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「12月の家計調査と鉱工業生産」


 30日に発表された12月家計調査は前年比実質-1.9%と予想の-1.2~-1.3%を下回った。消費支出は12か月連続で前年割れとなり、減少率は 11月の-0.7%よりも拡大した。10-12月期でみると7-9月期に比べて2.5%の上昇となった。「秋までの消費の弱さが薄らぎつつある」との総務省のコメントもあったが、消費の回復にはそれほど力強さも感じられない。勤労者世帯(サラリーマン世帯)の実収入は賞与分を含め96万8162円で 6.5%増加となった反面、実質消費支出は3.3%減っている。その分、貯蓄等に回したものとみられる。

 同時に発表された12月鉱工業生産速報は、前月比+0.7%とこちらは予想の+0.2%~0.4%を上回り、12月鉱工業生産指数は過去最高を更新した。経産省は「生産は上昇傾向」との基調判断を7か月連続で据え置いた。

 自動車をはじめとする輸送機械や一般機械が伸びた反面、IT関連では低下も目立ち、携帯電話などの情報通信機械の生産指数は7.7%の低下、電子部品・デバイスは1.7%の低下となった。さらに出荷が前月比-0.8%と減少していた上に在庫は+1.3%と増加するなど内容はあまり良くない。

 加えて1月の生産予測は前月比-2.8%、2月が+0.1%と今後は伸び悩みと予想されている。1月予測指数が前回予測(-0.8%)に比べても大幅に下方修正された要因は、電子部品・デバイス工業の予測指数が大幅下方修正された点にあるとみられ、IT関連の今後の動向を注意する必要がある。

 12月の家計調査と鉱工業生産を見る限り、日銀の早期追加利上げ観測はさらに後退するものと予想される。福井日銀総裁は12月に利上げを見送った際に、「フォワードルッキングながらも足元の経済物価情勢を無視できない」と発言していたが、その中でも特に個人消費や消費者物価の動向に対して注目していた。1月26日に発表された12月全国消費者物価指数(除く生鮮)は前年比+0.1%となり、市場予想の+0.2%を下回っていた。これに続いて個人消費も予想以上に回復力が鈍いとなると、12月や1月に見送られた利上げを2月に行うことを正当化できるための要因が見当たらない。

 しかし、米国経済が軟着陸をみせつつあり、原油価格の落ち着きや、一時的にせよ円安傾向ともなっており、足元経済については引き続き回復基調にあることも確かである。それがいずれ個人消費などにも影響してくるとみられるが、今はもう少し待つ必要もあるように思われる。
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by nihonkokusai | 2007-01-31 13:42 | 景気物価動向 | Comments(2)

「地デジ対応薄型パソコン用ハイビジョンディスプレー」


 Windows Vistaが発売された。Vistaを快適に使うにはハードごと乗り換える必要ありとみているため、当面は導入見合わせるつもり。Vista導入を検討されているならばAERO機能も使える程度の機能を持ったパソコンでなければあまり乗り換える意味もない。AEROを使うには少なくともデュアルコアCPU は必需ともみられる。

 それはさておき、今後、このVistaの普及にあわせて注目されるのが、パソコン用ディスプレーかと思われる。すでにソニーでは大型液晶テレビに接続することを意識したWindows Vista搭載のPCを発表しているが、Vistaの動画機能などを効果的に利用することを考えれば、ディスプレーも高解像度画面が必要になる。というか、地デジ対応液晶テレビがそのままディスプレーとして使うことも考えられるのである。

 パソコンとはパーソナルコンピューターの略語であり、個人つまりは一人で使うことが前提となっている。大型ハイビジョン対応テレビに接続するパソコンは、まさにファミリーユースであり、これはいわばファミコンと呼ばれてもおかしくはない(すでに某ゲームメーカーの登録商標だが)。

 個人がパソコンをデスクの上で使うことを考えれば、さすがにディスプレーの40型とかはかなり無理があり、せいぜい20型あたりが主流となろう。しかし、画面はやや小さくとも高解像度であり、地デジチューナーが内臓され、HDMI端子を備えたものの方が便利が良い。ハイビジョンディスプレーを有効利用するため、パソコン以外のゲーム機やDVDレコーダーとの接続するためのHDMI端子はある意味必須となる。ただしゲーム機ではまだ HDMI端子接続はプレステ3しか対応していないようだが。

 デスク上で使えるもので、ハイビジョン対応ディスプレー、Windows Vistaが使えて、地デジも見ることができて、さらに新型ゲームにも対応となれば、今後はニーズも強まるとみられ、すでに一部そういった液晶テレビも売りだされている。

 たとえば、パソコン用ディスプレーの老舗iiyamaからは、地デジ&アナログチューナー搭載20インチワイド液晶テレビ「ProLite C2010WTV-B1」が発売されている。入力端子は、HDMI、D4、Sビデオ、コンポジットビデオ、アナログRGB(ミニD-Sub15ピン)。価格は6万9800円。

 大手メーカーでは、SONYがさすがに先取りしてかなり前に、BRAVIA 20V型デジタルハイビジョン液晶テレビ KDL20S2000を出している。HDMI入力端子とPC入力端子を備えているが、少し先走りすぎた感もあって、さほど人気化せずにおり、現在ではやや入手が困難か。価格は10万円前後。安売りショップで8万円切るところも。

 そして、イオンで1月から取り扱っている20.1V型デジタルハイビジョン液晶テレビ(DVD内蔵型)DY-LC20SDDシリーズは面白い。DVDプレーヤー内蔵にも関わらず価格が59800円に押さえられている。ただし、こちらはPC入力端子を備えているがHDMI端子がついていない。また購入される際には念の為、イオンなどで画質などのチェックも必要か。

 これからは、より大型で薄型高画質のハイビジョンテレビが居間を独占するとともに、個室ではパソコンとともにこういった中型の地デジ対応薄型パソコン用ハイビジョンディスプレーが普及するのではないかとみている。というより自分でも買いたい。
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by nihonkokusai | 2007-01-31 13:41 | 趣味関心 | Comments(0)

「政府の隠れ借金の返済予定」


 1月30日の日経一面トップは、「隠れ借金」60年で完済、という記事であった。これは政府が地方交付税交付金の不足分を補うために民間金融機関から借り入れてきたものを60年かけて返済するというものである。

 すでにこの「地方交付税特別会計の借入金」のうち国の負担分を一般会計で返済するということは昨年12月17日の毎日新聞などで報じられている。「地方交付税交付金を管理する交付税特会は、バブル崩壊後の税収減で、地方の歳出を賄うだけの交付税額を確保できず、1994年度以降、民間などからの借り入れで穴埋めしていた。景気回復による税収増を借金減らしに充てる方針を明確にするため、一般会計での処理に踏み切る。」(毎日新聞)

 これについて、私も財務省における予算の説明会で説明を受けていた。来年度から地方交付税特別会計の借入金のうち、18.7 兆円の国の負担分を一般会計で返済することとなり、このために2007年度の国債費はこの返済分を加えることで、+11.9%の20兆9988億円に膨らんでいたのである。

 当日に配付された資料によると、「交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金(国庫負担)の継承に伴う増(20773億円、うち債務償還費17322億円)」となる。さらにこの分は一般歳出が今年度比3兆2228億円増の46兆9784億円と、3年ぶりに前年度当初予算を上回ったことのひとつの要因ともなっている。

 すでに交付税特会の債務残高は2006年度末で約53兆円に達する見通しとなっている。このうち国が上記のように約19兆円の返済義務を負っている。今年度までは返済を先送りしていたが、来年度から一般会計に借金を継承し、返済を先送りしない姿勢を示した。

 昨年末の説明会でも気になったのが、この毎年度ごとの返済額であったのだが、今後については未定と毎日は報じていた。一部30年間で均等償還されるのではないともみられていたが、これが一般会計での借金である建設国債や赤字国債と同様に、60年かけて返済されることとなったものとみられる。

 ちなみに交付税特会の既存の特会借入における地方負担分についても今年度度補正予算で約5千億円、平成19年度年度当初予算で約6千億円を償還する予定となっている。

 隠れ借金の返済を義務付けたことは評価すべきものではあるが、60年という期間が妥当なものであるのかといった問題はあらためて議論されるべきものではないかとも思う。
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by nihonkokusai | 2007-01-30 09:34 | 国債 | Comments(0)

「新興市場への投資」


 欧米諸国や日本などの市場が先進国市場と呼ばれるのに対して、新興市場と呼ばれる市場があります。新興市場とは、「先進国ではない」「成長途上にある」市場という意味で使われることが多く、たとえばBRICsと呼ばれる国の市場などが注目されています。

 ロンドン市場やニューヨーク市場、そして東京市場はたいへん市場規模も大きく、世界のマネーセンターとして機能していますが、現在ではこういった先進国の市場だけではなく、急速な経済発展を遂げてきた新興市場と呼ばれるところが注目を集めています。

 まず有名なものとしては、BRICs(ブリックス)と呼ばれている地域があります。BRICsとは、ブラジル(BRAZIL)、ロシア(RUSSIA)、インド(INDIA)、中国(CHINA)の頭文字を合わせた4か国の総称です。アメリカのゴールドマン・サックス社が2003年10月に出したレポート「Dreaming with BRICs: The Path to 2050」において、の2039年までにBRICsのGDPの合計が、アメリカ、日本、ドイツ、イギリス、フランス、イタリアのGDP合計を上回ると指摘するなどしたことで、大いに注目を浴びるとともに、一般にも、このBRICsという名称が使われ始めました。

 また、国際経済研究所が発表したLEM(Large Emerging-Market Economies)というものもあり、これはBRICs4カ国に加え、南アフリカ、アルゼンチン、インドネシア、韓国、メキシコ、サウジアラビア、トルコの計11カ国のことを示しています。

 さらにアジア開発銀行が音頭を取って進めている拡大メコン地域(GMS=Greater Mekong Subregion)というものがあり、これにはやはり経済成長が目覚しいベトナムやタイ、さらにカンボジア、ラオス、ミャンマーといったメコン川流域の国々も注目されています。

 これらの新興諸国にはヘッジファンドなどを中心として海外からの投資資金も流れ込み、株式市場なども活況を呈しています。また日本からも投資信託などを経由しての資金が流れ込んでいます。しかし、2006年の5月~6月にかけて、日本の株式市場も調整局面を迎えましたが、これら多くの新興国でも株価が大幅に下落するなどしたことで、新興諸国への投資リスクの高さが露見されました。BRICsなどの新興諸国も長期的には成長が期待されるとしても、短期的な株価の下落といったものは避けられません。特に市場がまだ成熟していないとなれば、先進国の市場に比べてどうしても株の流動性の低さといったものも避けられません。これらの新興国への投資を行う際には、そういったリスクをも考慮して行うことも必要です。(一部「最新金融の基本とカラクリがよ~くわかる本」より )
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by nihonkokusai | 2007-01-29 10:44 | 投資 | Comments(2)

「12月全国消費者物価指数(除く生鮮)は前年比+0.1%」


 本日発表された12月全国消費者物価指数(除く生鮮)は前年比+0.1%となり市場予想の+0.2%を下回った。上昇率は前月の0.2%より縮まったのは、原油安で石油製品による物価押し上げ効果が縮小したことなどが影響したとみられる。同時に2006年平均の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年比 0.1%の上昇と発表1998年以来の8年ぶりの上昇となった。

 塩崎官房長官はこのCPIに関して、「デフレ脱却視野との認識かわらず」「金融政策、政府も日銀も先見通すのが責任」と発言し、大田経済財政担当相も「おおむねゼロ近辺で状況に変化はない」としている。今後、一時的にせよ前年比ゼロもしくはマイナスとなる可能性もあり、昨日須田審議委員も「CPI、原油一段安なら一時的に伸び率マイナスも」と発言していた。しかし、「原油価格調整に目処立てば、CPIは再び上昇基調に戻る」(須田審議委員)との見方も強いことで、デフレ圧力が再度強まるといった事態も考えにくい。

 1月のCPIを受けて2月の追加利上げ観測が急速に後退しているが、ここしばらくは様子をみてみる必要もあるかと考える。
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by nihonkokusai | 2007-01-26 14:32 | 景気物価動向 | Comments(0)

「福井日銀総裁ロイターとの単独インタビュー」


 ロイターによる日銀の福井総裁との単独インタビューの内容が、日本時間24日の早朝3時という時間帯に流された。18日の決定会合直後でもあり、利上げ見送り後、2月の追加利上げの有無についても関心が高まっていた。このため、ロイターもなるべく早く記事を配信したかったのではないかとも思われる。

 内容からは福井総裁のこれまでの強気の姿勢は伺われるものの、慎重に姿勢といったものも滲まされたものとなった。政策委員の意見の差について「比較的早く縮まる可能性もあると思うが、逆に、すぐには縮まらない可能性もある」と総裁は発言している。

 原油価格の下落にともなうCPIの上昇幅縮小が利上げの障害にならないかとの質問に対して総裁は次のように発言している。「日本経済の成長メカニズムがおかしくなることはなく、むしろ良くなる可能性がある。物価面でも、原油価格上昇によるかく乱要因が少なくなるというメリットもある。原油価格により、指数上物価が下がることに、なぜ、そんなに恐怖心があるのか、と思う」

 正論ではある。しかし、原油価格の下落によって物価上昇圧力が弱まるということは、物価面で見る限り金利を上げる必要性が後退することでもある。原油安のメリットで企業収益が改善され成長メカニズムにプラスに働くとの予想は間違いではないであろう。しかしそれを利上げに結びつけるには経済指標等による確認も必要ではなかろうか。指数上物価が下がることに対しては、好感することはあれ通常恐怖心などは持たないと思うのだが。

 市場との対話について総裁は「今回の場合、多少、不円滑な部分があったかもしれないと思う。」とも述べたと伝えられた。さらに「日銀が、次の政策のタイミングを、何か具体的に示唆するとは思わないでほしい」とも述べている。それでは市場はどのように日銀の意向を読み取っていかなければならないのか。こういったインタビューといったものも重要な要素とも思うが、市場参加者も日銀の金融政策に向けての動きに対しどこに軸足を置いてみなければいけないのか決めあぐねている。それをマスコミに求めた結果が不円滑ともなっていた原因となっていたと思うのだが。

 さらに今回の利上げ観測を巡る市場のゆらぎを極力押さえるには、金融政策の決定プロセスをさらに透明化するための市場との対話やマスコミの対応も重要ながら、その前に政府・与党などとの対応をしっかりすべきではなかろうかとも思うのだが。
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by nihonkokusai | 2007-01-24 10:46 | 日銀 | Comments(0)

「ひび割れたのか一枚岩」


 「日銀の金融政策を決定する政策委員の中にあって、特に日銀の総裁と副総裁を合わせた3人は執行部と呼ばれる。そしてまたこの執行部は「一枚岩」と表現されることがある。日銀の金融政策を決定するのは、この執行部の3人に審議委員の6名を加えた9名の政策委員による多数決で行われる。この多数決においては執行部の票が割れることは考えられない。これについては、総裁と副総裁の意見や見方が本来異なるはずで、おかしいのではないかとの意見もあったが、執行部の3人は日銀を代表する立場にもいる。このため、途中で意見を戦わせることはあったとしても、日銀がいざ動く際には同じ方向に向く。」

 上記は私が2005年9月に書いたものであるが、どうやらこの前提が壊れかけているようである。もちろん執行部の票が割れてはならないといったことが日銀法とかで決められているわけではない。しかし金融政策の変更という大きな影響力を持つ決定に際してあまり意見が分かれるようでは決定されたものの重みが異なってしまう。たとえば米国のFOMCでも多数決が建前ながらも、長く事実上全会一致が「原則」となっていた。ただし、このFOMCの原則もここにきて反対票が出てきたことで崩れている。

 1月18日の決定会合後の記者会見において、福井日銀総裁は次のような発言をしている。「会合の場においては、総裁、副総裁2名を含め9 人の委員はそれぞれ独立の立場の9人の中の1人ということで、それぞれはお互いに制約し合わないという意味で独立した1人1人が9人のメンバーを構成しているとご理解頂きたいと思います。今回はたまたま総裁、副総裁の3人は現状維持の方向で揃っておりましたが、理論的に言えば、この3人の意見が違うということも将来的にはあり得ます。」

 しかし、新日銀法が1998年に施行されてからの金融政策決定会合で途中での議論はさておき、結果として票決において執行部の票が割れたことはないはずである。この会見での総裁の発言は、ある意味一般論でもあり特に意味のあるものではなかったかもしれない。しかし、この発言をベンダーを通じたフラッショ記事で初めて読んだ際に、近い将来に執行部の票が割れる可能性があるのではないかと強い懸念も抱いた。

 1月19日の日経新聞の記事には『ある日銀関係者は「副総裁の岩田一政は当初から1月利上げに消極的だった」と証言する。福井はもう一人の副総裁、武藤敏郎を含め、執行部が一枚岩になれるかを瀬踏みしたとされる』とある。

 市場でも今回、副総裁の2人が利上げには慎重ではないのかとの見方が出ていた。利上げの有無を巡ってのマスコミ報道によって市場が翻弄された場面もあったが、この執行部の意見が取りまとめできるかどうか判断がつきかねたことなどもその要因ではなかったろうかとも思われる。

 副総裁の慎重論、つまりは利上げ反対の背景は純粋に景気・物価を見てのものといったものの他にもいろいろと憶測も出ているが、とにかくこの執行部の一枚岩にひび割れが入りつつあるようにも見受けられるのである。12月の決定会合の見送り決定以来、明らかに日銀の金融政策決定プロセスに変化が生じているように思われてならない。

 日銀の金融政策の変更の際に、もうひとつ決め手となるものが議長提案の有無である。議長でもある総裁が議長提案を出すということは、執行部3人とともに6人の審議委員の過半数がその提案に賛成するであろうとの状況において行われるはずである。もし仮に議長提案が否決されたり、金融政策変更に絡んで他の委員の提案が可決されたりしたならば、総裁の信任が失われることとなりかねず、その後の金融政策に対して支障をきたすばかりでなく、日銀全体の信任にも関わる。

 今回の利上げの有無を巡っては、政府・与党との関係が注目されているが、それとともにこの金融政策の決定プロセスにこれまでにない不安定な要素が入りこんできていることも確かではなかろうか。
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by nihonkokusai | 2007-01-23 09:56 | 日銀 | Comments(0)

「プライマリーバランスは再び悪化なのか」


 22日の日経新聞によると、財務省がまとめた2007年度以降の財政状況の推計では、税収増で大幅に改善した国の基礎的財政収支は再び悪化し、2009年度で6兆9000億から7兆8000億円の赤字になるそうである。たとえ3%の名目成長率を見込んでも、少子高齢化に伴う社会保障費の自然増などが財政を圧迫するため一般歳出は2009年度には50兆円に膨らむ見通しとしている。

 内閣府の試算では、構造改革が順調に進んだ場合で、名目成長率は2011年度には約4%にまで達するとして大幅な税収増を見越したもの。さらに経済財政運営の基本方針「骨太の方針06」で掲げた11.4兆~14.3兆円の歳出削減を進めるとして、プライマリーバランスは1兆円の黒字に達するとしていた。

 あくまでそれぞれ試算ということもあり、増税の有無を巡っての駆け引きともみられる。政府・与党でも7月の参院選を控えて将来の新たな増税策は不要になるとの声も目立つそうであるが、これもひとつの選挙対策にも思える。

 増税ありきとの考え方はやはりまずは排除して、まずはスリム化できるものはさらなるスリム化を図るべきである。確かに今年度から来年度にかけてのプライマリーバランスの改善は一時的な要因によるものかもしれない。しかし、こういった想定外といったものも常に起こりうる。細かい改革の積み重ねも、ある時点で大きな流れとなることは自然界などにも良くあることである。この流れを貫くことができるかどうかは、改革を進めるリーダーである首相の考え方ひとつとも見られる。
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by nihonkokusai | 2007-01-22 13:16 | 国債 | Comments(0)

「いったい何が」


 ここにきて日銀の金融政策を巡って、当の日銀や政府・与党の動きをメディアを通じて流されたものに市場関係者は右往左往となった。今回はことはいろいろな教訓も残したし、問題点も残したと思う。まだ新聞を全紙目を通したわけではないが、今回の日銀を巡る経緯に関する報道は「あれっ」と思うようなものが多かった。これは日経新聞もしかり。どれが正しいとか正しくないとかは、はっきり言って当事者でなければわからないだろうが、さすがにそれは違うだろうというものもあった。

 結局、昨日のTBSの報道は「誤報」として片付けられた。あってはならないことであり、それを認めたらたいへんな事態に陥る。しかし、流されていたのは事実であるし、TBSが嘘を報じたとしたらそれもマスコミとして問題である。この問題は結局「なかったこと」になるのであろうか。当然、新聞もこれを取り上げることは避けていた。

 先週は今回の主役ともみられる2人の総裁が外遊していた。福井総裁はスイスに10日まで出張していたし、安倍自民党総裁も15日に外遊から帰国していた。福井総裁は12日に支店長会議も控えており、11日に帰国後はまずはそちらの準備が優先されたものとみられる。このため12日の支店長会議までは、17日からの決定会合に関する調整をするには時間的に無理があったはずである。このため休日ながらも翌13日か14日あたりに、最終調整が入った可能性はスケジュールから見てありうる。その結果が15日に帰国し、16日の帰国後初閣議となった16日の朝までに、何らかのかたちで官邸に伝えられた可能性はあろう。あくまで昨日のTBSの報道が事実と仮定してだが。

 12日には日銀は利上げに向けて動きを見せたとも言われていた。このためにメディアも利上げ決定かと一斉に報じた。しかし、これはまだ最終的な調整の前の話ではなかったろうか。利上げ報道については総裁の意思が強く反映されていたと考えると納得もいく。これもあくまで想像ではあるが。

 16日の閣議後の官房長官や財務相などの発言は、首相の帰国後でもあり金融政策決定会合を前にしていたこと、さらに事前の中川発言などもあって注目されていた。記者の質問も当然日銀の金融政策に集中していたろうし、聞かれるほうも準備をしていたような感じであった。結局、それぞれの閣僚がほぼ同じようなことを口にしていた。議決延期請求権の行使はしない。日銀の独立性は尊重すると。

 この際の閣僚発言を聞いて、これで安倍政権も小泉政権同様に利上げなどやってほしくはないけれど日銀の独立性を考慮して、金融政策は日銀の専管事項としっかり確認したのかと実は勝手に安堵していた。ところが、もしTBSの報道が真実と仮定するならば、すでに日銀が利上げを見送ることを知っていた上での閣僚発言であった可能性もある。歴史に「もし」は許されないが、もし日銀の意思が伝わっていなかったら、むしろ利上げの可能性が強いことなどが伝わっていたら、この閣僚発言はいかなるものに変化したのか。あまり想像したくない気もする。

 それを避けたいがために、日銀は事前に打診を閣議の前に入れておいたというのもまた勝手な想像か。今回はたまたま別なチャンネルからふとした情報が出てしまったことで隠れていた別の真実が垣間見えたのかもしれないと想像した次第。
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by nihonkokusai | 2007-01-19 14:18 | 日銀 | Comments(0)

「見送り決定だが」


 日銀は金融政策決定会合において6対3の賛成多数で原稿の金融政策維持を決定した。利上げ見送り観測が強まっていたことで現状維持は予想通りとなるが、反対者は多くて2人ともみられていただけに意外感があった。そのためこれを受けて債券先物はその後下落した。この票決に関して、総裁・副総裁の執行部3人は票は分かれないことを前提とすれば、審議委員のうち3名が反対票を投じたこととなる。これは、もし総裁が利上げを議長提案した際には、賛成多数で利上げが実施されていた可能性も高かったことになる。さらに今回現状維持に賛成した審議委員3人の一部も、もし利上げが議長提案された際には賛成に回った可能性がある。

 このため、反対票が3となったということは次回の会合での追加利上げに向けての意思が示されたとも取れなくもない。しかし、実際に利上げが可能なのかどうか知る上で、少し気になる記事がTBSから出されていた。

 16日の9時近くにTBSがニュースにおいて「日銀が1月利上げ見送りの方向で最終調整」と伝え、その後各社も同様の報道があり、追加利上げ観測は急激に後退していた。このTBSが本日10時過ぎに「日銀は、今回の金融政策決定会合で、金利の引き上げを見送る見通しである、と今週初めまでに政府側に非公式に伝えていたことが、JNNの取材で明らかになりました。」と伝えていたのである。

 今回の追加利上げ見送りに関しては、私も昨日、この若き知にて「慎重になっている日銀の動向が政府サイドから漏れたのではないかとも考えられる」と書いた。これはあくまで個人的な推測ではあったが、それがこのTBSの報道で結果として裏付けられた。しかし、これが事実に近いものであったことがマスコミを通じて報じられたことは大きな問題点を含む。

 日銀の金融政策はあくまで金融政策決定会合で9人の政策委員が多数決によって決定されるものである。票決を待たずに「金利の引き上げを見送る見通し」を事前に政府側に伝えたということは、誰が金融政策を決定しているのかという大きな問題が生じる。もちろんこういったことをマスコミに流した政府側の人間にも問題はある。

 12月の利上げ見送りが決定されて以来、どうも日銀の動きが少しおかしいように感じていた。その点についても昨日の「若き知」を読んでいただきたいが、まるで昔にタイムスリップしたような印象すら受ける。もちろん今回の利上げ見送りは個人的にはそれで良かったとも思っている。ここはもう少し慎重に景気・物価がしっかり回復してくるのを確認してから動いても遅くはない。

 私個人のこのような感想はさておき、日銀の政策委員は各自、自らの判断を元にして金融政策を決定しなければならない義務を負っている。なぜ日銀という中央銀行の存在が必要とされたのか、なぜ日銀法が改正されたのかを再度考えてみる必要があろう。
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by nihonkokusai | 2007-01-18 14:01 | 日銀 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
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