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カテゴリ:国債( 826 )

2017年度の日本国債の発行市場はどうなっているのか

2017年度の国債発行計画は、昨年12月22日の政府による来年度予算案の閣議決定のタイミングで発表されているが、あらためて確認しておきたい。

2017年度の予算案での新規国債(建設国債と赤字国債)の発行額は34兆3698億円となり、2016年度当初予算からは622億円の減額、三次補正後では4兆6648億円の減額となる。

2017年度の国債総発行額は153兆9633億円となり、これは2016年度当初からは8兆2395億円の減額、三次補正後でみると15兆8365億円もの減額となる。減額の理由は借換債が2016年度当初から3兆354億円減額され、財投債が4兆5000億円減額されるためである。

2017年度の国債総発行額の153兆9633億円のうち入札等で発行される、いわゆるカレンダーベースの国債発行額は141兆2000億円となる。2016年度当初に比べると5兆8000億円の減額となる。2017年度の前倒債の発行限度額は56兆円(今年度の48兆円から大幅増額)となり、この分は今後の国債発行の調節を可能とするバッファーとなる。

カレンダーベースの年限別の国債発行額をみてると、40年債が2016年度当初の4000億円6回から、来年度は5000億円6回と増額される。30年債は8000億円が12回と変わらず。20年債は2016年度の1.1兆円12回から1.0兆円12回に減額、10年債は2.4兆円が12回から2.3兆円12回に減額され、5年債は今年度の2.4兆円12回が2.2兆円12回に減額され、2年債は2.3兆円12回から2.2兆円12回に減額される。1年物短期国債も都合1.2兆円減額となる。10年物物価連動国債は4000億円の減額、流動性供給入札は1.2兆円増額となる。

このように短期債から20年債に至るまで減額され、一部の増額もあり、差し引き全体では5.8兆円の減額となる。日銀の国債買入においては、減額されるゾーンを主体に減額の方向で調整を行っている。

3月22日に財務省で開催された国債市場特別参加者会合では、2017年度の国債発行に際して、リオープン方式について財務省から説明があった。10年債については2015年度から、新発債の表面利率と入札日における市場実勢の乖離がおおむね30bps以内の場合に、リオープンによる発行としているが、それが継続される。

20年債・30年債・40年債のリオープン方式及び40年債の入札方式については2016度と同様に20年債・30年債は年間4銘柄とし、40年債は年間1銘柄で利回りダッチ方式の入札とする方向のようである。

また、国債市場特別参加者の応札責任を発行予定額の5%以上に引き上げることや、第1非価格競争入札の発行限度額を現行の発行予定額の10%から同20%に拡大する案も出された。これは7月以降に発行される国債の入札分から適用される予定である。


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by nihonkokusai | 2017-04-03 14:40 | 国債 | Comments(0)

昨年末時点での日本国債の保有者

日銀は3月19日に資金循環統計(10~12月期速報値)を発表した。これによると個人の金融資産は昨年末時点で約1800兆円となり、過去最高となった。9月末時点では約1752兆円となっていた。個人の金融資産の内訳は、現金・預金が前年比1.8%増の約937兆円となった。株式等が同0.4%減の約167兆円、投資信託は0.2%増の約96兆円となっていた。昨年11月の米大統領選挙のあとの円安株高などを受け、株式のマイナス幅が縮小し、投資信託は減少から増加に転じた。

この資金循環統計を基に国債(短期債除く)の保有者別の内訳を算出してみた。

日銀の国債保有残高は370兆8253億円となり、38.7%のシェア。前期比(速報値)からは14兆544億円の増加。

保険・年金基金は236兆4668億円(24.7%)、6兆604億円減。

預金取扱機関(都銀や地銀など)で203兆5814億円(21.2%)、11兆3835億円減。

海外投資家で53兆1004億円(5.5%)、1兆9917億円減。

公的年金の49兆2160億円(5.5%)、1兆8102億円減。

家計の12兆7283億円(1.3%)、5642億円減。

その他が32兆1628億円(3.4%)、5兆2539億円減。

2016年9月末(速報値)に比べ、国債(短期債除く)の残高は約13兆円減少し、約958兆円となった。

9月末(速報値)に比べて大きく増加したのは、国債を買い入れている日銀で約14兆円の増加となった。増加は日銀だけとなり、今回は海外も減少させていた。

9月末に比べて大きく減少したのは中小企業金融機関等(ゆうちょ銀行含む)の約6.4兆円減、企業年金の1.2兆円減、国内銀行の約4.4兆円減、生命保険の約4.1兆円減などとなっていた。

日銀は昨年1月にマイナス金利政策を導入し、2月9日には10年債利回りもマイナスとなった。マイナス金利政策そのものに対して金融界からその弊害も指摘された。金融機関はこの間、マイナス金利の影響も加わって国債の保有残高を減少させた。

日銀は昨年9月の金融政策決定会合において総括的な検証を行った上で、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」と名付けられた金融政策の導入を決定した。この政策は国債のイールドカーブのスティープ化を促すためのものではあったが、10年以下の国債利回りは抑え込まれた格好となった。日銀の巨額の国債買入が続いていたこともあり、それは結局、金融機関などの保有する国債を減少させることとなった。

短期債を含めた国債全体の数字でみると残高は約1076兆円となり、日銀が約421兆円で39.1%のシェアとなっていた。そして海外勢の残高は約113兆円と短期債を含めると国債全体の10.5%のシェアとなっていた。


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by nihonkokusai | 2017-03-27 09:56 | 国債 | Comments(0)

国債市場特別参加者制度の見直しのポイント

3月22日に財務省で開催された国債市場特別参加者会合(第70回)の議事要旨が23日に公開された。このなかで国債市場特別参加者制度の見直しについて財務省からの説明があった。今回、どのような変更となるのかを知るために、そもそも国債市場特別参加者とはいかなるものであるのかを確認しておきたい。

戦後、国債発行が開始されてから国債の安定消化に大きな役割を果たしていたのが国債引受シンジケート団である。しかし、シ団制度は多くの国で行われていないことに加え10年利付国債しかカバーしていなかった。国債の発行年限の多様化などにより、シ団制度そのものの形骸化が指摘されるようになり、1998年末の資金運用部ショックと呼ばれた国債の需給悪化を背景にした債券急落をきっかけに、新たに設けられたのが国債市場懇談会である。この国債市場懇談会はあくまで財務省理財局長の勉強会との位置付けであった。これを発展させ、欧米で広く採用されているプライマリー・ディーラー制度(政府公認の国債取引業者)の仕組みを取り入れて、省令に基づく正式な制度としたのが、2004年10月から導入された国債市場特別参加者制度である。日本版プライマリー・ディーラー制度であり、その会合は国債市場特別参加者会合が正式名称であるが、PD懇(プライマリー・ディーラー懇談会)とも称されている。

プライマリー・ディーラーのプライマリーとは新規に発行されることを示す。つまりプライマリー市場が発行市場を意味し、これに対して既に発行されたものを売買するのがセカンダリー市場と呼ばれる。つまりセカンダリー市場とは債券の流通市場となる。またディーラーとは、財務省が発行する国債を自己の資金で売買することができる証券会社や銀行などを指す。

プライマリー・ディーラー制度とは、指定を受けた証券会社や銀行に対し、一定の規模の国債の入札や落札、市場の状況等の報告が義務付けられる代わりに、一定の優遇措置が認められる制度である。

国債市場特別参加者制度運営基本要領によると、国債の安定的な消化の促進並びに国債市場の流動性、効率性、競争性、透明性及び安定性の維持並びに向上等を図ることが国債市場特別参加者制度の主な目的となっている。

国債市場特別参加者、つまりプライマリー・ディーラーとなった参加者に対しては責任が求められる半面、資格も得られる。

責任としては、すべての国債の入札で、相応な価格で発行予定額の4%以上に相応する額を応札しなければならない。落札額も超長期国債・長期国債・中期国債についてそれぞれ1%以上、短期国債は0.5%以上の落札責任がある。また、国債流通市場に十分な流動性を提供することも求められている。毎週、自らのアウトライト取引(日計り売買)、債券先物取引、店頭オプション取引及び円金利スワップ取引等の取引の動向等について情報の提供が求められる。

資格については、おおよそ四半期に一度開催される国債市場特別参加者会合に参加することができる。ここで各年度の国債発行計画、各四半期の国債発行のあり方、国債に対する需要動向、国債の商品性のあり方、国債流通市場の動向等、財務省と意見交換等を行うことができる。

国債市場特別参加者は第1非価格競争入札と第2非価格競争入札に独占的に参加できることになった。第1非価格競争入札により、価格競争入札における加重平均価格で財務省が特別参加者ごとに設定する応札限度額まで応札できる。この際の発行分の限度額は、当該国債の発行予定額の10%となっている。

今回、修正されるのは「相応な価格で発行予定額の4%以上に相応する額を応札しなければならない」との応札義務の箇所で、4%を5%とする。国債市場特別参加者は、手元に残るデータでみると2012年あたりで25社あった。ところが合併などに加え、昨年の三菱東京UFJ銀行の資格返上もあって、現在21社となっている。このため21社が4%の義務だけ応札してしまうと84%となり、未達が発生する懸念が出てしまう。

米国のプライマリー・ディーラー制度では、発行予定額をプライマリー・ディーラーの社数で除した値を応札義務と定め、プライマリー・ディーラーの応札のみで発行予定額の全額をカバーする仕組みとなっている(議事要旨の財務省の説明文より)。それならば今後も国債市場特別参加者が増減する可能性もあり、米国のプライマリー・ディーラー制度の方式を取り入れても良いと思われるが、とりあえず5%として特別参加者21社の応札責任で全額をカバーできる格好とするようである。

また、第1非価格競争入札の発行限度額についても10%から20%に引き上げる。入札そのものでは平均落札価格を上回る価格で落札すると販売時に損失が出る可能性がある。それに対して、第1非価格競争入札では平均落札価格で購入できるためリスクが少なくなるという利点があり、その活用枠を拡げることになる。

これらの変更は今年7月以降に「発行」される国債の入札分から適用する予定だとか。このため、例えば6月に行われる2年債の入札では現状、発行日が翌月の7月となるため新制度が適用されることになる。



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by nihonkokusai | 2017-03-25 10:30 | 国債 | Comments(0)

国債償還月の国債の発行日を修正か

 財務省は、国債償還が多い月に発行する国債を対象に、入札から発行までの期間を短縮する検討に入ったと21日にロイターが伝えた。


 国債の決済に関しては、2012年4月23日約定分からT+2に決済を行うようになった。つまり売買約定日から起算して原則3営業日目の日に受渡し・決済を行っている。このため5年債、10年債、20年債、30年債については入札日を含めた3営業日目の日(T+2)が発行日となる。今後はT+1に向けての検討も進められている。


 ただし、3月、6月、9月、12月のいわゆる国債の償還月については、20日が発行日となっている(20日が休日の場合は翌営業日)。


 償還月の発行日が20日となっているのは、償還を迎えた国債への再投資を円滑に進めるなどの理由があった。ただし、これだと入札日から発行日までの期間が大きく空いてしまうことになる。たとえば今月で言えば、3月2日入札の10年国債の発行日は3月21日(20日が祝日のため)である。これに対して2月2日に入札された10年国債の発行日は6日である(土日の4日と5日を挟む)。


 償還月の発行日が20日となっていることで、実は日銀の国債買入にも影響が出ていた。日銀は発行されていない国債を購入することはできない。つまり発行日を過ぎないと買入対象とならないのである。償還月に際しては20日まで日銀が買入対象にできないため、国債を入札した業者は期間リスクを負うことになる。


 また、2年債については償還月等に関わらず、入札日のあった月の翌月15日が発行日となる。これは年金支払いに併せていたもののようである。


 この2年債も含め、償還月の国債の発行日も入札から2営業日後に発行している通常の月と足並みをそろえるようである(つまりT+2に統一する)。これは決済リスクの軽減や償還資金で新発債を購入する需要が薄れつつある現状を踏まえたものとされるが、日銀の国債買入への対応という側面が大きいとみられる。



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by nihonkokusai | 2017-03-23 09:33 | 国債 | Comments(0)

美味しい話は怪しい、日銀による国債の直接引受が禁じられている理由

日本では財政法という法律で、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせてはならないと定められている。つまり日銀による国債の直接引受を禁じている。

中央銀行が、いったん国債の引受などにより政府への直接の資金供与を始めてしまうと、その国の政府の財政規律を失わせ、通貨の増発に歯止めが効かなくなり、将来において悪性のインフレを招く恐れが高まる。これは過去の歴史の教訓によるものである。

中央銀行による国債引受は麻薬に例えられる。いったん踏み入れてしまうと常用することになり、元には戻れず最後に身を滅ぼすことになる。先進主要国が中央銀行による政府への信用供与を厳しく制限しているのは、こうした考え方に基づく。

中央銀行による国債引受が禁じられているのは日本だけではない。米国では連邦準備法により連邦準備銀行は国債を市場から購入する(引受は行わない)ことが定められている。また、1951年のFRBと財務省との間での合意(いわゆるアコード)により、連邦準備銀行は国債の「市中消化を助けるため」の国債買いオペは行わないことになっている。

欧州では1993年に発効した「マーストリヒト条約」およびこれに基づく「欧州中央銀行法」により、当該国が中央銀行による対政府与信を禁止する規定を置くことが、単一通貨制度と欧州中央銀行への加盟条件の一つとなっている。ドイツやフランスなどユーロ加盟国もマーストリヒト条約により、中央銀行による国債の直接引受を行うことは禁止されている。

日銀が金融政策の手段として民間から国債を買い入れて資金を供給するのであれば、それは金融緩和手段のひとつとなる。ところが財政の穴埋めを目的としてしまうと、日銀がまさに政府の打ち出の小槌となってしまう。

戦前、高橋是清蔵相による高橋財政と呼ばれた政策で、日銀による国債引受を行った際には、そのリスクも当然把握していたと思われる。しかし、いったん甘い汁を吸ってしまった政府、というよりも特に軍事費の拡大を望んでいた軍部は、この打ち出の小槌を離そうとしなかった。それにより、二・二六事件で高橋是清蔵相が暗殺され、その後の日本のハイパーインフレーションの原因となった。このため、戦後に財政法で日銀による国債引受は禁じられたのである。

ただし、金融緩和を目的とすれば日銀はいくらでも国債を買えてしまい、結果として政府の財政を助けることになる可能性がある。このため、日銀の大胆な金融緩和政策による大量の国債買入の際に、政府と日銀がこれは財政ファイナンスではなく、デフレ脱却のための金融緩和であると強調しているのである。

実際に日本政府は国債が発行しづらいような状況にはないことは確かである。さらに政府も財政再建に向けた姿勢を維持することにより、財政ファイナンスではないと認識されることにもなる。

麻生財務相は9日午後の参院財政金融委員会で、金融政策よりも財政が物価の水準を決めるとのシムズ理論については、「ヘリコプター・マネー」と指摘。「美味しい話は怪しいと思わなければいけない」とし、投資家のジョージ・ソロス氏が薦めに来たが「無責任なあなた方と異なり、私は1億2000万人の国民に責任がある」として拒否したことを明らかにした。その上で「私が大臣の間、内閣にいる間、ヘリマネ、シムズ理論は採用しない」と言い切った。(ロイター)。

ヘリコプター・マネーは財政ファイナンスということであり、この発言は当然のことではあるが、ある意味心強い発言である。


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by nihonkokusai | 2017-03-10 09:44 | 国債 | Comments(2)

美味しい話は怪しい、日銀による国債の直接引受が禁じられている理由

日本では財政法という法律で、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせてはならないと定められている。つまり日銀による国債の直接引受を禁じている。

中央銀行が、いったん国債の引受などにより政府への直接の資金供与を始めてしまうと、その国の政府の財政規律を失わせ、通貨の増発に歯止めが効かなくなり、将来において悪性のインフレを招く恐れが高まる。これは過去の歴史の教訓によるものである。

中央銀行による国債引受は麻薬に例えられる。いったん踏み入れてしまうと常用することになり、元には戻れず最後に身を滅ぼすことになる。先進主要国が中央銀行による政府への信用供与を厳しく制限しているのは、こうした考え方に基づく。

中央銀行による国債引受が禁じられているのは日本だけではない。米国では連邦準備法により連邦準備銀行は国債を市場から購入する(引受は行わない)ことが定められている。また、1951年のFRBと財務省との間での合意(いわゆるアコード)により、連邦準備銀行は国債の「市中消化を助けるため」の国債買いオペは行わないことになっている。

欧州では1993年に発効した「マーストリヒト条約」およびこれに基づく「欧州中央銀行法」により、当該国が中央銀行による対政府与信を禁止する規定を置くことが、単一通貨制度と欧州中央銀行への加盟条件の一つとなっている。ドイツやフランスなどユーロ加盟国もマーストリヒト条約により、中央銀行による国債の直接引受を行うことは禁止されている。

日銀が金融政策の手段として民間から国債を買い入れて資金を供給するのであれば、それは金融緩和手段のひとつとなる。ところが財政の穴埋めを目的としてしまうと、日銀がまさに政府の打ち出の小槌となってしまう。

戦前、高橋是清蔵相による高橋財政と呼ばれた政策で、日銀による国債引受を行った際には、そのリスクも当然把握していたと思われる。しかし、いったん甘い汁を吸ってしまった政府、というよりも特に軍事費の拡大を望んでいた軍部は、この打ち出の小槌を離そうとしなかった。それにより、二・二六事件で高橋是清蔵相が暗殺され、その後の日本のハイパーインフレーションの原因となった。このため、戦後に財政法で日銀による国債引受は禁じられたのである。

ただし、金融緩和を目的とすれば日銀はいくらでも国債を買えてしまい、結果として政府の財政を助けることになる可能性がある。このため、日銀の大胆な金融緩和政策による大量の国債買入の際に、政府と日銀がこれは財政ファイナンスではなく、デフレ脱却のための金融緩和であると強調しているのである。

実際に日本政府は国債が発行しづらいような状況にはないことは確かである。さらに政府も財政再建に向けた姿勢を維持することにより、財政ファイナンスではないと認識されることにもなる。

麻生財務相は9日午後の参院財政金融委員会で、金融政策よりも財政が物価の水準を決めるとのシムズ理論については、「ヘリコプター・マネー」と指摘。「美味しい話は怪しいと思わなければいけない」とし、投資家のジョージ・ソロス氏が薦めに来たが「無責任なあなた方と異なり、私は1億2000万人の国民に責任がある」として拒否したことを明らかにした。その上で「私が大臣の間、内閣にいる間、ヘリマネ、シムズ理論は採用しない」と言い切った。(ロイター)。

ヘリコプター・マネーは財政ファイナンスということであり、この発言は当然のことではあるが、ある意味心強い発言である。


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by nihonkokusai | 2017-03-10 09:44 | 国債 | Comments(0)

聞き捨てならない国債に対する安倍首相発言

3月7日の日経新聞の日本国債という特集記事のなかで、次のような安倍首相の発言が紹介されていた。

「デフレ脱却を考えると国債を返し過ぎだ。国債は実質的には日銀が全部引き受けている。いまはマイナス金利だし、実質的に借金は増えない」

この発言は昨年秋、複数の与党議員を前に首相が漏らしていたものだそうである。また次のような首相発言も記事のなかで紹介されていた。

「政府と日銀は親会社と子会社みたいなもの。連結決算で考えてもいいんじゃないか」

日銀にインフレターゲットを押しつけ、その結果として異次元緩和政策という、日銀が大胆に国債を中心とした資産を買い入れる政策を打ち出した。これは日本の財政を支援するためではなく、物価目標を達成するために決定されたものである。物価は一時的に上昇しても再びマイナスに落ち込んだ。日銀は量を拡大し、それでもダメなのでマイナス金利政策まで導入することになる。マイナス金利もダメなら長期金利も操作するとして、すべてくっつけた長短金利操作付き量的・質的緩和政策を決定した。すでに何が何だかわからないような政策となってしまったが、壮大な実験の結果、結論としていえることは金融政策そのもので物価は動かせないというものであった。

金融政策でダメなら財政政策でということになったのか、今度はヘリコプターマネーとかクリストファー・シムズ教授の理論を持ち出してきた。

シムズ氏は都内の講演で「ゼロ金利制約の下で金融政策が効きにくいときには財政拡張がその代わりになる」と提言したそうであるが、そもそも「ゼロ金利制約の下で金融政策が効きにくい」ということを証明させるために日銀に異次元緩和をさせたというのであろうか。

「デフレ脱却を考えると国債を返し過ぎだ」という首相の発言だが、デフレ脱却と国債償還を結びつけることの意味がわからない。もし国債の信用を落としたいのであれば、償還をやめるなり、日銀に本当の意味で国債直接引き受けをさせるなり、日銀保有の国債は政府債務と相殺したりしてみれば良い。

なぜそれをしてはいけないかといえば、あたりまえだが国債の信認を維持させるためである。その信認を崩せばインフレ圧力は確かに強まろう。しかし、ほどよい信認低下などできるわけがない。いったん日本国債の信用が低下すれば、ユーロ危機の際のギリシャの国債のように誰も日本国債を買わなくなってしまう。巨額の国債をすべて日銀が引き受けるとなれば、インフレ圧力が強まろうが、その前に日本国債の価格が急落し、東京株式市場や円の急落も免れない。日本は大きすぎてIMFでも救えず、その負担は国民に降りかかることになる。そんな実験をすべきだと言うのであろうか。


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by nihonkokusai | 2017-03-08 09:42 | 国債 | Comments(1)

日本と中国の米国債保有額の差が縮小」

 米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、最新の数字となる昨年12月分で、日本はトップの座を維持していたものの、中国との差が縮小していた。中国は昨年4月あたりから保有する米国債を減少させていたが、12月は久しぶりに増加に転じた。これに対して日本は11月から米国債保有額を減少させた。この結果、日本と中国の保有額の差は11月が593億ドルとなっていたのが、12月は324億ドルに減少した。


上位10か国の12月の数字は次の通り、単位10億ドル、()内は11月分
日本(Japan) 1090.8(1108.6)
中国(China, Mainland) 1058.4(1049.3)
アイルランド(Ireland) 288.2(275.2)
ケイマン諸島(Cayman Islands) 263.5(260.6)
ブラジル(Brazil) 259.2(258.3)
スイス(Switzerland)  229.3(229.5)
ルクセンブルグ(Luxembourg ) 223.4(221.0)
英国(United Kingdom) 217.1(212.0)
香港(Hong Kong ) 191.4(185.5)
台湾(Taiwan) 189.3(183.1)


 米国債の利回りの推移を見てみると、12月15日に米10年債利回りは一時2.64%まで上昇した。この背景にはFRBによる利上げと2017年の追加利上げ観測があった。12月14日のFOMCでは全会一致で政策金利を年0.25~0.50%から0.50~0.75%に引き上げている。また、FOMCメンバー17人の利上げ見通しは2017年に3回と前回9月の2回から増えた。これを受けて米10年債利回りは2.6%台に上昇したが、ここがいったんピークとなった。


 その後の米10年債利回りは2.5%台に乗せても押し返される格好となっている。米国株式市場ではトランプ政権の経済政策への期待もあり、12月末にかけてダウ平均は2万ドルに接近した。しかし、米長期金利の上昇は抑制された格好となっていた。ここには日本からの米国債の売却分を中国がカバーするような格好となっていたこともその背景にあった可能性がある。



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by nihonkokusai | 2017-02-25 10:03 | 国債 | Comments(0)

無償化財源に教育国債という安易な考え方

 2月8日の日経新聞によると、自民党は大学などの教育に関する財政支援に必要な財源を確保するため「教育国債」の議論を近く始めるそうである。安倍首相は1月の施政方針演説で「誰もが希望すれば高校にも専修学校、大学にも進学できる環境を整えなければならない」と述べ、高等教育の無償化に意欲を示した。教育無償化はもともと日本維新の会が改憲案の柱として掲げてきた。


 ただし、全国の大学・短大が学生から1年間に徴収する授業料総額は約3兆1000億円に上るという(時事通信)。大学に限っても巨額の財源が必要となる。麻生財務相は6日の衆院予算委員会で、教育国債について「償還財源の当てはない。実質は親世代が税負担や教育費から逃げるため、子どもに借金を回すものだ」と述べ、否定的な見解を示した。


 ここにはいくつかの大きな問題が潜んでいる。「誰もが希望すれば、高校にも、専修学校、大学にも進学できる環境を整えなければならない」との首相の訴えは理解できなくはないが、とにかく大学に行けば良いという考え方にそもそも問題はなかろうか。


 これは国民の理解が得やすく、これをきっかけに憲法改正に持っていきたいとの意図も見え隠れし、日本維新の会と自民党の関係強化も狙いのようにみえる。このあたりの問題については、ここではひとまず置いて、その財源として浮上している「教育国債」にも大きな問題があると思われる。


 そもそも財源の目処もないものについて国債を発行すれば良いという考え方があまりに安易すぎる。たしかにいまの日本の債券市場では日銀が異常な量の国債を買い入れていることもあり、需給はかなりタイトとなっている。日本国債の利回りも日銀の長短金利操作によって低位に押さえつけられており、国債を発行しやすい環境にあることは確かである。しかし、この環境そのものがすでに変化してきており、このような好環境が未来永劫続くと予想することの方が危険である。日銀もいずれは出口政策を議論せざるを得なくなる。


 それでなくても2020年までのプライマリー・バランスの黒字化達成には赤信号が点滅している状況となっているところに、名称を変えたといえど国債を増発するには無理があろう。いまならば年間5兆円程度の国債を増発しても日本の債券市場での需給面では何ら問題はなく、いくらでも調整は利くだろうとの見方もあろうが、国債は打ち出の小槌ではない。市場がいくら安定していようが、市場参加者が日本国債に対するリスクを完全に忘れ去っているわけではない。国債を発行せずに、その分はあらたな税収で賄うものであれば話は別だが、償還財源の当てのない国債を発行することによって財源を補うという考え方は、やや安易な発想と指摘せざるを得ない。



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by nihonkokusai | 2017-02-15 09:34 | 国債 | Comments(0)

2016年の日本国債に対する海外からの投資動向

 財務省の国際収支の発表には付表として対外・対内直接投資、対外・対内証券投資も発表されている(財務省トップページ > 国際政策 > 関連資料・データ > 国際収支状況 > 報道発表資料(発表日別)。

http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/release_date.htm

 ここから昨年の日本の中長期債(主に日本国債)への海外からの投資について見てみたい。全体では以下の通り(すべて速報値の数字)。

取得  処分  ネット(億円)
1月 86,054 79,640 6,414
2月 106,434 90,026 16,408
3月 111,032 118,688 -7,656
4月 105,806 64,649 41,157
5月 56,368 47,575 8,793
6月 89,513 96,891 -7,378
7月 84,491 67,448 17,043
8月 77,452 66,069 11,384
9月 117,559 118,082 -523
10月 71,759 69,442 2,317
11月 75,190 74,803 387

 このうちの欧州からの日本の中長期債への投資については下記の通り。
取得  処分  ネット
1月 73,787 62,138 11,649
2月 88,102 75,692 12,410
3月 87,947 94,394 -6,447
4月 73,414 52,344 21,071
5月 45,267 38,090 7,177
6月 65,847 72,517 -6,670
7月 57,012 58,239 -1,227
8月 53,772 56,123 -2,350
9月 85,001 87,811 -2,810
10月 55,585 62,631 -7,045
11月 57,542 59,445 -1,904

 このうちのアジアからの日本の中長期債への投資については下記の通り。
取得  処分  ネット
1月 3,355 8,759 -5,404
2月 12,231 6,604 5,628
3月 5,784 12,208 -6,425
4月 16,486 4,724 11,763
5月 6,410 3,769 2,640
6月 11,637 10,053 1,584
7月 9,190 2,756 6,434
8月 15,169 2,394 12,775
9月 16,311 9,424 6,886
10月 5,854 2,200 3,654
11月 9,607 10,623 -1,016

このうち北米からの日本の中長期債への投資については下記の通り。
取得  処分  ネット
1月 7,867 6,235 1,631
2月 5,092 5,070 23
3月 13,752 8,437 5,316
4月 14,433 7,243 7,190
5月 3,890 5,042 -1,152
6月 10,403 8,975 1,428
7月 16,482 5,060 11,422
8月 6,321 5,796 526
9月 15,104 13,381 1,723
10月 9,892 4,147 5,745
11月 6,545 3,802 2,742

 2016年は年明け早々に金融市場は世界的に波乱含みの展開となった。米利上げにより新興国への資金の流れに変化が生じ、原油安もあり新興国経済への影響が危惧された。年初はいわゆるリスクオフの動きを強めた。日銀は1月29日の日銀の金融政策決定会合では追加緩和策として、マイナス金利付き量的・質的緩和を導入した。その結果、日本の長期金利は初めてマイナスとなった。1月から2月にかけての欧州勢を中心とした日本国債への買いはリスクオフの動きによるもの。3月の売り越しは10年債利回りまでマイナスとなったためとみられる。しかし、4月には中期債主体に大きく買い越している。

 英国でのEU離脱か残留かを問う国民投票を控え、まさかとみられていたブレグジット(Brexit)と呼ばれるのEU離脱リスクが意識されるようになった。あらたなリスク回避の動きからドイツの長期金利がマイナスとなり、現実に6月23日の英国の国民投票でEUからの離脱が決まった。

 このブレグジットによる世界の金融経済に与えるリスクは限定的となり、これをきっかけにして世界的なリスク回避の動きからの本格的な反転が生じた。

 7月8日に日本の10年債利回りはマイナス0.300%に低下し過去最低を記録した。日本だけでなく米国やドイツ、英国などの10年債利回りも軒並み過去最低を更新する事態となった。ここが結局、長期金利のボトムとなった。

 ここで日本国債も調整局面を迎えることになるが、その下落過程で7月に米国が大きく買い越していた。しかし、7月以降は欧州からは売り越しが続く。それを北米やアジアがカバーした格好ながら、11月は中国主体にアジアが売り越しとなった。これは中国が米国債だけでなくドルを円に替えて投資した日本国債も売却していたことを示すとみられる。下記は中国の数値となる。

取得  処分  ネット
4月 11,476 1,407 10,069
5月 4,768 1,239 3,528
6月 8,140 4,688 3,452
7月 6,055 834 5,221
8月 12,222 630 11,592
9月 10,219 5,273 4,947
10月 2,705 723 1,982
11月 1,523 6,808 -5,285

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by nihonkokusai | 2017-01-25 09:48 | 国債 | Comments(0)
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