牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

カテゴリ:国際情勢( 128 )

中国のサーキットブレーカーが株式市場のブレーカーに

 2016年は株式市場や外為市場にとって波乱の幕開けとなった。サウジアラビアとイランとの国交断絶や北朝鮮による水爆実験とされる核実験による地政学的リスクも材料視されたが、それ以上に人民元安や原油安が波乱材料となった。

 中国の人民元の引き下げによる株価の急落は昨年8月にも経験しているが、今回は中国の「サーキットブレーカー」制度の導入が市場を混乱に陥れた格好になってしまった。サーキットブレーカーそのものは日本の債券先物市場などでも導入されているシステムであり、特に目新しいものではない。しかし、現在の中国の株式市場には適さなかったようである。ちなみにサーキットブレーカー制度とは、一定の値幅で動いた際にアイロンが過熱を防ぐために自動的に電源を切るように、売買を一時中断する仕組みである。

 中国のサーキットブレーカー制度は、CSI300指数が5%下落したことでサーキットブレーカーが発動されて、中国のすべての株価指数および株価指数先物は15分間、取引が停止される。再開後に7%下落すると、その日の取引は停止される仕組みとなっている。

 1月4日に早速、サーキットブレーカーが稼働し、再開後に7%下落して当日の取引が停止された。年末にむけての米国株式市場の下落もあったが、12月のFRBの利上げによる世界的な資金の流れに変化が現れ、さらに中国経済の減速傾向も顕著となった。これらを受けて年初から中国株が下落し、サーキットブレーカーが稼働したことでさらに不安感を募らせた。

 1月7日の10時15分に中国人民銀行は、人民元の基準値を1ドル6.5646元と2011年3月以来の元安水準で設定した。通貨安による中国からの資金流出が意識され、通貨安そのものが中国経済の悪化を示すことにもなり、これが不安視された。10時30分にスタートした中国株式市場は売りが先行し、再びサーキットブレーカーが稼働し、再開後に前日比7%まで下落して、取引開始からわずか30分後に当日の取引が停止されてしまったのである。つまり売りたくても売れない状況が形成されてしまったことで、さらに不安感を募らせるという悪循環を招くことになった。

 このため中国証券監督管理委員会(証監会)は7日に、導入したばかりの株式サーキットブレーカー制度をいったん停止することにした。素早い対応といえるが、停止するほかはなかったのではなかろうか。さらに8日に中国人民銀行は人民元の基準値を1ドル6.5636元と切り上げた。

 これらの措置を受け、サーキットブレーカーと人民元の下落による売り圧力はいったん後退し、テクニカル的というか人為的にリスクを後退させた格好となった。しかし、中国の経済そのものがこれで回復するわけではない。

 7日には中国人民銀行が12月末時点の中国の外貨準備高も発表しており、それは3兆3300億ドルと前月末時点と比べて1079億ドル減少した。減少幅は過去最大となった。中国の外貨準備高には水増し疑惑もあるようだが、いずれにしても中国人民銀行が人民元相場を支えるためドルを売却していることは確かであり、それだけ人民元への売り圧力が強まっている。この流れは簡単には止められないものと思われる。

 7日に原油先物市場では、WTI先物が32.10ドルまで下落し、リーマン・ショック後につけた32.40ドルを下回った。大きな節目を割り込んだことで、30ドル割れも見えてきた。サウジアラビアとイランとの国交断絶など、中東における地政学的リスクが強まっているものの、原油先物の買い戻し圧力はそれほど強くはなく、中国など新興国の需要の後退と供給過剰が相まっての原油価格の下落傾向はまだ続く可能性が高い。

 人民元や原油価格の売り圧力の強さは、新興国や資源国の経済成長が、日米欧の中央銀行による過度な金融緩和によって嵩上げされたことで、その分が剥がれ落ちつつあることを示している。それが日米欧の株式市場などにも跳ね返ってしまっている。1月8日に発表された12月の米雇用統計では、非農業雇用者数が前月比29.2万人増と予想を大きく上回った。しかし、これによる米国株式市場の上昇は一時的なものとなり、ダウ平均は続落となり167ドル安となった。この背景には中国への不安などがあった。日経平均も年初から5日続落という戦後初の事態となった。このように年初から大荒れの金融市場ではあるが、いまのところリーマン・ショックのような事態を招くようなことは考えづらいと思われる。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2016-01-09 10:58 | 国際情勢 | Comments(0)

チャイナショックと中東情勢の混沌の原因

 2016年は年明け早々に金融市場は世界的に波乱含みの展開となった。いくつかの要因が重なったことがその理由ではあるが、その要因の根底にあるものを探ってみたい。

 1月4日の東京株式市場は売りが先行した。これは昨年30日から31日にかけて米国株式市場が下落したことに加え、サウジアラビアとイランとの国交断絶により、地政学的リスクが意識された。

 米国株式市場は12月のFOMCでの利上げを織り込んではいたものの、その影響がここにきてじわりじわりと効いてきた可能性がある。

 さらにサウジアラビアとイランとの国交断絶により、中東情勢が不透明となり、市場心理を悪化させた。スンニ派とシーア派の抗争ではあるが、ここに原油安の影響が絡んできている。原油安によるサウジアラビアの財政悪化に対する国民の不満も強まっていることで、そこにサウジ王家内の攻防も絡んで強硬手段に訴えた可能性がある。

 東京株式市場は寄り付き後、いったん下げ幅を縮小させていた。ところが、発表された中国の12月の製造業PMIが予想を下回ったことをきっかけに、中国の株式市場が急落。これを受けて東京株式市場は再び下げ幅を拡大させて日経平均は600円以上の下落となったのである。

 上海、深セン両証券取引所、および中国金融先物取引所では、主要株価指数が大きく動いた際に取引を停止する「サーキットブレーカー」制度を今年から導入した。それが早速機能した格好となり、まるで初日にテストを行ったような格好となった。

 CSI300指数が5%下落したことでサーキットブレーカーが発動され、中国のすべての株価指数および株価指数先物が15分間取引を停止。再開後に7%下落したため、その日の取引は停止された。

 はじめてのサーキットブレーカー制度の適用により、市場がさらに動揺した面もあるかもしれないが、今回の中国の株式市場の下落の背景には中国経済の低迷がある。世界経済の牽引役となっていた中国など新興国の急速な経済成長がピークアウトし、それが株価の下落に繋がり、また原油価格の下落要因のひとつとなっていた。

 米国の利上げによって、金融市場での資金の流れに変化も出てきた。新興国から米国への資金の環流現象が起きていることも、今回のチャイナリスクの背景にあると考えられる。米国の利上げの背景には、米国経済の回復もあるが、それとともに異常な金融緩和の状態から正常な状態に戻すことも目的であった。過剰な金融緩和で世界経済を支えるような環境からの変化も今回の市場の動揺の背景にあることが考えられる。

 新興国の経済成長のピークアウト、それも絡んだ原油安、さらに米国の利上げに象徴される金融政策の異常な状況からの離脱が、今回の金融市場の混乱の背景にあると考えられるのである。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2016-01-06 08:56 | 国際情勢 | Comments(0)

パリバ・ショックの再来はあるのか

 米国では1990年代に移民の増加による人口の増加に加え、低所得層に対する住宅金融制度が整備され、返済方法についての規制緩和が行われたことなどから、低所得者層にも住宅ブームが波及した。また低金利に加え、持ち家比率の高まりなどが住宅価格の高騰を招いた。住宅価格の値上がり分を担保による貸し出し(ホーム・エクイティ・ローン)が伸び、住宅価格の値上分がり分の消費が可能となり、消費を底上げした。

 さらに低所得者向けの住宅ローン(サブプライム・ローン) は、そのリスクを減らすために証券化され、金融理論で構築された価格と格付会社による高格付けを得て債務担保証券(CDO)といった新たな金融商品に組成された。欧州や産油国だけでなく、中国や台湾といったアジア勢、そして日本からなどから大量の資金が米国に流入するなどの金余りブームも加わり、このような金融化商品へのニーズは高まり、サブプライム・ローンが組み込まれた証券化商品は、世界各国の金融機関やファンドに売却された。

 2006年半ばに、それまで高騰を続けていた米国の住宅価格が下落に転じ、一部の住宅ローンが担保割れとなるなど住宅バブルが崩壊し、信用力の低い個人向けの住宅資金貸し付けであるサブプライム・ローンで焦げ付きが増加した。

 サブプライム・ローン問題による最初の危機は欧州で発生した。2007年8月9日にドイツ連邦銀行は、IKB産業銀行がサププライムでの投資に伴う損失発生に対しての救済策を協議するため、緊急会合を開催した。さらに同日、フランスの銀行最大手BNPパリバは傘下ファンドの償還停止を発表し、次はどこかとの連想も加わり、欧州銀行向け資金の出し手が急速に限られてしまい、これはパリバ・ショックとも呼ばれた。サブプライム問題は米国の大手金融機関を直撃し、これがリーマン・ショックに繋がり、世界的な金融危機を招くことになる。

 先週、投資会社サード・アベニュー・マネジメント傘下のジャンク社債ファンドは投資家からの解約受付を停止すると発表した。米国のミューチュアル・ファンドの破綻規模としては、2008年のプライマリー・リザーブ・ファンド以降で最大となる。さらにヘッジファンドも、ディストレスト債を専門に手掛けるストーン・ライオン・キャピタル・パートナーズが11日に解約請求の受け付けを停止した。解約が殺到しているライオンアイ・キャピタルも12月末に閉鎖する予定だとみられている(ロイター)。

 11日のリスクオフーは原油先物の下落が要因であったとみられるが、サード・アベニューやヘッジファンドの解約受付停止のニュースがパリバショックが連想させ、市場の不安感を強めたことも大きな要因となっていた。

 今回の原油価格の下落などを背景としたジャンク債などによる影響が、パリバ・ショックのような事態を引き起こすのか。市場規模がさほど大きくないこともあるが、サブプライム・ローン問題のように大手金融機関の破綻に繋がるような事態も考えづらい。たしかにこれがひとつのきっかけとなり、大きな危機に発展する懸念はないとは言えない。パリバ・ショックのときも、その後の展開は予想できなかったことも確かである。しかし、リーマン・ショックなどを経ていることで、大手金融機関も対応を進めていたはずであり、いまのところは同様の危機を繰り返すことも考えづらい。さらに原油価格下落による新興国発の危機に関しても、中国、ロシア、ブラジルなどは潤沢な外貨準備を抱えており、こちらも1998年のような危機が訪れることも想定しづらいのではなかろうか。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2015-12-16 09:06 | 国際情勢 | Comments(0)

原油安などによる市場の動揺

 12月15、16日のFOMCでは利上げを決定する可能性が非常に高くなっており、金融市場はそれを織り込みに来ている、はずだがその動きは必ずしも9年ぶりの利上げ、7年ぶりのゼロ金利解除に備えた動きのようにはなっていない。

 単純に考えれば、米債や米株は下落し、ドルは円やユーロに対して上昇することになる。しかし、イエレン議長はかなり時間を掛けて、久しぶりとなる利上げを市場に織り込ませてきた。テーパリングの開始決定時もそうであったが、特に米債の動揺は抑えられていた。もちろん米債が落ち着いている背景には、物価が低迷していることも要因であろうが、それ以上にFRBの市場との対話がうまくいったように思われる。

 市場との対話という面ではECBや日銀はかなり苦慮していると思われるが、それについてはさておき、それではここにきての米国や日本の株式市場の調整は何が要因となっているのか。もちろん米利上げ観測がその要因のひとつにはなっていようが、それだけではない。

 その要因のひとつに原油価格の下落がある。WTIは40ドル割れとなっており、いずれ30ドル近くに下落する可能性がある。このため、株式市場では石油関連株を中心に下落しているが、本来であれば原油価格の下げは日本などでは景気にはプラス要因となろう。しかし、米国株と同じように東京株式市場も下落しているのは、原油価格そのものの下落によるものというよりも、オイルマネーなどが株式市場から資金を引き揚げているためとの見方もできよう。もちろんチャートを意識したテクニカルな動きも入っていようが、先物の仕掛け的な動きばかりではなさそうである。

 中国の景気減速に加えて原油価格の下落により、資源国経済への影響も深刻化しつつある。ここに米利上げも絡まり、ヘッジファンドなどの資金が新興国への株式から米国などに環流するような動きも出てきているのではなかろうか。これは総じてリスク回避的な動きとなる。このため、それが米債の下支え要因となっている可能性もある。また、円債もここにきてTDBの金利のマイナス幅が拡大してるのも、それが背景のひとつになっている可能性がある。

 外為市場ではドルが円やユーロに対して下落した。上記の説明からでは安全資産として、ドルが上昇してもおかしくはないが、かなり米利上げが織り込まれていたところに、ECBに対する過剰な追加緩和への期待の反動も出たのではないかと思われる。追加緩和手段に限りがあるECBや日銀に対する過剰な期待は今後、後退することも予想される。米利上げ以降は、次第に焦点が、中央銀行の金融政策への度合いを低めてくる可能性がある。米利上げでドル円は130円を目指すといった予想もあるようだが、むしろ円高となる可能性も意識しておく必要もあるのではなかろうか。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2015-12-11 09:16 | 国際情勢 | Comments(0)

パリ同時テロで何が変わるのか

 フランスのパリで11月13日夜、武装したグループによる同時テロ事件が発生した。先進国の大都市でのテロ事件であったことで、これは世界に衝撃を与えた。かなり念密に練られた計画であったようで、13日の金曜日を狙ったというより、11月15、16日にトルコのアンタルヤで開催されたG20のタイミングを狙ったと思われる。実際にトルコでの計画もあったようである。

 しかし、G20のタイミングを狙ったことで、むしろシリアのアサド政権を巡って対立していた米国とロシアの関係が、これをきっかけに変化する兆しもある。G20では非公式に米国のオバマ大統領とロシアのプーチン大統領が顔を付き合わせて話し合う姿が強く印象に残った。これはひとつのパフォーマンスであったかもしれないが、アサド政権への対応はさておき、対ISという姿勢でG20が結束を固めたとみるべきかと思われる。

 今回のパリのテロはISがかなり焦りを感じているためとの見方もあり、今後はフランスや米国、ロシアを中心としたISへの攻撃が焦点となる可能性がある。今後はフランスがイニシアチブを取ってくる可能性はあるが、やはり米ロの動向を注意すべきかと思われる。

 今回のテロにより、世界経済そのものへの影響は限られるとみられ、実際に金融市場もそれほど大きな動揺は見せなかった。2001年9月11日の米国における同時多発テロの際には、米国の金融システムの中心地が大きな被害を受けたことで金融市場にも衝撃が走ったが、今回は、今回は金融システムへの影響はほとんどなく、市場への影響は限られた。

 ひとつ注意すべきと思われるのが、原油価格の動向か。中東の地政学的リスクが意識され、今後も荒い値動きが続く可能性がある。ただし、中国を中心とした新興国の景気減速により、原油の需要後退はこれからも続くとみられ、原油先物は波乱含みながら下値を模索する展開が予想される。

 今後は再び欧米の中央銀行の金融政策の行方が焦点になると思われるが、今回のテロを受けて、たとえばFRBが12月の利上げを躊躇することは考えづらい。また、ECBにとっては、テロによってもしリスク回避の動きが強まれば、それを口実にして12月3日の理事会での追加緩和という手段もあったかもしれない。しかし、現実には12月のECBの追加緩和はドイツなどの反対もあり、かなり厳しいのではないかとみている。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2015-11-23 11:34 | 国際情勢 | Comments(0)

パリ同時テロの金融市場への影響

 フランスのパリで13日夜、武装したグループによる同時テロ事件が発生した。これによる金融市場への影響も危惧されたが、株価等を含めてその影響は限定的となった。これにはいくつか理由が存在すると思われる。

 2001年9月11日の米国における同時多発テロの際には、米国の金融システムの中心地が大きな被害を受けた。このためニューヨーク証券取引所の取引は中止となり、再開されたのは17日となった。ニューヨーク証券取引所が予定外で連日の休場となったのは、第二次世界大戦の勝利を祝った1945年8月15~16日以来。崩壊した世界貿易センターには数多くの金融機関のオフィースがあったことで、金融システムは一時機能不全に陥った。しかし、米国の金融機関のバックアップシステムが完備していたことや、FRBなどによる懸命の対応により、米国債の取引は13日に再開された。

 今回のテロはフランスのパリではあったが、金融に絡んだ施設等が影響を受けたわけではなかった。このため2001年9月の米国における同時多発テロの際のような影響が金融市場に発生することは考えづらかった。

 日本におけるテロとも言える1995年3月20日の日本での地下鉄サリン事件の際には、東京証券取引所に近い茅場町も被害を受けたが、この日の取引所での取引は行われていた。

 何かしらの要因による金融市場への影響を考える際には、金融システムそのものへの影響の程度を考慮する必要がある。日本においては、日銀ネットが稼働しているかどうか、そして東証などの取引所の取引が可能であるかどうかが、あたりが目安となる。

 2011年3月11日金曜日に発生した東日本大震災の際も、日銀ネットへの影響はなく、金融システムは機能していた。このため政府の判断により14日の月曜日は平常通りに取引所は開かれ、金融取引も滞りなく行われた。

 今回のパリ同時テロの影響が金融市場において限定的であったのは、トルコでのG20が予定通りに開催されたことも大きかったように思われる。トルコも狙われていたとの観測があるが、G20が無事に開催され、ここでテロに対して各国首脳が非難声明を出して連帯を強めたことも、市場におけるリスクの後退要因になったのではないかと予想される。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2015-11-18 09:28 | 国際情勢 | Comments(0)

ダドリー総裁発言は軌道修正なのか

 8月26日の米国株式市場でダウ平均は619ドルもの反発となった。この上げ幅は6年10か月ぶりで、過去3番目の大きさになるそうである。この反発のきっかけは、前日の上海株や東京株式市場の上昇、中国が利下げに続いて大量の資金供給を行ったこと、さらには7月の米耐久財受注額が市場予想を上回ったことなどが要因とされた。しかし、引けにかけての戻りは、ニューヨーク連銀のダドリー総裁の発言をきっかけとした買い戻しが大きく影響したとみられる。

 今回の世界的な株安連鎖のきっかけは中国にあったかもしれないが、それよりFRBやイングランド銀行などが出口に向かい始めたことが大きな要因とみている。すでにFRBはテーパリングを終了させた。次は出口政策、つまり利上げとなることで、市場も過剰流動性相場が永久に続くわけではないことを意識しはじめたとみられる。FRBの今後のスタンスに対して市場がより敏感になってきたといえるのではなかろうか。

 FRBも今回の米国株を含めた世界的な株価の調整には注意を払っていたはずであり、直接的な手段は打たずとも、市場の動揺を抑えるための口先介入、市場との対話を図る必要があった。ちょうど8月27日から29日にかけて、市場参加者が注目しているカンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)が開催されるため、ここでFRB関係者から何かしら市場を沈静化させるべきコメントが出てくると予想されていた。

 ところが、27日までは待っていられなかったようで、FRBの重鎮のひとりであるニューヨーク連銀のダドリー総裁が26日の質疑応答で、「現時点での私の考えでは、9月のFOMCで正常化のプロセス開始を決定する論拠は数週間前に比べやや弱くなっているようだ」と語ったのである。

 ここにきての相場変動で大きな懸念材料ともなっていた9月のFRBの利上げ観測に対し、その可能性がさほど高くはないことを示唆し、目先の不安材料を取り除こうとしたとみられる。この背景には政府からの意向もあった可能性があるが、それを察しての発言ともみられる。

 イエレン議長はどのタイミングで正常化、つまり利上げに踏み切ると予定していたのかは推測の域は出ないが、あくまで年内との示唆だけであり、9月の利上げの可能性をこのタイミングで消し去ったとしてもあまり問題ではない。このダドリー総裁の発言で年内利上げの可能性そのものが後退したわけではない。

 2013年5月のバーナンキ・ショックのような動きが今回株式市場で出たともいえる。あのときに12月のテーパリング開始は市場の同様を与えずに成功したこともあり、今回もその成功体験を生かすつもりではなかろうか。

 このあたり、8月27日から29日にかけてのジャクソンホールでのフィッシャーFRB副議長などの発言から探ってみたい。念のためイエレン議長は、2013年のジャクソンホールにバーナンキ議長が欠席したと同様に、今回は異例の欠席となっている。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2015-08-28 09:59 | 国際情勢 | Comments(0)

中国だけではない米株の調整要因

 今回の中国経済の減速などが要因とされる世界的な株価の調整は一時的なものとなるのであろうか。2012年11月あたりからスタートしたダウ平均や日経平均、さらにはドル円の上昇相場を振り返りながら確認してみたい。

 2012年11月からの日本株やドル円の上昇はアベノミクスによるものとの見方がある。たしかにその側面があったことは否定しないが、あくまでそれはきっかけのひとつにすぎない。もし安倍総裁の発言がダウ平均まで動かしていたとしたら別であるが、ダウ平均の動きを含め、これは欧州の信用不安の後退によるリスク回避の巻き戻しの動きといえた。

 そのダウ平均や日経平均、ドル円の上昇トレンドが崩れたのが、2013年5月のバーナンキ・ショックと呼ばれたものによる。2013年5月22日にバーナンキFRB議長は上下両院合同経済委員会の証言後の質疑応答で、景気指標の改善が続けば債券購入のペースを減速させる可能性があると指摘した。つまりテーパリングを示唆した。

 2013年5月22日の日経平均の引けは15600円台であったが、そこから下落基調となり6月13日には12400円台に下落した。この間のドル円は102円台後半から93円台に下落していた。

 このバーナンキ・ショックはFRBのテーパリングの開始観測がきっかけとなっていた。このため米長期金利も上昇し、5月23日に2%台に乗せたあと9月に3%近辺に上昇していた。ただし、ダウ平均の調整は6月末あたりで終了し、再び上昇基調に戻っていた。

 ところが日経平均とドル円はここでいったんピークアウトしていた。急激な円高調整と株の買い戻しがバーナンキ・ショックをきっかけに収束したとみることもできる。しかし、ダウ平均の上昇は止まらなかった。このダウ平均の動きは日銀が利上げを開始したにも関わらず高値を更新し続けた1989年の日経平均と似たところがあった。ダウ平均も高値を更新してきたのである。

 日経平均とドル円が再び息を吹き返したのが、2014年10月となる。日銀による量的・質的緩和の拡大、つまり異次元緩和第二弾により、再び日本株買いと円売りが同時に起きていた。ここにはGPIFや日銀などの株買いも意識されていたこともあったとみられ、日経平均は最近まで上昇圧力を強めた格好になった。

 ところがダウ平均をみると18000ドル台ですでにピークアウトしていた。むしろダウントレンドになっていたところに、今回のショックが発生した格好となった。これは中国がきっかけであったのかもしれないが、タイムラグをともなっての過剰流動性相場の終焉を意味していた可能性もある。つまり、1990年以降の日本株の調整、いわゆるバブル崩壊時の状況にも似たところがある。

 今回の米国株をみても経済実態以上に買い進まれていたとの見方もできるのではなかろうか。たしかに米国は雇用等の回復はあったが、株価指数が過去最高値を更新するほど経済実態が良くなったわけではない。過剰流動性相場が演出された結果となれば、テーパリングが終了してから7か月程度のタイムラグを置いての大きなトレンド変化が始まったとの見方も可能ではなかろうか。現実に今回のダウ平均の調整幅は2012年11月以降でみると、最も大きなものとなっている。これにより大きな上昇トレンドは終了し、今後はあらたなトレンドを形成してくる可能性も高いのではなかろうか。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2015-08-27 09:49 | 国際情勢 | Comments(0)

どこまで下がるか原油先物

e0013821_9332761.jpg

 13日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物相場は反落し、WTIで9月限は前日比1.07ドル安の42.23ドルで取引を終えた。一時は42ドルを下回り、41.91ドルを付けた。

 WTIは2009年12月19日に32.40ドルまで下落していたが、このときは2008年7月11日に147.27ドルという史上最高値を記録した反動とも言えた。

 2008年といえば、すでにサブプライムローン問題が起きており、2008年3月に欧米での信用収縮への懸念が強まりからFRB、ECB、そしてイングランド銀行にスイス中銀、カナダ中銀は各国の短期金融市場で資金供給を拡大するとの緊急声明を発表した。

 OPECの生産調整や、中国の経済成長を背景にした需要増等によって原油価格は上昇を続けていたが、欧米の中央銀行による資金供給も手伝い、原油先物には投機的な動きが発生していた。そうでなければすでに金融危機が発生し、景気が減速していたにも関わらず、原油価格が急速に上昇していた説明が付かない。いわば原油先物でプチバブルが発生していたものの、それが現実を見据えて弾け、その結果がWTIの147ドル台から32ドル台への下落となった。

 しかし、これも売られ過ぎとみられ、OPECが大幅な協調減産に踏み切ったことや、中国を中心とした新興国の需要はさほど後退していなかったこともあり、それから原油価格は再び上昇した。2011年5月には112.8ドルにまで上昇。そこでいったんピークアウトしたものの、2014年7月ぐらいまでは100ドル台をつける場面もあり、高値圏で推移していた。

 異変が起きたのが2014年7月以降であり、再び一方的な下落を続け、2015年3月17日に43ドル39セントに下落した。ここからいったん買い戻されて60ドル台を回復する。このあたりは日銀のシナリオ通りとなったが、そこから再び下落し41ドル台となったのである。

 この原油下落の背景には、米国でのシェールオイル生産拡大で対米輸出が減っていることなどもあり、原油は世界的に供給過剰となっていたことがあった。ここに中国の経済減速があらためて材料視された。今回の中国による実質的な元切り下げを受けて、中国経済の悪化による需要の減少があらためて意識された。

 WTIが40ドルを割り込むのも時間の問題ともなってきた。これは原油を輸入に頼る日本経済にとっては恩恵となろうが、資源国には打撃となる。物価の上昇抑制要因ともなり、世界的なディスインフレ傾向がさらに強まる可能性があり、これは日銀の物価目標達成をさらに困難にしかねない。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2015-08-17 09:34 | 国際情勢 | Comments(0)

人民元切り下げの理由と影響

 中国の中央銀行である中国人民銀行は、8月11日に人民元の取り引きの目安として定めている為替レートのドルに対する基準値を1ドル6.2298人民元と定め、10日の1ドル6.1162人民元から1.8%あまり切り下げたと発表した。さらに12日には人民元の対ドル基準値を1ドル6.3306元とし、1.6%あまり引き下げた。

 中国人民銀行はこれまで銀行が毎朝提示するレートをもとに基準値を設定していたとされるが、これまで基準値の設定方法は公表されていなかった。11日からは基準値を前日の市場の終値を重視するとして切り下げた格好となった。  人民元の為替レートは中国人民銀行が取り引きの目安として日ごとに基準値を定め、その値から上下2%以内に変動を抑えることにしている。このため、12日に人民元が一時、前日終値、つまり基準値から1.98%程度下落したタイミングで元買い介入が入ったようである。

 基準値の新たな設定方法では、従来よりも市場の実勢が反映される度合いが高まるとの見方があるが、基準値の設定では今後も当局が大きな権限を握るとの見方もある。

 中国政府はこれまで内需拡大や人民元の国際化に向け、強い人民元を目指してきたとされる。中国政府は人民元の国際化を目指し、IMFが設定している特別引き出し権(SDR)の構成通貨に人民元を採用するように要請していた。米利上げ観測などからドルが上昇していたこともあり、人民元も割高となっていた。ところが通貨高による弊害も含め、ここにきて中国経済の減速傾向とともに、物価下落によるデフレ懸念により、中国当局は方針を変更せざるを得なかったと思われる。

 今回の事実上の人民元切り下げの目的は、通貨安による輸出企業へのてこ入れと物価の上昇とみられる。7月の中国の輸出は前年同月比8.3%減と大きく落ち込んだ。中国の卸売物価指数(PPI)は5.4%の下落となり、2009年以来の低水準となっていた。昨秋から相次いで利下げするなど金融緩和を実施しているが、その効果は限られている。このためより効果の高い通貨安政策を取らざるを得なくなったものと思われる。

 中国経済の減速傾向なども要因として原油価格が再び下落基調となっている。11日のWTIは引け値ベースで2009年3月以来の安値となり、一時42ドル台まで売り込まれた。40ドル割れもあるのではとの見方も出ているが、この原油安も中国の物価下落の要因となっている。

 ECBの量的緩和の目的は通貨安であった。日銀も表立っては表明していないが、二度にわたる異次元緩和の目的も結果として通貨安にあった可能性が高い。異次元緩和以降の一時的な物価の回復も円安による影響が大きく、そこに株高が加わってアベノミクスが形成された。

 今回の中国人民銀行による事実上の人民元切り下げについて、金融市場はこれを景気てこ入れとして好材料と捉えてもおかしくはなかった。しかし、市場は反対にリスク回避の動きをみせ、欧米の株式市場は下落し、質への逃避として米国やドイツ、英国などの国債は買われた。為替市場でも質への逃避としてドルやユーロが買われたが、今回は地理的に近いことも要因となったのか円は買われず、ドルやユーロに対して一時下落していた。

 ギリシャと国際債権団が支援協議で合意したこともあり、ギリシャのリスクは後退した。今度はそれに変わって中国がリスク要因として浮上してきた。そのことを示したものが今回の事実上の人民元切り下げであると市場では認識されたものと思われる。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2015-08-13 09:48 | 国際情勢 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー