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カテゴリ:景気物価動向( 274 )

FRBの物価目標のPCEデフレータ、5月はプラス1.4%

6月30日に発表された5月の米個人消費支出(PCE)コアデフレータは、前年比プラス1.4%と5月のブラス1.5%から縮小した。これによる米債への影響は限られた。FRBのイエレン議長がここにきての物価の低迷は一時的との発言も影響していたためとみられる。

FRBの物価目標(正確には目安か)は、市場が注目しているPCEの食料とエネルギーを除いたコアデフレータではなく、総合指数の方である。ただし、こちらも5月分は前年比プラス1.4%となっていた。今年に入ってからの総合とコアのPCEデータは下記の通り(1月から5月分)。

PCE               1.9 2.1 1.8 1.7 1.4

PCE, excluding food and energy 1.8 1.8 1.6 1.5 1.4

米商務省が発表している個人所得(Personal income)、個人消費支出(Personal consumption expenditures)、PCEデフレータ(Personal Consumption Expenditure Deflator)についてもう少し説明を加えてみたい。

これは米国の個人の所得と消費について調査した指標であるが、このうち個人所得とは、社会保険料を控除し実際に個人が受け取った所得のこととなる。この個人所得は消費動向を決定付ける大きな要因ともみられている。賃金給与・賃貸・利子配当等といった所得の構成項目や、可処分所得・貯蓄率なども同時に発表される。

個人消費支出(PCE)とは1か月間に実際に米国の個人が消費支出した金額について集計したものであり、米国のGDPの7割を占める個人消費の動向は米経済にも大きな影響を与えることで注目されている。特に名目個人消費支出の前月比などが注目される。

名目個人消費支出(名目PCE)を実質個人消費支出(実質PCE)で割ったものが、個人消費支出(PCE)物価指数もしくはPCEデフレータと呼ばれるものであり、これも同時に発表される。PCEデフレータ変化率がプラスであれば物価上昇、マイナスであれば物価下落と捉える。

特に価格変動が激しいエネルギーと食品を除いたものを「コアPCEデフレータ」と呼び、FRBが物価指標の中で最も重要視している指標のひとつとなっている。その理由としては消費者物価指数に比べて、バイアスが生じにくいためといわれている。 FRBはコアPCEでみた物価見通しも公表している。

実は日銀の物価目標も当初は消費者物価指数の総合の前年比での2%であったが、展望レポートでの予測は消費者物価指数(除く生鮮)、つまり日本版コア指数で行っていた。2016年9月の長短金利操作付き量的・質的金融緩和を決定、物価目標を総合からコアに置き換えて統一させている。

ということで今後のPCEデフレータがイエレン議長の言うように一時的なものなのかによっては今後の利上げスケジュールに影響を与える可能性もある。ただし、その数値が常に2%を超えていなければ利上げは無理というのではなく、2%近くにいれば利上げの支障とはならないとみられる。


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by nihonkokusai | 2017-07-04 09:58 | 景気物価動向 | Comments(0)

日銀の物価目標は2%で本当に良いのか

26日に「金融政策決定会合における主な意見(2017年6月15、16日開催分)」が公表された。このなかで「金融政策運営に関する意見」について確認してみたい。

「物価の伸びが鈍い背景には、人々の将来不安や適合的期待形成などやや構造的な要因もある。ごく短期間で「物価安定の目標」を達成することは容易でなく」(主に意見より)

2013年4月に「量的・質的緩和」の導入を決定した際には、日銀は「消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する」と明確に表明していた。それが2年でできなかったことを日銀自ら証明した格好だが、その言い訳として上記の文言が果たしてふさわしいものといえるであろうか。言い訳にしか聞こえないのだが。

「2%の「物価安定の目標」の達成には未だ距離があるが、「量的・質的金融緩和」は、雇用の改善、消費の継続的な増加、財政状況の改善という成果を上げている。」(主に意見より)

これについては2013年4月に黒田総裁が波及経路として次ぎのような説明がなされていた。

「物価安定目標の早期実現を約束し、次元の違う金融緩和を継続することにより、市場や経済主体の期待を抜本的に転換する効果が考えられます。先ほどお話ししたデフレ期待の払拭です。予想物価上昇率が上昇すれば、現実の物価に影響を与えるだけでなく、実質金利の低下などを通じて民間需要を刺激することも期待できます」(2013年4月12日の黒田日銀総裁の講演より)

予想物価上昇率は上昇せず、現実の物価に影響を与えられていないにも関わらず、どのような経路によって「雇用の改善、消費の継続的な増加、財政状況の改善」という結果が出ているのか。たしかに実質金利の低下による効果がなかったとはいえないものの、金融政策以外の要因、たとえば世界的なリスクの後退などによる海外初の要因が大きく影響していたとはいえまいか。

「2%「物価安定の目標」は、消費者物価指数の上方バイアス、金融政策の対応余地、グローバル・スタンダードの観点から堅持することが重要である」(主に意見より)

日米の消費者物価指数の過去推移などみてみると、基準となりそうな物価水準は明確に異なっている。2006年の量的緩和解除の条件に消費者物価指数のゼロ近傍というのがあったが、それは日本特有の消費者物価指数の水準を意識したものであったはず。グローバル・スタンダードを持ち込む必要があったのかも再確認する必要はあるのではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2017-06-27 10:02 | 景気物価動向 | Comments(0)

原油先物価格が再び下落傾向に、物価への影響も注意

21日の原油先物市場では、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)8月物が一時、42.05ドルと期近物として2016年8月11日以来ほぼ10か月ぶりの安値をつけた。今年1月に55ドル台をつけていたが、50ドル台で次第に上値が重くなり、米在庫増が嫌気されて3月に50ドルを割り込んだ。

その後いったん買い戻されて53ドル台まで回復。しかし、米国内での増産が続いていることなどを嫌気して4月に再び50ドル割れとなり、主要産油国が減産しても需給改善につながりにくいとの見方から5月5日に43ドル台に下落した。

そこから再び切り返したが、52ドルあたりまで。5月25日のOPECと非加盟の主要産油国がOPEC総会後の閣僚会合において協調減産を2018年3月まで9か月間延長することで合意したにも関わらず、利益確定売りに押され50ドル割れとなった。そこからダウントレンド入りし5月5日の直近安値を下回ってきた。

ここにきての原油先物の下落には、これといって材料が出ているわけではない。今回の下げのきっかけが、予想通りの減産合意によるものであったことをみても、原油先物の上値の重さが伺える。これには米国の増産が続いていることや、ナイジェリアやリビアなどで供給拡大の動きなどもあり、根強い供給過剰懸念が原油先物の下落の背景にあるとみられる。

今回は中国など新興国の景気動向などを背景とした原油先物の下げでなく、需給そのものが反映された格好の下落であるため、急落は考えづらい反面、大きな戻りも期待しづらい。次の下値のポイントは昨年8月1日につけた39ドル台、つまり40ドルを割り込むかどうか焦点となりそうである。

原油価格の動向は直接、物価に反映されることから、日銀にとってはさらに物価目標が遠のくことも予想され、FRBの今後の利上げペースにも影響してくる可能性がある。


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by nihonkokusai | 2017-06-23 09:56 | 景気物価動向 | Comments(0)

FRBが物価目標としているPCEデフレーターが4年10か月ぶりに2%の目標越え

31日に発表された2月の個人消費支出(PCE)で、PCEデフレーターは前年同月比2.1%の上昇となり、上昇率はFRBの目標である2%を4年10か月ぶりに上回った。ただし、エネルギー・食品を除くコア指数は1.8%上昇となり、前月と変わらずとなった。

ここであらためてFRBが物価目標としているはPCEデフレーターとは何かを確認してみたい。

2012年1月25日のFOMCの終了後に発表された「長期目標と政策戦略」という声明文において、FRBは物価に対して特定の長期的な目標(ゴール)を置くこととし、それをPCEの物価指数(PCEデフレーター)の総合指数の2%とした。 

米商務省が発表している個人所得(Personal income)、個人消費支出(Personal consumption expenditures)、PCEデフレーター(Personal Consumption Expenditure Deflator)は米国の経済指標の中にあって、注目されるもののひとつである。

これは米国の個人の所得と消費について調査した指標であるが、このうち個人所得とは、社会保険料を控除し実際に個人が受け取った所得のこととなる。この個人所得は消費動向を決定付ける大きな要因ともみられている。賃金給与・賃貸・利子配当等といった所得の構成項目や、可処分所得・貯蓄率なども同時に発表される。

個人消費支出(PCE)とは1か月間に実際に米国の個人が消費支出した金額について集計したものであり、米国のGDPの7割を占める個人消費の動向は米経済にも大きな影響を与えることで注目されている。特に名目個人消費支出の前月比などが注目される。

名目個人消費支出(名目PCE)を実質個人消費支出(実質PCE)で割ったものが、個人消費支出(PCE)物価指数もしくはPCEデフレーターと呼ばれるものであり、これも同時に発表される。PCEデフレーター変化率がプラスであれば物価上昇、マイナスであれば物価下落と捉える。

特に価格変動が激しいエネルギーと食品を除いたものを「コアPCEデフレーター」と呼び、FRBが物価指標の中で最も重要視している指標のひとつとなっている。その理由としては消費者物価指数に比べて、バイアスが生じにくいためとされている。

しかし、FRBが目標とするのはコア指数ではなく総合指数である。これは足下物価動向を見るにはコア指数が良いが、長期的に見ると総合指数が適切と判断したものとされている。ただし、過去の事例をみるとFRBはコアPCEデフレーターが2%を越えてくると段階的に利上げを行っていた。

参考までに日銀も2013年1月に2%の物価目標の導入を決定したが、この場合の物価目標は全国消費者物価指数の総合指数の前年同月比であった。ところが2016年9月の金融政策決定会合で長短金利操作付き量的・質的緩和を決定した際、この目標とする物価を総合から生鮮食料品を除くコア指数に置き換えている。


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by nihonkokusai | 2017-04-04 09:47 | 景気物価動向 | Comments(0)

日本の消費者物価指数(除く生鮮)がプラスに転じ、金利は上がるのか

 3月3日に総務省が発表した1月の全国消費者物価指数は、日銀の物価目標である生鮮食品を除く総合で、前年同月比0.1%の上昇となった。プラスとなったのは2015年12月以来、13か月ぶりとなる。総合は前年同月比プラス0.4%、生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコア)は同プラス0.2%となった。

 ガソリンの前年同月比がプラスに転じたほか、灯油、電気代などの下落幅が縮小するなど、エネルギー価格の回復が押し上げた格好となった。今後はコアCPIで前年比プラス0.5%あたりまでの上昇が予想されている。

 EU統計局が2日に発表した2月のユーロ圏消費者物価指数速報値は前年同月比2.0%の上昇となり、4年ぶりの高水準を記録した。2%をやや下回る水準というECBの中期目標も上回ったことになる(ロイター)。こちらもエネルギー価格の上昇が寄与している。

 米国の1月の消費者物価指数もガソリン価格の上昇などを受けて、総合CPIは前年比では2.5%上昇、コアCPIは前年比2.3%の上昇となっていた。FRBの物価目標となっているPCEデフレーターの前年同月比の伸び率は1.9%と前月から0.3ポイント高まった。

 FRBはこの物価上昇も背景に今月14、15日のFOMCでの利上げを検討するとみられている。また、ECBにとっては今月のオランダの総選挙や4、5月のフランス大統領選挙という不透明要因を抱えているものの、物価面から見る限り、「超」がつく金融緩和政策の縮小も検討する必要も出てこよう。

 そして日銀であるが、目標とするコアCPIがプラスに転じたとはいえ、まだ前年比プラス0.1%に過ぎない。今後もプラス0.5%あたりまでの上昇予想はあっても、2%の目標達成にはほど遠い状況にある。このため現在の長短金利操作付き量的・質的緩和を継続していくことが予想される。

 しかし、米国が正常化に向けて政策を進め、欧州も政治が落ち着けばいずれ超緩和策からの出口を探る必要が出てくる。イングランド銀行も近いうちに利上げに踏み切るべきという意見が、MPCメンバーから出ている。欧米ではこれにより長期金利についても再び上昇圧力が加わる可能性もある。

 日本でも物価がプラスに転じたこともあり、これによりより長いところの金利にもじわりじわりと上昇圧力が加わることも予想される。果たして短い金利のマイナスをいつまで続けられるのか、長期金利の目標をゼロ%のまま維持することができるのか。今後はこのコントロールがより困難になってくることも予想されるのである。


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by nihonkokusai | 2017-03-04 07:22 | 景気物価動向 | Comments(0)

改善を示す日銀短観と株価の関係

 日銀が14日発表した12月の短観では、ベンチマークとなっている大企業製造業DIはプラス10となった。前回調査のプラス6から4ポイントの改善となった。改善は6四半期ぶりとなる。

 しかし、3か月先の業況判断DIは大企業製造業がプラス8と慎重な見方となった。事業計画の前提となる想定為替レートが大企業製造業で2016年度が104円90銭と前回の107円92銭よりも円高ドル安方向に修正されたことが影響した。

 大企業製造業DIは日経平均のトレンド変化と歩調を合わせることが多い。今回の6四半期ぶりの改善は日経平均のトレンド変化を裏付けるものとなるのではないかと考えられる。

 今回の短観の回答期間は11月14日~12月13日で、回答基準日は11月28日だった。つまり11月8日の米大統領選挙でのトランプ氏の勝利とその後のトランプ相場も確認したものではあった。しかし、為替についてはかなり慎重な見方をしている。すでに足元でドル円は117円台をつけるなどしており、3か月先については想定よりも改善してくる可能性がある。

 業況判断DIについては大企業ばかりでなく、中堅、中小企業も改善を示しており、非製造業を含む全体でも2ポイントの改善となった。

 ただし、2016年度の設備投資計画は大企業全産業(除くソフトウェア投資額)が前年度比5.5%増と9月調査の6.3%増から下方修正された。

 このあたりはやや気掛かりながらも、今後は円安なども背景に今後は想定以上の改善が見込まれる可能性がある。業種別では自動車や電気機械などが改善し、これらは為替の影響を受けやすい。原油価格の底打ちもあり、石油・石炭製品や非鉄金属が大幅に改善している点も注意したい。

 もちろんトランプ相場の継続性に疑問は残る面もあるが、企業のマインドも少なからず変化している兆しはある。今回の株高の背景は米国発のように見えるが、国内の実態経済も改善をみせており、それを背景にトランプ旋風によってさらに株価が押し上げられている、そのような解釈も可能なのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2016-12-15 09:47 | 景気物価動向 | Comments(0)

世界的なデフレ圧力の後退を予感させるトランプ氏の登場

 米大統領選挙でのトランプ氏の勝利は当初、金融市場では危機感を持って迎えられた。それが急速に期待感に変化したところが面白い。日経平均株価の日足チャートなどを確認するとわかるが、反発トレンドがいったんトランプ氏の登場で崩れかかっていたものが、再び上昇トレンドとなった。そもそも何かのきっかけで株高、ドル高の動きが生じやすい地合であったといえる。

 ドル円の上昇ピッチが速いこともあり、急激な円安が進行したかに思えるが、水準からすれば今年2月につけた120円台にすら戻っていない。今年初めからの中国など新興国の景気減速と原油価格の下落で、いわゆるリスク回避の動きが金融市場で急速に強まった。これを受けて日銀は1月に慌ててマイナス金利政策を講じることとなる。

 このリスク回避の動きは、英国のEU離脱という新たな要因を受けてからピークアウトすることになる。トランプ氏の勝利もそのリスク回避の動きを強めるとの観測もあったが、むしろリスクオフではなくリスクオン、つまりリスク回避の反動を加速させる要因となった。

 これは表面上はトランプ氏の経済政策などへの期待がある。しかし実際に大統領選挙の時の発言内容をすべて実行に移せるかは疑問である。それでも大きな変化が生じるであろうことも確かである。それを最も敏感に反映したのが米長期金利の上昇かもしれない。

 英国のEU離脱あたりまで、世界的なリスクとなる要因が次々と出てきたことや、原油価格の下落なども背景に、物価は上がりにくい状況が日米欧の先進国で継続していた。日本のデフレ病が欧米にも拡がったとの見方も出ていた。日欧の中央銀行が非伝統的な金融政策をこれでもかと続けていたことも、日米欧の長期金利を押さえつけた。

 ところがトランプ氏の登場はこういった世界的なデフレ圧力の後退を予感させることとなる。ここには原油価格の底打ち感などもあった。米国の雇用情勢をみてもかなり景気の改善が伺えるところに、日米欧の金融緩和もあってのいわゆる「高圧経済」と呼ばれるような環境となりつつある。

 そこに米国が積極的な財政政策を行うとの期待が加わり、インフレ圧力の強まり、さらにFRBの正常化が急がれる可能性が意識され、財政悪化懸念も加わっての米長期金利の上昇となった。これが日欧の長期金利にも刺激を与えた。

 このまま世界的なリスク回避の調整が起きるとなれば、異常とされる日米欧の金融政策にも当然変化が出てしかるべきである。つまり積極的な金融緩和によって支えられていた面が強かった新興国の株価や通貨がピークアウトすることとなる。トルコ・リラとインド・ルピーは対ドルでともに過去最安値を更新した。

 トランプ氏の登場は結果として金融市場にとっては良いニュースとして捉えられたが、事前に言われていたような米国の保護主義に傾斜する懸念は当然残る。これについてはあるエコノミストからこれもデフレ解消要因となりうるとの指摘があった。つまり、これまでの各国の努力が積み重ねてきたグローバル化の動きの流れが変わることとなる。グローバル化は関税障壁などを取り払うことである意味、デフレ要因となっていた。しかし、その動きが反対方向に向かうとなれば、それは結果としてデフレ解消要因ともなる。

 保護主義が台頭しているのは米国だけではない。世界的な流れでもある。欧州でも12月のイタリア国民投票や、来年のフランスやドイツの選挙の結果次第でそれが強まる可能性もある。

 個人的にはトランプ氏はあまり好きではないし、怖さも感じる。保護主義の流れは大戦前を思い起こさせる。それでも来年以降、世界の政治情勢が大きく変わってくることは避けられない。結果としては世界的なデフレ化からの脱却の流れになる可能性があり、それは少なからず日本にも影響してくることが予想されるのである。

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by nihonkokusai | 2016-11-26 09:42 | 景気物価動向 | Comments(0)

日本の物価を左右する原油価格の行方

 石油輸出国機構(OPEC)は30日の総会でリビアとナイジェリアを除く全加盟国が原油生産量を4.0~4.5%減らすアルジェリアの提案について協議する見通しとなっている。この総会で8年ぶりとなる減産合意が可能なのかが焦点となっている。

 いまのところ、協議ではイラン、イラク、インドネシアが難色を示していると指摘されている。実際に今月22日の専門家会合ではイランとイラクが減産に難色を示し、供給制限の詳細がまとまらなかった。

 ところが23日にイラクのアバディ首相は「イラクは価格安定のため減産する」と表明し、OPECの減産に参加する意向を示した。合意実行は難しいとされてきたが、合意の可能性も出てきた。

 主要産油国でもあるロシアのプーチン大統領は今月、凍結の準備は整っているとの認識を示したものの、増産凍結をどのように行うかについて決めかねているとの観測もある。

 このように30日に減産合意が可能なのかどうかは、依然として不透明である。しかし減産合意となれば、原油価格があらためて上昇してくる可能性がある。

 原油価格についてはWTI先物がいわゆるベンチマークとなっている。WTIは今年に入ってからの中国など新興国の経済成長の鈍化などを嫌気して、一時30ドル割れまで下落した。ここでいったん底打ちとなり、50ドル台を回復した。しかしここから上が重くなり、ここにきて50ドル近辺での推移が続いている。

 30日のOPEC総会で減産合意となればWTIはもみあいから脱し、トランプラリーとなっている金融市場の動きと相まって、60ドルあたりまで回復する可能性はある。合意とならずとも、米国経済成長の期待などから大きく下がることも考えづらい。50ドル近辺でのもみあいが継続すると予想される。

 いずれにしても原油価格の下落傾向は止まったとみて良いかと思われる。どこまで回復するのかは不透明ながら、これは原油価格の動向に影響を受けやすい日本の物価に対して下方圧力の後退を意味しよう。

 外為市場では円安が進行し輸入物価の上昇による物価への上昇鬱力も加わり、マイナスに落ち込んでいる日本の物価は(10月のコア全国消費者物価指数は前年比マイナス0.4%)今後次第にプラス圏に転じてくることが予想される。

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by nihonkokusai | 2016-11-25 09:41 | 景気物価動向 | Comments(0)

消費増税と個人消費と物価

 日本のGDPの約6割を占める個人消費に関して日銀は新たに「消費活動指数」という指数を作成し公表を始めた。消費活動指数は、財とサービスに関する各種の販売・供給統計を基礎統計とし、月次のような短期的な消費活動を把握することが可能となり、速報性も有していると日銀は解説している。

 この日銀の消費活動指数は消費活動指数は基本的には、販売・供給統計である商業動態統計(財)や第三次産業活動指数(サービス)に含まれる個別の統計系列に加え一部の業界統計を統合して作成したそうである。名目値と実質値、旅行収支を調整したものと調整していないものなど複数の指数が存在しているが、ベンチマークとなっているのが「実質消費活動指数(旅行収支調整済)のようである。

 個人消費に関しては総務省統計局が行っている家計調査によるデータが毎月発表されているが、調査対象が限られることでそのデータでどこまで個人消費の動向を的確に示されるのか疑問が出ていた。このため日銀のこの新たなデータは個人消費の動向をみる上で参考になるものと期待される。

 ただし、日銀がなぜこのタイミングで新たな指数を発表したのか。これはなかなか物価目標が達成できないため、その理由を示すものと用意したのではないかとの見方もある。物価の新コアコア指数はまさにそのような指数に思えたが、その隠れた目的はさておいて、実際の消費活動指数とコアCPIの動向をグラフで重ね合わせて消費とそれによる物価への影響を見てみた。

 たしかに大きなトレンドとしては似通ったかたちにはなっている。特に2014年4月の消費増税を期に消費も物価も落ち込んでいることが読み取れる。ただし、これで消費増税によって物価の上昇が削がれたと結論づけることはできない。

 過去の動向をみると2008年に入ったあたりからコアCPIが大きく上昇したが、消費はこのあたりからむしろ落ち込んでいる。これはこのときの物価上昇が原油価格の大幅上昇によるもので、むしろこれが消費にブレーキを掛けていた可能性がある。

 さらに2011年3月に個人消費が大きく落ち込んでいた。これは東日本大震災による影響であろうが、コアCPIはそれにほとんど影響を受けていない。

 そして問題の2014年4月にかけての個人消費の急上昇後の急低下は、まさに消費増税前の駆け込み需要があったことを示すものと言える。それが物価にも影響を与えてコアCPIも2014年4月に前年比プラス1.5%から上昇幅を減少させることになったと言えなくもない。たしかに個人消費の低迷が直撃した部分はあろうが、個人消費そのものは大きく落ち込んだあとやや回復し、しかも水準そのものはコアCPIほどの落ち込みではない。

 コアCPIが2014年4月に向けて上昇していたのは、アベノミクスをきっかけとした急激な円安株高の影響、原油価格の高止まり、そこに消費増税に絡んだ駆け込み需要と、消費増税と円安で値上げしやすい環境となっていたことなどが要因ではなかろうか。このグラフを見る限り、コアCPIの上昇が止まったのは消費増税が主因とは言えない。参考までに、2013年4月から日銀は大量に国債を購入するになどの異次元緩和を続けているが、これが物価はさておき、個人消費にも何かしらの影響を及ぼしているようにも思えないのだが。

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by nihonkokusai | 2016-05-17 09:36 | 景気物価動向 | Comments(0)

物価の新コアコアもピークアウトする懸念

 日銀の黒田総裁は12月24日の日本経済団体連合会審議員会における講演で物価に関して次のように発言していた。

 「物価面では、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、1年を通じて概ねゼロ%程度で推移しました。もっとも、これは主としてエネルギー価格の下落によるものであり、物価の基調は着実に改善しています。生鮮食品に加えてエネルギーも除いた消費者物価をみると、2013年10月に前年比プラスに転じた後、25か月連続でプラスを続けており、直近ではプラス1.2%まで上昇しています。これほど持続的な物価上昇は、1990年代後半に日本経済がデフレに陥って以降、初めての経験です」(日銀サイトの講演要旨より)。

 25日に発表された11月の消費者物価指数は指標となっている生鮮食品を除く総合で前年同月比プラス0.1%と5か月ぶりのプラスとなった。日銀の物価目標となっている総合ではプラス0.3%、食料及びエネルギーを除く総合ではプラス0.9%、さらに日銀が算出している生鮮食品及びエネルギーを除く総合ではプラス1.2%となった。

 日銀が発表している「消費者物価の基調的な変動」のなかの生鮮食品及びエネルギーを除く総合の2000年以降のグラフをみると、確かに2013年10月に前年比プラスに転じた後に上昇を続けている。それではその上昇が継続されている理由は何であるのか。黒田総裁としては、2013年4月の日銀による量的・質的緩和の決定から半年程度の時間をおいて効果が浸透し、結果に結びついているという見方をしているのかもしれない。

 しかし、日銀の示すグラフをみるとすでにトレンドとしては2010年から上向きとなり、それがプラスに転じたのがたまたま2013年10月であったようにもみえる。今回のプラス浮上の前にプラスに転じた2007年末から2008年の状況を確認してみると、2007年2月に日銀は利上げを決定しており、仮に金融政策が物価に働きかけると仮定すると、金融引き締めにより物価がプラスに転じたように映る。

 2007年末から2008年にかけての物価上昇の最大の要因は原油高にあったはずである。2007年8月にはパリバショックも発生しており、金融市場はかなり不安定となっていたが、中国などの新興国経済の高成長を材料に原油価格が一本調子で上昇していた。これがエネルギー関連だけでなく、全体の物価を押し上げた格好となっていた。その原油価格が急落し、リーマン・ショックに代表される世界的な金融経済危機が相まって、物価が大きく落ち込むことになる。その後の欧州の信用不安もあったが、2010年頃に物価は底打ちした格好となったのである。

 物価が日銀の金融政策で動くわけではないのは上記の例からも明らかではなかろうか。日本の物価に関しては予想物価とかではなく、原油価格や為替による直接的な影響が大きいように上記グラフからも思える。そうなると原油価格はすでにWTIで30ドル台に下落しており、円安トレンドも変化しつつあるなか、黒田総裁の「消費者物価の基調的な変動」を示すという生鮮食品及びエネルギーを除く総合についても、そろそろピークアウトする可能性があるのではなかろうか。もしそうなると、異次元緩和で物価を動かそうとした試みが成功したわけではないことを改めて示すことになりはしまいか。

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by nihonkokusai | 2015-12-29 09:50 | 景気物価動向 | Comments(0)
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