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英国の財政再建を手本に出来るか

 今年5月の総選挙により政権についたキャメロン首相は財政再建を最優先課題とした。その5年間という任期在任中に財政再建を果たすために、6月に財政再建に向けた緊急予算案を発表した。オズボーン英財務相が発表した緊急予算案によると、第二次大戦後で最悪規模に膨らんだ公的債務を減らすため、2011年1月4日から付加価値税の基礎税率を現在の17.5%から20%に引き上げる。

 オズボーン財務相は2010年度の公的債務が1490億ポンドに上るとの見通しを示した。このため、年間20億ポンド規模の銀行新税を2011年から導入するとともに子供手当てや福祉給付カットなどの歳出削減を組み合わせ、財政赤字のGDP比を2015年度までに1%まで引き下げるとした。ちなみに英国の財政再建策に伴う国防予算の削減により、英海軍は保有してる軽空母「インビンシブル」をインターネット上の競売に掛けているそうである。

 財政再建には大きな痛みを伴う。これは財政再建に向けた動きに対して、デモが発生したギリシャなどの例を見ても明らかである。しかし、ギリシャなどは外部からの財政再建の圧力に屈したものであり、内部からその声が強まったわけではない。

 これに対して英国では、選挙で財政再建を最優先課題とした保守党を国民は支持したことになり、内なる声に耳を傾けた結果の財政再建であり、国民は自らの責任において財政再建を推し進めるべきとしたものである。1990年代でのカナダのクレティエン政権による財政再建も同様に国民の声に答えたものである。日本の民主党政権が行っている事業仕分けは、カナダの財政再建の一部を参考にしたものである。

 英国の政治を見ると、スピード感が日本などとまったく異なる。今回のキャメロン政権の財政再建もそうであるが、1997年5月に誕生したブレア政権もやはりそうであった。当時のブラウン財務相は就任わずか4日目に金融政策の大転換を行い、財務省から中央銀行であるイングランド銀行に金融政策の決定権を移し独立性を高めるという大胆な改革を進めている。

 キャメロン首相もブレア元首相も非常に若いときに首相に就任しており、若さ故のスピード感もあったのかもしれない。また、高い支持率がある政権交代時にすぐに行動に移すことにより、時間をかけることによって生じかねない反対意見を抑えこんで、とにかく既成事実化する必要もあったと思われる。

 日本でも民主党に政権が移った際に、本来であれば財政再建に向けてもっと大胆な施策もできたはずである。ところが民主党が掲げたマニフェストは日本の先々の不安を取り除くものではなく、財政負担はさしおいて国民生活を意識したものであった。財政再建は二の次にされ、むしろ財政再建は遅れる結果ともなった。これはこれで国民の声であったのであるから、致し方ない面はある。

 しかし、英国以上に財政が悪化している日本にとり財政再建は待ったなしとなる。ただし、これについては国民は危惧はしても真剣に問題視していない部分もある。これまでの選挙で消費税増税を掲げると負けるという経験則までできている、選挙では財政再建を最優先課題とできにくい面もあろう。ただし、先送りにもそろそろ限界がある。国民もそれはかなり意識してきていると思われる。日本の先々の不安を取り除くための財政再建はそれなりの国民負担が生じることで、英国のように大胆かつスピーディーな政策が求められる。

 先送りの結果、気づいたときには破綻状態となれば、その負担は国債を買い支えていた国民にふりかかる。その際には財政再建による負担に比べかなり厳しいものになることを国民自身が真剣に考えなければならない。これを避けるためには、政治そのものを大きく変えていかなければならない。英国がやろうとしている財政再建への道筋を日本の国民も早急に見習うべきである。


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by nihonkokusai | 2010-12-31 09:43 | 国債 | Comments(0)

日本の財政悪化をあらためて確認

 来年度の政府予算案の閣議決定に合わせ、財務省は「我が国の財政事情」を発表している。この中で直近3年間の日本の債務状況を確認すると、まず公債依存度は2009年度が37.6%、2010年度48.0%、2011年度が47.9%となる(昨年度と今年度は当初予算、来年度は政府案による)。さらに公債残高のGDP比は2009年度125%、2010年度134%、2011年度138%。国及び地方の長期債務残高は同173%、181%、184%となる。

 一般会計歳出に占める主要経費の割合の推移を見ると社会保障関係費の伸びが突出しており、2009年度が16.6%、2010年度が19.7%、2011年度が31.1%となっている。また、長期金利が低位安定していることである程度抑えられている国債費についても、20.7%、24.0%、23.3%と高い割合を示している。

 新規財源債を今年度以下に抑えたものの、44.3兆円規模の発行は2009年度、2010年度に次ぐ過去3番目の大きさとなっている。そして、国債発行額が税収を上回るという異常事態も3年目となる。

 また、事業仕分けなどに取り組んでいるものの歳出削減については、聖域と化している社会保障費に手を付けない限り大幅な削減は望めないことも明白である。また、社会保障費に関してはその増加額は本来、消費税増税で補填するはずであったが、増税は先送りされた結果、歳出だけが伸びてしまう状況となっている。

 国債費については、そのもとになる国債残高が年々膨らんでいる以上、今後も歳出に占める割合が大きくなるとともに、同じ金利上昇幅に対してその費用は拡大する傾向にある。つまり、今後もし長期金利が大きく上昇するようなことになれば、当然ながら歳出に占める国債費の割合が大きく増加することになる。

 そして公債残高のGDP比は180%台となっているが、OECDによる債務残高の国際比較によると2011年は日本が204.2%、米国が98.5%、英国が88.6%、ドイツが81.3%となっている。欧米諸国も増加しているが、その大きさについては日本が突出していることに変わりはない。

 もちろん日本の債務悪化については今に始まったことではない。しかし、新規国債の発行額の推移を見ると1998年に大きく増加しそのステージは2008年あたりまで続いていたが、ここ3年の増加は新たな規模でのステージを形成してきている。これはリーマン・ショックなど金融危機による影響が大きいことは確かであるが、債務規模の膨らみ方がその分大きくなっている。

 すでに個人の金融資産については増加は頭打ちとなっている。また、企業の金融資産は増加しているとは言え、これらで賄える国債の量にも自ずと限度はある。それに対して今後も毎年40兆円から50兆円もの新規国債を発行し続けられること自体が奇跡に近い。もちろん、日銀のオペなどで吸収される分も含めれば市中への負担はその分限られようが、それでも減るのではなく増える状態にあることで、危機的なレベルに向けて増加してきていることに間違いはない。

 これに対して、何をすべきかは明白であるがそれができていないのが実情である、事業仕分けも重要であろうが、それ以上に社会保障費の増加を抑える必要がある。また、本来約束されていたはずの消費税増税により、少しでもその増加分を補うことも必要であろう。さらに財政政策に頼ることなく税収増を図る施策も求められる。これもまた非常に難しいものではあるが、1997年の財政危機以降の韓国の経済回復など、ひとつの事例として参考になるのではなかろうか。また、歳出削減については最近の英国の動向など良い事例となるのではなかろうか。いずれにしてもそれをしなければならないのは政府である。


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by nihonkokusai | 2010-12-30 08:27 | 国債 | Comments(0)

個性ある政策委員の必要性

 日銀は27日に10月28日と11月4日、5日に開催された金融政策決定会合の記事要旨を公開した。この中で須田審議委員が10月28日の決定会合で展望レポートに関する見通しに反対票を投じていたことが明らかとなった。金融政策そのものに対してではなく、展望レポートの文案決定に反対票を投じるというのは極めて異例なことである。その反対理由は議事要旨では以下のように記されていた。

 「須田委員は、展望レポートで示した見通しに比べて、マクロ的な需給バランスの改善が物価上昇率を引き上げる力や包括緩和の効果を控えめに判断し、物価の先行きを慎重にみていることや、消費者物価指数の基準改定などに伴う不確実性に一段と配慮した情報発信が必要と考えていることから反対した」

 展望レポートに対しての須田委員の反対理由は頷けるものである。包括緩和については円高対策を含めて、あくまでアナウンスメント効果が意識されたものと私自身は理解しており、包括緩和の効果を控えめに判断するというのは須田委員ばかりの意見とも思えない。

 また、消費者物価指数の基準改定などに伴う影響についても、包括緩和では時間軸政策も打ち出している以上はたいへん重要な問題ともなり、しっかりとした説明が必要であったはずである。このわずか1票といえども。その反対票の意味についてしっかりと考えておく必要がある。

 須田美矢子審議委員の任期は来年の3月31日までとなる。また、野田忠男審議委員も6月16日までの任期となる。これまでの日銀の政策委員には、一人でも反対を示すような委員が存在していた。須田委員ばかりでなく、水野温氏前審議委員、さらに執行部でありながらも反対票を投じた岩田前副総裁。以前では中原元審議委員や篠塚元審議委員なども強く印象に残っている。

 実はこういった反対票はかなり重要な意味を持つ。むしろ反対票を投じた委員の意見のほうが正論であると思われることもしばしばあった。日銀の金融政策が多数決で決められているのは、それぞれの出身母体の知識や経験を活かし、それぞれの個性に応じた意見を戦わせ、適格な金融政策を行うためではなかろうか。

 しかし、現在、須田委員以外ではそれほど個性を際立たせている委員は残念ながら見当たらない。もちろん野田委員を含めて、これまで反対票を投じた委員はいるが、単独で議長提案に向かっていくような委員は、須田委員を除けば見当たらない。このままでは今後、政策委員そのものが、白川総裁とその優秀な仲間達となってしまう危惧がある。

 日銀一体となって突き進むことも重要ではあるが、金融政策決定への透明性を高めるためにも、個性を持った委員同士の意見のぶつかり合いを見せることも必要であろう。須田委員や野田委員の後任にはぜひ際立つ個性を持ち、それを示せる人物を選んでいただきたい。さらに現在の委員も、副総裁を含めて個人の意見を、決定会合の場において、もう少し強く打ち出してきても良いのではないかと思う。


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by nihonkokusai | 2010-12-29 00:21 | 日銀 | Comments(2)

2011年度の国債発行計画

 財務省が24日に発表した2011年度の国債発行計画によると、新規財源債が44兆2980億円、借換債が111兆2963億円、財投債が14兆円ちょうどとなった。これにより2011年度の国債の発行総額は169兆5943億円と、2010年度の当初ベースの162兆4139億円からは7兆1604億円もの増加となる。2010年度の二次補正予算後は162兆2078億円となっており、ここからは7兆3864億円の増加になる。当初ベースでの発行総額は2005年度の169兆5051億円を上回り過去最高額となる。

 国債の消化別発行額を見るとカレンダーベースの市中消化額は144兆9000億円となり、2010年度当初から6000億円の増額となり、これも年度別で過去最高額となる。

 第2非競争入札による予定発行額は市中消化額の3.75%の4兆50億円、前倒し債発行による調整分が6兆3893億円となる。

 そして日銀乗り換えが11兆8000億円と個人向け販売分が2兆5000億円。個人向け販売分の内訳としては、個人向け国債が2兆円ちょうど、新型窓販などの窓販分が5000億円となっている。

 特別会計仕分けの結果を反映し、国債整理基金の取崩し等を財源とした買入消却が総額3兆円程度実施される(具体的な実施方法は、四半期毎に市場の状況を見ながら決定)。なお、今年度においても国債整理基金の取崩しを財源とした買入消却を0.8兆円程度実施する。これにより借換債については概算要求時点では約115兆円とされていたが、それが111兆2963億円に届まる。

 前倒し債の発行額による調整分についても、財投債が概算要求での15.5兆円から14兆円になったこともあり、当初見込まれていた金額を下回り、6兆3893億円にとどまった。ちなみに来年度における前倒し債の発行限度額は12兆円となった。

 前倒し債の発行額による調整分についてもう少し説明すると、今年度すでに発行されている来年度分の前倒し発行分が存在する。もしそれを取り崩さなければ、そのまま再来年度の前倒し発行分がその分確保できる。しかし、来年度のカレンダーベースの市中消化額をある程度抑えるために、今年度すでに発行された前倒し債のうちの6兆3893億円を来年度の国債発行額として加算するものである。つまりはその分、再来年度の前倒し発行可能なバッファーが減ることになる。

 カレンダーベースの市中消化額は今年度の当初に比べると、30年国債(年8回発行)と40年国債(年4回発行)がそれぞれ一回あたり1千億円ずつ増額される。つまり合計で1.2兆円増額される。また、今年度当初にあった15年変動利付国債と物価連動国債のそれぞれ3千億円ずつの発行を2011年度は停止している。このため、差引でのカレンダーベースの増額は6千億円となる。

 財務省は生保・年金等の機関投資家の長期運用ニーズの増大を踏まえ、超長期債の流動性の向上にも配慮して、30年債・40年債の発行総額を増加するとしている。。

30年債と40年債以外は発行額は今年度当初と同額となり、20年債が一回あたり1.1兆円、10年債は2.2兆円、5年債は2.4兆円、2年債は2.6兆円を、1年割引短期国債は2.5兆円がそれぞれ毎月発行される。また、6か月割引短期国債が合計で9千億円発行され、全体のカレンダーベース消化額合計が144.9兆円となる。

 これにより、カレンダーベース市中発行額の平均償還年限は、7年9か月となり今年度に比べて3か月程度延びる。

 以上のカレンダーベースの市中消化額の内訳は、直前での国債市場特別参加者会合などにおけるコンセンサスに近いものとなり、以前に予想されていたような中期国債の増発等はなかった。これによる債券市場への影響はほとんどないとみられる。

 国債需給については、来年度も債券市場にとり波乱要因とはならないとみている。しかし、新規財源債が今年度並に抑えこまれたのは、歳出削減や税収増によるものではなく、結局、埋蔵金などを頼みとしている。歳出は社会保障関係費が引き続き増加する上に、新規国債発行額が税収を上回る異常事態も続いている。国債需給への目先の懸念はなくとも、日本の財政そのものへの懸念が生じれば国債は売られる。税制の抜本的な改革や、できうる限りの歳出抑制により、日本の財政リスクを軽減するための果断な努力を実際の行動で示さない限り、いずれかの段階で日本国債の信用が崩れる可能性がある。


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by nihonkokusai | 2010-12-28 09:16 | 国債 | Comments(0)

展望レポートに反対票を投じていた須田委員

 日銀は27日に10月28日と11月4日、5日に開催された金融政策決定会合の記事要旨を公開した。この中で須田審議委員が10月28日の決定会合で展望レポートに関する見通しに反対票を投じていたことが明らかとなった。金融政策そのものに対してではなく、展望レポートの文案決定に反対票を投じるというのは極めて異例なことである。しかし、それにはそれなりの理由があった。その反対理由は議事要旨では以下のように記されていた。

 「須田委員は、展望レポートで示した見通しに比べて、マクロ的な需給バランスの改善が物価上昇率を引き上げる力や包括緩和の効果を控えめに判断し、物価の先行きを慎重にみていることや、消費者物価指数の基準改定などに伴う不確実性に一段と配慮した情報発信が必要と考えていることから反対した」

 ある意味、思い切った反対ではあったと思う。10月5日の包括緩和政策の決定に対しても須田委員は、資産買入等の基金の創設を検討するに際し買入対象資産として、国債を検討対象とすることについて反対している。

 12月1日の講演においても須田審議委員は、「物価見通しについてもっと慎重な見方をしています」と発言しその理由を述べている。

 「私は、デフレが長期化するわが国において、かかる中長期的な予想インフレ率の牽引力を強めることは容易ではないと考えています。」

 「経済の稼働率がまだ低く、今年度後半にマイナス成長が予想されるなど、当分の間、需給ギャップの改善がほとんど見込めない中で、かかる需給ギャップの動きが将来のインフレ率に与える影響は無視できず、中長期の予想インフレ率の牽引力はあまり強くないと考えています。」

 さらに「包括的な金融緩和政策」のすべてに賛成することはできなかったとし、買入対象資産として国債を検討対象とすることについて反対した理由として下記のような発言があった。

 「実際、長めの市場金利の低下は、包括的な金融緩和政策採用以前に、政策金利を0.1%まで引き下げたことや、これまでの対話から生まれている時間軸効果や潤沢な資金供給の姿勢によってかなりの程度実現されているとみています。したがって、長めの市場金利低下を一層促すために国債買入れを増額させても効果は限定的である一方、債券市場の過熱に繋がるリスクや、過度な金利低下が金融機関の収益機会を奪い、かえって金融緩和効果を阻害する惧れがあり、副作用の方が大きいと考えています。」

 「その上、長期国債買入れについては、財政再建への中長期的な道筋が不明確な中、銀行券を上限とする取扱いに例外を設けると、財政ファイナンスに一歩近づいたとの疑念が市場に生じ、かえって長期金利に悪影響が及ぶ可能性があることを懸念したことも反対の理由の一つです。」

 長めの市場金利が包括緩和以降、むしろ上昇気味となっていたことは明らかである。その要因としては須田委員が挙げた債券市場の過熱に繋がるリスクが影響していたことも確かである。さらにこれらの発言からも、包括緩和の効果を控えめに判断していたことも伺える。

 そして、もうひとつの反対理由としている「消費者物価指数の基準改定などに伴う不確実性に一段と配慮した情報発信が必要」との意見は、まったくもってその通りである思われる。2011年度のコアCPIの押し下げ要因ともなりうる基準年の変更については、その影響を織り込まず注記に留めていた。しかし、基準年変更の影響については政策委員の判断に委ねるとしながらも、「思っていたよりも大きかったというようなことが起こる可能性は考慮しておく必要がある」との西村副総裁発の発言が展望レポート発表の前にあったように、これについてはもう少しはっきりとした情報発信が必要であったように思われる。

 今回明らかになった展望レポートへの須田委員の反対は、納得しうる理由が存在する。包括緩和については円高対策を含めてのあくまでアナウンスメント効果が意識されたものと私自身は理解しており、包括緩和の効果を控えめに判断するというのは須田委員ばかりの意見とも思えない。もちろんそれを総裁などが口にすることはできないであろうが。また、消費者物価指数の基準改定などに伴う影響についても、包括緩和では時間軸政策も打ち出している以上はたいへん重要な問題ともなり、しっかりとした説明が必要であったはずである。このわずか1票といえども。その反対票の意味についてしっかりと考えておく必要もありそうである。


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by nihonkokusai | 2010-12-27 15:03 | 日銀 | Comments(0)

今週から来週にかけての債券相場の動向予想

 今後の円債の動きをみる上では、引き続き米国債の動向に注意が必要となりそうである。米債もやや下げ止まり感はあるが、それを確認するまでは円債も神経質な動きが続くものとみられる。特に27日の350億ドルの2年債入札、28日の350億ドルの5年債入札、そして29日の290億ドルの7年債入札の結果を受けての米債の動向に注目したい。

 年末に向けては28日の経済指標の発表などを除けば大きなイベントはなく、参加者少ない中、さらに閑散小動きとなることも予想される。28日に発表される経済指標では11月の全国消費者物価指数、同じく11月の鉱工業生産速報値などに注目したい。

 2011年に入ってからは、まず1月6日に実施される10年国債の入札動向を確認したい。10年債利回りは一時1.2%台をみたことで、投資家もある程度の利回りを求めてくる可能性もある。このため年初は入札に向けたヘッジ売りなどで債券相場の上値が抑えられる可能性がある。

 また、政局の動向についても注意したい。2011年度の国債発行に関してはカレンダーベースの市中発行額の増額が限定的なものにとどまり、国債需給への懸念は少ないものの、政局そのものが大きく変動する可能性があり、その際には今後の国債需給に関する懸念が高まる恐れもある。


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by nihonkokusai | 2010-12-27 12:04 | 債券市場 | Comments(0)

「個人向け国債の商品性の見直し」

 12月24日に財務省は個人向け国債の商品性の改善を発表した。

 個人向け国債は長期金利が低位安定していることもあり、その利回りの低さが嫌気されて販売額が低迷している。それに対し利回りの決定方法などを変更するなど商品性を見直すことにより、そのニーズを高めようとするものであるとみられる。

 具体的には10年物の変動金利タイプの金利の決定方法について、これまでの「基準金利マイナス0.8%」から「基準金利×0.66%」に変更される。一見、これでどう変わるのかという声も出そうだが、これは計算してみるとその違いがわかる。

 10年物の変動金利タイプの金利を決めるにはその基準となる市場金利がある。具体的には利子計算期間の開始時の前月に行われた10年固定利付国債の入札における平均落札価格を基に計算される複利利回り(小数点以下第3位を四捨五入し、0.01%刻み)の値である。

 財務省のサイトで発表される10年国債の入札結果を見るとその値が確認できる。たとえば12月1日に実施された10年国債入札の結果から算出された個人向け国債(変動10年)の基準金利は1.19%とある。これから0.8%を差し引いた0.39%が、12月に募集される10年物変動タイプの個人向け国債の適用利率(税引き前)となる。

 これに対して「基準金利×0.66%」とするならば、0.79%(小数点以下第3位を四捨五入?)となり、現行の0.39%に比べてかなり優位となる。

 簡単な計算でわかることだが、基準金利が2.35%を上回ると現行の「基準金利マイナス0.8%」のほうが優位となる。たとえば基準金利が3%のときは、「基準金利×0.66%」は1.98%だが、「基準金利マイナス0.8%」は2.2%となる。

 個人向け国債が2003年3月に発行されてから、長期金利そのものが2.35%を上回ることはなかった。これまでの方式であれば、長期金利が上がれば上がるほど有利なものとの印象があったが、長期金利そのものが低位安定しているとなると、新方式の決定方法のほうが魅力的なものとなる。長期金利の先行きを予想することは難しいが、国債需給に対しての懸念等が出ない限りは、現在の長期金利の低位安定は続くことが予想される。

 そして、10年変動タイプだけでなく、5年物固定金利タイプについても見直される。こちらは発行から2年間は中途換金できないルールを改めて、発行後1年経過すれば換金できるようにする。ちなみに10年物の変動金利タイプ、そして今年7月から発行された3年物固定利付タイプについては、発行から1年経過すれば中途換金が可能となっており、これで3商品ともに中途換金のルールについては統一されることとなる。

 10年物の金利については2011年7月の新規発行分から「基準金利×0.66%」が適用され、5年物の中途換金ルールは2012年4月からすべてに適用される。

 これによる個人向け国債の販売額への影響であるが、これまでに比べて商品性として有利となることは間違いない。しかし、根本的な問題としては、やはり長期金利がある程度上昇しなければ個人向け国債の商品性の優位性はなかなか発揮できないと思われる。

 そして今回の改訂についても、個人に大量の国債を買わせるための財務省の策略かとの意見もあるようだが、残念ながら現在の金利水準では大量に発行することそのものが難しい。

 さらに米国や英国などの個人向け国債の発行の状況などを見ても明らかであるが、あくまで個人向け国債の発行は国債保有者の拡大が狙いであり、個人に国債を押し付けようとしているものではない。


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by nihonkokusai | 2010-12-25 08:47 | 国債 | Comments(0)

「長期金利上昇に対する投資家の冷静な見方」

 12月20日に開催された国債投資家懇談会の記事要旨が財務省のサイトにアップされており、今回はこの内容を確認したい。特にここにきての長期金利の上昇をどのように投資家が見ていたのかを探る上でもたいへん参考になる。

 出席者からは、「国債市場については、一時、10年債利回りが1%を割った際には心配したが、現状では金利も回復してきてやや安心している状況」、「JGBは、夏場から10月くらいにかけての10年債利回りの0.8%台や5年債利回りの0.2%台はやや振れすぎたと思っており、現状はその反動が来ていると思う。」との発言があった。

 心配していたのはここにきての長期金利の上昇ではなく、むしろ長期金利の1%割れの方であった。過去の長期金利の動きをみれば当然と言えば当然の見方である。

 また別の発言者からは「日本国債のこの程度の金利上昇については、想定の範囲内であり特に一喜一憂していない。投資家行動を見渡した場合、今回の金利上昇については、債券を売って株へシフトした結果であるとは考えていない。」との発言もあった。

 これからも特に今回の長期金利の上昇については、マスコミなどで騒がれたほど投資家も危惧していないことがわかる。さらに株価の上昇はポートフォリオの入れ替えとかではないことも指摘している。これも債券市場関係者にとり違和感はない見方であろうが、株式市場関係者などでは、そうなのかとの声もあろう。

 とはいえ今回の金利上昇というかボラタイルな債券相場については、「今後、金利の絶対水準やイールドカーブの形状を含め、非常に動きやすい環境がしばらく続くのではないかと考えている。」との見方や、「最近金利が急ピッチで上昇したが、市場関係者が少ない中、日々の振れ幅が大きくなったことが、短期的に需給を悪化させたと考えている。」との発言もあった。揺れ幅があまりに大きかったことにより、投資家にとってもなかなか手が出しにくい状況でもあったことが伺える。

 また、このような発言もあった。「先週までの短期、長期を中心とした金利上昇については明らかに行き過ぎだったと見ている。特に1年T-Billの0.18%を超える水準というのは、利上げも見通せない中で行き過ぎた金利上昇となってしまったと思う。その背景としては、銀行勢を中心に、外債投資のポジションを米金利の上昇を背景に落としてきたというリスクリダクションの動きが短い年限のJGBまで広がったからであると見ている。」

 今回の長期金利上昇の背景はいろいろと指摘されているが、このリスクリダクションの影響は確かに大きかったと思われる。これに関しては投資家懇ではなくPD懇(国債市場特別参加者会合)でも次のような発言があった。

 「10月5日に日本銀行が示唆した包括緩和政策において、時間軸の明確化や長めの市場金利の低下を促すことを明示され、市場に対してコミットしたと市場参加者は認識し、そのコミットメントに基づき、特にこの下期以降、債券運用の計画やスタンスを固めていった。一方、現状では、そのコミットが薄れつつあるのではないかとの認識を持っている。例えば、12月14日にT-Billの1年物の入札の応札倍率が1.81倍、最高利回りが0.19%程度まで流れる結果となっているが、この間、このコミットメントに対するメッセージ等がなく、日本銀行の意識に対して懐疑的にならざるを得ない状況である。」

 このあたりはなかなか難しい問題を抱えている。結果からみれば日銀が包括緩和を決定してから、長期金利だけでなく短期金利も上昇気味となった。それについては日銀が市場機能を重視して、過度な抑えつけを控えてきたためとの見方もある。しかし、その要因が銀行によるリスクリダクションの動きであるとすれば、日銀が無理やり抑えこむよりも、その動きがある程度一巡して、落ち着きを取り戻してから動いたほうが効果的でもある。また、日銀が過度に短期金利上昇への警戒心を強めるようなことを総裁などが示唆してしまうと、市場では追加緩和期待が強まってしまう恐れもある。自らの動きを縛るようなことも日銀としてはしたくないであろう。

 いずれにせよ、銀行によるリスクリダクションの動きは年末も近づいて一巡したとみられる。金利水準も投資家にとりある意味心地良い水準にもきている。ファンダメンタルズの先行きについては過度な悲観論とともに楽観論も影を潜めており、その意味では今後の金利はある程度落ち着いた動きを見せてくると思われる。


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by nihonkokusai | 2010-12-24 10:00 | Comments(0)

「大津市での講演会のお知らせ」

私の講演会を2011年1月29日(土)に滋賀県大津市で催していただきます。

<日時>2011年1月29日(土) 午後3時~5時
<会場>  旧大津公会堂 2階 多目的室
滋賀県大津市浜大津1丁目4番1号
JR大津駅から徒歩12分。京阪・浜大津駅から徒歩1分。
<参加費> 無料
<募集人数>40名

こういった方にお勧めです。
(1)そもそも債券とか金利ってナニ?
(2)日本国債の仕組みをもっと知りたい
(3)株式やFX投資にも役立つ債券相場の知識を教えて
(4)財政危機っていうけど、国債は大丈夫なのか?

初心者向けの講演会ですが、よろしければ下記の拙著を読んだうえで参加していただけるとうれしいです
講演はこの本を読んでいただいた前提でさせていただく予定です。
もちろん本の内容に関わる質問も大歓迎です。必要ないかもしれませんが、懇親会でサインもいたします。
『最新国債の基本とカラクリがよーくわかる本』 久保田 博幸 (秀和システム)
http://www.amazon.co.jp/dp/4798024589

応募につきましては、下記ページからお願いいたします。
http://twipla.jp/events/3428

また、メールでの申し込みやお問い合わせにつきましては下記アドレスにお願いいたします。
contact@ousaka-arthills.com

皆様のご参加、お待ちしております。

久保田博幸
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by nihonkokusai | 2010-12-22 11:01 | 国債 | Comments(0)

来年度の国債発行、総額は大きく増加するが市中消化分は小幅増加に

 12月20日に開催された国債市場特別参加者会合では、来年度の国債発行計画について財務省と参加者の間で意見交換が行われた。

 冒頭に財務省から説明があり、国債発行計画は44兆円に抑えるべく予算編成作業が進められていること、借換債については概算要求では約115兆円としていたところ、仮に特別会計仕分けの結果への対応として買入消却の財源を国債整理基金の取崩しとするならば、数兆円規模で減額できる可能性がある点が示された。また、財投債については概算要求での15.5兆円より下回る可能性がある。

 そして、カレンダーベース市中発行額については、前倒し債の発行減額による調整分により増額をある程度抑制することが可能であるとの説明があった。

 今年度の国債発行総額は162.4兆円である。このうち借換債が102.6兆円であり、来年度の借換債は概算要求で約115兆円と大幅に増える見込みとなっている。その分、総額も増加する見込みだが、国債整理基金残高を活用した繰上償還が実現すれば、それは最大4兆円規模での借換債の減額要因となる。また、財投債も概算要求を下回る可能性があるようでそれも減額要因となりうる。

 そして、前倒し債の発行額による調整分については10兆円規模が想定され、その結果、来年度の国債発行の総額は大きく増加するものの、カレンダーベースでの市中消化額はわずかなものにとどまる見込みとなる。

 前回の会合では超長期債に加えて、中期債の増額を求める声もかなり出ていたが、今回の会合では中期債の増額はせずに超長期債の増加のみを指摘する声が多かった。大方の意見は30年債、40年債ともにそれぞれ一回あたり1000億円ずつの増加とするものであった。発言内容からもほぼコンセンサスは固まっているような感じであった。

 中期債の増額については「昨今の中短期ゾーンの不安定さ」などが指摘され、「ここもと価格変動性が大きいことを鑑み、なるべく増額は控えた方がよい」との声が出ていた。

 11月に大手銀行が2兆8905億円もの国債を売却していたことが、20日に発表された公社債投資家別売買高で明らかになった。期間別で見ると超長期債を約3367億円、長期債を約9969億円、中期債を約1兆6646億円売り越しており、特に中期ゾーンの売りが目立っていた。この動きを踏まえて、中期ゾーンへの増額については慎重な見方をするようになったものとみられる。

 いずれにせよ総額そのものが増加する割には市中発行額は抑えられることで、これによる国債需給への懸念は抑えられよう。財務省も前倒し発行などにより、少しでも国債への需給懸念を押さえ込んでいる。しかし、年間170兆円規模という巨額の国債が発行されることに変わりはない。さらに再来年度以降についても、同様規模の国債が発行されることが予想される。足元の国債需給は問題なくとも、先々のことを考えれば安心していられるような状況にないことも確かである。



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by nihonkokusai | 2010-12-22 10:13 | Comments(0)
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