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財務省のホームページがリニューアル

 1月31日に日銀のホームページがリニューアルされたが、3月26日には財務省のホームページもリニューアルされた。情報入手先として特に金融関係者にとり、日銀と財務省のホームページは非常に重要であり、その使い勝手を良くすることは歓迎である。

 しかし、ここにひとつ大きな問題が発生している。日銀、財務省ともにトップページのアドレスに変更はなかったものの、個別のリンクが修正されてしまっているのである。つまり、参考資料として個別に「お気に入り」や「ブックマーク」していたもののリンクが切れてしまったのである。

 これについては財務省のホームページに「財務省では、平成23年3月26日(土)に財務省ホームページのリニューアルを実施いたしました。それに伴い、各URLが変更になりましたので、個別のページにリンクを貼っておられる方は修正していただきますようお願いいたします。なお、財務省ホームページのトップページのURLは変更ありません。」とのコメントがあった。ちなみにこのような文面は日銀のホームページにはなかった。

 もちろんあらためてその資料を探し出して、リンクを貼り直せば良いことではあるが、財務省や日銀のホームページではかなり奥にいかないと辿りつけない資料も多く、その修復作業はかなり面倒な作業になる。

 さらにもうひとつ問題がある。当面ではあると思うが、検索をかけてもそれがリンク切れとなってしまうのである。たとえば「国債発行計画」とグーグルで検索すると「平成20年度国債発行計画」が最初に出てくる(30日11時現在)。これをクリックすると、財務省のページではあるが、表示には「お探しのページは見つかりませんでした。」とある。つまり過去に探してリンクしていたものを、あらためて検索で探そうとしても見つからないのである。これも少し困る。

 特に官公庁系など公的な資料へのリンク先については、書籍などへの掲載も多いとみられ、その修正作業も必要になる。私も国債や日銀関係の本を出しているが、そのリンクも使えなくなる。

 また、このコラムの執筆などの原稿書きのために、財務省や日銀の資料を探すことも多いが、当分の間は探しづらい状況が続きそうである。リニューアルということで致し方ない面はあるかもしれないが、リンク切れを起こさないような手立てはなかったものであろうか。

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by nihonkokusai | 2011-03-31 10:09 | 国債 | Comments(0)

禁じられた日銀の国債引受の例外

 昨日のコラムで、日本を含めて主要先進国では中央銀行による国債引受は禁じられていることを示したが、日銀については国債引受には例外が存在している。このため、日銀はすでに国債引受を行っており、日銀による国債の直接引き受けは問題ないと論じる向きもいる。

 日銀が保有する国債のうち償還期限が到来したものについては、財政法第5条のただし書にある「特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りではない」という規定に基づいて、特別会計の予算総則に記載され、国会の議決を経た金額の範囲内に限って、国による借換えに応じることができる。これは国債の日銀乗り換えとも呼ばれている。これはつまり、日銀が保有している国債が満期償還を迎えると、1年間に限って現金償還を延長し、現金の代わりに短期国債を発行し、それを日銀が引き受けるというものである。

 これについては次のような解説もある。日銀による国債の買入れは、日本の経済成長に応じて日銀券の流通を増加させるために行われているとも言える。このため、買入れにより購入された日銀保有の国債が満期償還を迎えた場合に、日銀券の流通量を維持するために、再び別の国債の購入する必要がある。これは日銀券の流通量を増加させるものとはならず、物価上昇を引き起こすおそれがないことから、事務効率に資するため市場を通さずに国債発行当局から直接国債を購入する場合がある。

 そしてもうひとつ、日銀による公債の引受けは財政法により原則として禁止されているが、政府短期証券(FB)については当該条項の適用を受けないと解されており、日銀法でも日銀がFBの引受けを行うことができる旨の条項が設けられている(日本銀行法第34条第4号3)。

 ただし、FBの発行が1999年度以降、原則として市場における公募入札により発行する方式に改められ、この公募入札方式への移行後は、日銀がFBの引受けを行う場合は、政府からの要請に応じて例外的に行う臨時引受けと、日銀の業務運営上必要がある場合に自らが行う引受けに限られることになった。

 このうち、政府からの要請に応じて実施する臨時引受けには、市場における公募入札において募集残額等が生じた場合と、為替介入の実施や国庫資金繰りの予想と実績との乖離の発生などにより「予期せざる資金需要」が発生した場合に限定されている。また、臨時引受けを行った政府短期証券については、可及的速やかに償還を受ける扱いとなっている。このように臨時引受けについては、中央銀行による政府向け信用のあり方の観点も踏まえ、一時的な流動性の供給となるような明確な「歯止め」が設けられている。

 以上のように、確かに日銀による国債引受については例外がある。しかし、両者ともに財政ファイナンスを目的としたものではない。日銀保有の国債償還分の1年間に限って現金償還を延長するのも、60年償還ルールに基づいた借換債の発行増による市中への影響を軽減させるなどの目的もあるものとみられる。さらに、FBについては「予期せざる資金需要」が発生した場合などにはむしろ短期的な措置としては必要なものであろう。それぞれ、あくまで短期的な措置である。

 このような例外措置が存在しているからと言って、日銀による復興国債の直接引受を行っても問題ないという意見はおかしい。繰り返すが、これらは財政ファイナンスそのものを目的としているものではない。もし、日銀が財政ファイナンスを目的とした国債引受を行うとなれば、その時点で市場参加者による国債への信用が失われよう。当然ながら長期金利にもその影響は及ぶであろう。そして、その歯止めが効かないと認識されると、歴史上何度も繰り返されたような悲惨な事態が起こりうる。それだけは絶対に避けなければならない。


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by nihonkokusai | 2011-03-30 09:04 | 国債 | Comments(0)

中央銀行による国債引受が禁じ手である理由

 一部政治家などからの復興国債の日銀引受要請に対して、政府は否定的な見解を示した。これは当然のことだと思う。日本を含めた主要先進国は中央銀行による国債引受を禁じているが、これは主要国の歴史から得られた貴重な教訓によるものである。

 すなわち中央銀行が、いったん国債の引受などにより政府への資金の供与を始めてしまうと、その国の政府の財政規律を失わせ、通貨の増発に歯止めが効かなくなり、将来において悪性のインフレを招く恐れが高まるためである。それにより日本に対する国内外からの信認も失われ、格付け会社による日本国債の格下げも行われよう。国債への信認低下により日本の長期金利は大きく上昇し、これは日銀の金融政策などにより抑えられるものではなくなる。

 中央銀行による国債引受は麻薬に例えられることがある。いったん踏み入れてしまうと常用することになり、元には戻れず最後に身を滅ぼすことになる。先進主要国が中央銀行による政府への信用供与を厳しく制限しているのは、こうした考え方に基づくものである。

 たとえば、米国では連邦準備法により連邦準備銀行は国債を市場から購入する(引受は行わない)ことが定められている。また、1951年のFRBと財務省との間での合意(いわゆるアコード)により、連邦準備銀行は国債の「市中消化を助けるため」の国債買いオペは行わないことになっている。しかし、FRBは2009年3月から3000億ドル分の長期国債の買入れを行ない、同年10月には6000億ドルの追加購入を決定したが、これらは財政ファイナンスが目的ではない。

 また、欧州では1993年に発効した「マーストリヒト条約」およびこれに基づく「欧州中央銀行法」により、当該国が中央銀行による対政府与信を禁止する規定を置くことが、単一通貨制度と欧州中央銀行への加盟条件の一つとなっている。つまり、ドイツやフランスなどユーロ加盟国もマーストリヒト条約により、中央銀行による国債の直接引受を行うことは禁止されている。ECBは2010年5月より国債の買入れを行っているが、国債市場の安定化や市場機能の正常化を目的とした市場からの買入れである。

 イギリスではイングランド銀行による国債の引受は明示的には禁止されておらず、以前にはイングランド銀行による国債の直接引き受けが行われていた例はあるが、現在、直接引き受けは行われていない。イングランド銀行も2009年3月から国債買入を行ったが、その目的は中期的なインフレ率目標を達成するために、マネーと信用の供給量拡大をはかるためであり、やはり財政ファイナンスが目的ではない。

(「新しい日本銀行─その機能と業務」日本銀行金融研究所を参照)

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by nihonkokusai | 2011-03-29 08:51 | 国債 | Comments(0)

やっと始めるFRB議長の定例記者会見

 24日に米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)は、バーナンキ議長が1年間に4回、連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に記者会見を行うと発表した。FRB議長による定例記者会見は1913年に創設されて以来初めてとなる。これにより、すでに記者会見が実施されている日銀やECBと足並みを揃えることとなる。

 議長会見はFOMC会合のうち最新の経済見通しを示す年4回の会合後に行われる予定となっている。今年は現地時間での4月27日、6月22日、11月2日となる。FOMC終了後、現地時間午後2時15分(日本時間28日午前3時15分)から始まる予定である。会見が行われる日のFOMC声明の発表時間は従来の現地時間午後2時15分から同零時半に繰り上げられることも発表された。また、FRBはウェブサイトを通じて会見の模様を同時中継するそうであるが、これは是非、日銀総裁の記者会見においても検討してほしい。

 FRBではこれまで金融政策に関してどちらかと言えば秘密主義が取られていた。しかし、特にバーナンキ議長に変わってからは金融政策に対しての透明性を高めようとしており、今回の記者会見の開始は透明度向上のためには最も重要なものとなろう。また、報道によるとイエレン副議長は昨年11月から、非公開の政策討議をどこまで公表するかに関する見直し作業を進めるグループを率いているそうで、さらなる透明性向上にむけて動いているようである。

 ちなみに米国のFOMCでは会合終了後に声明文が公表される。この声明文には、基本的な見解、政策決定内容、それに関する各FOMCメンバーの政策決定にかかる賛否といったものが記されている。FOMCの議事要旨は会合の約3週間後に、議事録は5年後に公表されることとなっている。

 日本では1998年4月1日の新日銀法の施行に伴い、金融政策決定会合が毎月1、2回程度の頻度で定期的に開催され、決定会合終了後は、決定された金融市場調節方針が発表されるほか、当日の15時半から総裁の定例記者会見が開かれ、決定事項の説明と記者との質疑応答が行われる。会合の約1か月後に議事要旨が発表され、さらに10年後には議事録が公表される。

 ECBの政策理事会の場合には、議事要旨および議事録は公表されていない。政策決定に関する各メンバーの投票結果についても公表されないのが原則となっている。これは各国を跨いでの中央銀行という特殊性も意識されたものと思われる。ECB政策理事会の会合終了後に、欧州中央銀行の総裁が記者会見を行っている。総裁は記者会見の冒頭において、ステートメントに基づいての政策決定内容とその基礎となった分析などを説明し、その後、記者との間での質疑応答が行われる。

 英国イングランド銀行の金融政策委員会(MPC)の場合は、会合終了後に政策決定が公表される。金融政策が変更された場合には声明が発表され、総裁の記者会見が行われているようである。会合の2週間後に議事要旨が公表され、政策決定に関する投票結果はこの議事要旨において公表されている。

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by nihonkokusai | 2011-03-26 10:16 | 日銀 | Comments(0)

関東大震災の際の日銀の対応とその後

 2011年3月11日の東日本大震災を受けて、週明けの14日の朝から日銀は動いた。まず、資金の出し手が資金放出を控える動きが広がり、コール市場での取引が成立しない状況がみられたことから、金融機関などの決済の安定性を確保するため、日銀は大量の資金供給を実施したのである。

 また、14日から15日にかけて開催予定の日銀の金融政策決定会合は、14日のみの開催とした。これはできるだけ早く結論を出すための措置であり、この決定会合で日銀は追加緩和を決定し、資産買い入れ基金を総額5兆円から10兆円に拡充した。企業マインドの悪化や金融市場におけるリスク回避姿勢の高まりが実体経済に悪影響を与えることを未然に防止することが目的であり、リスク性資産を中心に資産買入れ等基金を増額した。具体的には5兆円の増額分のうち、CP・社債等とETF、J-REITのリスク性資産を 3.5 兆円程度、長期・短期国債を 1.5 兆円程度買い入れたのである。 (大分における宮尾審議委員講演要旨より一部引用)

 それでは過去の災害時には、日銀はどのような対応をしたのか、関東大震災の時の状況を見てみたい。1923年9月1日に発生した関東大震災によって、関東地方の企業は壊滅的な打撃を受けた。日銀も被災したが、週明け3日には営業を再開し、焼損した紙幣の引換に応じるなどした。ただし、大蔵省印刷局も被災したため、紙幣不足が見込まれ、200円という高額紙幣を国債証書の用紙を用いて大阪で作られた。しかし、これは結局使われることはなかったそうである(日銀サイト「日本銀行 あの日の記録」より一部引用)。

 また、損害を受けた企業は震災前に振り出した手形を決済することができず、それを抱えた市中銀行も資金繰りに支障をきたすようになった。政府はこのためモラトリアム(支払猶予)を出して、9月中に支払期限を迎える金融債権のうち被災地域の企業・住民が債務者となっているものについては支払期限を1か月間猶予したのである。

   さらに9月29日に震災手形割引損失補償令が出され、震災地を支払地とする手形や震災地に営業所を有していた商工業者を債務者とする手形等(震災手形)については、特別に日本銀行による再割引、つまり、銀行がもっている震災手形を日銀に買い取らせた。これに伴い日銀が損害を受けた場合は政府が補償することになったのである。

 少し時が経過し、1927年1月に政府は日銀をはじめとする銀行の損失を補償するための国債を発行したうえで、震災手形の整理を進めることとし、震災手形二法が議会に提出された。しかし、震災手形の振出が鈴木商店に、また所持が台湾銀行に集中していたことから、政府資金による特定企業の救済につながるとして、議会での審議は紛糾した。この審議の過程で3月14日に当時の片岡蔵相が「東京渡辺銀行が破綻した」と発言してしまったのである。ところが、同行はこの日資金融通が可能となり実際には破綻は免れていた。

 この片岡蔵相の発言により、一般預金者の不安が増長され、東京渡辺銀行やその関連銀行のあかぢ貯蓄銀行が取付に合い、休業に追い込まれ、その後他の銀行にも取付が波及した。政府は事態を収束するため、4月22日から2日間銀行を臨時休業させることとしたほか、3週間のモラトリアムを公布した。この間、日銀は正規の手続きによらない特別融通などの緊急貸出を実施した。預金者の不安心理を一掃することを目的に、現金を銀行の窓口に高く積み上げるという単純ながらも有効な手段が取られた。

 この際に、短期間に大量の日本銀行券が市中銀行に対する預金者からの預金払戻し請求などに応じるために発行されたことから、銀行券の印刷が間に合わなくなり、やむなく裏面が白紙の200円の高額紙幣が発行された。これらの措置の結果、いわゆる金融恐慌はようやく鎮静化したのである。


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by nihonkokusai | 2011-03-25 08:29 | 日銀 | Comments(0)

2010年12月末の国債保有者状況

 23日に日銀は「資金循環統計(速報)(10~12月期)」を発表した。これを元にして、2010年12月末時点での国債の保有者状況を集計してみた。国債(財投債を含む国債で国庫短期証券は除く)の2010年12月末の合計は727兆1166億円となった。

 この内訳を見ると、銀行など民間預金取扱機関(ゆうちょ銀行含む)は282兆7523億円となり全体に占めるシェアは38.9%となった。次に大きいのは民間の保険・年金(かんぽ生命含む)の176兆2619億円でシェアは24.2%であった。そして公的年金の74兆8489億円で10.3%、日本銀行の58兆514億円の8.0%、投信など金融仲介機関の40兆6497億円の5.6%、海外の35兆754億円の4.8%、家計の32兆9689億円の4.5%となり、その他として33兆8123億円で3.6%となっていた。

 9月末(速報)とのシェアを比較すると、それほど大きな変化はないものの、海外は9月の5.0%から4.8%、そして家計は4.7%から4.5%にそれぞれ小幅低下している。これを見てもわかるように、日本国債は、銀行・生損保・年金だけで7割以上を占めており、海外投資家によるシェアは5%近辺と低く、また個人の増加も頭打ちとなっている。なかなか国債の投資層の裾野の拡大は進んでいない。

 この状況はこの先も続くものとみられ、今後の新規での国債発行額に関しては、これら国内の機関投資家による国債への買い余力がどの程度あるのかにかかっているとも言える。

 参考までに速報値ベースで9月末から12月末にかけての残高に大きな動きがあったのは、銀行など民間預金取扱機関がプラス3兆9063億円、これに対して公的年金がマイナスの3兆1096億円となっていたのが目立った。


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by nihonkokusai | 2011-03-24 08:50 | 国債 | Comments(0)

復興国債の日銀引き受けの主張理由がわからない

 19日のこのコラムでは産経新聞の『10兆円規模「復興国債」発行へ 全額日銀が引き受け』との記事に関して取り上げたが、今回の大災害の復興にかこつけての日銀による国債引き受け要請は、今後の日本の将来にも大きな影響を与える可能性があることで、注意して見ておく必要がある。

 今回、復興国債の日銀引受について報道およびツイッターなどでの推進派の状況を見ると、所謂、リフレ派と呼ばれる人たちに多い。ただし、リフレ派と言っても純粋に学術的なアプローチをしている人というよりも、デフレの原因は日銀の金融政策の失敗によるものであり、日銀法を改正し政府関与を強めさせ、さらにインフレターゲットを導入させ、日銀引受の大量の国債を発行した上で、デフレからの脱却をはかることを、今回の危機以前から目指そうとしていた人たちである。

 産経新聞で「復興国債100兆円も可能 日本再生のチャンスに変えよ」との記事を書いた田村秀男編集委員も、同様の発想であろう。また、国民新党の亀井静香代表も震災復興国債を発行し、場合によっては財政法第5条の但し書きで容認されている国債の日銀引き受けも検討すべきだと指摘し、さらに、田中康夫新党日本代表も国会で日銀による国債の引き受けを議決して100兆円規模の復興資金を調達すべきと述べたと伝わっている。民主党にはデフレ脱却議連というのがあるが、その関係者からも同様の発言もあったようである。

 今回の震災による被害が甚大なものであり、当然ながら復興のための財政支出は行われる必要がある。1995年の阪神淡路大震災の際には10兆円近くの被害を受け、3回の補正予算が組まれ、支出総額は3兆2298億円に上っていた。この際に8106億円の震災特例公債も発行された。今回、予想される復興費用はこれを大きく上回るものと予想される。

 このため、補正予算編成に伴っての財源問題が浮上するのは避けられない。これに際して、自民党の谷垣禎一総裁は震災の復旧・復興財源を確保するため臨時増税の時限的な立法措置を講じるよう提案したそうであるが、さすがにこのタイミングでの増税は厳しいのではなかろうか。

 民主党のマニフェストの主要4項目である子ども手当、高校授業料の無償化、農家の戸別所得保障の分を財源に充てる案も出ているが、22日の日経新聞では補正の財源に、基礎年金給付の国負担分の財源不足を一時的に埋めている「霞が関埋蔵金」を転用する案が政府内で浮上した。ただし、これについて野田佳彦財務相は「(補正予算の)規模が定まっていない時に、財源先行ではないと思う」と述べたと伝わっている。

 金額も定まっていないのにも関わらず財源の問題が出るというのも、ある意味、日本の財政状況が懸念されているためでもあろう。このような財源に関する動きは、なるべく国債発行に頼らずに、できるところからまず資金を捻出しようとの意向が働いているためであろう。日本の政府債務は危機的状況にまで膨らんでおり、国債発行を抑制しようとの一連の動きは当然のものである。

 しかし、それでも国債の増発は避けられないであろう。それは市場参加者も当然ながら認識しているが、日本国債が需給悪化観測で売られるような状況にあるわけではない。これは市場参加者の感覚が麻痺しているとかではなく、10兆円規模の国債発行で、すぐに国債需給が悪化するようなことはないとの認識が働いているためである。実際に短期国債などを絡めての増発であれば、国債需給に影響なく増発は可能であるとみられ、日銀の積極的な資金供給などがそれをフォローしてくるであろう。

 このように国債市場が落ち着いている中にあって、何ゆえに日銀引受の国債を発行しなければいけないのか、その理由が全くわからない。想像しうるに、これまで主張してきたリフレ政策をどさくさに紛れて進めてしまおうとの意識が働いていたのではなかろうか。しかも、一部新聞社では復興国債の日銀引受がまるで政府の意向かのように伝えられるという、報道による既成事実化を図ったような行為ははっきり言って言語道断である。

 財政法第五条には「すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。」とある。いまさら主張するようなことでもないが、この財政法が生まれた理由をぜひ思い起こしてほしい。

 今回の復興国債の日銀引受を主張している向きは、震災という、この財政法第五条にある「特別の事由がある場合」を殊更強調しているようだが、それはまず復興費用に対して財源がなく、結果として大量国債発行に頼ることとなり、さらに市場はその国債を消化できうる環境にないという「特別の事由がある」ならば、そうせざるを得ないと思う。しかし、震災を特別な事由として、いきなり日銀の国債引受に結びつけて認めろというのは、この財政法の意味をわざと履き違えているとしか思えないのである。


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by nihonkokusai | 2011-03-23 10:03 | 国債 | Comments(1)

大きな問題を孕む日銀引受の復興国債10兆円との憶測記事

 18日の産経新聞は、『10兆円規模「復興国債」発行へ 全額日銀が引き受け』、との記事をいかにもスクープのように出してきた。他紙にはそのような記事は見当たらない。しかし、この記事の内容を見ると、『東日本大震災を受け、政府は、復旧・復興のための補正予算編成に向け、主要財源として日銀が全額を直接引き受ける「震災復興国債」を緊急発行する方針を固めた。複数の政府筋が明らかにした。発行額は10兆円を超す見通し。日銀や与党と早急に調整に入り、野党も含めた合意を目指す。』とある(産経新聞)。

 この文書を読む限りにおいて、「複数の政府筋」とあるように、まるで政府の見解のような記事である。しかし、与謝野経済財政相が「日銀が直接国債を引き受けるのは法的に不可能」「資金調達に困難はない、日銀は特別なことする必要ないと断言できる」(ロイター)とコメントしたように、政府にそのような動きは見えない。また、 野田財務相も「日銀の直接引き受けは、慎重な検討が必要だ」とコメントした。

 産経新聞では、この記事を出す前に、「復興国債100兆円も可能 日本再生のチャンスに変えよ」との提言のような記事を田村秀男編集委員が書いていた。当然ながら、この提言と今回の10兆円の復興国債の記事には関連性があるとみられ、複数の政府筋とみられる与党系議員などの提言をあたかも政府の見解として記事に出した可能性があり、そうであれば、これは大きな問題である。

 そもそも、政府は現在、被災者支援や原発での放射能漏れを防ぐことに全力を尽くしており、被害額等の見積もり等はまだ具体的に行われるような状況になく、補正予算についてもその規模を計ることすら難しい状況にあるはずである。

 もちろん、今回の被害が甚大なものであり、当然ながら復興のための財政支出は行われるであろう。1995年の阪神淡路大震災の際には10兆円近くの被害を受け、3回の補正予算が組まれ、支出総額は3兆2298億円に上っていた。この際には、8106億円の震災特例公債も発行された。

 今回の東北関東大震災による被害総額は、阪神淡路大震災を上回る可能性がある。すでに地震や津波そのもので大きな被害が出ている上、福島の原子力発電所の動向次第ではさらに被害が拡大する恐れもある。

 このため、補正予算編成に伴い国債増発についても避けられないとみられるが、通常の特例国債の発行で十分賄われよう。与謝野経済財政相が指摘したように、資金調達に困難はない。むしろそれが困難であったら重大な問題である。

 産経の記事には「新規国債の発行も検討されたが、国債を市場に大量流通させれば財政事情が悪化する上、国債の格付けが下がり長期金利の上昇をもたらす危険性がある。」とあったが、むしろ財政法で禁じられた日銀引き受けでしか国債が発行できない状況であるとなれば、それこそ長期金利の急上昇を招きかねない。日銀による国債引受は財政ファイナンスと捉えられ、その行為そのものが格付け会社による日本国債の格下げをもたらすことも理解できないのであろうか。

 産経の田村編集委員は「政府はこれまで国民の預貯金を100兆円借り上げて米国債を保有している。政府は必要なら、日銀に米国債を担保として差し出せばよい。」とも提言している。政府保有の米国債はFBを発行した上で要するに借金して購入しているものであるが、いくら国民資金から借りているものだからといって、それを担保にしての新たな借金などという発想は、政府に対する信認そのものを失墜させるような行為である。

 産経新聞の今回の記事の背景には、記事の表現を見る限り、複数の政府関係者がいると推測される。このような記事を出すことによって、財政法で禁じられた日銀の国債引受を、危機に乗じて煽り立てようとしたのかもしれないが、それはあまりに危険な行為である。


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by nihonkokusai | 2011-03-19 08:14 | 国債 | Comments(1)

昨日、円が史上最高値を更新し、G7は協調介入で合意

 昨日朝方、外為市場で大きな動きがあり、ドル円は一時76円台をつけ(日経新聞によると76円25銭近辺まで)、1995年4月の79円75銭を割り込み、円はドルに対し過去最高値を更新した。この際の為替市場の動きを見ると、ちょうど参加者が薄い時間帯にであったことで、ストップロスなどを巻き込んでの短時間での急激な円高となったとみられるが、その発端は、福島の原発絡みのニュースであった可能性がある。

 そのひとつは、ルース駐日米大使が福島第1原発の半径80キロ圏内に在住する米国民に対し予防的措置として、圏外への避難を勧告したこと(時事通信)。また、英外務省が日本にいる英国人に対し、東京と東京の北部からの退避を検討するよう呼びかけたこと(朝日)。さらに欧州委員が福島原発を制御不能と発言したと伝わったこと(ロイター)などがあった。

 現在の外為市場では、東日本大震災を受けて状況の悪化が伝えられると円が買われやすい地合いとなっている。これは、日本企業が手元資金を厚くするために海外資産の売却をするとの観測や、日銀が積極的に資金供給を行っているものの、対日銀以外での取引は閑散となっており、外資系金融機関はなかなか円資金が取りづらくなっていることなどが影響していた可能性がある。このために、原発絡みのニュースにも、外為市場では円買いで反応し急激な円高を招いたものとみられる。

 今回の円相場の最高値更新を受けて、日米欧の先進7か国(G7)の財務相・中央銀行総裁が日本時間の今日、緊急電話会談を行った。その結果、日本当局の要請に基づき協調介入に参加で合意し、さっそく午前9時から日本の財務省は介入を実施した。今回の協調介入には米、カナダ、そして欧州中銀が参加する。このG7での声明とともに介入を受けて、ドル円は79円台から一気に81円台をつけ、ユーロ円も111円台から114円近辺に跳ね上がった。この円高修正を受けて朝方に日経平均株価は9100円台を回復し、債券先物は売られて一時139円30銭近辺まで値を下げた。

 今回の円高についてはいろいろと要因もあったとみられるが、市場のセンチメントにおいて危機感が強まるほど円買いに走りやすくなっていたことで、今回の協調介入はそのセンチメントを変化させる可能性がある。今回の円高に対しては投機的な動きとの指摘もあったが、それよりも円高の動きを加速させたものはロスカットなり、ポジション調整なりの動きが主因であった可能性がある。しかし、今回の介入により円高の動きが多少なり修正されれば、そのような動きも抑えられるものとみられる。

 債券市場に関して今回の円高修正の動きは、株高などにより売り要因となるが、その影響は限定的と見ている。円高・株安により決算期末を控えての債券の益出し売りの懸念もあったことで、むしろそういった懸念が払拭される可能性もある。


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by nihonkokusai | 2011-03-18 10:02 | 日銀 | Comments(0)

過度な懸念は必要ないが、適度な警戒も必要な債券市場

 15日の日本の債券市場は、原発事故のニュースなどにより、日経平均先物が一時7800円まで急落したことから、債券先物は141円17銭まで上昇した。しかし、現物は10年債が前日比6毛強の1.145%までは買われていたものの、中短期債などは上値が重く、むしろ利回りが上昇していた。昨日実施された1年物の国庫短期証券の入札結果が悪かったことも、影響したようだが、これには手元の流動性資金を厚くさせるため、中期ゾーンにおいても換金化の動きが強まったことが要因とみられた。

 昨日16日に20年国債の入札が実施された。利率は2.2%、回号は125回と発表された。地震とその後の原発事故などにより、一部には入札延期の要望もあったと言われているが、むしろ入札を延期してしまうほうが影響も大きかったはずである。

 しかし、超長期債の購入層のひとつである生保については、今回の震災による保険料支払いなどが想定されるため、積極的には購入しにくい面もある。また、外資系金融機関は在日外国人の帰国も相次いでいるため、こちらも積極的に応札しにくい面もあろう。

 さらに銀行は昨日のように手元資金を厚めに確保する動きにより、超長期債に手が出しにくい上、決算期末も絡んで動きづらい。さらに、業者である証券会社も決算期末も絡んで、あまりリスクが取れる状況にない。

 このため今回の20年国債の入札については投資家がどの程度、札を入れてくるかどうかにより、その行方が左右されるものとみられた。結局、20年国債の入札は最低落札価格100円72銭、平均落札価格100円97銭となり、比較的無難な結果となった。テールは22銭と前回の14銭よりは伸びたものの、応札倍率は4.13倍と前回の2.64倍を上回った。どうやら一部の投資家が大量に購入したのではとの観測も出ていた。

 震災の影響による今後の日本経済への影響などを考えると、本来であれば国債主体に買いが入るはずではあるが、目先はある意味、リスク回避の動きが日本国債にも及んでいる格好となっている。そこに期末要因も加わり、債券相場そのものが不安定な展開となっている。日本の債券市場には、過度な懸念は必要ないと思われるものの、適度な警戒も必要な状況が続いていることは確かである。


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by nihonkokusai | 2011-03-17 09:06 | 債券市場 | Comments(1)
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