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カテゴリ:国債( 830 )

2016年度の海外投資家による日本国債の買越額は最大に

4月20日に日本証券業協会は3月の公社債投資家別売買高を発表した。公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

注意、マイナスが買い越し

単位・億円

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 6603(-54、3819、1167)

地方銀行 7266(1852、4427、305)

信託銀行-160(-1773、1044、2078)

農林系金融機関-3662(-2511、239、-48)

第二地銀協加盟行 721(209、553、31)

信用金庫-378(131、514、25)

その他金融機関 2174(-260、2079、755)

生保・損保-5505(-5461、-458、-119)

投資信託 169(-153、381、517)

官公庁共済組合-261(-178、0、0)

事業法人-364(-19、-21、5)

その他法人-1213(-28、-27、-533)

外国人-17190(-4603、1222、-12886)

個人 254(-2、43、5)

その他 13781(9454、25、7387)

債券ディーラー-1256(117、-1409、88)

3月の国債の投資家別売買高をみると都銀は6603億円の売り越しとなった。2か月連続の売り越し。売りは長期主体となった。また、地銀も7266億円の売り越しとなり、こちらも長期ゾーン主体に全般に売り越しとなった。2月地銀の売越額は8042億円と比較できる1998年以降最大となったが、3月(7266億円)もそれに近い売り越しとなった。さらに「その他」が中期と超長期主体に1兆3781億円もの売り越しとなった。ゆうちょ銀行の売りであろうか。

海外投資家は中期債主体に1兆7190億円の買い越しとなっていた。ただし、海外投資家も長期ゾーンは売り越しとなっていた。2016年度全体(短期債含む)では218兆1379億円の買い越しとなり、これは比較できる1998年度以降、最大となった(日経新聞の記事より)。

3月の債券市場では米利上げ観測の強まりによる米債安から、一時調整局面となった。10年債利回りは0.1%近くまで上昇した。3月15日のFOMCでは追加利上げを賛成多数で決定した。今後の利上げペースは今回を含めて年3回とする中心シナリオを据え置いた。FRBの緩やかな利上げが意識され、米10年債利回りは前日の2.60%から2.49%に急低下し、日本の10年債利回りも0.055%あたりに低下した。

海外投資家の売買状況

月 売り越し買い越し(マイナスは買い越し)、(超長期、長期、中期)、国債売買高、うち中期

2016年 4月-36565(328、-9142、-27271)、294983、62513

5月-16775(1347、-6186、-10933)、246889、34315

6月-36565(328、-9142、-27271)、344055、65055

7月-16693(1860、-4453、-13200)、275366、61036

8月-16838(-1108、-5390、-9702)、302397、65718

9月-27674(-3320、-4283、-19310)、380542、102124

10月-5717(1051、-5636、166)、264616、62534

11月-11672(2275、-2448、-10674)、302551、48912

12月-26198(-970、2054、-26261)、317612、57609

2017年

1月-23784(-1153、-504、-19500)、294839、61994

2月-11210(-2687、3009、-10323)、292813、51127

3月-17190(-4603、1222、-12886)、312730、58810


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by nihonkokusai | 2017-04-22 10:25 | 国債 | Comments(0)

再びマイナスとなりそうな日本の長期金利

4月13日に日本国債の10年債利回りは0.005%に低下しゼロ%に接近した。10年国債の利回りは長期金利とも呼ばれる。日本の長期金利が初めてマイナスとなったのは、2016年2月9日のことであった。日銀は2016年1月29日の金融政策決定会合で「マイナス金利付き量的・質的緩和の導入」を決定した。これを受けて債券券市場では当座預金金利の一部のマイナス化によりイールドカーブの起点が引き下げられることや、超過準備に残すよりも国債保有のインセンティブも働くことになるため、国債の利回りが大きく低下してきた。その結果、マイナスに低下したのである。

その後、2016年3月に長期金利はマイナス0.100%台まで低下し、7月27日にはマイナス0.295%まで低下した。これにはヘリコプターマネーへの思惑など強まり、日銀の追加緩和期待なども影響していた。しかし、7月28日の日銀金融政策決定会合では、金融政策の強化を決定、これはETFの買入を現行の3.3兆円から6兆円とすることや、企業・金融機関の外貨資金調達環境の安定のための措置に止まり、一部期待のあったマイナス金利の深掘りや国債買入の増加などは見送られた。ここでいったん長期金利のマイナス幅は縮小することになる。8月2日には10年国債入札などをきっかけに0.100%を割り込むが、この動きには日銀の次の一手に対する思惑も働いていた。銀行などからマイナス金利の弊害が指摘されはじめていたためである。

9月21日の金融政策決定会合では、長短金利操作付き量的・質的金融緩和政策を決定した。これは長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」と物価上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで資金供給拡大を継続する「オーバーシュート型コミットメント」が柱となった。従来、日銀自らコントロールできないとしていた長期金利をコントロール下に置くことになる。これの隠れた目的はイールドカーブのスティープニングにあった。

21日に長期金利は0.005%を付け一時的にプラスに転じたがすぐにまたマイナスに戻ってしまった。それでも日銀の意図が次第に浸透するなか、超長期ゾーンの利回りが上昇し、10年債利回りもゼロ%に接近した。日本の長期金利が再びプラスに転じたのは、11月16日であり、これはトランプ大統領の誕生を受けての米長期金利の上昇も背景にあったといえる。その後、12月16日に日本の10年債利回りは0.1%をつける。市場参加者は日銀の長短金利操作の長期金利の目標値ゼロ%の範囲を意識し、これはプラスマイナス0.1%あたりとの認識を強め、これ以降はゼロ%から0.1%の間での推移となった。

今年に入り、米10年債利回りは3月につけた2.6%台でいったんピークアウトした。トランプ政権への政策実行力に疑問符が付いたことや、欧州でのフランス大統領選挙への警戒、さらにFRBの年内複数回の利上げをすでに織り込み、むしろFRBの利上げに向けた慎重姿勢も好感されて、次第に米長期金利は低下した。ここに北朝鮮を巡る地政学的リスク等も意識されて、4月13日と17日に日本の長期金利が0.005%にまで低下したのである。

日銀の国債買入での長期ゾーンの買入の減額観測もあるが、すでに長期金利が0.005%まで低下してきている以上、きっかけ次第では今後、ゼロ%やマイナスになる可能性はありうる。そのカギを握りそうなのは北朝鮮情勢や米長期金利の動向次第という面が強いと思われる。


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by nihonkokusai | 2017-04-18 09:44 | 国債 | Comments(0)

日本の投資家が2月にフランスの国債を大量売却していた

財務省の国際収支の発表には付表として対外・対内直接投資、対外・対内証券投資が発表されている。ここから日本の投資家による海外の国債の売買を確認することができる。それは「主要国・地域ソブリン債への対外証券投資」というページで数字をチェックできる。通常はあまりこのページは意識されていないかもしれないが、今年2月分にある異変が起きていた。

今年2月の主要国・地域ソブリン債への対外証券投資(速報ペース)によると、日本の投資家がフランスの国債を1兆5045億円売り越していたのである。この表には中期債と短期の数字も記載されており、これによると中期債は136億円の買い越しとなっていたため、中長期債は1兆5180億円の売り越しとなった。ブルームバーグによると、これは少なくとも2005年以来の大幅な規模となっていた。

フランスの10年債利回りの推移をみると、昨年11月の米大統領選挙を受けての米10年債利回りと連動するかのようにフランスの10年債利回りも上昇してきた。米大統領選挙前に0.5%割れとなっていたフランスの10年債利回りは、今年1月末に1%台に乗せてきた。米10年債利回りが12月のFOMCでの利上げ決定を受けていったんピークアウトしていたにもかかわらず、フランスの10年債利回りは上昇を続けた。この背景にあったのは今年4月、5月のフランス大統領選挙に向けた思惑であった。

今回のフランス大統領選挙で最も注目されているのが、極右政党、国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首である。ルペン党首はユーロ圏離脱や欧州連合(EU)離脱の国民投票実施を掲げている。英国のEU離脱や米国でのトランプ大統領の登場の流れがフランスでも強まるとなれば、このルペン党首が勢いづくことになる。その懸念でフランス国債が売られていたが、その売りには日本の投資家も参加していたのである。

ただし、フランスの10年債利回りは、その後1.10%あたりが天井となって、上昇が抑えられた格好となっている。これにはフランス大統領選挙の第一回投票でルペン氏がトップとなっても、5月の2回目の投票ではもう一人の候補(いまのところマクロン前経済相か)に敗れるとの見立てになっているためと思われる。

またFRBが年内複数回の利上げを示唆しているにも関わらず、米10年債利回りも2.6%あたりが天井となってこちらも戻りが抑えられていることも影響していよう。米仏に限らず、日本も含めて先進国の長期金利の上昇はかなり鈍い。地政学的リスクなども意識されて積極的には売り込みづらいことが影響しているようである。


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by nihonkokusai | 2017-04-16 09:55 | 国債 | Comments(0)

日本国債の基準値が決定される仕組み

 国債を売買するにあたっての基準値は日本証券業協会が発表しているもの以外に、日本相互証券が発表しているものがある。また、プライマリー・ディーラーなどはそれぞれ独自の基準値を出している。

 そもそもこういった基準値はどのように決定されているのであろうか。債券の売買は店頭取引(つまり相対)で行われている以上、個々の売買がどのレートで行われているのかはわからない(当然、守秘義務も発生する)。

 このため日本証券業協会や日本相互証券は業者(主に証券会社)に聞き取り調査をすることで、その基準値(気配)を掴んでいる。それは主に15時現在の国債の利回りや価格となる。日本相互証券などが発表している気配表に基づいて、国債のポジションを抱えている金融機関は保有評価額を算出することになる。

 それでは業者はどのようにその日のトレード(売買)の際のレートを決定しているのであろうか。まず参考にするのは、前営業日の基準値となる。前営業日から当日の朝にかけて、海外市場動向などを元におおよその相場の居所を探る。そして、債券先物の寄り付きの位置などを見て、ある程度の相場の強弱を探るとともに、当日の財務省による国債入札や日銀による国債買入といったものも考慮し、投資家の需要などを元にしてイールドカーブの状況を推測する。それに基づいて、前日の基準値からどの程度利回りが乖離しているのかを探ることとなる。

 その上で、ディーラーなりの相場観に基づいて投資家との売買を行う。そして、投資家の売買により生じたポジションの調整などのため、日本相互証券などで売り買いを行う。もちろん日本相互証券での売買はディーラーの相場観による単純売買も行われている。この日本相互証券の端末は多くの証券会社や銀行にあり、そこで出合った利回りは外部から見ることができ、今度はそれが参考データとなる。

 日本相互証券ではカレント物と呼ばれる直近入札された2年、5年、10年、20年、30年債の売買が頻繁に行われることで、今度はその水準も参考にして、投資家との売買を行うことになるのである。

 また債券相場のおおよその流れは債券先物が参考になる。現物債に比べて常に価格が変動しており、その動向をチェックすることにより、相場の流れを掴み、現物債の売買の参考にされるのである。

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by nihonkokusai | 2017-04-09 09:02 | 国債 | Comments(0)

2017年度の日本国債の発行市場はどうなっているのか

2017年度の国債発行計画は、昨年12月22日の政府による来年度予算案の閣議決定のタイミングで発表されているが、あらためて確認しておきたい。

2017年度の予算案での新規国債(建設国債と赤字国債)の発行額は34兆3698億円となり、2016年度当初予算からは622億円の減額、三次補正後では4兆6648億円の減額となる。

2017年度の国債総発行額は153兆9633億円となり、これは2016年度当初からは8兆2395億円の減額、三次補正後でみると15兆8365億円もの減額となる。減額の理由は借換債が2016年度当初から3兆354億円減額され、財投債が4兆5000億円減額されるためである。

2017年度の国債総発行額の153兆9633億円のうち入札等で発行される、いわゆるカレンダーベースの国債発行額は141兆2000億円となる。2016年度当初に比べると5兆8000億円の減額となる。2017年度の前倒債の発行限度額は56兆円(今年度の48兆円から大幅増額)となり、この分は今後の国債発行の調節を可能とするバッファーとなる。

カレンダーベースの年限別の国債発行額をみてると、40年債が2016年度当初の4000億円6回から、来年度は5000億円6回と増額される。30年債は8000億円が12回と変わらず。20年債は2016年度の1.1兆円12回から1.0兆円12回に減額、10年債は2.4兆円が12回から2.3兆円12回に減額され、5年債は今年度の2.4兆円12回が2.2兆円12回に減額され、2年債は2.3兆円12回から2.2兆円12回に減額される。1年物短期国債も都合1.2兆円減額となる。10年物物価連動国債は4000億円の減額、流動性供給入札は1.2兆円増額となる。

このように短期債から20年債に至るまで減額され、一部の増額もあり、差し引き全体では5.8兆円の減額となる。日銀の国債買入においては、減額されるゾーンを主体に減額の方向で調整を行っている。

3月22日に財務省で開催された国債市場特別参加者会合では、2017年度の国債発行に際して、リオープン方式について財務省から説明があった。10年債については2015年度から、新発債の表面利率と入札日における市場実勢の乖離がおおむね30bps以内の場合に、リオープンによる発行としているが、それが継続される。

20年債・30年債・40年債のリオープン方式及び40年債の入札方式については2016度と同様に20年債・30年債は年間4銘柄とし、40年債は年間1銘柄で利回りダッチ方式の入札とする方向のようである。

また、国債市場特別参加者の応札責任を発行予定額の5%以上に引き上げることや、第1非価格競争入札の発行限度額を現行の発行予定額の10%から同20%に拡大する案も出された。これは7月以降に発行される国債の入札分から適用される予定である。


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by nihonkokusai | 2017-04-03 14:40 | 国債 | Comments(0)

昨年末時点での日本国債の保有者

日銀は3月19日に資金循環統計(10~12月期速報値)を発表した。これによると個人の金融資産は昨年末時点で約1800兆円となり、過去最高となった。9月末時点では約1752兆円となっていた。個人の金融資産の内訳は、現金・預金が前年比1.8%増の約937兆円となった。株式等が同0.4%減の約167兆円、投資信託は0.2%増の約96兆円となっていた。昨年11月の米大統領選挙のあとの円安株高などを受け、株式のマイナス幅が縮小し、投資信託は減少から増加に転じた。

この資金循環統計を基に国債(短期債除く)の保有者別の内訳を算出してみた。

日銀の国債保有残高は370兆8253億円となり、38.7%のシェア。前期比(速報値)からは14兆544億円の増加。

保険・年金基金は236兆4668億円(24.7%)、6兆604億円減。

預金取扱機関(都銀や地銀など)で203兆5814億円(21.2%)、11兆3835億円減。

海外投資家で53兆1004億円(5.5%)、1兆9917億円減。

公的年金の49兆2160億円(5.5%)、1兆8102億円減。

家計の12兆7283億円(1.3%)、5642億円減。

その他が32兆1628億円(3.4%)、5兆2539億円減。

2016年9月末(速報値)に比べ、国債(短期債除く)の残高は約13兆円減少し、約958兆円となった。

9月末(速報値)に比べて大きく増加したのは、国債を買い入れている日銀で約14兆円の増加となった。増加は日銀だけとなり、今回は海外も減少させていた。

9月末に比べて大きく減少したのは中小企業金融機関等(ゆうちょ銀行含む)の約6.4兆円減、企業年金の1.2兆円減、国内銀行の約4.4兆円減、生命保険の約4.1兆円減などとなっていた。

日銀は昨年1月にマイナス金利政策を導入し、2月9日には10年債利回りもマイナスとなった。マイナス金利政策そのものに対して金融界からその弊害も指摘された。金融機関はこの間、マイナス金利の影響も加わって国債の保有残高を減少させた。

日銀は昨年9月の金融政策決定会合において総括的な検証を行った上で、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」と名付けられた金融政策の導入を決定した。この政策は国債のイールドカーブのスティープ化を促すためのものではあったが、10年以下の国債利回りは抑え込まれた格好となった。日銀の巨額の国債買入が続いていたこともあり、それは結局、金融機関などの保有する国債を減少させることとなった。

短期債を含めた国債全体の数字でみると残高は約1076兆円となり、日銀が約421兆円で39.1%のシェアとなっていた。そして海外勢の残高は約113兆円と短期債を含めると国債全体の10.5%のシェアとなっていた。


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by nihonkokusai | 2017-03-27 09:56 | 国債 | Comments(0)

国債市場特別参加者制度の見直しのポイント

3月22日に財務省で開催された国債市場特別参加者会合(第70回)の議事要旨が23日に公開された。このなかで国債市場特別参加者制度の見直しについて財務省からの説明があった。今回、どのような変更となるのかを知るために、そもそも国債市場特別参加者とはいかなるものであるのかを確認しておきたい。

戦後、国債発行が開始されてから国債の安定消化に大きな役割を果たしていたのが国債引受シンジケート団である。しかし、シ団制度は多くの国で行われていないことに加え10年利付国債しかカバーしていなかった。国債の発行年限の多様化などにより、シ団制度そのものの形骸化が指摘されるようになり、1998年末の資金運用部ショックと呼ばれた国債の需給悪化を背景にした債券急落をきっかけに、新たに設けられたのが国債市場懇談会である。この国債市場懇談会はあくまで財務省理財局長の勉強会との位置付けであった。これを発展させ、欧米で広く採用されているプライマリー・ディーラー制度(政府公認の国債取引業者)の仕組みを取り入れて、省令に基づく正式な制度としたのが、2004年10月から導入された国債市場特別参加者制度である。日本版プライマリー・ディーラー制度であり、その会合は国債市場特別参加者会合が正式名称であるが、PD懇(プライマリー・ディーラー懇談会)とも称されている。

プライマリー・ディーラーのプライマリーとは新規に発行されることを示す。つまりプライマリー市場が発行市場を意味し、これに対して既に発行されたものを売買するのがセカンダリー市場と呼ばれる。つまりセカンダリー市場とは債券の流通市場となる。またディーラーとは、財務省が発行する国債を自己の資金で売買することができる証券会社や銀行などを指す。

プライマリー・ディーラー制度とは、指定を受けた証券会社や銀行に対し、一定の規模の国債の入札や落札、市場の状況等の報告が義務付けられる代わりに、一定の優遇措置が認められる制度である。

国債市場特別参加者制度運営基本要領によると、国債の安定的な消化の促進並びに国債市場の流動性、効率性、競争性、透明性及び安定性の維持並びに向上等を図ることが国債市場特別参加者制度の主な目的となっている。

国債市場特別参加者、つまりプライマリー・ディーラーとなった参加者に対しては責任が求められる半面、資格も得られる。

責任としては、すべての国債の入札で、相応な価格で発行予定額の4%以上に相応する額を応札しなければならない。落札額も超長期国債・長期国債・中期国債についてそれぞれ1%以上、短期国債は0.5%以上の落札責任がある。また、国債流通市場に十分な流動性を提供することも求められている。毎週、自らのアウトライト取引(日計り売買)、債券先物取引、店頭オプション取引及び円金利スワップ取引等の取引の動向等について情報の提供が求められる。

資格については、おおよそ四半期に一度開催される国債市場特別参加者会合に参加することができる。ここで各年度の国債発行計画、各四半期の国債発行のあり方、国債に対する需要動向、国債の商品性のあり方、国債流通市場の動向等、財務省と意見交換等を行うことができる。

国債市場特別参加者は第1非価格競争入札と第2非価格競争入札に独占的に参加できることになった。第1非価格競争入札により、価格競争入札における加重平均価格で財務省が特別参加者ごとに設定する応札限度額まで応札できる。この際の発行分の限度額は、当該国債の発行予定額の10%となっている。

今回、修正されるのは「相応な価格で発行予定額の4%以上に相応する額を応札しなければならない」との応札義務の箇所で、4%を5%とする。国債市場特別参加者は、手元に残るデータでみると2012年あたりで25社あった。ところが合併などに加え、昨年の三菱東京UFJ銀行の資格返上もあって、現在21社となっている。このため21社が4%の義務だけ応札してしまうと84%となり、未達が発生する懸念が出てしまう。

米国のプライマリー・ディーラー制度では、発行予定額をプライマリー・ディーラーの社数で除した値を応札義務と定め、プライマリー・ディーラーの応札のみで発行予定額の全額をカバーする仕組みとなっている(議事要旨の財務省の説明文より)。それならば今後も国債市場特別参加者が増減する可能性もあり、米国のプライマリー・ディーラー制度の方式を取り入れても良いと思われるが、とりあえず5%として特別参加者21社の応札責任で全額をカバーできる格好とするようである。

また、第1非価格競争入札の発行限度額についても10%から20%に引き上げる。入札そのものでは平均落札価格を上回る価格で落札すると販売時に損失が出る可能性がある。それに対して、第1非価格競争入札では平均落札価格で購入できるためリスクが少なくなるという利点があり、その活用枠を拡げることになる。

これらの変更は今年7月以降に「発行」される国債の入札分から適用する予定だとか。このため、例えば6月に行われる2年債の入札では現状、発行日が翌月の7月となるため新制度が適用されることになる。



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by nihonkokusai | 2017-03-25 10:30 | 国債 | Comments(0)

国債償還月の国債の発行日を修正か

 財務省は、国債償還が多い月に発行する国債を対象に、入札から発行までの期間を短縮する検討に入ったと21日にロイターが伝えた。


 国債の決済に関しては、2012年4月23日約定分からT+2に決済を行うようになった。つまり売買約定日から起算して原則3営業日目の日に受渡し・決済を行っている。このため5年債、10年債、20年債、30年債については入札日を含めた3営業日目の日(T+2)が発行日となる。今後はT+1に向けての検討も進められている。


 ただし、3月、6月、9月、12月のいわゆる国債の償還月については、20日が発行日となっている(20日が休日の場合は翌営業日)。


 償還月の発行日が20日となっているのは、償還を迎えた国債への再投資を円滑に進めるなどの理由があった。ただし、これだと入札日から発行日までの期間が大きく空いてしまうことになる。たとえば今月で言えば、3月2日入札の10年国債の発行日は3月21日(20日が祝日のため)である。これに対して2月2日に入札された10年国債の発行日は6日である(土日の4日と5日を挟む)。


 償還月の発行日が20日となっていることで、実は日銀の国債買入にも影響が出ていた。日銀は発行されていない国債を購入することはできない。つまり発行日を過ぎないと買入対象とならないのである。償還月に際しては20日まで日銀が買入対象にできないため、国債を入札した業者は期間リスクを負うことになる。


 また、2年債については償還月等に関わらず、入札日のあった月の翌月15日が発行日となる。これは年金支払いに併せていたもののようである。


 この2年債も含め、償還月の国債の発行日も入札から2営業日後に発行している通常の月と足並みをそろえるようである(つまりT+2に統一する)。これは決済リスクの軽減や償還資金で新発債を購入する需要が薄れつつある現状を踏まえたものとされるが、日銀の国債買入への対応という側面が大きいとみられる。



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by nihonkokusai | 2017-03-23 09:33 | 国債 | Comments(0)

美味しい話は怪しい、日銀による国債の直接引受が禁じられている理由

日本では財政法という法律で、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせてはならないと定められている。つまり日銀による国債の直接引受を禁じている。

中央銀行が、いったん国債の引受などにより政府への直接の資金供与を始めてしまうと、その国の政府の財政規律を失わせ、通貨の増発に歯止めが効かなくなり、将来において悪性のインフレを招く恐れが高まる。これは過去の歴史の教訓によるものである。

中央銀行による国債引受は麻薬に例えられる。いったん踏み入れてしまうと常用することになり、元には戻れず最後に身を滅ぼすことになる。先進主要国が中央銀行による政府への信用供与を厳しく制限しているのは、こうした考え方に基づく。

中央銀行による国債引受が禁じられているのは日本だけではない。米国では連邦準備法により連邦準備銀行は国債を市場から購入する(引受は行わない)ことが定められている。また、1951年のFRBと財務省との間での合意(いわゆるアコード)により、連邦準備銀行は国債の「市中消化を助けるため」の国債買いオペは行わないことになっている。

欧州では1993年に発効した「マーストリヒト条約」およびこれに基づく「欧州中央銀行法」により、当該国が中央銀行による対政府与信を禁止する規定を置くことが、単一通貨制度と欧州中央銀行への加盟条件の一つとなっている。ドイツやフランスなどユーロ加盟国もマーストリヒト条約により、中央銀行による国債の直接引受を行うことは禁止されている。

日銀が金融政策の手段として民間から国債を買い入れて資金を供給するのであれば、それは金融緩和手段のひとつとなる。ところが財政の穴埋めを目的としてしまうと、日銀がまさに政府の打ち出の小槌となってしまう。

戦前、高橋是清蔵相による高橋財政と呼ばれた政策で、日銀による国債引受を行った際には、そのリスクも当然把握していたと思われる。しかし、いったん甘い汁を吸ってしまった政府、というよりも特に軍事費の拡大を望んでいた軍部は、この打ち出の小槌を離そうとしなかった。それにより、二・二六事件で高橋是清蔵相が暗殺され、その後の日本のハイパーインフレーションの原因となった。このため、戦後に財政法で日銀による国債引受は禁じられたのである。

ただし、金融緩和を目的とすれば日銀はいくらでも国債を買えてしまい、結果として政府の財政を助けることになる可能性がある。このため、日銀の大胆な金融緩和政策による大量の国債買入の際に、政府と日銀がこれは財政ファイナンスではなく、デフレ脱却のための金融緩和であると強調しているのである。

実際に日本政府は国債が発行しづらいような状況にはないことは確かである。さらに政府も財政再建に向けた姿勢を維持することにより、財政ファイナンスではないと認識されることにもなる。

麻生財務相は9日午後の参院財政金融委員会で、金融政策よりも財政が物価の水準を決めるとのシムズ理論については、「ヘリコプター・マネー」と指摘。「美味しい話は怪しいと思わなければいけない」とし、投資家のジョージ・ソロス氏が薦めに来たが「無責任なあなた方と異なり、私は1億2000万人の国民に責任がある」として拒否したことを明らかにした。その上で「私が大臣の間、内閣にいる間、ヘリマネ、シムズ理論は採用しない」と言い切った。(ロイター)。

ヘリコプター・マネーは財政ファイナンスということであり、この発言は当然のことではあるが、ある意味心強い発言である。


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by nihonkokusai | 2017-03-10 09:44 | 国債 | Comments(2)

美味しい話は怪しい、日銀による国債の直接引受が禁じられている理由

日本では財政法という法律で、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせてはならないと定められている。つまり日銀による国債の直接引受を禁じている。

中央銀行が、いったん国債の引受などにより政府への直接の資金供与を始めてしまうと、その国の政府の財政規律を失わせ、通貨の増発に歯止めが効かなくなり、将来において悪性のインフレを招く恐れが高まる。これは過去の歴史の教訓によるものである。

中央銀行による国債引受は麻薬に例えられる。いったん踏み入れてしまうと常用することになり、元には戻れず最後に身を滅ぼすことになる。先進主要国が中央銀行による政府への信用供与を厳しく制限しているのは、こうした考え方に基づく。

中央銀行による国債引受が禁じられているのは日本だけではない。米国では連邦準備法により連邦準備銀行は国債を市場から購入する(引受は行わない)ことが定められている。また、1951年のFRBと財務省との間での合意(いわゆるアコード)により、連邦準備銀行は国債の「市中消化を助けるため」の国債買いオペは行わないことになっている。

欧州では1993年に発効した「マーストリヒト条約」およびこれに基づく「欧州中央銀行法」により、当該国が中央銀行による対政府与信を禁止する規定を置くことが、単一通貨制度と欧州中央銀行への加盟条件の一つとなっている。ドイツやフランスなどユーロ加盟国もマーストリヒト条約により、中央銀行による国債の直接引受を行うことは禁止されている。

日銀が金融政策の手段として民間から国債を買い入れて資金を供給するのであれば、それは金融緩和手段のひとつとなる。ところが財政の穴埋めを目的としてしまうと、日銀がまさに政府の打ち出の小槌となってしまう。

戦前、高橋是清蔵相による高橋財政と呼ばれた政策で、日銀による国債引受を行った際には、そのリスクも当然把握していたと思われる。しかし、いったん甘い汁を吸ってしまった政府、というよりも特に軍事費の拡大を望んでいた軍部は、この打ち出の小槌を離そうとしなかった。それにより、二・二六事件で高橋是清蔵相が暗殺され、その後の日本のハイパーインフレーションの原因となった。このため、戦後に財政法で日銀による国債引受は禁じられたのである。

ただし、金融緩和を目的とすれば日銀はいくらでも国債を買えてしまい、結果として政府の財政を助けることになる可能性がある。このため、日銀の大胆な金融緩和政策による大量の国債買入の際に、政府と日銀がこれは財政ファイナンスではなく、デフレ脱却のための金融緩和であると強調しているのである。

実際に日本政府は国債が発行しづらいような状況にはないことは確かである。さらに政府も財政再建に向けた姿勢を維持することにより、財政ファイナンスではないと認識されることにもなる。

麻生財務相は9日午後の参院財政金融委員会で、金融政策よりも財政が物価の水準を決めるとのシムズ理論については、「ヘリコプター・マネー」と指摘。「美味しい話は怪しいと思わなければいけない」とし、投資家のジョージ・ソロス氏が薦めに来たが「無責任なあなた方と異なり、私は1億2000万人の国民に責任がある」として拒否したことを明らかにした。その上で「私が大臣の間、内閣にいる間、ヘリマネ、シムズ理論は採用しない」と言い切った。(ロイター)。

ヘリコプター・マネーは財政ファイナンスということであり、この発言は当然のことではあるが、ある意味心強い発言である。


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by nihonkokusai | 2017-03-10 09:44 | 国債 | Comments(0)
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