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カテゴリ:国際情勢( 136 )

スペイン・カタルーニャ州の独立問題とは何か

 カタルーニャ州のプチデモン州首相は、10月1日に行われた住民投票の結果、カタルーニャがスペインから独立する権利を得たと強調した上で、スペイン政府との交渉を視野に今後数週間、独立を延期すると発表した(NHKニュースより)。

 カタルーニャ州の独立問題は欧州の新たな火種となっており、スペインの国債も一時大きく売られるなどしていた。

 スペインの北東部にあるカタルーニャ州は1979年にスペイン国家内で自治州の地位を得たが、歴史的にフランスと結びつきが強く独立志向が強い地域となっている。

 10月1日にカタルーニャ州において実施されたカタルーニャの分離独立の是非を問ういわゆる「州民投票」に際しては,独立支持派と治安関係者の間で小競り合いが発生し,州政府の発表によれば,800人以上の負傷者が発生した。カタルーニャ州政府は一方的な独立宣言を行う可能性があり、中央政府はこのような行為は違法であるとして認めていない。日本の外務省はサイトでカタルーニャ州に渡航・滞在される方は、安全に注意する必要があることを認識するよう呼びかけている(外務省のサイトより一部引用)。

 ちなみにカタルーニャ州の州都はバルセロナである。有名なサッカークラブであるFCバルセロナの愛称「バルサ」はカタルーニャ語読みから来ているそうである。

 それはさておき、プチデモン州首相は賛成多数で独立が承認されれば、「48時間以内に独立宣言を行う」と公約していた。10日夜からバルセロナにある州議会が開かれ、この中でプチデモン州首相は、住民投票では独立賛成が大多数を占めたと報告し、「住民投票の結果、カタルーニャは共和国として独立国家になる権利を得た」と述べて、スペインから独立する正当性を強調した。そのうえで「スペインとの問題を解決するには対話が必要だ」と述べ、住民投票は憲法違反だとしているスペイン政府との交渉も視野に今後数週間、独立を延期すると発表した(NHKニュースより一部引用)。

 10日の欧州市場はひとまずこのプチデモン州首相による独立延期の発表を好感した格好となった。プチデモン州首相とは政府との交渉の余地を探りたいとみられるが、スペイン政府がカタルーニャ州の自治権の停止も含めた強硬措置に乗り出す可能性もあるとされ、問題が深刻化する懸念もある。これがユーロシステムを揺るがすような事態に発展するのかは読みづらいが、今後の動きには注意すべきと思われる。


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by nihonkokusai | 2017-10-12 09:33 | 国際情勢 | Comments(0)

ハリケーンが米国の債務上限問題を進展させる結果に

 米国のトランプ大統領と議会指導部はハリケーン「ハービー」の被害救済法案に、12月15日までの債務上限引き上げと政府運営資金の確保を抱き合わせることで合意したと伝えられた。

 テキサス州を直撃した大型ハリケーン「ハービー」は、進路に当たる地域に甚大な被害をもたらした。テキサス州のアボット知事は今回の被災地域は2005年の「カトリーナ」襲来時よりも大きいと述べていた(NEWSWEEK)。

 このハリケーンの被害救済が米国の政治に思わぬ影響を与えることとなった。今回のハリケーンの被害を受けて、トランプ政権は145.5億ドルの補正予算を議会に要請することとなり、うち78.5億ドルを2018年度の暫定予算に組み入れる方針と伝えられた。

 トランプ大統領は8月22日のアリゾナ州フェニックスで開かれた支持者の集会で、政府を閉鎖しなければならなくても壁を建設すると述べた。これにより政府閉鎖への懸念が強まった。もうひとつの問題がここに絡む。債務上限問題である。財務省は9月29日までに議会が債務上限を引き上げを要望している。いずれの法案も上院を通すには民主党の一部が支持しなければ可決できない。ここに民主党が反対するメキシコ国境の壁建設の予算を強引に求めると、かなりこじれ、政府機関の閉鎖やデフォルトが現実味を帯びてきたのである。

 しかし、ハリケーン「ハービー」による緊急事態に対処するため、ここで議会が動き、トランプ大統領も強行な発言を控えてきた。被害対策の補正予算を通すため、それぞれ妥協の必要が出てきたといえる。ここで主義主張を振りかざしては、国民からの批判がより強まることも予想されるためである。

 その結果が12月15日までの債務上限引き上げと政府運営資金の確保を抱き合わせることでの合意である。ただし、これは野党である民主党指導部が明らかにしたものである。

 共和党指導部と民主党指導部との会合で、共和党の指導部は18か月の債務上限引き上げを要請し、6か月引き上げ案も可能性として挙げた。しかし、民主党のペロシ下院院内総務、シューマー上院院内総務の両氏は6か月引き上げ案を拒否し、債務上限3か月の引き上げ案を出していた。

 ムニューシン財務長官ら共和党メンバー全員が、より長期間の債務上限引き上げを支持したが、トランプ大統領は結果として野党・民主党の債務上限3か月の引き上げ案を受け入れた格好となったのである。

 ちなみに上院(定数100)での可決には60の賛成票が必要となるが、上院の共和党議席は52で、民主党の一部が支持しなければ可決できない。

 共和党のライアン下院議長は民主党案に強く反発していたようだが、補正予算を早期に通すためには、民主党案を飲まざるを得なかったことも確かであろうが、これでまたトランプ大統領と共和党の議会首脳部との間に溝が拡がった可能性もある。しかし、市場で懸念されていた政府機関閉鎖の懸念とデフォルトの懸念がひとまず後退したことも確かである。


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by nihonkokusai | 2017-09-08 10:06 | 国際情勢 | Comments(0)

米国の政府機関閉鎖の懸念と債務上限問題

 トランプ大統領は8月22日のアリゾナ州フェニックスで開かれた支持者の集会で、政府を閉鎖しなければならなくても、壁を建設すると述べた。

 議会は会計年度が終了する9月末までに、新年度の歳出法案を成立させなければならない。しかし、議会で合意が得られない場合には、つなぎ予算案を承認しつつ、新年度の本予算の協議を続けることになる。今回のそのケースとなる可能性が高い。しかし、つなぎ予算と本予算のどちらも折り合いがつかないとなれば、政府機関の閉鎖という事態が発生する。

 政府機関閉鎖は過去何度か起きた。直近では2013年10月にオバマ前政権の医療保険制度改革法(オバマケア)向け支出を巡り、ねじれ状態となっている米国議会で次年度予算が成立せず、与野党の対立が解けないまま、およそ18年ぶりとなる政府機関の一部が閉鎖される事態が発生した。

 米国のムニューチン財務長官やポール・ライアン下院議長などは「連邦政府機能の一部閉鎖」という事態は発生させないと主張したものの、22日のトランプ大統領の発言により、政府閉鎖の可能性が現実化しつつある。

 トランプ大統領は選挙公約にメキシコ国境の壁建設を掲げていたが、2018年度の歳出法案には、この建設費用は含まれていない。上院(定数100)での可決には60の賛成票が必要となるが、上院の共和党議席は52で、民主党の一部が支持しなければ可決できない。

 そしてもうひとつの問題がここに絡む。債務上限問題である。財務省は9月29日までに議会が債務上限を引き上げてくれることを要望している。ただし財務省には緊急時の予備財源があり、デフォルトが起きるのは早くて10月半ば以降になる。

 いずれの法案も上院を通すには民主党の一部が支持しなければ可決できない。ここに民主党が反対するメキシコ国境の壁建設の予算を強引に求めると、かなりこじれ、政府機関の閉鎖やデフォルトが現実味を帯びる。

 トランプ大統領は高い支持を得ている退役軍人関連の法案に、債務上限引き上げ措置を盛り込むよう議会の共和党指導部に求めていたが、共和党上院院内総務と下院議長は両法案を抱き合わせにしない決定を下した。

 メキシコ国境の壁建設の費用を予算で捻出するため民主党からの賛同者を売るのは極めて難しい状況にある。トランプ大統領が壁抜きで共和党のまとめた予算案を受け入れず、拒否権を行使すれば、政府機関が閉鎖されるだけでなく、共和党議員との対立姿勢を強めることも予想される。今回は政府機関閉鎖が解かれる状況も見づらくなる。何らかの妥協が求められるがトランプ大統領がそれを行えるのかが注目点となろう。


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by nihonkokusai | 2017-09-04 09:35 | 国際情勢 | Comments(0)

トランプ大統領は議会との壁も構築中

 トランプ大統領は22日、アリゾナ州フェニックスで開かれた支持者の集会で、米国はおそらくある時点でNAFTAを終了させることになるだろうと述べるとともに、政府を閉鎖しなければならなくても、壁を建設すると述べた。これらの発言を受けて、23日の米国株式市場は下落し、米債は買われ、リスク回避の動きとなった。この発言がどうしてリスク回避の動きとなったのかを整理してみたい。

 議会は今会計年度が終了する9月末までに、新年度の歳出法案を成立させなければならない。しかし議会で合意が得られない場合には、つなぎ予算案を承認しつつ、新年度の本予算の協議を続けることになる。新年度予算案を審議する期間は少なく、今回のそのケースとなる可能性が高い。しかし、つなぎ予算と本予算のどちらも折り合いがつかないとなれば、政府機関の閉鎖という事態が発生する。

 ムニューチン財務長官やポール・ライアン下院議長などは「連邦政府機能の一部閉鎖」という事態は発生させないと主張しているものの、今回のトランプ大統領の発言により、政府閉鎖の可能性が現実化しつつある。

 トランプ大統領は選挙公約にメキシコ国境の壁建設を掲げていた。ところが2018年度の歳出法案には、メキシコ国境沿いの壁建設費用は含まれていない。上院(定数100)での可決には60の賛成票が必要ーとなるが、上院の共和党議席は52で、民主党の一部が支持しなければ可決できないことになる。

 政府機関閉鎖は過去何度か起きてはいる。直近では2013年10月にオバマ前政権の医療保険制度改革法(オバマケア)向け支出を巡り、ねじれ状態となっている米国議会では次年度予算が成立せず、与野党の対立が解けないまま、およそ18年ぶりに政府機関の一部が閉鎖される事態となった。

 そしてもうひとつの問題がある。債務上限問題である。米国政府は財政赤字を支えるために米国債を発行して借入をする必要がある。この債務については上限が議会で決められており、債務上限に達した場合、議会があらためて債務上限の引き上げに応じなければならない。もしこれができなければ政府はデフォルト(債務不履行)に陥る。

 財務省は9月29日までに議会が債務上限を引き上げてくれることを要望しているとされる。ただし財務省には緊急時の予備財源があり、デフォルトが起きるのは早くて10月半ば以降になる。通常、歳出予算案と債務上限の2つは本来別々に審議されるが、今回はセットで取り上げられる公算が大きいとされている。(ロイターの記事より引用)。

 いずれの法案も上院を通すには民主党の一部が支持しなければ可決できない。ここに民主党が反対するメキシコ国境の壁建設の予算を強引に求めると、かなりこじれ、政府機関の閉鎖やデフォルトが現実味を帯びることになる。

 トランプ大統領は高い支持を得ている退役軍人関連の法案に、債務上限引き上げ措置を盛り込むよう議会の共和党指導部に求めていたそうだが、共和党上院院内総務と下院議長は両法案を抱き合わせにしない決定を下したとか。すごく簡単にできたはずなのに今はめちゃくちゃだ、とはトランプ大統領(ブルームバーグ)。妙な裏技を使おうとしたトランプ大統領の方がめちゃくちゃのような気がしなくもない。

 大手格付け会社フィッチ・レーティングスは23日、米連邦政府の債務上限が10月までに引き上げられない場合、米国の長期債務格付けを引き下げ方向で見直す可能性があるとの見解を示した。


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by nihonkokusai | 2017-08-25 09:58 | 国際情勢 | Comments(0)

トランプリスクが再燃し金融市場が動揺、バノン氏更迭も解決策にならずか

 南部バージニア州で今月12日、白人至上主義や極右思想を掲げるグループとこれに抗議する市民グループが激しく衝突した上、市民グループに車が突っ込み、女性1人が死亡、30人余りが、けがをした。

 これに対しトランプ大統領は当初、白人至上主義などを明確に非難しなかったが、人種差別への問題意識が十分ではないなどと反発が広がったことから、白人至上主義団体のKKKなどを名指しで批判した。

 ところがトランプ大統領は15日に記者団に対し、「一方のグループは悪かったが、もう一方のグループも非常に暴力的だった。誰も言いたがらないが、私は言う」と述べ、市民グループについても非難した(以上、NHKニュースより)。

 これに関連して製造業諮問委員会と戦略・政策フォーラムのメンバーである企業経営者らが次々に辞任を表明し、トランプ大統領は16日、メンバーの辞任が相次いでいた2つの助言組織を解散するとツイッター投稿。経済界との対立姿勢を強めた。これにより、今後のトランプ政権の経済政策運営が更に困難になりかねない事態を招いた。

 与党・共和党の指導部や経済界だけでなく、陸海空と海兵隊の4軍トップも人種差別への批判の声を上げた。米軍最高司令官の大統領の考えに賛同しないことを示唆した異例の事態となり、まさに四面楚歌の状態に陥っている(日本経済新聞の記事)。

 白人至上主義者らと反対派との衝突に対するトランプ大統領の発言を巡っては、トランプ米政権で経済政策の司令塔を務めるコーン国家経済会議委員長がひどく動揺したとも伝えられ、辞任観測が流れた。ホワイトハウスがコーン氏は同職にとどまるとして噂を否定したものの、政権の混乱で税制改革などの経済政策への期待が一段と後退する事態は免れない。

 17日の米国株式市場でダウ平均が274ドル安と大きく下落したのはこれが要因となった。18日のダウも続落し76ドル安に。米株は3指数が過去最高値を更新するなど米国株式市場は高値圏で推移していただけに、さらに大きな調整が入る可能性もある。  

 バルセロナでの車両が群衆に突っ込むテロ事件を受けての不安も強まり、リスク回避の動きも手伝い17日の米国債は買われ、長期金利は低下した。しかし、トランプ大統領は、側近であるバノン首席戦略官・上級顧問を更迭すると発表、政権混迷の戦犯とされてきたバノン氏を排除することで事態打開を図る姿勢をみせた。これを受けて18日の米国債は買い戻されたが、これで事態が収束するとも思えない。

 さすがに今回の事態は今後のトランプ政権の行方を揺るが可能性が高い。全米各地で反人種差別集会も開かれているようである。トランプ政権の支持率がさらに低下するだけでなく、議会などとの対立色を強め、政策運営がさらに立ち行かなくなる懸念が強まる。


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by nihonkokusai | 2017-08-20 12:32 | 国際情勢 | Comments(0)

トランプリスクが再燃し金融市場が動揺、バノン氏更迭も解決策にならずか

 南部バージニア州で今月12日、白人至上主義や極右思想を掲げるグループとこれに抗議する市民グループが激しく衝突した上、市民グループに車が突っ込み、女性1人が死亡、30人余りが、けがをした。

 これに対しトランプ大統領は当初、白人至上主義などを明確に非難しなかったが、人種差別への問題意識が十分ではないなどと反発が広がったことから、白人至上主義団体のKKKなどを名指しで批判した。

 ところがトランプ大統領は15日に記者団に対し、「一方のグループは悪かったが、もう一方のグループも非常に暴力的だった。誰も言いたがらないが、私は言う」と述べ、市民グループについても非難した(以上、NHKニュースより)。

 これに関連して製造業諮問委員会と戦略・政策フォーラムのメンバーである企業経営者らが次々に辞任を表明し、トランプ大統領は16日、メンバーの辞任が相次いでいた2つの助言組織を解散するとツイッター投稿。経済界との対立姿勢を強めた。これにより、今後のトランプ政権の経済政策運営が更に困難になりかねない事態を招いた。

 与党・共和党の指導部や経済界だけでなく、陸海空と海兵隊の4軍トップも人種差別への批判の声を上げた。米軍最高司令官の大統領の考えに賛同しないことを示唆した異例の事態となり、まさに四面楚歌の状態に陥っている(日本経済新聞の記事)。

 白人至上主義者らと反対派との衝突に対するトランプ大統領の発言を巡っては、トランプ米政権で経済政策の司令塔を務めるコーン国家経済会議委員長がひどく動揺したとも伝えられ、辞任観測が流れた。ホワイトハウスがコーン氏は同職にとどまるとして噂を否定したものの、政権の混乱で税制改革などの経済政策への期待が一段と後退する事態は免れない。

 17日の米国株式市場でダウ平均が274ドル安と大きく下落したのはこれが要因となった。18日のダウも続落し76ドル安に。米株は3指数が過去最高値を更新するなど米国株式市場は高値圏で推移していただけに、さらに大きな調整が入る可能性もある。  

 バルセロナでの車両が群衆に突っ込むテロ事件を受けての不安も強まり、リスク回避の動きも手伝い17日の米国債は買われ、長期金利は低下した。しかし、トランプ大統領は、側近であるバノン首席戦略官・上級顧問を更迭すると発表、政権混迷の戦犯とされてきたバノン氏を排除することで事態打開を図る姿勢をみせた。これを受けて18日の米国債は買い戻されたが、これで事態が収束するとも思えない。

 さすがに今回の事態は今後のトランプ政権の行方を揺るが可能性が高い。全米各地で反人種差別集会も開かれているようである。トランプ政権の支持率がさらに低下するだけでなく、議会などとの対立色を強め、政策運営がさらに立ち行かなくなる懸念が強まる。


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by nihonkokusai | 2017-08-20 12:32 | 国際情勢 | Comments(0)

北朝鮮リスクに東京市場も動揺

 米紙ワシントン・ポスト(電子版)は8日、北朝鮮が弾道ミサイルに搭載可能な小型核弾頭の生産に成功したとの機密分析を米国防情報局(DIA)が7月にまとめたと報じた。北朝鮮が保有する核弾頭は従来の推定よりも多い最大60発と見積もった(日経新聞電子版)。

 これに対し米国のトランプ大統領は8日、北朝鮮は米国への脅迫行為を続けるべきではないと明言し、さもなければ「世界が未だ目にしたことのないような炎と怒りに直面するだろう」と述べた(ロイター)。

 北朝鮮の朝鮮人民軍(北朝鮮軍)戦略軍の報道官は8日、米領グアム島の軍事基地を弾道ミサイルで包囲射撃する作戦を計画しているとする声明を発表した。

 ここにきて膠着感が強まっていた東京市場ではあるが、北朝鮮による地政学的リスクがこれら一連の報道であらためてクローズアップされてきた。

 北朝鮮の地政学的リスクが意識され、9日に外為市場でドル円は再び110円を割り込んできた。日経平均は一時、300円以上も下落した。北朝鮮のICBMがグアムの米軍基地を狙っており、そこには核弾頭の搭載も可能となれば、地理的にさらに近い日本への影響も当然出てくる。それが何故、円買いとなるのかは条件反射的な動きとしか言いようがない。しかし、このリスクが現実味を帯びてくれば、いずれ円売り要因に変化することもありうるか。

 果たして北朝鮮は何をしたいのか、これに対して米国がどのような対処をしてくるのかも読めない。いまのところ軍事衝突の可能性はそれほどは高くないとの認識が、円売りではなく円買いの動きが示しているのかもしれない。ただし、外為市場では韓国ウォンなど中心にアジアの通貨は下落した。

 ただし、公約の経済政策は打てず、支持率の低下しているトランプ政権が、情勢打開を狙って、軍事行動によって国民の目を経済対策からそらせるといった手段を取らないとも限らない。しかし、そのためには政権内の結束も必要であろうが、それもおぼつかないことも確かである。

 いまのところ、北朝鮮と米国の威嚇の応酬がどのような結果を招くのかは読みづらい。日本でも核シェルターが売れているようだが、米国がリスクを冒してまで軍事行動に踏み切れるのかも疑問ではある。米政権当局者からトランプ大統領の北朝鮮に対する発言について、計画された発言ではなく、自発的なものだったとの発言も聞こえた。それでも北朝鮮からの度重なる挑発行動に対して、何らかの行動をトランプ大統領が指示することは可能性としてありうる。

 あらたな地政学的リスクの先が読めない。それだけにブラックスワン的なリスクも含むことになる。日本のお盆の時期は、年末年始と同様に国内投資家の参加が少ないだけに、海外投資家による仕掛け的な動きが強まることがある。今回も不透明な材料が出てきたことで、膠着感を強めている東京市場がさらなる動揺を見せる可能性もあり、注意したい。


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by nihonkokusai | 2017-08-10 10:03 | 国際情勢 | Comments(0)

トランプ政権のレームダック化を市場は織り込み済みか

米上院共和党による医療保険制度改革(オバマケア)改廃への取り組みが頓挫した。オバマケア)改廃に対し民主党は反対し、共和党は上院(定数100)で52議席を占めるが2人を超える反対者が出たことで賛成票は過半数に届かず、早期採決を事実上断念することになった。上院がオバマケア代替法案の採決を断念するのは6月に続いて2回目となる。

上院共和トップのマコネル院内総務はオバマケアの廃止法案の採決をまず優先し、2年程度かけて代替制度を検討しようと提案した。しかし、医療保険の代替制度がないままオバマケアを廃止すれば、多くの米国民が健康保険を失うことが予想され、大きな混乱を招きかねない。

トランプ大統領はオバマケアの改廃を大統領選での公約に掲げていた。しかし、可決に必要な過半数を与党共和党が確保できないことが確実となり、少なくとも早期成立は困難となる。オバマケアを見直して、減税の財源に充てようと目論んでいたこともあり、オバマケアの改廃を軸に進められていたトランプ政権の政策の行方がさらに不透明感を強めることになる。

ただし、市場はすでにトランプ大統領の政策に過大な期待は持っていないように思われる。18日の米国株式市場でダウは下落したが、アップルなど主力IT株が買われ、ナスダックは上昇し最高値を更新している。S&P500種株価指数も取引終盤にプラス圏に転じて、こちらも過去最高値を更新した。オバマケア改廃への取り組みの頓挫はそれほど売り材料視されていない。

それに対して米債は買い進まれていたが、これはトランプ政権の経済政策への期待の反動というよりも、年内あと一回とされる利上げに不透明感が出てきていることにあるのではなかろうか。

外為市場ではドルがユーロに対して1年2か月ぶり安値を付けた下落した。米長期金利の低下に加え、ECBが今後緩和バイアスを解除してくると予想されることもあり、対ユーロでのドル安が進行した面もある。ただし、ドル円も一時111円69銭と3週間ぶりの安値を付けるなどしており、トランプ政権の政策不透明感が外為市場では少なからず影響していた可能性はある。

いずれにしてもトランプ政権のレームダック化は、市場ではすでにかなり織り込まれていることが予想される。トランプ政権に対して過度な期待はすでになく、むしろ景気の足を引っ張るようなことがなければそれで良しとの認識も強いのではなかろうか。



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by nihonkokusai | 2017-07-20 10:13 | 国際情勢 | Comments(0)

メンバーが大きく入れ替わったG7サミット

イタリアのタオルミーナで26日から27日にかけて先進7か国(G7)首脳会議(サミット)が開催されている。

石油ショックで世界経済が混乱した1973年にその対応を巡って日本、米国、英国、フランス、西ドイツの各財務相が集まった。これがG5の枠組みの始まりとなった。1975年にはこのG5にイタリアが加わっての首脳会議(サミット)がスタートする。1976年にカナダが、1998年にロシアが加わりG8となった。しかしクリミア侵攻をしたロシアが排除されて、その後はG7に戻っている。

今回参加するのは日本、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダの首相となる。このうち前回の伊勢志摩サミットからは今回の主催国のイタリアと、米国、英国、フランスの首脳が変わった。つまりドイツのメルケル首相と日本の安倍首相、カナダのトルドー首相以外の4首脳が初参加となる。

昨年6月に英国は国民投票の結果、EU離脱が決定されてキャメロン英首相は辞意を表明し、保守党党首選挙の結果メイ首相が就任した。11月の米国の大統領選挙では予想外のトランプ氏の勝利となった。12月のイタリアの改憲を問う国民投票で大敗したレンツィ首相は辞任し、次期首相にジェンティローニ外相が指名された。注目の今年4月、5月に実施されたフランス大統領選挙では親EU派のマクロン氏が勝利した。

反グローバル派筆頭ともいえる米国のトランプ大統領ではあるが、形骸化が指摘されるG7の改革を提起するとの観測も出ている。G7の会議そのものにも懐疑的になる懸念がある。それに対してユーロ離脱を決定した英国のメイ首相がどう対応するのか。ドイツのメルケル首相とトランプ大統領の対立も予想され、ぎくしゃくしそうな首脳同士の橋渡しとして期待されているのがG7のベテランともいえる日本の安倍首相のようである。フランスのマクロン大統領にとってはいきなりの本格デビュー戦となるが、こちらの対応も気になるところ。

いずれにしても昨年の伊勢志摩サミットから世界の政治情勢は大きく変化してきている。中東や北朝鮮などの地政学的リスクも懸念材料となる。世界経済そのものはFRBが正常化路線を進められるほどには回復基調となっている。しかし、経済はさておき政治リスクが増加していることは確かであり、今回のG7はその政治リスクが試される場となりそうである。これまでのG7同士の関係とは大きく変化してくることも予想され、タオルミーナのG7は要注目となりそうである。


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by nihonkokusai | 2017-05-27 10:42 | 国際情勢 | Comments(0)

注目される今週末イタリアで開催のG7、その歴史を振り返る

イタリアのタオルミナで26日から27日にかけて先進7か国(G7)首脳会議(サミット)が開催される。前回の伊勢志摩サミットからは今回の主催国のイタリアと、米国、英国、フランスの首脳が変わった。つまりドイツのメルケル首相と日本の安倍首相、カナダのトルドー首相以外の4首脳が初参加となる。

石油ショックによる世界経済の混乱を受けて1973年に、その対応を巡って日本、米国、英国、フランス、西ドイツの各財務相が集まった。これが先進5か国蔵相・中央銀行総裁会議(G5)と呼ばれるG(Group)がつく国際会議のスタートとなった。

先進5か国蔵相・中央銀行総裁会議 (G5) で最も有名となったのが、1985年9月22日にG5による為替レート安定化に関する合意、通称プラザ合意であろう。このG5は秘密裏に行われ、当時の蔵相の竹下登は、千葉にゴルフに出かけ1ラウンド、プレーした後、成田空港に向かった。澄田日銀総裁は風邪を理由に予定をキャンセルしマスク姿で駆けつけたそうである。当時のG5は存在自体も認められていなかったようだが、プラザ合意は市場に影響を及ぼすためにあえてG5の存在を明かにさせたとされる。

最初の主要国首脳会議(サミット)は、1975年の日、米、英、仏、西独、伊の6か国によるフランスでのランブイエサミットであった。翌1976年にカナダが加わりG7となる。1998年にロシアが加わりG8となった。

財務相・中央銀行総裁会議については1986年の東京サミットで先進7か国財務相・中央銀行総裁会議、つまりG7がスタートする。1999年にはG7にロシア、中国、韓国、インド、インドネシア、オーストラリア、トルコ、サウジアラビア、南アフリカ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、EU(欧州連合)を加えた財務相・中央銀行総裁会議、G20がスタートした。

2008年にはリーマン・ショックを受けてG20での首脳会議がワシントンで開かれ、サミットの20か国版がスタートする。2014年にはクリミア侵攻をしたロシアがG8から排除されて再びG7に戻る。

かなりややっこしいが首脳会議にはG7とG20があり毎年開催されている。財務相・中央銀行総裁会議にもG7とG20が存在する。首脳会議には首脳のほか財務大臣及び外務大臣などが出席する。1998年からは財務大臣会合及び外務大臣会合などが首脳会合の前に別途開催されるようになった。

世界経済及び為替に関する議論をする財務相・中央銀行総裁会議にはユーログループに属する3か国(独、仏、伊)の中央銀行総裁の代わりに欧州中央銀行(ECB)総裁が出席している。また、欧州委員会代表、EU議長国、IMF専務理事、世界銀行総裁なども参加している。


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by nihonkokusai | 2017-05-25 09:42 | 国際情勢 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


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