高格付け国の国債の下落については、まだ始まったばかりとの見方もできよう。特にドイツ国債の2.2%近辺はチャート上でもひとつの節目ともなっており、ここを大きく超えてくるようだと3%台にむけて上昇してくる可能性がある。

 このようにドイツ国債の下落が仮に続くようであれば、日本国債に対し安全資産として買いが継続するかどうかは不透明となる。安全資産として英国債や米国債などは買われても、日本国債に関してはやはりその巨額債務が大きな不安要素になりうる。

 野田政権は消費増税を国際公約とするなど財政再建を重視しているが、民主党内部から消費増税に反対する声が上がるなど、財政再建に向けた動きはあまりにゆっくりとしている。しかしその間、債務は膨れあがる一方である。

 今回のドイツのように何かしらのきっかけで相場が反転してくる可能性はある。欧州の信用不安が強まる中、市場が神経質になっているときなど通常は反応しないようなことに大きく反応してくる可能性もある。

 ただし、このまま日本国債が暴落するようなことは考えづらい。これまで堅調地合が長くつづいていただけに、あくまで一時的な調整局面とみてよいのではなかろうか。チャートを見ると債券先物は142円が大きな壁となる。もしここを下回るようなことになれば、オプションなども絡んで比較的大きな調整となる可能性はある。しかし、それで日本国債が危ないと結論づけるのは、早計であろう。


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by nihonkokusai | 2011-11-26 09:05 | 国債 | Comments(0)

ドイツ国債入札での札割れの影響

 ドイツ政府が23日に実施した10年物国債の入札は、発行予定額の60億ユーロに対して、応札額は36億4400万ユーロにとどまり、札割れとなった。

 ドイツ国債の入札に参加できるのは一定の落札シェアという条件を満たし、入札への参加を希望する金融機関等でオークション・グループと呼ばれている。1990年にそれまでの全額引受シンジケート団による発行からシ団と入札の併用となり、1998年からは全額入札による発行となっている。

 ただし、ドイツでは入札予定に届かなかった金額分の国債は、いったん政府が保有し、それを7つある証券取引所で売却する場合にはドイツ連銀が、そして電子取引プラットフォームで売却する際にはドイツ国債会社(German Finance Agency)が行う格好となる。したがって流通市場で売却したのち国庫にお金が入る仕組みとなっているそうである。

 日本の10年国債で札割れが発生したのは2002年9月20日である。ちなみにこの日は拙著「日本国債は危なくない」の発売日でもあった。入札予定額の1兆3500億円に対して応募額が1兆1852億円と札割れとなり、足りない部分は国債引受シンジケート団でのシェア割となった。

 ここで注意すべきは、今回のドイツや2002年当時の日本の10年債入札では、発行予定額に足りない分はドイツ政府なりシ団なりが引き受ける格好となっていたため、未達という言葉は使われない。ただし、すでにシ団が廃止された日本において、同じ10年国債の入札で、もし予定発行額まで応札額が届かなければ、それは未達ということになる。

 ドイツのオークション・グループの制度では、応札義務として年間(歴年)の発行額に対して0.05%以上の落札シェアとなっており、日本や米国などに比べてハードルは低く、比較的札割れそのものは発生しやすい。このため、札割れそのものは珍しいものではないにしろ、今回足りなかった割合が39%とかなり高くなっていることが、市場では嫌気されたようである。

 金融機関などによる応札が低調だったのは、今回入札されたドイツ10年債の利率は2%と、10年債として過去最低水準だったことに加えて、ドイツが反対してきたユーロ共同債の導入が検討され、それはドイツの負担を大きくさせかねないとの懸念があったためかもしれない。この入札結果を受けてドイツ国債は売られ、さらに欧米株式市場の下落要因ともなった。市場がかなり神経質となっていた際に札割れとなってしまったことで、影響が大きかったようである。

 ユーロ圏の中では、唯一の安全資産として買われていたドイツ国債まで売られたことで、その衝撃は大きかった。果たして今回のドイツ国債の売りは一時的なのか、それともドイツ国債も下落基調となるのか。もしもドイツ国債まで下落基調となれば、ユーロ圏の債務問題はあらたな段階に移行してくる可能性がある。


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by nihonkokusai | 2011-11-25 10:05 | 国債 | Comments(0)

ドイツの国債制度 (拙著「国債の基本とカラクリがよーくわかる本」より)」

 東西ドイツ統一時に大量発行されたドイツの国債は、欧州金融市場における国債の指標的な地位を確立しています。EU諸国の国債の利回りはドイツの国債の利回りをベースにしたスプレッド(利回り格差)で表される場合が多く、このドイツ国債利回りは、ユーロ加盟国すべての国債の基準(ベンチマーク)としても利用されています。また、2008年9月のリーマン・ショックにより世界の金融市場が混乱した際に、ユーロ圏の債券市場ではドイツ国債に投資家の資金が集中したのは、その流動性や信用力の高さを示したものと言えます。

 ドイツにおける国債の発行根拠法は、連邦基本法及び予算基本法です。連邦予算における信用調達(国債、借入金)については連邦法で限度額の授権が必要となり、信用調達の額は、連邦予算の投資的支出の額を超えてはならないこと、が定められています。連邦政府は、上記限度額の範囲内で、国債の種類・年限等を自由に選択することができます。1993年から四半期毎の入札・発行予定を、また、1999年分から年間の入札・発行予定を公表しています。

 連邦大蔵省、連邦銀行及び連邦債務管理庁の3機関に分散していた国債管理事務はドイツ国債会社(German Finance Agency:GFA)に統合されました。これにより国債の入札や管理の仕事はドイツ国債会社に移され、国債の入札スケジュールや国債発行計画などはドイツ国債会社から発表されます。

 ドイツ国債の入札に参加できるのは一定の落札シェアという条件を満たし、入札への参加を希望する金融機関等で「オークション・グループ」と呼ばれています。1990年に、それまでの全額引受シンジケート団による発行からシ団と入札の併用となり、1998 年からは全額入札による発行となっています。

 ドイツの国債の種類には短期国債、中期国債、長期国債があります。このうちの短期国債としては1996年から短期割引国債(BuBills)の6か月物が定期発行されています。また、2009年から1年物、そして3か月物、9か月物を新規発行しています。

 中期国債としては期間2年物(Schatz)と5年物(Bobl)が発行されています。そして、10年物国債はブンズ(Bund)とも呼ばれ、発行量も多くドイツ国債の中心的や役割を担っています。また、5年物と10年物の物価連動国債も発行されています。

 また、ドイツでは2008年7月に個人向け国債の新商品を導入しています。これは銀行預金に近い商品(Tagesanleihe)で、オーバーナイト金利に連動し、預け入れ・引き出しを自由に行うことが出来ます。これにより2008年個人向けの国債発行額は前年の約2倍となりました。(財務省資料を参考)。

「国債の基本とカラクリがよーくわかる本」




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by nihonkokusai | 2011-11-24 16:43 | 国債 | Comments(0)

国債入札における未達と札割れの違い

 TwitterやFacebookでや問い合わせがあったため、国債の「札割れ」と「未達」の違いについて簡単に説明します。今回のドイツのように応札額が発行予定額に届かなくても、残りをドイツ連銀が一時的に預かる仕組みがあるような場合には、発行額に達しない「未達」とは言いません。

 日本の10年国債入札で初めて発行予定額に札が届かなかった際、つまり拙著の「日本国債が危なくない」の発売日でもあった2002年9月20日でも、当時はまだ引き受けシンジケート団が存在していたため、残りはシ団のシェア割となり、やはり「未達」ではなく「札割れ」と呼ばれました。

 ただし、今後もし日本の10年国債入札で今回のドイツのような事態が発生した際には、すでにシ団が廃止されているため「札割れ」でなく「未達」となります。FB(政府短期証券)ではこのような際に例外的に日銀による引受が可能ですが、10年国債などでは残りを日銀が引受けるような仕組みとはなっておりません。


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by nihonkokusai | 2011-11-24 11:36 | Comments(0)

債券先物のスピード重視は必要なのか

 2011年11月21日から、東証の債券先物のシステムが大きく変更された。取引時間の変更以外に、使い勝手も変わったようである。

 寄り付きや引けでは、成り行き注文が出せなくなり、ザラ場中の指し値は付き値から20銭上下のみで、そこを抜けた注文はキャンセルされる。ザラ場の成り行き注文も付き値から上下20銭までとなり、残りはキャンセルとなる。

 そして、前場と後場の引けの最後の2分間はクロージング・オークションタイムと呼ばれ、約定しないで注文をためて、板寄せ処理のためのつき合わせを行う時間となる。つまり成り行きがなくなったため、完全合致とはいかなくなり、引け値と同値で指し値をしていたとしても約定されない可能性がある。

 実際に債券先物の端末を見たり操作したわけではないが、このシステムはスピードがだいぶアップされているようで、値動きが小さければ問題はないが、何か材料が出て大きく動いたら人間の目で対処できなくなる可能性がある。

 以前の債券先物のシステム変更の際も同様であったが、債券先物のシステムでスピードを重視する意味が果たしてあるのかどうか甚だ疑問である。コンピュータや通信システムの進歩により、注文や約定がすぐに反映されることは大事であろうが、値動きが目にも止まらぬ速さとなってしまっては、使い勝手はむしろ悪くなる。

 そもそも債券先物とは現物債のヘッジとして存在しているものである。その現物債の取引は投資家と業者が相対で取引を行っており、それは光の速度で行われているものでは決してない。そのヘッジツールだけが速度で一人歩きする意味が果たしてあるのであろうか。

 これについて、市場参加者の方から次のような声も出ている。ご本人の了解の元に掲載させていただく。

 「そもそも債券先物というのは現物国債売買のヘッジの為に存在している訳でありまして、その現物国債の売買というのは基本的に店頭売買市場であって、投資家と業者(あるいは業者同士)の間で人間が介在して人力売買をしているというのが通常の姿であり、そういう人たち的には別に高速回転売買取引などをする必要性は乏しいのであります。」

 つまり世界標準ということで高速回転売買に便利な取引システムに変更するというのは、日本で債券を売買している投資家や業者を念頭に置いているというよりも、海外ヘッジファンドなどを意識したものと言える。確かに債券先物の売買における外国人のシェアは高いが、彼らは日本国債そのものはほとんど保有していないのが実情である(日本国債の海外保有率は全体の5%程度)。

 そしてスピードを意識したことの裏返しで、上下20銭以上の成り行きや指し値注文をキャンセルするシステムとなったようだが、問題は1998年の運用部ショックのような事態が発生したときである。今回のシステム変更により見せ玉と呼ばれるような離れたところに、大口の売買を晒すようなことはできなくなるが、大きく値段が動いたような際の対処が難しくなるのではなかろうか。

 欧州の信用不安が発生してからは、日本国債は安全資産として買いが入り、相場の値動きが最も大きくなる売り相場、つまり急落というケースは希となっている。昨年の小沢ショックの売りもそれほど大きなものではなかった。しかし、ブラックスワンではないが今後、いまは安全資産とみなされている日本の国債市場が何かのきっかけで急落することは十分にありうる。

 相場の世界は突然、変化が生じることがある。そして債券相場の変動の兆候はいち早く債券先物に現れる。しかし、肝心の債券先物で国内投資家などのヘッジそのものが困難となってしまっては意味はない。海外投資家が利益を得るために債券先物が存在しているわけではないはずである。


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by nihonkokusai | 2011-11-23 11:38 | 債券市場 | Comments(0)

年金債(仮称)の発行とは

 11月21日付けの日経新聞によると、政府・民主党は将来の消費税収を返済資金とする年金債(仮称)を発行する方向で調整に入ったそうである。

 基礎年金については2004年の年金制度改革で、2009年度までに国庫負担割合を三分の一から二分の一に引き上げると定めた。少子高齢化や保険料の納付率の低下に伴い国庫の負担割合を増加させたわけであるが、それにより年間2.5兆円程度の財源が必要となる。

 2011年度末までに消費増税を法律で決め、2012年度以降分を増税で賄うとの方針となっていた、そのため2009から2011年度の3年間は特別会計の積立金などの埋蔵金で財源をやりくりしていた。

 ただし、今年度分については東日本大震災からの復興のために、今年度第1次補正予算の財源として独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の利益剰余金などから捻出した2.5兆円を流用した結果、それは復興債で補填することとなった。

 しかし、2012年度については埋蔵金などでの捻出は難しいとして、基礎年金の財源調達に目的を限った国債、通常の赤字国債などとは区別した新たな国債を発行することを検討しているようである。この年金債(仮称)は復興債と同様に償還財源を明確にした国債となる。

 ちなみに復興債の償還財源は所得税、法人税、個人住民税などによる臨時増税となる。償還期間は当初の15年から25年に延長され、復興増税法案は来月初めまでには成立する見込みとなっている。

 年金債(仮称)の発行は将来の消費増税を確実にし、財政再建路線をより明確化することが大きな目的とみられる。ただし、消費増税については準備法案そのものも来年3月末までに国会に提出する予定となっており、実際に消費増税が可能なのかどうかは不透明である。

 野田首相は今月初めのG20首脳会議で「2010年代半ばまでに消費税率を段階的に10%までに引き上げる」と発言し、これを事実上の国際公約とした。しかし、現在の日本の長期金利は低位安定しており、その分、危機感も薄く、また過去の選挙結果によりで消費増税はタブー視されるなど、民主党議員の中にも増税反対派も多くいる。

 その中にあって復興債や年金債(仮称)の発行は、財政再建路線を強固なものにするためのひとつの手段であろうが、そのために必要なのは今後こそ消費税を引き上げなければならないことを国民にも納得させることであろう。

 消費増税はこれまで何度も先送りされてきたが、それで補うはずの社会保障費が伸び続けた結果、国の財政は年々悪化してきている。これを食い止めないと、いずれ欧州の信用不安が日本に伝播してくる可能性は十分にありうるのである。


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by nihonkokusai | 2011-11-22 10:12 | 国債 | Comments(0)

牛熊ゼミナール金融の歴史第37回 BISの設立と金本位制の中断・復帰

 第一次大戦後のドイツの賠償金支払いを統括する機関として、中央銀行をメンバーとして設立されたのが国際決済銀行(BIS)です。本部はスイスのバーゼルに置かれました。BISの業務には、賠償金の支払いの振替に加え、国際債務の決済も含まれました。

 第二次大戦後は「中央銀行の中央銀行」として、中央銀行間の国際協力の要として活動しています。中央銀行のための銀行として預金の受け入れ、為替の売買を行っているほか、国際金融問題について各国の中央銀行が討論する機関ともなっています。

 第一次世界大戦により、各国政府とも戦争によって増大した対外支払のために金貨の政府への集中が必要となり、金の輸出を禁止し通貨の金兌換を停止せざるをえなくなり、その結果、金本位制を中断し一時的に管理通貨制度に移行しました。

 世界最大の為替決済市場であったロンドンのシティが一時活動を停止し、各国間での為替手形の輸送が途絶したことなどが影響しました。1919年にアメリカ合衆国が復帰したのを皮切りに、再び各国が金本位制に復帰し、1925年にイギリスも戦前の交換比率で金本位制に復帰しました。


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by nihonkokusai | 2011-11-21 18:37 | 金融の歴史 | Comments(0)
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