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カテゴリ:国際情勢( 136 )

ロシアゲート問題でトランプリスクが再浮上し、市場が動揺

トランプ大統領は、ロシア側に機密性の高い情報を漏らしたと報じられた。トランプ大統領は「テロなどに関する事実を共有したかった。私にはそうする権限がある」と主張していたが、野党だけでなく与党からも問題視する意見が出ており、新たな火種となりつつある。

トランプ大統領を巡るロシアに関する問題は「ロシアゲート」とも呼ばれているようで、これは1972年6月にワシントンの民主党本部で起きた盗聴侵入事件に始まり、現職大統領が辞任に追い込まれたという政治スキャンダル、「ウォーターゲート事件」を意識したものか。

トランプ大統領とロシアとの関係への疑惑は、FBIのジェームズ・コミー長官を解任したことでも強まっていた。外交や安全保障に直結する幹部を全て交代させたトランプ大統領だが、FBI長官だけは残留させていた。そのコミー長官を何故、このタイミングで解任したのか。解任前にトランプ大統領は自らがロシア関係の問題で捜査の対象になっていないと確認したことを明かしている。すでにトランプ政権のマイケル・フリン安全保障補佐官はロシアを巡る疑惑で辞任しているが、この問題もトランプ大統領はまったく関わっていないと見る方が不自然に見える。

実際にトランプ大統領は解任したコミー長官の在任中、同氏にフリン前大統領補佐官とロシアとの関係を巡る捜査を打ち切るよう求めていたとも報じられた。トランプ氏には捜査を妨害しようとしたとの疑いが浮上しており、大統領罷免などの可能性まで取り沙汰され始めた(ロイター)。

このロシアゲート問題という新たな火種をトランプ政権は消し去ることができるのか。それともこれをきっかけにウォーターゲート事件によるニクソン大統領の辞任と同様の事態に発展するのかは読み切れないところがある。しかし、市場はこの問題を完全に無視できなくなりつつある。

フランスの大統領選挙でのマクロン氏の勝利、ドイツ最大州のノルトラインウェストファーレン州の議会選挙でメルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)が勝利したことにより、欧州の政治リスクは大きく後退した。そのタイミングでの米国の政治リスクの高まりにより、16日にはユーロドルは1.1ドル台に乗せ、ユーロ円は一時125円台に乗せてきた。

そして17日の欧米市場では、ロシアの米大統領選関与疑惑を巡りトランプ大統領に対する弾劾裁判の可能性も出てきたことで急速にリスク回避の動きを強めた。ドル円は一時110円台にまで急落(ドルに対して円高が進行)、125円台に乗せていたユーロ円も123円台となり、リスクオフの際の円の強さを意識させる動きとなった。

16日の欧米の株式市場はさほど動揺を見せておらず、ナスダックやロンドンの株価指数は過去最高値を更新中となった。しかし、17日のダウ平均は372ドル安となり、高値を更新していたナスダックも利益確定売りから158ポイントもの下げとなった。米10年債利回りは2.22%に低下し、前日の2.32%から0.1%もの利回り低下となった。

今後のロシアゲート問題の行方次第では、さらにリスク回避の動きを強める可能性があり、その動向にも注意を払う必要はありそうである。


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by nihonkokusai | 2017-05-18 09:30 | 国際情勢 | Comments(0)

英国のEU離脱による混乱リスク

5月11日のイングランド銀行の金融政策委員会(MPC)では、7対1の賛成多数で金融政策の現状維持を決定した。フォーブス委員が即時の利上げを主張した。残りの委員らも上向きのニュースがあれば、利上げ支持に回るのはそう難しくないとの姿勢を示した。そしてスムーズな離脱を想定した経済予測の通りに景気が拡大すれば、市場が示唆しているよりも速いペースでの利上げが必要となる可能性があるとの認識を示した(ブルームバーグ)。

イングランド銀行の政策委員は定員が9名だが、シャーロット・ホッグ委員の辞任によって現在は8人となっている。

同時に経済予測も発表したが、これはEUとの交渉がこじれないことを想定した予測だそうである。カーニー総裁も「これとは別に、無秩序な交渉プロセスになる場合の予測も準備しなければならないだろうが、まだ行っていない」と会見でコメントした。

カーニー総裁の発言を受け、外為市場ではポンドが下落した。EU離脱の際の混乱の可能性、それによる英国経済への影響、さらにはイングランド銀行が利上げではなく、さらなる金融緩和を迫られる可能性などが意識されたものとみられる。

しかし、このポンド安が英国経済にはプラスとなるとの見方で、英国の株式市場はしっかりするなど一概にリスク回避の動きばかりとはなっていない面もある。イングランド銀行は2017年のインフレ予想は2.7%と従来の2.4%から引き上げたが、これはポンド安の影響も加味されているとみられる。

フランスの大統領選挙でのマクロン氏の勝利によって、ひとまずユーロ圏の政治リスクは大きく後退した。しかし英国はEU離脱をすでに決定してしまっており、今後どのようなかたちでEUを離脱し、それが英国経済や金融市場にどのような影響を及ぼすのかは不透明要因となる。グローバルに展開している金融機関などにとってもロンドン市場の今後を考慮すれば不安要因となろうが、いまのところ金融市場が英国リスクで動揺するようなことはない。しかしこれについても潜在的な不安要素となっていることも確かであろう。


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by nihonkokusai | 2017-05-14 10:24 | 国際情勢 | Comments(0)

円安の背景に欧州の政治リスク後退と6月の米利上げ観測

外為市場でドル円は4月17日の108円台前半を目先の底として上昇基調となり、ここにきて114円台を回復してきた。108円台まで下落していたのは3月上旬の115円台をつけたあたりからとなり、チャート上としては115円台がひとつの目安となりそうである。

このドル円の上昇のきっかけは、ムニューシン米財務長官が4月17日のFTとのインタビューで、トランプ大統領は短期的なドルの強さについて事実に基づく発言を行ったと述べ、長期的に見て強いドルは良いことだと指摘したことがある。しかし、ドル円の上昇のタイミングで米債が下落基調となっていたことで、米長期金利の上昇を受けてのドル買いの側面もあったとみられる。

また、フランス大統領選挙を控えた世論調査でマクロン氏の支持率が上昇したことで、欧州の政治リスクへの警戒感が後退し、FRBの利上げに対する支障が除かれると観測も米長期金利の押し上げ要因になった。

4月23日のフランスの大統領選挙では、予想されたようにマクロン前経済相と国民戦線のルペン党首の2人が決選投票に進むことになった。この二人が決選投票となればマクロン氏優位との見方が強かった。これを受けてドル円も111円台に上昇してきた。

5月2日、3日に開催されたFOMCでは金融政策の現状維持を決定した。声明文では、第1四半期の経済成長の減速は一時的である可能性が高いとし、経済活動が緩やかなペースで拡大し、労働市場の状況はさらにいくらか力強さを増していると指摘した。FRBの年内3回(あと2回)というペースに変化はないと認識され、これは米長期金利の上昇要因となり、ドル高要因となった。

5月7日に行われたフランス大統領選の決選投票の結果は、事前の予想通りに中道で無所属のマクロン候補が「極右政党」のルペン候補を破り勝利した。これで欧州の政治リスクは大きく後退し、リスク回避の反動からドルが買われやすくなり、米債には下落要因となった。

ただし、米債は売られたとは言ってもいまだ3月につけていた2.6%にも届かず、利上げを織り込んでいるにしては下落ペースは極めて緩やかなものとなっている。これは物価等も意識してのものとも思われるが、FRBにとっては過剰反応していない分、利上げをしやすくなるとも言える。

今後の動きについては、フランス大統領選挙という大きなイベントが無事通過し、一時緊張が高まっていた北朝鮮も、いまのところ大きな動きが出る様子もない。トランプ政権はやや不安定に見えるものの、FRBの利上げを阻むような要因も見えない。

今後は6月のFOMCでの利上げの行方が焦点となろうが、市場では利上げをかなり織り込んできていることも確かである。ECBの政策転換も注目材料となろうが、大きく舵を取ることはむずかしい。ましてや日銀は動くに動けない。これをみる限り、米国と日欧の金融政のスタンスの違いは明らかで、これもドルが買われやすい要因となる。


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by nihonkokusai | 2017-05-12 09:52 | 国際情勢 | Comments(0)

北朝鮮の地政学的リスクを市場はどう見ているのか

北朝鮮の駐英大使は9日、英スカイニュースのインタビューで6回目の核実験を計画していると明らかにした(日経新聞電子版)。

原子力空母カール・ヴィンソンを中心とする空母打撃群は朝鮮半島周辺の海上に展開しているとみられ、北朝鮮に圧力をかけており、今回の北朝鮮の駐英大使のコメントはそのような圧力には屈しないとの姿勢を示したかったのではなかろうか。

北朝鮮の駐英大使からの核実験の計画示唆に対して、9日の米国株式市場はわずかながら反応を示し、ダウ平均の上値を抑えた。しかし、ナスダックは最高値を更新し、米債はリスク回避による買いは入らず、むしろ社債発行等が意識されて売られていた。

10日の東京株式市場は円安などを受けてむしろ買いが先行した。外為市場で円が売られ、株が買われるということは当然ながらリスク回避とは反対の動きであり、地理的にも近い日本の市場でも北朝鮮の駐英大使の発言はほとんど材料視されていないことが伺える。

北朝鮮外務省で対米交渉や核問題を担当する崔善姫北米局長と米国の元政府高官らは8日、ノルウェーのオスロで非公式接触を始めたもようだと韓国の聯合ニュースが報じた(日経新聞)。トランプ政権が北朝鮮に最大限の圧力を加える一方、対話にも「オープンだ」として硬軟両面で揺さぶりをかけており、北朝鮮側も米側の出方を探ろうとしているようである。

そして9日の韓国の大統領選挙ではムン・ジェイン(文在寅)候補が勝利し、第19代大統領に就任した。文氏は北朝鮮には融和姿勢を示しており、対北朝鮮政策は朴政権の強硬路線から「対話」へとカジを切ると予想されている。米軍による地上配備型ミサイル迎撃システムのTHAADの韓国配備にも慎重な立場を取っている。このため文氏の大統領就任により、北朝鮮側の動きも変化してくる可能性があり、これは一触即発の事態を回避させる方向に向かう可能性もある。

それでも米側の今後の動向が読みにくい事も確かである。空母ロナルド・レーガンが5月7日、1月に始まったメンテナンス期間の最終段階として、海上試運転のため母港である米海軍横須賀基地を出港した(在日米軍司令部のツイッターより)。

この空母ロナルド・レーガンのメンテナンス明けにどのような動きを見せるのかもひとつの焦点となるかもしれない。しかし、米側も緊張をさらに高める政策は手控えてくる可能性もある。いまのところ北朝鮮の地政学的リスクに対し市場の反応をみる限り、それほど懸念しているようには見えないことも確かである。


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by nihonkokusai | 2017-05-11 09:32 | 国際情勢 | Comments(0)

フランス大統領選挙でのマクロン氏勝利で市場はひと安心、今後はECBの動向も焦点に

5月7日に行われたフランス大統領選の決選投票の結果は、事前の予想通りに中道で無所属のマクロン候補が「極右政党」のルペン候補を破り、勝利した。すでに5日の欧米市場ではマクロン氏勝利を織り込んで株式市場は上昇していたが、8日の東京株式市場も買いが先行し、日経平均は年初来高値を更新した。

ここで注意すべきポイントはふたつある。ひとつは「事前の予想通り」であったということである。昨年の英国の国民投票の結果によるEU離脱の決定や米国大統領選挙の結果は、事前予想を裏切るものとなり、事前予想そのものに対して疑念が生じた。さらに予想外のことが起きやすいのではとの見方が拡がった。その予想外の出来事の主因として「自国優先主義」の台頭があった。予想以上の人達がポピュリズムや自国優先主義の考え方に共感し、その流れの行き着く先がルペン氏の勝利の可能性となっていたのである。

それらの流れに対して、とりあえず壁となったのが3月15日のオランダ総選挙の結果であった。ルッテ首相率いる与党・自由民主党がウィルダース党首の自由党を大差で破った。反移民や反欧州連合(EU)を掲げる極右の自由党は伸び悩んだものの、議席そのものは増やした格好となった。それでもポピュリズムの流れはあるものの、米国のように政権が変わるような事態にまでは発展するような動きとはならなかった(自由党が勝っても政権につく可能性は低かったが)。

そして今回のフランス大統領選挙の結果も「自国優先主義」を掲げたルペン氏は敗退した。ルペン氏が決選投票まで残ったことそのものはフランスでのポピュリズムの流れの強まりを示すものとの見方もあろう。しかし、ルペン氏の父親のジャンマリ・ルペン氏も2002年の大統領選挙でシラク大統領との決選投票に進んで、やはり敗退している。これを見る限り、フランスではポピュリズムに対する一定の支持はあるものの、その流れを阻む勢力のほうが依然として大きいとの見方ができるかと思う。

9月にはドイツ連邦議会選挙が予定されている。オランダの総選挙やフランスの大統領選挙の行方次第では、ドイツの選挙でも反ユーロの勢力が強まる懸念もあった。警戒は必要ながらもユーロが内部から崩壊するような事態は避けられよう。

金融市場では今回のフランス大統領選の決選投票の結果をみて、ひと安心となった。「もしも」が警戒されていたが、それが払拭されてリスクオンの動きを強めた。株式投資家の不安心理の度合いを示すシカゴ・オプション取引所のボラティリティー・インデックス(VIX指数)は20年超ぶりの低水準となったそうである(ロイター)

ここからはユーロというシステムの行方に対する不透明感はある程度払拭され、今後はそれほど材料視はされなくなるとみられる。欧州の政治リスクの後退を受けて、市場の視線はあらためて、欧米の景気や物価動向を睨みながらのFRBの正常化に向けた動きや、ECBの政策転換の可能性など、欧米の中央銀行の政策の行方などが焦点になると予想される。


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by nihonkokusai | 2017-05-09 09:28 | 国際情勢 | Comments(0)

北朝鮮の地政学的リスクは後退したのか

4月25日に北朝鮮は朝鮮人民軍創建85年の節目を迎えた。このような節目に北朝鮮はミサイルを発射したり、核実験を行ってきたことで、緊張が高まっていた。特に今回は米国のトランプ大統領が、この北朝鮮に対して強く非難しており、米原子力空母カール・ヴィンソンを中心とした空母打撃部隊を朝鮮半島に向かわせている。23日にはカール・ヴィンソン空母打撃群と海上自衛隊がフィリピン海で日米共同巡航訓練を開始した。また、米海軍の巡航ミサイル原潜ミシガン(トマホーク巡航ミサイル搭載)も韓国に寄港した。

25日には核問題を巡る6か国協議の日米韓首席代表が都内で会合を開いたが、すでにトランプ大統領は24日に中国の習近平国家主席との電話協議を行い、トランプ大統領は安倍首相とも電話協議を行った。

北朝鮮は核実験を強行する姿勢を崩しておらず、もしこのタイミングで核実験やミサイルを発射するなどした場合に、状況次第では一触即発の事態も危惧される。ただし、いまのところは新たな朝鮮戦争を引き起こすようなことはないとみられている(今回は大規模攻撃訓練に止めた模様)。過去にも米国は北朝鮮への攻撃を計画したことがあったようだが、特に北朝鮮と韓国との陸上戦となれば多くの犠牲者が出ることが想定されるため、さすがにそこまで踏み込むことは現状は考えづらい。しかし、何かのきっかけで戦闘が始まるリスクは存在する。カール・ヴィンソンやミシガンの存在も抑止効果が目的ではあろうが、何かことが起きれば軍事行動に移れることになる。

北朝鮮の問題は北朝鮮そのものが厚いペールで覆われて動きが見づらく、米国側もカール・ヴィンソンなどの軍事行動が伴っていることで秘密のベールに覆われ、実際に何を意図して何をしようとしているのか見えない部分も多い。しかし、米国サイドは本格的な交戦を考慮しているというよりも、北朝鮮に自制を促すよう圧力を掛けているとみられる。

北朝鮮に対しては関係の深い中国やロシアに間を立ってもらうことも意識され、それが米中電話協議となったが、27日からは日ロ首脳会談がロシアで開催される。つまりこれに向けて安倍首相はロシアに向かう予定であり、今のところキャンセルされている様子もないため、これをみても日本政府は北朝鮮を巡って情勢がここ数日で大きく変化するとは見ていないのではなかろうか。

それでも北朝鮮を巡る地政学的リスクは当面、後退することはないであろう。ひとまずフランス大統領選挙では最悪の事態は回避され、欧米市場でもリスクオフの反動が起きている。しかし、アジアでは北朝鮮と米軍のにらみ合いが今後も続くとみられ、見えないリスクを意識せざるを得ない。



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by nihonkokusai | 2017-04-26 09:50 | 国際情勢 | Comments(0)

米国のトランプ大統領によるドルが強すぎ発言の真意とは?

米国のトランプ大統領は12日、ホワイトハウスでのウォールストリート・ジャーナルとのインタビューで、「ドルが強くなり過ぎている。これは人々が私を信頼しているためで、私のせいでもある。だが、結果的には打撃となる」と指摘した。

トランプ大統領はまた中国は「為替操作国ではない」と言明し、今週財務省が公表する主要貿易相手国の為替報告書で、中国を為替操作国には認定しないと明らかにした。トランプ氏は選挙期間中、就任初日に中国を為替操作国に認定すると主張しており、この見解を180度転換した。これは北朝鮮への中国の関与を期待してのものともの見方もある。

トランプ大統領はFRBが低金利を維持するのが好ましいとの見解も示した。さらにイエレン議長については、尊敬していると指摘し、現行の任期を迎える2018年で「おしまいになる訳ではない」とし、続投に含みを残した。こちらも以前にトランプ大統領は、イエレン議長の再任はないと言い切っていただけに方針が変わったようである。

今回の金融に絡んだトランプ大統領の発言については、発言やツイートの内容が良く変わるトランプ大統領の発言とはいえ、注意する必要がある。

シリア空軍基地へのミサイル攻撃を巡り、トランプ米政権内の内紛が表面化している。トランプ氏の最側近だったバノン大統領上級顧問・首席戦略官がシリア攻撃に反対する一方、トランプ氏の娘婿クシュナー大統領上級顧問が実施を求めたとされる。トランプ氏の従来の過激路線を推進するバノン氏と、穏健路線を重視するクシュナー氏やコーン国家経済会議(NEC)委員長の対立が激化しているなか、シリア攻撃は「穏健派」の主張を取り入れたものとなった。トランプ大統領はバノン大統領上級顧問・首席戦略官を更迭するのではないかとの観測も出ている。

今回のトランプ大統領の発言も、このトランプ米政権内の過激派から穏健派への移行が影響している可能性がある。中国を為替操作国には認定しないとの発言などがそれを示している(バノン氏はいずれ中国との戦争は避けられないと主張している)。そして減税などのトランプ氏の掲げた政策が進まないなか、経済政策の必要性から、ドル高の是正や低金利の維持に向けた発言をトランプ大統領が行ってきた可能性がある。雇用の回復などに対してはイエレン議長が主導しているFRBの金融政策による効果も大きいとの認識もあるのか、イエレン議長の再任についても含みを持たせる発言を行った。こちらも穏健派の主張を取り入れた可能性がある。

FRBの正常化路線に関する発言はなかったようではあるが、正常化に向けたFRBの利上げはある程度容認しているものの、景気に悪影響を与えかねない程度までの利上げは望んではいないということであろうか。このあたりの舵取りはイエレン議長に任せても大丈夫という認識か。

ちなみにドルが買われていたのは、市場参加者がトランプ大統領を信任しているためとの見方にはかなり違和感がある(本人も半ばジョークのつもりで言ったのかもしれないが)。まったくないとは言えないものの、ドル高の背景としてはFRBが正常化を進める程度に雇用を中心に景気が回復し、物価もFRBの想定近くに上昇してきていることによる影響が大きい。FRBの利上げもあってドルが買われている側面がある。もちろんトランプ大統領の経済政策への期待やそれによる物価上昇も意識されたかもしれないが、それはここにきてかなり裏切られた格好となっている。


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by nihonkokusai | 2017-04-14 10:02 | 国際情勢 | Comments(0)

中東・アジアでの地政学的リスクの高まりに対して、市場の反応が鈍い理由

米国防総省は6日夜(日本時間7日午前)、米軍が巡航ミサイル「トマホーク」59発をシリアの同国軍施設に発射し、対シリア攻撃を開始したと発表した。

このシリア空軍基地へのミサイル攻撃を巡り、トランプ米政権内の内紛も表面化している。トランプ氏の最側近だったバノン大統領上級顧問・首席戦略官がシリア攻撃に反対する一方、トランプ氏の娘婿クシュナー大統領上級顧問が実施を求めたとされる。

トランプ氏の従来の過激路線を推進するバノン氏と、穏健路線を重視するクシュナー氏やコーン国家経済会議(NEC)委員長の対立が激化しているなか、今回のシリア攻撃は「穏健派」の主張を取り入れたものという、なんとも皮肉な結果となっている。

そしてティラーソン米国務長官は9日放送のABCテレビの番組で、シリアへのミサイル攻撃は北朝鮮への警告の意味が込められていたと強調し「他国への脅威となるなら、対抗措置を取るだろう」と述べた(日経新聞電子版)。

ただし、ティラーソン米国務長官は米国には北朝鮮の「レジーム・チェンジ(体制転換)」には関心がないとも述べている。

米海軍当局者は8日に原子力空母カール・ビンソンを中心とする第1空母打撃群が、シンガポールから朝鮮半島に向け、同日出航したと明らかにした。空母打撃群は1隻の空母とそれを護衛する3隻のイージス艦、そして攻撃型原潜によって構成される。

7日から8日にかけての市場の反応を見る限り、米軍によるシリア攻撃による影響は限定的と言える。7日に発表された3月の米雇用統計で非農業雇用者数が前月比9.8万人増となり、市場予想を大幅に下回ったことに影響を受けて、ドルやダウ平均が下落した面があった。しかし、非農業雇用者数については悪天候が一時的に影響したとの見方があり、3月の失業率は4.5%と2007年5月以来、約10年ぶりの水準に低下したていたことで、さほど悪材料とはならず、7日のダウ平均は小幅安での引けとなった。

そもそもこの雇用統計が注目されている理由は、米国の景気動向をみる指標であるとともに、FRBの金融政策に大きく影響するためである。そのFRBの金融政策を巡っては、ニューヨーク連銀のダドリー総裁が興味深い発言をしていた。3月31日にダドリー総裁は、バランスシート縮小を開始すれば利上げを休止する可能性があるとしたが、ダドリー総裁は7日、この休止というのは既に非常に短い意味があり、短い休止を強調したのである。かなり苦しい言い訳にも聞こえるが、要するにバランスシート縮小開始は、利上げをそこで止めるわけではないということであった。このダドリー総裁の修正発言もあり、7日の米国債はリスク回避で買われるのではなく、むしろ売られていたのである。

7日のドイツや英国の国債は、リスク回避の動きもあって買われていたのに対し、米国債はリスク回避よりもダドリー総裁発言に大きく影響を受けていた。現状、市場の感応度が地政学的リスクよりも、FRBの金融政策の方に対しての方が大きいことが伺える。

米軍によるシリア攻撃に関してはロシアの反応が最大の注目点となっていた。ロシア政府は、米国によるシリア空軍基地へのミサイル攻撃について厳しく批判したものの、ティラーソン米国務長官のロシア訪問は予定通り進める見通しとなっている。ロシアが強攻策に出るようなことはなさそうであり、その意味で地政学的リスクがさらに高まる様子はいまのところみられない。このあたりも市場がさほど神経質とはなっていない要因とみられる。

リスクとしては北朝鮮の方がむしろ高い可能性はある。米軍による第1空母打撃群の朝鮮半島の派遣が、北朝鮮への抑止効果となるのか、反対に北朝鮮がさらに過激な行動に出るのか。このあたりは米中首脳会談の最中にシリア攻撃を行っていたことも影響してこよう。

つまりこちらは中国の出方がポイントとなる。これについても、米中首脳会談で何らかの協議が行われた可能性は当然ありうる。突発的なことが発生したとしても、中国は静観している可能性もある。ただし、その突発的なことが起きた際には、地理的にも近い東京市場には大きな影響が出ることが想定される。中朝国境付近に中国軍が15万人展開を始めたという情報がツイッターなどで飛び交っているようだが、北朝鮮で何らかの動きが起きた際にはリスク回避の動きから、一時的にせよ円高進行、株式市場の急落に加え、再び国債が買われることで長期金利が低下することもありうるか。


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by nihonkokusai | 2017-04-11 09:01 | 国際情勢 | Comments(0)

中東・アジアでの地政学的リスクの高まりに対して、市場の反応が鈍い理由

米国防総省は6日夜(日本時間7日午前)、米軍が巡航ミサイル「トマホーク」59発をシリアの同国軍施設に発射し、対シリア攻撃を開始したと発表した。

このシリア空軍基地へのミサイル攻撃を巡り、トランプ米政権内の内紛も表面化している。トランプ氏の最側近だったバノン大統領上級顧問・首席戦略官がシリア攻撃に反対する一方、トランプ氏の娘婿クシュナー大統領上級顧問が実施を求めたとされる。

トランプ氏の従来の過激路線を推進するバノン氏と、穏健路線を重視するクシュナー氏やコーン国家経済会議(NEC)委員長の対立が激化しているなか、今回のシリア攻撃は「穏健派」の主張を取り入れたものという、なんとも皮肉な結果となっている。

そしてティラーソン米国務長官は9日放送のABCテレビの番組で、シリアへのミサイル攻撃は北朝鮮への警告の意味が込められていたと強調し「他国への脅威となるなら、対抗措置を取るだろう」と述べた(日経新聞電子版)。

ただし、ティラーソン米国務長官は米国には北朝鮮の「レジーム・チェンジ(体制転換)」には関心がないとも述べている。

米海軍当局者は8日に原子力空母カール・ビンソンを中心とする第1空母打撃群が、シンガポールから朝鮮半島に向け、同日出航したと明らかにした。空母打撃群は1隻の空母とそれを護衛する3隻のイージス艦、そして攻撃型原潜によって構成される。

7日から8日にかけての市場の反応を見る限り、米軍によるシリア攻撃による影響は限定的と言える。7日に発表された3月の米雇用統計で非農業雇用者数が前月比9.8万人増となり、市場予想を大幅に下回ったことに影響を受けて、ドルやダウ平均が下落した面があった。しかし、非農業雇用者数については悪天候が一時的に影響したとの見方があり、3月の失業率は4.5%と2007年5月以来、約10年ぶりの水準に低下したていたことで、さほど悪材料とはならず、7日のダウ平均は小幅安での引けとなった。

そもそもこの雇用統計が注目されている理由は、米国の景気動向をみる指標であるとともに、FRBの金融政策に大きく影響するためである。そのFRBの金融政策を巡っては、ニューヨーク連銀のダドリー総裁が興味深い発言をしていた。3月31日にダドリー総裁は、バランスシート縮小を開始すれば利上げを休止する可能性があるとしたが、ダドリー総裁は7日、この休止というのは既に非常に短い意味があり、短い休止を強調したのである。かなり苦しい言い訳にも聞こえるが、要するにバランスシート縮小開始は、利上げをそこで止めるわけではないということであった。このダドリー総裁の修正発言もあり、7日の米国債はリスク回避で買われるのではなく、むしろ売られていたのである。

7日のドイツや英国の国債は、リスク回避の動きもあって買われていたのに対し、米国債はリスク回避よりもダドリー総裁発言に大きく影響を受けていた。現状、市場の感応度が地政学的リスクよりも、FRBの金融政策の方に対しての方が大きいことが伺える。

米軍によるシリア攻撃に関してはロシアの反応が最大の注目点となっていた。ロシア政府は、米国によるシリア空軍基地へのミサイル攻撃について厳しく批判したものの、ティラーソン米国務長官のロシア訪問は予定通り進める見通しとなっている。ロシアが強攻策に出るようなことはなさそうであり、その意味で地政学的リスクがさらに高まる様子はいまのところみられない。このあたりも市場がさほど神経質とはなっていない要因とみられる。

リスクとしては北朝鮮の方がむしろ高い可能性はある。米軍による第1空母打撃群の朝鮮半島の派遣が、北朝鮮への抑止効果となるのか、反対に北朝鮮がさらに過激な行動に出るのか。このあたりは米中首脳会談の最中にシリア攻撃を行っていたことも影響してこよう。

つまりこちらは中国の出方がポイントとなる。これについても、米中首脳会談で何らかの協議が行われた可能性は当然ありうる。突発的なことが発生したとしても、中国は静観している可能性もある。ただし、その突発的なことが起きた際には、地理的にも近い東京市場には大きな影響が出ることが想定される。中朝国境付近に中国軍が15万人展開を始めたという情報がツイッターなどで飛び交っているようだが、北朝鮮で何らかの動きが起きた際にはリスク回避の動きから、一時的にせよ円高進行、株式市場の急落に加え、再び国債が買われることで長期金利が低下することもありうるか。


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by nihonkokusai | 2017-04-11 09:01 | 国際情勢 | Comments(0)

マーケットの新たなリスク要因、米・中・北朝鮮に英・露

米国のトランプ大統領は3月24日に「オバマケア見直し法案」の下院本会議での採決を見送り、同法案を撤回した。また、トランプ大統領が指名した連邦最高裁判事候補者の上院における承認を巡り不透明感も強まっている。さらに複数の州がトランプ政権の省エネ規制適用見合わせを違法として法的措置も辞さない構えを表明するなど、トランプ氏には逆風が吹いており、ロシアとの疑惑などもあり、トランプ政権の政策運営能力を疑問視する声も出始めている。

これに対してトランプ大統領は外交面で北朝鮮に対する強硬姿勢を示すことで、国民の目を背けさせているとの見方もある。トランプ大統領は北朝鮮の核・ミサイル開発を巡り、中国が協力しなければ単独行動も辞さない構えを示した。4月6、7日に南部フロリダ州の別荘で開催されるトランプ氏と習近平・中国国家主席の首脳会談を控え、警戒感が強まっている。中国としては北朝鮮問題は取り扱いの難しい問題であるが、米国の単独行動を許すとも思えず、米中首脳会談での北朝鮮問題をどのように取り扱うか、通商・為替政策を含めて注意する必要がある。米中首脳会談を睨んでか、北朝鮮は5日に弾道ミサイルを発射するという挑発行為に出た

3月29日、英国のメイ首相はEU基本条約(リスボン条約)50条を発動し、EUに対して離脱を正式に通知したが、さっそく問題が生じている。イベリア半島南端にある英領ジブラルタルを巡っての問題である。スペイン継承戦争後、1713年のユトレヒト条約でジブラルタルは英国の領土となったが、ジブラルタルでは周辺のスペイン人住民約1万人が働いており、毎日境界を通って通勤しているとされる。スペインのダスティス外相は、英領ジブラルタルについて、英国がEUを離脱した後も「境界を閉じるつもりはない」と表明したが、いずれこれが火種になるのではとの懸念も出ている。

そして4月3日にロシア第2の都市であるサンクトペテルブルクの地下鉄で爆発が発生し、多くの死傷者が出た。この日はプーチン大統領がベラルーシのルカシェンコ大統領との会談のためにサンクトペテルブルクに滞在中だったそうだが、ロシア連邦捜査委員会はテロの疑いがあるとして刑事捜査を開始したとされる。

4月3日の欧米市場では、米国やドイツ、英国の国債が買い進まれた。つまり長期金利が低下したわけだが、この動きはリスク回避の動きのようにも見えた。3月の米国の自動車販売台数が予想を下回り、米国で長く続いた販売好調局面が勢いを失いつつある可能性も意識されたようだが、地政学的リスク等を含めたリスクに市場が再び敏感になりつつあるのかもしれない。


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by nihonkokusai | 2017-04-05 09:06 | 国際情勢 | Comments(0)
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