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日本ではティー・パーティーは開かれないのか

 米連邦債務の法定上限引き上げをめぐる協議が難航している要因として、ティー・パーティーの存在があげられている。

 ベイナー下院議長が出した案に対して、下院共和党保守派のリーダーのジム・ジョーダン議員が、党内の十分な支持が集まらず成立は困難との見方を明らかにした。このジョーダン議員は下院共和党議員240名のうち178人が所属するというグループのリーダーであり、このグループには昨年秋の中間選挙に旋風を巻き起こしたティー・パーティ(茶会)の支援で当選した90人近い新人の多くが参加している。つまり、このティー・パーティの圧力が、共和党での不協和音を作り出しているといえる。

 この茶会運動は政治とは関係ないところが発端となった。昨年2月に米CNBCのリポーター、リック・サンテリ氏が、シカゴ・マーカンタイル取引所のフロアからの実況中継中に、「オバマ政権が住宅ローンの救済までするのは間違っている。政府に反対する現代版ティー・パーティを開こうじゃないか」と発言したことに共感が集まり、それがひとつの政治運動化していったのである。

 ティー・パーティは茶会党とも訳されるが、もちろん党ではない。あくまで小さな政府を志向し、増税に反対を主張する人たちの集まりといえる。しかし、それが昨年秋の中間選挙に大きな影響を与え、ティー・パーティの支援を受けた議員が大量に出現したことで、米国の政治そのものにも影響を与え、今回の債務上限の引き上げ問題に対してもその影響が及んでいる。

 もともとのティー・パーティとは、米国の独立戦争につながった「ボストン茶会事件」に由来するものである。ボストン茶会事件とは、米国が植民地だった1773年に、英国による広範囲に及ぶ課税に強く反発していたボストン市民が、港に停泊中のイギリス船に侵入し、イギリス東インド会社の船荷の紅茶箱をボストン湾に投棄した事件であり、アメリカ独立革命の象徴的事件の一つである。

 新たなティー・パーティは、サンテリ氏の発言を聞いて、オバマ政権の景気刺激策や医療保険制度改革に不満を持つ保守系市民が茶会党を企画したもので、ウェブサイトやインターネットやソーシャルネットワーキング・ツールを活用し、瞬く間に全米各地に広がった。昨年の中間選挙では、茶会党の支持を受けた共和党候補が次々に当選を決め、米国の共和党内における中心的勢力となりつつある。

 インターネットやソーシャルネットワーキング・ツールを活用した市民運動は米国ばかりでなく、チュニジアで起こったジャスミン革命なども同様である。しかし、インターネットが発達している日本では、このような動きは表立っては見えてこない。

 しかし、現在の政権に対する不満はかなり高まっていることも確かであり、福島原発事故により市民の不安は増加していよう。また、政府債務は増え続けており、それに対して問題解決の糸口すら見出せていない。

 これはきっかけ次第では、日本でも米国のティー・パーティのような動きが出てくる可能性もありうる。いや、むしろそういった動きも必要なのではなかろうか。このままでは日本の将来に対する不安は募るばかりであり、現在の政治のシステムでは問題解決はできないとなれば、あらたなムーブメントが必要なのではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2011-07-31 09:58 | 国債 | Comments(0)

米債務問題におけるティー・パーティの影響

 米連邦債務の法定上限引き上げをめぐる協議は、いまだに決着をみせず、8月2日の期限が迫りつつある。共和党のベイナー下院議長は財政赤字削減案の改訂版を提示した。

 当初のベイナー案は政府歳出を向こう10年間で最低3兆ドル削る一方、債務上限を最大1兆ドルと1.6兆ドルの2段階で引き上げる内容となっていた。今度の改訂版では、当初の債務上限引き上げ幅を9000億ドルと当初案の1兆ドルから縮小し、向こう10年の歳出削減規模は9170億ドルと当初案の1.2兆ドルから縮小させた。改訂版ではその後さらに1.8兆ドルの歳出削減を検討するとしている。

 一方、民主党のリード上院院内総務の案は、上限引き上げ額を一気に2.7兆ドル引き上げ2012年末までそれ以上の引き上げの必要をなくす代わりに、ほぼ同額の歳出削減を断行するというものであるが、この案についても修正が加えられているようである。

 ベイナー下院議長の当初案に対しては、下院共和党保守派のリーダーのジム・ジョーダン議員が、党内の十分な支持が集まらず成立は困難との見方を明らかにしている。ベイナー下院議長の提案は27日に採決の予定だったが、民主党の反対に加え、ティー・パーティなど身内の抵抗も強いことで28日に延期され、その28日の採決も当初予定していた時間から延期されたようである。

 ジョーダン議員は下院共和党議員240名のうち178人が所属するというグループのリーダーであり、このグループには昨年秋の中間選挙に旋風を巻き起こしたティー・パーティ(茶会)の支援で当選した90人近い新人の多くが参加している。つまり、このティー・パーティの圧力が、党内での不協和音を作り出しているといえる。

 この茶会運動は政治とは関係ないところが発端となった。昨年2月に米CNBCのリポーター、リック・サンテリ氏が、シカゴ・マーカンタイル取引所のフロアからの実況中継中に、「オバマ政権が住宅ローンの救済までするのは間違っている。政府に反対する現代版ティー・パーティを開こうじゃないか」と発言したことに共感が集まり、それがひとつの政治運動化していった。

 ティー・パーティは茶会党とも訳されるが、もちろん党ではない。あくまで小さな政府を志向し、増税に反対を主張する人たちの集まりといえる。しかし、それが昨年秋の中間選挙に大きな影響を与え、ティー・パーティの支援を受けた議員が大量に出現したことで、米国の政治そのものにも影響を与え、今回の債務上限の引き上げ問題に対してもその影響が及んでいる。

 米財務省は8月2日までに債務上限を引き上げなければ以降の借り入れは不可能とし、すべての支払いを履行できるか保証できないと主張している。そうなれば米国債のデフォルト、格下げ、さらに政府の窓口封鎖といった可能性が出てくる。残された時間は少ないが、ティー・パーティの強硬姿勢も影響し、2日までにはなんとかなるとの楽観的な見通しそのものが後退してくる可能性もありうる。


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by nihonkokusai | 2011-07-29 08:30 | 国債 | Comments(0)

震災復興に関わる増税の必要性

 26日の閣議後の記者会見で、玄葉光一郎国家戦略担当相は、今後3年間の国の歳出・歳入の大枠を示す「中期財政フレーム」について、東日本大震災の復興対策に必要な歳出・歳入を「別枠化」した上で、数値目標を維持する考えを示した。

 昨年6月にまとめた2011~2013年度の中期財政フレームでは、「歳出の大枠71兆円以下、新規国債発行額44兆円以下」との枠組みを打ち出しており、2011年度の当初予算はこの枠内で編成された。震災復興に必要な歳出・歳入を別枠化することにより、来年度についてもこの数値目標を維持するようである。

 玄葉担当相は、復興経費については別途財源を確保し、多年度で収入と支出を完結させる仕組みを作り上げると説明した。

 歳出の大枠71兆円以下、新規国債発行額44兆円以下という数字そのものもかなり大きなものであるが、歳出や国債発行額を拡大させない姿勢がまず重要であろう。

 政府は東日本大震災からの復興に向け、今後5年間で総額19兆円の規模で復興対策を行うようである。政府はすでに財源が決まっている補正予算分を除いた13兆円のうち、3兆円程度を歳出削減などによって確保し、残りの10兆円余りについては復興債と呼ばれる赤字国債で調達するとしている。

 復興債の発行額は10.5兆円程度となるようで、このための償還財源として、臨時増税が10.3兆円程度、税外収入が0.2兆円程度としている。さらに今年度の基礎年金の国庫負担分(約2.5兆円)を臨時増税で補てんする場合は復興債・臨時増税の規模に2.5兆円が加算されることになる。また、これとは別にB型肝炎訴訟の和解金1.1兆円に充てる資金も必要となる。

 この臨時増税については、所得税、法人税を念頭に現行税額に一定割合を上乗せするという定率増税を実施するとしている。消費税については社会保障費の充当のための引き上げも予想されており、今後は基幹3税すべて増税される可能性が出てきた。

 ただし、法人税が引き上げられると、それでなくても電力不足や電力料金の引き上げにより産業の空洞化が懸念されている中、その動きを加速しかねない。

 景気に対してマイナス要因ともなりうる増税については民主党内でも反対の声が強い。ただし、それで復興債を日銀に引受けさせろとの議論はあまりにリスクが高い上に、日銀に引受けさせようが市中消化させようが、その償還財源は必要になるはずである。

 震災復興に関わる経費は当然ながら必要となり、その借金をどのように返済していくのか筋道を立てることは重要である。ある程度の増税については避けられないものの、それとともに産業の空洞化などにも配慮する必要もあろう。

 今後の政府債務全体のことを考えれば、先送りし続けた消費税増税も早期に実施する必要があろう。もちろん歳出削減努力も必要となる。

 欧米で財政問題が深刻化しているが、日本はそれ以上に債務悪化を深刻に受け止める必要がある。国債が安定消化されているために危機感は薄いようにも感じるが、いったん危機が認識されて国債価格に影響が及ぶと取り返しがつかなくなる。そのあたりのリスクを考えれば、国債の信用を今後も維持させるためにも、この増税については受け入れざるを得ないと思われる。


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by nihonkokusai | 2011-07-28 10:00 | 国債 | Comments(0)

震災復興の財源問題と日銀による国債引き受け

 政府は東日本大震災からの復興に向け、今後5年間で総額19兆円の規模で復興対策を行うようである。政府はすでに財源が決まっている補正予算分を除いた13兆円のうち、3兆円程度を歳出削減などによって確保し、残りの10兆円余りについては復興債と呼ばれる赤字国債で調達するとしている。

 この復興債の償還期限がひとつの焦点となり、25日に野田財務大臣や片山総務大臣、与謝野経済財政担当大臣ら関係閣僚が協議した結果、復興債の償還期限は「5年間を基本に、最長10年」とする方針を固めた。

その後の報道によると、復興債の発行額は10.5兆円規模となり、償還財源は臨時増税が10.3兆円程度、税外収入が0.2兆円程度となる。また、今年度の基礎年金の国庫負担分(約2.5兆円)を臨時増税で補てんする場合は復興債・臨時増税の規模に2.5兆円が加算されることになる。

 民主党内では増税が伴う財源の議論は景気に悪影響を及ぼすとして、否定的な意見も強く調整が難航することも予想されている。

 7月5日に民主党の馬淵澄夫前首相補佐官は通信社とのインタビューで、復興財源として発行する国債を日銀が引き受け、量的緩和策を導入すべきとの考えを示している。6月には、民主党の前原誠司前外相からもどういう形であれ国債の引き受けを行うようなことをもう少しやってもいいのではないかと、インタビューで語っていた。

 国債を市中消化しようが、日銀引受にしようが、それはいずれ償還されるものであり、そのための財源が必要になるはずである。日銀が引き受ければ、増税などによる国民負担は避けられる、というものではない。馬淵発言も前原発言も日銀によって引き受けられた国債はそのままロールオーバーし続けさせるという前提で話をしているのであろうか。

 日銀による国債引き受けについては、馬淵氏や前原氏のようにいまだにそれを主張する声も少なくない。このためか、日銀の白川総裁もあらためて7月26日の講演で、そのリスクについて解説しており、その部分を確認したい。

 「欧州でも、ソブリン・リスク問題が顕在化している諸国に限らず、多くの国で財政バランスが悪化しています。米国でも、政府債務の上限到達時期をギリギリに控え、緊迫した状況が続いています。こうした状況の下、今後、何らかのきっかけで世界的に国債金利が上昇し始め、とくに財政運営が脆弱な国に、大きな影響が及ぶ可能性があることは意識しておく必要があります。財政に関連しては、震災後、国債の日銀引き受けや、復興財源捻出のための日銀による国債の買いオペといった提案が聞かれることがありますが、中央銀行が財政ファイナンスを目的として金融政策を運営していると見なされると、長期金利は上昇し、日本経済に悪影響を与えます。」

「震災後、様々なリスクが「想定外」であったのかどうかを巡って活発な議論が行われていますが、中央銀行による国債の引き受けや実質的な引き受けによって起こる問題は、「想定外」の話ではなく、今の時点で十分認識できるリスクです。」

 7月26日の日本時間で10時から、オバマ米大統領がテレビで米国の債務上限の引き上げ問題について演説したが、8月2日の期限を控えて緊迫した状況は続いている。米国の債務問題はギリシャの債務問題などとは異なることで、これをきっかけにたとえば米国国債が急落するといったことは考えづらい。

 しかし、ギリシャのように何かをきっかけに信用不安が生じる可能性はある。「とくに財政運営が脆弱な国」、これは当然、日本も含まれるが、そういった国にとり、その可能性は高いはずである。

 中央銀行による国債の引き受けや実質的な引き受けによって何か起きるかは、かなり予想がつく。だからこそ市場ではそこまで踏み込むようなことはしないであろうとの安心感もあるが、その期待がもし裏切られるようなことになれば、大きなリスクを抱え込むことになりかねない。


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by nihonkokusai | 2011-07-27 08:59 | 国債 | Comments(0)

米国債のデフォルトの影響を考える

 オバマ米大統領と議会指導部は、8月2日が期限となる債務上限引き上げと財政赤字削減に関する協議で合意に至らず、米国債のデフォルトのリスクが高まってきた。まだ数日残されているため、ぎりぎりのところでデフォルトが回避される可能性はあるものの予断を許さない状況にある。

 仮に米国債がデフォルトしてしまうと、短期的ながらも世界の金融市場を揺るがす懸念はある。ただし、過去の相場の経験則からみると、事前に予測しうる事態が生じた際には、市場はある程度、心の準備も進んでおり、現実のショックはそれほど大きくはないことが多い。市場を大きく揺るがすようなショックが起きるのは、予想できなかった事態が発生した時である。

 しかも、今回もし米国債のデフォルトが発生したとしても、それはギリシャなどで懸念されているデフォルトとはまったく性質が異なるものである。米国の債務問題は、あくまで技術的なものであり、政治的な駆け引きに使われていることが明白で、米国債の信用力が低下し需給そのものへの懸念が出ているわけでも、米国債の利回りが急騰しているわけでもない。

 格付会社による格下げが、もし仮にあったとしてもこれも市場への影響は限定的なものとなると予想する。格下げ理由が明白であるだけに、米国債の格下げをもって米国債の信用が失われることは想像しづらい。確かに安全資産として世界各国が保有し、担保として活用されている米国債だけに、格下げによる技術的な影響は一部に出るかもしれない。しかし、デフォルトは起こったとしてもあくまで短期的なものと考えられることもあり、仮に格下げがあったとしても米国債ほど規模も大きな安全資産は他に見当たらないことも確かであり、たとえばドイツ連邦債で肩代わりできるものではないであろう。

 規模という面では米国債に引けを取らない日本国債があるが、それでなくても低利回りでもあり、海外投資家から敬遠されている(正確には国内投資家だけで間に合ってしまっている)日本国債を米国債の肩代わりに海外投資家が購入することは考えづらい。ただし、これをきっかけにわずか5%しかない日本国債の海外保有比率が少しでも高まれば良いことではあるが。

 このように、米国債のデフォルトが仮に発生してしまったとしても、それによる影響は限定的であると予想する。しかし、そうは言っても市場に余計な不安を与えるようなことは、やはりすべきではないであろう。国債を人質にとり、政争の具にすべきではない。これは何も米国に限ったことではない。いまだに赤字国債発行法案成立の兆しのみえない日本も同様であろう。


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by nihonkokusai | 2011-07-26 08:32 | 国債 | Comments(3)

債券と国債のしくみがわかる本

 今回は新刊の紹介をさせていただきます。7月21日に私の13冊目の本となる「債券と国債のしくみがわかる本」が技術評論社より発売されました。

 そういえば、昔、「日本国債は危なくない」という本を文春新書で出させていただいた際には、その発売日に初めて10年国債の未達というか札割れが発生しました。なんというタイミングとかなり驚いた記憶もあります。参考までに今回、7月21日に20年国債入札がありましたが、無難な結果となっております。

 この本の執筆のお話をいただいた際に、あくまで対象は債券のことをほとんど知らない方で、わかりやすさを重視してほしいと言うことでした。これまで債券や国債に関する本を何冊か書かせていただきましたが、それとは差別化するためにも、とにかくわかりやすさを重視し、わかりにくいことは何回も繰り返してもかまわないとの指摘を編集者の方からいただきました。

 書き上げた原稿に対して編集者から、分かりにくい点を指摘され、そこをさらに噛み砕くという作業も行いました。そうして出来上がったのが本書です。まず入り口から難いものとなっては、初心者は読みづらいということで、証券会社の債券部に勤務する熊課長、牛主任、そして新人の猫さんという人物を登場させ、この登場人物たちによる会話を通じて、債券に関するいろいろな疑問点を明らかにするという形式を取りました。牛さんと熊さんの会話でしたら、ある意味得意分野です。そこに新人の猫さんを絡ませることで、親しみやすさも意識しました。イラストの猫さん、なかなかチャーミングです。

 この本を読んでいただきたい方としては、投資や金融商品への知識を深めるために債券のことを知りたいと思っている方、そして金融関係で働きたいと考えている学生の方、また、債券に関わる業務に携わることになった方などを想定しています。もちろんまったく知識はないが、少し関心があるという方にも、ぜひ読んでいただきたいと思います。

 私のメルマガをご購読いただいている方の多くは、債券に直接・間接に関わっていらっしゃる方が多いと思います(実際にどなたにご購入いただいているかはまぐまぐさんでしか把握されていません)。このため、メルマガをとっていただいている方には、この本はあまり参考にはならないかもしれません。しかし、あらたに債券関連部署に来られた方などに、債券とはいかなるものなのかを知るには、この本がお役にたつのではないかと思います。

 ご存知のように債券には債券特有の考え方があり、専門用語も多いのが特徴です。そのあたりにも配慮し専門用語をなるべく控えるか、用語の解説を加えています。わかりにくいと言われる債券と金利との関係についてもやさしく解説しました。さらに世界有数となっている日本の債券市場のこと、その市場では誰が債券を売買しているのか、そして何故、債券の価格は動くのかといったことに関しても解説しています。

 このためこれを読むだけで基本的な債券の知識はある程度、身につくと思います。ただし、債券は奥が深いことも確かです。この本で解説しきれない部分も多く、それについては他の専門書に譲り、あくまでこの本で債券に多くの方に関心を持っていただくための入門書になってくれればと思って書きました。

 もしよろしければ、お近くの書店にて、「債券と国債のしくみがわかる本」を手にとっていただき、内容を確認して面白そうと思われましたら、ぜひお知り合いの方にもお勧めいただけるとうれしいです。


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by nihonkokusai | 2011-07-23 11:16 | 本の紹介 | Comments(0)

ソブリン問題の難しいところ

 7月20日の長野県の講演で、日銀の山口副総裁はソブリン問題について以下のように述べていた。

「ソブリン問題の難しいところは、一度問題が深刻化した国は、そこからなかなか抜け出せない、という点にあります。」

「財政緊縮は景気を落ち込ませ、税収がますます減少します。また、国債価格の下落などにより金融機関に多額の損失が発生すれば、実体経済にも悪影響が及びますし、金融機関の資本を財政資金で補強する必要が出てきます。」

「このように、財政の悪化、景気の落ち込み、金融システムの弱体化、という3つの要素の間には、相互に負の影響を及ぼし合う悪循環が働きやすく、そのことが問題の解決を遅らせます。」

「こうした問題の性格を踏まえますと、欧州のソブリン問題は、長期間にわたって、世界経済の波乱要因であり続ける可能性が高いと考えられます。 」

 20日にギリシャの2年国債の利回りが40%を越えた。ソブリン危機は山口副総裁の指摘するように、いったん始まってしまうと負の連鎖が生じ、底なし沼のような状態になり、問題解決を難しくさせる。特に今回のギリシャ・ショックはまだ進行中ではあるが、良い事例とも言えよう。

 政府の債務問題は慢性的な病気にも例えられるように、その危険性は感じながらも日常生活、政府で言えばその資金調達に支障がなければ、多少の節制など、生活改善は心がけるが、本格治療まで施すことはない。しかし、何がしかのきっかけにより、いきなり債務問題が深刻化することがある。

 政府に対する信用に懸念が生じることで、それは国債利回りの上昇を招くことになるが、その利回り上昇は格付会社の格下げなどにより加速しかねず、国債利回りの上昇が政府の資金調達をさらに困難にさせる。

 金利の上昇そのものが経済を悪化させるとともに、政府の資金調達に支障が出ることでデフォルトのリスクが高まれば緊縮財政とせざるを得なくなり、それも経済に悪影響を与える。

 また、国債を大量に保有する金融機関にも大きな影響を与える。急激な国債の利回り上昇は、裏をかえせば国債価格の急落を意味することで、保有する国債により巨額の損失を被りかねない。金融システムの弱体化がさらに経済に悪影響を与え兼ねない。

 このような負の連鎖が始まってしまうと、止めることは容易でないのは現在の欧州の状況を見れば明白である。米国でも債務問題が浮上しているが、いまのところそれはあくまで政治上の駆け引きに使われているもので技術的な問題にすぎない。しかし、それがデフォルトを引き起こし、米国債が格下げされ、あらためて米国の巨額債務に対しての懸念が生じれば、それをきっかけに負の連鎖が始まらないとも限らない。

 巨額債務を抱え、その債務が増え続けている日本でもいずれ何かしらのきっかけで、政府債務への懸念が表面化する恐れがある。これまでは政府債務が年々増加しようが、格付会社による格下げがあろうが、公債特例法案が成立しまいが、首相が毎年のように変わろうが、それはきっかけにはならなかった。それにより、日本はギリシャなどとは違う。いくら巨額債務を抱えようが、未来永劫、日本の債務問題により国債利回りが急騰することはない、と結論づけることができるであろうか。

 このようなきっかけは事前に予想されないかたちでやってくることが多い。ギリシャの債務問題もしかり。つまり、何がきっかけになるかを事前に予想することはできない。このため、そのきっかけを完全に摘むことは困難である。さらに、いったん負の連鎖が始まってしまうと、それを止めることは非常に難しくなる。このため、それを想定して事前に策を考えていても、現実には一時的な対処療法でしかなくなる。

 もし日本で債務問題が浮上しないようにするためには、健全な財政を目指すしかない。それができないのならば、いずれ深刻な状況に陥る危険性を秘めていると言えよう。


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by nihonkokusai | 2011-07-22 08:48 | 国債 | Comments(0)

債務問題は欧米で過敏な反応、それに対して鈍感な日本

 8月2日が期限となっている米国の債務上限引き上げ問題は、下院共和党が19日に歳出抑制に関する新たな法案を提出し、それがかなり強硬案であったことで、オバマ大統領は拒否権を発動すると発表するなど、与野党の妥協に向けて不透明感が強まった。

 その一方で、デフォルト回避の動きも本格化し、超党派議員6人が出した10年間で債務を約3.7兆ドル削減する計画に対し、オバマ大統領が「政権が取り組んでいるアプローチにおおむね一致している」と支持を表明し、警戒心が和らぐ面もあった。また、両党の議会首脳との協議がホワイトハウスで今週再開される可能性があるなどデフォルトが回避される可能性も出てきている。

 そして、欧州の債務危機問題はすでにギリシャだけでなく、ポルトガルからスペイン、そしてイタリアまで飛び火しており、金融市場に大きな影響を与えている。

 21日に欧州の首脳会談が予定されており、ギリシャに対する第2次支援策について話し合われる。民間投資家が負担をする包括的な解決策が検討されているが、これに対してはECBなどが強硬な反対姿勢を示すなどしており、その支援策の内容も玉虫色のものとなるのではないかとみられている。

 これに対して米国と同様に、今年度予算のための赤字国債が発行できないような状況となっており、さらに債務そのものがイタリアなどに比べ悪化している日本では、国内の債務問題は市場にほとんど影響を与えていない。

 これは日本経済そのものが安定し、さらに政治も非常に安定しており、日本の債務問題を不安視するような環境にはないため、ということでは全くない。むしろ震災や原発問題などもあり今後の経済については不透明感も強く、さらに政治は不安定極まりないような状況にある。

 このような中でも、日本の債務問題が不安材料とならないことがむしろ不思議である。赤字国債発行法案についても、いまだに通過する見通しは立っていない。野田財務相は「早ければ10月中、遅くとも11月中には建設公債を財源とする事業を除く累積の支出額が48.4兆円に到達する見込みだ」との見通しを示し、今国会の会期末(8月31日)までに特例公債法が成立しない事態になれば、9月以降、円滑な予算執行が困難になると訴えた。

 確かにまだ8月末にむけて時間的な余裕があるとみて、市場では材料視していないのかもしれない。もしくは、赤字国債発行法案はぎりぎりでも成立させるであろうと思っているから、無視しているのかもしれない。しかし、米国と日本の状況は似通っている面もあり、その危機意識は共通してしかるべきものであるはずである。

 日本の債務問題については、こんなに巨額であってもこれまでなんとかやってきたので、今後もなんとかなるであろうとの楽観的な見方が広く占めているのもひとつの要因かもしれない。少なくとも国債発行は円滑に行われており、欧州の債務危機により、むしろ安全資産として日本国債は買われ、長期金利も低位安定している。

 日本の債務リスクを意識して、日本国債を売ると今回もオオカミ少年となって損失を被りかねない。日本国債を売るほうが、リスクが高い状況となっていることも確かである。

 しかし、このような状況は果たしていつまで続くのか。本当に市場は日本の債務問題を無視し続けて良いのか。ラインハート氏とロゴフ教授は「現在の低い借り入れコストに安心するのは愚かであり、債務をさらに膨らませても全く問題ないとのシグナルだと解釈するのはもっと愚かなことだ」 、「市場金利は天気のように移ろいやすい。それとは対照的に債務水準はすぐに低下しないものだ」 と述べたそうだが、市場心理も移ろいやすいものである。いずれ日本の債務が市場の標的にされる可能性は十分ありうる。

 現在は日本の債務問題に対して市場は鈍感ではあるが、このような状況はいつまでも続かないであろうことも意識しておく必要があろう。


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by nihonkokusai | 2011-07-21 08:28 | 国債 | Comments(0)

公共政策に関する白川日銀総裁のコメント

 日銀の白川総裁は京都大学で「公共政策を遂行するという仕事」という講演を行い、その内容が日銀のサイトにアップされている。

 この中で、白川総裁は過去四半世紀の間に日本の成長率が低下した要因として3つ指摘している。そのひとつが、バブル崩壊による直接的な影響である。

もうひとつが日本の企業の経営の仕方や日本の経済や社会の仕組みが過去四半世紀の間における世界経済の大きな変化に対し迅速に適合することができなかったことである。

 その変化のひとつに情報通信革命の進展を指摘し、象徴的な例として、iPhone を取り上げている。1台500ドルのiPhoneの販売価格の中の部品コストは173ドル、組み立てコスト6.5ドルに対し、粗利益は321ドルにも上っているとの調査研究を例に出し、iPhoneという製品のアイデアを考え出し、これを製品化することの付加価値がいかに大きいかということを示した。

 これはつまり、技術力だけでは、情報通信革命の波に乗ることはできず、そこに適切な付加価値を乗せることが経済成長を促す要因となると言うことであろうか。

 そして、日本の成長率の低下要因としては、急速な高齢化の進行という人口動態の変化もあげている。

 これらの要因への対応について総裁は、バブル期に新しい時代の到来を理解しない保守的な議論を日銀がしているとして金融引き締めに遅れたことや、バブル崩壊後しばらくの間、不良債権問題がマクロ経済に与える深刻な影響についての認識が薄く対応が遅れた点などを指摘している。

 第2の原因として取り上げた世界経済の変化への不適合については、日本の企業が過去の成功の記憶に囚われ、グローバル経済に生じた大きな変化への対応が遅れた点を指摘した。制度面の対応も遅れ、法律、規制、税制が現実の経済の変化に十分追い付いていない点を指摘している。

 この指摘は適切だと思うが、ただしそれでiPhoneのような戦略製品を生み出す環境が整うのかといえば、それだけでは無理なのではないかと個人的には思う。iPhoneには時代の流れを読むスティーブン・ジョブズという天才の存在が大きかったように思うのだが。

 そして、第3の原因である急速な高齢化や人口減少の問題については、これまで人口減少が経済に与える影響の深刻さが認識されなかったことや、必要な行動をとることが容易ではない点を指摘している。特に年金や社会保障の改革を進め財政を将来に亘って維持 可能なものにすることが不可欠なのだが、それは容易ではないとしている。

 正しい公共政策を適切なタイミングで実行することが難しい理由として、「現状を放置した場合に、将来どのような状態になるかを予測することは決して容易ではないこと」、「望ましい状態を実現するために必要な政策を設計すること自体が容易ではないこと」、「たとえ正しい政策が分かっている場合でも、それを実行することには多くの政治的ないし社会的困難を伴うこと」を指摘している。

 これについて白川総裁は具体的な言及は控えたが、これはそのまま財政再建にむけた政策運営にもあてはめられよう。日本の債務残高は増え続けているがこれが続くと将来、何が起きるのか、具体的なものをイメージすることは難しい。財政再建については必要な政策はある程度明らかではあるものの、それを実行するにはかなり政治的・社会的困難を伴うことは、それが一向に進んでいないことからも明白である。

 次に総裁は公共政策を適切に運営する上で重要と考えていることを、日本銀行の金融政策に即して説明しているが、ここではマクロとミクロの情報収集の重要性に加え、理論モデルを適切に活用することの重要性、そして歴史的洞察の重要性をあげている。

 特に最後の歴史的洞察の重要性について、バブル期には、いつも「今回は違う」(This time is different)という見方が登場し、「バブルの歴史から引き出せる教訓は、人間はバブルの経験からは学ばないものだ」という皮肉な感想があることを指摘している。

 それに対して十分ではないが、歴史の教訓から学ぶ賢明さも備えていることを、先進国はもとより新興国でも中央銀行による国債引受けは認められていないことを引き合いに出して指摘している。総裁は「政策の遂行に当たっては、人間の行動の織りなす社会の動きについても認識する必要がありますが、この点で歴史的事例は実に貴重な洞察を提供しています」としている。

 このあたり過去の歴史を見れば頷けるものがある。しかし、日銀による国債引受を主張する人たちが、「今のデフレ下にある日本は違う」というのは、過去の経験、歴史の教訓を無視した考え方であると思うのだが。

 そして、公共政策を適切に運営する上で重要なものとして実務執行の重要性を取り上げている。そして中央銀行は金融政策だけではなく、銀行業務を行っている組織であるという視点が希薄なことも指摘している。

 日銀の組織や人の配置などを確認すると、金融政策に関わっているのは実は一握りであることを実感する。総裁は「実務的な検証を伴わない壮大な政策論は、意味をなしません」としているが、たしかに銀行業務という実務の上でなければ、金融政策は成り立たないであろう。

 政策に携わる専門家は、常にこうした実務家の視点を兼ね備えていなければならないとの白川総裁の信念は、まさに的を射たものであろう。これは金融政策のみならずということは言うまでもない。


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by nihonkokusai | 2011-07-20 08:15 | 日銀 | Comments(0)

ラインハートとロゴフの警告

 「国家は破綻する-金融危機の800年-」(日経BP社)の共同執筆者、カーメン・ラインハート氏とハーバード大学のケネス・ロゴフ教授はブルーム・バーグのコラムにおいて次のようにコメントしたそうである。

 「現在の低い借り入れコストに安心するのは愚かであり、債務をさらに膨らませても全く問題ないとのシグナルだと解釈するのはもっと愚かなことだ」

 「市場金利は天気のように移ろいやすい。それとは対照的に債務水準はすぐに低下しないものだ」

 これは特に日本のことを示しているわけではなく、米国なども念頭においたコメントとみられる。

 欧州の債務危機により、安全資産として米国債やドイツ連邦債、さらに日本国債が買われ、その結果、それぞれの国の金利は低下している。金利が低下しているということは、国は低い金利で借入が可能となることになる。

 通常ならば借入は低金利の際に行うべきものであるが、だからといって積極的な財政政策に打って出るという主張はリスクを伴う。特に日本のように債務残高が年々膨れ上がっている国にとり、低金利だからこそ利払い費用が抑えられ、その分、財政悪化が抑えられている面がある。むしろ低金利のうちに債務残高を少しでも軽減し、いずれ来るであろう金利上昇に備えておく必要がある。

 800年という金融の歴史をあらためてデータで追って、これだけの大著をまとめた2人が、このような警告を発するのは、歴史は繰り返されていることを確認したからであろう。「国家は破綻する-金融危機の800年-」の原題は、「THIS TIME IS DIFFERENT」である。このタイトルは逆説的なものであり、内容は今回は違う、なんていうことはないことをデータを元に示したものである。

 今回の東日本大震災についても、過去、同じように大津波が発生し多くの犠牲者が出ていたことは歴史が示していた。「THIS TIME IS DIFFERENT」という災害ではなかったのである。ただし、その過去は検証はされていても、それがこのタイミングが起きることは予想されず、大きな被害をもたらすことになった。

 現在の日本はデフレの状態にある。しかも、失われた10年が20年になるなど長期に渡り、その状態が続いた結果、物価が上昇するような事態は想像するのが難しくなる。どうしても現状がまだまだ続くと見てしまいがちであるが、むしろこの状態が未来永劫続くと考えることの方が間違いである。

 たとえば1990年以前に、日本がこのようなデフレに陥ると誰が想像したであろう。もしそんな仮説を唱えていれば、物事が良くわかっていない人と捉えられてしまったのではなかろうか。つまり、この先、想像できないような状況、たとえば物価で見ればインフレとなる可能性がないとは言えない。現在は大きなうねりの中で、物価の波が低いところに留まって、いずれ上昇を待っているような状況にあるとも言える。

 市場金利は天気のように移ろいやすいことは、ギリシャなどの金利を見れば明らかである。それとは対照的に債務水準はすぐに低下しないため、ギリシャなどはかなり難しい状況に置かれているのである。

 日本でも、金利が上昇するようなことになれば、あまりにその債務が大きいために、さらに財政を悪化させ、大変困難な状況に置かれる。しかし、金利は上昇しないことを前提に物事を想定するのはたいへん危険であるため、金利が上昇したときの対応を常に考えておく必要がある。

 いずれ日本の金融を揺るがすような金利上昇、つまり国債価格の下落が何かのきっかけで起こる可能性がある。その際に被害を最小に食い止めるにはどうすべきであるのか。国家を揺るがす大きなリスクとして、それに備える準備も進めておく必要がある。

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by nihonkokusai | 2011-07-20 08:14 | 国債 | Comments(1)
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