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「春の個人向け国債販売額は、合計で3541億円に」


  2008年3月に募集された冬の個人向け国債の販売額は、10年変動タイプと5年固定タイプの合計で3541億円と低迷した。10年変、5年固定ともに販売開始以来の最低水準となり、10年変動タイプの販売額は622億円と初の1千億円割れ。5年固定タイプは2919億円となった。

 米国ではサブプライム問題による影響で金融収縮といった動きも強まり、さらに米経済の減速観測の強まりなどを受け、日本の国債の金利も 10年債利回りで3月には一時1.2%台にまで低下した。このように長期金利は低迷し、その結果、変動の初期利子、固定の利率ともにさらに引き下げられたのである。

 個人向け国債の人気そのものが低迷したというよりも、個人は利子の変化に対して、かなり敏感であり、初期利子や利率そのものに魅力が薄れたことが今回の販売低迷の主因とみられる。

 その後、日本の長期金利はやや持ち直したものの1.5%近辺までとなっており、当面は個人向け国債の販売は苦戦しそうである。

 日銀は利下げと利上げ両睨みといった状況にあるものの、物価上昇圧力も強まってきていることから、サブプライム問題の落ち着きとともにいずれは日本の長期金利も再び上昇圧力を強めてくることも考えられる。しかし、こればかりは相場であり確証があるわけでもない。いずれにせよ当面は有効な個人向け国債の販売促進策も見出しづらく、債券相場の動向を見守らざるを得ないといった状況が続きそうである。

 これまで発行された個人向け国債の回号別販売額と税引き前の初期利子(固定は利率)は下記の通り

第1回変動10年(2003年3月)3,835億円(うち郵便局499億円)、0.09%
第2回変動10年(2003年4月)3,486億円(うち郵便局746億円)、0.05%
第3回変動10年(2003年7月)2,802億円(うち郵便局588億円)、0.05%
第4回変動10年(2003年10月)9,432億円(うち郵便局1,659億円)、0.77%
第5回変動10年(2004年1月)1兆3,951億円(うち郵便局995億円)、0.62%
第6回変動10年(2004年4月)1兆4,185億円(うち郵便局1,244億円)、0.55%
第7回変動10年(2004年7月)1兆7,726億円(うち郵便局1,990億円)、0.74%
第8回変動10年(2004年10月)1兆8,652億円(うち郵便局2,484億円)、0.74%
第9回変動10年(2005年1月)1兆7,647億円(うち郵便局2,436億円)、0.67%
第10回変動10年(2005年4月)2兆3,374億円(うち郵便局1,990億円)、0.73%
第11回変動10年(2005年7月)1兆6,423億円(うち郵便局2,484億円)、0.45%
第12回変動10年(2005年10月)1兆3,629億円(うち郵便局2,483億円)、0.55%
第13回変動10年(2006年1月)8,001億円(うち郵便局1,488億円)、0.68%
第14回変動10年(2006年4月)8,285億円(うち郵便局1,491億円)、0.85%
第15回変動10年(2006年7月)9,813億円(うち郵便局995億円)、1.10%
第16回変動10年(2006年10月)7,323億円(うち郵便局997億円)、0.92%
第17回変動10年(2007年1月)4,334億円(うち郵便局938億円)、0.84%
第18回変動10年(2007年4月)3,479億円(うち郵便局642億円)、0.87%
第19回変動10年(2007年7月)3,713億円(うち郵便局736億円)、1.01%
第20回変動10年(2007年10月)1,933億円、0.85%
第21回変動10年(2008年1月)1,316億円、0.68%
第22回変動10年(2008年4月)622億円、0.57%

第1回固定5年(2006年1月)1兆1,285億円(うち郵便局497億円)、0.80%
第2回固定5年(2006年4月)9,883億円(うち郵便局1,490億円)、1.01%
第3回固定5年(2006年7月)1兆2,430億円(うち郵便局996億円)、1.30%
第4回固定5年(2006年10月)8,584億円(うち郵便局998億円)、1.13%
第5回固定5年(2007年1月)10,730億円(うち郵便局998億円)、1.20%
第6回固定5年(2007年4月)8,326億円(うち郵便局1,311億円)、1.13%
第7回固定5年(2007年7月)1兆5,964億円(うち郵便局1,545億円)、1.50%
第8回固定5年(2007年10月)7,691億円、1.15%
第9回固定5年(2008年1月)4,196億円、0.94%
第10回固定5年(2008年4月)2,919億円、0.81%
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by nihonkokusai | 2008-04-22 12:44 | 国債 | Comments(0)

「日銀による不良債権処理問題への対策を振り返る」


2002年9月18日
「金融システムの安定に向けた日本銀行の新たな取り組みについて」を公表
1.金融機関による保有株式削減努力の促進策=日銀による銀行保有株の直接買取=の導入検討(10月11日に「株式買入等基本要領」を制定 2.不良債権問題についての基本的な考え方の整理・公表
(金融政策決定会合終了後、通常会合で決定)

2002年10月30日
手形買入期間の延長、これまで「6か月以内」としてきた手形買入の期間を「1年以内」に延長する。

2002年12月17日

「企業金融円滑化策について」を公表
1.証書貸付債権の担保拡大、債務者種類および当初貸付期間毎に担保掛け目を細分化し、3年以内の証貸債権の担保掛け目を引き上げるとともに、5年超10年以内の証貸債権を、新たに適格担保化。
2.資産担保コマーシャル・ペーパー(ABCP)の適格基準の緩和、2004年度末までの時限措置として日銀取引先の保証するABCPを適格の扱いとする

2003年3月25日
金融機関保有株式の買入れ上限の引上げ、買入総額の上限を2兆円から3兆円、買入対象先毎の累計買入限度額5,000億円から7,500億円に。

2003年6月11日
「資産担保証券の買入れとその考え方について」を公表、具体的スキームの骨子を取りまとめ、7月末までの実施に向けて所要の準備を進める。
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by nihonkokusai | 2008-04-22 12:43 | 日銀 | Comments(0)

「イングランド銀行による金融支援」


 英国の中央銀行であるイングランド銀行は、銀行の貸し渋りを和らげるための金融支援策を発表した。銀行が保有する住宅ローン担保証券500億ポンド(約10兆円)を最長3年間にわたり国債に交換できるようにすることが柱となる。

 米FRBも3月に住宅ローンを含む不動産担保証券で米国債を供給するという対策を採っているが、こちらは期間が28日間となっており、住宅ローン証券を担保に資金供給を実施しているECBも最長6か月までとしているが、今回のイングランド銀行による対策は3年まで延長が可能となっている。

 金融機関が保有している住宅ローン担保証券は、米サブプライム問題に端を発した金融市場の混乱などを受け、証券化市場が機能不全に陥り、銀行の資金繰りが急速に悪化したことで、銀行が保有している住宅ローン証券を流動性のある国債に交換することで、銀行の資金繰りを助けることとなる。

 日銀も不良債権処理問題に対処するため、2002年にはいくつかの対策を行なっている、たとえば2002年9月には金融システムの安定化のために金融機関の保有株式を日銀が直接購入することを発表し、10月に手形買入期間についてこれまで「6か月以内」としてきた手形買入の期間を「1年以内」に延長した。12月には3年以内の証貸債権の担保掛け目を引き上げるとともに、5年超10年以内の証貸債権を、新たに適格担保化。資産担保コマーシャル・ペーパー(ABCP)の適格基準を緩和、2004年度末までの時限措置として日銀取引先の保証するABCPを適格の扱いとするなどを行なった。

 今回のイングランド銀行の金融支援策はいろいろと条件も付けられている。交換するローン証券の格付は最も信用度の高いトリプルAに限定。国債と交換できるのは昨年末時点で保有していたローン証券だけで今後発行するローン証券は認めない。銀行は国債を借り受けるための費用を支払う必要がある。

 そしてローン証券の評価額が下がった場合には金融機関が損失を負担するが、もしその金融機関が破綻した際には、インクランド銀行が損失を蒙る可能性がある。
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by nihonkokusai | 2008-04-22 12:43 | 日銀 | Comments(0)

「アキバ・トリムとレム秋葉原が17日オープン」


 通勤で利用しているつくばエクスプレスの秋葉原駅の上(ちなみに駅は地下)に、商業施設アキバ・トリムとホテルのレム秋葉原が入るビルが建てられ、先週17日にオープンした。

 アキバ・トリムの店舗構成を見ると、かなり女性を意識したものとなっており、ある意味アキバらしからぬ商業施設となっている。JR秋葉原駅の中央口近くでもあり、ヨドバシアキバにも近い位置となり、この界隈はややオタクの聖地というよりも、一般客を対象とした施設の方が流行ると意識したのだろうか。アキバ・トリムの道路を挟んだ正面ビルもまもなくオープンとなるが、このビルはほぼ飲食店が占めているとか。また、アキバ・トリムの裏手には、東京で最大規模とうたうブックオフもまも24日に開店予定となっている。

 アキバに一般書店というのもやや似合わないのかもしれないが、ヨドバシアキバには有燐堂が入り、アキバ・トリムにはブック・ファースト、書泉グランデも近くにあり、そして中古のブックオフも入るなど、この界隈がいきなりに本屋街ともなっている。

 つくばエクスプレスの開通で沿線が大きく変化しているが、終着駅でもある秋葉原でも変化が生じているようである。


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by nihonkokusai | 2008-04-21 09:28 | 趣味関心 | Comments(0)

「LIBOR問題」


 米ウォールストリート・ジャーナルは16日、LIBORがもはや信頼できないかもしれないとの懸念を銀行家やトレーダーが抱いていると報道した。

 英国銀行協会(BBA)が調査に乗り出し、実勢とかい離した金利を提示する銀行をレファレンスバンク(金利提示銀行)から外すとの見方も出たことで、17日のLIBORではドル金利が急騰し、米中短期債の下落要因のひとつとなったと指摘された。

 LIBORとは「London InterBank Offered Rate」の略で、一般的には英国銀行協会(British Bankers Association)が複数の銀行(現16行)の金利を平均値化してロンドン時間午前11時に毎日発表するBBA LIBORのことを指している。米ドルだけでなく英ポンド、日本円、ユーロ、豪ドル、ニュージーランドドル、スイスフラン、カナダドル、デンマーククローネの9通貨について発表され、歴史もあり短期金利の重要な指標となっている

 今回のLIBORの問題は、サププライム問題に端を発する金融市場の混乱の影響で、欧米金融機関の資金調達プレミアム(上乗せ金利)がついて依然として調達金利は高い水準となっているが、その反面、個別行についてはそのリスクプレミアムの度合いも異なるとみられそういったバラツキも含めて乖離した要因ではないかとの指摘もあった。

 ウォール・ストリート・ジャーナルは「資金繰りに困っているという印象を与えないために銀行が金利を正確に報告していないと市場は懸念を抱いている」としているが、実際に虚偽の報告といったものがあったのかどうか含め今後の推移を見守りたい。
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by nihonkokusai | 2008-04-18 10:06 | 債券市場 | Comments(0)

「流動性供給入札」


 本日第25回目の流動性供給入札(発行金額1000億円)が実施。追加発行の対象範囲が今回から拡充され、6年~15年(9年~11年を除く)と16年~29年(19年~20年を除く)の2パターンから選択して実施される。

 今回の対象範囲はこのうち前者のパターンとなり、対象銘柄は10年258回(残存5.91年)~284(残存8.67年)回と、20年24回~33回(残存5.91年から8.42年)及び20年43回~61回(残存11.42年から14.91年)となる。
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by nihonkokusai | 2008-04-17 10:48 | 国債 | Comments(0)

「ディズニー・アンバサダーホテル」


 今月始めの4月3日と4日、休暇をもらい家族でディズニー・リゾートに出かけた。自宅からディズニー・リゾートまで高速の渋滞さえなければ1時間程度が着いてしまうこともあり、これまでディズニー・リゾート内のホテルの宿泊をしたことはなかった。しかし、今回。次女の受験も控えていることもあり旅行を諦め、かわりにディズニー・アンバサダーホテルに家族で宿泊することになったのである。

 ご存知の方も多いと思うが、ディズニー直営のホテルの予約は6か月前から可能である。というより混雑が予想される時期はすぐに埋まってしまうため、早めの準備が必要になる。当初、ミラコスタにしようかとも思ったが、子供たちの希望も取り入れてアンバサダーホテルに予約を入れておいた。キャラクターが来るというホテル内のレストランにも予約を入れた。

 3日の早朝に家を出て直接アンバサダーホテル内の駐車場にクルマを停め、そのままチェックインの手続きをする。エレベーターに乗るとミッキーの声で案内がある。ただ部屋に入れるのは夕方16時半から。7時からチケットが発売されるため、その時間を待って2日分の入場チケットを購入。ホテル宿泊者は入場制限があってもここでチケットを購入しておけば入場することができる。

 チケット購入後、ホテルからの直行バスに乗ってディズニーランドへ。春休みとあってすでに長蛇の列となっていた。入場制限があったようだといった声もあったがとにかく混雑していたが、めぼしいアトラクションはなんとか乗ることができ、パレードも見て夕方、ホテルに向かった。気温が上昇していたこともあるが、皆かなりの疲労度となっていたが、予約していたレストラン、シェフ・ミッキーでの子供たちの食欲はすごいものがあった。これも若さゆえか。

 かなり疲労はしていたものの、食事後にせっかくだからとホテルに隣接しているこれもディズニー直営のショッピングセンター、イクスピリアに出かけた。目的はアルコールとつまみ類の購入にあったのだが、一緒についてきた長女はあちらこちらの店に興味深々の様子、主な買い物は成城石井で済ませた。

 ホテルの部屋はまさにディズニーの世界になっている。ミッキーの模様などがあちこちにあり、歯ブラシなど使い捨てできるものにはこの時期は白雪姫がデザインされておりしっかりお持ち帰り。

 翌4日はディズニーシーへ。この時期はランドの開園は8時だがシーは9時ということで、8時ごろにホテルから直通バスに乗った。ランドもシーも直通バスでは5分前後で到着した。

 ランドほどの混雑ではなかったもののそれでもシーも混んでいた。それでも子供たちは乗りたいアトラクションはほぼクリアーできたようである。実はあまり下調べしておらず、たまたま何だろうと入ったのが「レジェンド・オブ・ミシカ」、劇団四季のミュージカルを連想させるなかなかのショーであった。これは現在シーのひとつの目玉ともなっているようである。

 シーでは花火まで観て、その後アンバサダーホテルに戻って駐車場を出た。出口を出るとすぐに首都高の入り口となっていることで、渋滞に巻き込まれることなく、1時間程度で帰宅した。ちなみに前回ディズニーランドに行った際は、ランドから首都高入り口まで約2時間もかかっていたのである。
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by nihonkokusai | 2008-04-17 09:35 | 趣味関心 | Comments(0)

「白川新総裁への期待と不安」


 白川方明日銀新総裁が京都大学教授時代に書き下ろした著書「現代の金融政策」が売れている。その購入者の多くが金融市場関係者ではないかと推測されるが、私も御多分に漏れずアマゾンで購入した。アマゾンといえば15日現在、アマゾンで白川氏の「現代の金融政策」の紹介ページを見ると「この商品を買った人はこんな商品も買っています」になんと拙著「ネットで調べる経済指標」が並んでいる。たいへん光栄である。ぜひこの機会に「ネットで調べる経済指標をご購入いただければ、といった宣伝はさておき、今回は白川新総裁への期待と不安についてコメントしたい。

 白川総裁誕生までの経緯についてはマスコミ等で詳しく報じられており、この「若き知」でも何度か触れていたことで省略し、結果として白川氏が総裁に就任し、西村審議委員が副総裁に昇格したのである。もうひとりの副総裁は空席のままとなり、いつ決定されるのかも予想がつかない状況にある。

 新日銀法の下では執行部は総裁1人、副総裁2人で構成され、それぞれ役割分担があるが、それを当面2人で行なわなくてはならない。審議委員も西村氏の昇格で1人少なく、政策委員は現在定員9名のうちの7名だけで構成されている。

 白川氏の経歴から見て総裁としての能力に対し疑問を呈する人はいないと思う。京都大学に転じる際にも、のちの日銀総裁就任が意識されていたのではないかとも見られていた日銀のホープの一人である。企画担当の審議役や理事を歴任し金融政策の現場をある意味知り尽くした人物の一人であり、このため白川新総裁の政策運営には多いに期待したいところである。ただし、不安があるとすれば帝王学というかトップとしての学習期間がなかったことにあろうか。

 過去の日銀総裁を見ればわかるように、良し悪しはさておきタスキ掛け人事で財務省のトップである財務次官経験者とともに日銀出身者がほぼ交代で日銀総裁に就任してきた。しかも、総裁となった人物の多くが副総裁を経験しているのである。直近では前川総裁、澄田総裁、三重野総裁、福井総裁などがそうであり、例外としては松下総裁、速水総裁がいるが、松下氏は大蔵省事務次官出身であり、また速水氏は日商岩井会長や経済同友会代表幹事といったトップを務めている。

 日銀の総裁は金融政策による金融市場に対しての影響ばかりではなく、日銀券という信用そのものを維持させるという重要な役割があり、日本の金融システムを安定させ、さらに国際的な影響力も大きいものがある。日本のトップの中にあってもその責任といったものでは、文字通り国内トップクラスとなろう。そういったトップにいきなり身を置くよりも、本来ならば副総裁を経験しその期間に帝王学を学んだあとの方が、より力が発揮できたのではないかと思われるのである。

 さらに大きな問題が政治との折衝か。総裁人事のゴタゴタは今後も後を引くとみられ、大きな政策変更の際の政治との折り合いといったものをどのように持って行くのか。しかも「ねじれ国会」という複雑な要因も絡んで、与野党の折衝には非常にセンシティブな対応を迫られる可能性がある。これをどのように打破していくのかが、新総裁の腕の見せ所ともなろう。残る一人の副総裁にはこういった政治との折衝にも長けた人物が選ばれれば、白川総裁の負担もやや軽減すると思われるのだが。

 金融政策に関しては、日銀のトップとなった白川氏にはある意味柔軟な対応も迫られよう。福井前総裁の就任後の追加緩和策には反対したという白川氏ではあるが、政治や市場の信認を得るには論理的な整合性だけではなく、目に見えないマインドに働きかけるという必要性も出てくる。日銀は当面現状維持を続けるとみられるが、その後の米国経済の動向などを見極めて次ぎの手を打ってこよう。現状、先行きが不透明なだけに利下げ、利上げともに可能性があり、いずれにせよ政策変更の際には新総裁の手腕が問われよう。
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by nihonkokusai | 2008-04-15 13:58 | 日銀 | Comments(2)

「日銀福井総裁の5年間を振り返る」


 1998年3月20日の日銀不祥事により当時の松下総裁と福井副総裁が辞任し、急遽、日商岩井の速水優氏が新日銀法施行後の最初の日銀総裁に選ばれた。新日銀法では日銀の独立性が強化され、その分透明性という面から、アカウンタビリティすなわち外部に対する説明責任が重視されるようになった。しかし、政治との関係は2000年8月におけるゼロ金利解除の際の議決延期請求権行使を招くなどギクシャクしたものとなってしまった。その後、デフレ懸念の強まりから速水日銀総裁は結局、2001年3月に量的緩和策を導入することとなった。速水総裁の5年間は、新日銀が本来の意味で独立を成し遂げたもののいきなり野に放たれたライオンの子のように数々の試練が待ち受けていた。

 このため2003年3月20日に就任した福井総裁の5年間は日銀の独立性、透明性を高め信頼に足りうる中央銀行としての信認を強化することが重要課題のひとつとなった。福井新総裁はいずれ金利の正常化を目指していたと思われるが、当初取った行動は市場をも驚かせた。2003年3月20日に就任した福井総裁は就任間もない3月25日に臨時の金融政策決定会合を開催したのである。

 この目的のひとつは行動を起こすことによって政府からの信認を得ようとしたものと思われた。また、福井総裁が就任した3月20日のイラク開戦で市場がやや動意を見せていたことも影響していたともみられる。ただし、臨時の会合を開催したにもかかわらず、その結果は現行の政策を維持することを全員一致で決定し、4月1日以後の郵政公社の発足に伴い当座預金残高目標を17~22兆円程度に引き上げることなどが決定されるなど大きな政策変換ではなかった。

 その後開催された通常の政策委員会(毎週、火曜日、木曜日)において、銀行保有株買取の枠を2兆円から3兆円に拡大し、これを政府は高く評価した。ただし、福井総裁は3兆円が限度と釘を刺していた。

 この決定会合・政策委員会やその後の福井総裁の会見を見てみると政府とのアコードも意識しながらも、これまでの政策から大きく逸脱した政策は取ることはなかった。インフレターゲット導入やETF、REITの購入に対する要求についてはやんわりながら否定した。速水前総裁は福井総裁に対して私より大人と表現したが、だめなものはだめと言った速水氏に対して福井氏は機動性、また政府への意思疎通といった行動力によって、そういった意見を封じこめたのである。

 その後、日銀の当座預金残高目標の引き上げは数度にわたって機動的に行われ、2004年1月には当座預金残高目標が30~35兆円程度にまで引き上げられた。ところがこの間、国債の買入について福井総裁となってからはまったく増額されていなかった。これはデフレ退治を前面に押し出しながら、いずれ来るであろう量的緩和解除にも備えていたと考えられる。

 つまり、当座預金残高目標の引き上げは実質的な効果を狙うよりもデフレ退治への日銀の意思を示すためのもの、つまりアナウンスメント効果を最大限利用したものとみられた。実際に当座預金残高を元に戻すことは技術的に短期間で行なえるものであり、広げてもすぐに手仕舞える施策であったのである。しかし国債買入の減額は国債需給にも影響を与え政府や財務省の反対も予想され容易には可能ではない。このあたり福井総裁のある意味強かさが見え隠れしていた部分でもあった。

 日経平均株価は結果的に2003年4月28日に7607円の最安値をつけその上昇に転じた。福井総裁の就任はまさに株価で言えば底にあるときであり、その後は米国や中国などの経済成長などを背景に、日本の景気も徐々に回復し始め、非常にタイムリーでもあった。

 量的緩和解除に向けて日銀は次第に動きを見せるようになる。金利の正常化路線を懐に暖めていた福井総裁もそれを次第に表に取り出し始めたのである。

 生鮮食料品を除く消費者物価指数の前年比上昇率が、基調的にゼロ以上になる、消費者物価指数が先行きもマイナスにならない、経済・物価情勢を総合的に判断する、という3つの条件を掲げ、2006年3月9日の金融政策決定会合ではこの条件が満たされたと判断した日銀は量的緩和政策を解除したのである。

 この日の会見で福井総裁は、次のように述べている。「生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比はプラスに転じている。経済全体の需給ギャップが緩やかに改善を続けており、ユニット・レーバー・コストの動きを見ても、下押し圧力は基調として減少している。加えて、企業や家計の物価の先行き見通しも上振れてきている。このもとで、消費者物価指数の前年比は先行きプラス基調が定着していくとみている。こうしたことを踏まえて、消費者物価指数(全国、除く生鮮食品)の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで量的緩和政策を継続する」というかねてからの約束の条件は満たされたと判断した。」

 量的緩和政策の解除にともない、30-35兆円に積み上がった日銀の当座預金残高を6兆円程度の所要額に引き下げる必要があった。技術的には短期間で可能であったものの急激な減少は市場に影響を与えることになり、政策を量から金利に戻すことで機能不全に陥っていた短期金融市場の機能も回復させる必要があるため、やや時間をかけて行なわれた。当座預金残高の削減も順調に進み、6月に福井日銀総裁は「金融政策の判断、早めに小刻みにゆっくりと」との発言し、今度はゼロ金利解除に向けた姿勢を示したのである。

 しかし、そんな時期に福井総裁自身の村上ファンドへの出資が明らかとなるという問題が発生した。野党やマスコミなどを中心に辞任を求める声が強まったが、与党や金融市場参加者の一部などからは辞任の必要はないとの声もあり、結局、福井総裁は辞任せず「職責をまっとうする」こととなった。

 そして2006年7月14日の金融政策決定会合において、福井総裁は無担保コール翌時物金利の誘導目標をゼロに抑え込むゼロ金利政策を解除することを提案し、それは全員一致で可決された。これにより無担保コール翌時物金利の誘導目標は0.25%に引き上げられた。金利の引き上げは2000 年8月以来ぶりであった。

 2007年2月21日の日銀金融政策決定会合において、福井総裁は利上げを議長提案し8対1の賛成多数で追加利上げが決定され、無担保コール翌日物の誘導目標値は0.25%から0.5%に引き上げられ即日実施された。このとき反対したのは岩田副総裁であった。新日銀法による金融政策決定会合の仕組みが出来てから、総裁と副総裁のいわゆる執行部の賛否が割れたのは初めてのケースとなった。これは見方によっては合議制らしさが出たものといえるが、総裁票が否決されたことがあるイングランド銀行のMPCなどに較べて日銀の金融政策決定会合はFOMCに近くコンセンサスが重視されていたともみられていたことで、ある意味執行部の中の票割れは意外感もあった。

 その後、追加利上げを日銀は模索していたものとみられるが、2007年8月あたりから米国でサブプライム問題に端を発する金融市場の混乱から、欧米金融機関の巨額損失にゆる信用システムへの不安、さらに米経済の後退観測などから、日銀は2007年3月の金融政策決定会合から福井総裁としては最後の会合となった2008年3月の会合までは現状維持を続け、福井総裁とすれば金利の正常化に対し道半ばで退任せざるを得なかったのである。
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by nihonkokusai | 2008-04-15 10:53 | 日銀 | Comments(0)

「3月6~7日分日銀金融政策決定会合議事要旨より」


 本日公表された3月6~7日分日銀金融政策決定会合議事要旨の当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要によると、先行きの金融政策の運営について、基本的な考え方を維持することが適当であることを確認したものの、一部の委員から下記のような発言があった。

 「先行きについては、これまでの金融政策運営の基本的な考え方を維持しながら、見通しの蓋然性と上下両方向のリスクを綿密に点検し、最も適切と考えられる政策を機動的に実施していくべきである、との見解を示した。」

 「更に別の委員は、金利調整の方向性は維持されているものの、今後、緩和度合いを高める必要があると判断される場合には、その時々の状況に合わせた機動的な対応を考えていくべきである、との考えを示した。」

 「利下げ」との表現は使ってはいないものの、機動的な政策、機動的な対応というのは、利下げも含めての対応を意識したものとも捉えられる。どの委員の発言かはわからないものの、その可能性も次第に意識されているように思われる。この議事要旨は福井総裁時のものであるが、白川総裁となってもそういった認識が大きく変化してくるとは考えづらいことも確かか。現状、日銀による早期の利下げは考えづらいものの、その可能性は海外情勢の影響による国内経済情勢次第では全くないわけではなさそうである。
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by nihonkokusai | 2008-04-14 09:22 | 日銀 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


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