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スペインは財政再建に向け憲法改正へ

 29日の民主党代表選挙では野田氏が決選投票で海江田氏を破り、民主党代表に選出され、昨日の衆参両院本会議で第95代の首相に指名された。

 野田財務相は早くから代表選出馬の意向を示し、有力候補とみられていた。しかし、その代表選には野田氏を支援するとみられていた前原氏が出馬を表明し、小沢グループの支持を受けた海江田氏も立候補、さらに鹿野氏、馬渕氏も立候補したことで、むしろ野田氏は不利との見方が強まっていた。

 しかし、結果として民主党は野田氏を代表に選出したわけであり、民主党も最終的には財政再建路線を選択せざるを得ないとの認識であったと思われる。もちろん、今回の選挙は小沢派と脱小沢派の駆け引きの場となるなど、政策論争とはまた別な次元での戦いのようではあったが、最初の投票で2位となったことは野田氏への期待がそれだけ強かったともいえようか。

 これにより、野田新政権も方向性としては欧米と同様に財政再建を目指すことになろう。これだけの巨額債務を抱えながら日本だけが財政再建から距離を置くことはむしろできないはずであり、賢明な選択ではなかったかと思う。

 その欧州における財政再建についても、あらたな動きが出ている。26日にスペインの2大政党は財政規律の原則を憲法で規定することで合意した。来年中に憲法を改正し、2020年以降の財政赤字上限をGDP比0.4%以内に設定する。

 2012年に憲法を改正し、2020年以降は中央政府の赤字をGDP比0.26%、地方政府の赤字をGDP比0.14%以内とすることを規定する。これに年金財政の赤字などを加えた公的な赤字全体をGDP比0.4%以内に設定する。

 これは与党である社会労働党が提案し、これに野党である国民党が同意したことで、もし仮に11月のスペインの総選挙で政権交代が起きても憲法改正は実現するとみられている(以上、日経新聞ネット版より一部引用)

 スペインの財政赤字は2009年でGDP比11.1%、2010年で同9.2%、今年は同6%程度に縮小する見込みではあるが、欧州の信用不安はギリシャ・ポルトガルから、スペイン・イタリアに飛び火し、国債の利回りが上昇している。このため、市場の不安心理を沈めるとともに、ECBによる買い入れなどの支援も出ており、積極的に財政再建に向けた姿勢を示さざるを得なかったものとみられる。

 16日のフランスとドイツの首脳会談で、ユーロ圏各国政府に財政赤字の上限を法で規定するよう求めていたが、まずこれにスペインが応えた格好となった。ドイツはすでに上限を憲法で規定しており、フランスでも憲法改正に向けた議論が進んでいるようである。

 これに対し、イタリア政府は2013年の財政均衡化を目指す財政改革計画をめぐり、当初案に盛り込まれていた高所得者層に対する増税を撤廃し、地方政府への支出削減幅を縮小すると明らかにしたとのニュースが流れてきた。

 どうやらイタリアでは財政改革を巡り、反発の声が強まり、政権内の亀裂も深まるなど、日本での増税論議と同様の事態を招いているようである。このイタリアとスペインの財政再建に向けた取り組みの温度差を市場がどのように反応するのか、注目しておく必要もありそうである。


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by nihonkokusai | 2011-08-31 08:28 | 国債 | Comments(0)

バーナンキ議長の講演に見る次の一手

 ワイオミング州ジャクソンホールで開催されたカンザスシティ連銀主催のシンポジウムにおけるバーナンキFRB議長の講演内容が注目された。これは昨年の同シンポジウムの講演で、バーナンキ議長がQE2を示唆したため、今回も何らかの追加緩和を示唆するのではないかとの期待があったためである。

 過去の歴史を見ても、ジャクソンホールで開催されるカンザスシティ連銀主催のシンポジウムでは興味深い出来事が多く、そのために注目度が高い面もあった。その理由としてこのシンポジウムはある程度、マスコミ等から遮断されての意見交換の場もあるとみられ、著名学者などとともに、トリシェECB総裁や日銀の白川総裁も出席しており、金融関係者によるダボス会議のようなものになっているためではなかろうか。

 たとえば、ロシア危機とヘッジファンド危機に見舞われた1998年に、当時のグリーンスパンFRB議長がこのカンザスシティ連銀主催のシンポジウムの合間に FRB理事や地区連銀総裁とひそかに接触し、その後の利下げの流れをつくったと言われた。

 現在、FOMCメンバーでは、議長を含むFRB関係者と投票権を持つ地区連銀総裁との間で、意見の対立がある。前回のFOMCの会合では、いわゆる時間軸の明確化に対して、フィッシャー、コチャラコタ、そしてプロッサーの3人の地区連銀総裁が反対票を投じた。

 FOMCのメンバーは、理事会からの7名の理事全員と地区連銀から5名の連銀総裁の12名によって本来は構成されるが、現在の理事会メンバーは、バーナンキFRB議長、イエレンFRB副議長、デュークFRB理事、ラスキンFRB理事、タルーロFRB理事と5名となり2人の理事が欠員状態となっている。そして、地区連銀からはニューヨーク連銀のダドリー総裁とともに、シカゴ連銀のエバンス総裁、フィラデルフィア連銀のプロッサー総裁、ダラス連銀のフィッシャー総裁、ミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁が投票権を持つ。

 FRB理事会のメンバーについては、最終的にはバーナンキ議長の政策を後押しする立場となっているとみられる。ただし、デュークFRB理事は過去に反対票を投じたことがある。また、ニューヨーク連銀のダドリー総裁やシカゴ連銀のエバンス総裁も議長を支持しているようである。それに対し、3人の地区連銀総裁はやや意見を異にするとみられていたが、現実に8月のFOMCでは反対票となって出てきたことになる。

 今回のジャクソンホールでも、この反対派の地区連銀総裁などとバーナンキ議長が接触を持ったのかどうかは憶測の域を出ないものの、その可能性は十分にありうる。たとえば、今回のジャクソンホールで、バーナンキ議長は9月のFOMCの日程を、十分な議論が出来るよう1日ではなく、20日及び21日の2日間のスケジュールとすることを示した。この十分な議論をする相手が、主に反対票を投じた3人の総裁であろうことは容易に想像がつく。そして、追加緩和策についてメンバー全体の意見のすり合わせの時間が必要とされたのではなかろうか。

 バーナンキ議長は8月のFOMCで示したものについて、あくまで経済物価情勢が低レベルで推移する限りの予測として示したことをあらためて説明している。2013年の半ばまで実質的なゼロ金利政策を続けるというのは、コミットメントではなく予測である。しかし、市場ではこれを時間軸の明確化や強化と取り、議長もその市場による判断を意識して打ち出したものであろう。今回の時間軸は約束ではなく、経済物価の動向次第ではその予測を取り下げることが容易なものであるが、それでも3人の地区連銀総裁が反対したという事実はかなり重いものである。

 8月のFOMCでFRBは量から再び金利に視点を移している。これはQE2の反省に基づいたものであることも想像され、追加の国債購入といったQE3の可能性についてはよほどのことがない限り実現性は薄いのではなかろうか。このため、市場に期待感を残した次の一手も、金利、特に時間軸効果を意識したものになる可能性がある。市場ではFRBが保有する国債の残存年数の長期化なども予想されているが、そのあたりに落ち着くのではなかろうか。ただし、それについても3人の地区連銀総裁は反対票を投じてくる可能性はありうる。2日間に延長した9月のFOMCで、どのような議論が交わされるのか興味深い。


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by nihonkokusai | 2011-08-30 10:02 | 日銀 | Comments(0)

民主党代表選の結果に見る、財政再建路線を継続せざるを得ない日本

 本日29日に行なわれた民主党の代表選挙は、決選投票の結果、野田財務相が215票、海江田経済産業相が177票となり、野田財務相が民主党代表に選出された。新代表は明日30日に衆院本会議で第95代、62人目の首相に任命される。

 野田財務相は早くから代表選出馬の意向を示し、有力候補とみられていた。しかし、その代表選には野田氏を支援するとみられていた前原氏が出馬を表明し、小沢グループの支持を受けた海江田氏も立候補、さらに鹿野氏、馬渕氏も立候補したことで、むしろ野田氏は不利との見方が強まっていた。

 5人の候補者の中で野田氏は唯一の財政再建論者であった。債券市場参加者にとり、野田氏以外の候補者がもし代表に選出されると大きなリスク要因になるため、かなり神経質になっていた。前原氏は国債の日銀引き受けを論じるし、海江田氏も無利子国債発行を唱えるとともに日銀法改正などを検討していいのではと指摘していた。民主党内にはデフレ脱却議連なるものも存在するが、党内にいわゆるリフレ派といわれる人達も多い。また、小沢元代表も民主党のマニフェストを重視するなど、財政再建と距離を置いていた。

 このような状況下、野田氏までもが復興増税についてその時期を明確にせず、さらに円高とデフレ脱却について言及せざるを得ないような状況にあった。こうなると、むしろ日銀による国債引き受けを主張する人が首相になってもらい、それを実行することで日本国債への信任低下と、国債価格そのものの急落を招くことで、国民も目が覚めるのではないかと危険な発想をせざるを得なかった。しかし、さすがに民主党は最終的には財政再建路線を選択せざるを得ないことを理解していたものと、今回の結果を見てそう受け止めたい。

 とにかくも最初の投票で不利とみられた野田氏が100票以上獲得したことで、流れがほぼ決まった。野田陣営だけではとても届かない数であり、グループ以外からの票が数多く入っていたとみられる。小沢氏のグループは最大ではあるものの鳩山氏のグループとあわせても過半数には届かない。この結果、決戦投票が反小沢派と小沢派の対決となれば、反小沢派が数の上でも有利となることが予想されていたためである。

 英国もユーロ圏の国々も、さらに米国も財政再建路線を進めているにも関わらず、日本は財政再建の姿勢は示すが増税等はずっと手付かずとなっている。今回はその財政再建路線すら危ぶまれるリスクがあったが、それは回避されることになりそうである。むろん、今度の財務相人事も注目されるが、野田氏がその後任に選ぶのは財政再建派であろうと推測されることで、問題はないと思われる。

 何ゆえ日本も財政再建を進めねばならないのか。それはいままでの日本の歩みを見れば明らかである。ずっと付けで物を買っていながら、その付けを払おうとせず、さらに付け、つまり借金を増やして、デフレ脱却を進めるべきと考えている人達がいる。この人達は借金の重さが先行きを不安にしていることに気が付いていないのであろうか。金さえバラ撒けば景気が良くなるというのであるのならならば、政治家はいらない。日銀が国債を引受けたり、インフレターゲットを行なえば景気がよくなるというのも、政治家や学者にとりまったくの責任転嫁でしかない。日銀は決して打ちでの小槌などではない。物事はそんな単純なものでないことは、失われた20年の日本、そしてその日本化に陥りつつある米国などの動向を見ても明らかである。

 野田氏以外の候補であれば、そのことを身をもって知ることになったかもしれないが、野田氏の勝利で残念ながらそうはいかずに、日本国債への信任は引き続き維持されよう。ただし、本格的に民主党政権で財政再建を行なえるのかは正直に言えば疑問符である。ここは新首相による強力なリーダーシップを望みたいところでもある。


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by nihonkokusai | 2011-08-29 16:37 | 国債 | Comments(0)

身動きの取りづらい日銀とFRB

 8月26日に発表された7月の全国消費者物価指数は、生鮮食料品を除くコア指数で前年同月比プラス0.1%となった。この7月発表分から基準年が2010年に変わったが、すでに6月の指数でコアCPIは、旧基準がプラス0.4%、新基準でマイナス0.2%と発表されていた。新基準の下では、今回2008年12月以来2年7か月ぶりのプラスとなった。

 日銀は2010年10月5日に包括的な金融緩和策を実施することを決定したが、その中で「中期的な物価安定の理解」に基づき、物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで、実質ゼロ金利政策を継続していくとし、時間軸を明確化した。中長期的にみて物価が安定していると理解する物価上昇率の中心は1%程度となっているため、ゼロ金利解除のハードルは前回の量的緩和解除の際よりもさらに高く引き上げられている。

 今回の基準年の変更による下方修正も加わり、今回はかろうじて前年比プラスとはなったものの、1%に届くにはかなりの長期間も必要になるとみられ、その間、日銀の実質的なゼロ金利政策が続けられる見込みとなっている。

 そして米国では、FRBが8月9日のFOMCにおいて、現在の経済情勢が続く限りは少なくとも2013年半ばまで、政策金利であるFF金利を異例な低水準を継続する可能性があることを示した。

 これについては、CPIなどの経済指標で金融政策運営の縛りをつけていわけではなく、あくまで経済の予測を示し、異例な低水準が長期間にわたり継続されることをFRBが予測したものであるため、日銀の時間軸政策とは異なるものではある。しかし、結果として市場参加者が長期にわたる超低金利政策の継続の予想を促し、より長い金利の低下に働きかけていることは確かと思われる。

 日銀は包括緩和政策を決定したあと、2011年3月に震災の影響を鑑みて追加緩和を決定し、資産買い入れ基金を総額5兆円から10兆円に拡充した。さらに8月には、円高対策の一環として資産の買入れを10兆円から15兆円に、固定金利オペを5兆円から10兆円に拡大した。

 すでに実質的なゼロ金利政策を行なっている日銀にとり、追加緩和については基金の拡大などで対処せざるを得ない。現在の金融政策については、アナウンスメント効果が意識されているため、その意味では多少の効果はあるかもしれないが、実質的な効果は限られる。もしも、積極的にデフレ解消を金融政策で行なうとなれば、円や日本国債の信任を毀損するような手段をとらざるを得ないのが現状であろう。

 そして、FRBも積極的に動きづらくなっている。FRBのバーナンキ議長は26日、ワイオミング州ジャクソンホールで行われた講演で、追加緩和については9月のFOMCで検討することを明らかにし、日程も当初の1日から2日間に延長することも示唆した。

 昨年8月のジャクソンホールの講演でバーナンキ議長はQE2実施の意向を明らかにしていたことで、今年の同講演でのQE3への期待感もあったが、米国では物価が上昇するなど一時懸念されていたデフレ懸念は後退しており、FRB内部でもQE2の効果そのものに対し批判的な見方もあるなど、FRBが新たに国債を買い入れるといった政策はかなり困難であるのが実情である。ただし、市場ではFRBによる追加緩和への期待感も強いことも配慮し、バーナンキ議長は追加緩和を検討する可能性を残した。

 金融政策は決して特効薬にはならず、あくまで景気や物価に対して過熱感を抑えたり、冷え込みを防止するためのものである。本来ならば景気対策には財政政策が有効となるが、日米共に財政が積極的に動ける状況になく、どうしても金融政策に比重が掛かってしまう。しかし、その金融政策にも手詰まり感が出ている。

 それならば、世界的に信用不安が渦巻き、景気への影響が懸念されている中、何を行なうべきなのか。日米の中央銀行にとり、当面は粘り強く現在の超低金利政策を押しすすめることしかないのではなかろうか。さらに政府は民間企業の活力をそがずに後押しするような政策を行い、また国民による漠然とした将来への不安心理を沈めることも重要となろう。そのために特に日本では信用に値する政権作りも求められよう。


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by nihonkokusai | 2011-08-27 09:19 | 日銀 | Comments(0)

ムーディーズによる日本国債格付けの変遷

 知り合いのクレジットアナリストの方のレポートによると、日本国債に対する海外の格付会社による評価は、古くは1930年代に始まるとされるそうである。第二次世界大戦後においては、日本政府が1959年に発行した米ドル建て国債に、S&PがB1+格(現在とは、格付けのスケール・符号が異なる)及びフィッチがBBB格を付与したものが、確認される最初とされる。

 そして、S&Pの格付けがAAA格となったのは1975年2月であり、ムーディーズは1981年に日本政府の格付けをAaa格とした。

 その後、長らく日本国債は最上級の格付けいわゆるAaa(トリプルA)を保持してきたわけであるが、1998年11月17日にムーディーズは、日本政府が発行もしくは保証する円建て債券の格付け、及び日本国の外貨建て債務及び預貯金に対するカントリーシーリングを、それぞれAaaからAa1に引き下げた。格付け見通しは引き続きネガティブとした。この格下げの大きな理由が公的部門の債務膨張であった。ちなみに日本の10年債利回りは0.9%近辺にあった。また、参考までに1998年度末の公債残高は295兆円であった。

 これ以降、主にムーディーズを中心に日本国債の格付けの変遷について見てゆきたい。まず、2000年9月8日にムーディーズは、円建て国債の格付けをAa1からAa2に引き下げた。GDP比でみた債務残高が高水準であることを背景としている。10年債利回りは1.8%台、2000年度末の公債残高は368兆円であった。

 2001年12月4日にムーディーズは、日本政府が発行もしくは保証する国内債券の格付けをAa2からAa3に引き下げた。見通しはネガティブに据え置かれた。このときの10年債利回りは1.4%近辺、2001年度末の公債残高は392兆円であった。

 2002年5月31日にムーディーズは日本政府が発行もしくは保証する国内債券の格付けをAa3からA2に2段階引き下げた。見通しは安定的に変更された。これによりイスラエルやボツワナと同じ格付けとなったことが話題となった。このときの10年債利回りは1.4%近辺、2002年度末の公債残高は421兆円であった。ムーディーズの格下げの前に4月にS&Pが日本国債の格付けをAAからAA-に格下げしていたが、財務省は5月に欧米の格付け会社3社に対して、日本国債の格付けに関する意見書を送付している。

 2007年の4月にS&Pが日本の長期ソブリン格付けと長期優先債券格付けをAA-からAAへ1ノッチ引き上げたことに続き、10月11日にはムーディーズが、日本政府の円建て国内債券の格付けをA2からA1に引き上げた。この理由としては、福田新政権下で財政方針が継続されるとの期待を反映したものと説明された。このときの10年債利回りは1.7%台、2007年度末の公債残高は541兆円であった。

 そして、2008年6月30日にムーディーズは日本政府の円建て国内債券の格付をA1からAa3に引き上げた。格上げの理由としてムーディーズは、継続的な財政引き締めや再建への取り組みへの期待をあげていた。このときの10年債利回りは1.6%近辺、そして2008年度末の公債残高は546兆円であった。

 2009年5月18日にムーディーズは日本政府の自国通貨建て債務格付けをAa3から引き上げる一方、外貨建て債務格付けをAaaから引き下げ、両者をAa2に統一すると発表した。政府債務格付けの見通しは安定的とした。この自国通貨建て債務格付けの格上げ理由についてムーディーズは、家計の貯蓄率が高く、国債の買い手が多いこと。金融危機による金融機関の損失が欧米に比べ小さく、財政への影響が限られること。2007年から08年の大量償還を順調に乗り越えるなど、国債管理政策が適正に実行されていることなどを挙げていた。このときの10年債利回りは1.4%近辺、そして2009年度末の公債残高は594兆円であった。

 そして、2011年8月24日にムーディーズは、日本政府の自国通貨建て・外貨建て債務格付けをAa2からAa3に一段階引き下げ、見通しは安定的に変更したのである。このときの10年債利回りは1.0%近辺、そして2011年度末の公債残高(見込み)は668兆円である。


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by nihonkokusai | 2011-08-26 08:21 | 国債 | Comments(0)

ムーディーズの格下げによる日本国債格への影響

 8月24日の8時頃に、米国の大手民間格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、日本政府の自国通貨建て・外貨建て債務格付けをAa2からAa3に一段階引き下げたと発表した。見通しは安定的に変更した。

 ムーディーズは今年の5月31日に、日本政府の自国通貨建てと外貨建ての債務格付「Aa2」を引き下げ方向で見直しの対象にしており、向こう3か月程度をメドに、格下げするかどうか判断するとしていた。

 このときの見直しの背景として、東日本大震災に関連する経済・財政コストが当初の予想をはるかに上回る規模となり、世界的な金融危機が財政と経済に与えたマイナス影響が、より拡大しつつあること。そして、今後も適切な時間軸で財政赤字削減を達成できないのではないかとの懸念。さらに、人口動態上の圧力の高まりや、危機後の不安定かつ不確実なグローバル経済環境において生じ得る新たなショックに対し、長期的財政再建戦略がぜい弱の3点を挙げていた。

 見直しの際から格下げの前提となる背景に変化はなかったことで、ムーディーズは3か月という期限ぎりぎりのところで、格下げを発表したことになる。個人的には民主党代表選の結果をある程度確認してから格下げ発表かと考えていたが、それを待たずに格下げ発表に踏み切ったようである。

 このムーディーズの日本国債の格下げによる債券市場への影響は、これまで通り、ほとんどなかったといえる。市場でこの格下げはかなり事前に予想されていたことに加え、二段階の格下げも警戒する声があったものの、それが一段階に止まった上に、見通しが安定的に変更されたことをむしろ好感する声も上がっていた。

 今回の日本国債の格下げについてムーディーズは、過去5年にわたり首相が頻繁に交代したことが、長期的経済・財政戦略を効果的で一貫した政策として実行に移すうえでの妨げとなってきたこと、地震と津波、その後の福島原発の事故が2009年の世界的景気後退からの回復を遅らせ、デフレを悪化させ、経済成長見通しの弱さが、赤字削減目標の達成と「社会保障と税の一体改革成案」の実施を一層困難にしていることを理由にあげている。

 その首相が頻繁に代わっている最中の2008年6月に、ムーディーズは自国通貨建ての債務格付けをA1からAa3に引き上げ、2009年5月には同格付けをAa3からAa2に引き上げていたのはどうしてであろうか。

 2009年5月の際は自国通貨建て債務格付けをAa3からAa2に引き上げと同時に、日本の外貨建て債務格付けをAaaからAa2に引き下げたことで債務格付けをAa2に統一したためと理由付けられていた。しかし、結果としてはこの際に自国通貨建ての格付けは引き上げられたことは確かである。参考までに現在、外貨建ての日本国債は発行されていないが、外貨建ての日本政府保証債は存在している。

 もし、ムーディーズが1998年の日本国債の引き下げ後、格下げを継続して行なっていたのならば一貫性はあるとみなされようが、途中でこのように引き上げに転じ、その後また引き下げを行なうなど一貫性はみられない。この間、日本政府の債務残高は減ることなく増加し続けているにもかかわらずである。

 そして、今回ムーディーズは見通しを安定的に変更した理由として、弱まりをみせない日本の投資家の国内投資志向と国債選好を背景に、政府は財政赤字を補填する資金を世界で最低水準の名目金利で調達できることを根拠とした。

 これは日本国内の格付け会社が最上位にある日本国債の格付けを維持している大きな理由であると思われる。また、海外格付け会社が日本国債をいくら格下げしても日本国債が売られない理由でもある。

 格付けはあくまで信用度を測る上での、ひとつの民間会社の見方に過ぎない。その信用が揺ぎ無いものであるのならば、S&Pによる米国債の格下げや、今回のムーディーズによる日本国債の格下げに該当国の国債市場が影響を受けることない。しかし、その信用力に対して疑問符がつくとギリシャなどのように格下げが債券価格急落のきっかけともなりうる。その意味でも、今後も日本国債の市場からの信用を維持させることが重要である。


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by nihonkokusai | 2011-08-25 08:34 | 国債 | Comments(0)

民主党代表選による日本国債への悪影響

 民主党の代表選挙は27日に告示、29日午前の両院議員総会で投開票することが内定し、その結果、30日に菅内閣は総辞職し新首相が誕生する見込みである。

 この代表選には野田財務相、そして前原前外務相が出馬する意向と伝えられている。また、海江田経済産業相も出馬への意欲を表明し、さらに馬淵澄夫前国土交通相、樽床伸二元国対委員長、小沢鋭仁元環境相、鹿野道彦農相なども意欲を示している。

 市場関係者は野田氏が最も次期首相にふさわしいとの認識が、アンケート調査などからも示されているものの、その野田氏は18日の千葉市での講演で、震災復興財源となる臨時増税の実施時期について柔軟に対応する意向を示すなど、増税反対派に配慮するような姿勢を示した。

 財政規律派の野田氏が首相となれば、債券市場には波風は立たないと思うものの、その野田氏がなったとしても財政再建の動きが後退する可能性が出てきた。

 出馬に意欲を示す候補者のよる国債に関する発言を確認してみると、6月に前原誠司前外相から、どういう形であれ国債の引き受けを行うようなことをもう少しやってもいいのではないかと、インタビューで語っていた。

 7月には馬淵澄夫前首相補佐官が通信社とのインタビューで、復興財源として発行する国債を日銀が引き受け、量的緩和策を導入すべきとの考えを示した。

 海江田経済産業相は22日のニッポン放送の番組で、復興債の発行にあたり、利子が付かない代わりに相続税を軽減する無利子国債を検討する考えを示した。海江田氏は以前より無利子国債発行を唱えるとともに、日銀法改正などを検討していいのではと指摘している。

 小沢鋭仁氏はデフレ脱却議連特別顧問だそうで、日銀による国債引受を支持しているいわゆるリフレ派と呼ばれる一人である。

 樽床伸二氏も21日の茅ヶ崎市でのあいさつでインフレターゲット政策の導入を検討すべきだとの考えを示すなど、海江田などの意見に近いようである。

 最終的には代表選の立候補者はある程度絞られると思うが、野田氏と前原氏、海江田氏あたりを軸に選挙戦を戦うことになると予想される。小沢グループの動向などによっては、財政規律派ではない人物が首相になる可能性が出てきた。

 その際には債券市場に多少なり動揺が走る可能性がある。むろん立場が変われば、日銀による国債引き受けや日銀法改正などが非常にリスクをともなうことも理解されると思うが、その確証はない。少なくとも財政再建にブレーキが掛かることは間違いなさそうである。

 本日、ムーディーズが日本国債をAa2からAa3に引き下げ、見通しは安定的に変更したが、それによる債券市場への影響はこれまでの格下げ時のように、限定的と思われる。ただし、今後は日本国内の大手格付会社が日本国債の格付けを引き下げる可能性もあるため注意も必要になる。

 以前、このコラムでもしもリフレ派が首相になれば、あらためて財政再建の是非が国民の間で問われることになり、むしろねじれた政治がいっきに解消される可能性もないとは言えないと書いたが、それはそれでリスクもたいへん大きなものとなりかねない。

 何かのきっかけで日本国債の信用が疑問視されるようなことになれば、ギリシャのみならずスペイン、イタリアの国債動向を見てもわかるとおり、取り返しの付かない事態に発生しかねない。ファンダメンタルズよりも日本国債へのクレディビリティーに疑問符がついて、それにより国債利回りがイタリアのように6%台を超えるようなことになれば、日本の巨額の債務残高を考えれば、かなり危機的な状況に陥りかねないことは明白である。

 信用は移ろいやすい。しかも市場で不安心理が増大すれば何が起きるかは、現在の金融市場とそれに影響を受けた各国政府の状況を見てもあきらかである。日本発の信用不安は絶対ないとは言い切れないため、起こしてはならないことを候補者も肝に銘ずるべきである。


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by nihonkokusai | 2011-08-24 08:51 | 国債 | Comments(1)

今後の債券相場を見る上での注意点

 ここにきて世界的なリスク回避の動きが強まり、安全資産として米国債や英国債、そしてドイツ連邦債が買い進まれ、日本国債も直近の高値を試す展開となった。この背景としては、ユーロ圏の経済成長の鈍化や、米国景気のソフトパッチへの懸念などがある。

 このため18日にはドイツ連邦債が2.03%近辺、英国債も2.23%近辺と過去最低水準まで低下し、米10年債利回りも一時、1.976%と記録的な低水準にまで低下した。イタリアやスペインの10年債利回りは、5%近辺で落ち着いていたことで、欧州諸国の債務不安が新たに再燃したような動きでもなかったものの、今度は欧州の金融機関に対しての懸念も強まりつつある。

 米国債高や株安などから、日本国債も買われ、10年債利回りは1%を割り込んだ。しかし、利回りの低下ピッチは鈍かったといえる。円高などから介入観測とともに日銀の追加緩和期待も出ているが、すでにかなり低位にある日本国債の利回りは低下余地が限られている。10年債利回りが2006年3月につけた0.43%という最低水準まで低下するような気配はいまのところない。

 これまでの日本の10年債利回りの推移を見てみると、1990年に8%台にあったものが、その後、ほぼ一本調子で低下し、1998年に1%を割り込んだ。その後は1%台を中心にしたレンジ相場が続いている。それに対して、英独米の10年債利回りは1990年から1998年にかけての日本のように低下の途中であるとも言えそうである。

 ただし、2%というのは日本の10年債利回りも節目とされている水準であることから、日本の過去の10年債利回りの推移を見る限り、2%水準からの低下ピッチは鈍るのではないかと予想される。

 今週は23日に流動性供給入札、25日に20年国債入札が予定されているが、相場の地合は悪くないものの、高値警戒などが出てくると投資家の購入意欲が鈍る懸念もあるため、この入札の動向についても注意が必要となる。

 また、26日のジャクソンホールでのバーナンキFRB議長の講演も注目されている。ワイオミング州にあるジャクソンホールで、25日から27日の予定でカンザスシティー連銀が主催する経済シンポジウムが開催される。昨年のこの講演でバーナンキ議長はQE2について言及していたことから、今回も追加緩和策に言及するのではとの期待が高まっている。ただし、QE3まで踏み込むとの見方は少なくなってきている。

 そして、民主党の代表選挙の行方も気掛かり材料となりうる。財政再建を進めようとしている野田佳彦財務相が代表となれば、債券市場は好感しよう。しかし、民主党代表選に出ないと思われていた前原前外務相が立候補に前向きな考えを示しており、代表選の行方が混沌としてきた。

 この代表選の結果などを見た上での格付け会社の動きにも注意したい。特にムーディーズ・インベスターズ・サービスによる日本国債の格下げの可能性もありうる。ただし、格付投資情報センター(R&I)による日本国債の格下げについては、当面は回避されるのではないかとみている。


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by nihonkokusai | 2011-08-23 10:48 | 債券市場 | Comments(0)

ソブリン格付けの意味

 米国の大手民間の格付会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、8月6日に米国の長期格付けを最上位のAAAからAA+に1段階引き下げた。これに対しフィッチ・レーティングスは米国の長期信用格付けはAAAを維持し、アウトルック(見通し)を安定的とし、ムーディーズ・インベスターズ・サービスも米国格付けは最上位に据え置くと発表していたことで、今回はS&Pだけが格下げに動いた格好となった。

 S&Pの格下げによる米国債への影響は限られ、むしろ米国債は質への逃避の動きから買い進まれた。これは、民間格付会社が格付けを1ノッチ引き下げたからといって、投資家が保有する大量の米国債をいきなり売却することは考えづらく、金融市場における信用度、そして流動性などを見ても、ほかに代替資産が見当たらないためである。 ただし、米国の格付会社が自国の国債の格付けを引き下げということは、ある意味、ショッキングな出来事でもあり、マスコミでも大きく取り上げられた。

 そして、今度は日本国内の大手格付会社が日本国債の格付けを引き下げる可能性が出てきた。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、格付投資情報センター(R&I)のアナリストは、来年度の予算に想定以上の緊縮財政措置が盛り込まれない限り、年内にも日本国債の格付けを引き下げる可能性が高いと警告した。

 日本国内の代表的な格付け会社に格付投資情報センター(R&I)と日本格付研究所(JCR)がある。このうちR&Iは2001年3月から日本国債格付けの見通しをネガティブとしていたが、格下げそのものは見送ってきていた。

 ムーディーズやS&Pが日本国債の格下げを行なっても、ほとんど市場が動揺しなかったのは、国内格付会社が格下げをしてこなかったこともひとつの要因である。このため、もしR&Iが日本国債の格下げを行なうとすれば、国債を保有する投資家に動揺が走る可能性はある。

 格付会社が国に付した格付けをソブリン格付けというが、その誕生は1920年代と格付けの歴史の中でもかなり古くからある。そして、日本国債に対する海外の格付会社による評価は、古くは1930年代に始まるとされている。

 1998年11月にムーディーズ・インベスターズが日本国債を最上級のAaa格からAa1格に引き下げたことが大きな話題を呼んだが、その後、ムーディーズはA2格まで、S&PはAA-格までの引き下げを行った。

 この背景には、日本政府の財政赤字が大幅に拡大したことがあるが、日本の大手格付会社であるR&I(格付投資情報センター)及びJCR(日本格付研究所)の2社は、日本の格付けをAAA格から引下げこなかった。

 債務の拡大は続いていても自国の国債の格下げをしてこなかった米国と日本の格付け会社であるが、米国ではS&Pが米国債を格下げし、今度は日本の格付会社のR&Iが日本国債を格下げするとなれば、債券市場そのものへのインパクトは限定的であったとしても、ソブリン格付けのあり方があらためて問われることにもなりそうである。


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by nihonkokusai | 2011-08-22 08:22 | 国債 | Comments(0)

独英米の長期金利は過去最低水準に低下

 世界的な質への逃避の動きはさらに加速したことにより、ドイツ連邦債が2.03%近辺、英国債も2.23%近辺まで低下し過去最低を更新、米10年債利回りも一時1.976%まで低下した。米国の長期金利の史上最低は1940年台につけての1.6%台との見方もあるため、史上最低ではないようだが、記録的な低水準をつけたことは確かなようである。

 不安心理がいろいろなきっかけに高まったことで、リスク回避の動きが強まったことによるものと思われる。独英米の長期金利は低下基調が続いており、何かのきっかけでその動きが加速されやすい状況となっている。ちなみに、イタリアやスペインの10年債利回りも、5%近辺で落ち着いていたことで、欧州諸国の債務不安が新たに再燃したような動きでもなかった。もちろん、イタリアやスペインの国債はECBが購入していることで、買い支えられている面もある。

 16日にドイツとフランスのトップがパリで首脳会談を開いたが、一部期待されていたユーロ共同債の導入や4400億ユーロ規模の救済基金の拡大は否定され、欧州全域での金融取引税導入を再提案することが明らかにされた。定期的に協議する新たな枠組みを設け、財政規律の厳格化を一段と推し進めていくことで一致したものの、この首脳会談で具体的な措置が打ち出されなかった。

 このように政府が欧州の債務不安や景気対策に対して積極的に乗り出せないことも、市場は不安視している部分もある。米国債が格下げされたことで、米国はさらに財政健全化を意識せざるを得ない面もあり、それによる景気への影響も危惧されている。

 英国債、ドイツ連邦債、そして米国債の10年債利回りは記録的な水準に低下したにも関わらず、日本の長期金利は1%は割り込むものの、その低下のピッチは鈍い。2006年3月につけた0.43%という最低水準まで低下するような気配はいまのところない。

 日本の長期金利の推移を見てみると、1990年に8%台にあったものが、その後、ほぼ一本調子で低下し、1998年に1%を割り込んだ。その後は1%台を中心にした推移が続いている。それに対して、英独米の長期金利は1990年から1998年にかけての日本の長期金利のように低下の途中であるとも言えそうである。

 ただし、2%というのは日本の長期金利も節目とされている水準であることから、日本の過去の長期金利の推移を見る限り、2%水準からの低下ピッチは鈍るのではないかと思われる。

 いずれ英独米の長期金利は日本の長期金利のように1%台を中心に安定してくる可能性がある。いろいろなところで日本化が指摘されているが、どうやら長期金利についても、今後は日本化が進む可能性がありそうである。


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by nihonkokusai | 2011-08-20 12:22 | 国債 | Comments(0)
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