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カテゴリ:国際情勢( 132 )

市場を動揺させかねないフランス大統領選挙の行方はここに注意

ここにきてフランスの大統領選挙を巡る思惑で、欧米の金融市場でリスク回避の動きが出たり、フランス国債が売られるなどしている。今後、東京市場を含めて世界の金融市場に影響を与える可能性のある今年のフランスの大統領選挙についてあらためて確認しておきたい。

フランス第5共和政の第10回大統領選挙は2017年4月23日(日)と5月7日(日)に実施される。第1回投票の前日に18歳以上で、民事上・政治上の権利を享有する、すべてのフランス国籍者が投票できる。つまりフランス国民による直接投票によって大統領が決まる。

選挙日程が2回予定されているのは、第1回目の投票で全体の過半数の票を取った候補が出ない際に、投票率の上位2名によって決選投票が行われるためである。1965年以降、第1回投票で大統領に決まった候補者はなく、今回もこれまでの世論調査などからも決選投票は不可避とみられている。

今回の大統領選挙が最も注目されているのが、極右政党、国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首である。ルペン党首はユーロ圏離脱や欧州連合(EU)離脱の国民投票実施を掲げている。英国のEU離脱や米国でのトランプ大統領の登場の流れがフランスでも強まるとなれば、このルペン党首が勢いづくことになる。

Ifopの最新の世論調査によると支持率トップはルペン氏の26%、これをマクロン、フィヨン両氏が約18.5%で並んで追っており、4位はアモン氏の14%、5位メランション氏11.5%となっている(ブルームバーグ)。

このようにルペン党首が支持率トップではあるが、もし決選投票となれば反ルペン派が勢いを増して、ルペン党首の大統領の就任はないとの見立てとなっている。その見立てがやや怪しくなってきたため、ここにきて市場が揺れている。

与党・社会党など左派陣営のブノワ・アモン氏と共産主義の支持を集める急進左派のジャン・ルク・メランション氏が、協力の可能性をめぐり協議していることを明らかになった。左派系2人が手を組めば決選投票に進む可能性も出てくる。マクロン氏と共和党など中道・右派陣営の統一候補フィヨン元首相が第1回投票で敗北するのではないかとの観測が出ていた。ところがその後、左派候補2人が目指した共闘の取り組みは決裂したと伝えられている。

現職のオランド大統領は国民からの支持率が極めて低く、これまでのパターンからは通常、2期目を目指すところ早々に再選を諦めており、オランド大統領の代わりとして出馬したのがブノワ・アモン氏である。

そして左派からは中道・無党派のマクロン前経済相が出馬を予定している。フランス大統領に最も近いとされていたのがこのマクロン前経済相である。

右派統一候補のフィヨン氏は最大野党・共和党に属しサルコジ政権で首相を務めた人物である。

左派の2人が組まない限り、5月7日の決選投票に進むのはルペン氏、マクロン氏、フィヨン氏のうちの2人、いまの勢いであればルペン氏とどちらかということになる。

オピニオンウェイの調査によると、もし決選投票がマクロン対ルペンとなった際は58%対42%でマクロン氏、もしフィヨン対ルペンとなった場合には56%対44%となると見込まれているそうである(ロイター)。

ちなみに2002年の大統領選挙の際には1回目の投票で現職のシラク大統領に次いで、極右政党・国民戦線(FN)のジャンマリ・ルペン党首(マリーヌ・ルペン氏の父親)が2位で決選投票に進んでいた。決選投票では1回目の選挙で敗れた左派の社会党候補の支持者も、ルペン氏を当選させないために、ライバルであった保守系政党のシラク氏支持に回り、シラク氏が大差で勝利していたということもあった。

市場ではルペン氏が大統領選挙で勝つことはないだろうとの予想が大勢を占めているようだが、この予想が米国大統領選挙の際のように覆されることとなれば、フランスのユーロ離脱の可能性まで出てくることとなり、市場には大きなインパクトを与えることになる。


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by nihonkokusai | 2017-02-22 09:32 | 国際情勢 | Comments(0)

フランスの大統領選挙の行方が市場の波乱要因に

 2月6日の欧米市場の動きは少し変わっていた。それが顕著に現れていたのが国債市場である。欧州の債券市場ではフランス、イタリア、スペインの国債が売られた反面、ドイツや英国の国債が買われ、米国債も買われた。リスク回避のような動きにも見えるが、どうやらその起点はフランスにあった。だからリスク回避の動きにも関わらずフランスの国債が売られたのである。

 4月から5月にかけてフランスでは大統領選挙が実質される。最新の世論調査では、当初最有力とされた中道右派のフィヨン氏が家族のスキャンダルで支持率が落ち込み、ルペン氏が首位に立っている。それを中道のマクロン氏と中道左派のアモン氏が追う構図となっている。その中道・無党派のエマニュエル・マクロン前経済相には不倫疑惑が浮上した(ロイター)。ここにきて主要候補者にさらなるスキャンダルが浮上したことで相対的に極右政党・国民戦線のル・ペン候補が優位となりつつある。

 ルペン氏は4月23日に行われる第1回投票では勝ち残っても、5月7日の決選投票でマクロン氏に敗れるとの大方の予想となっていた。しかし、このあたりの読みも怪しくなりつつある。米国の大統領選挙をみてもわかるように予想がまったく通用しなくなっている。

 フランス大統領選挙前には3月にオランダで選挙が実施される。この結果次第ではポピュリズム政党がさらに勢いを増し、反EUを掲げる国民戦線の支持率が高まる可能性がある。それが6月に実施されるフランスの国民議会選挙に影響を与え、社会党と共和党によるフランスの二大政党制を揺るがす可能性も出ているのである。

 その注目のルペン氏は6日の大統領選挙に向けた決起集会で、米国のトランプ政権の発足やイギリスのEU離脱の決定などを踏まえ、フランスも自国の利益を最優先にすべきだという立場を鮮明に打ち出した。英国が欧州連合の離脱を選択したことを称賛するとともに、フランスの有権者に対し「国益を第一とする」トランプ氏支持者に続くよう呼び掛けた。

 ポピュリズムの流れがフランスにも押し寄せるのではないかとの危惧から6日にフランス国債が売られ、外為市場では円が買われるなどのリスク回避型の動きが生じたといえる。

 また、ルペン氏のアドバイザーによると、ルペン氏は当選した場合、直ちに欧州連合首脳と欧州中央銀行の会議を招集し、かつての欧州通貨単位のような各国通貨のバスケットを採用してユーロに代えるよう要請する考えだいう(ブルームバーグ)。

 仮にユーロの中核ともいえる国のひとつフランスがユーロを離脱するようなことになれば、ユーロというシステムそのものの崩壊は免れない。まさに危機的状況を迎えることとなる。フランス大統領選挙の前にオランダでの選挙の動向にも注意したいが、いずれにしてもポピュリズム政党が勢いを増すようなことになると欧州そのものが新たなリスク要因となる懸念がある。


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by nihonkokusai | 2017-02-08 09:47 | 国際情勢 | Comments(0)

日米首脳会談の目的はひとまず日本への圧力ではなさそう

 2日の日経新聞によると、政府が10日に米ワシントンで開く日米首脳会談で提案する経済協力の原案が1日、明らかになったとされる。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が米国のインフラ事業に投資することなどを通じ、米で数十万人の雇用創出につなげる。対米投資などで米成長に貢献できる考えを伝え、トランプ政権との関係強化につなげるそうである。

 日米で通商政策や経済協力を話し合う閣僚級協議を新たに立ち上げることも検討し、日本側はメンバーに麻生副総理・財務相、世耕経済産業相、岸田文雄外相らの参加が想定されているそうである。

 私は1月26日に「トランプ政権登場による日銀の金融政策への影響」とのタイトルのコラムで次のような指摘をしていた。

 「トランプ氏は大統領選後初の会見で貿易赤字の相手国として、中国とメキシコとともに日本の名前を挙げていた。これに対して麻生財務相は13日の閣議後会見で「日本やメキシコよりドイツの方が(米国の赤字は)上ではないか。なぜドイツが出ていないのか」と疑問を呈した。日本政府は2月上旬の日米首脳会談開催を目指し、安倍首相の訪米に麻生副総理兼財務相が同行する方向で調整を進めている。麻生氏の同行は米側からの要請によるものとされる。果たして麻生氏の同行を米国が何故要請したのかはわからない。あの独特のスタイル(服装)をトランプ氏が気に入ったからというわけではないと思うが、貿易赤字の相手国として日本が意識されている可能性は十分ありうる。」

 この麻生氏の同行を米側が求めている理由は何か、個人的にもたいへん関心があった。財務大臣を通じて日銀にプレッシャーを掛けるのかのように読めなくもなかったが、実は日本側が何かしらの支援策をすでに準備しており、その関係で麻生副総理・財務相も同行するのではないのかとの観測があった。2日の日経新聞の記事を読む限り、どうやらその観測が正しいものであったようである。

 さらに今回の日米首脳会談のあとにトランプ大統領と安倍首相がゴルフをする方向で調整が進められているという。2016年11月、就任前のトランプ氏とニューヨークで会談した際にも、安倍首相は本間ゴルフのべレスS‐05シリーズのなかでも最高級の5Sをプレゼントしたとされる。トランプ氏が安倍首相に用意していたプレゼントもゴルフウェアとゴルフ用品とされる。すでにゴルフする気が満々のようであった。正式な首脳会談のあとにプライベートな機会を用意していることをみると、今回の日米首脳会談は友好を深めることを意図しているかに思える。

 それでは何故、ここにきてトランプ氏は中国や日本が市場で何年も通貨安誘導を繰り広げ米国はばかをみているといった発言するなどしていたのか。攻撃して譲歩を求めているとの見方もできようが、そもそもの発言の対象が異なっているのかもしれない。いまだにトランプ大統領の政策は読めない部分が多いが、こと日本に関しては少なくともトップ同士は形式上ではあるかもしれないが、うまくいっているようであり、それは今後のトランプ政権の日本に対する対応に少なからず影響を与えるものであると思われる。ちなみに安倍首相は「為替問題は、財務長官と財務大臣で議論なされるべき。首脳会談でやり合うのは、本来ふさわしいと思っていない」とも発言している。だから麻生大臣が呼ばれたとも言えるのであろうか。

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by nihonkokusai | 2017-02-03 09:57 | 国際情勢 | Comments(0)

神の見えざる手による美人投票の結果がトランプ氏なのか

 有名な経済学者のケインズは著作で、金融市場における投資家の行動パターンを表す例え話としての美人投票を挙げている。「投票者は自分自身が美人と思う人へ投票するのではなく、平均的に美人と思われる人へ投票するようになる」と。

 イギリスの哲学者でもあり経済学者でもあったアダム・スミスの著書「国富論」の中に書かれている「見えざる手」という言葉は、本の中でわずか1回しか使われていないにも関わらず、有名な言葉として今に伝わっている。

 この「見えざる手」の意味するところは、「利己的に行動する人々が市場において自由競争をおこなえば、自然と需要と供給は収束に向かうことで、経済的均衡が実現され、社会的安定がもたらされる」というものである。

 これは相場にも使われる。市場での価格の決定は利己的に行動する人々が市場において自由競争をおこなえば、需要と供給は収束に向かい、それによって価格が決定される。

 日々の金融市場での価格の動向をみていると常に不安定に揺れ動いている。それが何かしらのきっかけで、ひとつの方向に動き出すこともある。これはケインズ的に言えば、投票が割れているときはなかなか方向感は出ないが、皆の意見が集約されるようになると方向性が決まると言うことか。

 この意見の集約とその結果としての方向性が、相場の世界では読みづらいというよりも基本的に読めない。だから金融市場での動きは常に不安定となる。先を読めるものはいないし、仮にいたとしてもそれはたまたまである。

 1年先の日経平均やドル円、長期金利の水準をピタリ言い当てた人はいるかもしれない。しかし、そこに至るまでの過程、流れを含めて的確に読める人はいないし、いたとすればタイムフライヤーとなろう。だからこそ相場の世界は面白い。

 しかし、ここにきての世界の政治の流れも相場以上に読めなくなってきている。昨年の英国や国民投票や米国の大統領選挙の結果は事前の予想が覆された。これは政治の流れが、これまでの価値尺度では計れなくなってきたともいえるのかもしれない。皆が美人だと思って投票すると思った人が当選せず、まさかと思った人物が、神の見えざる手によって選ばれる。しかし、これを歴史という大きな流れにあてはめると、意外に違和感はないといった見方もできるのかもしれない。相場の世界も何だこの動きは、と見ていたものが、結果からみると後で納得することも多い。

 その歴史の流れの変化を捉えることも、トランプ大統領の今後の動向や英国のEU離脱による影響、今年のフランス、ドイツの選挙の行方、さらには日銀の金融政策の行方を占う上でも重要になってくるのかもしれない。その結果としての金融市場の動きを読む上でも重要な要素となろう。

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by nihonkokusai | 2017-01-24 09:51 | 国際情勢 | Comments(0)

トランプ大統領の登場は物価や金利の上昇要因になるのか

 1月20日にトランプ氏が次期大統領に就任した。金融市場では昨年の米国大統領選挙でトランプ候補がクリントン候補を破ったことから、一時的にリスク回避の動きが起きたが、すぐに切り返してトランプ相場やトランプラリーと呼ばれる相場展開となった。

 トランプ氏が減税や規制緩和などを行うとの期待が出たことで、原油価格の下げ止まりなども加わり物価の上昇期待も強まった。12月にはFOMCでの再利上げの決定もあり、米長期金利が上昇し、これがドル高を招き、米国株式市場は上昇した。ドル高円安も加わり、東京株式市場も上昇した。

 この円安、株高、原油高や物価上昇期待は日銀も歓迎し、「世界経済は、ようやくグローバル金融危機の負の「レガシー」を清算して、新たなフェーズに入りつつあるように窺われます。」と黒田総裁は12月26日の講演で発言している。

 相場の世界には噂で買って事実で売るという格言もある。トランプ氏は就任演説においても減税等の具体的な言及はなく、その意味では期待感が先走っていた感もある。米国のダウ平均は2万ドルが厚い壁となって跳ね返され、ドル円も118円台まで上昇後、戻り売りに押された格好となった。

 それでは現実にトランプ大統領が就任後の米国の経済政策はどのようなものとなり、それが金融市場にどのように反映されていくであろうか。

 トランプ政権の閣僚にはゴールドマン・サックス出身者が多く登用されている。トランプ氏は選挙期間中、ウォール街と距離を置いていたものの、むしろウォール街の意向が反映されやすい政権となる可能性がある。

 いまのところトランプ氏は金融市場動向に関しての具体的な言及はない。これは控えているのか、関心があまりないのかはわからないが、日本の安倍政権のように中央銀行への圧力を強めるようなことは考えづらい。金融市場の実務派が政権の中核を担う以上はリフレ的な政策を取るようなことも考えづらい。ファンダメンタルに即した金利の上昇などはある程度、容認してくることが予想される。

 このため米国を中心とした過度な金融緩和への依存からの脱却の流れは継続しよう。トランプ大統領は米国内の雇用を中心とした景気の回復に力を入れるとみられ、それでなくても雇用の改善が続いていることもあり、これは物価を予想以上に引き上げる可能性がある。

 原油価格がOPECの減産合意を受けてしっかりしていることも物価上昇を促す可能性がある。そうなればFRBによる年内複数回の利上げを可能にするかもしれない。これらからみて、米長期金利高や株高、ドル高の流れは一時的な調整は入っても、今後も継続するのではないかと予想される。

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by nihonkokusai | 2017-01-23 09:50 | 国際情勢 | Comments(0)

トランプ大統領で何が変わるのか

 今後の世界情勢をみる上でも大きな懸念材料となりそうなのがトランプ次期米国大統領の登場となる。世界で最も影響力を持つ国のトップに不安要素が満杯というのも興味深い事例となる。

 ポピュリズムと称される大衆迎合型の政治姿勢がトランプ氏を生んだとされるが、その「ポピュリズム」と言う用語がやや曖昧でその意味するところが良くわからない面がある。これはむしろ反グローバルリズムとか自国優先主義といった言葉の方が適切ではないかと思われる。

 英国のEU離脱についても移民問題が大きな影響を与えていた。英国はEU単一市場にアクセスする権利を放棄までしてブレグジットの道を選択した。米国は自国第一主義を掲げたトランプ氏が大統領選挙でのまさかの勝利となった。

 英国が離脱を決定したEUというシステムこそが、グローバリズムの大きな成果といえたものであった。トランプ氏は英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)は「素晴らしいこと」になると述べ、他のEU加盟国も英国に追随するとの見通しを示した。またトランプ氏はオバマ政権が推進した環太平洋経済連携協定(TPP)について就任初日に離脱を通告する」と明言した。このTPPもグローバリズムを象徴するものであった。

 トランプ氏の登場はグローバルリズムが進む過程のなかで、それによるマイナス面があらためて認識されて、その調整が入っているとの見方もできるかもしれない。欧州では中東情勢の悪化に伴う移民問題がかなり深刻化している。日本でもTTPに対する反対の声も大きく、農業等の自国の産業保護を求める声も強いことも確かである。とりあえずいまの流れが、グローバリズムの修正であるとすれば、それは金融というこちらもグローバル化が進んだ世界にも影響を与える可能性がある。

 英国のハードブレグジットは欧州の金融の中心地となっているロンドン金融街に大きな打撃を与える可能性がある。

 ただし、トランプ氏は政権要職にウォール街出身者を多く起用すると発表している。トランプ氏は選挙期間中にウォール街を批判していたものの、財務長官にゴールドマン出身のムーニュチン氏を起用すると発表するなどしており、むしろウォール街を取り込もうとしている気配も伺える。

 FRBに対しては少なくともイエレン議長の再任は認めない方針のようで、空席の理事を含めて、トランプ氏の息のかかった人事が行われる可能性はある。ただし、FRBに直接影響を及ぼすような姿勢は見せていない。ウォール街出身者が政権要職につくことになれば、やはりFRBとは一定の距離を置くことも予想される。

 いまのところ金融市場がトランプ大統領の登場でどのような影響を受けるのかは読みづらい。ただ、グローバリズムそのものに修正が入りつつあり、それが中央銀行の金融政策の行方を含めて、金融市場に様々な影響を与えてくる可能性も認識する必要があるのかもしれない。


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by nihonkokusai | 2017-01-18 09:32 | 国際情勢 | Comments(0)

英国のメイ首相はハードブレグジットを示唆か

 英国ではユーロという単一市場からの離脱の可能性が強まりつつあり、ハードブレグジット・リスクが懸念されている。メイ首相は10月にEU法が英国で適用される欧州共同体法の廃止についても触れており、EU法を廃止するとなれば、単一市場から離脱せざるを得なくなる。

 メイ首相は17日の演説で、英国の欧州連合(EU)離脱に向けた計画について説明するとしている。この演説が大きなポイントとなりそうである。英紙サンデー・タイムズは15日、メイ首相が移民流入抑制などのために欧州連合(EU)単一市場から撤退する計画を示すと伝えた。タイムズによると、メイ首相は移民制限やEU以外の国との自由貿易協定を可能にするため、EUの関税同盟からの脱退を準備する方針という(ブルームバーグ)。

 英国民が昨年の国民投票でブレグジットの決定をしてしまったことは確かであり、今後メイ首相がどのような手順を踏んで、どのようなかたちでEUを離脱するかに注目が集まる。

 メイ首相は昨年10月にEU法が英国で適用される欧州共同体法の廃止についても触れており、EU法を廃止するとなれば、英国は欧州司法裁判所の管轄外になる。

 英国はEU単一市場にアクセスする権利を持つ欧州経済領域(EEA)に加盟することでEUの単一市場に残留する可能性を探っていたようだが、これにはEU法への準拠が求められる。つまり英国がEU法を廃止するとなれば、EEAに加盟することでEUの単一市場に残留することが難しくなる。

 EUと何らかの経過措置を設けるなどして、ある程度の時間稼ぎは可能となるかもしれないものの、いずれは単一市場から離脱せざるを得なくなる可能性が高い。これがハードブレグジット・リスクとなる。EU圏内での無関税貿易という特権を失うとともに、金融機関がEU内の1国で事業の認可を得ると域内の他国でも事業活動が可能になるパスポーティングと呼ばれる制度が利用できなくなる。

 英紙サンデー・タイムズの記事を受けて、アジア時間16日早朝の取引で、英ポンドは下落。昨年10月のフラッシュクラッシュ以来の1ポンド1.20ドル割れとなった。

 政府当局者はタイムズに対し、メイ首相による17日の演説がさらなる「市場の調整」を引き起こすと見込んでいることを明らかにしたとも伝えられており、ハードブレグジットの可能性が強まってきた、というよりもほかの選択肢がない状況に追い込まれているともいえるのではなかろうか。

 英国のハードブレグジットにより、いまだ欧州の金融の中心地となっているロンドン金融街がどのような変貌を遂げるのか。英国経済の行方にどのような影響を与えるのか。ポンド安は英国経済には好影響として英国株は買われるような状況となっているが、そのような楽観的に見方が本当に続くのか。

 20日には米国でトランプ大統領が誕生する。そのトランプ氏は英タイムズ紙のインタビューで、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)は「素晴らしいこと」になると述べ、他のEU加盟国も英国に追随するとの見通しを示した。

 今年はオランダ、フランス、ドイツで選挙が予定されている。英国を発端としたブレグジットの動きは米国の後押し?も受けて拡がる懸念がある。その意味においても17日のメイ首相の演説は今後の欧州の動向に大きな影響を与える可能性がある。

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by nihonkokusai | 2017-01-17 09:43 | 国際情勢 | Comments(0)

2017年はトランプ氏だけでなく欧州の選挙にも注目

 2017年の最大の注目材料は20日に米国大統領に就任するトランプ氏の動向となりそうだが、欧州の動向にも注意しておく必要がある。

 英国では単一市場からの離脱の可能性が強まりつつあり、ハードブレグジット・リスクが懸念されている。メイ首相は10月にEU法が英国で適用される欧州共同体法の廃止についても触れており、EU法を廃止するとなれば、単一市場から離脱せざるを得なくなる可能性が高い。メイ首相は今月17日の演説で、英国の欧州連合(EU)離脱に向けた計画について説明するとしている。この演説も大きなポイントとなる可能性がある。

 しかし、ユーロのシステムを揺るがしかねないのは何も英国ばかりではない。2017年にはユーロの中核国ともいうべきフランスやドイツでの選挙を控えている。その前に3月にオランダの総選挙が予定されている。

 米国の大統領選におけるトランプ氏の勝利により、欧州でもポピュリズム(大衆迎合主義)政党が支持を伸ばしているとされる。オランダでは反EU、イスラム移民排斥を掲げるヘルト・ウィルダース党首率いる極右・自由党が世論調査で高い支持率を維持している。オランダはEU離脱国の候補ともされているだけに選挙結果次第では、これに続くフランスやドイツの選挙に影響が拡がる恐れがある。

 4月から5月にかけてフランスの大統領選挙が実施される。フランスではテロや景気の低迷で左派・社会党を率いるオランド大統領の支持率は低下し、すでにオランド氏は次期大統領選への不出馬を表明している。この大統領選挙での注目ポイントは、誰が大統領になるのかというよりも、極右政党・国民戦線のマリーヌ・ル・ペン候補が選挙で獲得する票数とされている。オランダの選挙次第ではポピュリズム政党が勢いを増し、反EUを掲げる国民戦線の支持率が高まる可能性がある。それが6月に実施されるフランスの国民議会選挙に影響を与え、社会党と共和党によるフランスの二大政党制を揺るがす可能性もある。

 9月にはドイツでの連邦議会選挙が予定されている。盤石とされたメルケル首相の支持率は移民政策に対する不満から急速に低迷している。オランダやフランスの選挙でポピュリズム政党の勢力が強まることになれば、ドイツの選挙にも影響を与えよう。2016年の地方選挙では、メルケル首相の率いるキリスト教民主同盟(CDU)の得票が伸び悩む中、2013年に設立されたばかりの難民支援の削減を訴える右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が議席を確保している。連邦議会選挙結果次第では初めて議席を得る可能性があり、ドイツにおける第3党になる可能性もありうるとされる。

 昨年の英国の国民投票でのEU離脱の決定、イタリアの国民投票での改憲否定という結果を受けての首相の辞任、さらには米国大統領選挙のトランプ氏の勝利と、思わぬ流れの拡がりが、欧州にも押し寄せてくるのか。選挙の結果次第ではユーロというシステムに大きな影響を及ぼしかねず、これらの選挙の結果にも注意する必要がある。

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by nihonkokusai | 2017-01-15 16:32 | 国際情勢 | Comments(0)

英国のハードブレグジット(英国がEUから完全に離脱する強硬路線)・リスクはあるのか

 英国のメイ首相は8日、今年初のテレビインタビューで、英国のEU離脱は「正しい関係を得るものであって、メンバーシップを少し残すことではない」と強調した。「われわれは離脱する。EU加盟国ではもはやなくなる。英国が離脱した際にEUとどのような適切な関係を持つかが問題だ」と述べた(ブルームバーグ)

 このメイ首相の発言が、移民抑制などを優先し、単一市場からの離脱もいとわないハードブレグジットを示唆したと受け止められ、9日の外為市場でポンドはドルなどに対して大きく下落した。

 これを受けてかメイ首相は9日に、従来からの自身の立場を誤って伝えたとしてメディアを批判、単一市場からの離脱は不可避ではないとし、投資家の懸念払しょくに努めたそうである(ロイター)。

 たしかに9日の欧州市場での動きをみると外為市場でポンドは下落していたが、ポンド安を「好感」し、ロンドン株式市場ではストックス欧州600指数はザラ場中の最高値を更新し、10日続伸となっていた。また、英国債も「リスク回避」の動きを示し、10年債利回りは6日の1.38%から9日は1.33%に低下(価格は上昇)している。

 これは昨年6月の英国の国民投票において、EU離脱決定を受けた際の動きと同様である。通貨のポンドは売られても、英国の株や国債はむしろ買われており、英国売りといった状況とはなっていない。

 とはいうものの英国がブレグジットの決定をしてしまったことは確かであり、今後メイ首相がどのような手順を踏んで、どのようなかたちでEUを離脱するかに注目が集まる。いまのところEUとの離脱交渉における英政府の目的は依然として不透明であることで、これを払拭させない限り、ポンドなどは不安定な動きが続くことも予想される。

 メイ首相は10月にEU法が英国で適用される欧州共同体法の廃止についても触れており、EU法を廃止するとなれば、英国は欧州司法裁判所の管轄外になる。

 英国はEU単一市場にアクセスする権利を持つ欧州経済領域(EEA)に加盟することでEUの単一市場に残留する可能性を探っているようだが、これにはEU法への準拠が求められる。つまり英国がEU法を廃止するとなれば、EEAに加盟することでEUの単一市場に残留することが難しくなる。

 EUと何らかの経過措置を設けるなどして、ある程度の時間稼ぎは可能となるかもしれないものの、いずれは単一市場から離脱せざるを得なくなる可能性が高い。これがハードブレグジット・リスクとなる。EU圏内での無関税貿易という特権を失うとともに、金融機関がEU内の1国で事業の認可を得ると域内の他国でも事業活動が可能になるパスポーティングと呼ばれる制度が利用できなくなる。

 しかし、昨年6月の国民投票の結果を受けての欧米市場の動向をみても、今回のメイ首相の発言を受けての市場の動きを見ても、パニック的な英国からのリスク回避が起きているわけでもない。市場は英国が単一市場に結局残れるとの楽観的な見方をしているわけでもなかろう。むしろこれが世界的な金融経済危機を招くようなこととはイメージしていないのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2017-01-11 09:38 | 国際情勢 | Comments(0)

2016年は予想外の出来事が発生し市場を揺るがす

 2016年は予想外の出来事が発生し市場を揺るがすが、市場の動揺は比較的短時間で収まったというのが特色だったと言えるのではなかろうか。

 2016年は年明け早々に金融市場は世界的に波乱含みの展開となった。サウジアラビアとイランとの国交断絶や北朝鮮による水爆実験とされる核実験による地政学的リスクも材料視されたが、それ以上に人民元安や原油安が波乱材料となったのである。米利上げにより新興国への資金の流れに変化が生じ、原油安もあり新興国経済への影響が危惧された。

 日経平均は昨年末の19000円台から1月21日に一時16000円近くまで下落し、ドル円は年初の120円台から116円近辺に下落した。これを受けて日銀は1月29日の日銀の金融政策決定会合では追加緩和策として、マイナス金利付き量的・質的緩和を導入した。その結果、日本の長期金利は初めてマイナスとなった。

 3月10日のECB政策理事会では包括的な追加緩和を決定した。政策金利の下限金利である中銀預金金利を0.1ポイント引き下げ、主要政策金利であるリファイナンスオペの最低応札金利も0.00%に引き下げた。資産買い入れ規模を月間600億ユーロから800億ユーロに拡大した。資産買い入れの期限は2017年3月までとした。

 このECBの政策よりもFRBが利上げに慎重な姿勢を示したことの方を市場は好感し、原油価格の下げ止まりもあり、世界的なリスク回避の動きはいったん後退した。しかし、円高の流れはなかなか止まらなかった。日銀のマイナス金利政策に対する批判も強まったことにより、ヘリコプターマネーへの思惑も出ていた。

 ここにあらたなリスク要因が出てきた。英国でのEU離脱か残留かを問う国民投票を控え、まさかとみられていたブレグジット(Brexit)と呼ばれるのEU離脱リスクが意識されるようになったのである。あらたなリスク回避の動きからドイツの長期金利がマイナスとなり、ドル円は100円に迫った。

 現実に6月23日の英国の国民投票でEUからの離脱が決まった。ロンドン株式市場はいったん急落したものの、英国の通貨ポンドも急落したことで輸出株などが買われて、こちらは下げ幅を縮小させるなどしていた。格付会社のS&Pは6月27日に英国の最上位トリプルA格付けを2段階引き下げたが英国債は売られるどころか買い進まれた。このブレグジットによる世界の金融経済に与えるリスクは限定的となり、これをきっかけにして世界的なリスク回避の動きからの本格的な反転が生じてきたのである。

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by nihonkokusai | 2016-12-19 10:04 | 国際情勢 | Comments(0)
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