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「11月1日より牛さん熊さんの本日の債券がQUICKで御覧いただけます」

11月1日より「牛さん熊さんの本日の債券」がQUICKさんの端末にて配信されます。毎営業日の朝と大引けあとに御覧いただけます(一部、御覧いただけない端末もあるそうです)。また、昼にはコラムも一本、配信させていただく予定です。

ぜひ、お手元もしくはお近くにQUICKの端末がある方はご覧いただけるとうれしいです。

また、メルマガ(有料)でも「牛さん熊さんの本日の債券」を配信しておりますので、こちらもご利用いただければと思います。メルマガはパソコン向け配信となっておりますが、PCメーラーをご利用いただければスマートフォンにてもご覧いただけます。

メルマガは登録申込当月分の1か月は無料でお読み頂けます。価格は税込で月額1050円です。ぜひお申込みください。ご登録はこちらからお願いいたします。 http://www.mag2.com/m/0001185491.html
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by nihonkokusai | 2010-10-31 19:23 | 債券市場 | Comments(0)

「事業仕分けは来年度の国債発行計画にも影響か」

現在、事業仕分け第三弾で特別会計についての仕分けが行われているが、この結果次第では来年度の国債発行計画にも微妙な影響を与えることが予想される。昨日は「国債整理基金特別会計」の仕分けが実施され、枠組みのあり方としては「現状の制度を継続、事務事業費については一般会計に移管し、国債整理基金特別会計は純粋な整理区分特別会計とするよう検討」するとした。

事務事業費については同特会から国債の広報活動のなど経費を支出しており、「国債の整理に特化すべきだ」との意見が相次ぎ、事業費を一般会計に移すよう検討が求められた(毎日新聞)。

また資金のあり方(積立金の取扱い)については、「現状維持、わが国の国債への信認向上につなげるべく、オペレーショナルリスクに十分配慮しつつ、繰上償還に充てることも含めた検討を行う」とした。

http://www.shiwake.go.jp/data/pdfs/302.pdf

積立金のあり方については、「オペレーショナルリスクに十分に配慮しつつ、国債の信認の一層の向上に資するのであれば繰り上げ償還に充てる、ということが適切かも含め、財政当局においてメニューのひとつとして検討してほしい。見直しの評価者もあくまで信認向上のひとつの方策として上記の検討を行うべきとのコメントとなっている。なお、一般会計への繰入れについては厳に慎むべき、とのコメントがあったことを付記する。」とある。

つまり、これは12兆円に達する積立金を国債の繰り上げ償還に充てることを検討するよう求める判定をしたこととなり(毎日新聞)、もしこれが実施されれば来年度の借換債の発行額がその分抑えられることが考えられる。ただし、実際に実現されるかどうかはまだ不透明ではある。

毎日新聞によると、今回の仕分けでは、複数の仕分け人が、積立金を満期が来ていない国債の前倒し償還に充てれば、債務残高が減り、長期的に見て金利負担が減らせると主張し、「残しておくと、埋蔵金として一般会計に充てる誘惑に駆られる」との意見も出たそうである。

ただし、財務省側からは、「災害などで国債が発行できなくなるなどの突発的事態に備える上で、積立金は必要」と主張。最終的に「突発的リスクに十分配慮する」とした上で、前倒し償還の検討を求める判定となった。積立金を「埋蔵金」として使うことは「厳に慎む」との意見を付言したそうである。

http://mainichi.jp/life/money/news/20101029k0000m020107000c.html

また、地方自治体へ交付金を配布する特別会計に国が借り入れた33兆円を超える借金があり、この特別会計の借金返済を今後どのように進めるのかについても議論されるとNHKで報じられているが、それによっては予算そのものに影響が出る可能性もある。

今後も財政投融資特別会計、外国為替資金特別会計などの事業仕分けの動向なども国債発行額に影響を与える可能性がある。
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by nihonkokusai | 2010-10-29 14:43 | 国債 | Comments(0)

「FEDの神格化の崩壊の恐れと日銀の後ろ向きな予防線の危険性」

今回、FRBは明らかに大きなミスを犯した可能性がある。本来であれば市場参加者は中央銀行の動きを逐一追って、金融政策の行方についてコンセンサスを形成させる。このためにFEDウォッチャーや日銀ウォッチャーと呼ばれる人たちが存在する。そのコンセンサスの形成にあたっては、金融政策に関わる人物の発言などが重視されることは言うまでもない。つまり、その市場のコンセンサスをうまく誘導させることで市場に金融政策の影響を織り込ませ、それによる効果をもたらそうとする。

ただし、これにはかなり市場動向にも精通していることも必要となる。そうでなければ、市場のコンセンサスをうまく誘導するどころか、思わぬ方向に導いてしまうことにもなりかねない。今回のQE2と呼ばれる追加緩和観測については、FRBはこの誘導を明らかに間違えている。

12日に発表されたFOMCの議事要旨で、追加緩和の具体策として主に長期国債の追加購入と、インフレ期待に影響を与えうる施策が議論されていたことを明らかにした。バーナンキ議長は15日の講演で、FOMCの声明文にある超低金利政策を、長期間に渡って続けるとの文面を市場の期待以上に強化する考えを示した。加えて16日にはシカゴ連銀のエバンス総裁は、「FRBはインフレが目標を上回るのを当面大目に見ることで、低すぎる水準のインフレを容認できる水準に戻すことが可能になろう」と述べた。

足元のディスインフレがデフレに転じる前に、多少のインフレ覚悟で、積極的な追加緩和を行う姿勢を見せたわけだが、これを市場ではむしろ将来のインフレへの懸念と受け止めていった。FRB関係者からの発言内容がまちまちとなっていたことで、それがむしろ不透明感を強める結果となり、期待よりも不安を強めることとなった。

米10年債利回りは8日の2.33%を底に次第に上昇に転じ、27日には2.7%台をつけてきた。25日に実施された米5年物インフレ連動債入札において落札利回りが初のマイナスになったことが、インフレ懸念の強まりを示す象徴的な出来事となった。

さすがにここまで債券市場が不安定となったことで、FRBが国債購入規模予想で政府証券公認ディーラーに今後6か月間の資産購入規模の予想やその利回りへの影響について調査を行うという異例の事態に発展したのである。つまりこれは、FRBは市場を誘導するどころか、自らの金融政策の影響そのものの自信を喪失させたことの現れとも言える。このようなことはFRB議長が神格化されるほどの米国では考えられない異常事態と言える。

この動きを見る限り、11月2日から3日のFOMCでは国債の買入れは小出し作戦になるとみられ、物価水準目標などが同時に打ち出される可能性は大きく後退したと思われる。そして、FRBの威厳そのものも後退してしまう可能性がある。

そして、日銀はこのFOMCの結果による相場変動に備える意味からか、次回の金融政策決定会合を予定されていた11月15日から16日から11月4日から5日に前倒しすることを発表した。この理由として日銀はETFとREITの買入れを早期に実施できるよう基本要領の審議・決定等を行うためとしている。しかし、日銀の最高意思決定会議、つまりは日本で最も注目される重要会議のひとつである決定会合の日程を早める理由にしてはあまりに軽すぎる。特にここにきて株式市場や不動産市場が危険な動きを見せているわけでもない。しかも結果からすれば前倒しの日程はわずかに一週間後に迫る。それほどの緊急性を持った変更なのである。

この日程変更はどう考えても、FOMCを睨んでのものであろう。前回の8月10日のFOMCでのMBSの償還資金による国債への再投資という実質的な量的緩和策の導入を行ったが、当日の日銀の決定会合ではある程度FRBの動向は読めていたはずながら、この影響を読み間違えたのかこのタイミングで何もせず、それが円高を招いたとの批判を受けた。このトラウマも残ってか、今回はFOMCの動向を見てすぐのタイミングでの日程に、なぜか今になって変更したものと思われる。

市場が不安定になっていればこそ、ある意味、日銀は予防線を張ったとも思われるが、実はこれはこれで日銀にとっても正念場となる可能性がある。日銀はこれまでも政治家やマスコミなどからの批判も受けやすくなっていた。8月の汚名挽回とばかりに、10月5日には市場でもサプライズとなる包括緩和を実施した。これでやっと市場やFRBに対しても先手を取ったということともなろうか。この日銀の包括緩和が少なからずFRBの動向に影響を与えた可能性もある。通貨安競争のためにも、よりインパクトのあるQE2をと市場心理を顧みずにFRBが突き進んだ反動が今回出た可能性もある。

今回のFOMCは、史上稀に見る市場との心理戦になる可能性があり、今後のデフレ圧力も意識しながらもFRBは慎重に政策決定を行うであろう。それに対して市場がどのように反応するか、現時点での予測も難しい。つまり日銀は市場動向を読みながらという意味では、かなり不安定な状況下で決断を下す必要があり、FRBと同様に読み間違いをする懸念もありうる。たとえばもしFRBに追随して安易に追加緩和を行ってしまうと、それがまたFRBに跳ね返り、インフレ懸念を再燃させてしまう危険性もある。今回はかなり慎重に事を運ぶ必要がありそうである。
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by nihonkokusai | 2010-10-28 17:54 | 日銀 | Comments(0)

「展望レポートで2010年のコアCPIはプラス0.1%予想」

日銀は経済・物価情勢の展望(展望リポート)を公表した。注目された2011年度の消費者物価指数(除く生鮮食品)は委員の中心値で前年度比プラス0.1%と、7月中間評価の見通しを維持させた。また2012年度は同プラス0.6%上昇とした。また、GDPの見通し(中央値)は2011年度がプラス1.8%、2012年度がプラス2.1%とした。

基準年の変更による影響については、今回も注記で下記のような記述にとどまり、影響は予測値には加味されなかった。

「今回の消費者物価の見通しは、現行の2005 年基準の指数をベースにしているが、統計作成当局は、同指数について2011 年8月に2010 年基準の指数に切り替えるとともに、前年比計数を2011年1月分に遡って改定する予定であることを公表している。その際には、前年比上昇率が下方改定される可能性が高い。」

この注記にもあるように、前年比上昇率が下方改定される可能性が高く、前回の基準年改訂によるマイナス0.5%までの下方修正はなくとも、それに近い修正がはいる可能性があり、実際のコアCPIの物価の予測値は展望レポートの数値よりもさらに低下する可能性がある。
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by nihonkokusai | 2010-10-28 16:21 | 日銀 | Comments(0)

「日銀の基金オペの内容」

基金の総額は35兆円、その内訳として資産買入は5兆円、固定利付方式・共通担保資金供給オペで30兆円。買入資産毎の限度額は長期国債(1~2年) 1.5兆円、国庫短期証券 2.0兆円、CP等 5千億円、社債等 5千億円、ETF 4千5百億円、J-REIT 5百億円。

買入は準備の整った資産から開始し、2011年末に残高が5兆円になるように実施する。

基本要領に基づく利付国債の買入残高は、「金融市場調節方針の変更に関する件」(平成13年3月19日付政委第40号)(案件)3.ただし書きに定める「日本銀行が保有する長期国債の残高(支配玉<現先売買を調整した実質保有分>ベース)」には算入しない。つまり日銀券ルールは適用されない。

国債の買入対象は、長期国債で残存期間1~2年の既発債、国庫短期証券の既発債。コンベンショナル方式による入札となり、入札は下限利回り(0.1%)を設定し、当該利回りから利回り格差方式による。

共通の買入対象先を選定し、長期国債と国庫短期証券の別に買入れを実施する。

買入日、買入金額、買入対象銘柄、買入先その他買入れを行うために必要な具体的事項については、金融市場の情勢等を勘案して買入れのつど決定するものとする。
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by nihonkokusai | 2010-10-28 16:20 | 日銀 | Comments(0)

「次回の日銀の決定会合はFOMCの翌日に前倒し」

日銀は本日の金融政策決定会合において、金融政策は全員一致で現状維持とした。そして、資産買入れ等の基金について具体的な基本要領等を決定した。さらに、次回の金融政策決定会合を予定されていた11月15日から16日から、11月4日から5日に前倒しすることを発表した。この前倒しの理由だが、日銀はETFとREITの買入れを早期に実施できるよう基本要領の審議・決定等を行うためとしているが、これは11月2日から3日にかけて開かれるFOMCを意識したものと見ざるを得ない。

ブルームバーグによると、FRBが国債購入規模予想で政府証券公認ディーラーに今後6か月間の資産購入規模の予想やその利回りへの影響について調査を行った模様である。政策変更に当局が市場にお伺いを立てるという事態は極めて異例と言わざるをえない。ここにきての米債や為替市場の動きなどにかなり神経質になっているものと予想される。

日銀が日程を変更したのも、次回のFOMCでの内容によっては市場に大きな影響を与え兼ねず、その場合には機動的な対応を臨時会合を開くことなく行おうとしたものと思われる。それだけ日銀も今回のFOMCによる影響を注視しているものとみられる。

11月2日から3日にかけて開かれるFOMCにおいて、QE2と呼ばれる量的緩和策第二弾が実施されるとみられているが、ここにきての米債の下落が少なからず、その決定に影響を与える可能性が出てきた。本来ならば、目先の市場の動きが金融政策の舵取りに変化を与えることはないはずである。しかし、日銀が円高を気にして突然に追加緩和をするなどの例外もある。

FRB関係者はバーナンキ議長を含めて、追加緩和策の実施を市場にアピールしてきた。ただし、その中身はまちまちとなり、実際にどの程度の国債買入れが実施されるのか、市場は具体的なイメージを描けずにいる。しかし、問題なのはその金額よりも、追加緩和によるインフレ懸念の台頭である。

ピムコのビル・グロース氏は、FRBによる資産購入再開は30年に及んだ債券強気相場の終わりを告げる公算が大きいとの見方を示したが、その背景にあるのが将来のインフレへの懸念である。ビル・グロース氏の指摘はなくとも、すでに米債の利回りは上昇基調になってきており、10年債利回りは10月8日の2.3%台から27日には2.7%に上昇している。今回の米債の下落は円債にも影響し、日本の長期金利は上昇基調となっているが、日米ともに高値警戒による売りとも考えられる

需給面から言えば、FRBによる国債買入れは米国債にとり買い材料のはずである。さらに足元の物価はインフレどころかディスインフレを示している状況にある。しかし、FRBによる追加の量的緩和はいずれインフレに直結するとの市場認識のほうが上回ってきている。デフレに慣れきった日本とは違い、米国では潜在的なインフレ観測が強いように思われる。

これだけ債券市場でインフレが警戒されているとならば、市場予想を上回るようなサプライズ的な追加緩和はむしろ米債の急落を招く可能性がある。予想されたよりも規模を控えたほうが、まだ市場への影響が少なくなる可能性もあろう。それで市場はインフレ警戒を弱めるのか。それとも対策としては不十分といった反応を示すのか。優柔不断とも言える市場に対し、どうやらFRBも優柔不断な対応を示しそうで、それにさらに備える日銀は果たして何をしようとしているのであろうか。
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by nihonkokusai | 2010-10-28 14:34 | 日銀 | Comments(0)

「財政再建の勧め」

格付会社スタンダード&プアーズ(S&P)は26日に、現在AAA格の英国の格付けの見通しを「ネガティブ」から「安定的」に変更した。S&Pは積極的な歳出削減措置を実施する英政府の決意を評価したとしている

金融危機への対応やその後の景気対策により、英国の財政赤字は今年1550億ポンド(約19兆8千億円)に膨らんだ。政府債務残高は2~3年後に9千億ポンド(約114兆9千億円)、国内総生産(GDP)の70%に達する見通しも出ている。

英国のオズボーン財務相はこの3か月もの間、各閣僚と協議を続け、10月20日に財政再建のため各省庁の歳出を最大で40%減らす「包括的歳出見直し」を公表した。これは「英国の歴史始まって以来」の大きな財政削減案と言える大胆なものである。2015年までに830億ポンド(約10兆6千億円)の赤字を削減する。192の特殊法人を廃止し、公的部門600万人中、49万人の人員を減らす。各省庁への削減は平均19%となるようだが、協議の途中、フォックス国防相がキャメロン首相に「国の安全をおざなりにできない」と直訴する騒ぎも起きたそうである(産経新聞)。

景気回復への影響を懸念する声もあるが、膨大な財政赤字が長期的に経済成長の妨げになるとして、国営医療制度(NHS)と途上国援助を除き各省庁の歳出が見直された。

労働党政権下で増殖した特殊法人についても192法人は不要不急として廃止を決めるなど、英国の事業仕分けは大胆かつ迅速に行われるようである。

削減幅が小さくて済んだのは教育省で管理費を1%減らすが、連立を組む自由民主党の政策を取り入れ、貧困児童への授業料補助を新設するなど教育現場への支出は拡充する。ノーベル賞受賞者を輩出する英国の研究能力は経済成長の将来のエンジンとして、科学予算は名目上維持する。

国防省は8%削減で人員は計4万2千人減。核ミサイル原子力潜水艦の退役を4年間先延ばしした。大なたがふるわれたのは法務省で23%削減。内務省も警察の効率化に取り組む。片方の親の年収が4万3875ポンド(約560万円)を超える家庭への子供手当の打ち切りや、財政的な余裕があるのに受給している就労不能給付にもメスを入れる(以上、産経新聞)。

財政再建で成功した例としては、1990年代でのカナダでの事例がある(以下、拙著「国債の基本とカラクリが良くわかる本」より)。

カナダの財政赤字は1970年代以降、景気低迷の中での歳出拡大、それに伴う国債費増大などにより大幅なものとなり、累積債務残高も急速に増加した。累積債務残高の対GDP比で、1991年度以降、カナダはG7各国の中でイタリアに次いで高い水準となっていた。

このため財政再建が重要課題となり、本格的に財政再建に取り組み始めたのが1993年11月に発足したクレティエン政権であった。同政権では財政赤字削減のために閣僚級のメンバーからなる特別委員会を設置し選挙公約である「3年以内に財政赤字の対GDP比を3%以内に抑える」という目標をもとに財政の立て直しを進めた。その結果、1994年度以降、財政再建は強力に進められ1997年度以降は単年度ベースで財政黒字を計上したのである。

クレティエン政権はプログラム・レビュー(Program Review Tests)を導入し、6つの基準を設定し、これに基づいて全ての既存政策について徹底した見直しを実施した。その6つの基準とは、国民に求められているのかという公共の利益の基準、政府が提供すべきなのかという政府の役割」の基準、連邦政府に適切な仕事なのか州政府の仕事なのかの基準、民間に任せることはできないのかという民営化の基準、効率を上げることはできないのかという効率性の基準、 その結果残った仕事についての費用負担の適切さの基準である。

州への交付金や州との権限関係の見直し、失業保険制度や年金制度の改革、産業補助金の削減、政府企業の民営化やエージェンシー(外局)化、連邦公務員の削減、内閣組織の簡素・効率化などが積極的にすすめられ、各省庁の予算を1994年度から4年間で平均22%も削減した。

歳入についても大規模法人税の税率引上げ、付加法人税の税率引上げ等が実施されたものの、カナダでの財政再建は主に歳出削減により進められていった。ただし、財政再建を進めた時期に、米国経済の回復によりその影響を受けやすいカナダ経済が回復したことも、カナダの財政再建を支えた要因として指摘されたが、カナダの経済に対する信任が国内外で厳しく問われたことで、そうした危機感が国民に共有されたことが、カナダの財政再建を成功させた大きな原動力になったことも確かである。

緊縮財政には経済成長を促す効果があると主張する学者もいる。ハーバード大学のイタリア人経済学者アルベルト・アレシナ教授である。また、増税を含めた財政再建と景気回復を同時に進めることを日本の菅首相が主張したことで物議を醸したこともある。

膨大な財政赤字が長期的に経済成長の妨げになることは確かであり、これは日本の事例を見ても明らかであり、緊縮財政にはいずれ経済成長を促す効果があるとみてしかるべきであろう。ただし、これにはタイミングも重要である。カナダの例では米国の景気回復が緩衝材の役割となり、今回の英国でも26日に発表された第3四半期(7-9月)GDPが予想を上回り、リセッションに落ち込む可能性があるとの懸念が後退していることが、財政再建を後押しさせるであろう。日本でも2000年代に小泉政権下で一時的に財政再建路線が取られたが、この際にも景気回復が後押しさせた面がある。

ただし、日本での財政再建はタイミングを見計らうほどの余裕はすでにない。日本の累積債務は膨らむ一方であり、いつそれが破裂するのかは破裂してみないとわからない状態にある。英国での財政再建は現在の日本にとっても良きモデルとなるはずである。景気回復の妨げとの懸念などよりも、積極的な歳出削減により財政再建を進め、将来の国民の不安を取り除くことこそが今は最重要である。
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by nihonkokusai | 2010-10-27 11:11 | 国債 | Comments(0)

「イングランド銀行による量的緩和策」

2009年3月5日の金融政策委員会(MPC)において、イギリスの中央銀行であるイングランド銀行は、政策金利を0.5%に引き下げるとともに、量的緩和策として英国債を買い入れる方針を発表した。MPC声明文によると国債買入の目的は、中期的なインフレ率目標を達成するためにマネーと信用の供給量の拡大を通じて名目支出を拡大させることとした。

イングランド銀行はすでに広義の量的緩和の枠組みとして、CP、社債、国債を買い入れる制度を導入していたが、この制度の原資として保有していた英国債を銀行に売却していた。しかし、実質的な量的緩和の導入により、国債売却による資金吸収の必要がなくなった。さらにこのBOEの国債買い入れに対し政府は損失補償の契約を結んだのである。ちなみにイングランド銀行による国債の引受は明示的には禁止されていないが、実施されているわけでもない。ドイツやフランスなどはマーストリヒト条約により中央銀行による国債の直接引受を行うことはではない。

その後、追加緩和策により量的緩和策の拡大を計ってきたが、2010年2月4日にイングランド銀行は、2000億ポンド規模の資産買い取りプログラムを休止している。

1997年5月のブレア政権の誕生の際、ブラウン財務相は金融政策の大転換を行った。財務省から中央銀行であるイングランド銀行に金融政策の決定権を移し、独立性を高めるという大胆な改革に踏み切ったのである。

イングランド銀行は、第二次世界大戦後に成立した労働党のアトリー政権の下で「1946年イングランド銀行法」によって国営化され政策運営の独立性を失っていた。イングランド銀行に対する財務大臣の指示命令権を規定するなど、イングランド銀行を実質的に財務省の付属機関と位置づけていた。公定歩合政策と外国為替政策の決定権限は事実上、財務大臣に属し、イングランド銀行はその執行機関としての役割を担っているにすぎなかった。

しかし、ブレア政権によるイングランド銀行の改革により、イングランド銀行総裁、副総裁、理事、外部らの委員で構成される金融政策委員会へ政策運営権限が委譲され、外国為替市場介入権限を部分的にイングランド銀行へ委譲され、準備預金制度の法制化、銀行監督権限をイングランド銀行から分離し、新設された金融サービス機構(FSA)へ移管し、そして国債管理業務は財務省へ移管されたのである。金融政策に関しては、インフレーションの目標は政府が設定し、イングランド銀行はこれを達成するために必要な政策手段を決定するといった役割ともなっている。ただし、量的緩和策の導入やその拡大にあたっても財務相の了承が必要となっている。
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by nihonkokusai | 2010-10-26 19:09 | 日銀 | Comments(0)

「中央銀行による国債買入れの目的とその影響」

日銀は10月5日の金融政策決定会合において包括緩和策を導入し、これまでの国債買入れとは別枠で国債を買入れる方針を示した。

これまでの日銀による国債の買入れは、経済成長に伴って増加する通貨供給の主要な手段としていた。しかし、基金オペを通じて新たに行う国債を含む資産買入れは、長めの市場金利の低下と各種リスク・プレミアムの縮小を促していくことを目的とした。

11月2日から3日にかけて開催されるFOMCにおいて、国債買入れ増額を軸とする量的緩和の追加策(QE2)が実施されるとの観測が強まっている。

FRBが2009年3月18日のFOMCにおいて最大3000億ドル分の長期国債の買入れに踏み切った際に、バーナンキ議長はこれを信用緩和政策の一環であるとした。しかし、今年8月11日のFOMCにおいて、今後満期を迎える住宅ローン関連証券を米国債に再投資することを決定したことで、事実上の量的緩和策に転じたと言える。

日米の中央銀行がここにきて、ともに国債買入れを強化する政策を取ったが、日銀が信用緩和を含む政策を講じたのに対し、FRBは信用緩和から量的緩和へ傾斜していったことは対照的ではある。ただし、これは手段が限られてしまう中で対策を講じた結果、信用緩和と量的緩和の境界線の意味が薄れてしまったためとも言える。

国債買入れは今年5月からECBも行っている。ECBによる国債買入れは国債市場の安定化そのものが目的であり、金融政策の一環としている日銀などとは目的が異なっている。金融政策への影響を避けるために、国債買入とともに同額規模の資金吸収を行い不胎化している。

ここにきてECB内で国債買入れを巡り、トリシェECB総裁とウェーバー・ドイツ連銀総裁の意見の違いが明らかになってきた。ウェーバー総裁は、国債買い取りプログラムは所期の目的を達成できなかったとし、恒久的に廃止すべきだと述べたのである。ウェーバー総裁は来年10月に退任予定のトリシェ総裁の後任としての有力候補である。ECBが直ちに国債買入れを停止することはないと思われるが、ブレーキがかかる可能性はある。

国債買入れを増強している日銀とFRBに対して、このECBの動きも対照的である。国債買入れについて日銀の白川総裁は将来のインフレ予想が強まる懸念があることを指摘した。ここにきての日米の債券市場では将来のインフレリスクを嗅ぎとって、長い期間の債券主体に売り圧力が強まった。日銀とFRBによる国債買入れ増強は足元のデフレ抑制効果はあるかもしれないが、将来へのインフレリスクを強める結果となる可能性もあることに注意すべきであろう。
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by nihonkokusai | 2010-10-26 11:46 | 日銀 | Comments(0)

「2011年度のコアCPI見通しはマイナス回避かとの観測も」

28日に公表される経済・物価情勢の展望(展望リポート)において、2011年度の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の前年比が包括緩和の効果を織り込んでマイナス見通しを回避する公算が大きいとブルームバーグが伝えた。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=atK2u1Csex.I

複数の日銀関係者によると、10月5日に決定した包括緩和の成長率と物価の押し上げ効果をこれまでの新型オペの拡充などよりも強めに織り込ませるほか、原油相場が再び上昇傾向にあること、10月からのたばこ税率の引き上げや高速道路無料化の遅れなど制度要因も物価の押し上げ要因に働くことなどが、円高による物価の押し下げ効果を相殺するという。このため、下方修正されてもゼロ%にとどまりマイナス転落を回避する見込みとのことである(ブルームバーグ)。

ただし、成長率そのものも下方修正される可能性も指摘されており、それも包括緩和の影響も加味して限定的なものにとどめるのであろうか。そもそも包括緩和がどの程度、景気や物価に影響するのかは今後の動向を見ない限りは明らかではないのではないか。

ただし、2011年度の物価見通しがマイナスに転じれば、日銀が昨年12月に「ゼロ%以下のマイナスは許容しない」と宣言したことや、政府が11年度のプラス転化を目標に掲げていることとの整合性を問われる可能性もあることも確かである(ブルームバーグ)。さらにマイナス転落を容認してしまうと包括緩和政策を実施した意味そのものが問われる可能性もある。

さらに2011年度のコアCPIの押し下げ要因ともなりうる基準年の変更については、その影響を織り込まず注記に留めるとの見方である。前回の基準年の変更の影響については、2006年4月の展望レポートで「前年比上昇率が若干下方改訂される可能性が高い」との注記があった。

また、今年4月における展望レポートでは下記のような注記があった。

「留意点として、消費者物価指数の基準改定がある。すなわち、現行指数は、基準年の2005 年から時間が経ってきたため、指数水準が大幅に低下した耐久消費財のマイナス寄与が小さめに出て、全体では前年比マイナス幅が小さめに出る傾向が強まりつつある。したがって、指数が2010年基準に切り替わった段階で、遡及改定の対象となる2011年1月以降の前年比が、今回の見通しから下方修正されうる。なお、2010年基準への改定時期は、通常どおりなら、2011年夏頃と予想される。その際、2010年12月以前の前年比は遡及改定されない見込みである。」

この基準年の変更については、20日の西村副総裁が講演で次のように触れている。

「消費者物価指数については、やや技術的ではありますが、基準改定の影響にも留意する必要があります。2005年から2010 年への基準年の変更は、来年夏に行われる予定です。一般に、消費者物価指数の前年比は、基準年から先に進むほど実勢よりも強めに算出されやすく、こうした統計上の歪みは、基準改定の際に修正される傾向があります。つまり、来年の基準改定で、消費者物価指数の前年比が下方に改定される可能性が高いということです。その改定幅を現段階で見積もるのは難しいのですが、後から振り返ってみると、消費者物価指数の下落幅は、思っていたよりも大きかったというようなことが起こる可能性は考慮しておく必要があります。」

また、会見では記者の質問に対して西村副総裁は次のように発言している

「基準改定を取り入れるか取り入れないかということですが、これは展望レポートの中で明らかにすることですので、私からは前回のケースについてご説明します。前回の場合は、基準改定が実際どのくらいの大きさになるのかに関して、信頼性の高い予測が難しかったということに加え、コミュニケーション上色々な難しさがあるのではないかとの懸念から、前回の基準改定の前の展望レポートには基準改定を取り入れませんでした。今回どうなるかについては、今回の展望レポートにおける政策委員の判断によるということになります」

過去の例からみて、今回、展望レポートにおける2011年度のCPI見通しには、基準年の変更による影響は取り入れない可能性はある。ただし、前回の2006年の際の基準年の変更による影響についてはこの年に量的緩和政策の解除(2006年3月)、またゼロ金利政策の解除(2006年7月)を行っていた点にも注意は必要となる。それぞれの解除要件を満たすためには基準年変更の影響は取り除いておく必要があった。

西村副総裁の発言からは、基準年変更の影響については政策委員の判断に委ねるとしており、「思っていたよりも大きかったというようなことが起こる可能性は考慮しておく必要がある」との発言からは、西村副総裁自らはその影響を取り入れる可能性があるのではないかと思われる。それに対して包括緩和の効果を見通しにも示す必要性を強く意識している日銀関係者もいるとみられ、このあたりの意見統一をどのようにはかるのか。それとも本当に基準年変更の影響は政策委員各自の判断に委ねるのか。このあたりの動きにも注目してみたい。
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by nihonkokusai | 2010-10-25 11:28 | 日銀 | Comments(0)
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