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「フラッシュ・クラッシュ再考」

今年もあと1か月あまりを残すこととなったが、今年のマーケットを振り返るにあたり、5月6日の「フラッシュ・クラッシュ」も今年注目すべきマーケットの出来事のひとつであった。本日、都内での西村日銀副総裁の講演「電子取引と金融市場」において、フラッシュ・クラッシュについて触れているが、その前にフラッシュ・クラッシュとは何であったのかを再確認してみたい。

今年5月6日、米国株式市場はダウで一時前日比1000ドル近くまで下落し、ザラ場中での過去最大の下げ幅となった。しかし、この下げは一時的なものであり、その後、急回復した。もう少し具体的に見ると、この日の午後2時40分過ぎ頃、ダウ平均は5分間程度で600ドル近く下落し、一時前日比で995.55ドルも下げた。しかし、その後わずか1分間程度で下げ分のほとんどを取り返すなど、過去に例のみない乱高下が起こったのである。これは、フラッシュのように一瞬で株価が急落したことで「フラッシュ・クラッシュ」と呼ばれた。

ニューヨーク証券取引所などでは、結局、2時40分以降で最新の価格から60%以上下げた約定を全て取り消すと発表した。その数は2万件以上となったようである。

これは当初、システム取引による誤発注とみられたが、米国の商品先物取引委員会と証券取引委員会による調査によると、アルゴリズムによる1つの大口売り注文の自動執行が他のアルゴリズムを混乱させたと指摘された。つまり、市場参加者の多くが、買い注文の執行を見合わせた結果、市場流動性が急減するとともに、異例なほどの価格の乱高下を引き起こしたと分析されたのである。また、アルゴリズムによる裁定取引がその影響を拡大させ、幅広い銘柄で価格の瞬落を招いたとされている(西村日銀副総裁講演より)。

西村日銀副総裁は、「アルゴリズム取引が平時に市場の安定に寄与する可能性があるといっても、それは想定外の出来事や未知の不確実性が顕在化していない状況に限られます。機械的なアルゴリズムは、想定外で前例のない出来事に対して、良識を持った人間のように適切に対応できるわけではないでしょう。」と指摘している。

ただし、こういった事故を防ぐにはアルゴリズム取引で想定外の動きの兆候が出た際に機械的に探知し取引を中断させ、人間の手で想定外の動きの原因を探る必要がある。そのためには高速なアルゴリズム取引を前提としたサーキット・ブレーカーなどの制度化をより進める必要がある。

西村日銀副総裁はまた、フラッシュ・クラッシュの共同報告書の背後にある研究論文で、興味深い事実を発見したことを指摘している。

「同論文は、価格急落の終盤にかけて流動性が急減する中で、一部の高頻度取引業者が売買を活発化したと指摘しています。これは、流動性が急減した市場、すなわち平時に高頻度取引業者の取引相手となる市場参加者が不在となった市場において、こうした高頻度取引業者の間でアルゴリズムによる機械的な高速売買が繰り返されたことを示唆しています。こうした状況は、ごく短い時間に価格のボラティリティを高めたと考えられます。」

つまりこれはコンピュータによるプログラム取引の暴走とも言えるものであったとの指摘であろう。

高頻度取引業者以外の市場参加者の需給が大きく偏る中では、高頻度取引によって供給される短時間の流動性だけでその偏りを均すことは非常に困難となり、高頻度取引業者は、市場のファンダメンタルズではなく、むしろ微小な価格変化の方向性に応じて売買するため、仮に需給の不均衡がある中で、そうした機械的なトレーダーが市場の大勢を占めた場合には、市場価格がファンダメンタルズから急速に乖離していく可能性があり、フラッシュ・クラッシュは、これを示す顕著な例といえると西村副総裁は指摘している。

流動性供給という意味では、短時間で売り買いを繰り返す投機的な動きをする参加者はある意味不可欠である。必要悪とも言えるかもしれない。私も債券ディーラー時代は先物を主体に頻度の高い売買を行ってきた経験があるため、その存在は必要であるとの認識である。ただし、これをいま機械が行っているという事実には、多少なり不安も覚える。しかも、取引所のシステムはまさにこういったアルゴリズムによる取引を円滑に行える方向に整備が進んでいることも、個人的には憂慮すべきことではないかと思っている。相場は機械ではなく人が作るものであるという基本的なことが忘れ去られつつあるように思われるためである。
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by nihonkokusai | 2010-11-30 08:37 | 投資 | Comments(0)

「国債の知識、財政法を発行根拠法としている建設国債」

財政法を発行根拠法としているのが建設国債である。財政法の四条に記載されているため、四条国債とも呼ばれている。

財政法第四条
   国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。
2  前項但書の規定により公債を発行し又は借入金をなす場合においては、その償還の計画を国会に提出しなければならない。
3  第一項に規定する公共事業費の範囲については、毎会計年度、国会の議決を経なければならない。

財政法では、健全財政主義の原則に基づき、基本的に国債の発行で財政を運用することを禁止している。これは、戦前・戦時の軍事費調達のために巨額の公債が発行され、その大部分が日銀で引き受けられた結果、戦後の激しいインフレーションの発生となったことに対する反省が一つの契機であったとされている。このため、国の歳出は原則として租税等によりまかなうべしとの非募債主義(国の財政は基本的に国債によらないとするもの)をとっている。しかし、公共事業費と出資金、貸付金の財源とする投資的経費に限っては財政法により国債の発行が認められており、そのために発行される国債が建設国債である。

建設国債は公共事業などの財源となり、国の資産を形成するために発行される。道路や下水道、ダムの建設といった公共事業は多額の資金が必要とされるが、我々は将来も出来上がった設備・施設の恩恵を受ける。また、このような社会基盤が整備されれば、産業の育成などに貢献し、我々の生活にもプラスとなり、将来の税収入が増える要因となることも期待されるというのが、建設国債の発行を正当化する理由となっている。

つまり負担の世代間公平という考え方に基づいて公共事業等に限り国債発行を認めているものとも言える。これはドイツの連邦基本法115条、イギリスではブレア政権が1998年に策定したゴールデン・ルールにおいて同様の原則が規定されている。

ただし、公共事業の財源に充てるために国債を発行するには、国債の議決を経た金額の範囲内としなければならない。この国会の議決は予算総則によって受けることになっている。
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by nihonkokusai | 2010-11-29 10:18 | 国債 | Comments(0)

「白川総裁による日本型デフレの解説」

11月23日に香港での白川日銀総裁の講演内容が日銀のサイトにアップされた。この中で、白川総裁は「日本型デフレ」について解説を行っている。

白川総裁は、グーグルで「日本型デフレ」をキーワードに検索すると、本年7月以降11 月半ばまでのヒット件数は約100万件と、年前半の約40万件から急増している点を指摘していた。もちろんこの検索は日本語ではなく英語の「Japanese-style deflation」で行ったものであろうが、どうやら日銀はインターネットを使ってワード検索もデータ収集の一環として行っているようである。

この講演の中で、白川総裁は日本の経験やその教訓を誤って解釈しているのではないかと指摘している。総裁の理解するところとして、日本の成長率の低下の要因として以下の3つをあげている。

第1の理由がバブル崩壊の直接的な影響であり、過剰な設備、雇用、債務という3つの過剰の解消が必要であったこと。

第2の理由として、1980年代後半から1990年代にかけて世界規模で起こった規制緩和、グローバリゼーション、情報通信技術革命といった大きな潮流の変化に対して、日本企業がうまく適合できなかった点を指摘している。日本の企業は、過去の成功の記憶に囚われ、グローバル経済に生じた大きな変化への対応が遅れたとしている。

第3の理由として高齢化や人口減少の影響をあげている。

第1の理由と第3の理由は、よく指摘される点ではあるが、第2の理由による影響に関しては今後のデフレ解消に向けて新たな視点を与えることになるのではなかろうか。

そして、デフレの問題には賃金による影響も大きいことをあげている。物価上昇率が低下するにつれ、賃金がより伸縮的に設定されるようになり、名目賃金の伸縮的な調整はサービス価格の下落という形でデフレの原因になったとしている。

現在の米国経済について、この日本の教訓がどう生かせるかについても言及している。総裁は米国でのバランスシートの修復はまだ時間が掛かるとしているが、その間に経済の供給面の重要性への配慮が必要であるとしている。

需要の急激な落ち込みを防ぐ上での緩和的な金融政策は重要であるが、低金利の持続は新陳代謝を不活発化することによって、生産性の上昇を阻害する可能性も指摘している。

米国は日本よりも経済構造が柔軟であること、また、人口増加率が+1%程度と日本のバブル崩壊後に比べて高いことは、強みとして指摘できるとしているが、このあたりの日本の状況との違いは認識しておく必要がある。

ただし、バブル崩壊後の長引く経済低迷の中では、社会の不満が高まる結果、長い目でみて効率性に悪影響を与える政策が採られがちであることを指摘している。

 これは現政権を含めて、バブル崩壊後にとられた日本政府による対策を意識しての発言であるかのように思われる。また、その政府の対策に呼応して実施してきた日銀の金融政策を含めての発言であるのであろうか。そして、日本の経験をミスリードしているというのはこの点も含めてのものなのであろうか。

総裁は潜在成長率の低下傾向に歯止めをかけることは、「どの国にとっても決して容易なことではありませんが、それに成功するかどうかが失われた10年と呼ばれる事態を避ける大きな鍵を握っているように思います」としている。

さらにバブル発生の要因のひとつとして、長期にわたって継続した金融緩和もあげていた。その理由として、低いインフレ率が続き、経常収支の黒字の圧縮に向けて強い対外的な圧力を受け、経常収支の黒字を圧縮するためには内需の拡大が必要であり、そのために、緩和的な金融政策が必要という議論が強力に展開されたことや、為替レートが円高に向かうことへの懸念、を指摘している。

このため、金融政策運営は、物価安定の下での持続的な経済成長を実現するという国内経済の安定を目的に運営する必要があるとして、為替レートや経常収支を金融政策の目的とすると、国内経済の安定が損なわれうる可能性を指摘している。

これは過去の日本の金融政策の反省を踏まえた発言であろう。それでも、もし日銀が過去に戻れたとして、あらたに金融政策をやり直せるとしたならば、具体的に何をしたのであろうか。そのあたりについても聞きたいところではある。
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by nihonkokusai | 2010-11-26 10:33 | 日銀 | Comments(0)

「長期金利のコントロールは可能か」

23日に11月2、3日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨の中では、追加の資産購入により、この場合の資産は米国債であったが、長めの金利の低下を促すことにより、生産と雇用の回復を後押しし、物価を目標とするレベルへ引き上げが可能としている。その経路について疑問視される部分も多々あるが、今回はそれについてではなく、そもそも長期金利のコントロールが可能であるのかという点について触れてみたい。

中央銀行の金融調節の目的はあくまで短期金利のコントロールであり、市場で決定される長期金利はコントロールできないというのが一般的な認識であると思われる。ただし、市場への期待に働きかけることでのコントロールが試みられることはある。

もし長期金利を完全にコントロールしようと思うと、市場を完全な統制下におく必要がある。さらに海外での影響を排除するために、海外と隔離された国内市場を形成する必要もある。これは戦前・戦中の日銀による国債引受が実施された際にも日本で取られた手段である。

また、国債市場そのものの規模が小さく、また金融機関への引受が主体となっている際などもある程度のコントロールは可能である。これは戦後の日本でも銀行のディーリングが認可される以前に見られたものである。

しかし、これだけ市場経済が発達している中にあってさらに国債市場規模が大きくなっているとなれば、国債価格をコントロールすることは不確定要素があまりに多く存在することも手伝い、不可能に近い。その価格を安定させることが難しいことは、QE2後にむしろ米長期金利が反転上昇していたことからも明らかである。もちろん期待が先行して、あまりに長期金利が低下してしまった反動と言えばそれまでだが、将来のインフレへの懸念により上昇していた面もあり、このあたりは市場の期待に働きかける難しさも垣間見せている。

それでは日本ではどうであろうか。デフレ下にあり、国債が国内資金でほぼ賄えているだけに、海外要因にはあまり振り回されることなく、コントロールが一見可能のように見える。確かに1998年末から1999年初めにかけての運用部ショックによる長期金利の上昇以降は長期金利は2%以内に抑えられてはいる。しかし、これは決して日銀の金融政策だけによるものではない。そもそも日銀は長期金利上昇を抑制しようとして金融緩和策を行っているのではなく、反対にデフレから脱却させようとしている。それはつまり、むしろ長期金利については上昇する方向に働きかけているわけだが、一向にデフレが解消されずに長期金利は低位安定するという結果となっているのである。

米国よりも日本で長期金利のコントロールが可能かどうかが真剣に議論される時期がいずれくる可能性がある。その際には、債務悪化を背景とした長期金利の急上昇にどのように歯止めがかけられるのか、ということが議論されることになろう。しかし、その際には金融政策によるものには限界がある。もちろん日銀引き受けの国債発行などは財政規律の緩みが意識され、さらなる長期金利の上昇を招く。それよりも、そういった長期金利の上昇を引き起こさせないための予防的な措置が必要である。そのために最も効果的なのは財政健全化であることは言うまでもない。
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by nihonkokusai | 2010-11-25 08:34 | 債券市場 | Comments(0)

「国債の知識、国債発行における決めごと」

前回の「国債の概念」で見てきたように国債の概念については財政法にあるが、それでは国債の発行にはどのような決めごとがあるのであろうか。それは憲法の第85条にある。

憲法 第85条 国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。

国債を発行するということは、国が債務を負担するということであり、そのためには憲法の規定により国会の議決に基づくことが必要とされている。つまり、日本の国債は憲法に基づいて、議会つまり国会の議決により発行されている。参考までに、米国では、合衆国憲法第一条第8項に、連邦議会の権限として、合衆国の信用に基づいて借入をすること、との規定がある。

憲法にある国会の議決とは、特に定めがないことから、法律によっても、予算によっても、あるいは他の形式でも差し支えはないものとされる。しかし、国債を発行する場合の議決はすべて法律という形式をとっている。

国債には建設国債、特例国債(赤字国債)、借換債、財投債という種類分けができるが、それぞれに発行するための発行根拠法が存在している。建設国債の発行根拠法は財政法第4条にあるように、公共事業費の財源として発行されるものである。それに対して赤字国債は発行されるたびに特別法を制定し、特例により発行されるたことで特例国債とも呼ばれているのである。

さらに発行目的による国債の分類として歳入債、繰延債、融通債という区分けがある。歳入債とは普通国債とも呼ばれ、様々な歳出需要を賄うための歳入を調達する目的で発行する国債で、新規財源債(建設国債と特例国債)と借換債、そして財政投融資特別会計国債(財投債)などが含まれる。

繰延債とは財政資金の支出に代えて国債を発行することにより、その国債の償還日まで支出を繰り延べる目的で発行される国債である。交付国債や出資・拠出国債が該当する。融通債とは国庫の日々の資金繰りを賄うための資金を調達する目的で、政府短期証券(FB)と呼ばれる一時的に発行される国債で財務省証券,食糧証券,外国為替資金証券、財政融資資金証券のことを指す。
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by nihonkokusai | 2010-11-25 08:33 | 国債 | Comments(0)

「10月の都銀は長期債を大幅買い越し」

10月の公社債投資家別売買状況が日本証券業協会から発表された。短期証券を除いた公社債投資家別の売買高は都市銀行(長信銀等を含む)が9927億円、地方銀行10,437億円、信託銀行-8,210億円、 農林系金融機関3,733億円、第二地銀協加盟行3,346億円、信用金庫7,765億円、その他金融機関4,018億円、生保・損保5,636億円、投資信託2,024億円、官公庁共済組合272億円、事業法人3,197億円、その他法人1,594億円、外国人5,778億円個人-271億円その他-52,399億円、債券ディーラー2,488億円となった(マイナスは売り超し)。

また、国債の投資家別売買状況を見ると都銀は長期債を21,070億円買い越した半面、中期債を12,063億円、超長期債を3568億円売り越していた。また、超長期債は生損保が6982億円の買い越しとなっていた。この期間分けは発行時のものであり、実際の残存期間は異なる可能性はあるが、それでもメガバンクが10年債主体に大きく買っていたことは確かであると思われる。
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by nihonkokusai | 2010-11-22 12:59 | 国債 | Comments(0)

「国債整理基金特別会計の積立金の活用法」

11月18日の国債市場特別参加者会では、「先般行われた特別会計の事業仕分けにより、国債整理基金残高を活用した繰上償還を検討することになっており、具体的なことは現在検討中であるが、仮にこれを実施して買入消却を行う場合、借換債発行額の減額要因となる可能性もあると考える」との説明があった。 (財務省、第34回国債市場特別参加者会合議事要旨より)

先月開かれた行政刷新会議の事業仕分け第3弾では、積立金制度の維持を判定する一方で、積み立て基準を見直し、一部を国債償還に充てるべきだとの意見が相次いだ。国債整理基金特別会計での積立金は2009年度末で12.5兆円規模となっている。

この中で評価者のコメントとして「オペレーショナルなリスクに十分配慮しつつ、資金が一時的に滞留する場合には、一層の信認向上のため、繰上償還に充てることも検討する(一般会計に繰り入れることは厳に慎む)」との意見も出されていた。

また「不測のリスクに備える部分を除いた積立金の一部は、国債償還にまわせるのではないか。その方が財政規律を重んじて国債の信用を高めることにつながる。積立金が一定規模を超えると埋蔵金として目をつけられてしまう。」との意見も出ていた。

今回、財務省からは、過去の実績を基に9兆円から10兆円程度の積立金の規模は確保したいと説明があったようである。2010年末の積立金は14兆円程度が見込まれるため、差引で最大4兆円程度を償還財源に充てることができる計算となる。積立金の活用は法改正が必要なく、緊急時には今年度中にも取り崩すことが可能。もしこれが実施されれば来年度の借換債の発行額を最大4兆円規模で抑えられることが可能となる。

政府は来年度の国債発行額を今年度並の44兆円規模に抑えることを目標に掲げているが、そのためには新たな埋蔵金の発掘も必要となるとみられている。このため、この積立金の活用分は埋蔵金として目をつけられる可能性ないとは言えず心配な面もある。

事業仕分けの際には、この積立金を埋蔵金として使うことは厳に慎むとの意見も付言され、財務省からも、積立金による国債発行の減債制度が財政規律を確保するための重要な柱になっているとの説明があった。
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by nihonkokusai | 2010-11-22 10:28 | 国債 | Comments(0)

「来年度の国債発行計画について」

18日の夕方に開催された第34回国債市場特別参加者会合では、来年度の国債発行計画に関して財務省から下記のような説明があった。

「来年度の発行計画について、現時点で判明している状況を説明すると次のとおり。発行根拠法別発行額としては、新規財源債については本年度と同様の44兆円に抑えるべく現在予算編成作業が進められている。借換債については、買入消却を本年度当初計画と同額の3兆円と置いた場合の財源を含めて、約12兆円増の115兆円で概算要求を行っている。財投債については、概算要求では本年度と同額の15.5兆円となっているが、来年度財投計画における財政融資の規模、財投償還金及び財融回収金、預託金の見通し等によって決まってくるため、現時点ではまだ何とも言えない。」

「一方、本年度中の来年度からの前倒債の発行見通しについては、まず増額要因として、昨年度の新規財源債のうち出納整理期間発行分が減額となったことや財投債の不用分の影響、さらに本年度に入ってからの第Ⅱ非価格競争の上ぶれ分がある。減少要因である個人向け国債等の減少分と15年変動債と物価連動債の発行仮置き分を差し引いても、現時点では10兆円程度に積み上がる見込みとなっている。したがって、来年度は前倒債の発行減額によって市中発行額をある程度抑制することも可能と考えられる。」

「なお、先般行われた特別会計の事業仕分けにより、国債整理基金残高を活用した繰上償還を検討することになっており、具体的なことは現在検討中であるが、仮にこれを実施して買入消却を行う場合、借換債発行額の減額要因となる可能性もあると考える。」

ひとつずつ整理してみたい。まず、新規財源債については政府は今年度並に抑えるとの目標を掲げており、多少、無理してでも抑えてくる可能性があり、44兆円と置く。財投債については不透明要因は残るが現時点では今年度と同様の15.5兆円とする。そして、借換債については概算要求時点で115兆円となっている。

国会に提出された今年度補正予算案の中の特別会計の予算総則に関する補正で、国債の前倒し債の限度額が当初の12兆円から20兆円に引き上げられたが、この前倒し債の発行については、差引で10兆円規模が想定される。その分、来年度のカレンダーベースでの国債発行額の抑制が可能となる。

また、国債整理基金残高を活用した繰上償還がもし実現すれば、それは最大4兆円規模での借換債の減額要因ともなる。

参考までに今年度の当初予算での国債発行予定額は、新規財源債が44.3兆円、借換債が102.6兆円、財投債が15.5兆円で合計162.4兆円となっている。そしてカレンダーベースでの市中発行額は144.3兆円である。

議事要旨による出席者のコメントからは、カレンダーベース市中発行増額は3.6兆円程度と想定している向きが多いようである。増額する年限としては30年、40年とするとの意見がほとんどのようで、ある程度、年限に関してのコンセンサスは固まっているように思われる。また、流動性供給入札に関して減額を希望する声も強まりつつあるようである。
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by nihonkokusai | 2010-11-19 11:24 | 国債 | Comments(0)

「国債の基礎知識、国債の概念とは」

来年度の予算編成に向けて、政府の動きが本格化してきた。本日の16時からは平成23年度の国債発行計画等について話し合われるPD懇が開催される。来年度の予算編成とそれに伴う国債発行をみるために、あらためて国債の基礎的な部分を確認してみることにしたい。今回はその第一回として「国債の概念」を取り上げた。

国債とは広い意味では、国が負担するすべての債務のことを指しており、供託金等の返還や公務員に対する給与支払い債務なども含まれる(以下、「国債」大蔵省財務協会を参考)。

しかし、通常は国債とは国が負担している金銭貸借債務のことを意味する。これは国債整理基金特別会計法の国債に対する概念と同様であり、この第2条には、「財務省証券其の他の融通証券、借入金及一時借入金並に割賦の方法を以て償還する交付国債は之を国債と看做さす」とあり、融通証券、借入金及一時借入金も国債の概念に含まれる。

国債の概念には、国債に対して証券の発行を伴うという限定的な意味は含まれてはいないが、一般的に国債と言えば原則として証券発行をともなう国の金銭債務として捉えられている(ただし現在は証券の発行はされずにペーパーレスとなっている)。

12世紀に北イタリア諸都市において発行された貸付債券や、その後のオランダやイギリスで発行された国債が現在の国債の起源とされているが、これは証券発行をともなう国の金銭債務とみなした場合の国債の起源となる。

財政法の第4条には、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。」とある。

そして、財政法第7条には「国は、国庫金の出納上必要があるときは、財務省証券を発行し又は日本銀行から一時借入金をなすことができる。」とある。

財務省証券とは一時的な国庫の資金繰りなどのために発行される政府短期証券(FB)のひとつであり「融通証券」とも呼ばれる。この政府短期証券と借入金については、第4条にある国債と、厳密に言えば区別されたものとも言える。このため、政府短期証券や借入金及一時借入金については国債には含まれないとする狭義の概念も存在しているのである。
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by nihonkokusai | 2010-11-19 11:17 | 国債 | Comments(0)

「はやぶさと日本国債」

小惑星探査機「はやぶさ」の前人未到の快挙については言うまでもない。もちろん人ではないため前人未到との表現はおかしいかもしれなが、目的を遂げて健気に必死に地球に戻ってきた姿はまさに機械に魂が存在していたかのような錯覚すら覚えた。

それはさておき、「はやぶさ」の持ち帰ったサンプルが小惑星「いとかわ」のものであるとの発表に関しては、読売新聞などが事業仕分けのタイミングを計ってのものかとの観測も記事にしている。「はやぶさ」を葵のご紋の入った印籠のごとく使おうとした可能性は否定できないかもしれないが、それでも日本の基礎技術の育成に関しての費用削減については、今後の日本の経済成長のためにも再考する必要があると思う。

その事業仕分けの目的はもちろん歳出削減である。膨大に膨れ上がった日本の政府債務に対して、今後その積み上げを少しでも軽減し、いずれ債務そのものの削減に取り掛かる必要がある。そのためには増税や歳出削減は必要となろう。もちろん今後の日本経済を支えるようなものは残さなくてはいけないが。

しかし、増税については選挙に影響が出るとのことで政府は二の足を踏んでいる。さらに歳出削減についても、肝心の社会保障費などに踏み込まない限りは、債務削減に効果があるほど金額には到底追いつかないのが実情である。

政府は来年度の新期財源債を今年度の44兆円規模に抑えるというが、その44兆円規模そのものが過去最大級に近い大きさであることを忘れてはならない。

これまでのところ、日本のデフレの長期化とともに、国債への国内需要も依然としてあり、そして財務省の国債管理政策により、長期金利は低位安定し続けている。むしろ低位安定し過ぎるぐらいである。「はやぶさ」で言えば、順調に飛行を続けている状況となっている。しかし、「はやぶさ」が一時コントロールを失ってからの制御はまさに神業的なものであったと同様に、日本の債務残高が意識されて長期金利がコントロールを失うと、その制御もかなり難しいものになりかねない。

「はやぶさ」では、もしものことを想定して事前にいろいろな工夫が施され、それがミッション成功につながった。日本の長期金利のコントロールが失われた際にも、そういった対処は可能であるのであろうか。それよりもコントロールを失う前に、コントロールを失わせる要因そのものを排除しておく必要があろう。もちろんそれは政府債務のコントロールである。

長期金利がコントロールを失うまでの時間はあまり残されているとは思えない。すでに1000兆円近くに膨れ上がっている政府債務残高に対し、毎年40兆や50兆円規模で新期国債が発行されている状況が今後何年間も続けられること自体が、まさに神業だと思われるためである。
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by nihonkokusai | 2010-11-18 10:56 | 国債 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
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