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カテゴリ:国債( 826 )

壊されたJGBアラート、財政規律を無視するな

 9月22日に財務省で国債市場特別参加者会合が開催された。国債市場特別参加者とは、いわゆるプライマリー・ディーラーであり、まさに国債市場の専門家集団ともいえる。今回はこの会合の議事要旨から、「最近の国債市場の状況と今後の見通しについて」との意見のなかから特に財政規律に関する発言をピックアップしてみた。

 「(国債の)価格発見機能については、財政拡大という話が出た際に、本来、利回りが上がって、そういった動きをけん制する機能があったところ、現在のマーケットの中には見られない。こうした状況が長期化するに従って、本来あるべき価格との乖離が大きくなっていく。こうした事態をこのまま見過ごしていいのかという懸念は絶えず持っている。」

 「足元、政府が本来よりもはるかに安い金利でファンディングできる環境にあり、この間に財政健全化を進めること、金融政策の正常化が進められた場合に十分に対応できるよう市場環境を整備すること、年限毎の国債発行残高の構成を検討すること等の政策を是非積極的に実施してほしい。」

 「昨日に中国の国債の格付が引き下げられたが、将来的に日本国債の大幅な格下げがあると、金融機関の外貨ビジネスの活路が断たれてしまう。財政健全化に向けた動きは緩めるべきではない。」

 「市場の発信機能の低下が挙げられる。本来、財政規律、景気の好不調、今後の経済見通し等に対して、市場は様々なサインを発信するが、ボラティリティが低下していることによって、市場の発信機能が低下している。金融当局及び発行当局は、市場からのサインを見て政策判断を行っていくことが望ましいが、発信機能が低下していくことによって、結果として政策判断を間違えるリスクが高まっている。」

 安倍首相は25日の午後6時から記者会見を開き、28日召集の臨時国会の冒頭で衆院を解散する考えを表明した。消費税の増収分の使途変更を表明した上で、2兆円規模の新たな経済対策を年内に策定する意向を示した。

 アベノミクスと呼ばれたリフレ政策は国債そのものが道具にされた。日銀が国債を大量に買い入れることで物価上昇を狙ったが、そんな簡単に物価が上がるものではなく、国債市場の機能不全と実態経済に即しない長期金利の押さえ込まれた状態が続いている。

 このような状況は非常時に行うべきものであるはずなのにも関わらず、日本の景気は「いざなぎ」を超えた可能性が高いそうである。これが日銀の異次元感のおかげと判断するのは勝手だが、それならそれで結果が出ているのであれば日銀の異次元緩和を緩めても良いのではなかろうか。

 今回の選挙はそんな歪んだ状況を修正してくれる選挙になるのではとの期待があった。しかし、台風の目となりそうな希望の党も景気が実感を伴って回復するまでの消費増税の凍結を打ち出している。そうなると現在の日銀の異次元緩和ありきの政策が想定される。これがどのようなリスクを含んでいるのかは、上記の国債市場参加者の発言をみればわかろう。財政リスクはないのではなく、力尽くで見せなくしているだけである。国債の価格発見機能も日銀によって押さえ込まれている。

 発信機能が低下していくことによって、結果として政策判断を間違えるリスクが高まっている、との指摘があったが、今回の選挙でも政策判断を間違える可能性は十分にありうる。この前提にあるのが国債市場がおとなしくしてくれていれば、ということになろう。そうしたいのであれば、まずは財政規律を維持することを重視すべきで、それを最も重視しているのが、リフレ政策を採用していた安倍首相という皮肉な状態となっている。


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by nihonkokusai | 2017-09-27 09:51 | 国債 | Comments(0)

日銀は日本国債の4割を保有

 日銀は9月21日に資金循環統計(4~6月期速報値)を発表した。これによると個人の金融資産は6月末時点で約1832兆円となり、株価の上昇傾向などを背景に過去最高を更新した。3月末時点では約1808兆円となっていた(改定値)。個人の金融資産の内訳は、現金・預金が「前年比」で2.6%増の約945兆円となった。株式等が同22.5%増の約191兆円、投資信託も15.6%増の約100兆円となっていた。

 この資金循環統計を基に国債(短期債除く)の保有者別の内訳を算出してみた。

 残高トップの日銀の国債保有残高は401兆8899億円、41.3%のシェアとなった。前期比(速報値)からは15兆1143億円の増加。残高2位の保険・年金基金は233兆2975億円(24.0%)、6999億円減。残高3位は預金取扱機関(都銀や地銀など)で182兆1565億円(18.7%)、7兆8609億円減。4位が海外投資家で57兆3831億円(5.9%)、8147億円増。5位が公的年金の46兆8594億円(4.8%)、2兆1544億円減。6位が家計の12兆2544億円(1.3%)、2719億円減。その他が39兆586億円(4.0%)、3096億円増となっていた。

 2017年3月末に比べ国債(短期債除く)の残高は5兆2515億円増加し、972兆8994億円となった。

 3月末に比べて大きく増加したのは、国債を買い入れている日銀でシェアは4割を上回っている。今回も前期比で増加したのは「海外」と「その他」となっていた。

 3月末に比べて大きく減少したのは国内銀行で3兆7886億円の減少となっていた。また、中小企業金融機関等(ゆうちょ銀行含む)も減少させており、3兆5881億円の減少となった。

 短期債を含めた国債全体の数字でみると残高は約1085兆円となり、日銀が約437兆円で40.3%のシェアとなっていた。短期債を含めたもので40%を超えたのははじめてとなった。そして海外勢の残高は約117兆円と短期債を含めると国債全体の10.8%のシェアとなっていた。海外については、世界最大の政府系ファンドが日本国債の保有額を削減するとしており、今後保有シェアが後退する可能性がある。


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by nihonkokusai | 2017-09-23 15:22 | 国債 | Comments(0)

米国債保有高、中国がトップをキープ

 米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、7月の国別の米国債保有高のトップは2か月連続のトップとなり、日本は2位のままとなった。

「MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES」 http://ticdata.treasury.gov/Publish/mfh.txt

 7月の中国(China、Mainland)の米国債保有高は1兆1660億ドルとなった。2位は日本で1兆1131億ドルの保有高となった。上位10か国は次の通り(単位、10億ドル)

中国(China, Mainland)  1166.0

日本(Japan)  1113.1

アイルランド(Ireland)  310.8

ブラジル(Brazil)  271.9

ケイマン諸島(Cayman Islands ) 259.2

スイス(Switzerland)  244.8

英国(United Kingdom) 229.7

ルクセンブルグ(Luxembourg )213.0

香港(Hong Kong)  199.1

台湾(Taiwan) 182.5

 ベスト10の顔ぶれは前回と同じで順位にも変化はなかった。日本は昨年10月に中国を抜いて米国債保有額でトップとなっていたが、今年6月に再び中国に抜かれ、7月も2位のままとなった。日本も中国も6月からそれぞれ2230億ドル、1950億ドル増加させたが順位に変動はなかった。

 中国の外貨準備高は6か連続で増加し、7月には3兆ドルを突破し、3兆800億ドルに達した。これが中国による米国債買入の原資となっていることは確かである。為替介入(ドル売り元買い)が減少してきたことも影響しているようである。

 米10年債利回りの推移をみると7月7日の2.4%近辺をピークに低下(価格は上昇)傾向となり、9月8日頃に2%近くまで低下していた。このため、8月も引き続き米国債の保有額を日本、中国ともに増やしている可能性がある。問題は金利が上がりだした9月の動向になると思われる。


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by nihonkokusai | 2017-09-20 09:50 | 国債 | Comments(0)

財政リスクを見えづらくさせている日銀の長期金利操作

 財務省は2018年度の概算要求で、国債の元利払いに必要な想定金利を1.2%に設定する。17年度予算の概算要求時点から0.4%引き下げる。国債費は足元で国の一般会計の4分の1を占める巨額な歳出項目で、社会保障費に次ぐ。現段階での国債費の見込み額は、23兆8214億円(日本経済新聞の記事より)。

 日銀による長短金利操作付き量的・質的緩和により、長期金利も日銀のコントロール下に置かれた。2%の物価目標を達成させるためのひとつの手段とし、その10年物国債金利(長期金利)がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行うとしている。

 長短金利操作付き量的・質的緩和の導入以降の長期金利の動向とそれに対応した日銀による指し値オペなどを含む買入状況をみると、このゼロ%程度というのはマイナス0.1%あたりからプラス0.1%あたりのレンジとなっていると予想されている。

 金融政策の目標となっている消費者物価指数(除く生鮮食料品)の前年比は直近に発表された6月の数字でプラス0.4%となり、2%には届いていない。2%程度に達する時期について、2018年度頃になる可能性が高いと日銀は指摘している(7月発表の経済・物価情勢の展望より)。

 物価目標は来年度中に達成する見込みがないことを日銀が示している以上は、今後は何かしらの変動要因が生じるようなことがない限り、長期金利は0.1%以下に抑えられる可能性が高いともいえる。

 これを反映して財務省は国債の元利払いに必要な想定金利を1.2%に引き下げた。それでもまだ高い水準にはある。これは、あらかじめ想定金利を高めに設定することで「余裕財源を確保する」という目的も意識か(日経新聞の記事より)。

 また、日銀が長期金利をコントロールしているとはいえ、長期金利が市場で決定されている以上はブラックスワンリスクも存在し、日銀が抑えきれなくなる事態も可能性は極めて低いながらも存在する。

 原油価格の急騰といった何かしらの事態で物価そのものが跳ね上がる可能性もまったくないわけではない。このためある程度、実勢に比べて余裕を持ち高めに設定しているものと思われる。

 長期金利が極めて低い水準で抑えられていることで、結果として利払い費も抑えられている。今後長期金利が上昇してくるとなれば、国債残高が過去最高水準を更新続けている現状下、大きな負担になることも予想される。

 国債残高が膨れあがる過程で、長期金利はじりじりと低下基調となっていることで、国の予算のなかでの国債の利払い費は抑えられている。ここで長期金利が上昇してくるとなれば、じわりじわりと国の予算を圧迫する事態も予想される。日銀の長短金利操作付き量的・質的緩和はそういったリスクも見えなくさせており、この点も注意しておく必要は当然あろう。



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by nihonkokusai | 2017-08-24 10:08 | 国債 | Comments(0)

米国債保有高、日本を抜いて再び中国がトップに

 米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、今年6月の国別の米国債保有高のトップは中国が日本を抜いて再びトップの座を奪い返した。

「MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES」 http://ticdata.treasury.gov/Publish/mfh.txt

 6月の中国(China、Mainland)の米国債保有高は1兆1465億ドルとなった。2位は日本で1兆908億ドルの保有高となった。上位10か国は次の通り(単位、10億ドル)

中国(China, Mainland)  1146.5

日本(Japan)  1090.8

アイルランド(Ireland)  302.5

ブラジル(Brazil)  269.7

ケイマン諸島(Cayman Islands ) 254.0

スイス(Switzerland)  244.5

英国(United Kingdom) 237.3

ルクセンブルグ(Luxembourg )211.7

香港(Hong Kong)  202.6

台湾(Taiwan) 184.4

 日本は昨年10月に中国を抜いて米国債保有額でトップとなっていたが、ここにきて中国による米国債保有高が増加してきたことで、中国に抜かれた格好となった。  中国の外貨準備高は6か連続で増加し、7月には3兆ドルを突破し、3兆800億ドルに達した。これが中国による米国債買入の原資となっていることは確かである。為替介入(ドル売り元買い)が減少してきたことも影響しているようである。

 ただし、日本については、8月8日に公表された6月の国際収支の付表によると米債を1兆2429億円買い越しとなっていた。米財務省のデータによると5月から205億ドル減少となっており、違いが生じている。米国債国別保有残高は後ほど修正が加えられることもあるため、注意も必要か。


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by nihonkokusai | 2017-08-17 09:39 | 国債 | Comments(0)

ギリシャが3年ぶりに国債発行を再開したことの意味

 ギリシャ政府は25日に3年ぶりに国債発行を再開し、5年債で30億ユーロ(3900億円)の国債を発行した。

 今年の6月には増税や年金の削減などの構造改革が進んだとして、一時中断されていた融資が再開され、ユーロ圏は85億ユーロの追加融資に応じると決めた。さらに今月20日に、債務軽減策の具体化を条件に国際通貨基金(IMF)が融資再開を決めたことで国債発行再開が可能となった。

 今回の5年債の発行利回りは4.625%と2014年4月に発行した5年債の利回り4.950%を下回った。これはECBの緩和政策によりで国債利回りが低下していることも追い風となった。ただし、投資家の申込額は計65億ユーロと3年前の200億ユーロには及ばなかった。

 ギリシャ政府は現行の第三次金融支援が期限切れを迎える来年の8月までに複数回の追加発行を目指す考えも示している。

 このギリシャによる国債再発行の背景には、緊縮財政を政府が進めていることがあり、チプラス首相はさらなる緊縮財政を行うことを約束している。しかし、これに対しては国民の反発も大きいようである。それでも、少なくとも国債発行を再開できるところまで、特に市場の危機感が後退しているということを示すものとなろう。

 ECBのドラギ総裁は20日の理事会後の記者会見で「(声明文の変更などの)議論は秋に行う」と明言した。これは緩和バイアスの解除を検討するのではないかと観測がある。 ドラギ総裁は今年のジャクソンホール会合に3年ぶりに出席するが、ここで何かしらの政策変更の示唆があるに違いないとの観測を市場は抱いている。そこに「議論は秋に行う」と示した以上、緩和バイアスの解除に向けたスケジュールは存在している可能性がある。

 ECBのメルシュECB専務理事は「状況が正常化する中で、非伝統的政策が引き続き必要になる可能性は低い」と発言していた。ECBの緩和バイアスの解除そのものの理由はまさにここにある。状況が正常化していることを示す象徴的なものとして、このギリシャによる国債発行の再開があげられよう。


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by nihonkokusai | 2017-07-27 10:07 | 国債 | Comments(0)

3月末に日銀の日本国債保有シェアは4割に膨れ、銀行の保有額は大きく減少

日銀は6月27日に資金循環統計(1~3月期速報値)を発表した。これによると個人の金融資産は3月末時点で約1809兆円ととなった。12月末時点では約1815兆円となっていた(改定値)。

個人の金融資産の内訳は、現金・預金が「前年比」で2.3%増の約932兆円となった。株式等が同7.9%増の約181兆円、投資信託も7.2%増の約99兆円となっていた。

この資金循環統計を基に国債(短期債除く)の保有者別の内訳を算出してみた。残高トップの日銀の国債保有残高は386兆7756億円、40.0%のシェアとなった。前期比(速報値)からは15兆9503億円の増加。残高2位の保険・年金基金は233兆9974億円(24.2%)、2兆4694億円。残高3位は預金取扱機関(都銀や地銀など)で190兆174億円(19.6%)、13兆5640億円。4位が海外投資家で56兆5684億円(5.8%)、3兆4680億円。5位が公的年金の49兆138億円(5.1%)、2022億円。6位が家計の12兆5263億円(1.3%)、2020億円。その他が38兆7490億円(4.0%)、6兆5862億円となっていた。

2016年12月末(確報値)に比べ、国債(短期債除く)の残高は9兆5669億円減少し、967兆6479億円となった。

12月末(確報値)に比べて大きく増加したのは、国債を買い入れている日銀でシェアは4割となった。今回前期比で増加したのは、ほかに「海外」と「その他」となっていた。

もう少し細かい区分けで見てみると、12月末に比べて大きく減少したのは国内銀行で約8兆円の減少となった。中小企業金融機関等(ゆうちょ銀行含む)も約5兆円減、企業年金の1兆円減となっていたのに対し、ディーラー・ブローカーは4兆円程度増となっていた。

短期債を含めた国債全体の数字でみると残高は約1083兆円となり、日銀が約427兆円で39.5%のシェアとなっていた。そして海外勢の残高は約116兆円と短期債を含めると国債全体の10.8%のシェアとなっていた。


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by nihonkokusai | 2017-06-28 09:54 | 国債 | Comments(0)

4月の米国債保有高はかろうじて日本がトップをキープ

米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、今年4月の国別の米国債保有高のトップは引き続き日本がキープしていた。

4月の日本の米国債保有高は1兆1069億ドルとなった。2位は中国(China、Mainland)で1兆922億ドルの保有高となった。上位10か国は次の通り(単位、10億ドル)

日本(Japan)  1106.9

中国(China, Mainland)  1092.2

アイルランド(Ireland)  299.9

ブラジル(Brazil)  267.7

ケイマン諸島(Cayman Islands ) 256.8

スイス(Switzerland)  234.1

英国(United Kingdom) 231.5

ルクセンブルグ(Luxembourg )212.1

香港(Hong Kong)  196.6

台湾(Taiwan) 185.6

4月に日本国内の居住者による対外債券(中長期債)投資は4兆2559億円の処分超となり、月次の売り越し額としては過去最大規模となっていた。内訳をみると米国のソブリン債(中長期)を3兆6642億円も売り越していた。ソブリン債とは主に国債のことを示すため、米国債を大量に売却していたのである。このため、4月は場合によると米国債保有高で再び中国に逆転されるのではないかと思われたが、かろうじてトップをキープしていた。

2位中国の外貨準備は2017年1月に3兆ドルを下回っていたが、4月末の外貨準備高は3兆300億ドルと3か月連続で増加し、中国の米国債保有は今年1月以降は増加傾向にある。

6月8日に公表された5月の対外対内証券投資売買契約の状況では、今度は 3兆1074億円の買い越しとなっていた。米国債利回りは5月11日あたりに2.4%台に上昇後、直近では2.1%台にまで低下しているが、これは日本の投資家による買いも影響していた可能性がある。このため、5月の米国債保有高も日本がトップをキープすることが予想される。


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by nihonkokusai | 2017-06-24 16:15 | 国債 | Comments(0)

国債の基礎知識、約定日と決済日、入札日と発行日の関係

国債など有価証券の取引には約定日(売買した日)と決済日(資金と証券の受渡日)が存在している。この関係は国債の入札日と発行日の関係にもあたる。つまり売買を行った日と別に決済日・発行日が存在している。これは個人が国債を購入する際などは注意する必要がある。

例えば個人向け国債では、5月募集分は募集期間が5月11日から5月31日に設定されている。この募集期間内に購入した個人向け国債はすべて6月15日が発行日となる。つまり、銀行預金などと異なり、個人向け国債の利子が付くのは現金を証券会社などに入金した日からではなく発行日からとなる点に注意する必要がある。これは募集という発行形式をとっているためでもある。

国債や株式などの有価証券にはそれを売買した日(約定日)とは別に決済日が設けられており、実際に有価証券を所有した日は決済日となる。つまり利子は決済日から付くことになる。これは券面と現金との受け渡しの手続きに時間が必要であったためである。たとえば遠隔地での取引で実際に券面を確認する必要性があったためである。

国債など債券についてはペーパレス取引、つまり券面の発行はせず電子上での決済となっていることで、約定日から売買約定日から起算して原則3営業日目の日に受渡し決済を行っている。これをさらに短縮して来年5月から売買約定日から起算して原則2営業日目の日に受渡し決済を行うことが検討されている。

これに対して株式市場では通常売買日を含めて4営業日目に行われているのは、国債などに比べてペーパレス化等が遅れたためとみられる。その株式の決済についても2019年から1日短縮される見通しとなっている。

国債の入札も財務省と業者の国債の売買契約となるため約定日ということになり、それとは別に発行日(受渡日)が設けられている。これは約定日と決済日の関係と同じであるが、諸々の理由で国債の償還月は発行日20日になるなどしていた。それを一部2年債などを除いて来年5月からT+1に統一しようとの動きとなっている。


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by nihonkokusai | 2017-06-02 09:27 | 国債 | Comments(0)

来年5月の国債決済期間の短縮に合わせ、国債の発行日もT+1に

財務省は新発国債の入札から発行までの「決済期間」について、入札の翌営業日にそろえる方針だと5月31日の日経新聞が報じた。

国債など有価証券の取引には約定日(売買した日)と決済日(資金と証券の受渡日)が存在している。これは入札における入札日と発行日の関係と同じものとなる。

国債の決済に関しては、2012年4月23日約定分から「T+2」に決済を行うようになった。つまり売買約定日から起算して原則3営業日目の日に受渡し決済を行っている。

このため国債入札に関しても5年債、10年債、20年債、30年債については、入札日を含めた3営業日目の日(T+2)が発行日となっている。ただし、3月、6月、9月、12月のいわゆる国債の償還月については、20日が発行日となっている(20日が休日の場合は翌営業日)。

償還月の発行日が20日となっているのは、償還を迎えた国債への再投資を円滑に進めるなどの理由があった。ただし、これだと入札日から発行日までの期間が大きく空いてしまうことになる。たとえば今日6月1日入札の10年国債の発行日は6月20日である。これに対して5月9日に入札された10年国債の発行日は11日であった。

償還月の発行日が20日となっていることで、実は日銀の国債買入にも影響が出ていた。日銀は発行されていない国債を購入することはできない。つまり発行日を過ぎないと買入対象とならないのである。償還月に際しては20日まで日銀が買入対象にできないため、国債を入札した業者は期間リスクを負うことになる。

また2年債については償還月等に関わらず、入札日のあった月の翌月15日が発行日となる。これは年金支払いに併せていたもののようである。

国債の決済についてはT+1に向けての検討が進められている。つまり売買約定日から起算して原則2営業日目の日に受渡し決済を行うことが検討されている。日本証券業協会の国債の決済期間の短縮化に関する検討ワーキング・グループの報告によると国債取引の決済期間T+1化については平成30年5月1日(火)約定分から実施することを予定している。

「国債取引の決済期間T+1化等の実施予定日について」日本証券業協会

http://market.jsda.or.jp/shiraberu/saiken/content/jisshiyoteibikouhyou.pdf

この国債決済のT+1化に合わせ、国債の入札についても発行日をT+1、つまり入札の翌営業日にすることになる。その際、これまで20日としていた償還月の発行日もT+1に統一する予定とみられる。ただし2年債については発行日が翌月と月跨ぎとなっていることからT+1への移行ではなく、翌月15日の発行から1日の発行に前倒しされる見込みのようである。

決済日や発行日までの短縮は、電子上の決済となり券面等の受け渡しは必要がなくなっていることで、決済リスクの軽減や、償還資金で新発債を購入する需要が薄れつつある現状を踏まえたものとされるが、日銀の国債買入への対応という側面が大きいとみられる。


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by nihonkokusai | 2017-06-01 10:08 | 国債 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


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