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カテゴリ:国際情勢( 116 )

「ECBの利上げと米雇用統計」


 欧州中央銀行(ECB)は、3日の定例理事会で政策金利を0.25%引き上げ、年4.25%にすることを決定した。6月のユーロ圏15か国の消費者物価上昇率(速報値)が前年同月比で4.0%となり1999年の通貨統合後の最高水準を更新するなど、「インフレは安定水準を上回っている」とのトリシェECB 総裁の発言もあったがインフレ抑制のための利上げとなった。注目された今後の金融政策の運営に対してトリシェ総裁は、「先行きの金融政策に関しバイアスはない」とコメントし」追加利上げに関しては明言せず、これによりECBによる追加利上げ観測はいったん後退した。

 今回のECBの利上げにより、欧米の金利差は2.25%となり1999年のユーロ導入以来最大となり、ドル安への懸念なども強まっていたが、ECBによる追加利上げ観測の後退でドル売りは一服となった。トリシェ総裁とポールソン財務長官と事前に会合を開くなどしていた経緯もあったことで米国に対して一定の配慮を示したともみられる。さらに、トリシェ総裁は欧州の経済成長リスクは下向きとの発言もあったように、域内景気も意識されたのではないかともみられる。

 もうひとつ注目された6月の米雇用統計では、非農業雇用者数が前月比6.2万人減と6か月連続で前月比減少となったが、これはほぼ事前予想に近い数字ともなった。4月の雇用者数も2.8万人減から6.7万人減に、5月も4.9万人減から6.2万人減にそれぞれ悪化の方向で修正された。

 そして6月の失業率は5.5%と前月比横ばいに。5月の米失業率が前月比+0.5%も跳ね上がっていたことで、その水準が維持されているのかどうか注目されていた。結局、前月比横ばいとなったことで引き続き米雇用情勢は悪化していることを示した。FRB高官からも物価上昇よりも景気減速を意識するような発言もあったようだが、失業率の発表を受けてFRBによる利上げ観測はさらに後退したものとみられる。

《HK》
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by nihonkokusai | 2008-07-04 09:21 | 国際情勢 | Comments(0)

「米FRBは公定歩合を3.25%に緊急引き下げ」


 東京時間の朝8時過ぎに、米FRBは公定歩合を0.25%引け下げ3.25%にすることを全会一致で決定した。米国時間日曜日夜間という時間帯での異例の決定ともなったが、JPモルガン・チェースがベア・スターンズ買収へとの報道にあわせる格好の発表でもあり、なんとしても金融不安を払拭しようとのFRB の動きでもあるが、それだけ問題が深刻化とも受け取るものともなった。

 FRBは、公定歩合の引き下げそれとともにプライマリー・ディーラーに対しNY連銀で公定歩合で資金を借りられる制度を創設した。プライマリークレジット制度では、経営状況が健全な金融機関を対象に行なわれていたが、今度の新制度はプライマリー・ディーラーならば投資適格の幅広い証券を担保によって、公定歩合で資金を借りられるようになる。この新制度は17日から利用が可能となり、公定歩合の貸し出し期間も30日から最大90日に延長される。

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20080316a.htm
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by nihonkokusai | 2008-03-17 10:00 | 国際情勢 | Comments(1)

「7か国財務大臣および中央銀行総裁会議」


 2月9日に東京の三田共用会議所において7か国財務大臣・中央銀行総裁会議(G7)が開催された。G7とは、Group of Sevenのことで日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダの主要7か国の財務大臣および中央銀行総裁が集まる会議であり年に数回開催され、国際的な金融問題などを中心とした世界経済の主要課題について討議する。

 財務省は今回のG7にあたり、専用のホームページ(http://www.g7-2008.mof.go.jp/)を開設しており、「7か国財務大臣・中央銀行総裁会議声明のポイント」をアップしている。

 「昨年10月の会合に比べ、世界はよりチャレンジングで不確実な環境に直面しているが、世界経済全体のファンダメンタルズは引き続き堅固である。米国では、生産と雇用の伸びが大幅に減速し、リスクは一層下方に傾いているが、長期的なファンダメンタルズは健全であり、2008年も成長が続くと見込んでいる。」

 この中で「チャレンジングで不確実な環境」「米国では、生産と雇用の伸びが大幅に減速し、リスクは一層下方に傾いている」としながらも、先行きの景気見通しについては比較的楽観的な内容ともなっている。

 「我々はそれぞれ、国内の状況に応じて、流動性供給、金融政策及び財政政策の分野で、適切な行動をとってきた。我々は、必要な改革を通じて成長力を高めるための努力を強化することに引き続きコミット。今後とも、我々は引き続き経済動向を注視し、経済の安定と成長を確保するため、個別にあるいは共同して、適切な行動をとっていく。」

 さらに米国のサブプライム問題、モノライン問題などによる金融市場の混乱、さらに米国経済の減速懸念などに対しての各国の行動については、「国内の状況に応じて」、「個別にあるいは共同して」適切な行動をとっていくとしており、G7一体となって対処していくのではなく、個別の対応が重視されているように思われる。

 「我々は、金融の安定性を強化し、金融混乱の影響を限定するとともに、金融混乱に寄与した要因に対処するため、共に努力することに深くコミット。中央銀行による協調された流動性供給は、短期金融市場における一時的緊張の緩和に貢献。」

 ただし、中央銀行による「協調された流動性供給」については「一時的緊張の緩和に貢献」ともしているが、あくまで「一時的」なものであり、今回の声明文においては具体的な協調しての行動は明記されていない。

 ポールソン米財務長官は会見において「他の国に財政出動計画の策定は要請していない」と発言(ロイター)するなど、今回のサブプライム問題に端を発しての各国の行動については、額賀財務相が「金融不安・経済対策は、それぞれの事情にあった対策を打ち出すことが重要」と述べ、また福井俊彦日銀総裁も「マクロ経済運営は、各国が問題を共有しながらそれぞれ適切に対応する」と述べているように各国の対応に任せられている格好ともなっている。

 今回のような世界的な金融市場の混乱については「協調」さを「強調」して、市場への影響を与えようといった行動はG7では取らなくなったのも、G7だけでは対応しきれないという側面もあるが、それだけ金融市場も洗練されてきたことの現れなのかもしれない。金融緩和といった手段だけでは限界があることは市場も認識している。さらに日米欧とも中央銀行が政府からやや距離を置くようになっており、協調利下げといった「政策協調」は今後実施される可能性はかなり低いと思われる。
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by nihonkokusai | 2008-02-12 09:59 | 国際情勢 | Comments(0)

「円の実効レートがプラザ合意以来の水準に」


 日銀が算出している円の実質実効為替レート(1973年3月を100とする)が、9月に101.3となり、1985年9月のプラザ合意の時点(94.8)以来の水準まで低下したと日経新聞が伝えた。

 日銀のホームページによると実質実効為替レートについては次のように解説されている。

「実効為替レートは、特定の2通貨間の為替レートをみているだけでは分からない為替レート面での対外競争力を、単一の指標で総合的に捉えようとするものです。例えば、一口に「円高」と言っても、円が米ドルに対してのみ上昇している場合と、多くの他通貨に対して上昇している場合(「円の独歩高」の場合)とでは、円と米ドルの2通貨間の為替レートが同一でも、日本の価格競争力、ひいては貿易収支等に与える影響が異なってきます。具体的には、円と主要な他通貨間のそれぞれの為替レートを、日本と当該相手国・地域間の貿易ウエイトで加重幾何平均したうえで、基準時点を決めて指数化する形で算出します(これが「名目実効為替レート」です)。」

 月次で集計され、発表は原則として翌月第2営業日。

 最もポピュラーなドル円については、ここにきて円安となったとはいえ118円台であり、プラザ合意の当時の240円と比べるとまだまだ円高水準にある。しかし、対ユーロで見ればすでに1ユーロ150円程度となっており、こちらでの円は最安値圏ともなっている。円はドル以外の他通貨に対しては大幅に下落している。

 これは、たとえばグローバル・ソブリンオープンなどを通じて国内投資家の資金が海外金融資産に投資されていることや、海外のヘッジファンドが低金利の円を借りてドル資産などに投資する「円キャリートレード」を増やしてきているためと、日経は解説している。

 為替というとどうしてもドル円を主体に見てしまいがち。国内貿易もドルでの取引も多く、外貨準備なども日本は引き続きドルが主体ともなっていることで、1985年以来の円安と聞いてもあまりピンとこないかもしれない。しかし、ユーロの比重も徐々に高まっていることも事実であり、なぜこれほどまでに円の実効レートが低下しているのかといったことも考えておく必要もありそうである。
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by nihonkokusai | 2006-10-04 10:03 | 国際情勢 | Comments(0)

「マーケットサバイバルより」

 拙著「マーケットサバイバル」に下記のようなことを書いた。

 「昔の話しになりますが、ミシシッピー川の水位が低下しているというだけで、日本の債券が売られたということが実際にありました。当時、円債は米国債の動向と非常に連動性が高かった事がまず第一の原因です。そして、その米国債は非常にインフレに敏感になっておりそのインフレを示す代表的な指標としてCRBという指標が注目されていました。そのCRBインデックスは穀物相場に比重が大きくかけられていたのです。穀物相場は当然、天候等に左右されやすい。アメリカの穀倉地帯はミシシッピー沿岸です。そのミシシッピー川の水位が低下しているということは、雨が降らずに水不足ということを示しています。そのために穀物の収穫量が落ちる、そしてCRBインデックスが上昇、米国債が売られ、日本の債券も売られるといった、まさに風が吹けば桶屋が儲かる的な発想でした。今考えるとなんでそんなものを注目していたんだと思うことでも、当時はみな真剣にミシシッピーの水位を気にしていたのです。」

 これを覚えておられるマーケット参加者もかなり少なくなったのではなかろうか。しかし、今回のハリケーン「カトリーナ」によって大きな被害を受けたのは、まさにこのミシシッピー川沿岸である。メキシコ湾岸の石油関連施設への影響から一時原油価格が急騰していたが、気をつけておかなければならないものとして穀物への影響などもあろう。

 それにしても、ニューオーリンズを中心に数千人の犠牲者が見込まれるというこの被害の原因究明も急がれる。むろんハリケーンによる直接被害が大きかったのも事実だが、初動の遅れなども指摘されている上に、政府や州、市などでの責任のなすりあいも行われているとか。今回は米国の貧富の差といった問題も根底にある。未曾有のハリケーン「カトリーナ」は甚大な被害をもちらすとともに、このような米国の抱える国内の問題も浮き彫りにさせたものと思われる。
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by nihonkokusai | 2005-09-07 14:02 | 国際情勢 | Comments(2)

「人民元2%の切り上げ」

 中国人民銀行は21日、人民元を1ドル8.276元から8.11元へ約2.1%切り下げ、基準値の上下0.3%以内で変動(取引バンドは1ドル8.0857-8.1343)、対ドルベッグ制を廃止し、通貨バスケット制度を採用すると発表。

 切り上げのタイミングは予想外であったものの切り上げ幅が2%に止まったことからその影響はとりあえず限定的なものと見られる。問題はこれをきっかけに元が今後どの程度切り上げられるかによるものとなろう。通貨バスケット制度を採用するということから、米債は長期債などが大きく売られたが、これはあくまで地合いが悪かったところへ材料が加わったためとも見られる。ドル円についても円安がかなり進行していただけにその反動が大きかったと見ておいた方が良さそうである。

 今回の元切り上げは小さな一歩ではあるものの、まさに歴史的な出来事とも言えるものと思われる。ニクソンショックやその後のスミソニアン合意なんかも比較されるのではなかろうか。参考までに当時の様子は下記のような状況であった。

 「昭和46年(1971年)年8月15日に、当時のニクソン米国大統領は、米国の国際収支の赤字を削減してドルの流出を防ぐ目的により、外国の通貨当局に対してドルと金との交換停止を通告したのである。これによって、戦後続いてきたドルを基軸通貨とする固定相場制は終了し、1ドル360円の固定相場制は中止され、変動相場制に移行したのである。欧州各国は変動相場制の対応に追われるなか、日本だけは輸出企業を守るために、円レートを守ることを最優先課題とした。12月のスミソニアン合意により、1ドルは308円に切り下げられたのだが、円の切り上げが不可避となっても、それを最小限に押さえ込もうと必死の対応をしたのである。その結果が、大量の国債発行による内需拡大と極端な金融緩和の実施となった。」

(文春新書「日本国債は危なくない」より)
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by nihonkokusai | 2005-07-22 10:29 | 国際情勢 | Comments(3)
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