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「10月の債券相場を振り返る」


 10月の債券相場の推移を振り返ってみたい。10年債の利回りは9月1日に1.600%、その後いったん9月6日に1.740%まで利回りが上昇後、再び 9月末にかけて利回りは低下し、9月25日に1.605%をつけた。チャート上、この1.600%と1.605%が結果としてダブルトップの形となった。

 そして10月に入り、米国経済は住宅市場の落ち込みも底入れといった見方も出てきており、ソフトランディングシナリオが台頭。米FRBによる利上げ観測の後退どころか利下げ観測まで出ていたが、そういった利下げ観測もさすがに後退し、米債は下落基調となってきた。さらにNYダウは市場最高値を更新するなど株価の上昇などもあり、日本の長期金利もこういったことを背景に上昇圧力を強めた。

 日本の長期金利は10月24日に1.850%まで利回りが上昇したが、その要因としては日銀の追加利上げ観測の強まりもあったものとみられる。10月6日の武藤副総裁の会見において「クリスマス商戦を見極めないと判断できないかどうかについては、米国の消費動向を占ううえで重要なものと理解しているが、それの見極めがないと、政策展開ができないという考え方を採っているわけではない」とし年内利上げを否定しなかったことに加え、10月13 日の日銀金融政策決定会合の後に行われた日銀総裁の記者会見において、福井総裁も「年内利上げの可能性否定できない」とし、あらためて年内利上げの可能性に含みを持たせたものとなった。

 しかし、10月25日に発表された米FOMC後の声明文において、インフレ警戒を強めた内容ではないかとの懸念もあったが、結局、前回とほぼ同様の内容となり、これはハト派的内容とも捉えられたようで米国の追加利上げ観測が後退し、米債は大きく反発することとなった。

 この米債の急反発に加え、27日に発表された8月の全国消費者物価指数は前年同月比+0.2%となったことで、年内の日銀による追加利上げ観測が再び後退し、長期金利は1.7%近くまで低下してきた。ここにきて急激な動きを見せているのは米債や円債だけではなく、原油先物や金価格、さらに為替市場にも及んでおり、ファンダメンタルズの影響を受けていることも確かではあるが、ヘッジファンドなどの決算に伴ってのポジション調整といった動きが拍車をかけた面もあるとみられる。

 そういった動きが11月に入っては次第に沈静化してくるものとみられる。そうなれば米FRBの金融政策の行方とともに、追加利上げのタイミングを見計らっているとみられる日銀の動向といったものにさらに焦点が集るものとみられる。
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by nihonkokusai | 2006-10-31 10:48 | 債券市場 | Comments(0)

「秋の個人向け国債の発行額は夏に比べて約3割減に」


 今月16日に発行された秋の個人向け国債の販売額は、固定利付債が8584億円、変動利付債が7323億円、合計で1兆5907億円(うち郵便局1991 億円)となったことが明らかとなった。前回の7月発行分は10年変動タイプと5年固定タイプの合計で2兆2243億円であったことから、これに比べて 6336億円と約3割程度の減少となった。

 変動・固定ともに前回の夏の個人向け国債の初期利子や利率を下回ったことがこの減少の要因かともみられる。固定タイプは1回、2回に比べては利率は高いものの発行額は減少し、これまで4回発行された固定タイプの中では最も発行額が少ない。個人向け国債は財務省のみならず取り扱い金融機関などが積極的にテレビCMなとも利用して人気商品となった。その人気が大きく薄れることは考えづらい。ただ、現在の金利を取り巻く環境下、今後の発行額の大幅な伸びはいまのところ期待しにくいが、それでも安定的に発行が続けられていくものと思われる。

 これまで発行された個人向け国債の回号別販売額と初期利子(固定は利率)は下記の通り

第1回変動10年(2003年3月)3,835億円(うち郵便局499億円)、0.09%
第2回変動10年(2003年4月)3,486億円(うち郵便局746億円)、0.05%
第3回変動10年(2003年7月)2,802億円(うち郵便局588億円)、0.05%
第4回変動10年(2003年10月)9,432億円(うち郵便局1,659億円)、0.77%
第5回変動10年(2004年1月)1兆3,951億円(うち郵便局995億円)、0.62%
第6回変動10年(2004年4月)1兆4,185億円(うち郵便局1,244億円)、0.55%
第7回変動10年(2004年7月)1兆7,726億円(うち郵便局1,990億円)、0.74%
第8回変動10年(2004年10月)1兆8,652億円(うち郵便局2,484億円)、0.74%
第9回変動10年(2005年1月)1兆7,647億円(うち郵便局2,436億円)、0.67%
第10回変動10年(2005年4月)2兆3,374億円(うち郵便局1,990億円)、0.73%
第11回変動10年(2005年7月)1兆6,423億円(うち郵便局2,484億円)、0.45%
第12回変動10年(2005年10月)1兆3,629億円(うち郵便局2,483億円)、0.55%
第13回変動10年(2006年1月)8,001億円(うち郵便局1,488億円)、0.68%
第14回変動10年(2006年4月)8,285億円(うち郵便局1,491億円)、0.85%
第15回変動10年(2006年7月)9,813億円(うち郵便局995億円)、1.10%
第16回変動10年(2006年10月)7,323億円(うち郵便局997億円)、0.92%

第1回固定5年(2006年1月)1兆1,285億円(うち郵便局497億円)、0.80%
第2回固定5年(2006年4月)9,883億円(うち郵便局1,490億円)、1.01%
第3回固定5年(2006年7月)1兆2,430億円(うち郵便局996億円)、1.30%
第4回固定5年(2006年10月)8,584億円(うち郵便局998億円)、1.13%
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by nihonkokusai | 2006-10-30 10:47 | 国債 | Comments(0)

「展望レポート予測」


 31日に発表される日銀の経済・物価情勢の展望、いわゆる「展望リポート」が注目されているが、その内容に関して25日にロイターが「日銀展望リポートで利上げの必要性示す、CPIは今年度0.3%・来年度0.5%程度の方向」と報じている。

 展望リポートでは、2006年度の消費者物価指数(除く生鮮)の見通し中央値が+0.3%程度、2007年度が0.5-0.6%になる見通しのようである。これはもちろん2005年基準に直してのものであり、2007年度はやや高めと出る可能性はすでに指摘されており、この予想にも違和感はない。

 ロイターによると、「日銀はこうした物価や経済の見通しなどを背景に徐々に金利調整を行うとの姿勢を改めて打ち出し、追加利上げの必要性を示す方針だ。政策変更の時期は、年内の可能性も含めて今後の経済指標や市場動向なども材料にしながら判断していく」と、追加利上げに向けての姿勢を打ち出す方針のようである。これについてみ福井日銀総裁の会見などによる発言内容と整合性もあることで違和感はない。時期については引き続き「予断は持たず」との姿勢を表明するとみられるが、年内も含めてターゲットを置いていることも確かであろう。

 4月展望リポートでは、CPIの見通し中央値は、2006年度が+0.6%、2007年度が+0.8%。多くの幹部は「物価見通しは4月時と大きく変わっていない」と述べているようである。8月にCPIは2005年基準に改定され、1-7月平均で0.5%程度下方修正されている。ただ、「下方改定幅は、年初が大きくなっている点や、携帯電話料金の指数算出方法の見直しに伴う部分0.14%ポイントが11月以降ははく落することなどから、06年度を通してみると、0.3%ポイント強の押し下げ要因になる」(ロイター)と日銀では分析しているようである。さらに「基準改定実施後初めての展望リポートとなる今回は、基準改定のCPIへの影響について記述する方向だ。」とか。この説明も当然ながら必要なものであろう。

 原油価格が7月のピーク時から1バレルあたり約20ドル下落し、CPIがマイナスに戻ることへの懸念を示し始めているむきもあるが、日銀は一進一退となるだろうとの見方をしているものの「CPIが再び下落方向になることはない」とも見ているようである。1バレル60ドル前後という現在の水準は、4月展望リポート時と同水準であることや、世界経済の拡大が続く以上、さらに原油価格が下落する可能性は低いと見ていることなどがその背景にあるともロイターは指摘している。

 ソフトバンクモバイルが23日に発表した携帯電話新料金プランについては、総務省が今回の値下げを消費者物価指数にどのように採用するか、他社がどのように動くかが分からないため「現時点ではCPIへの影響は不透明」とのスタンスも当然かと思うが、ソフトバンクを使っている私の私見では全く影響はないと思っている。ドコモなどが追随するほどの影響はなく、むしろソフトバンクからの流出の方が避けられないものとも思っている。一見して低料金に見える今回の新料金プランについて、私を含めてあまり好意的には見ていない向きも多いと思われる。

 また、成長率の見通しについても「4月と大きく変わらない」とみられ、これに関して大方の予想通りではないかと思われる。

 「経済が緩やかに拡大し、物価も緩やかに上昇するとのシナリオを維持する中で、展望リポートでは金融政策について、経済・物価情勢の変化に応じて、徐々に金利水準の調整を行うとの姿勢を改めて示す見通し。」(ロイター)

 さらに、「日銀は翌日物金利0.25%の現状は非常に緩和的と認識している」(ロイター)とも見られているが、これについてもこれまでの日銀幹部の発言を見る限り、そういった認識は共有していてもおかしくはない。「超低金利を継続することで、先行き、設備投資の過熱や資産価格高騰などゆがみが出る可能性があるため、徐々に金利水準を調整することで物価安定化での持続的な成長を長続きさせるとしている。ただ、現時点で設備投資や土地投資に過熱感が出ているとは見ていないほか、物価上昇も緩やかなペースにとどまると予想している。このため金利調整はゆっくりと進めるとの考え方を維持している。」 (ロイター)

 これは福井総裁の会見などでもコメントされていた内容でもあり、これにより、「超低金利継続によるゆがみが顕在化する前に、金利調整を行うことが必要との指摘は多くなっている」ことで、「フォワードルッキングな観点で小刻みな金利調整を志向する」日銀は、経済・物価が展望シナリオに沿って進展することを確認した上で、追加利上げの時期を見定めていくとの見方には、私も同意である。
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by nihonkokusai | 2006-10-27 09:17 | 日銀 | Comments(0)

「日本の金利は本当に上がるのか」


 日銀は2006年3月9日の金融政策決定会合において、2001年3月から5年あまりにわたって続けた量的緩和政策の解除を決定した。この量的緩和政策とは、ゼロ金利政策により金利をゼロ近辺に誘導してもまだデフレ脱却への動きを見せなかった日本経済の活性化に向けて、異例ともいえる究極の緩和政策である。民間金融機関が日銀の当座預金に置いている残高を、決められた額である6兆円程度に対して最終的には30兆円から35兆円になるようにと日銀は積極的な資金供給を行った。

 この究極の日銀の金融政策により、銀行など金融機関の資金繰りは楽になり、金融システム不安が解消に向かうとともに、日本経済回復やデフレ解消に向けてのひとつの原動力ともなった。そして、米国や中国の経済拡大などを背景に日本でも景気が回復基調となっていた上に、量的金融緩和解除の条件としていた消費者物価指数が前年比プラス基調となってきたことで、日銀は異例とも言われる量的緩和政策の解除を行った。

 これにより金利に乗せられていた大きな重石を取り除くこととなり、短期金利も少しずつ金利がつくようになった。そしてさらに日銀は7月14日にゼロ金利政策も解除したのである。

 日銀が異例とも思われる2つの政策を解除してきたことで、今後は緩やかながらも金利は上昇傾向に向かうものと考えて良いかと思う。ただしそのペースについては、物価がまだ安定していることから、極めて緩やかなものとなることが予想されている。

 日銀は半年後に発表する展望リポートと言われるもので先行き予想をしているが、消費者物価指数を含めた物価に関しては、「先行きについても、景気の拡大が続く中で、マクロ的な需給ギャップが需要超過で推移していくと考えられることから、物価のプラス基調が続いていくとみられます。ちなみに、短観や各種サーベイ調査の結果をみても、企業や家計が、先行き物価が上昇していくとの見通しを持っていることを示しています。」(京都府金融経済懇談会における武藤副総裁講演より)との見方をしているものとみられる。

 10月13日の日銀金融政策決定会合の後に行われた日銀総裁の記者会見において、福井総裁は「年内利上げの可能性否定できない」とし、あらためて年内利上げの可能性に含みを持たせたものとなったが、年内利上げの可能性についての総裁発言は今回が初めてというわけではない。7月31日に行われた時事通信との単独会見においても、福井総裁は追加利上げの時期について「年内はないとまでは言っていないのが真意だ」と述べたことが伝わっている。さらに先週の武藤副総裁の会見においても「クリスマス商戦を見極めないと判断できないかどうかについては、米国の消費動向を占ううえで重要なものと理解しているが、それの見極めがないと、政策展開ができないという考え方を採っているわけではない」とし年内利上げは否定していない。

 福井総裁は追加利上げのタイミングについては予断を持っていないとの発言を繰り返しているが、懸念されていた米国経済が住宅市場の底打ち感の強まりなどによって、ソフトランディングするといった見方が強まっている。日本経済についても日銀短観などを見る限り回復基調を続けていると見てよいと思う。 このため、早ければ12月もしくは1月の金融政策決定会合にて追加利上げが実施される可能性は強いと予想される。一時は債券市場内部でも年内利上げ派が一時急減していたものの、ここにきて再び年内利上げを指摘する声も高まっていることも事実である。

 ただし、仮に年内に日銀が無担保コール翌日物の金利の目標水準を0.5%に引き上げたとしても、そこからの追加利上げにはさらに時間をかけてくるとも予想される。来年度の基準が変更された消費者物価指数の予想も1%程度までの上昇はなかなか見込みづらい。0.5%以上の追加利上げをするには、消費者物価指数もやはり前年比0.5%以上の伸びも必要になると思われるためである。

 これまでの物価の上昇は極めて緩慢であり、急速にインフレが台頭するといった環境下にもない。実際に原油価格が急騰してもそれによる影響はかなり限られたものとなっていたぐらいである。

 これは個人投資家もある程度予想しているものとみられ、たとえば個人向け国債の売れ行きなどを見ても、金利が上昇基調となっているにも関わらず、10年の変動タイプよりも5年の固定タイプが売れている。これは期間の問題や変動タイプの仕組みがわかりづらいという面もあろうが、今後の金利上昇はかなり緩やかなものとなるといった見方も反映しているのではないかともみられる。債券市場関係者からみると変動の方が有利との声も実際には多い。しかし、現実に量的緩和解除やゼロ金利解除を実施しても長期金利の上昇はせいぜい2%止まりとなり、ゼロ金利解除後にはむしろ一時1.6%にまで低下していたぐらいである。

 長期金利が低位安定している背景としては、国債の需給が締まっているという側面もある。一時、国債暴落などが騒がれた時期もあったものの、日本国債への信任は強く投資家も引き続き資金を国債に投じているとともに、財務省による国債管理政策によって国債発行も順調に行われている。

 ファンダメンタルズによっての金利の急上昇は見込めず、さらに国債への信任低下などによる長期金利の急騰も考えづらい。現状の長期金利は 2%超えがせいぜいかとみられるが、日銀の予測どおり物価がさらに上昇となれば無担保コールの誘導目標を1%程度まで引き上げてくる可能性は否定できない。そうになれば長期金利の上昇もあるとみられるが、せいぜい3%近辺止まりかと予想している。
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by nihonkokusai | 2006-10-26 17:08 | Comments(0)

「ファイナンス」


 財務省が出している雑誌「ファイナンス」というものをご存知だろうか。広報が出しているもので内容は財務省が行っていることをなるべくわかりやすく伝えようとしているものである。10月号の表紙を開けると谷垣前財務大臣から尾身財務大臣の引継ぎの様子の写真が掲載されていたりする。この10月号に、運用部ショック後の国債管理政策の拡充にご尽力され、現在は大臣官房総合政策課政策調整室長の齋藤通雄氏が書かれた「金利と経済 金融政策入門」が掲載されている。

 大臣官房総合政策課政策調整室長という長い肩書きではどのような仕事をされているのかはわかりにくいかもしれないが、金融政策などに関わる日銀と財務省とのまさに調整役といった立場の方である。このため国債に関してはもちろんのこと、日銀の金融政策に関しても詳しい方であり、そういった方がわかりやすく金融政策について書かれているのである。

 財務省の方が書かれた金融政策に関するものはそれほど多くはないものとみられ、財務省にいる方がどのような視点で金融政策を見ているのかを見る上でも参考になるのではなかろうか。「ファイナンス」の定価は560円。ご希望の方は財務省の広報などにお問い合わせいただければと思う。ちなみに10月号が上となっており、11月号で続きが読めるそうである。
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by nihonkokusai | 2006-10-25 12:55 | 本の紹介 | Comments(0)

「政府税調委員に作家の幸田真音さんら内定」


 21日の朝日新聞などが報じたところによると、本間正明教授が会長に就任することが決まった政府税制調査会の新たな委員に、小説「タックス・シェルター」などの著書がある作家の幸田真音さんらが内定したそうです。ラジオのパーソナリティーに今度は政府税調の委員とはすごいですね。

 その幸田真音さんが、初のエッセイ集を出されるそうです。タイトルは『表の顔と裏の顔』、小学館より10月30日に発売されます。ぜひお買い求めください。今回もサイン会が企画されており、政府税制調査会委員でもありラジオのパーソナリティでもある幸田真音さんに直接お目にかかるチャンスでもあります。サイン会は11月10日(金)の夕方八重洲ブックセンターで開催されます。今年三度目のサイン会、私も伺うつもりです。お誘いあわせの上、「ぜひいらしていただけると嬉しいデス!!」との幸田真音さんからの伝言もいただいております。
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by nihonkokusai | 2006-10-25 12:54 | 本の紹介 | Comments(0)

「CPI改訂値に向けての日銀の認識」


 10月18日に9月7~8日分日銀金融政策決定会合の議事要旨が発表された。8月25日の基準が改定された消費者物価指数の発表後の決定会合であったことで、特にその消費者物価指数に関する発言などが注目された。

 7月全国消費者物価指において2005年の新基準で+0.2%と発表され予想された+0.5%を下回った。2000年基準から2005年基準に伴う修正値が市場予想の0.2%程度から実際には0.4%程度あった。これはある程度携帯電話の通信料分で説明が可能とみられる。いずれにしてもこれはあくまで技術的なものとは見られていたものの、相場は過剰反応を示し10年債の利回りは1.8%から1.6%へと急低下している。この理由としては、この消費者物価指数の改訂によって各なくとも年内もしくは年度内の追加利上げが困難との見方を市場参加者の多くが示したためと解説された。

 しかし、現実にはその肝心要の日銀は基準が改定された消費者物価指数を確認してあともこれまでの方針に大きな変化がなかったことが、9月7~8日分日銀金融政策決定会合の議事要旨からも伺えるのである。たとえばCPIに関しては次のような発言があった。「消費者物価(全国、除く生鮮食品)について、委員は、2005年基準指数の動きをみてもプラス基調で推移しており、先行きも、マクロ的な需給ギャップが需要超過方向で推移していく中で、前年比プラス基調を続けていくと予想されるとの見方を共有した。」さらにその上で改訂の影響についても、

 「委員は、消費者物価指数の2000 年基準から2005 年基準への改定について、前年比押し下げ幅が大方の事前予想を幾分上回ったことに言及したうえで、この基準改定は物価を巡る基本的な判断に変更を迫るものではないとの見方で一致した」

 ここには市場参加者の見方とややギャップがあったものとみられる。私自身は日銀の方針には変化なく年内利上げも可能としていたが、基準改訂後はこういった見方は極めて少数派ともなっていた。  

 ただし「一人の委員は、基準改定に伴い、技術革新や規制緩和が進む品目のウェイトが大きくなったことが、今後の指数の推移に及ぼす影響にも注意を払いたいと述べた」といった発言にはやや注意も必要であり、改訂の影響がまったくないわけではないことも示唆している。

 もちろん今後の政策変更に時期に関しては、「経済・物価情勢次第であり、現時点で何らの予断も持っていないことを丁寧に説明していくことが大切であるとの認識を共有した」とあるように引き続きフリーハンドという日銀の姿勢に変化がないということでもある。
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by nihonkokusai | 2006-10-25 10:49 | 日銀 | Comments(0)

「CPI基準改訂に伴う債券相場の上昇要因」


 今年の8月末からの長期金利の大幅な低下のきっかけは、8月25日に発表された7月全国消費者物価指数であった。

 7月全国消費者物価指において2005年の新基準で+0.2%と発表され予想された+0.5%を下回った。2000年基準から2005年基準に伴う修正値が市場予想の0.2%程度から実際には0.4%程度あった。これはある程度携帯電話の通信料分で説明が可能とみられる。いずれにしてもこれはあくまで技術的なものではあったが、相場は過剰反応を示し、10年債の利回りは1.8%から1.6%へと急低下している。

 これはCPIショックとも呼ばれているが、利回りは低下したものの債券価格は上昇していたわけで、株価の急落が伴っていたわけでもなく、債券価格の急上昇を示すにはショックという言葉を使うことにはやや違和感がある。

 それではなぜこういった債券利回りの急低下が引き起こされたのか。8月末にかけては米国の長期金利が低下していたこともひとつの要因とも指摘されている。米国経済においては住宅市場が下げ止まらずにFRBの追加利上げ観測は急速に後退し、むしろ利下げ観測まで出るなどしていたことも大きな影響があったとみられる。

 さらに債券相場の好需給も背景のひとつではあるが、このタイミングで需給が突然良くなったわけではない。むしろ意外であったのは、公社債投資家別売買高をみるとこの8月と9月に都市銀行が短期国債を除くと売り越しであったことである。

 CPI改訂値発表前に市場観測ながらもメガバンクが中期債主体に買いに転じたのではないかとの観測が流れていた。スワップ市場あたりで動きがあったのではないかともみられていたのだが、結果を見る限り、少なくとも現物債は売り越しであった。相場が大きく動く際にはメガバンクもしくは海外投資家が動いていることも多いが、今回はメガバンクが債券の上昇相場を演出したわけではないようである。

 そうなると疑わしいのが海外投資家ともなる。外国人投資家は7月には1兆円規模の売り越しであったものの、8月と9月はそれぞれ買い越しに転じている。さらにこの時期にはヘッジファンドの破綻などの影響で商品市況も大きく揺れ動いており、そういった流れがデリバティブなどを通じて円債にも波及していた可能性も否定はできない。

 ここにきて年内の日銀追加利上げ観測も再浮上しているが、現実には日銀はこのCPI改訂があっても方向性を変えているわけでもない。海外投資家などによる需給への影響に加え、米経済などを見ながら市場心理が揺れ動いていたことでこういった相場が演出されたものと思われる。
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by nihonkokusai | 2006-10-25 10:48 | 債券市場 | Comments(0)

「格差社会」


 安倍政権下で初めての経済諮問会議の席上、メンバーの一人、福井日銀総裁は「イノベーション(技術革新)を身につけた人と、つけない人の格差は広がることを覚悟しないといけない。差が縮まるという幻想を与えないほうがよい」と発言したことを19日の日経新聞が伝えている。

 安倍首相は良く「再チャレンジ」という言葉を使う。実際に「再チャレンジ推進会議」なるものも設けられている。小泉政権下が勧められた構造改革やそれにともなっての市場化といったものによって格差が広がっていくことは避けられない。たとえ改革をせずとも、これまでリスクを負っていた国や銀行、そして民間企業がそのリスクを個人に転嫁しつつある。国の莫大な債務によって公共事業といったものは抑えられ、社会福祉についても積極的には財政を傾けられない状況となっている。さらに不良債権処理などによって金融機関も体力を消耗した上、護送船団方式というセーフティーガードも消滅し、間接金融から直接金融といった流れも加速している。「貯蓄から投資へ」とは国や金融機関が負っていたリスクを直接個人に負わせるといった意味ももつ。

 こういったリスクが広がることに対処するには、まずはチャンスを広げていく必要がある。そのためが規制緩和などを含めての構造改革が必要とされる所以である。そこにはどうしても格差の広がりは避けられない。国が構造改革を行っているから格差が広がるというよりも、日本の社会経済構造の変化によって格差が広がってしまうことは避けられず、だからこそ構造改革が必要とされ、チャンスの場を広げていかなければならない。

 この構造変化により、いったん会社に入ってしまえばそのまま定年までの人生設計が成り立った時代が過去のものとなる。このため個人の技量に応じて収入が決まるといった時代に変化している。福井総裁のイノベーションとは、この個人の技量といったものを示しているのではないかと思われる。

 そして、こういった避けられない格差社会において必要とされるのが、再度チャレンジできるといった社会である。これは以前、現在キャスターもされている村尾さんの勉強会でも大いに議論されていたことでもあった。宣伝ともなってしまうがその議論のいったんは私も執筆者の一人として参加している 『日本を変えるプランB』(村尾信尚・責任編集、関西学院大学出版会)にも入っている。重版もされており、ご興味のある方はぜひ書店にて手にとっていただきたい。再チャレンジできる機能は今後ますます必要となる。

 ただし、その前に格差社会に立ち向かうには、なにかしらのイノベーションをつける努力が必要となるのも言うまでもない。
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by nihonkokusai | 2006-10-20 10:28 | 国債 | Comments(0)

「つくば大星雲」


 毎日新聞によると、筑波山の温泉旅館組合青年部が、筑波山山頂から関東平野を一望する夜景を「つくば大星雲」と名付けてツアーをはじめるそうである。地元にいるため筑波山からの夜景は何度も見ているが、なかなか綺麗なものである。特に12月などは空気も澄んでおり見ごたえがある。

 しかし、これを商品化することまでは考え付かなかった。昔ならば田んぼや畑でほとんど電気の灯かりも見えなかったと思うが、現在ではつくば市はまさに都会(あくまで田舎の都会、別名とかいなか、とも)であるため、結構夜景らしい夜景となっている。霞ヶ浦近辺は土浦市の夜景、さらに遠くの東京に向けての夜景も見ることができる。空気の澄んだ日には、東京タワーから筑波山も見えるため、当然反対からも見えることとなる。山頂へはロープーウェイもあり、ここからの夜景もなかなか目を見張る。夕闇迫る時間帯には富士山がシルエットとなって浮かび上がる。

 よろしければ是非足を運んでいただければと思う。つくばエクスプレス経由だとバスに乗り換えて時間もかかるため、できればクルマでロープーウェイ発着場まで登ってそこの無料駐車場に止めたほうが楽ではないかと思う。詳しいことは、筑波山旅館組合青年部提供の筑波山観光情報サイト (http://www.tsukubasan.com/)などでご確認ください。
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by nihonkokusai | 2006-10-19 13:12 | つくばエクスプレス | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
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