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カテゴリ:国債( 803 )

国債償還月の国債の発行日を修正か

 財務省は、国債償還が多い月に発行する国債を対象に、入札から発行までの期間を短縮する検討に入ったと21日にロイターが伝えた。


 国債の決済に関しては、2012年4月23日約定分からT+2に決済を行うようになった。つまり売買約定日から起算して原則3営業日目の日に受渡し・決済を行っている。このため5年債、10年債、20年債、30年債については入札日を含めた3営業日目の日(T+2)が発行日となる。今後はT+1に向けての検討も進められている。


 ただし、3月、6月、9月、12月のいわゆる国債の償還月については、20日が発行日となっている(20日が休日の場合は翌営業日)。


 償還月の発行日が20日となっているのは、償還を迎えた国債への再投資を円滑に進めるなどの理由があった。ただし、これだと入札日から発行日までの期間が大きく空いてしまうことになる。たとえば今月で言えば、3月2日入札の10年国債の発行日は3月21日(20日が祝日のため)である。これに対して2月2日に入札された10年国債の発行日は6日である(土日の4日と5日を挟む)。


 償還月の発行日が20日となっていることで、実は日銀の国債買入にも影響が出ていた。日銀は発行されていない国債を購入することはできない。つまり発行日を過ぎないと買入対象とならないのである。償還月に際しては20日まで日銀が買入対象にできないため、国債を入札した業者は期間リスクを負うことになる。


 また、2年債については償還月等に関わらず、入札日のあった月の翌月15日が発行日となる。これは年金支払いに併せていたもののようである。


 この2年債も含め、償還月の国債の発行日も入札から2営業日後に発行している通常の月と足並みをそろえるようである(つまりT+2に統一する)。これは決済リスクの軽減や償還資金で新発債を購入する需要が薄れつつある現状を踏まえたものとされるが、日銀の国債買入への対応という側面が大きいとみられる。



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by nihonkokusai | 2017-03-23 09:33 | 国債 | Comments(0)

美味しい話は怪しい、日銀による国債の直接引受が禁じられている理由

日本では財政法という法律で、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせてはならないと定められている。つまり日銀による国債の直接引受を禁じている。

中央銀行が、いったん国債の引受などにより政府への直接の資金供与を始めてしまうと、その国の政府の財政規律を失わせ、通貨の増発に歯止めが効かなくなり、将来において悪性のインフレを招く恐れが高まる。これは過去の歴史の教訓によるものである。

中央銀行による国債引受は麻薬に例えられる。いったん踏み入れてしまうと常用することになり、元には戻れず最後に身を滅ぼすことになる。先進主要国が中央銀行による政府への信用供与を厳しく制限しているのは、こうした考え方に基づく。

中央銀行による国債引受が禁じられているのは日本だけではない。米国では連邦準備法により連邦準備銀行は国債を市場から購入する(引受は行わない)ことが定められている。また、1951年のFRBと財務省との間での合意(いわゆるアコード)により、連邦準備銀行は国債の「市中消化を助けるため」の国債買いオペは行わないことになっている。

欧州では1993年に発効した「マーストリヒト条約」およびこれに基づく「欧州中央銀行法」により、当該国が中央銀行による対政府与信を禁止する規定を置くことが、単一通貨制度と欧州中央銀行への加盟条件の一つとなっている。ドイツやフランスなどユーロ加盟国もマーストリヒト条約により、中央銀行による国債の直接引受を行うことは禁止されている。

日銀が金融政策の手段として民間から国債を買い入れて資金を供給するのであれば、それは金融緩和手段のひとつとなる。ところが財政の穴埋めを目的としてしまうと、日銀がまさに政府の打ち出の小槌となってしまう。

戦前、高橋是清蔵相による高橋財政と呼ばれた政策で、日銀による国債引受を行った際には、そのリスクも当然把握していたと思われる。しかし、いったん甘い汁を吸ってしまった政府、というよりも特に軍事費の拡大を望んでいた軍部は、この打ち出の小槌を離そうとしなかった。それにより、二・二六事件で高橋是清蔵相が暗殺され、その後の日本のハイパーインフレーションの原因となった。このため、戦後に財政法で日銀による国債引受は禁じられたのである。

ただし、金融緩和を目的とすれば日銀はいくらでも国債を買えてしまい、結果として政府の財政を助けることになる可能性がある。このため、日銀の大胆な金融緩和政策による大量の国債買入の際に、政府と日銀がこれは財政ファイナンスではなく、デフレ脱却のための金融緩和であると強調しているのである。

実際に日本政府は国債が発行しづらいような状況にはないことは確かである。さらに政府も財政再建に向けた姿勢を維持することにより、財政ファイナンスではないと認識されることにもなる。

麻生財務相は9日午後の参院財政金融委員会で、金融政策よりも財政が物価の水準を決めるとのシムズ理論については、「ヘリコプター・マネー」と指摘。「美味しい話は怪しいと思わなければいけない」とし、投資家のジョージ・ソロス氏が薦めに来たが「無責任なあなた方と異なり、私は1億2000万人の国民に責任がある」として拒否したことを明らかにした。その上で「私が大臣の間、内閣にいる間、ヘリマネ、シムズ理論は採用しない」と言い切った。(ロイター)。

ヘリコプター・マネーは財政ファイナンスということであり、この発言は当然のことではあるが、ある意味心強い発言である。


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by nihonkokusai | 2017-03-10 09:44 | 国債 | Comments(2)

美味しい話は怪しい、日銀による国債の直接引受が禁じられている理由

日本では財政法という法律で、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせてはならないと定められている。つまり日銀による国債の直接引受を禁じている。

中央銀行が、いったん国債の引受などにより政府への直接の資金供与を始めてしまうと、その国の政府の財政規律を失わせ、通貨の増発に歯止めが効かなくなり、将来において悪性のインフレを招く恐れが高まる。これは過去の歴史の教訓によるものである。

中央銀行による国債引受は麻薬に例えられる。いったん踏み入れてしまうと常用することになり、元には戻れず最後に身を滅ぼすことになる。先進主要国が中央銀行による政府への信用供与を厳しく制限しているのは、こうした考え方に基づく。

中央銀行による国債引受が禁じられているのは日本だけではない。米国では連邦準備法により連邦準備銀行は国債を市場から購入する(引受は行わない)ことが定められている。また、1951年のFRBと財務省との間での合意(いわゆるアコード)により、連邦準備銀行は国債の「市中消化を助けるため」の国債買いオペは行わないことになっている。

欧州では1993年に発効した「マーストリヒト条約」およびこれに基づく「欧州中央銀行法」により、当該国が中央銀行による対政府与信を禁止する規定を置くことが、単一通貨制度と欧州中央銀行への加盟条件の一つとなっている。ドイツやフランスなどユーロ加盟国もマーストリヒト条約により、中央銀行による国債の直接引受を行うことは禁止されている。

日銀が金融政策の手段として民間から国債を買い入れて資金を供給するのであれば、それは金融緩和手段のひとつとなる。ところが財政の穴埋めを目的としてしまうと、日銀がまさに政府の打ち出の小槌となってしまう。

戦前、高橋是清蔵相による高橋財政と呼ばれた政策で、日銀による国債引受を行った際には、そのリスクも当然把握していたと思われる。しかし、いったん甘い汁を吸ってしまった政府、というよりも特に軍事費の拡大を望んでいた軍部は、この打ち出の小槌を離そうとしなかった。それにより、二・二六事件で高橋是清蔵相が暗殺され、その後の日本のハイパーインフレーションの原因となった。このため、戦後に財政法で日銀による国債引受は禁じられたのである。

ただし、金融緩和を目的とすれば日銀はいくらでも国債を買えてしまい、結果として政府の財政を助けることになる可能性がある。このため、日銀の大胆な金融緩和政策による大量の国債買入の際に、政府と日銀がこれは財政ファイナンスではなく、デフレ脱却のための金融緩和であると強調しているのである。

実際に日本政府は国債が発行しづらいような状況にはないことは確かである。さらに政府も財政再建に向けた姿勢を維持することにより、財政ファイナンスではないと認識されることにもなる。

麻生財務相は9日午後の参院財政金融委員会で、金融政策よりも財政が物価の水準を決めるとのシムズ理論については、「ヘリコプター・マネー」と指摘。「美味しい話は怪しいと思わなければいけない」とし、投資家のジョージ・ソロス氏が薦めに来たが「無責任なあなた方と異なり、私は1億2000万人の国民に責任がある」として拒否したことを明らかにした。その上で「私が大臣の間、内閣にいる間、ヘリマネ、シムズ理論は採用しない」と言い切った。(ロイター)。

ヘリコプター・マネーは財政ファイナンスということであり、この発言は当然のことではあるが、ある意味心強い発言である。


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by nihonkokusai | 2017-03-10 09:44 | 国債 | Comments(0)

聞き捨てならない国債に対する安倍首相発言

3月7日の日経新聞の日本国債という特集記事のなかで、次のような安倍首相の発言が紹介されていた。

「デフレ脱却を考えると国債を返し過ぎだ。国債は実質的には日銀が全部引き受けている。いまはマイナス金利だし、実質的に借金は増えない」

この発言は昨年秋、複数の与党議員を前に首相が漏らしていたものだそうである。また次のような首相発言も記事のなかで紹介されていた。

「政府と日銀は親会社と子会社みたいなもの。連結決算で考えてもいいんじゃないか」

日銀にインフレターゲットを押しつけ、その結果として異次元緩和政策という、日銀が大胆に国債を中心とした資産を買い入れる政策を打ち出した。これは日本の財政を支援するためではなく、物価目標を達成するために決定されたものである。物価は一時的に上昇しても再びマイナスに落ち込んだ。日銀は量を拡大し、それでもダメなのでマイナス金利政策まで導入することになる。マイナス金利もダメなら長期金利も操作するとして、すべてくっつけた長短金利操作付き量的・質的緩和政策を決定した。すでに何が何だかわからないような政策となってしまったが、壮大な実験の結果、結論としていえることは金融政策そのもので物価は動かせないというものであった。

金融政策でダメなら財政政策でということになったのか、今度はヘリコプターマネーとかクリストファー・シムズ教授の理論を持ち出してきた。

シムズ氏は都内の講演で「ゼロ金利制約の下で金融政策が効きにくいときには財政拡張がその代わりになる」と提言したそうであるが、そもそも「ゼロ金利制約の下で金融政策が効きにくい」ということを証明させるために日銀に異次元緩和をさせたというのであろうか。

「デフレ脱却を考えると国債を返し過ぎだ」という首相の発言だが、デフレ脱却と国債償還を結びつけることの意味がわからない。もし国債の信用を落としたいのであれば、償還をやめるなり、日銀に本当の意味で国債直接引き受けをさせるなり、日銀保有の国債は政府債務と相殺したりしてみれば良い。

なぜそれをしてはいけないかといえば、あたりまえだが国債の信認を維持させるためである。その信認を崩せばインフレ圧力は確かに強まろう。しかし、ほどよい信認低下などできるわけがない。いったん日本国債の信用が低下すれば、ユーロ危機の際のギリシャの国債のように誰も日本国債を買わなくなってしまう。巨額の国債をすべて日銀が引き受けるとなれば、インフレ圧力が強まろうが、その前に日本国債の価格が急落し、東京株式市場や円の急落も免れない。日本は大きすぎてIMFでも救えず、その負担は国民に降りかかることになる。そんな実験をすべきだと言うのであろうか。


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by nihonkokusai | 2017-03-08 09:42 | 国債 | Comments(1)

日本と中国の米国債保有額の差が縮小」

 米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、最新の数字となる昨年12月分で、日本はトップの座を維持していたものの、中国との差が縮小していた。中国は昨年4月あたりから保有する米国債を減少させていたが、12月は久しぶりに増加に転じた。これに対して日本は11月から米国債保有額を減少させた。この結果、日本と中国の保有額の差は11月が593億ドルとなっていたのが、12月は324億ドルに減少した。


上位10か国の12月の数字は次の通り、単位10億ドル、()内は11月分
日本(Japan) 1090.8(1108.6)
中国(China, Mainland) 1058.4(1049.3)
アイルランド(Ireland) 288.2(275.2)
ケイマン諸島(Cayman Islands) 263.5(260.6)
ブラジル(Brazil) 259.2(258.3)
スイス(Switzerland)  229.3(229.5)
ルクセンブルグ(Luxembourg ) 223.4(221.0)
英国(United Kingdom) 217.1(212.0)
香港(Hong Kong ) 191.4(185.5)
台湾(Taiwan) 189.3(183.1)


 米国債の利回りの推移を見てみると、12月15日に米10年債利回りは一時2.64%まで上昇した。この背景にはFRBによる利上げと2017年の追加利上げ観測があった。12月14日のFOMCでは全会一致で政策金利を年0.25~0.50%から0.50~0.75%に引き上げている。また、FOMCメンバー17人の利上げ見通しは2017年に3回と前回9月の2回から増えた。これを受けて米10年債利回りは2.6%台に上昇したが、ここがいったんピークとなった。


 その後の米10年債利回りは2.5%台に乗せても押し返される格好となっている。米国株式市場ではトランプ政権の経済政策への期待もあり、12月末にかけてダウ平均は2万ドルに接近した。しかし、米長期金利の上昇は抑制された格好となっていた。ここには日本からの米国債の売却分を中国がカバーするような格好となっていたこともその背景にあった可能性がある。



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by nihonkokusai | 2017-02-25 10:03 | 国債 | Comments(0)

無償化財源に教育国債という安易な考え方

 2月8日の日経新聞によると、自民党は大学などの教育に関する財政支援に必要な財源を確保するため「教育国債」の議論を近く始めるそうである。安倍首相は1月の施政方針演説で「誰もが希望すれば高校にも専修学校、大学にも進学できる環境を整えなければならない」と述べ、高等教育の無償化に意欲を示した。教育無償化はもともと日本維新の会が改憲案の柱として掲げてきた。


 ただし、全国の大学・短大が学生から1年間に徴収する授業料総額は約3兆1000億円に上るという(時事通信)。大学に限っても巨額の財源が必要となる。麻生財務相は6日の衆院予算委員会で、教育国債について「償還財源の当てはない。実質は親世代が税負担や教育費から逃げるため、子どもに借金を回すものだ」と述べ、否定的な見解を示した。


 ここにはいくつかの大きな問題が潜んでいる。「誰もが希望すれば、高校にも、専修学校、大学にも進学できる環境を整えなければならない」との首相の訴えは理解できなくはないが、とにかく大学に行けば良いという考え方にそもそも問題はなかろうか。


 これは国民の理解が得やすく、これをきっかけに憲法改正に持っていきたいとの意図も見え隠れし、日本維新の会と自民党の関係強化も狙いのようにみえる。このあたりの問題については、ここではひとまず置いて、その財源として浮上している「教育国債」にも大きな問題があると思われる。


 そもそも財源の目処もないものについて国債を発行すれば良いという考え方があまりに安易すぎる。たしかにいまの日本の債券市場では日銀が異常な量の国債を買い入れていることもあり、需給はかなりタイトとなっている。日本国債の利回りも日銀の長短金利操作によって低位に押さえつけられており、国債を発行しやすい環境にあることは確かである。しかし、この環境そのものがすでに変化してきており、このような好環境が未来永劫続くと予想することの方が危険である。日銀もいずれは出口政策を議論せざるを得なくなる。


 それでなくても2020年までのプライマリー・バランスの黒字化達成には赤信号が点滅している状況となっているところに、名称を変えたといえど国債を増発するには無理があろう。いまならば年間5兆円程度の国債を増発しても日本の債券市場での需給面では何ら問題はなく、いくらでも調整は利くだろうとの見方もあろうが、国債は打ち出の小槌ではない。市場がいくら安定していようが、市場参加者が日本国債に対するリスクを完全に忘れ去っているわけではない。国債を発行せずに、その分はあらたな税収で賄うものであれば話は別だが、償還財源の当てのない国債を発行することによって財源を補うという考え方は、やや安易な発想と指摘せざるを得ない。



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by nihonkokusai | 2017-02-15 09:34 | 国債 | Comments(0)

2016年の日本国債に対する海外からの投資動向

 財務省の国際収支の発表には付表として対外・対内直接投資、対外・対内証券投資も発表されている(財務省トップページ > 国際政策 > 関連資料・データ > 国際収支状況 > 報道発表資料(発表日別)。

http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/release_date.htm

 ここから昨年の日本の中長期債(主に日本国債)への海外からの投資について見てみたい。全体では以下の通り(すべて速報値の数字)。

取得  処分  ネット(億円)
1月 86,054 79,640 6,414
2月 106,434 90,026 16,408
3月 111,032 118,688 -7,656
4月 105,806 64,649 41,157
5月 56,368 47,575 8,793
6月 89,513 96,891 -7,378
7月 84,491 67,448 17,043
8月 77,452 66,069 11,384
9月 117,559 118,082 -523
10月 71,759 69,442 2,317
11月 75,190 74,803 387

 このうちの欧州からの日本の中長期債への投資については下記の通り。
取得  処分  ネット
1月 73,787 62,138 11,649
2月 88,102 75,692 12,410
3月 87,947 94,394 -6,447
4月 73,414 52,344 21,071
5月 45,267 38,090 7,177
6月 65,847 72,517 -6,670
7月 57,012 58,239 -1,227
8月 53,772 56,123 -2,350
9月 85,001 87,811 -2,810
10月 55,585 62,631 -7,045
11月 57,542 59,445 -1,904

 このうちのアジアからの日本の中長期債への投資については下記の通り。
取得  処分  ネット
1月 3,355 8,759 -5,404
2月 12,231 6,604 5,628
3月 5,784 12,208 -6,425
4月 16,486 4,724 11,763
5月 6,410 3,769 2,640
6月 11,637 10,053 1,584
7月 9,190 2,756 6,434
8月 15,169 2,394 12,775
9月 16,311 9,424 6,886
10月 5,854 2,200 3,654
11月 9,607 10,623 -1,016

このうち北米からの日本の中長期債への投資については下記の通り。
取得  処分  ネット
1月 7,867 6,235 1,631
2月 5,092 5,070 23
3月 13,752 8,437 5,316
4月 14,433 7,243 7,190
5月 3,890 5,042 -1,152
6月 10,403 8,975 1,428
7月 16,482 5,060 11,422
8月 6,321 5,796 526
9月 15,104 13,381 1,723
10月 9,892 4,147 5,745
11月 6,545 3,802 2,742

 2016年は年明け早々に金融市場は世界的に波乱含みの展開となった。米利上げにより新興国への資金の流れに変化が生じ、原油安もあり新興国経済への影響が危惧された。年初はいわゆるリスクオフの動きを強めた。日銀は1月29日の日銀の金融政策決定会合では追加緩和策として、マイナス金利付き量的・質的緩和を導入した。その結果、日本の長期金利は初めてマイナスとなった。1月から2月にかけての欧州勢を中心とした日本国債への買いはリスクオフの動きによるもの。3月の売り越しは10年債利回りまでマイナスとなったためとみられる。しかし、4月には中期債主体に大きく買い越している。

 英国でのEU離脱か残留かを問う国民投票を控え、まさかとみられていたブレグジット(Brexit)と呼ばれるのEU離脱リスクが意識されるようになった。あらたなリスク回避の動きからドイツの長期金利がマイナスとなり、現実に6月23日の英国の国民投票でEUからの離脱が決まった。

 このブレグジットによる世界の金融経済に与えるリスクは限定的となり、これをきっかけにして世界的なリスク回避の動きからの本格的な反転が生じた。

 7月8日に日本の10年債利回りはマイナス0.300%に低下し過去最低を記録した。日本だけでなく米国やドイツ、英国などの10年債利回りも軒並み過去最低を更新する事態となった。ここが結局、長期金利のボトムとなった。

 ここで日本国債も調整局面を迎えることになるが、その下落過程で7月に米国が大きく買い越していた。しかし、7月以降は欧州からは売り越しが続く。それを北米やアジアがカバーした格好ながら、11月は中国主体にアジアが売り越しとなった。これは中国が米国債だけでなくドルを円に替えて投資した日本国債も売却していたことを示すとみられる。下記は中国の数値となる。

取得  処分  ネット
4月 11,476 1,407 10,069
5月 4,768 1,239 3,528
6月 8,140 4,688 3,452
7月 6,055 834 5,221
8月 12,222 630 11,592
9月 10,219 5,273 4,947
10月 2,705 723 1,982
11月 1,523 6,808 -5,285

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by nihonkokusai | 2017-01-25 09:48 | 国債 | Comments(0)

海外投資家は再び日本国債を大量買い越しに

 1月20日に日本証券業協会は12月の公社債投資家別売買高を発表した。公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

12月の公社債投資家別差し引き売買高
注意、マイナスが買い越し
単位・億円 ()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 5592(3837、-5129、7465)
地方銀行 1875(1257、-744、2263)
信託銀行 -1213(-2665、514、1114)
農林系金融機関 -2836(-2364、24、0)
第二地銀協加盟行 111(146、-229、80)
信用金庫 -2846(448、-1089、11)
その他金融機関 3724(1248、1021、1800)
生保・損保 -2376(-3468、264、726)
投資信託 -912(-79、555、-870)
官公庁共済組合 -208(-149、0、0)
事業法人 -375(-6、56、1)
その他法人 -677(-252、146、80)
外国人 -26198(-970、2054、-26261)
個人 128(4、-31、4)
その他 5782(6150、-5334、8511)
債券ディーラー -617(-42、-406、-142)

 11月8日の米大統領選挙でのトランプ氏が勝利したことをきっかけに金利高、ドル高、株高が起き、これはトランプ・ラリーと呼ばれた。12月のFOMCでの利上げ観測が一層強まり、米長期金利はあっさりと2%台に乗せてきた。日本の国債の利回りも上昇し、日銀は11月17日に中期ゾーンの利回り上昇抑制のため、初の国債の指し値オペをオファーした。

 12月14日には日銀の国債買入で。10年超25年以下が2000億円(前回1900億円)、25年超が1200億円(前回1100億円)とそれぞれ100億ずつ増額。さらにこの増額とは別に、16日に残存10年超の国債買い入れを実施することも事前通告するなど異例尽くめの対応を行う。15日に米長期金利が一時2.6%台まで上昇し、16日には日本の10年債利回りが0.1%ちょうどまで上昇したが、ここでいったん日米の長期金利の上昇はピークアウトした。

 12月の国債の投資家別売買高をみると都銀は5592億円の売り越しとなり、11月の2兆620億円の買い越しから売り越しに転じている。都銀の国債売買高をみると長期債を買い越していたが、中期と超長期は売り越しに。

 海外投資家は中期債主体に2兆6198億円の買い越しと、11月の1兆1672億円の買い越しよりも買越額は増加した。全体の売買高も回復していた。これを見る限り、海外投資家は日本国債への投資を継続しているようである。

海外投資家の売買状況
月 売買高(マイナスは買い越し)、(超長期、長期、中期)、全体売買高、うち中期

4月-36565(328、-9142、-27271)、294983、62513
5月-16775(1347、-6186、-10933)、246889、34315
6月-36565(328、-9142、-27271)、344055、65055
7月-16693(1860、-4453、-13200)、275366、61036
8月-16838(-1108、-5390、-9702)、302397、65718
9月-27674(-3320、-4283、-19310)、380542、102124
10月-5717(1051、-5636、166)、264616、62534
11月-11672(2275、-2448、-10674)、302551、48912
12月-26198(-970、2054、-26261)、317612、57609

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by nihonkokusai | 2017-01-21 12:44 | 国債 | Comments(0)

今後は超長期国債の動向に注意、先物に新制度も

 イエレン議長は18日の講演で、完全雇用に近づきインフレ率が2%に向かうなか、FRBが緩やかな利上げを実施していくことは理にかなうと述べた。18日に発表された12月の米消費者物価指数は前年比プラス2.1%となり、11月の前年比プラス1.7%から0.4%も上昇し、2%台に乗せていた。FRBの物価目標はPCE価格指数での前年比2.0%ではあるものの、今年中にFRBが複数回の利上げをてくる可能性はある。

 いわゆるトランプ・ラリーの象徴ともなった米長期金利はいったん昨年末に2.5%台に上昇したところでいったんピークアウトし、その後2.3%台に低下した。しかし、米長期金利は再び3%に向けて上昇するのではないかと予想される。

 米長期金利の上昇とその背景にある物価上昇とFRBの利上げ観測は、円債にも影響を与える。日銀の異次元緩和とは別の要因によって日本の物価も今後上昇してくるとみられ、それが日本の国債の利回りにも影響を与えよう。

 日銀は現在、長短金利操作付き量的・質的緩和政策を行っている。これにより日本国債のイールドカーブを操作しようとしている。物価を含めたファンダメンタルの改善はこのイールドカーブの上昇圧力ともなる。長期金利のゼロ%近辺という目標があまりに低い水準という認識が今後強まり、それが超長期債の利回り上昇を促すことも予想される。

 日銀は目標とする長期金利水準を微調整として「引き上げる」ことができるのか。超長期債の利回りが跳ね上がった際に、イールドカーブのスティープ化を阻害しかねない超長期債の指し値オペを実施してくるのか、このあたりは不透明感も強い。

 いずれにしても今後、超長期債の利回りが更に大きく揺れ動く可能性が出てくる。そうなるとそれをヘッジする手段が求められる。

 大阪取引所には国債先物が上場されているが、そのなかに超長期国債の先物がある。2015年7月に制度変更が行われたものの、商いそのものは低迷している。その打開策のひとつとして、面白い制度が今年1月4日からスタートしていた。

 すでに40年国債の利回りが1%に接近するなど、金利がマイナスに沈んでいない超長期国債のニーズは国内の投資家などにも当然存在している。このため、超長期国債先物を取引したいという声は強いようで、業者としても流動性が極めて低い現状で、超長期先物について常時気配提示をするのは限界があるが、投資家のニーズがあるというのであれば、気配を出すことは可能となろう。

 そこで、取引所が間に入って投資家にニーズがあるときに、そのニーズについて業者に伝えることで、取引を成立させようとの試みである。これは有価証券オプション、いわゆる株式オブションで導入されていたものの国債先物版となり、RFQ(リクエスト・フォー・クオート)メールサービスと呼ばれる。

 これは投資家などの取引参加者から超長期国債先物での取引需要がある際に、その限月について大阪取引所にメールでその需要(価格ではなく数量)を伝え、そのリクエストを取引参加者やマーケットメーカーに匿名化したかたちで情報を提供するものとなる。つまり投資家の需要を伝えることで、少しでも板の厚みを増そうとの試みとなる。

 債券先物といえば長期国債先物が中心でこちらは流動性が極めて高い。しかし、この長期国債はチーペストと呼ばれる7年ゾーンの国債に連動する。つまり日銀がコントロールしようとしているものに含まれる。そのコントロールが可能なのかということはさておき、それよりも超長期債の方が動きやすい側面がある。その分、投資家だけでなく短期的な取引をする投資家などにも超長期国債先物には潜在的なニーズはある。

 超長期国債先物の潜在ニーズがRFQ(リクエスト・フォー・クオート)メールサービスにより具体化し、それがひとつの起爆剤となり、超長期国債先物の流動性が向上することになれば、今後はヘッジ手段としても有効活用が可能となる。実際にはなかなかハードルが高いかもしれないが、今後の相場動向を意識した上で、少しでも超長期国債先物の流動性が向上することを期待したい。

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by nihonkokusai | 2017-01-20 09:36 | 国債 | Comments(0)

国債の歴史からみた日銀の長期金利コントロールの意味

 日本の国債市場が本格的に稼働したのは、それほど昔のことではない。1979年頃まで、預金金利などは厳しく規制されてきており、国債の金利を含めて市場水準よりかなり低いレベルに置かれていた。これにより企業の設備投資が促され、いわゆる高度成長の原動力となっていた。銀行も保護され、いわゆる護送船団方式と呼ばれるシステムが作られていた。

 1970年代に発行された国債は、銀行や証券会社などで構成された引受シンジケート団と大蔵省資金運用部が引き受けていた。シ団が引き受けた国債で市中消化されるのはごく一部で、ほとんどがシ団メンバーの金融機関にそのまま保有された。シ団の引き受けた国債の市場売却は、事実上自粛されていた。ただし実際のところ、銀行が保有する国債の大半は、日銀の買い切りオペで吸い上げられていた。

 ところが1977年に金融機関の取得した国債の流動化がスタートすることになる。日銀の買入で吸収される国債の比率が低下し、都銀等の預金増加額に占める国債引受の割合が急増していたためである。特例国債の市場売却について各金融機関の自主的な判断に委ねられた。引き受け後一年間は引き続き売却を自粛することになった。建設国債に対しても借換方式を見直すことを前提に流動化が開始された。

 1979年のロクイチ国債の暴落を受けて、金融機関の保有国債の評価法が従来の低下法から原価法または低価法の選択性となった。また、ロクイチ国債の暴落は大蔵省の国債管理政策にも大きな影響を与えることになる。

 1985年6月に金融機関の債券のフルディーリングが開始された。債券のディーリング業務とは既発債を売買する業務であり、それまでは証券会社にしか認められていなかった。国債を大量に保有している都銀などの銀行が、国債市場に本格的に登場することで公社債の売買高は急増した。ただし、銀行は商品勘定保有国債であっても、翌月までの売却自粛期間が設けられており、この売買自粛が完全に廃止されたのは1987年9月である。

 1985年10月に東京証券取引所に日本ではじめての金融先物市場が誕生した。長期国債先物取引が開始されたのである。債券先物取引においては、東京証券取引所会員の証券会社だけではなく、国債を大量に保有している銀行の参入が、特別会員という資格で認められた。

 金融機関のフルディーリングの開始や債券先物の登場もあって、国債は活発に売買されるようになり、一時的ながら当時の指標銘柄である10年利付国債(68回債)の利回りが、代表的な短期金利のひとつであった手形レートを下回り、長短金利の逆転現象が生じた。また、1987年5月に指標銘柄の89回債は10年債でありながら、当時の代表的な短期金利であった公定歩合の2.5%に接近した。ここが債券のディーリング相場のピークとなったが、これ以降はディーリングそのものはは影を潜め、本来の投資家主体の相場が形成されるようになっていった。

 国債残高が年々積み上がったものの、タイミング良く銀行、生保、年金など国内の民間金融機関には、日本国債を買い入れる余地が拡がっていた。日本国債への海外からの投資額はそれほど多くはなくても、国内で大量の国債が消化が可能となっていたのである。

 1998年に国債を大量に引き受けていた大蔵省資金運用部の引き受け比率の低下などをきっかけに運用部ショックと呼ばれた国債価格の急落(長期金利の急上昇)が起きた。しかし、実際には資金運用部分の国債を買い入れる余地を民間金融機関は有していた。日銀のゼロ金利政策や財務省の国債管理政策の強化とともに、需給面の不安の後退もあって運用部ショックは一時的なものとなった。

 その後も需給面での不安はないにも関わらず、2013年4月から日銀は無理矢理、国債を大量に買い入れることとなった。これによって国債の需給バランスは変化した。さらに2016年9月のイールドカーブコントロールの導入により、日銀は今度は長期金利をコントロールしようとしている。これはまさに先祖返りともいうべきものでもあろう。

 日本の国債市場にはそれほど長い歴史があるわけではない。しかし、こつこつとながら日本の国債市場は拡大していった。しかし、その国債を日銀が年間発行額に匹敵する金額を買い入れて、残高の4割も保有するというのは、ある意味、国債市場の機能を損ねていることは間違いない。だから長期金利をコントロールできるとするのであれば、それは国債市場の機能をむしろ蔑ろにしているとも言えるものではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2017-01-06 10:01 | 国債 | Comments(0)
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