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カテゴリ:国際情勢( 136 )

ポピュリズムの流れは加速せず、ユーロのリスクは後退か

15日のオランダの議会下院の選挙では、ルッテ首相が率いる中道右派の与党「自由民主党」が8議席減らすものの32議席を獲得し、第1党の座を維持することが確実になったようである。ウィルダース氏が率いる極右政党の「自由党」は、7議席増やして19議席を獲得する見通しで、当初予想されていた倍増には至らない模様である(NHKニュースより)。

英国は昨年6月23日に行われた国民投票でEU離脱を選択した。このブレグジットが「大衆迎合主義」と訳されるポピュリズムの流れと言えるのかはさておき、自国優先主義、アンチグローバルという流れのひとつの象徴的な出来事と言えた。

昨年11月8日に投票が行われた米大統領選挙でのトランプ氏の勝利がその流れを加速させることとなる。トランプ氏はアメリカ第一主義、反イスラムを掲げ、中東とアフリカの6か国の人の入国を制限する大統領令を出している。この大統領令については、3月16日にハワイ州にある連邦地方裁判所が全米で執行の停止を命じる仮処分の決定を出した。

自国優先主義は欧州では反EUとなり、反イスラムは反移民ともなり、これらを極右政党が掲げ、ポピュリズムと呼ばれた。この流れがユーロ圏にどれだけ及ぶのかが、今回のオランダの総選挙の焦点ともなった。ポピュリズムの流れが加速するようなことになると今後のフランス大統領選挙やドイツ連邦議会選挙にも影響を及ぼす可能性があった。

市場ではポピュリズムの流れが加速することで、ユーロというシステムがいずれ維持できなくなるのではとの懸念を抱き、これがリスク要因となった。ところがオランダ総選挙の結果を見る限り、ポピュリズムの流れはあるものの、政権をひっくり返しEU離脱の可能性を探るといった展開にまで発展するような勢いではなかった。オランダの場合は、仮に極右政党の「自由党」が第一党となっても連立を組む相手がおらず、ウィルダース氏が首相になることはないとの見方が強かったことも確かではあるが。

今回のオランダの選挙の結果を受けて、フランスのエロー外相は、「極右台頭の流れを止めたオランダの人たちを祝福する」とツイートしたそうである(NHK)。

フランスの大統領選挙ではウィルダース氏と同様にユーロ圏離脱などを掲げている極右政党、国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首の動向が注目されている。オランダ総選挙の結果がルペン氏を勢いづかせることは、どうやらなさそうである。英国の国民投票や米国大統領選挙で見られたような、事前の予想が覆されるといったことも今回のオランダの選挙では起きなかった。リスクは完全になくなったわけではないが、ポピュリズムの勢いが懸念されたほどのものではないとなれば、ユーロに対する警戒は後退しよう。これはECBにとっては金融政策の前向きの姿勢を修正しやすくなるものと思われる。


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by nihonkokusai | 2017-03-17 09:18 | 国際情勢 | Comments(0)

オランダ総選挙、決定会合、FOMC、G20等々、今週のイベントの注目点

今週は14~15日にFOMC、15日にはオランダの下院議員選挙が予定され、米政府債務の法定上限の適用は停止期限を迎える。15~16日に日銀金融政策決定会合とイングランド銀行のMPCが開催される。16日にトランプ大統領が2018会計年度の予算教書を議会に提出する。17日からはドイツで主要20か国財務相・中央銀行総裁会議が開催される。14日に予定されていた米独首脳会談は雪の影響で17日に延期された。英国のメイ首相は今週中にもEU離脱通告を行う予定とされている。

14日~15日にFOMCでの注目は利上げの有無ではなくなっている。10日に発表された2月の雇用統計も利上げを後押しするものとなり、利上げ決定は確実視されている。むしろ利上げ見送りの方がサプライズとなろう。今回のFOMCでは会合後に議長会見が予定されている。公表文の内容とドットチャート、イエレン議長の会見内容などから、年内あと何回の利上げがあるのかを市場は探りにくると思われる。

15日のオランダ総選挙については、最新の世論調査で反移民や反EUを唱えるウィルダース党首率いる自由党(PVV)が支持率を急速に低下させており、ルッテ首相率いる自由民主党と拮抗していると伝えられている。仮にPVVが第1党になっても、ウィルダース党首が首相になる可能性は、連立を組む相手が見当たらないため、低いこともあり、結果次第ではあるものの波乱要因とはならないかもしれない。ただし、PVVが勢いづくようなことになると来月からのフランス大統領選挙の行方に影響を与える可能性はある。

15日に米政府債務の法定上限の適用は停止されている期限が来ることで、米議会は新たな債務上限の設定か、期限の延長を承認する必要がある。ムニューシン財務長官は議会に対し連邦債務の上限を「可能な限り早期に」引き上げるよう要請している。

15~16日の日銀の金融政策決定会合では、金融政策は現状維持となろう。コアCPIがプラスに転じたこともあり、物価の見通しの表現に変化が出てくるかもしれない。黒田総裁の会見ではマイナス金利の弊害、長期金利の目標の想定レンジ等に関しての質問が出てくることも予想される。

15~16日のイングランド銀行のMPCについては、注目度が低いようであるが、FRBに続いて、EU離脱の影響正常化に向けて舵を取る可能性が高いとみられ、こちらの動向も注意が必要か。

16日にトランプ大統領が2018会計年度の予算教書を議会に提出する。すでにトランプ大統領は国防費を増加させる一方、非国防費を削減する方針を示している。財政運営を巡って与党・共和党内の意見が分裂する可能性も指摘されており、こちらの動向も注意したい。

17日からはドイツで主要20か国財務相・中央銀行総裁会議(G20)が開催される。声明の草案で、これまで盛り込まれてきた保護主義や競争的な通貨切り下げに「断固として反対する」との文言が削除されていると伝えられた。トランプ政権の誕生で議長国ドイツが「合意ライン」を模索しているとの見方も浮上しているようである。

その米国のトランプ大統領とドイツのメルケル首相が17日に会談を行う。会談では、難民・移民の受け入れの問題や対ロシア政策などが主な議題になる見通しと伝えられている。表立っての対立の姿勢を見せず、大人の対応を行うものと予想されるが、世界への影響力が大きな二人の初会談だけに、こちらも注意して見ておく必要がある。

英国のメイ首相は今週中にもEU離脱通告を行う予定とされている。EU側は英国の離脱通告を受けて、英国を除く加盟27か国による首脳会議を招集する予定となっている。また、スコットランド自治政府のスタージョン首相は13日、英国からのスコットランド独立の是非を問う新たな住民投票の実施を目指す方針を明らかにした。英国のEU離脱決定の影響が今後、どのような影響をもたらすのかも注意しておく必要があろう。


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by nihonkokusai | 2017-03-15 09:41 | 国際情勢 | Comments(0)

トランプ大統領に必要だったのは信用力だったのか

3月1日に米国のトランプ大統領は就任後初めて議会上下両院の合同会議で今後1年間の施政方針を示す演説を行った。市場ではどのような内容の経済政策が打ち出されるのかを見極めようとしていたのかと思っていたがどうやらそうではなかったようである。

この演説でトランプ大統領は、外交・安全保障について、「戦争を防ぎ、もし必要ならば戦い勝利するために十分な装備が必要だ。国防費の大幅な増額を求める」と述べていた(NHK)。

また、30年ぶりとなる「歴史的な税制改革」や「1兆ドルのインフラ投資」への協力を議会に訴えた。ただし政権発足から1か月たっても政策の細部を詰める体制が整わず、具体策はいまだみえていない(日経新聞電子版)。

市場が期待した具体的な減税等の具体策は示されなかった、にも関わらずこの日の米国株式市場でダウ平均は303ドルも上昇し、21000ドル台に初めて乗せてきた。ナスダックも78ポイントの上昇となり、S&P500種株価指数も上げて、三指数ともに過去最高値を更新した。ドルも上昇しドル円は114円台に乗せてきた。

米株の上昇の背景としては、3月のFOMCでの利上げ観測の強まりによる米金利の上昇もあった。利上げに伴う利ざや改善の期待から大手銀行の株が買われたのである。米金利の上昇によりドルが買われた側面もある。

しかし、それ以上に影響したとされるのが、トランプ大統領の演説となった。その演説の内容というより、大統領の演説ながら「大統領らしい」演説となっていたことが好感されたようである。過激な発言やツイートを繰り返していたトランプ大統領がちゃんとした演説ができるではないかと、米国大統領がどうやら信用力をこれで取り戻したらしい。期待されていたのは政策ではなく、大統領らしさ、冷静さであったようである。

トランプ政権では上院での閣僚承認も遅れており、各省の次官など政治任用ポストもほとんどが空席のままとなっている。今回の議会の演説はこうした人事の遅れを少しでも取り戻すために、両院議員に理解を求める意図があったのかもしれない。少しでもトランプ大統領への懸念を払拭させることが演説の目的であったとすれば、市場の動きを見る限り奏功したといえる。ひとまずトランプ大統領に必要だったのは信用力であったようである。

トランプ大統領が経済政策を急がずとも、米国景気は緩やかなペースで拡大している(ベージュブック)。FRBも3月のFOMCでの利上げに向けて体制を整えつつあるぐらいに、足元の景気や物価は好調さを持続しているともいえる。これもトランプ大統領にとってはフォローとなっていよう。



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by nihonkokusai | 2017-03-03 09:21 | 国際情勢 | Comments(0)

3月のオランダの総選挙の行方にも注意

 4月23日と5月7日に実施されるフランス大統領選挙の行方が注目されているが、そのフランスの大統領選挙の行方も左右しかねないのが3月15日に実施されるオランダの総選挙となる。


 昨年の米国大統領選のトランプ氏勝利の余勢を駆って、オランダでは移民受け入れ反対や反欧州連合(EU)を掲げている右翼・自由党(PVV)が勢いづいている。


 へールト・ウィルダース氏が率いる右翼・自由党(PVV)は現在、下院(定数150)で第5位の12議席を持つが、最新世論調査によれば30議席前後を獲得し、第1党になると予想されている。


 PVVが第1党になっても、ウィルダース氏が首相になる可能性はいまのところ低い。PVVが実際に30議席以上を獲得したとしても半数以上(76議席)には満たない。このため連立政権が必要となるが、PVVを追う自由民主党やキリスト教民主勢力、労働党、グリーン・レフトといった既成政党は、PVVと連立政権を組むことはないと表明している。


 これに対しウィルダース党首はインタビューで、「PVVが有権者の支持を得て本当に大きな躍進を遂げる場合」、彼らは自分と協力せざるを得ないだろうと発言していた(ブルームバーグ)。


 しかし、ウィルダース党首の極端な反移民などに対する過激な発言等もあって、連立を組んでも良いとする党が現れる可能性は少ない。ただし、PVVの勝ち方次第では、全くないとも言い切れないのかもしれない。


 そのウィルダース党首は総選挙で勝った際に特別立法を行い、勧告的な意味合いを持つ国民投票を実施するとも発言していた。その国民投票はオランダのEUからの離脱を問うものである。連立政権が組めない際にはそれは可能ではないものの、この発言も完全には無視できるものではない。


 現実にはウィルダース氏が率いるPVVが第一党となっても連立政権は組めず、オランダの政局が混沌とし、それが不安定要素となる可能性がある。また、ウィルダース氏が率いるPVVが総選挙で躍進を見せると、今度はフランスの大統領選挙でウィルダース氏と同様にユーロ圏離脱などを掲げているルペン氏が勢いづく可能性もあり、いまのところこちらの方が市場では懸念されているように思われる。



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by nihonkokusai | 2017-02-23 09:49 | 国際情勢 | Comments(0)

市場を動揺させかねないフランス大統領選挙の行方はここに注意

ここにきてフランスの大統領選挙を巡る思惑で、欧米の金融市場でリスク回避の動きが出たり、フランス国債が売られるなどしている。今後、東京市場を含めて世界の金融市場に影響を与える可能性のある今年のフランスの大統領選挙についてあらためて確認しておきたい。

フランス第5共和政の第10回大統領選挙は2017年4月23日(日)と5月7日(日)に実施される。第1回投票の前日に18歳以上で、民事上・政治上の権利を享有する、すべてのフランス国籍者が投票できる。つまりフランス国民による直接投票によって大統領が決まる。

選挙日程が2回予定されているのは、第1回目の投票で全体の過半数の票を取った候補が出ない際に、投票率の上位2名によって決選投票が行われるためである。1965年以降、第1回投票で大統領に決まった候補者はなく、今回もこれまでの世論調査などからも決選投票は不可避とみられている。

今回の大統領選挙が最も注目されているのが、極右政党、国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首である。ルペン党首はユーロ圏離脱や欧州連合(EU)離脱の国民投票実施を掲げている。英国のEU離脱や米国でのトランプ大統領の登場の流れがフランスでも強まるとなれば、このルペン党首が勢いづくことになる。

Ifopの最新の世論調査によると支持率トップはルペン氏の26%、これをマクロン、フィヨン両氏が約18.5%で並んで追っており、4位はアモン氏の14%、5位メランション氏11.5%となっている(ブルームバーグ)。

このようにルペン党首が支持率トップではあるが、もし決選投票となれば反ルペン派が勢いを増して、ルペン党首の大統領の就任はないとの見立てとなっている。その見立てがやや怪しくなってきたため、ここにきて市場が揺れている。

与党・社会党など左派陣営のブノワ・アモン氏と共産主義の支持を集める急進左派のジャン・ルク・メランション氏が、協力の可能性をめぐり協議していることを明らかになった。左派系2人が手を組めば決選投票に進む可能性も出てくる。マクロン氏と共和党など中道・右派陣営の統一候補フィヨン元首相が第1回投票で敗北するのではないかとの観測が出ていた。ところがその後、左派候補2人が目指した共闘の取り組みは決裂したと伝えられている。

現職のオランド大統領は国民からの支持率が極めて低く、これまでのパターンからは通常、2期目を目指すところ早々に再選を諦めており、オランド大統領の代わりとして出馬したのがブノワ・アモン氏である。

そして左派からは中道・無党派のマクロン前経済相が出馬を予定している。フランス大統領に最も近いとされていたのがこのマクロン前経済相である。

右派統一候補のフィヨン氏は最大野党・共和党に属しサルコジ政権で首相を務めた人物である。

左派の2人が組まない限り、5月7日の決選投票に進むのはルペン氏、マクロン氏、フィヨン氏のうちの2人、いまの勢いであればルペン氏とどちらかということになる。

オピニオンウェイの調査によると、もし決選投票がマクロン対ルペンとなった際は58%対42%でマクロン氏、もしフィヨン対ルペンとなった場合には56%対44%となると見込まれているそうである(ロイター)。

ちなみに2002年の大統領選挙の際には1回目の投票で現職のシラク大統領に次いで、極右政党・国民戦線(FN)のジャンマリ・ルペン党首(マリーヌ・ルペン氏の父親)が2位で決選投票に進んでいた。決選投票では1回目の選挙で敗れた左派の社会党候補の支持者も、ルペン氏を当選させないために、ライバルであった保守系政党のシラク氏支持に回り、シラク氏が大差で勝利していたということもあった。

市場ではルペン氏が大統領選挙で勝つことはないだろうとの予想が大勢を占めているようだが、この予想が米国大統領選挙の際のように覆されることとなれば、フランスのユーロ離脱の可能性まで出てくることとなり、市場には大きなインパクトを与えることになる。


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by nihonkokusai | 2017-02-22 09:32 | 国際情勢 | Comments(0)

フランスの大統領選挙の行方が市場の波乱要因に

 2月6日の欧米市場の動きは少し変わっていた。それが顕著に現れていたのが国債市場である。欧州の債券市場ではフランス、イタリア、スペインの国債が売られた反面、ドイツや英国の国債が買われ、米国債も買われた。リスク回避のような動きにも見えるが、どうやらその起点はフランスにあった。だからリスク回避の動きにも関わらずフランスの国債が売られたのである。

 4月から5月にかけてフランスでは大統領選挙が実質される。最新の世論調査では、当初最有力とされた中道右派のフィヨン氏が家族のスキャンダルで支持率が落ち込み、ルペン氏が首位に立っている。それを中道のマクロン氏と中道左派のアモン氏が追う構図となっている。その中道・無党派のエマニュエル・マクロン前経済相には不倫疑惑が浮上した(ロイター)。ここにきて主要候補者にさらなるスキャンダルが浮上したことで相対的に極右政党・国民戦線のル・ペン候補が優位となりつつある。

 ルペン氏は4月23日に行われる第1回投票では勝ち残っても、5月7日の決選投票でマクロン氏に敗れるとの大方の予想となっていた。しかし、このあたりの読みも怪しくなりつつある。米国の大統領選挙をみてもわかるように予想がまったく通用しなくなっている。

 フランス大統領選挙前には3月にオランダで選挙が実施される。この結果次第ではポピュリズム政党がさらに勢いを増し、反EUを掲げる国民戦線の支持率が高まる可能性がある。それが6月に実施されるフランスの国民議会選挙に影響を与え、社会党と共和党によるフランスの二大政党制を揺るがす可能性も出ているのである。

 その注目のルペン氏は6日の大統領選挙に向けた決起集会で、米国のトランプ政権の発足やイギリスのEU離脱の決定などを踏まえ、フランスも自国の利益を最優先にすべきだという立場を鮮明に打ち出した。英国が欧州連合の離脱を選択したことを称賛するとともに、フランスの有権者に対し「国益を第一とする」トランプ氏支持者に続くよう呼び掛けた。

 ポピュリズムの流れがフランスにも押し寄せるのではないかとの危惧から6日にフランス国債が売られ、外為市場では円が買われるなどのリスク回避型の動きが生じたといえる。

 また、ルペン氏のアドバイザーによると、ルペン氏は当選した場合、直ちに欧州連合首脳と欧州中央銀行の会議を招集し、かつての欧州通貨単位のような各国通貨のバスケットを採用してユーロに代えるよう要請する考えだいう(ブルームバーグ)。

 仮にユーロの中核ともいえる国のひとつフランスがユーロを離脱するようなことになれば、ユーロというシステムそのものの崩壊は免れない。まさに危機的状況を迎えることとなる。フランス大統領選挙の前にオランダでの選挙の動向にも注意したいが、いずれにしてもポピュリズム政党が勢いを増すようなことになると欧州そのものが新たなリスク要因となる懸念がある。


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by nihonkokusai | 2017-02-08 09:47 | 国際情勢 | Comments(0)

日米首脳会談の目的はひとまず日本への圧力ではなさそう

 2日の日経新聞によると、政府が10日に米ワシントンで開く日米首脳会談で提案する経済協力の原案が1日、明らかになったとされる。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が米国のインフラ事業に投資することなどを通じ、米で数十万人の雇用創出につなげる。対米投資などで米成長に貢献できる考えを伝え、トランプ政権との関係強化につなげるそうである。

 日米で通商政策や経済協力を話し合う閣僚級協議を新たに立ち上げることも検討し、日本側はメンバーに麻生副総理・財務相、世耕経済産業相、岸田文雄外相らの参加が想定されているそうである。

 私は1月26日に「トランプ政権登場による日銀の金融政策への影響」とのタイトルのコラムで次のような指摘をしていた。

 「トランプ氏は大統領選後初の会見で貿易赤字の相手国として、中国とメキシコとともに日本の名前を挙げていた。これに対して麻生財務相は13日の閣議後会見で「日本やメキシコよりドイツの方が(米国の赤字は)上ではないか。なぜドイツが出ていないのか」と疑問を呈した。日本政府は2月上旬の日米首脳会談開催を目指し、安倍首相の訪米に麻生副総理兼財務相が同行する方向で調整を進めている。麻生氏の同行は米側からの要請によるものとされる。果たして麻生氏の同行を米国が何故要請したのかはわからない。あの独特のスタイル(服装)をトランプ氏が気に入ったからというわけではないと思うが、貿易赤字の相手国として日本が意識されている可能性は十分ありうる。」

 この麻生氏の同行を米側が求めている理由は何か、個人的にもたいへん関心があった。財務大臣を通じて日銀にプレッシャーを掛けるのかのように読めなくもなかったが、実は日本側が何かしらの支援策をすでに準備しており、その関係で麻生副総理・財務相も同行するのではないのかとの観測があった。2日の日経新聞の記事を読む限り、どうやらその観測が正しいものであったようである。

 さらに今回の日米首脳会談のあとにトランプ大統領と安倍首相がゴルフをする方向で調整が進められているという。2016年11月、就任前のトランプ氏とニューヨークで会談した際にも、安倍首相は本間ゴルフのべレスS‐05シリーズのなかでも最高級の5Sをプレゼントしたとされる。トランプ氏が安倍首相に用意していたプレゼントもゴルフウェアとゴルフ用品とされる。すでにゴルフする気が満々のようであった。正式な首脳会談のあとにプライベートな機会を用意していることをみると、今回の日米首脳会談は友好を深めることを意図しているかに思える。

 それでは何故、ここにきてトランプ氏は中国や日本が市場で何年も通貨安誘導を繰り広げ米国はばかをみているといった発言するなどしていたのか。攻撃して譲歩を求めているとの見方もできようが、そもそもの発言の対象が異なっているのかもしれない。いまだにトランプ大統領の政策は読めない部分が多いが、こと日本に関しては少なくともトップ同士は形式上ではあるかもしれないが、うまくいっているようであり、それは今後のトランプ政権の日本に対する対応に少なからず影響を与えるものであると思われる。ちなみに安倍首相は「為替問題は、財務長官と財務大臣で議論なされるべき。首脳会談でやり合うのは、本来ふさわしいと思っていない」とも発言している。だから麻生大臣が呼ばれたとも言えるのであろうか。

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by nihonkokusai | 2017-02-03 09:57 | 国際情勢 | Comments(0)

神の見えざる手による美人投票の結果がトランプ氏なのか

 有名な経済学者のケインズは著作で、金融市場における投資家の行動パターンを表す例え話としての美人投票を挙げている。「投票者は自分自身が美人と思う人へ投票するのではなく、平均的に美人と思われる人へ投票するようになる」と。

 イギリスの哲学者でもあり経済学者でもあったアダム・スミスの著書「国富論」の中に書かれている「見えざる手」という言葉は、本の中でわずか1回しか使われていないにも関わらず、有名な言葉として今に伝わっている。

 この「見えざる手」の意味するところは、「利己的に行動する人々が市場において自由競争をおこなえば、自然と需要と供給は収束に向かうことで、経済的均衡が実現され、社会的安定がもたらされる」というものである。

 これは相場にも使われる。市場での価格の決定は利己的に行動する人々が市場において自由競争をおこなえば、需要と供給は収束に向かい、それによって価格が決定される。

 日々の金融市場での価格の動向をみていると常に不安定に揺れ動いている。それが何かしらのきっかけで、ひとつの方向に動き出すこともある。これはケインズ的に言えば、投票が割れているときはなかなか方向感は出ないが、皆の意見が集約されるようになると方向性が決まると言うことか。

 この意見の集約とその結果としての方向性が、相場の世界では読みづらいというよりも基本的に読めない。だから金融市場での動きは常に不安定となる。先を読めるものはいないし、仮にいたとしてもそれはたまたまである。

 1年先の日経平均やドル円、長期金利の水準をピタリ言い当てた人はいるかもしれない。しかし、そこに至るまでの過程、流れを含めて的確に読める人はいないし、いたとすればタイムフライヤーとなろう。だからこそ相場の世界は面白い。

 しかし、ここにきての世界の政治の流れも相場以上に読めなくなってきている。昨年の英国や国民投票や米国の大統領選挙の結果は事前の予想が覆された。これは政治の流れが、これまでの価値尺度では計れなくなってきたともいえるのかもしれない。皆が美人だと思って投票すると思った人が当選せず、まさかと思った人物が、神の見えざる手によって選ばれる。しかし、これを歴史という大きな流れにあてはめると、意外に違和感はないといった見方もできるのかもしれない。相場の世界も何だこの動きは、と見ていたものが、結果からみると後で納得することも多い。

 その歴史の流れの変化を捉えることも、トランプ大統領の今後の動向や英国のEU離脱による影響、今年のフランス、ドイツの選挙の行方、さらには日銀の金融政策の行方を占う上でも重要になってくるのかもしれない。その結果としての金融市場の動きを読む上でも重要な要素となろう。

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by nihonkokusai | 2017-01-24 09:51 | 国際情勢 | Comments(0)

トランプ大統領の登場は物価や金利の上昇要因になるのか

 1月20日にトランプ氏が次期大統領に就任した。金融市場では昨年の米国大統領選挙でトランプ候補がクリントン候補を破ったことから、一時的にリスク回避の動きが起きたが、すぐに切り返してトランプ相場やトランプラリーと呼ばれる相場展開となった。

 トランプ氏が減税や規制緩和などを行うとの期待が出たことで、原油価格の下げ止まりなども加わり物価の上昇期待も強まった。12月にはFOMCでの再利上げの決定もあり、米長期金利が上昇し、これがドル高を招き、米国株式市場は上昇した。ドル高円安も加わり、東京株式市場も上昇した。

 この円安、株高、原油高や物価上昇期待は日銀も歓迎し、「世界経済は、ようやくグローバル金融危機の負の「レガシー」を清算して、新たなフェーズに入りつつあるように窺われます。」と黒田総裁は12月26日の講演で発言している。

 相場の世界には噂で買って事実で売るという格言もある。トランプ氏は就任演説においても減税等の具体的な言及はなく、その意味では期待感が先走っていた感もある。米国のダウ平均は2万ドルが厚い壁となって跳ね返され、ドル円も118円台まで上昇後、戻り売りに押された格好となった。

 それでは現実にトランプ大統領が就任後の米国の経済政策はどのようなものとなり、それが金融市場にどのように反映されていくであろうか。

 トランプ政権の閣僚にはゴールドマン・サックス出身者が多く登用されている。トランプ氏は選挙期間中、ウォール街と距離を置いていたものの、むしろウォール街の意向が反映されやすい政権となる可能性がある。

 いまのところトランプ氏は金融市場動向に関しての具体的な言及はない。これは控えているのか、関心があまりないのかはわからないが、日本の安倍政権のように中央銀行への圧力を強めるようなことは考えづらい。金融市場の実務派が政権の中核を担う以上はリフレ的な政策を取るようなことも考えづらい。ファンダメンタルに即した金利の上昇などはある程度、容認してくることが予想される。

 このため米国を中心とした過度な金融緩和への依存からの脱却の流れは継続しよう。トランプ大統領は米国内の雇用を中心とした景気の回復に力を入れるとみられ、それでなくても雇用の改善が続いていることもあり、これは物価を予想以上に引き上げる可能性がある。

 原油価格がOPECの減産合意を受けてしっかりしていることも物価上昇を促す可能性がある。そうなればFRBによる年内複数回の利上げを可能にするかもしれない。これらからみて、米長期金利高や株高、ドル高の流れは一時的な調整は入っても、今後も継続するのではないかと予想される。

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by nihonkokusai | 2017-01-23 09:50 | 国際情勢 | Comments(0)

トランプ大統領で何が変わるのか

 今後の世界情勢をみる上でも大きな懸念材料となりそうなのがトランプ次期米国大統領の登場となる。世界で最も影響力を持つ国のトップに不安要素が満杯というのも興味深い事例となる。

 ポピュリズムと称される大衆迎合型の政治姿勢がトランプ氏を生んだとされるが、その「ポピュリズム」と言う用語がやや曖昧でその意味するところが良くわからない面がある。これはむしろ反グローバルリズムとか自国優先主義といった言葉の方が適切ではないかと思われる。

 英国のEU離脱についても移民問題が大きな影響を与えていた。英国はEU単一市場にアクセスする権利を放棄までしてブレグジットの道を選択した。米国は自国第一主義を掲げたトランプ氏が大統領選挙でのまさかの勝利となった。

 英国が離脱を決定したEUというシステムこそが、グローバリズムの大きな成果といえたものであった。トランプ氏は英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)は「素晴らしいこと」になると述べ、他のEU加盟国も英国に追随するとの見通しを示した。またトランプ氏はオバマ政権が推進した環太平洋経済連携協定(TPP)について就任初日に離脱を通告する」と明言した。このTPPもグローバリズムを象徴するものであった。

 トランプ氏の登場はグローバルリズムが進む過程のなかで、それによるマイナス面があらためて認識されて、その調整が入っているとの見方もできるかもしれない。欧州では中東情勢の悪化に伴う移民問題がかなり深刻化している。日本でもTTPに対する反対の声も大きく、農業等の自国の産業保護を求める声も強いことも確かである。とりあえずいまの流れが、グローバリズムの修正であるとすれば、それは金融というこちらもグローバル化が進んだ世界にも影響を与える可能性がある。

 英国のハードブレグジットは欧州の金融の中心地となっているロンドン金融街に大きな打撃を与える可能性がある。

 ただし、トランプ氏は政権要職にウォール街出身者を多く起用すると発表している。トランプ氏は選挙期間中にウォール街を批判していたものの、財務長官にゴールドマン出身のムーニュチン氏を起用すると発表するなどしており、むしろウォール街を取り込もうとしている気配も伺える。

 FRBに対しては少なくともイエレン議長の再任は認めない方針のようで、空席の理事を含めて、トランプ氏の息のかかった人事が行われる可能性はある。ただし、FRBに直接影響を及ぼすような姿勢は見せていない。ウォール街出身者が政権要職につくことになれば、やはりFRBとは一定の距離を置くことも予想される。

 いまのところ金融市場がトランプ大統領の登場でどのような影響を受けるのかは読みづらい。ただ、グローバリズムそのものに修正が入りつつあり、それが中央銀行の金融政策の行方を含めて、金融市場に様々な影響を与えてくる可能性も認識する必要があるのかもしれない。


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by nihonkokusai | 2017-01-18 09:32 | 国際情勢 | Comments(0)
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