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カテゴリ:国際情勢( 128 )

トランプ氏の勝利で金融市場が乱高下した理由

 米大統領選挙は、予想外のトランプ氏の勝利で世界中が驚いた。金融市場もまれに見る値動きをしていたことからも驚きが尋常でなかったことが伺える。ちょうど米大統領選挙の開票状況が伝わる時間帯に開いていた9日の東京市場では、予想外のトランプ氏のリードを受けて、一時1000円以上の下落となった。外為市場でもドル円は105円台から一時101円台に下落した。

 ところがドル円は101円台をつけたあとじりじりと切り返し、9日の米国市場では105円台後半まで上昇した。この円安と米株高もあり、10日の東京株式市場は寄り付きから買い戻しの動きを強め、前日の下げ分を取り戻した格好となった。

 9日の米国債券市場では、長い期間の債券が大きく下落した。米10年債利回りは心理的な壁とされていた2%を上回ってきた。10日に米10年債利回りは2.15%に上昇した。

 これらの値動きの背景にはいったい何があったのか。今回、市場ではブラックスワンやテールリスクが存在していることをあらためて示したものともいえる。黒い白鳥などいないと思われていたがそれは現実には存在した。通常想定出来ない確率のリスクがテールリスクとされる。つまりあり得ないと思われていたことが現実に起きてしまうリスクが今回発生したとの認識である。

 6月に実施された英国の国民投票で、予想外のEU離脱を選択したことで市場が動揺したことも記憶に新しい。このときも予想外の出来事でリスクオフと呼ばれる株安、通貨安、国債高が起きた。しかし、それが長続きすることはなく市場は次第に平静を取り戻した。

 今回のトランプショックについても、一時的にリスクオフの動きは起きても、いずれ新たな政策(善し悪しはさておき)に対する期待感が市場で出てくることも考えられ、強いアメリカを主張して国民の期待感を強ませることで、金融市場も期待を寄せる可能性はあると見ていた。しかし、これほど速く反応することまでは想定できなかった。

 英国の国民投票結果と今回のトランプ氏の勝利に関して共通してるのは、事前の大方の予想が外れたことである。この予想を背景に、市場では英国はEUから離脱しない、過激な発言を繰り返したトランプ氏は当選しないとの楽観的な見通しが形成されてしまった。それが裏切られたショックがマーケットを揺るがした。ここにはどうして正確な予想ができなかったのかという問題も存在する。

 マーケットが過剰反応し、その後の反動を含め値動きを荒くさせて背景には、アルゴと呼ばれるコンピューターが市場の動向を判断して売買するシステムや、HFTと呼ばれる超高速処理を利用して自動売買するシステムなどの存在もあったであろう。9日の先物などデリバティブ市場の売買高が記録的な多さとなっていたことからもこれは伺える。

 英国のEU離脱による欧州を主体とした金融経済への影響、トランプ大統領誕生による米国の金融経済への影響について、当初は悲観的な見通しが強まり、リスクオフの動きが強まった。しかし、英国のEU離脱は時間を掛けて行われることもあり、またポンド安によって英国景気や物価にプラスに働いた面もあって市場は認識を変えた。トランプ氏に関しては、勝利宣言を行った演説はそれほど過激なものではなかったことをきっかけに、むしろ期待感も出てきたことにより、リスクオフの反動が起きた。

 百年に一度とされる危機が、リーマン・ショック、ギリシャ・ショックというかたちで立て続けに起きて、まさに金融市場で大きなテールリスクが発生してしまった。この後遺症も残っているため、金融市場においてはつい過敏に動いてしまうことも念頭に置いておくことも必要なのかもしれない。

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by nihonkokusai | 2016-11-11 09:53 | 国際情勢 | Comments(0)

インドで高額紙幣が突然無効に、日本でもあり得るのか

 インドのモディ首相は8日夜のテレビ演説で、高額紙幣の1000ルピー(約1600円)札と500ルピー(約800円)札を演説の約4時間後から無効にすると突然発表した。手元にあるこれら2種類の紙幣については10日以降、銀行などで新たに発行する2000ルピー札や新しいデザインの500ルピー札に交換するよう指示した。

 モディ首相はこの理由について、パキスタンを本拠地とし、インド国内でテロ行為を行っている過激派グループが、紙幣を大量に偽造し活動資金に充てているためとした。また市民の間でも、脱税目的の現金決済が行われていると説明したようである。

 インドでは現金取引が主流であり、新札との交換期間が来月30日までとされたことや、1度に交換できる金額にも制限があるため、首都ニューデリーでは、急いで小額紙幣に交換しようという人たちがATMに殺到しているそうである(以上、NHK、朝日新聞、時事通信の記事より)

 国民の混乱を招いてもこのような策を講じるほかはなかったものとみられるが、その理由というのが偽造紙幣を駆逐するためというのも興味深い。

 日本では偽造紙幣が大量に出回るような事件はここにきてあまり聞かない。カラーコピーによる偽札を使うような事件はあったが、精巧な偽造紙幣が出回ったという記事は見たことがない。それだけ現在の日本の紙幣に使われる印刷技術が高度であるということでもある。このため偽造紙幣のためにインドのような事態が発生することは考えづらい。

 ちなみに日本で紙幣として遣われているのは日本銀行券であり、日銀が発行している。日銀券の製造は独立行政法人国立印刷局が担当しているが、製造された紙幣は日銀がその費用を支払って引取る。

 お札の表面に赤い印章があるが、これは「日銀総裁」の印章で、「総裁之印」と篆書という字体で書かれている。日銀券というお札は安心して使えるように日銀総裁がその価値を保証している格好となっている。

 紙幣は簡単に偽造されないように印刷は精巧なものの、本来はただの紙にしか過ぎない。しかし、この紙に印刷された金額の価値を与え紙幣が円滑に使われるようにするための管理をしているのが日本の中央銀行である日本銀行といえる。

 銀行などの金融機関は個人や企業への支払いに必要な分を用意するため、日銀の当座預金から引出すことによって日銀券を日銀の窓口から受取り、これによって日銀券が世の中に送り出され、お札の発行となる。

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by nihonkokusai | 2016-11-10 09:51 | 国際情勢 | Comments(0)

クリントン対トランプ決戦、金融市場はどう動くのか

 注目の米大統領選挙の開票が始まった。午後にも勝敗が明らかになる。米大統領選挙はメイン州とネブラスカ州を除いて、一般投票で最も多く票を集めた候補者が、その州の選挙人をすべて獲得するという「勝者総取り」という形式となる。このため単純に支持率だけで勝敗が予測できるわけではない。しかし、ここにきてクリントン氏が再び優位に立っているようだが、結果を見るまではわからない。

 まもなく大統領選挙というタイミングで突然再燃したクリントン氏のメール問題は、FBIがクリントン氏の私用メール問題で訴追を求めない方針を示したことで一応の決着となった。これにはFBI内の反クリントン派が絡んでいるとか、早期解決には現オバマ政権の意向が働いたとの観測があったが、大統領選挙に絡んでのものであったことは確かではなかろうか。

 接戦となっていた大統領選挙は終盤になってクリントン氏に落ち着きそうだとの見方が強まった。ところがクリントン氏のメール問題が再燃したことで、トランプ氏の支持率とクリントン氏の支持率が拮抗した。金融市場では政治経験がなく政策の不透明感が強いトランプ氏の追い上げに警戒感を抱き、米国株式市場は下落し、外為市場ではドルも下落した。それに対して安全資産とされる米国債は買い進まれた。これが「リスクオフ」と呼ばれる動きであった。しかし、メール問題の早期解決により、米国市場では今度は「リスクオフ」の反動、つまり「リスクオン」の動きが起きていた。

 上記の動きからもわかるように金融市場は政治経験がなく過激な主張を繰り返すトランプ氏への警戒を強めている。クリントン氏に期待しているというよりもトランプ氏よりはまし、との認識であろう。

 このまま順当にクリントン氏が大統領選挙で勝利したとして、金融市場はいったんは好感しよう。しかしその状態は一時的なものに止まることも考えられる。たとえば2012年に安倍首相が登場してアベノミクスと呼ばれた現象のようなことが起きるようなことは考えづらい。市場の注目は政治よりもFRBの金融政策に移ってくるのではなかろうか。

 クリントン氏が大統領となるのは来年であり、今年12月のFOMCに何らかの圧力を掛けるようなことは考えづらい。むしろそういうタイミングでもあり、FRBは淡々と市場予想の盛り上がりを背景として、利上げを決定してくる可能性がある。ただし、その後に再利上げができるかどうかは経済物価動向次第とも言えるため予測は難しい。思った以上に物価がしっかりしており、再利上げの可能性はないとはいえない。また膨らんだFRBのバランスシートをどうするのかも次の課題となる。このあたりについては、ブレイナード氏も候補のひとりとされるクリントン政権下の財務長官の人事も影響してくるかもしれない。いずれにしてもクリントン氏となれば市場の地合が現在から大きく変わることは考えづらい。

 もしもトランプ氏がクリントン氏を破ったらどうなるのか。「もしトラ」とも呼ばれているようだが、そうなると市場でも先行き不透明感が強まり、いったんリスクオフの動きが再燃してくる可能性がある。つまり株が売られ、ドルが売られて円高が進むことに。それでもまったく新たな政策(善し悪しはさておき)に対する期待感が市場で出てくることも考えられる。強いアメリカを主張して国民の期待感を強ませることで、金融市場も期待を寄せる可能性はある。しかし、本当に米国経済はそれで良くなるのかどうかは不透明となり、FRBとしてもいったん利上げは先送りして様子を見ることも予想される。トランプ氏本人の政治家としての技量が未知数である以上は、トランプ大統領を支える閣僚人事の行方も注目されよう。またFRBのイエレン議長は再任しないとトランプ氏は主張していただけに、それが本当ならばいずれ次期FRB議長人事も注目材料となる。

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by nihonkokusai | 2016-11-09 09:50 | 国際情勢 | Comments(0)

多様なリスクと日米欧の金融政策の行方

 14日にフランスのニースでトラックが群衆に突っ込むという痛ましい事件が発生したが、これはテロであったようである。そして、日本時間の16日の未明にトルコでクーデターが発生した。当初は情報が錯綜したが、市民が立ち上がりテロは未然に防がれた。

 6月23日の英国の国民投票によりEUからの離脱が決まったことによる金融市場や世界経済への影響も懸念され、これを受けての日米欧の政府の対応とともに中央銀行の金融政策への影響も市場では意識された。

 7月14日のイングランド銀行のMPCでは、一部に利下げ期待があったが現状維持となった。発表された議事要旨によると、ほとんどの金融政策委員は新しい経済予測をまとめる8月の金融政策委員会で、新たな金融緩和策を議論することを支持するとなっていた。つまり、利下げは8月のMPCで検討されるということになる。だかといって必ずしも8月のMPCで利下げが決定されるということではない。ロンドンの株式市場の代表的な指数であるFTSE100指数はすでに昨年8月あたりまでの水準に切り返している。8月の英国利下げを織り込んでとの見方もできなくはないものの、むしろ米国の株式市場でダウ平均が過去最高値を更新していることなどが影響しているとみられる。

 今週21日のECBの政策理事会でも、英国EU離脱による金融市場への影響は一過性のものであったことや、懸念されていたイタリアの銀行問題についても市場を脅かすような状況に陥る懸念は後退しており、追加緩和は議論はされてもそれが決定されることはないと思われる。

 株価指数が連日の高値更新となっている米国に関しても、英国のEU離脱による金融経済への影響、フランスのテロやトルコのクーデター未遂事件による地政学的リスクも意識されたが、比較的その影響は限定的となっていた。米株式市場では、これらよりもソフトバンクによる英ARM買収のニュースやポケモンGOの人気に影響を受けるなど、地合は明らかに改善されている。

 ただし、世界経済そのものについては低迷が続くとの見方が強い。中国経済についてもバブルは崩壊し、クラッシュまでは起きていないが、低迷が続くことは確かであろう。アジア、欧州、中東、ロシアなどいろいろとリスク要因となりそうなものは潜在しているが、世界の経済や金融は以前に比べれば比較的安定しているように見える。

 日米欧の中銀のなかで真っ先に正常化に向けた踏み出した米国であるが、6月の利上げは見送ったとは言え、利上げに向けた姿勢には変化はないとみられる。英国のEU離脱懸念を理由に6月に利上げを見送ったことで7月についても様子を見て、9月のFOMCで利上げを検討するのではないかと予想される。

 そして日銀であるが、日銀の金融政策は建前上、為替や株を見て検討されるわけではない。しかし、それをかなり意識していることも確かであろう。ここにきて一時ドル円が99円台をつけた円高は調整されつつあり、株価は回復してきている。長期金利は比較的低位で安定しており、ここからさらにマイナス金利を引き下げても効果は限定的となろう。そうであれば無理をする必要はない。物価目標は遠い、だからといって追加緩和を決定すべき環境にあるわけではない。

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by nihonkokusai | 2016-07-20 09:58 | 国際情勢 | Comments(0)

リーマン・ショックと英国ショックの違い

 6月23日の英国の国民投票によりEUからの離脱が決まった。開票時間に市場が開いていた東京市場では、日経平均が1000円以上も下落し、ドル円は一時99円台まで下落するなど、ややパニック的な動きとなった。24日の欧米市場でもリスク回避の動きが強まり、ダウ平均は610ドル安となるなどしたが、肝心のロンドン株式市場はいったん急落したものの、英国の通貨ポンドも急落したことで輸出株などが買われて、こちらは下げ幅を縮小させた。ただし、27日のロンドン株式市場は続落となっていた。

 2008年9月15日にリーマン・ブラザーズが破綻し、大規模金融機関が破綻したことで金融市場は極度の不安に陥り、これはリーマン・ショックと呼ばれた。巨大金融機関の破綻がもたらす影響を懸念した米政府は金融機関を破綻させない方針に転じ、FRBは9月16日に米国の大手保険会社AIGに対して緊急融資を行うことを表明した。しかし、緊急経済安定化法案が9月29日に下院で否決され、これは金融市場に再び大きなショックを与えることとなり、29日のダウ平均株価は終値で777ドル安と史上最大の下げ幅を記録した。

 英国のEU離脱について、事前の世論調査ではかなり拮抗していた。ただし、2014年におけるスコットランド独立の有無を決める住民投票においても結果として反対派が勝利していたことで、これも踏まえ今回の国民投票も離脱は回避されるとの楽観的な見通しが多かった。このため、開票途中で離脱派の優位が伝えられたことで、市場はパニック的な様相を強めたのである。しかし、英国の国民投票結果により、金融市場に直接何かしらの影響があったわけではない。必死で作り上げたEUという組織の崩壊の兆しに歴史の変化を感じ、先行きの不透明感を強め、急激なリスク回避の動きが起きたものと思われる。

 これに対してリーマン・ブラザーズの破綻は金融市場において直接的な影響を与えることになった。大手金融機関の破綻が金融システムそのものの危機となったのである。例えば日本でもリーマン・ブラザーズ証券の破綻の際に、「正確な財務状況が確認されるまで既往契約に基づく決済を停止する」旨が発表され、約定済みの国債取引が一切履行されないという非常事態が発生したのである。

 今回の英国のEUからの離脱により、ロンドンに拠点を置く金融機関などに何らかの影響は出たとしても、金融システムを揺るがすほどのものになるとは思えない。また、英国国民投票で予想外の結果が出たことで、米国の大統領選挙でも予想外というか、なってほしくない候補が大統領になってしまうかも、との懸念も出たようだが、これも選挙結果をみるまでは当然わからない。

 英国のEU離脱により世界経済にも影響が出るのではとの懸念もある。伊勢志摩サミットの首脳宣言でも「成長に向けたさらなる深刻なリスク」と明記されていた。ところが肝心の英国の株式市場をみると懸念などより、24日はポンド安による輸出企業への恩恵が意識されて、下げ幅を大きく縮小させていたのである。むしろ急激な円高も加わっての日本経済への影響の方が大きいのではないかとも思われるぐらいであった。

 英国のEU離脱により、たとえば英国の信用が大きく低下し、英国債が売られるようなことも考えづらく、英国債は買い進まれていた。27日にS&Pは英国の最上位トリプルA格付けを2段階引き下げ、AAとしたがこれにより英国債への影響も限定的ではなかろうか。このあたり2010年のギリシャ・ショックとも異なるところである。金融システムへの直接的な打撃、もしくは国の信認の急低下といった事態は金融市場を直撃し、世界的な金融経済リスクを生じさせる。しかし、今回の英国のEU離脱については、その懸念が全くないわけではないものの、ショックの質が異なるように思われるのである。

ご連絡

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by nihonkokusai | 2016-06-28 10:09 | 国際情勢 | Comments(0)

英国のEU離脱問題(ブレグジット)とは何か

 英国でのEU離脱か残留かを問う国民投票を控え市場が揺れに揺れている。このEU離脱問題はブレグジット(Brexit)と呼ばれる。BrexitとはBritain(英国)とExit(退出する)を組み合わせた造語であるが、元はグレグジット(Grexit)と呼ばれたギリシャのユーロ圏離脱を意味する造語にあるのではなかろうか。こちらもGreece(ギリシャ)とExit(退出する)を組み合わせた造語であった。

 英国は1973年にヒース政権下でEEC加盟を決定したものの、1975年にEECからの離脱をめぐって国民投票を実施しており、この際にはEEC側が妥協案を提示したこともあり残留が決まった。1992年にジョージ・ソロスがイングランド銀行相手にポンド売りを仕掛け、結局、イングランド銀行は買い支えることができず、英国はERM(欧州為替相場メカニズム)を脱退した。このため2008年にリスボン条約を批准したことで英国は欧州連合(EU)には加盟しているが、ユーロ圏には属していない。

 今回はこの欧州連合(EU)からの離脱を巡っての国民投票が実施される。なぜ離脱を望む声が出ているのかといえば、国家統一を目指すような欧州連合(EU)に縛られたくないことや、EU法による過度な規制が中小企業の経営を圧迫しているとの議論があり、EU法上は難民受け入れを拒否できないなどとの理由が挙げられている。

 これに対して残留派はシティというグローバルな金融市場を抱えていることでのEUに属する利点があり、離脱すると安全保障上の脅威が及びかねず、他のEU加盟国との関係が悪化する懸念を指摘している。また、中長期的に英国経済にはマイナスとなる懸念なども強調している。

 この英国のEU離脱問題に対しては、5月の伊勢志摩サミットの首脳宣言でも「成長に向けたさらなる深刻なリスク」と明記されているなどとして懸念されていた。しかし、市場ではリスク要因ではあるが、EU離脱は避けられるであろうとの楽観的な見方が支配していた。ところが、ここにきて英国での世論調査で離脱派が残留派を上回るといった事態が出てきたことで、金融市場は急速にリスク回避姿勢を強めることになったのである。

 英国のEU離脱がすぐに世界経済に何かしらの影響を与えるものではないが、先行きの不透明感が増すことになる。英国の国内問題に止まらず、EUというシステムそのものが崩壊する懸念も生じよう。市場ではすでに英国の通貨であるポンドが売られ、安全資産として英国債は買い進まれ、英国の10年債利回りも過去最低を更新した。リスク回避の動きからドイツの10年債利回りが初めてマイナスとなった。

 23日の国民投票の結果をみるまでは金融市場は不安定な動きをすると予想される。またもし23日の国民投票で離脱派が過半数を占めた場合には金融市場がさらに動揺する懸念もある。その前に開かれるFOMCや日銀の決定会合では金融政策は現状維持とするのではないかと予想される。市場が不安定なところに、新たら不安定要因をここで投じることは避けたいところではなかろうか。ただし、イングランド銀行がすでに臨時の資金供給を実施するなどしており、23日の国民投票の結果次第ではECBなども対応を迫られる可能性がある。

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by nihonkokusai | 2016-06-15 10:00 | 国際情勢 | Comments(0)

サミットで配られたリーマン・ペーパーの怪

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 安倍首相はG7伊勢志摩サミット議長国会見において「私たちは,今そこにある「リスク」を,客観的に,正しく認識しなければならない。リスクの認識を共有しなければ,共に力を合わせて問題を解決することはできない。」と述べている(外務省のサイトより引用)。

 さらに「世界的に市場が動揺している。それはなぜか?最大のリスクは新興国経済に「陰り」が見え始めていることである。」、「その新興国経済が,この1年ほどで急速に減速している現実がある。」

 「原油をはじめ鉄などの素材、農産品も含めた商品価格が、1年余りで5割以上下落した。これはリーマンショック時の下落幅に匹敵し、資源国をはじめ農業や素材産業に依存している新興国の経済に大きな打撃を与えている。」

 「成長の糧である投資も減少している。昨年、新興国における投資の伸び率は、リーマンショックの時よりも低い水準にまで落ち込んだ。新興国への資金流入がマイナスとなったのもリーマンショック後、初めての出来事である。」

 このように安倍首相は現在の新興国の景気減速と2008年のリーマン・ショックを比較する数値が並ぶ資料を提示した上で、サミットで世界経済の「リスク」を強調した。

 その資料について、毎日新聞は6月1日の記事において、「作成は経済産業省出身の今井尚哉・首相政務秘書官と菅原郁郎・同省事務次官らの「経産省ライン」が主導したとされる。」と指摘している。外務省や財務省はどうやらこの資料については24日あたりまで知らされていなかったようである。

 またこの資料を見たG7首脳の間でも困惑は広がり、キャメロン英首相は「危機とまで言うのはいかがなものか」と反論したとか。

 リーマン・ペーパーで指摘したかったのは、まず2016年に入ってからの世界的な株価の下落や円高の進行があろう。原油価格の下落とその背景にあった中国などの景気減速懸念が、金融市場でリスク回避という動きに現れた。それを安倍首相は「世界的に市場が動揺している」と指摘した。

 確かに今年1月あたりは動揺が走ったものの一過性のものであった。特に原油価格はWTIでみると1月末から2月上旬にかけて一時30ドルを割り込んだが、その後50ドル台に戻している。ここ1年あまりで原油価格だけでなく商品価格が大きく落ち込んでいることは事実であるが、問題は価格の動向よりもその背景にあるものであろう。

 2008年に原油価格が急騰後に急落したのは、中国などの新興国バブルを背景とした原油先物など商品価格に投機的な動きがあったためである。それがリーマンの破綻などで金融危機が表面化し、一気に原油先物市場などで投げ(売り)が入り急落したのである。

 しかし、リーマン・ショックやその後の欧州の信用危機に対応するため、日米欧の中央銀行が積極的な金融緩和策を講じ、その結果、新興国の市場への資金流入は継続し、新興国経済バブルをもう少し延命させることとなった。

 しかし、FRBのテーパリングや利上げなどの正常化の動き見られるように、世界的な危機の後退が意識されるようになり、過剰流動性によって支えられていた新興国バブルがいよいよ崩壊し、それが今年1月の原油価格の下落に繋がったと言える。

 ただしこれは2008年のような世界的な金融危機とはまったく次元が異なるものである。正常化に向けた正常な調整と言っても良い。もし仮に中国バブルの崩壊が世界経済を揺るがすというのであれば、世界経済の中核を占める米国が追加利上げを模索することなどはできないはずである。

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by nihonkokusai | 2016-06-02 10:06 | 国際情勢 | Comments(0)

原油安で何故、株が売られたのか

 1月28日の日経新聞には「原油安、業績下支え」と題する記事が掲載されていた。原油安の恩恵が2015年4~12月期の企業業績にも表れ始めているそうである。また、レギュラーガソリンの店頭価格が1リットル100円を割り込む地域が広がっているとの記事もあった。これは個人にも当然ながら恩恵である。都心ではあまりクルマを利用する機会はないかもしれないが、地方では重要な足となっている。

 原油安は石油関連業者の業績にはマイナスの影響が出ても、日本など原油の輸入に依存している国にとり、企業にとっても個人にとっても恩恵を被ることの方が多いはずである。ところがここにきての市場の動きを見てみると、原油価格の下落が日本を含めて株式市場の下落要因とされている。これはいったい何故なのであろうか。

 これは原油価格下落のそもそもの要因が影響している。昨年12月の人民元の切り下げにみられるように中国の景気が悪化しており、チャイナバブルの崩壊が鮮明になりつつある。昨年7月あたりからの原油先物の下落については当初、米国のシェールガスなどの影響による供給面が強調されていたが、実は新興国経済の悪化などによる需要面での後退による影響も重なっていた。

 少し遡ってみてみると、2002年あたりからの原油価格の大幅な上昇の背景に、中国などBRICsと呼ばれた新興国の経済成長があった。WTIは2002年当初に20ドル前後であったが、2008年7月11日に147.27ドルという史上最高値を記録した。ここまで上昇したのは新興国バブルを意識した動きが入っていた。

 それがリーマン・ショックなどにより、2009年12月19日に32.40ドルまで下落した。ここから再び原油先物は上昇基調となり、2011年には100ドル台を回復した。この原油先物の再上昇の背景にあったのが、リーマン・ショックや欧州の信用不安と称された世界的な金融経済危機に対する日米欧の中央銀行な過剰ともいえる金融緩和にあったとみられる。世界の資金は引き続き新興国などにも流れ、中国などの景気を下支えした。

 しかし、2014年7月あたりから原油価格が下落基調となった。これは原油の供給面による影響とともに、中国の成長などが減速しつつあったことが要因となった。さらにFRBがテーパリングを2014年10月に終了し利上げ、つまりは正常化の動きを模索したことで、資金の流れに変調が生じたことも要因となったのではなかろうか。

 中国など新興国ブームに加え、日米欧の中央銀行の金融緩和による過剰流動性相場により、新興国の通貨や株が買われるなどリスク資産に資金がシフトしていた。そのなかには2012年のアベノミクスの登場による日本株買いと円売りをセットにした動きも生じていた。

 原油価格の下落はこのような資金の流れに変化が生じたことを示している。さらに原油安は産油国経済も直撃することになる。ロシアやブラジルなどの新興国だけでなく、サウジアラビアなど中東の国々の経済や財政にも影響を与えることになり、これはオイルマネーの動きも変化させた可能性もある。

 原油安は中国やサウジアラビアなどの経済への懸念を強めさせることになり、さらに米利上げにより過剰流動性相場の終焉も意識されたことで、リスク回避の動きを強めさせ、それらが欧米の株式市場の売り要因となっていった。

 原油安とセットとなった欧米の株式市場の下落は東京市場を直撃し、アベノミクスをきっかけとした海外投資家などによる円売り株買いのポジションなどもリスク回避の動きで巻き戻されたのではなかろうか。その結果として東京株式市場は調整を余儀なくされたとの見方もできる。

 原油価格の下落はまもなく落ち着くものと予想しているが、新興国経済の悪化による影響は今後も残るとみられ。市場の動揺は当面続くものとみられる。これに対してECBや日銀が金融政策で対応できる部分はあまり大きくはないし手段も限られる。このため追加緩和に対する過剰な期待も禁物ではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2016-01-29 09:37 | 国際情勢 | Comments(0)

世界的な金融市場の混乱の原因と今後

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       日経新聞と米エネルギー省のデータをもとに祝日等を調整して作成

 2016年に入ってから世界の金融市場は急速にリスク回避の動きを強めた。東京株式市場で日経平均は昨年末の19000円台から1月21日に一時16000円近くまで下落した。1月4日の大発会から25日までの15営業日のうち日経平均が前日比プラスとなったのは13日、19日、22日25日の4日だけとなった。

 この間に円高も進んでおり、ドル円は年初の120円台から116円近辺に下落した。外為市場では人民元とともに資源国を中心に新興国の通貨が下落した。新興国通貨のチャートをみると2015年7月あたりを目先のピークにしてダウントレンドを形成していたものが多い。これはWTIの下落がスタートした時期とも重なり、原油価格の下落に影響された面があるとともに、市場を取り巻く資金の流れが変化して原油とともに新興国通貨が下落したとも言える。

 ただし、日経平均やダウ平均のチャートをみるとこれらのダウントレンドは前述のように今年に入ってから形成されている。ドル円については昨年11月から12月にかけて目先の天井が形成され、12月10日あたりからダウントレンドが形成されている。

 チャートをみると原油価格とともに新興国通貨の下落は、昨年7月あたりからスタートしていた。原油価格の下落については供給面の方に焦点があたっていたが、それよりも新興国経済の減速にともなう需要面の後退が影響していたと言えるのではなかろうか。

 もちろんここで忘れていけないのが米国の利上げである。FRBのテーパリングは2014年10月に終了した。その後FRBは時間を掛けて利上げのタイミングを探り、2015年12月に利上げを決定した。ECBや日銀は大量の国債買入を継続してはいるが、FRBの正常化に向けた動きは過剰流動性に依存しすぎていたともいえる世界の金融市場の流れを変化させ、それがリスク回避の動きとなり、新興国の通貨を下落させ、原油価格を下落させたと言える。

 これには中国の景気減速などが顕著となったことも大きく影響し、8月11日の人民元の切り下げ以降、リスク回避の動きに拍車を掛けた。ここに米利上げも重なり、2016年に入っての日米欧の株式指数の急落に繋がったと言える。

 年初からの急速な日米欧の株式指数などの下落は21日あたりでいった止まった格好になった。そのきっかけのひとつが原油先物の反発で、中心限月移行のタイミングで21日に新たに期近となった3月限が30ドル台を回復し、ここからリスク回避の動きの反動が起きた。また、21日にはECB理事会が開催され、ドラギ総裁は会見で次回会合での金融政策の見直しの可能性に言及したことも反動のきっかけとなった。ここに日銀の追加緩和期待も加わって日経平均は21日の16000円近辺から25日に17000円台を回復した。果たしてここで目先の底を打ったと言えるのであろうか。

 たしかに原油先物はWTIが30ドルを割り込んできたことで目先の達成感は出ている。東京株式市場の動きをみても今回の反発はヘッジファンドなどのショートカバーが原動力と思われる。その意味ではひと相場終わった感はある。しかし、テクニカル的な買い戻しであった可能性も高い。25日には原油先物は大きく下落し、WTIは新しい限月で30ドルを割り込んできた。今度は日米欧の中央銀行の金融政策の動向を見て、あらためてトレンドが形成されるのではいかと思われる。

 FRBの年内利上げについては4回は難しいとの見方も出ており、念1回か2回ではないかと予想されている。少なくとも1月のFOMCでの利上げはないと思われる。イエレン議長の議会証言などを確認し、今後のFRBの利上げに対する認識が変化しているのかが注目されよう。利上げに対して慎重な見方となれば、これはリスクオンの動きを強める可能性がある。ただし、注意すべきは日銀とECBである。追加緩和への期待感は強まろうがその手段は限られており、仮に追加緩和を決定したとしてもそれを市場ではネガティブに捉える懸念がある。リスク回避の動きを強めさせることもありうるため注意したい。

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by nihonkokusai | 2016-01-26 09:54 | 国際情勢 | Comments(0)

原油価格下落による日本への影響

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 12日のニューヨーク原油市場でWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート)先物は12年ぶりに心理的な節目となっていた1バレル当たり30ドルを割り込んだ。

 WTIの30ドルという水準はあくまでひとつの目安であったが、それはリーマン・ショック後につけた32.40ドルが直近の安値となっていたためと思われる。WTIは2008年7月11日に147.27ドルという史上最高値を記録したあと急落し、2009年12月19日に32.40ドルまで下落していた。

 WTIが2001年あたりの20ドル近辺から2008年7月に140ドル台に上昇した要因は、OPECの生産調整もあったが、中国など新興国の経済成長を背景にした急激な需要増があった。そこに投機的な買いが原油先物に入ったためとみられる。ところが2009年のリーマン・ショックをきっかけに世界的な金融経済危機の発生もあり、WTIは急落し、そのときつけたのが32.40ドルであった。

 2009年12月に32ドル台に下落したWTIは再び上昇トレンドに入る。この背景には中国などの経済成長が続いていた面があった。さらに日米欧の中央銀行による積極的に資金供給もあり、原油先物が買われていた側面もあった。

 しかし、そのWTIの上昇も2011年5月には112.8ドルに上昇したところでピークアウトした。2014年7月ぐらいまでは100ドル台をつける場面もあり、高値圏で推移していた。しかし、2014年7月以降に再び一方的な下落を続け、2015年3月17日に43ドル39セントに下落した。ここからいったん買い戻されて60ドル台を回復したものの、そこから再び下落し30ドル割れとなったのである。

 この原油下落の背景には、米国でのシェールオイル生産拡大で対米輸出が減っていることなどもあり、原油が世界的に供給過剰となっていた側面があった。ここに中国の経済減速が材料視された。中国による実質的な元切り下げなどを受けて、中国経済の悪化による需要の減少が意識されたのである。つまり需要と供給の両面から原油価格は下落圧力が加わった格好となった。

 WTIの30ドル割れは、中国を初めとする新興国の経済成長がピークアウトしたことを象徴するような出来事ともいえる。ここを下回るとチャート上からは20ドルあたりが見えてくる。

 この原油先物がどこまで下がるのかも重要かもしれないが、この低価格がこのまま継続してしまうのかどうかの見極めも重要となる。原油はまもなく枯渇すると騒がれた時期もあったが、それにとって変わるようなシェールオイルも現れた。原油価格の下落はサウジアラビアなどの産油国の経済や財政に大きな影響を与えかねず、中東情勢をさらに不安定化させることも予想させる。ロシアは原油安で8000億円超の歳出削減の方針を明らかにした。

 オイルマネーが金融市場から資金を引きあげてくることも予想され、それが東京株式市場の下落傾向のひとつの要因とも言われている。原油の輸入依存度の高い日本にとって経済そのものには当然ながらプラス要因である。ただし、新興国経済の悪化によるマイナスへの影響も想定される。さらに原油価格の動向は物価にも影響を与えることになり、日銀の物価目標達成を困難にさせかねない。この原油価格の動向は市場にも経済にも、日銀の金融政策にも大きな影響を与えることに対して注意も必要となろう。

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by nihonkokusai | 2016-01-14 09:31 | 国際情勢 | Comments(0)
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