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牛熊ゼミナール金融の歴史第15回 日本での為替取引のはじまり

 為替取引とは、遠隔地間の貸借を決済する際に現金の輸送によらずに、手形・小切手などによって決済する方法です。「為替(かわせ)」という言葉は、現金と手形などを交替させることから「かわす」の連用形が名詞化されたと言われています。

 日本における為替取引の最古のものは、1048年の東大寺文書にみられる「替米」とされています。寺社などの荘園領主が年貢物の輸送に伴う不便や危険を回避しようとしたことから、中世に入り為替取引が発展しました。鎌倉時代には御家人が鎌倉や京都で銭や米を受け取る仕組みなどに為替が使われていました。また、諸司・諸家が発給した切下文・返抄といった個人への支払手段があり、これらが現在使われている小切手・手形の元になったとされています。

 渡来銭が流通するようになった13世紀後半になると遠隔地間の銭貨を対価とした為替(割符、さいふ)が登場しました。鎌倉時代後期から室町期にかけて商品経済が発展し、地方で買い入れた産物を都などで販売する商人や、地方と都市とを往来する行商人が現れました。また、定期市なども開催されるようになり、都で販売する特産物を地方で仕入れる際に都から代金としての銭を送金するため、割符・替銭という為替取引が使われるようになったのです。

 割符の受取人は危険と負担が伴いますが、商取引の発達により為替取引が活発化するようになったことで、その発行と支払いを専門とする割符屋が、京都や奈良、さらに堺や兵庫といった港湾都市に現れたのです。

 当時の割符の仕組みは、まず遠隔地の相手に代金を送金しようとする場合、送金者は最寄の割符屋に現金を持ち込んで手形(割符)をもらいます。そして送金する相手方にその手形を送ります。その手形を受け取った相手方は、今度は最寄りの割符屋にこれを持ち込み,手形に記された金額の金銭を入手するというものです。現在の銀行間のネットワークのように、割符屋間同士のネットワークが形成されており、このような取引が可能となったのです。


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by nihonkokusai | 2011-10-19 16:16 | 金融の歴史 | Comments(0)

不良債権問題に対する日本政府の対応を振り返る

 欧州の債務問題による域内銀行への影響が問題視されているが、今後の展開を見る上で、リーマンショックの際の米国政府の対応とともに、1997年以降の不良債権問題に対する日本政府の対応も、良し悪しはさておき、大きな事例研究となりうる。今回は当時の状況を振り返ってみたい。

 1997年11月に金融システム不安が一気に表面化し、3日に三洋証券が会社更正法適用を申請、17日には都銀の北海道拓殖銀行が経営破綻し北洋銀行への営業譲渡を発表した。24日には証券大手の山一證券が自主廃業を届け出、26日には徳陽シティ銀行が分割譲渡と金融機関が相次いで破綻した。これは企業や金融機関のバランスシート調整が想像以上に遅れていたことを示していた。

 三洋証券の破綻の際に、コール市場での小規模なデフォルトが発生したが、これが他の金融機関破綻の引き金となった。信用リスクと流動性リスクの増大により、金融システム不安が一気に高まった。

 1998年2月に30兆円の公的資金枠を設けた金融システム安定化2法(改正預金保険法、金融機能安定化緊急措置法)が成立。改正預金保険法では預金の全額保護のため預金保険機構に7兆円の国債を交付し、10兆円までの借り入れに政府保証をつけることになった。金融機能安定化緊急措置法では、金融機関の自己資本増強のため13兆円の公的資金を注入、これには金融機関が健全化計画を作成し、優先株などの買い取りを申請し、それを預金保険機構が買い取ることで公的資金を注入する。しかし、銀行はこの申請を躊躇した結果、大手18行で合計1兆7456億円の注入に止まった。

 4月からは早期是正処置に伴い金融機関の自己資本が強化された。また、金融ビックバンがスタートするとともに、日銀法が改正され新日銀法が施行された。

 6月に政府は大蔵省から民間金融機関等の検査・監督を分離し金融監督庁を設置して金融機関の経営監視を強化すること等で金融システムの安定化を図った。しかし、大手金融機関に対しての不安はむしろ強まり、株式市場では日本長期信用銀行の株価がすでに額面を割り込み経営危機に陥った。

 7月に橋本首相が参院選で自民党は惨敗したことから退陣し、小渕新内閣がスタートし、臨時国会において不良債権処理をめざす金融再生トータルプラン関連法案の審議が行なわれた。結局は野党案に譲歩し、9月に長銀を金融再生法に基づく新たな破綻処理の仕組みである特別公的管理とすることで与野党が合意。

 10月に延長臨時国会で10月に「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(いわゆる金融再生法)と「金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律」(いわゆる金融早期健全化法)が成立しました。金融再生法に基づき同日、長銀の一時国有化が決定した。

 不良債権処理問題を先送りしてきた結果、破綻処理による国民負担は結果しては10兆円規模に達した。巨額の不良債権処理で資本不足に陥った銀行による貸し渋りが深刻化し、さらに破綻処理だけでなく大手銀行への公的資金による資本注入にも踏み切ることになったのである。

 北海道拓殖銀行の破たんを受けて成立し施行された金融早期健全化法により、金融機関に対する資本注入は優先株や劣後債を引き受けることによる増資という形で行なわれ、1999年3月に32の大手銀行や地方銀行に、優先株引き受けなどで総額8.6兆円の公的資金が資本注入された。これにより金融機関のリスク許容度が改善した。

 2003年5月に預金保険法102条に基づき、金融危機対応会議を経て、金融機関への特別融資というかたちで、自己資本不足が明らかとなった、りそな銀行に約2兆円を資本注入することとなり、その結果、資本注入額は最終的に総額12.4兆円にのぼったのである。


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by nihonkokusai | 2011-10-19 11:25 | 国内情勢 | Comments(0)

牛熊ゼミナール金融の歴史第14回 渡来銭

 平安時代の中期に皇朝十二銭は鋳造が取りやめとなり、それまでの貨幣は粗悪で使われなくなったことで貨幣は交換手段として利用されなくなりました。その後、価値基準として使われたのが米や絹でした。しかし、平安時代の末期から農業生産力が向上し、商品流通の拡大などを背景として貨幣に対する需要が高まりました。また、中国との貿易などにより大量の銅銭が輸入されるようになり、「渡来銭」と呼ばれた銅銭が貨幣として使われるようになったのです。

 中国からの銅銭の購入に使われたのは奥州などで産出された「金」でした。当時の日本は東アジア地域有数の金の産出国であり、大量の金が中国向けに輸出されており、それがマルコ・ポーロの「東方見聞録」における 黄金の国「ジパング」伝説に繋がったのです。渡来銭はその後、室町時代中期あたりまで国内に流入し、江戸時代前期まで国内貨幣として広く流通することになります。

 平清盛は南宋との貿易で大量の銅銭を輸入し、朝廷に働きかけて銅銭の流通の許しを得て渡来銭を決済手段とし、これにより絶大な経済力と権力を手中にしました。大量の銭が流通することにより貨幣経済も急速に進んだのです。

 平家が壇ノ浦で滅亡し、源頼朝が開いた鎌倉幕府は中国からの銭の輸入を行いませんでした。その後、一時的に銅銭の流通を認めたものの、貨幣経済が混乱するとの理由から、再び銅銭の流通を否定しました。しかし、貨幣経済の進展により、1226年に鎌倉幕府も渡来銭の利用を公式に認めるようになったのです。国内での貨幣の鋳造が行われなかったのは、当時の政府には地方で産出される銅から貨幣を生産するほどの力が存在していなかったことも要因です。

 輸入された大量の渡来銭を基礎に、銅銭中心の経済となっていた当時の日本で、ただ一度だけ紙幣の発行の動きがありました。それは後醍醐天皇による建武の新政の中で計画されたものでした。後醍醐天皇は建武元年の1234年に、乾坤通宝という新貨を「銅楮並び」行わせようとしました。この「楮」とは紙のことで、乾坤通宝は銅銭と紙幣の二種類での発行が計画されたのです。


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by nihonkokusai | 2011-10-18 18:20 | 金融の歴史 | Comments(0)

ギリシャの管理されたデフォルトとフランスへの影響

 欧州金融安定化基金(EFSF)の機能拡充はユーロ圏17か国で批准された。この機能拡充案では融資能力の拡大のほか、流通市場での国債購入、現行の救済策の対象となっていない国への融資に加え、域内の銀行への資本注入が含まれている。

 つまり欧州域内の金融機関への資本増強の安全網が整ったことになる。ギリシャの債務削減については、すでに民間セクターの債権者は7月にギリシャ債務のヘアカット率について21%の削減で合意している。

 報道によると、ユーロ圏財務相会合のユンケル議長はヘアカット率の拡大に言及しており、また、ギリシャのパパンドレウ首相も、できる限りの債務削減について交渉中だ、と表明した。さらにフランスのバロワン財務相も、さらなる削減が必要なのは明らかだ、と述べたと伝わっている。

 どうやらギリシャ債務のヘアカット率、つまりギリシャ国債の削減率は5割程度になることが検討されていると見られ、23日に予定されているブリュッセルでのEU首脳会議で決定されるようである。

 このようにギリシャについては、管理型デフォルトに向けた動きが進みつつある。ギリシャ債務のヘアカットは実質的なデフォルトとみなされるが、過去のアルゼンチンやロシアなどのデフォルトとの事例とはやや異なり、管理されたデフォルトとの認識のようである。しかし、それでもOECD加盟国の中でははじめてのデフォルト事例ともなる。

 大幅なヘアカット率によっては、資本増強の枠組みが整ったとはいえども、域内金融機関の信用収縮を誘発する懸念も出てきている。すでにギリシャやイタリアの国債などを大量に保有していたフランス・ベルギー系の大手金融機関のデクシアは解体されることになった。デクシアは950億に上るとみられる不良債権を本体から切り離し、受け皿機関に移し、これにフランス、ベルギーが政府保証を与える。

 デクシアに対するフランスの負担はそれほど大きくはないとしても、ギリシャ債務のヘアカットにより、ギリシャなどへの融資額の大きなフランスへの負担が大きくなり、その結果、フランスが格下げされる懸念がある。

 17日には格付け会社ムーディーズがフランスの格付見通しを3か月以内に変更する可能性を指摘しており、見通しはネガティブへと修正するとみられ、先々のフランス格下げの可能性は現実味を帯びてきた。

 フランスが格下げされると、それが今度はEFSFに影響が及ぶ可能性がある。フランスが格下げされた場合には、残りのトリプルA格の国々が拠出負担を引き上げることが必要になる可能性が出てくるためである。

 ギリシャの債務不安の封じ込めに対して、ドイツそしてフランスを中心にここにきて積極的な動きを見せており、市場も一時楽観的なムードも広がりつつあった。しかし、ギリシャ債務のヘアカットにより、その影響がフランスなどに及べば、欧州の債務問題はあらたな展開を迎える可能性もある。まずは23日のEU首脳会議に向けた動きに注目したい。


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by nihonkokusai | 2011-10-18 08:33 | 国債 | Comments(0)

牛熊ゼミナール金融の歴史第13回 イギリスにおける国債への投機

 イギリスで1720年の南海バブルの崩壊以来、株式にかわって投機の対象になったのが、国債です。1734年にサー・ジョン・バーナード法により先物とオプションの取引禁止が定められたのですが、この法律に触れないようなかたちでの取引が編み出されていたのです。

 たとえば先物取引の際に、はるか先の期日を決済日とする方法がとられました。1730年代には四半期ごとに決済する方法が一般的になり、その後6週間を決済期間とする方法に移行しました。国債担保融資も行われ、また証券取引所ではオプション取引も活発に行われていたのです。

 ナポレオン戦争の間、イギリス政府は4億ポンドを超える国債を発行し、この国債を対象とした投機により、50万ポンドを超す資産を形成した人物がいます。この資産を得たのち若くして引退し、「比較優位の原則」などで有名な経済学者となったデイビッド・リカードです。


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by nihonkokusai | 2011-10-17 13:47 | 金融の歴史 | Comments(0)

第3次補正予算に伴う国債増発の影響は限定的か

 昨日、財務省で開催された第40回目となる国債市場特別参加者会合(PD懇)の議事要旨が、本日朝方公表された。この中で、まず財務省から平成23年度第3次補正予算に伴う国債発行計画についての説明があった。

 「平成23年度第3次補正予算について、10月7日に閣議決定された基本方針によると、総額概ね12兆円程度の歳出であり、その財源については、歳出削減等のほか、同決定の参考資料において復興債を11.4兆円程度発行することで調達することとなっている。また、財政投融資計画について、1.3兆円程度を追加することとなっているが、その財源のうち、財投債による調達は数千億円になる見込みである。」

 「更に、補正予算の機会に借換債の発行額を見直すことに伴い、借換債が2兆円程度減額されることとなる。これは、平成23年度の国債発行計画を公表した後の平成22年度末に、日銀再乗換による1年債の発行を2兆円減額し、市中発行による満期2年以上の国債で借り換えたため、今年度の満期到来額がその分減少することによるものである。」

 14日の日経新聞の報道などによると、2011年度第3次補正予算案や復興増税の関連法案を審議する次期臨時国会は20日に招集される。それを前にして、民主党は自民、公明両党と協議を行なっており、復興債については償還期限が延長される可能性があると報じられている。また、復興債の発行額そのものもまだ流動的な面がある。

 現状では、財務省は復興債、財投債及び借換債の増減を合計した国債発行総額としては10兆円程度の増発を見込んでいるようである。

 ただし、財務省は「当該金額をそのまま月々の入札額に上乗せすることは考えていない」としており、「財投債の不用(7.1兆円)や特例公債の出納整理期間発行分の発行取り止め(2兆円)、第Ⅱ非価格競争入札の上振れなど」から、カレンダーベース市中発行額の増額は相当程度抑制するとしている。

 具体的には、第Ⅱ非価格競争入札において上半期実績における上振れ分を増額し、前倒債発行減額による調整分についても相当規模の増額が想定され、個人向け国債の販売が当初予定を上回ってきていることで、こちらの発行計画額の増額も加わると、かなりの削減となることが予想される。

 つまりは第3次補正予算に絡んでの10兆円規模の国債増発があったとしても、かなりの規模で市中消化額が押さえられることが想定されるわけである。その市中消化額については、まだ流動的な面はあるものの、どうやら数兆円規模になるのではないかと予想される。

 この金額についてPD懇の参加者からの予想をみると、2.4兆円、2兆円程度、総額1.4兆円、2兆円、1.8兆円と予想はややバラけてはいるが、おおよそ2兆円あたりを中心とした予想となっている。

 また、年限別配分については投資家需要とともに、復興債の償還期限にもある程度は影響を受けるとみられることもあり、PD懇の参加者の多くも予想しているように、中期債などが主体になるのではないかと予想される。

 14日に開催された国債投資家懇談会での投資家の意向なども配慮して、増発に係わる国債市中消化額の年限別の振り分けが行なわれるとみられる。増発については、国会審議の行方次第ではあるが、11月もしくは12月あたりから開始されるものと予想される。

 この国債増発による市場への影響については、すでにこのようにある程度の金額の増発を市場参加者が予測している以上、限定的なものとなると予想される。

 10兆円規模での国債増発でもびくともしないのが現在の日本国債を取り巻く状況である。これにはこれまで前倒し発行などにより、ある程度の増発であってもそれを吸収できる環境を整えてきていたことや、PD懇に代表される国債管理政策が進展していたことが大きな要因である。

 それとともに日本国債に対しては、まだまだ強い需要が存在しているためである。それは、今回のPD懇でもそれを意識している業者から、増発に関して国債需給を懸念するような発言がなかったことからも伺えるのである。


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by nihonkokusai | 2011-10-15 12:55 | 国債 | Comments(0)

牛熊ゼミナール金融の歴史第12回 ミシシッピ計画と南海バブルの崩壊

 スコットランド人のジョン・ローは、フランス王立銀行の設立に寄与し、1717年にフランス領ルイジアナミシシッピー金鉱開発を目的としたミシシッピ会社を設立しました。その後、フランスの東インド会社や中国会社を併合し、造幣局そして中央銀行の王立銀行までも傘下に収めたのです。

 新会社はルイ14世が生み出した総額15億ルーブルもの政府債務をすべて肩代わりしました。新株発行の払込については国債を額面の2割で引き取ると発表し、払込については4回の分割払とし最初の1回だけ現金、残りの3回は手形でよいとしたのです。これらのプロジェクがミシシッピ計画と呼ばれたものです。 国債そのものや手形で新株が購入され、1720年に政府の全負債はこの会社に移り、フランス国債の保有者はこの会社の株主となったのです。政府は多額の債務返済を一時的に免れ、債務免除されたような状況になりました。

 さらに王立銀行の株式払い込み手形を貨幣として機能させ、金貨が紙幣へと置き換えられました。ミシシッピ会社の株が値上がりすると紙幣を増発され、これにより資産バブルが発生し、未曾有の投機ブームが起こりました。当初500ルーブル以下であった株価は1719年後半には2万ルーブルを上回るまでに上昇したのです。ところが1720年に入り投資家が売却益を得ようと売りが殺到し、株価は急落しました。さらに払込手形という紙幣を金に替えようと王立銀行に人が殺到した結果、ローは払込手形の金との互換性を失効させる宣言をし、ミシシッピ計画は破綻したのです。

 投機資金がイギリスからパリに流れるようになり、それを危惧したイギリス政府はジョン・ローの制度を利用し南海会社を設立しました。1711年にイギリスで南アメリカのスペイン植民地との貿易の独占権を与えられた南海会社が設立されました。ただし貿易では収益が上げられず、富くじの成功により金融機関として成功を収め、1719年に総額170万ポンドの年金型国債を引き受け、それを自社株式に転換したのです。

 国債の保有者には当初の転換比率より有利な条件で株式の転換を提案し、また南海会社の株価が高いほど国債との交換に必要な株数が減り、会社と政府に分配される利益が多くなる仕組みを取り入れた結果、関係者すべてが南海会社の株価上昇で利益が享受できる仕組みとなっていたのです。

 南海会社の株の売り出しは年4回にわたり実施され、ジョン・ローがミシシッピ会社の株式発行の際に使った方法を取り入れ、当初の払い込みは総額の2割に抑え、自社株を担保に株主に融資するなどしたことで、その都度株価は大きく上昇していったのです。

 これをきっかけに投資ブームが起こり、毎日のように新興企業が設立され、投機熱は社会階層の壁を超えて強まり、株価は大きく上昇しました。1720年の夏に、類似企業との過当競争を回避しようと、会社の設立には議会の許可を義務付ける法律が制定されました。しかし、この法律の制定などが結果として株式市場の加熱を冷ますこととなり、一気に地合が悪化し南海会社の株価は急落し、経営陣までもが株を手放しました。売りが売りを呼ぶこととなりバブルは崩壊していったのです。1721年、イギリスはバブル防止法を制定、企業に新たに株式公開することを禁止し、それは100年の間続くこととなったのです。

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by nihonkokusai | 2011-10-14 15:52 | 金融の歴史 | Comments(0)

日銀の追加緩和は円高や株安次第か

 日銀は13日に、9月6、7日に開催された金融政策決定会合の議事要旨を発表した。これを基にして、今後の日銀の追加緩和の可能性を探ってみたい。

 当面の金融政策運営についての議論の中で、「何人かの委員は、このところ、景気の下振れリスクは幾分高まっているが、8月に実施した基金の増額に際し想定していた範囲内であるとの見解を示した」とある。

 この場合の景気の下振れリスクについては、米国のバランスシート調整圧力やソブリン・リスク問題の影響などによる海外経済の先行きを巡る下振れリスクを受けての、日本の為替・金融資本市場の変動が、日本経済に与える影響を指しているようである。つまり、日本の為替・金融資本市場の変動とは円高・株安のことを示しているとみられ、その動向をかなり注視している姿勢がうかがえる。

 「また、何人かの委員は、米欧金融資本市場で緊張が高まっているにもかかわらず、日本の金融市場の安定が維持されていることには、基金の増額が何がしか影響していると述べた」

 「何がしか影響」との表現が、現在の日銀の追加緩和、この場合は基金の増額という格好だが、その限界があることを示しているようにも感じられる。

 「こうした中で、複数の委員は、日本経済の直面する厳しさが、国内外の構造的な要因から生じている面も大きいことを踏まえ、金融政策で対応し得る問題とそうではない問題を見極めながら政策を進めていく必要があると述べた。」

 国内外の構造的な要因とは、具体的に何を示しているのか、これだけでは判断しにくい。国外の要因は欧州の債務問題等を示していようが、国内の構造的な要因とは何を示すのか。もしデフレであるとすれば、それは金融政策で対応すべきものであるとの一部からの声も聞こえてきそうだが。また、日本の債務問題も含んだものなのであろうか。

 「複数の委員は、欧州のソブリン・リスク問題の帰趨が不透明であるなど、景気の下振れリスクがなお高いことを踏まえると、事態の展開によっては、先行きさらなる金融緩和が必要となる可能性もあるとの見解を示した。」

 ここで気になるのは、「事態の展開によっては」との表現か。つまりは欧州のソブリン・リスク問題の影響により日本の為替・金融資本市場が変動するという事態の展開によっては、追加緩和も辞さないというように読み取れる。

 「これに対し、一人の委員は、金融緩和の一段の強化が、市場の流動性低下や金融機関の収益機会の縮小などを通じて、かえって、金融システムを不安定化させたり、金融政策の効果浸透を阻害したりすることがないよう、十分に配慮する必要があると述べた。」

 このあたり前回の量的緩和政策の際にも指摘されていたことではあるが、追加緩和の際の副作用の問題である。しかし、現在の包括緩和の強化であるのならば、それほど副作用は心配する必要はないように思うのだが。

 以上のことから、今後の日銀の追加緩和に関しては可能性は十分にあると判断される。しかし、FRBやECB、BOEなどがここにきてツイスト・オペやカバード債の購入を再開したり、量的緩和策を拡大してきたが、日銀は8月に資産買い入れを増額したあとは動いていない。今後は欧州の債務問題などから、再び円高が進行し最高値を更新したり、東京株式市場が急落するなどしてこない限り、日銀は当面、静観の構えで望むものと予想される。


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牛熊ゼミナール金融の歴史第11回 アムステルダム取引所

 1585年にスペイン軍がアントウェルペンに侵攻したことでアントウェルペンの取引所は没落し、それに変わって栄えたのがアムステルダムです。17世紀はじめにオランダは、商人が世界各地に進出し、ヨーロッパで最も経済が発達した国となりました。  オランダは株式会社に加え、銀行、複式簿記、為替手形、そして証券市場などが発達し商業資本主義の基礎を築き上げました。世界最初の中央銀行はスウェーデンのリクスバンクと言われていますが、1609年に市の条例で設立されたアムステルダム振替銀行ではないかとの見方もあります。預金には金利はつかず、保有する金の範囲でしか紙幣を発行せず、融資はほとんど行いませんでした。こうしたアムステルダム振替銀行の高い信用などを背景に外国為替の割引が活発に行われ、これによりアムステルダムが国際的な取引で支配的な地位を確立したとも言えるのです。

 1530年に設立されたアムステルダム取引所では商品、為替、株式、債券そして海上保険などあらゆる種類の金融商品や金融サービスが売買されていました。そして取引の主流は先物取引となり、穀物や香料、砂糖や銅、硝石などの先物取引が行われていました。

 世界最初の株式会社であるオランダ東インド会社の設立も大きく影響し、アムステルダム取引所では多くの株式が集められ、その株式に加え、すでに株の先物やオプションの取引も行われていました。

 アムステルダム取引所では、買い方、つまり強き筋(ブル)と、売り方、つまり弱き筋(ベア)の攻防戦が繰り広げられていました。このブルとベアの語源は、ベアが「捕らぬ熊の毛皮を売る」という諺から来たとの見方があります。日本の諺の「捕らぬ狸の皮算用」と同じように、入手できていないものを売る、つまり空売りをするという意味となります。これに対してブルはドイツ語の「吠える」を意味するビューレンを語源としているとの見方があります。


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by nihonkokusai | 2011-10-13 17:57 | 金融の歴史 | Comments(0)

リーマンショックとギリシャショックの違い

 10月7日の日銀金融政策決定会合後の白川総裁の会見の中で、現在のギリシャを発端とする債務危機と2008年のリーマンショックの違いについての白川総裁の発言があった。これをもとにして、リーマンショックとギリシャショックの違いについて改めて検証してみたい。

 記者からは、リーマンショックのような世界的な金融危機に発展する惧れが無いのかどうかについての質問であったことで、総裁はまず「リーマンショックと現在の状況、正確に言いますと、リーマンショックが起こる前の状況と現在の状況を比較して、どのようにリスクを考えるのかというご質問だと思います。」と質問の意味を整理している。

 リーマンショックはそれ以前に、サブプライム問題が発生しそれが2007年のパリバショックなどを経て、リーマンショックにより世界的な金融経済危機に発展した経緯がある。2010年1月に発生したギリシャショックも、いまだ沈静化されずそれどころか域内金融機関への影響が懸念されるなど、リーマンショックと同様の危機が発生するのではないかとの懸念も出ている。

 「類似点から先に申し上げると、2008年秋のリーマンショックに至る過程では、短期金融市場において金融機関の信用力を懸念する動きが強まり、銀行間金利の上昇圧力が高まっていきました。今回の局面でも、同様の動きがみられており、欧州の金融市場は緊張した状態にあると思っています。」

 「一方で、相違点もあります。リーマンショックの時には、民間金融機関の信認が懸念の対象になっていたのに対して、今回の局面では、通常は信用リスクが意識されずに金融取引で大きな地位を占めている国債が懸念の対象になっており、その分、影響に拡がりがみられます。」

 リーマンショックの際には金融機関の資金繰りに多大な影響を及ぼし、金融のシステミック・リスクにまで発展していった。大規模金融機関が破綻したことで金融市場は極度の不安に陥ったのである。大手金融機関に対する信用が失われた結果、相互で疑心暗鬼となり、危機が増幅していったといえる。

 これに対してギリシャショックは、通常は信用リスクが意識されないはずの国債が懸念の対象となっている。ギリシャの問題については、ギリシャの抱える財政赤字と経常赤字の双子の赤字が問題視されてはいるが、きっかけはあくまで2010年1月に欧州委員会がギリシャの統計上の不備を指摘したことによる信用の失墜である。

 「今次局面では、財政面での支援措置についてはユーロ圏の17の国の合意・承認が必要であることも多く、周縁国への金融支援などの施策実行に、一定の時間を要してしまうという面もあります。これはマイナス面での違いです。」

 民間金融機関の救済ならば、リーマンショック後に米国政府が方針を転換して大手保険会社AIGに対して緊急融資を行って救済したように行動は早い。しかし、これが国への支援、しかもユーロという国を跨いでつくりあげたシステムの中の国への支援となるだけに、実行に時間がかかり、その時間差がリーマンショックとは違うリスクを生じさせている面はある。

 「しかし一方で、リーマンショック時の経験を踏まえ、現在では、金融機関に対する流動性供給や資本の強化について体制の整備が進んでいるという、プラス方向での相違点もあります。ECBは、固定金利かつ全額無制限方式のオペを続けているほか、主要国中央銀行と協調して、年末越えとなる米ドル資金供給の実施を決定するなど、ユーロ・ドル双方の金融市場に潤沢に流動性を供給する体制がしっかり組まれています。」

 「また、金融機関への資本注入についても、欧州の多くの国では、リーマンショックの際に整備された資本注入スキームが現在も存続しているほか、欧州金融安定基金(EFSF)の機能拡充によって、機動的に資本注入をする仕組みも今整備されつつあります。」

 それでは今回、リーマンショック時のように金融システム不安が拡大するのかといえば、リーマンショックなど経験が生かされることで、ある程度、未然に防ぐことは可能であろう。実際にフランス・ベルギー系大手金融機関のデクシアが経営破綻したが、欧州連合が公的支援を含めた銀行の資本増強策をとりまとめる見通しを発表するなどしたことで、市場への影響は限定的なものに留められた。

 だが、欧州の信用不安が当面解消される見通しがたっていないことも事実である。欧州連合とIMFは、11日にギリシャ政府と同国の財政・経済対策で合意したと発表し、ユーロ圏財務相会合などの承認を経て、次回の第6弾となる融資80億ユーロは11月上旬に実行される予定となり、懸念されたギリシャのデフォルトは、ひとまず回避される見込みとなった。しかし、これも根本的な解決にはならない。いったん失われた信用を取り戻すことは至難の業である。特にそれが国であれば尚更である。

 リーマンショックは金融機関への信用が問題視されたのに対し、ギリシャショックは国への信用が問題視されている。このため、もしもギリシャショックがきっかけとなり、リーマンショック後のような経済金融危機をもたらすとするならば、それはリーマンショックとはまったく違ったものになるものと予想される。


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by nihonkokusai | 2011-10-13 08:11 | 国際情勢 | Comments(0)
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