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カテゴリ:国債( 822 )

米国債保有高、日本を抜いて再び中国がトップに

 米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、今年6月の国別の米国債保有高のトップは中国が日本を抜いて再びトップの座を奪い返した。

「MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES」 http://ticdata.treasury.gov/Publish/mfh.txt

 6月の中国(China、Mainland)の米国債保有高は1兆1465億ドルとなった。2位は日本で1兆908億ドルの保有高となった。上位10か国は次の通り(単位、10億ドル)

中国(China, Mainland)  1146.5

日本(Japan)  1090.8

アイルランド(Ireland)  302.5

ブラジル(Brazil)  269.7

ケイマン諸島(Cayman Islands ) 254.0

スイス(Switzerland)  244.5

英国(United Kingdom) 237.3

ルクセンブルグ(Luxembourg )211.7

香港(Hong Kong)  202.6

台湾(Taiwan) 184.4

 日本は昨年10月に中国を抜いて米国債保有額でトップとなっていたが、ここにきて中国による米国債保有高が増加してきたことで、中国に抜かれた格好となった。  中国の外貨準備高は6か連続で増加し、7月には3兆ドルを突破し、3兆800億ドルに達した。これが中国による米国債買入の原資となっていることは確かである。為替介入(ドル売り元買い)が減少してきたことも影響しているようである。

 ただし、日本については、8月8日に公表された6月の国際収支の付表によると米債を1兆2429億円買い越しとなっていた。米財務省のデータによると5月から205億ドル減少となっており、違いが生じている。米国債国別保有残高は後ほど修正が加えられることもあるため、注意も必要か。


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by nihonkokusai | 2017-08-17 09:39 | 国債 | Comments(0)

ギリシャが3年ぶりに国債発行を再開したことの意味

 ギリシャ政府は25日に3年ぶりに国債発行を再開し、5年債で30億ユーロ(3900億円)の国債を発行した。

 今年の6月には増税や年金の削減などの構造改革が進んだとして、一時中断されていた融資が再開され、ユーロ圏は85億ユーロの追加融資に応じると決めた。さらに今月20日に、債務軽減策の具体化を条件に国際通貨基金(IMF)が融資再開を決めたことで国債発行再開が可能となった。

 今回の5年債の発行利回りは4.625%と2014年4月に発行した5年債の利回り4.950%を下回った。これはECBの緩和政策によりで国債利回りが低下していることも追い風となった。ただし、投資家の申込額は計65億ユーロと3年前の200億ユーロには及ばなかった。

 ギリシャ政府は現行の第三次金融支援が期限切れを迎える来年の8月までに複数回の追加発行を目指す考えも示している。

 このギリシャによる国債再発行の背景には、緊縮財政を政府が進めていることがあり、チプラス首相はさらなる緊縮財政を行うことを約束している。しかし、これに対しては国民の反発も大きいようである。それでも、少なくとも国債発行を再開できるところまで、特に市場の危機感が後退しているということを示すものとなろう。

 ECBのドラギ総裁は20日の理事会後の記者会見で「(声明文の変更などの)議論は秋に行う」と明言した。これは緩和バイアスの解除を検討するのではないかと観測がある。 ドラギ総裁は今年のジャクソンホール会合に3年ぶりに出席するが、ここで何かしらの政策変更の示唆があるに違いないとの観測を市場は抱いている。そこに「議論は秋に行う」と示した以上、緩和バイアスの解除に向けたスケジュールは存在している可能性がある。

 ECBのメルシュECB専務理事は「状況が正常化する中で、非伝統的政策が引き続き必要になる可能性は低い」と発言していた。ECBの緩和バイアスの解除そのものの理由はまさにここにある。状況が正常化していることを示す象徴的なものとして、このギリシャによる国債発行の再開があげられよう。


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by nihonkokusai | 2017-07-27 10:07 | 国債 | Comments(0)

3月末に日銀の日本国債保有シェアは4割に膨れ、銀行の保有額は大きく減少

日銀は6月27日に資金循環統計(1~3月期速報値)を発表した。これによると個人の金融資産は3月末時点で約1809兆円ととなった。12月末時点では約1815兆円となっていた(改定値)。

個人の金融資産の内訳は、現金・預金が「前年比」で2.3%増の約932兆円となった。株式等が同7.9%増の約181兆円、投資信託も7.2%増の約99兆円となっていた。

この資金循環統計を基に国債(短期債除く)の保有者別の内訳を算出してみた。残高トップの日銀の国債保有残高は386兆7756億円、40.0%のシェアとなった。前期比(速報値)からは15兆9503億円の増加。残高2位の保険・年金基金は233兆9974億円(24.2%)、2兆4694億円。残高3位は預金取扱機関(都銀や地銀など)で190兆174億円(19.6%)、13兆5640億円。4位が海外投資家で56兆5684億円(5.8%)、3兆4680億円。5位が公的年金の49兆138億円(5.1%)、2022億円。6位が家計の12兆5263億円(1.3%)、2020億円。その他が38兆7490億円(4.0%)、6兆5862億円となっていた。

2016年12月末(確報値)に比べ、国債(短期債除く)の残高は9兆5669億円減少し、967兆6479億円となった。

12月末(確報値)に比べて大きく増加したのは、国債を買い入れている日銀でシェアは4割となった。今回前期比で増加したのは、ほかに「海外」と「その他」となっていた。

もう少し細かい区分けで見てみると、12月末に比べて大きく減少したのは国内銀行で約8兆円の減少となった。中小企業金融機関等(ゆうちょ銀行含む)も約5兆円減、企業年金の1兆円減となっていたのに対し、ディーラー・ブローカーは4兆円程度増となっていた。

短期債を含めた国債全体の数字でみると残高は約1083兆円となり、日銀が約427兆円で39.5%のシェアとなっていた。そして海外勢の残高は約116兆円と短期債を含めると国債全体の10.8%のシェアとなっていた。


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by nihonkokusai | 2017-06-28 09:54 | 国債 | Comments(0)

4月の米国債保有高はかろうじて日本がトップをキープ

米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、今年4月の国別の米国債保有高のトップは引き続き日本がキープしていた。

4月の日本の米国債保有高は1兆1069億ドルとなった。2位は中国(China、Mainland)で1兆922億ドルの保有高となった。上位10か国は次の通り(単位、10億ドル)

日本(Japan)  1106.9

中国(China, Mainland)  1092.2

アイルランド(Ireland)  299.9

ブラジル(Brazil)  267.7

ケイマン諸島(Cayman Islands ) 256.8

スイス(Switzerland)  234.1

英国(United Kingdom) 231.5

ルクセンブルグ(Luxembourg )212.1

香港(Hong Kong)  196.6

台湾(Taiwan) 185.6

4月に日本国内の居住者による対外債券(中長期債)投資は4兆2559億円の処分超となり、月次の売り越し額としては過去最大規模となっていた。内訳をみると米国のソブリン債(中長期)を3兆6642億円も売り越していた。ソブリン債とは主に国債のことを示すため、米国債を大量に売却していたのである。このため、4月は場合によると米国債保有高で再び中国に逆転されるのではないかと思われたが、かろうじてトップをキープしていた。

2位中国の外貨準備は2017年1月に3兆ドルを下回っていたが、4月末の外貨準備高は3兆300億ドルと3か月連続で増加し、中国の米国債保有は今年1月以降は増加傾向にある。

6月8日に公表された5月の対外対内証券投資売買契約の状況では、今度は 3兆1074億円の買い越しとなっていた。米国債利回りは5月11日あたりに2.4%台に上昇後、直近では2.1%台にまで低下しているが、これは日本の投資家による買いも影響していた可能性がある。このため、5月の米国債保有高も日本がトップをキープすることが予想される。


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by nihonkokusai | 2017-06-24 16:15 | 国債 | Comments(0)

国債の基礎知識、約定日と決済日、入札日と発行日の関係

国債など有価証券の取引には約定日(売買した日)と決済日(資金と証券の受渡日)が存在している。この関係は国債の入札日と発行日の関係にもあたる。つまり売買を行った日と別に決済日・発行日が存在している。これは個人が国債を購入する際などは注意する必要がある。

例えば個人向け国債では、5月募集分は募集期間が5月11日から5月31日に設定されている。この募集期間内に購入した個人向け国債はすべて6月15日が発行日となる。つまり、銀行預金などと異なり、個人向け国債の利子が付くのは現金を証券会社などに入金した日からではなく発行日からとなる点に注意する必要がある。これは募集という発行形式をとっているためでもある。

国債や株式などの有価証券にはそれを売買した日(約定日)とは別に決済日が設けられており、実際に有価証券を所有した日は決済日となる。つまり利子は決済日から付くことになる。これは券面と現金との受け渡しの手続きに時間が必要であったためである。たとえば遠隔地での取引で実際に券面を確認する必要性があったためである。

国債など債券についてはペーパレス取引、つまり券面の発行はせず電子上での決済となっていることで、約定日から売買約定日から起算して原則3営業日目の日に受渡し決済を行っている。これをさらに短縮して来年5月から売買約定日から起算して原則2営業日目の日に受渡し決済を行うことが検討されている。

これに対して株式市場では通常売買日を含めて4営業日目に行われているのは、国債などに比べてペーパレス化等が遅れたためとみられる。その株式の決済についても2019年から1日短縮される見通しとなっている。

国債の入札も財務省と業者の国債の売買契約となるため約定日ということになり、それとは別に発行日(受渡日)が設けられている。これは約定日と決済日の関係と同じであるが、諸々の理由で国債の償還月は発行日20日になるなどしていた。それを一部2年債などを除いて来年5月からT+1に統一しようとの動きとなっている。


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by nihonkokusai | 2017-06-02 09:27 | 国債 | Comments(0)

来年5月の国債決済期間の短縮に合わせ、国債の発行日もT+1に

財務省は新発国債の入札から発行までの「決済期間」について、入札の翌営業日にそろえる方針だと5月31日の日経新聞が報じた。

国債など有価証券の取引には約定日(売買した日)と決済日(資金と証券の受渡日)が存在している。これは入札における入札日と発行日の関係と同じものとなる。

国債の決済に関しては、2012年4月23日約定分から「T+2」に決済を行うようになった。つまり売買約定日から起算して原則3営業日目の日に受渡し決済を行っている。

このため国債入札に関しても5年債、10年債、20年債、30年債については、入札日を含めた3営業日目の日(T+2)が発行日となっている。ただし、3月、6月、9月、12月のいわゆる国債の償還月については、20日が発行日となっている(20日が休日の場合は翌営業日)。

償還月の発行日が20日となっているのは、償還を迎えた国債への再投資を円滑に進めるなどの理由があった。ただし、これだと入札日から発行日までの期間が大きく空いてしまうことになる。たとえば今日6月1日入札の10年国債の発行日は6月20日である。これに対して5月9日に入札された10年国債の発行日は11日であった。

償還月の発行日が20日となっていることで、実は日銀の国債買入にも影響が出ていた。日銀は発行されていない国債を購入することはできない。つまり発行日を過ぎないと買入対象とならないのである。償還月に際しては20日まで日銀が買入対象にできないため、国債を入札した業者は期間リスクを負うことになる。

また2年債については償還月等に関わらず、入札日のあった月の翌月15日が発行日となる。これは年金支払いに併せていたもののようである。

国債の決済についてはT+1に向けての検討が進められている。つまり売買約定日から起算して原則2営業日目の日に受渡し決済を行うことが検討されている。日本証券業協会の国債の決済期間の短縮化に関する検討ワーキング・グループの報告によると国債取引の決済期間T+1化については平成30年5月1日(火)約定分から実施することを予定している。

「国債取引の決済期間T+1化等の実施予定日について」日本証券業協会

http://market.jsda.or.jp/shiraberu/saiken/content/jisshiyoteibikouhyou.pdf

この国債決済のT+1化に合わせ、国債の入札についても発行日をT+1、つまり入札の翌営業日にすることになる。その際、これまで20日としていた償還月の発行日もT+1に統一する予定とみられる。ただし2年債については発行日が翌月と月跨ぎとなっていることからT+1への移行ではなく、翌月15日の発行から1日の発行に前倒しされる見込みのようである。

決済日や発行日までの短縮は、電子上の決済となり券面等の受け渡しは必要がなくなっていることで、決済リスクの軽減や、償還資金で新発債を購入する需要が薄れつつある現状を踏まえたものとされるが、日銀の国債買入への対応という側面が大きいとみられる。


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by nihonkokusai | 2017-06-01 10:08 | 国債 | Comments(0)

中国の格下げによる市場への影響は軽微か

格付会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは24日に中国の人民元建てと外貨建ての国債格付けをAa3からA1に1段階引き下げたと発表した。中国は潜在的な成長力の鈍化に伴い、政府の債務負担が増加し、財政の健全性が損なわれるとの見通しを反映した(日経QUICKニュース(NQN))。

同社による中国格下げは1989年以来となるそうである。また、A1との格付けは日本国債と同じである。

ムーディーズの格下げ発表を受け、中国人民元は売られ、中国株も一時的に下げた。東京株式市場もやや上げ幅を縮小させる場面もあったが、影響は限られた。

格付会社による格下げが市場に大きなインパクトを与えた例としては、2010年のギリシャの財政問題が表面化した際の格下げがある。格下げによって市場の動揺が増幅されることになり、問題がアイルランドやスペイン、イタリアなどにも飛び火した。

また、2011年8月に格付会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、米国の長期格付けを最上位のAAAからAA+に1段階引き下げた。同社が米国債を格下げするのは1941年の現行制度開始以来初めてとなったが、これによる市場への影響は限られた。米国債は質への逃避の動きから買い進まれたぐらいであった。

これは、民間格付会社が格付けを1ノッチ引き下げたからといって、投資家が保有する大量の米国債をいきなり売却することは考えづらく、金融市場における信用度、そして流動性などを見ても、ほかに代替資産が見当たらないためである。 ただし、米国の格付会社が自国の国債の格付けを引き下げということはある意味ショッキングな出来事でもあり、マスコミでも大きく取り上げられた。

民間格付け会社によるソブリンの勝手格付け(依頼されたものではない格付け)は、たしかに警告として受け止める必要はある。しかし、だからといって、これを受けて市場参加者が動揺する必要はない。当時のバーナンキFRB議長は下記のような発言をしていた。

「ある意味で、S&Pの米格付け見通し引き下げがわれわれに伝えることは何もない。新聞を読む人なら誰でも米国が非常に深刻な長期的財政問題を抱えていることは知っている」

これは日本国債の格付け変更時にもいえることで、日本国債は格付会社の格下げがあってもほとんど動揺していないというか、材料視すらしていない場合が多い。

今回の中国の国債格下げについても、なぜこのタイミングで1989年以来の格下げを発表したのかという意外性はあったかもしれない。しかし欧州の信用不安時のように市場の動揺をさらに加速させるようなきっかけにでもならない限り、それによる影響は限られたものになると予想される。


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by nihonkokusai | 2017-05-26 09:58 | 国債 | Comments(0)

米国債保有高では3月現在で日本がトップ、4月に中国に逆転される可能性も

米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、今年3月の国別の米国債保有高のトップは引き続き日本で1兆1185億ドルとなった。2位は中国(China、Mainland)で1兆876億ドルの保有高となった。上位10か国は次の通り

(単位、10億ドル)

日本(Japan)  1118.5

中国(China, Mainland)  1087.6

アイルランド(Ireland)  315.1

ブラジル(Brazil)  259.5

ケイマン諸島(Cayman Islands )249.9

スイス(Switzerland)  234.5

英国(United Kingdom) 227.9

ルクセンブルグ(Luxembourg )217.1

香港(Hong Kong)  201.9

台湾(Taiwan) 185.2

1位の日本については、4月の対外対内証券投資売買契約の状況によると、居住者による対外債券(中長期債)投資は4兆2559億円の処分超となり、月次の売り越し額としては過去最大規模となっていた。このため、米国債の保有額が大きく減少してくる可能性がある。ただし、この数字が直接、この米財務省が発表している米国債国別保有残高に反映されない可能性もある。こちらも4月の数字が要チェックとなりそう。

2位中国の外貨準備は2017年1月に3兆ドルを下回っていたが、2月にはかろうじて3兆ドルを回復しており、米国債保有高もここにきてやや増加傾向にある。4月に順位が入れ替わるのかどうか確認したい。

3位にアイルランドが入っているのは低い法人税により、アップルやグーグル、フェイスブックを含め米企業700社以上がアイルランドに子会社を置いており、そこで得た利益がアイルランドの銀行にプールされ、それを米国債で運用しているためとの指摘もある。たしかにユーロ危機の際にはアイルランドも財政危機に陥ったように、国そのものには余裕なくこの金額の米国債を保有しているというのは米国企業などに依存している面は大きそうである。


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by nihonkokusai | 2017-05-22 09:56 | 国債 | Comments(0)

国債のイールドカーブを無理矢理押しつぶす日銀の政策に意味があるのか

国債には国庫短期証券(償還期限が1年以内の割引債)から40年債まで、さまざまな償還期間の国債がある。そして、それぞれに利回りがある。

それらの複利利回りを計算して、横軸を償還期間、縦軸を複利利回りで結んだ曲線をイールドカーブや利回り曲線と呼ばれる。

本来であればこのイールドカーブから、債券市場参加者の金利観が見えてくるはずなのである。例えば、市場参加者が現在の水準に比べて、先行き金利は上昇していくと読めば、長い期間の債券ほど利回りが高くなり、イールドカーブの形状は右肩上がりになる。これをスティープニング、スティープ化と呼ぶ。今後の金利上昇を予想した際には、現在の低い利回りでは、なるべく短期債で運用しようとするためである。そして短期債に人気が集まることで、利回りに低下圧力がかかる。

一方、現在の水準に比べて先行き金利が低下していくと読めば、逆に期間の長い債券が買われるため、右肩上がりの曲線が、直線に向かう。このことをフラットニング、フラット化と呼ぶ。

そして、さらに長い期間の債券ほど利回りが低くなると、イールドカーブの形状が右肩下がりになる。このことを逆イールドと呼ぶ。

債券は期間の長いものほど、債券利回りの変動に対して債券価格が大きく動くという特性を持っている。したがって、償還期間が長いほどリスクが高いということになる。

だからこそ、償還期間が長い債券には、それだけ利回りにプレミアムがついていると考えられている。このため、イールドカーブは右肩上がりを描くのが普通となる。しかし、右肩下がりの逆イールド現象もないわけではない。例えば、1989年7月ごろに日本でも長短金利が逆転するという現象が生じた。このときは、度重なる日銀による公定歩合の引き下げが大きな要因であった。

このように、中央銀行の金融政策もイールドカーブの形状に大きく影響する。イールドカーブ上の一番左側にある一番期間の短いものは、中央銀行の政策金利に近い。そして長期金利は、物価や経済動向を見ながら、中央銀行が短期金利をどういった水準に持って行くのかを予想して、本来は形成されるはずなのである。

ところが日銀はこの市場で形成される長期金利を国債買入などを通じて無理矢理押さえ込もうとしているのが、長短金利操作付き量的・質的緩和政策である。無理矢理押さえ込まれてしまうと市場はまさに身動きがとれなくなり、売買高も低迷し、1日半も長期金利の値がつかないといった事態も生じてしまったともいえる。

金融政策が引き締めから緩和に移ると、イールドカーブのスティープニングがさらに進むことがある。これは足元の金利の引き下げによって今後、景気が回復して資金需要が起きるという期待や、物価が上昇してくるとの観測が出ることで、長期金利が上昇するためである。しかし、日銀はこの長期金利まで物価目標達成のためとして押さえ込んでいる。この政策に物価を上げる経路がそもそも存在しているのかという疑問もあるが、それ以上に中央銀行が市場に関与し過ぎる事での弊害が見えないかたちで膨らんでいることも確かであろう。


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by nihonkokusai | 2017-05-05 15:22 | 国債 | Comments(0)

国債のイールドカーブを無理矢理押しつぶす日銀の政策に意味があるのか

国債には国庫短期証券(償還期限が1年以内の割引債)から40年債まで、さまざまな償還期間の国債がある。そして、それぞれに利回りがある。

それらの複利利回りを計算して、横軸を償還期間、縦軸を複利利回りで結んだ曲線をイールドカーブや利回り曲線と呼ばれる。

本来であればこのイールドカーブから、債券市場参加者の金利観が見えてくるはずなのである。例えば、市場参加者が現在の水準に比べて、先行き金利は上昇していくと読めば、長い期間の債券ほど利回りが高くなり、イールドカーブの形状は右肩上がりになる。これをスティープニング、スティープ化と呼ぶ。今後の金利上昇を予想した際には、現在の低い利回りでは、なるべく短期債で運用しようとするためである。そして短期債に人気が集まることで、利回りに低下圧力がかかる。

一方、現在の水準に比べて先行き金利が低下していくと読めば、逆に期間の長い債券が買われるため、右肩上がりの曲線が、直線に向かう。このことをフラットニング、フラット化と呼ぶ。

そして、さらに長い期間の債券ほど利回りが低くなると、イールドカーブの形状が右肩下がりになる。このことを逆イールドと呼ぶ。

債券は期間の長いものほど、債券利回りの変動に対して債券価格が大きく動くという特性を持っている。したがって、償還期間が長いほどリスクが高いということになる。

だからこそ、償還期間が長い債券には、それだけ利回りにプレミアムがついていると考えられている。このため、イールドカーブは右肩上がりを描くのが普通となる。しかし、右肩下がりの逆イールド現象もないわけではない。例えば、1989年7月ごろに日本でも長短金利が逆転するという現象が生じた。このときは、度重なる日銀による公定歩合の引き下げが大きな要因であった。

このように、中央銀行の金融政策もイールドカーブの形状に大きく影響する。イールドカーブ上の一番左側にある一番期間の短いものは、中央銀行の政策金利に近い。そして長期金利は、物価や経済動向を見ながら、中央銀行が短期金利をどういった水準に持って行くのかを予想して、本来は形成されるはずなのである。

ところが日銀はこの市場で形成される長期金利を国債買入などを通じて無理矢理押さえ込もうとしているのが、長短金利操作付き量的・質的緩和政策である。無理矢理押さえ込まれてしまうと市場はまさに身動きがとれなくなり、売買高も低迷し、1日半も長期金利の値がつかないといった事態も生じてしまったともいえる。

金融政策が引き締めから緩和に移ると、イールドカーブのスティープニングがさらに進むことがある。これは足元の金利の引き下げによって今後、景気が回復して資金需要が起きるという期待や、物価が上昇してくるとの観測が出ることで、長期金利が上昇するためである。しかし、日銀はこの長期金利まで物価目標達成のためとして押さえ込んでいる。この政策に物価を上げる経路がそもそも存在しているのかという疑問もあるが、それ以上に中央銀行が市場に関与し過ぎる事での弊害が見えないかたちで膨らんでいることも確かであろう。


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by nihonkokusai | 2017-05-05 15:22 | 国債 | Comments(0)
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