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カテゴリ:国際情勢( 136 )

英国のメイ首相はハードブレグジットを示唆か

 英国ではユーロという単一市場からの離脱の可能性が強まりつつあり、ハードブレグジット・リスクが懸念されている。メイ首相は10月にEU法が英国で適用される欧州共同体法の廃止についても触れており、EU法を廃止するとなれば、単一市場から離脱せざるを得なくなる。

 メイ首相は17日の演説で、英国の欧州連合(EU)離脱に向けた計画について説明するとしている。この演説が大きなポイントとなりそうである。英紙サンデー・タイムズは15日、メイ首相が移民流入抑制などのために欧州連合(EU)単一市場から撤退する計画を示すと伝えた。タイムズによると、メイ首相は移民制限やEU以外の国との自由貿易協定を可能にするため、EUの関税同盟からの脱退を準備する方針という(ブルームバーグ)。

 英国民が昨年の国民投票でブレグジットの決定をしてしまったことは確かであり、今後メイ首相がどのような手順を踏んで、どのようなかたちでEUを離脱するかに注目が集まる。

 メイ首相は昨年10月にEU法が英国で適用される欧州共同体法の廃止についても触れており、EU法を廃止するとなれば、英国は欧州司法裁判所の管轄外になる。

 英国はEU単一市場にアクセスする権利を持つ欧州経済領域(EEA)に加盟することでEUの単一市場に残留する可能性を探っていたようだが、これにはEU法への準拠が求められる。つまり英国がEU法を廃止するとなれば、EEAに加盟することでEUの単一市場に残留することが難しくなる。

 EUと何らかの経過措置を設けるなどして、ある程度の時間稼ぎは可能となるかもしれないものの、いずれは単一市場から離脱せざるを得なくなる可能性が高い。これがハードブレグジット・リスクとなる。EU圏内での無関税貿易という特権を失うとともに、金融機関がEU内の1国で事業の認可を得ると域内の他国でも事業活動が可能になるパスポーティングと呼ばれる制度が利用できなくなる。

 英紙サンデー・タイムズの記事を受けて、アジア時間16日早朝の取引で、英ポンドは下落。昨年10月のフラッシュクラッシュ以来の1ポンド1.20ドル割れとなった。

 政府当局者はタイムズに対し、メイ首相による17日の演説がさらなる「市場の調整」を引き起こすと見込んでいることを明らかにしたとも伝えられており、ハードブレグジットの可能性が強まってきた、というよりもほかの選択肢がない状況に追い込まれているともいえるのではなかろうか。

 英国のハードブレグジットにより、いまだ欧州の金融の中心地となっているロンドン金融街がどのような変貌を遂げるのか。英国経済の行方にどのような影響を与えるのか。ポンド安は英国経済には好影響として英国株は買われるような状況となっているが、そのような楽観的に見方が本当に続くのか。

 20日には米国でトランプ大統領が誕生する。そのトランプ氏は英タイムズ紙のインタビューで、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)は「素晴らしいこと」になると述べ、他のEU加盟国も英国に追随するとの見通しを示した。

 今年はオランダ、フランス、ドイツで選挙が予定されている。英国を発端としたブレグジットの動きは米国の後押し?も受けて拡がる懸念がある。その意味においても17日のメイ首相の演説は今後の欧州の動向に大きな影響を与える可能性がある。

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by nihonkokusai | 2017-01-17 09:43 | 国際情勢 | Comments(0)

2017年はトランプ氏だけでなく欧州の選挙にも注目

 2017年の最大の注目材料は20日に米国大統領に就任するトランプ氏の動向となりそうだが、欧州の動向にも注意しておく必要がある。

 英国では単一市場からの離脱の可能性が強まりつつあり、ハードブレグジット・リスクが懸念されている。メイ首相は10月にEU法が英国で適用される欧州共同体法の廃止についても触れており、EU法を廃止するとなれば、単一市場から離脱せざるを得なくなる可能性が高い。メイ首相は今月17日の演説で、英国の欧州連合(EU)離脱に向けた計画について説明するとしている。この演説も大きなポイントとなる可能性がある。

 しかし、ユーロのシステムを揺るがしかねないのは何も英国ばかりではない。2017年にはユーロの中核国ともいうべきフランスやドイツでの選挙を控えている。その前に3月にオランダの総選挙が予定されている。

 米国の大統領選におけるトランプ氏の勝利により、欧州でもポピュリズム(大衆迎合主義)政党が支持を伸ばしているとされる。オランダでは反EU、イスラム移民排斥を掲げるヘルト・ウィルダース党首率いる極右・自由党が世論調査で高い支持率を維持している。オランダはEU離脱国の候補ともされているだけに選挙結果次第では、これに続くフランスやドイツの選挙に影響が拡がる恐れがある。

 4月から5月にかけてフランスの大統領選挙が実施される。フランスではテロや景気の低迷で左派・社会党を率いるオランド大統領の支持率は低下し、すでにオランド氏は次期大統領選への不出馬を表明している。この大統領選挙での注目ポイントは、誰が大統領になるのかというよりも、極右政党・国民戦線のマリーヌ・ル・ペン候補が選挙で獲得する票数とされている。オランダの選挙次第ではポピュリズム政党が勢いを増し、反EUを掲げる国民戦線の支持率が高まる可能性がある。それが6月に実施されるフランスの国民議会選挙に影響を与え、社会党と共和党によるフランスの二大政党制を揺るがす可能性もある。

 9月にはドイツでの連邦議会選挙が予定されている。盤石とされたメルケル首相の支持率は移民政策に対する不満から急速に低迷している。オランダやフランスの選挙でポピュリズム政党の勢力が強まることになれば、ドイツの選挙にも影響を与えよう。2016年の地方選挙では、メルケル首相の率いるキリスト教民主同盟(CDU)の得票が伸び悩む中、2013年に設立されたばかりの難民支援の削減を訴える右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が議席を確保している。連邦議会選挙結果次第では初めて議席を得る可能性があり、ドイツにおける第3党になる可能性もありうるとされる。

 昨年の英国の国民投票でのEU離脱の決定、イタリアの国民投票での改憲否定という結果を受けての首相の辞任、さらには米国大統領選挙のトランプ氏の勝利と、思わぬ流れの拡がりが、欧州にも押し寄せてくるのか。選挙の結果次第ではユーロというシステムに大きな影響を及ぼしかねず、これらの選挙の結果にも注意する必要がある。

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by nihonkokusai | 2017-01-15 16:32 | 国際情勢 | Comments(0)

英国のハードブレグジット(英国がEUから完全に離脱する強硬路線)・リスクはあるのか

 英国のメイ首相は8日、今年初のテレビインタビューで、英国のEU離脱は「正しい関係を得るものであって、メンバーシップを少し残すことではない」と強調した。「われわれは離脱する。EU加盟国ではもはやなくなる。英国が離脱した際にEUとどのような適切な関係を持つかが問題だ」と述べた(ブルームバーグ)

 このメイ首相の発言が、移民抑制などを優先し、単一市場からの離脱もいとわないハードブレグジットを示唆したと受け止められ、9日の外為市場でポンドはドルなどに対して大きく下落した。

 これを受けてかメイ首相は9日に、従来からの自身の立場を誤って伝えたとしてメディアを批判、単一市場からの離脱は不可避ではないとし、投資家の懸念払しょくに努めたそうである(ロイター)。

 たしかに9日の欧州市場での動きをみると外為市場でポンドは下落していたが、ポンド安を「好感」し、ロンドン株式市場ではストックス欧州600指数はザラ場中の最高値を更新し、10日続伸となっていた。また、英国債も「リスク回避」の動きを示し、10年債利回りは6日の1.38%から9日は1.33%に低下(価格は上昇)している。

 これは昨年6月の英国の国民投票において、EU離脱決定を受けた際の動きと同様である。通貨のポンドは売られても、英国の株や国債はむしろ買われており、英国売りといった状況とはなっていない。

 とはいうものの英国がブレグジットの決定をしてしまったことは確かであり、今後メイ首相がどのような手順を踏んで、どのようなかたちでEUを離脱するかに注目が集まる。いまのところEUとの離脱交渉における英政府の目的は依然として不透明であることで、これを払拭させない限り、ポンドなどは不安定な動きが続くことも予想される。

 メイ首相は10月にEU法が英国で適用される欧州共同体法の廃止についても触れており、EU法を廃止するとなれば、英国は欧州司法裁判所の管轄外になる。

 英国はEU単一市場にアクセスする権利を持つ欧州経済領域(EEA)に加盟することでEUの単一市場に残留する可能性を探っているようだが、これにはEU法への準拠が求められる。つまり英国がEU法を廃止するとなれば、EEAに加盟することでEUの単一市場に残留することが難しくなる。

 EUと何らかの経過措置を設けるなどして、ある程度の時間稼ぎは可能となるかもしれないものの、いずれは単一市場から離脱せざるを得なくなる可能性が高い。これがハードブレグジット・リスクとなる。EU圏内での無関税貿易という特権を失うとともに、金融機関がEU内の1国で事業の認可を得ると域内の他国でも事業活動が可能になるパスポーティングと呼ばれる制度が利用できなくなる。

 しかし、昨年6月の国民投票の結果を受けての欧米市場の動向をみても、今回のメイ首相の発言を受けての市場の動きを見ても、パニック的な英国からのリスク回避が起きているわけでもない。市場は英国が単一市場に結局残れるとの楽観的な見方をしているわけでもなかろう。むしろこれが世界的な金融経済危機を招くようなこととはイメージしていないのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2017-01-11 09:38 | 国際情勢 | Comments(0)

2016年は予想外の出来事が発生し市場を揺るがす

 2016年は予想外の出来事が発生し市場を揺るがすが、市場の動揺は比較的短時間で収まったというのが特色だったと言えるのではなかろうか。

 2016年は年明け早々に金融市場は世界的に波乱含みの展開となった。サウジアラビアとイランとの国交断絶や北朝鮮による水爆実験とされる核実験による地政学的リスクも材料視されたが、それ以上に人民元安や原油安が波乱材料となったのである。米利上げにより新興国への資金の流れに変化が生じ、原油安もあり新興国経済への影響が危惧された。

 日経平均は昨年末の19000円台から1月21日に一時16000円近くまで下落し、ドル円は年初の120円台から116円近辺に下落した。これを受けて日銀は1月29日の日銀の金融政策決定会合では追加緩和策として、マイナス金利付き量的・質的緩和を導入した。その結果、日本の長期金利は初めてマイナスとなった。

 3月10日のECB政策理事会では包括的な追加緩和を決定した。政策金利の下限金利である中銀預金金利を0.1ポイント引き下げ、主要政策金利であるリファイナンスオペの最低応札金利も0.00%に引き下げた。資産買い入れ規模を月間600億ユーロから800億ユーロに拡大した。資産買い入れの期限は2017年3月までとした。

 このECBの政策よりもFRBが利上げに慎重な姿勢を示したことの方を市場は好感し、原油価格の下げ止まりもあり、世界的なリスク回避の動きはいったん後退した。しかし、円高の流れはなかなか止まらなかった。日銀のマイナス金利政策に対する批判も強まったことにより、ヘリコプターマネーへの思惑も出ていた。

 ここにあらたなリスク要因が出てきた。英国でのEU離脱か残留かを問う国民投票を控え、まさかとみられていたブレグジット(Brexit)と呼ばれるのEU離脱リスクが意識されるようになったのである。あらたなリスク回避の動きからドイツの長期金利がマイナスとなり、ドル円は100円に迫った。

 現実に6月23日の英国の国民投票でEUからの離脱が決まった。ロンドン株式市場はいったん急落したものの、英国の通貨ポンドも急落したことで輸出株などが買われて、こちらは下げ幅を縮小させるなどしていた。格付会社のS&Pは6月27日に英国の最上位トリプルA格付けを2段階引き下げたが英国債は売られるどころか買い進まれた。このブレグジットによる世界の金融経済に与えるリスクは限定的となり、これをきっかけにして世界的なリスク回避の動きからの本格的な反転が生じてきたのである。

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by nihonkokusai | 2016-12-19 10:04 | 国際情勢 | Comments(0)

イタリアショックは回避か、市場の焦点は米利上げに

 12月4日のオーストリアの大統領選ではリベラル系・緑の党のベレン元党首が勝利した。これは5月の決選投票で開票作業の不備が明らかになったことでのやり直し選挙であったが、トランプ効果により、EU離脱派でもある極右・自由党候補のホーファ氏が勝利する可能性も指摘されていた。しかし、ひとまず極右の流れが欧州にも広まることは避けられた格好となった。

 そしてもうひとつ注目された同日のイタリアの憲法改正の是非を問う国民投票では、予想されていたように憲法改正が否決された、この結果を受けてレンツィ首相は辞任の意向を表明した。

 米大統領選挙でのトランプ氏の勝利によって、イタリアでもレンツィ政権の打倒を目指すポピュリストの運動は勢いを増しており、2017年の早い時期に総選挙実施となる可能性も指摘されていた。しかし、この総選挙については回避されるのではとの見方となっているようである。

 来年4月または5月にはフランスで大統領選挙が実施される。こちらも極右政党「国民戦線」のルペン党首が有力候補となっている。すでにオランド大統領は大統領選挙への立候補を断念する考えを表明している。ドイツも来年9月に総選挙を控えている。

 米大統領選挙の結果がひとつのきっかけとなり、欧米の長期金利やドルは上昇し、米国株式市場もダウ平均などが過去最高値を更新した。これはトランプ相場やトランプラリーと呼ばれたが、この政治の方の流れが欧州に波及するとなれば、市場はこれをリスク要因とみなすことになる。

 トランプラリーにより米長期金利は上昇し12月1日には2.45%に上昇した。しかし、欧州リスクが意識されて2日には2.38%に低下した。ドイツの長期金利も0.28%と1日の0.36%から低下し、英国の長期金利も1.38%と前日の1.49%から大きく低下した。イタリアの長期金利も2%を割り込み1.90%に低下した。このあたりはいわゆるリスク回避の動きとも見える。

 イタリアの政治空白の可能性によるイタリアの銀行への懸念もある。レンツィ首相が辞任するなると、資金調達を巡る懸念により、同国内の銀行に破綻のリスクが生じるとされる。

 外為市場ではユーロがドルや円に対して売られたが、ユーロドルは節目とされている1.05ドルを割り込むことはなく、市場はいまのところ比較的冷静となっている。イタリアのレンツィ首相の辞任はある程度想定されていたとみられ、問題はこれがイタリアの銀行にどのような影響を与えることになるのか。そしてイタリアでもポピュリストの運動は勢いを増すことになるのか、それがフランスなどに波及してユーロ崩壊のリスクが高まるのかが今後の焦点となる。

 ただし、オーストリアの大統領選でリベラル系のベレン元党首が勝利した背景には、極右の流れに対して国民が危機感を抱いているためとも指摘されており、この流れがユーロ圏で強まるのかどうかは疑問もある。あくまでリスク要因のひとつとして認識しておく必要がある。

 今回のイタリア首相の辞任によっていわゆるトランプラリーの流れが変わるとも思いづらい。レンツィ首相が現実に辞任を表明したことを受けての5日の欧州の株式市場は上昇しており、外為市場ではユーロも買い戻された。イタリアの国債も売られたが、ドイツや英国、米国の国債も下落していたことで、リスク回避の動きとはならなかったと言える。

 2日に発表された11月の米雇用統計で非農業雇用者数は17.8万人と予想を少し下回り、10月分は下方修正されたが、失業率は4.6%と0.3ポイント低下した。今後は市場の視線は欧州から12月13、14日のFOMCに移ってくることも予想されている。利上げはほぼ確実視されており、焦点は来年の利上げペースともなっている。今後、米長期金利はまだ上昇してくる可能性はある。ドル円についても115円という節目も意識されて押し戻された格好となっているが、ここでピークアウトしたようにも思えない。

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by nihonkokusai | 2016-12-06 09:58 | 国際情勢 | Comments(0)

ユーロリスク再燃の可能性

 イタリア政府は憲法改正の是非を問う国民投票を12月4日に実施する。憲法の改正案は上院議会の議員定数の削減や権限の縮小など首相の権限の強化につながる内容となっている。レンツィ首相は憲法改正はイタリア政治に必要な安定をもたらすと主張、否決された場合には辞任する意向を表明している。

 世論調査では、改正反対派が優勢となっている上に、米国大統領選挙でのトランプ氏の勝利によってレンツィ首相を取り巻く環境に変化も生じた。イタリアでもレンツィ政権の打倒を目指すポピュリストの運動は勢いを増しつつあり、12月4日の国民投票では憲法改正が否決され、レンツィ首相が辞任するのではないかとの観測が強まった。2017年の早い時期に総選挙実施となる可能性も指摘されている。

 これを受けて今年8月に1%近くまで低下したイタリアの長期金利は一時2%台に乗せてきた(2日は買い戻しの動きが出て大きく買い戻されて2%割れとなった)。イタリアの政治空白の可能性によるイタリアの銀行への懸念も出ていた。レンツィ首相が辞任するような事態となると、資金調達を巡る懸念により、同国内の銀行に破綻のリスクが生じるとされる。

 12月4日にはオーストリアでも大統領選挙が行われる。これは5月の決選投票で開票作業の不備が明らかになったことでのやり直し選挙となる。極右・自由党候補のホーファ国民議会第三議長とリベラル系の前緑の党党首、ファンデアベレン氏の対決となる。最近の世論調査では両候補の支持が伯仲しているようだが、トランプ効果により、EU離脱派でもあるホーファ氏が勝利する可能性もある。

 来年4月または5月にはフランスで大統領選挙が実施される。こちらも極右政党「国民戦線」のルペン党首が有力候補となっている。現職のオランド大統領の支持率は各世論調査で最低を記録し、すでにオランド大統領は大統領選挙への立候補を断念する考えを表明している。トランプ効果の追い風もあり、フランスでも極右政党の党首が大統領となる可能性がある。ドイツも来年9月に総選挙を控えている。

 すでにイギリスは国民投票でEU離脱を決定した。米国ではトランプ氏が予想を覆して勝利し、この流れで行くとイタリアでも国民投票の結果を受けてレンツィ首相が辞任しかねない。フランスでも極右候補が大統領選を制する可能性が出てきており、オランダでも極右候補が台頭している。

 イタリアの銀行の動向も気になるところではあるが、この流れはあらためてユーロシステムの崩壊の可能性を意味する。ギリシャショックの際はかろうじてユーロ崩壊は免れたものの、今後再びユーロリスクを意識せざるを得なくなる懸念がある。

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by nihonkokusai | 2016-12-03 11:07 | 国際情勢 | Comments(0)

OPECの減産最終合意でトランプ相場は継続

 30日のOPEC総会では、減産を巡り利害の対立を抱えるサウジアラビアとイランが土壇場で歩み寄り、9月末のアルジェリアの臨時総会で合意した内容に基づき減産で一致した(日経新聞)。

 サウジ、イラン、イラクの意見が噛み合わず、特に全加盟国に減産協力を求めるサウジと減産の適用除外を求めるイランが対立していた。このため30日の総会での減産合意は難しいとの観測から原油先物は売られていた。WTI先物は45ドル近辺まで下げた。

 総会直前の30日朝には加盟国の閣僚らによる非公式会合が開かれたことで、合意は難しいとの観測がむしろ強まっていたが、それだけ減産に向けてサウジを中心に何とか減産合意に持っていきたいとの意識が強かったようである。

 イランへの譲歩に難色を示してきたサウジの態度の軟化が、加盟国を8年ぶりの減産での合意に導いた格好となった(日経新聞)。

 これを受けて原油価格は急上昇、指標となっているWTI先物は30日から12月1日にかけて買い進まれて50ドルの大台を回復した。トランプラリーの原動力となっている米長期金利も上昇しも米長期金利は2.4%台に乗せてきた。これは原油価格の上昇による物価上昇という要因だけでなく、ADP全国雇用者数が予想を上回るなど経済指標も影響した。12月13、14日に開かれるFOMCでの利上げ観測がさらに強まった格好となった(すでに100%以上の利上げ予想ではあるが)。

 外為市場でドルは上昇し、特にドル円は一時114円台後半まで上昇した。ドル高ではあるが、ユーロ円も121円台をつけるなど円安の動きともなっていた。

 ただし、30日から1日にかけての米国株式市場はアマゾン・ドット・コムやフェイスブック、グーグルの持ち株会社アルファベットといった代表的なネット関連株が大幅安となったことで、ナスダックは下落した。銀行株や石油関連株の上昇で12月1日のダウ平均は上昇し、過去最高値を更新した。

 これはトランプ次期大統領が、米国を代表する大手企業であるアップル、グーグル、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック、マイクロソフトなどに対して、米国の雇用面、海外投資などに絡んで改善を求めることが予想され、対立色を強めるのではとの観測が背景にある。

 つまりトランプラリーという相場のなかでは、これらハイテク企業の株は売られやすくなり、規制緩和などの観測による銀行株などが買われた格好となった。

 新政権が現実にどのような政策を行うのかはまだはっかりしていない。ここにきてやっと財務長官や商務長官の人事が発表されたが、この人事からもTPPは反対するであろう程度しか読み取れない。

 それでも期待感を背景に2012年末のアベノミクス相場のような展開があらためて再開した。チャートを見る限り、ドル円は115円をいずれ突破して120円あたりまでの上昇もありうるか。日経平均は昨年12月以来の2万円が目処となる。そして米国の長期金利は2014年はじめにつけた3%もいずれ意識される可能性がある。

 原油価格の上昇や円安は物価上昇要因となる。これに株高も組み合わされば、日銀にとっては願ってもない動きとなろう(決してこれは日銀の金融緩和によるものではないが)。しかし、米長期金利の上昇が今後続き、原油高などによる物価の上昇観測が強まれば、日本の国債の利回りも当然、上昇圧力を強めることも予想される。それをどのように日銀はコントロールするのか、というよりもコントロールできるのか、このあたりも今後の焦点となる。

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by nihonkokusai | 2016-12-02 09:38 | 国際情勢 | Comments(0)

トランプ氏勝利で流れが変わった金融市場を振り返る

 11月8日の米大統領選挙の結果、事前の予想を覆してトランプ氏が勝利した。大統領選挙の開票が行われていた時間に開いていた東京市場では、トランプ氏の優勢が伝えられると、日経平均は一時1000円以上も下げ16000円に迫った。しかし、10日の日経平均は1000円を超す上昇となって昨日の下げ分を埋めた。それどころか、そこからじりじりと上昇し、18000円台を回復した。

 この背景にあったのがドル高円安であり、ドル高の要因となったのが米長期金利の上昇となった。米長期金利の上昇の背景には、インフレへの懸念や米国の財政赤字の拡大懸念があった。さらにそこは12月のFOMCでの利上げ観測も強まりもあった。

 このような背景ではあったが、米国株式市場は利上げ観測や財政悪化などを理由に売られるどころかむしろ買い進まれた。11月21日の米国株式市場ではダウ平均、ナスダック、S&P500種株価指数の3指数そろって過去最高値を更新している。

 つまりトランプショックとも呼ばれた市場の動揺は一時的であり、むしろ金融市場ではトランプ氏の政策への期待感が強まったことになる。トランプ氏は既存概念を打ち破り、新たな政策への期待感が強まった。保護主義などへの懸念はあるものの、法人税減税などの財政政策や規制緩和への期待感が強まった。

 米国経済を見ても雇用面などがしっかりしており、FRBは歩みは遅いながらも正常化を進めてきた。すでにリーマン・ショックやギリシャ・ショックと呼ばれた世界的な危機は過去のものとなりつつある。日米欧の大胆な金融緩和も限界が見えてきたというよりも、その必要性が後退してきた。時代は危機対応から正常化への過程が、このトランプ氏の登場により、より明確になってきた。

 この金融市場の現象が一時的なものであるのかどうかは不透明ながら、少なくともドル円でいえば、今年初めのリスク回避の動きが始まる前の水準である120円近辺に戻ってもおかしくはない。日経平均は2万円という大きな節目も意識される。

 円安株高の流れは日銀にとっては願ってもないものとなろう。ただし、米長期金利が今後さらに上昇するとなると、日本の債券市場を取り巻く状況が変わってくる。日銀は9月の金融政策決定会合でイールドカーブコントロールとオーバーシュート型型コミットメントを打ち出した。しかし、これにあまりに縛られすぎると日本でも先行きの金利上昇期待が強まっても、日銀に金利が無理矢理押さえつけられる懸念がある。そもそも日銀が本当に金利を抑えられるのかという疑問も残る。トランプ氏の登場をきっかけに様変わりした金融市場を取り巻く環境変化に日銀がどう対応するのかも興味深い。

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by nihonkokusai | 2016-11-28 18:43 | 国際情勢 | Comments(0)

トランプ氏の勝利で金融市場が乱高下した理由

 米大統領選挙は、予想外のトランプ氏の勝利で世界中が驚いた。金融市場もまれに見る値動きをしていたことからも驚きが尋常でなかったことが伺える。ちょうど米大統領選挙の開票状況が伝わる時間帯に開いていた9日の東京市場では、予想外のトランプ氏のリードを受けて、一時1000円以上の下落となった。外為市場でもドル円は105円台から一時101円台に下落した。

 ところがドル円は101円台をつけたあとじりじりと切り返し、9日の米国市場では105円台後半まで上昇した。この円安と米株高もあり、10日の東京株式市場は寄り付きから買い戻しの動きを強め、前日の下げ分を取り戻した格好となった。

 9日の米国債券市場では、長い期間の債券が大きく下落した。米10年債利回りは心理的な壁とされていた2%を上回ってきた。10日に米10年債利回りは2.15%に上昇した。

 これらの値動きの背景にはいったい何があったのか。今回、市場ではブラックスワンやテールリスクが存在していることをあらためて示したものともいえる。黒い白鳥などいないと思われていたがそれは現実には存在した。通常想定出来ない確率のリスクがテールリスクとされる。つまりあり得ないと思われていたことが現実に起きてしまうリスクが今回発生したとの認識である。

 6月に実施された英国の国民投票で、予想外のEU離脱を選択したことで市場が動揺したことも記憶に新しい。このときも予想外の出来事でリスクオフと呼ばれる株安、通貨安、国債高が起きた。しかし、それが長続きすることはなく市場は次第に平静を取り戻した。

 今回のトランプショックについても、一時的にリスクオフの動きは起きても、いずれ新たな政策(善し悪しはさておき)に対する期待感が市場で出てくることも考えられ、強いアメリカを主張して国民の期待感を強ませることで、金融市場も期待を寄せる可能性はあると見ていた。しかし、これほど速く反応することまでは想定できなかった。

 英国の国民投票結果と今回のトランプ氏の勝利に関して共通してるのは、事前の大方の予想が外れたことである。この予想を背景に、市場では英国はEUから離脱しない、過激な発言を繰り返したトランプ氏は当選しないとの楽観的な見通しが形成されてしまった。それが裏切られたショックがマーケットを揺るがした。ここにはどうして正確な予想ができなかったのかという問題も存在する。

 マーケットが過剰反応し、その後の反動を含め値動きを荒くさせて背景には、アルゴと呼ばれるコンピューターが市場の動向を判断して売買するシステムや、HFTと呼ばれる超高速処理を利用して自動売買するシステムなどの存在もあったであろう。9日の先物などデリバティブ市場の売買高が記録的な多さとなっていたことからもこれは伺える。

 英国のEU離脱による欧州を主体とした金融経済への影響、トランプ大統領誕生による米国の金融経済への影響について、当初は悲観的な見通しが強まり、リスクオフの動きが強まった。しかし、英国のEU離脱は時間を掛けて行われることもあり、またポンド安によって英国景気や物価にプラスに働いた面もあって市場は認識を変えた。トランプ氏に関しては、勝利宣言を行った演説はそれほど過激なものではなかったことをきっかけに、むしろ期待感も出てきたことにより、リスクオフの反動が起きた。

 百年に一度とされる危機が、リーマン・ショック、ギリシャ・ショックというかたちで立て続けに起きて、まさに金融市場で大きなテールリスクが発生してしまった。この後遺症も残っているため、金融市場においてはつい過敏に動いてしまうことも念頭に置いておくことも必要なのかもしれない。

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by nihonkokusai | 2016-11-11 09:53 | 国際情勢 | Comments(0)

インドで高額紙幣が突然無効に、日本でもあり得るのか

 インドのモディ首相は8日夜のテレビ演説で、高額紙幣の1000ルピー(約1600円)札と500ルピー(約800円)札を演説の約4時間後から無効にすると突然発表した。手元にあるこれら2種類の紙幣については10日以降、銀行などで新たに発行する2000ルピー札や新しいデザインの500ルピー札に交換するよう指示した。

 モディ首相はこの理由について、パキスタンを本拠地とし、インド国内でテロ行為を行っている過激派グループが、紙幣を大量に偽造し活動資金に充てているためとした。また市民の間でも、脱税目的の現金決済が行われていると説明したようである。

 インドでは現金取引が主流であり、新札との交換期間が来月30日までとされたことや、1度に交換できる金額にも制限があるため、首都ニューデリーでは、急いで小額紙幣に交換しようという人たちがATMに殺到しているそうである(以上、NHK、朝日新聞、時事通信の記事より)

 国民の混乱を招いてもこのような策を講じるほかはなかったものとみられるが、その理由というのが偽造紙幣を駆逐するためというのも興味深い。

 日本では偽造紙幣が大量に出回るような事件はここにきてあまり聞かない。カラーコピーによる偽札を使うような事件はあったが、精巧な偽造紙幣が出回ったという記事は見たことがない。それだけ現在の日本の紙幣に使われる印刷技術が高度であるということでもある。このため偽造紙幣のためにインドのような事態が発生することは考えづらい。

 ちなみに日本で紙幣として遣われているのは日本銀行券であり、日銀が発行している。日銀券の製造は独立行政法人国立印刷局が担当しているが、製造された紙幣は日銀がその費用を支払って引取る。

 お札の表面に赤い印章があるが、これは「日銀総裁」の印章で、「総裁之印」と篆書という字体で書かれている。日銀券というお札は安心して使えるように日銀総裁がその価値を保証している格好となっている。

 紙幣は簡単に偽造されないように印刷は精巧なものの、本来はただの紙にしか過ぎない。しかし、この紙に印刷された金額の価値を与え紙幣が円滑に使われるようにするための管理をしているのが日本の中央銀行である日本銀行といえる。

 銀行などの金融機関は個人や企業への支払いに必要な分を用意するため、日銀の当座預金から引出すことによって日銀券を日銀の窓口から受取り、これによって日銀券が世の中に送り出され、お札の発行となる。

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by nihonkokusai | 2016-11-10 09:51 | 国際情勢 | Comments(0)
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