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カテゴリ:国債

  • 日本国債を買っていたのはどこの国か
    [ 2012-05-11 09:58 ]
  • 今年に入り米国債の保有高を増加させている中国
    [ 2012-05-01 10:43 ]
  • 2月の対外・対内の国債投資
    [ 2012-04-10 10:17 ]
  • 今年も赤字国債発行法案の成立は目途が立たず
    [ 2012-04-08 07:27 ]
  • 消費増税の動向に鈍感な国債市場
    [ 2012-03-29 09:50 ]
  • 日本国債の保有者、海外シェアがさらにアップ
    [ 2012-03-24 10:17 ]
  • 1月の米国債国別保有残高
    [ 2012-03-23 09:48 ]
  • 西村日銀副総裁によるボルカー・ルールに関する発言より
    [ 2012-03-08 09:58 ]
  • 経常収支と国債の関係
    [ 2012-03-07 10:04 ]
  • 個人向け復興国債が他の個人向け債券より優れているポイント
    [ 2012-03-06 09:59 ]

日本国債を買っていたのはどこの国か

 財務省は5月10日に3月の国際収支(速報)を発表した。これによると経常収支は1兆5894億円の黒字となった。2月に再び黒字に転じていたことで2か月連続での黒字となった。

 国際収支の発表には、付表として対外・対内直接投資、対外・対内証券投資も発表されている。このうち3月の対外・対内証券投資を確認してみたい。

国際収支状況 報道発表資料(発表日別)、財務省 http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/release_date.htm

 主要国・地域ソブリン債への対外証券投資を見てみると、米国のソブリン債への国内からの投資は、ネットで3月は1兆686億円の所得増と2月の1兆1146億円とほぼ同規模の取得増となっていた。

 ユーロ圏の国債については、ドイツのソブリン債への投資はネットで3月は1844億円の増加となった。2月は332億円の減少。同様にフランスはネットで2月は1747億円の増加。2月は9929億円の増加。 そしてイタリアは3月は1221億円の減少、2月も1871億円の減少。英国は3月が1025億円の減少に。2月も2783億円の減少。

 日本国債に対する対内証券投資を見てみると、3月はネットで3兆727億円の減少となった。2月は8276億円の増加。3月は中長期債が1兆7721億円、短期債が1兆3007億円の流出に。この処分超の要因としては、3月の国債の大量償還等によるものと思われる。

 ちなみに5月10日に発表された4月の対外及び対内証券売買契約等の状況(月次・指定報告機関ベース)によると、対内証券投資については長期債が9070億円、短期債が7443億円のそれぞれ取得超となっている。

 3月の対内証券投資の地域別内訳から、中長期債と短期債の流出が多い国を探ってみると、これまで日本国債を購入していた国が浮かび上がる。

 中長期債の流出が大きいのは、英国が9020億円、フランスが3563億円、中国が1961億円の流出となっていた。それに対し米国からは1477億円の流入となっていた。

 そして、短期債の流出が大きいのは、ルクセンブルグ2兆2821億円、フランス1兆8205億円、国際機関9528億円、シンガポールの6526億円、米国の4207億円、UAEが3590億円、ケイマン1237億円、ベルギー1160億円、ブラジル1000億円のそれぞれの流出となっていた。

これに対して英国は5兆7465億円もの流入増となっており、2月の6兆1048億円、1月の5兆3758億円の流入と同規模の買越しとなっていた。引き続き、ヘッジファンドなどを通じての資金が大量に日本の短期債に流入しているとみられる。


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by nihonkokusai | 2012-05-11 09:58 | 国債 | Trackback | Comments(0)

今年に入り米国債の保有高を増加させている中国

 米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES、http://www.ustreas.gov/tic/mfh.txt)によると、今年2月の日本の米国債(短期債含む)保有残高は1兆959億ドルとなり、1月の1兆828億ドルから増加した。

 これに対してトップの中国も1兆1789億ドルと、1月の1兆1662億円から増加した。中国による米国債保有額は昨年末にかけて減少傾向となっていたが、今年に入り再び増加基調となっている。中国は保有する外貨準備の運用の多様化を進めているとみられているが、結局は米国債主体に運用せざるを得ない状況となっているのではなかろうか。

 上位10か国は次の通り(単位、10億ドル)。中国(China, Mainland)1178.9 、日本(Japan)1095.9、石油輸出国(Oil Exporters) 264.5、ブラジル(Brazil)225.5、カリブ海の金融センター(Carib Bnkng Ctrs)223.8、台湾(Taiwan)178.1、スイス(Switzerland)148.1、ロシア(Russia)142.1、香港(Hong Kong)140.5、ルクセンブルグ(Luxembourg)138.3。

 米国債保有国の上位陣の動向を見る限り、1月から2月にかけては日中が残高をやや増やし、それ以外はほぼ現状維持となっていた。

 1月25日のFOMCでは、事実上のゼロ金利政策を解除する時期を、これまで公表してきた来年の半ばから1年余り先延ばしし、物価に対して特定の長期的な目標(goal)としてPCEの物価指数での2%に置くことを決定した。これをきっかけに一時崩れかけていた米国債は再び買われ、1月末に米国10年債利回りは1.8%近辺に低下し、その後も比較的安定した動きをしていた。

 その後の米国債の動きを見ると、3月13日のFOMCあたりまでは高値圏での推移が続くことになる。しかし、3月のFOMCでは、FRBが景気に対して明るい見通し示したことなどをきっかけに、米債は急落し10年債利回りは2.4%近くまで上昇している。この際に米国債国別保有残高に大きな変化があったのかどうか。来月発表される米国債国別保有残高に注目したい。


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by nihonkokusai | 2012-05-01 10:43 | 国債 | Trackback | Comments(0)

2月の対外・対内の国債投資

 財務省は4月9日に2月の国際収支(速報)を発表した。これによると経常収支は1兆1778億円の黒字となった。1月はリーマン・ショック後の2009年1月以来の単月での経常赤字となり、単月での経常収支の赤字幅としては過去最大となっていたが、2月は再び黒字に転じた。

 国際収支の発表には、付表として対外・対内直接投資、対外・対内証券投資も発表されている。このうち2月の対外・対内証券投資を確認してみたい。

 主要国・地域ソブリン債への対外証券投資を見てみると、米国のソブリン債への国内からの投資は、ネットで2月は1兆1146億円の所得増と1月の1兆1167億円と同様規模の取得増となっていた。

 ユーロ圏の国債については、ドイツのソブリン債への投資はネットで2月は332億円の減少となった。1月は4538億円の増加となっていた。同様に、フランスはネットで2月は9929億円と大きく増加。1月は1572億円の増加。 そしてイタリアは2月は1871億円の減少、1月も664億円の減少。英国は2月が2783億円の減少に。2月は799億円の増加。

 米国のソブリン債への投資は中長期債主体に1兆円規模となり、またフランスのソブリン債も中長期主体に1兆円規模の買越しとなっていたが、あらためてフランス国債に買いが入った半面、ドイツや英国のソブリン債への投資はやや減少した。

 日本国債に対する対内証券投資を見てみると、2月はネットで8276億円の増加となった。1月は4169億円の増加、昨年12月は1兆8716億円の増加、11月は2兆2967億円の増加となっていた。これを見る限り、日本国債に対する海外からの投資の減少傾向はいったん歯止めがかかった格好に。

 対内証券投資の地域別内訳を見ると、短期債の中で目立つのが英国からの動きである。2月は6兆1048億円の買越しに。1月は5兆3758億円の買越し、12月が5兆7121億円の買越しとなっていた。ヘッジファンドなどを通じての資金が引き続き大量に日本に流入しているとみられる。

 2月の日本の短期債からの資金流出が大きかったのは米国の1兆7557億円の減少(1月は1兆2155億円の減少)、ルクセンブルグ1兆5484億円の減少(1月は5161億円減)、フランスの1兆11億円の減少(1月は1兆1474億円の減少)。

 以上を見る限り、英国からの日本の短期債への資金流入の勢いは継続していた。欧州の信用不安の高まりにより、リスク回避の資金が海外から日本の短期債に流入する動きは、1月はややブレーキが掛かった格好となっており、2月14日の日銀の追加緩和などもあり、円売り圧力も強まっていた。しかし、1月に比べトータルで短期債への流入資金が増加するなど、これを見る限りリスク回避の動きは継続しているように思われる。

 ちなみに日本の中長期債に対しては、中国が2688億円の減少、米国が1139億円の増加、英国が1659億円の減少、フランスが3136億円の増加となっていた。フランスからの買越しがやや目立つ程度か。ネット合計では65億円の減少となり、あまり増減はなかった。

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by nihonkokusai | 2012-04-10 10:17 | 国債 | Trackback | Comments(0)

今年も赤字国債発行法案の成立は目途が立たず

 4月5日に一般会計総額90兆3339億円の2012年度予算が成立した。日経新聞によると当初予算の成立が新年度にずれ込んだのは1998年以来14年ぶりとのこと。ただし、今年もまた財源を手当する赤字国債発行法案は、いまのところ野党の反対で成立の目途が立っていない。赤字国債発行法案が成立しないとなれば、38.3兆円分の執行ができなくなる。

 昨年も年度内に赤字国債発行法案は成立せず、法案成立は8月下旬まで遅れることとなった。昨年同様に当面の政策経費に対する資金繰りは、建設国債で賄える分とともに、月々の税収や政府短期証券の発行などで賄うことになろうが、ある意味綱渡りの状況となることに変わりはない。

 さらに今年度予算では、基礎年金の国庫負担割合を二分の一に維持するための「年金交付国債の発行法案」も成立していない。これについては、8日の日経新聞が見直す方向で調整に入ったと伝えている。赤字国債発行法案での自民、公明両党の協力を条件に、交付国債を赤字国債に乗り換える案が浮上しているとか。その場合、今年度の赤字国債がその分増額される可能性が出てくるが、前倒し発行の調整分などがあるため、国債需給そのものには大きな影響は与えないとみられる。

 ちなみに先日、公的年金資金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、年金給付のために積立金の一部を取り崩す金額は、8兆8711億円になると発表した。これは団塊世代が年金受給世代に入ってくることで、年金の支払い総額が増加する事に加え、交付国債の引き受け分が加わることで、その分の取り崩し分も加わり、取り崩し金額が前年度に比べて増加する予想となっていた。

 政府は、まずは消費増税引き上げ法案の成立を目指しており、それが可能となれば、赤字国債発行法案の発行法案も同時に成立させようとの意図なのであろうか。とにもかくにも、昨年もぎりぎりまで赤字国債発行法案は成立せずとも、政府封鎖のような事態には至らなかったこともあり、昨年ほどの緊迫感はいまのところない。しかし、収入が確約されていない状況で、新年度入りしてしまっていることに変わりはない。

 昨年8月には赤字国債発行法案の成立の目処が立ったことにより、いよいよ菅前首相の辞任の条件がひとつ揃うこととなり、その後の退陣へと繋がることとなった。今年も赤字国債発行法案の成立の目処が立ったころには大きく政局が変化している可能性がある。

 消費増税について野田総理は政治生命をかけていると発言しているが、いまのところ法案成立のめどはまったく立っていない。民主党内の増税反対派とともに、自民党など野党の動向次第の面もあろうが、先行きはかなり不透明感が強い。時間の経過とともに、消費増税だけでなく、赤字国債発行法案についても昨年同様に政争の具にされる可能性もあり、注意しておく必要がある。


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by nihonkokusai | 2012-04-08 07:27 | 国債 | Trackback | Comments(0)

消費増税の動向に鈍感な国債市場

 民主党執行部は消費税率を引き上げるための法案の事前審査で、前原政策調査会長は追加増税を削除するなど新たな修正案を示したうえで、今後の対応について一任を求め、28日未明に議論を打ち切った。

 これに対し消費税率の引き上げに慎重な議員らは「議論は尽くされていない」などとして強く反発している。政府は民主党の了承を経て、30日に閣議決定し国会に提出する方針だが、民主党内での造反リスクも高まっているという(28日日経新聞)。

 野田総理は消費増税に対して政治声明をかけると表明しているが、民主党内でも大きな壁が存在し、また連立を組む国民新党も反対している。もし衆院本会議での採決で、党内から50人あまりが造反すれば法案は否決されることとなる。自民党の行方も注目されるが、現在のところでは法案が成立する見込みは立っていないように思われる。

 日本の長期金利が低位安定している、つまり国債価格が安定している理由のひとつに、将来の増税の余地があるためとの見方がある。もしそうであれば、この消費増税を巡る動きは国債の売り要因となってもおかしくはないが、国債市場はほとんどこれを材料視していない。

 日本国債の需給が安定していることが価格安定の最大の要因であることも確かであろうが、消費増税の行方にここまで鈍感となっているというのも腑に落ちない。消費増税は間違いなく実施されるであろうとの楽観的な見方が市場を支配しているわけでもないはずである。むしろ、財政再建の先送りは今に始まったことではなく、もし今回、消費増税法案がたとえ廃案となろうが、それで国債を売ってもまた買い戻せざるを得ないとの認識であろうか。

 ユーロ圏の国では、ギリシャ発の信用不安により各国とも財政再建に向けた動きに神経質になっている。少しでも財政再建が遅れるような兆しがあると、当該国の国債が売られたりする。しかし、日本の場合には国債が長期にわたり安定消化され続けており、そう簡単には需給バランスが崩れることは想定しづらいため、思惑などによる売りは損失をもたらす結果になる可能性は確かに高い。つまり日本の場合には財政再建の遅れに対して、国債市場が警鐘を鳴らすようなことにはなっていない。だから消費増税反対派も強気の姿勢で臨める面もあるのかもしれない。


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by nihonkokusai | 2012-03-29 09:50 | 国債 | Trackback | Comments(0)

日本国債の保有者、海外シェアがさらにアップ

 23日に日銀は昨年10~12月期の資金循環統計を発表した。これによると2011年12月末時点の家計の金融資産は1483兆4822億円、金融資産・負債差額は1126兆6471億円となっていた。家計の金融資産は9月末より増加していたが、1500兆円近くでの頭打ち状態は続いている格好に。また、民間の非金融法人企業の現金・預金は204兆8121億円となっていた。これに対して一般政府の金融資産は473兆6671億円、金融資産・負債差額はマイナス625兆4282億円となっており、負債総額は1099兆953億円となっていた。

 この資金循環統計を基に、2011年12月末時点の国債保有者別の割合を算出してみた(国債・財融債のみ、国庫短期証券は含まず)。

 昨年12月末の国債(国債・財融債のみ)の残高は755兆3903億円と9月末から7兆1985億円増加した(速報ベース)。国庫短期証券を含むと920兆円規模となる。参考までに日銀の資金循環統計の数値は額面ベースではなく時価ベースとなっている。

 日本国債の最大の保有者は銀行など民間預金取扱機関となり、金額で274兆2246億円、全体に占める割合は36.3%となった。次に民間の保険・年金が198兆5191億円の26.3%、そして、公的年金が69兆7122億円の9.2%、日本銀行が67兆6307億円で9.0%、海外が50兆9099億円の6.7%、投信など金融仲介機関が36兆1849億円の4.8%、家計が28兆4541億円の3.8%、財政融資資金が7559億円の0.1%、その他28兆9989億円の3.8%となっていた。

 前回の2011年9月末に比べて残高が大きく増加していたのが民間の保険・年金で13兆906億円増(速報ベースの比較)となっていた。続いて日銀の4兆141億円増(同)、海外の3兆5059億円増と続く。これにより海外のシェアは6.3%から6.7%に上昇した。

 これに対して大きく減少していたのが、銀行など民間預金取扱機関で10兆497億円の減少となっていた。また、投信など金融仲介機関が3兆6288億円減、家計が1兆375億円の減となった。銀行などの売りに対して、保険や年金などが買い向かった構図となっていたようである。家計については5年固定利付きの個人向け国債の償還を迎え、この時期の個人向け国債の販売額そのものは回復してものの、その一部は預貯金等に流れたため残高そのものは減少したものとみられる。

 海外投資家の残高・シェアともに拡大しており、欧州の信用危機により日本国債への資金シフトを続けていたことが、この数字からも伺える。国庫短期証券を含んだ数字でみると、海外は全体の8.5%のシェアとなり(日銀の参考図より表)、これまで最高だった2008年9月末の8.5%に並ぶ水準となったようである。


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by nihonkokusai | 2012-03-24 10:17 | 国債 | Trackback | Comments(0)

1月の米国債国別保有残高

 米財務省が発表した2012年1月の米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES、http://www.ustreas.gov/tic/mfh.txt)によると、日本の米国債(短期債含む)保有残高は1兆790億ドルとなり、昨年12月の1兆582億ドルから増加した。

 これに対してトップの中国も1兆1595億ドルと昨年12月の1兆1519億円から増加した。中国による米国債保有額はここにきて減少傾向となっていたが、1月は久しぶりの増加となった。

 上位10か国は次の通り(単位、10億ドル)。中国(China, Mainland)1159.5 、日本(Japan)1079.0、石油輸出国(Oil Exporters) 258.8、ブラジル(Brazil)229.1、カリブ海の金融センター(Carib Bnkng Ctrs)227.8、台湾(Taiwan)177.9、スイス(Switzerland)145.4、ロシア(Russia)142.5、英国(United Kingdom) 142.3、ルクセンブルグ(Luxembourg)138.7。

 米国債保有国の上位陣の動向を見る限り、昨年12月から1月にかけては残高をやや増やすか現状維持となり、やや減少が目立ったのはルクセンブルグ(150.6→138.7)ぐらいであった。

 外為市場でのユーロの動きをみると1月半ばあたりから、徐々にユーロが買い戻されるなど、この動きを見る限り欧州の信用不安は後退しつつあった。欧州の信用不安により安全資産として米国債も買い進まれていたが、1月にその反動売りも入った。

 ところが1月25日のFOMCでは、事実上のゼロ金利政策を解除する時期を、これまで公表してきた来年の半ばから1年余り先延ばしし、物価に対して特定の長期的な目標(goal)としてPCEの物価指数での2%に置くことを決定した。これをきっかけに一時崩れかけていた米国債は再び買われ、1月末に米国10年債利回りは1.8%近辺に低下したのである。

 その後の米国債の動きを見ると、3月13日のFOMCまでは高値圏での推移が続くことになる。結局、FOMCの時間軸の長期化なども手伝って、1月の米国債国別保有残高についても大きな動きはなかったものと思われる。


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by nihonkokusai | 2012-03-23 09:48 | 国債 | Trackback | Comments(0)

西村日銀副総裁によるボルカー・ルールに関する発言より

 日銀の西村副総裁がワシントンで行った講演の内容が日銀のサイトにアップされた。この中でボルカー・ルールについてのコメントがあった。

 ボルカー・ルールとは、2010年7月に米国で成立した米金融改革法(ドッド・フランク法)の柱となるルールのことである。施行は今年7月の予定となっている。これは1933年銀行法、いわゆるグラス・スティーガル法に比肩する包括的な金融規制改革とも評されている。

 これについて西村副総裁は、ボルカー・ルールの背景にある基本的な考え方については、大いに賛同しているとしているが、下記の注意点を指摘している。

 「ユーロ圏危機が続く下では、各国の政策当局者は新たなルールを導入する際、これがもたらし得る意図せざる影響については、特に現在の局面において海外ソブリン債市場に及ぼす影響という側面からも、十分に注意することが求められます。加えて、中央銀行にとって、ソブリン債市場は金融政策の主要なトランスミッション・メカニズムの中核であり、その流動性の問題には留意することが求められます。 」

 つまりはこの規制により、ソブリン債、つまりは国債などの流動性に影響を与える可能性への影響を指摘し、それはつまり国債が中央銀行の金融政策の中核的な役割を担っているため、こちらにも影響を与えかねないと指摘している。

 ボルカー・ルールは「銀行による、短期の利得獲得を狙った自己勘定でのトレーディングを制限することを狙い」としているが、「どのように関連規則が書かれ、どのように運用されるかによって、このルールは、マーケットメイク活動や市場流動性に重大な影響を及ぼし得ます。」と西村副総裁は危惧している。

 「現時点での規制案によれば、米国債および多くの米国エージェンシー債はこのルールの適用から除外されています。このことは、明らかに米国当局が、これらの債券の円滑な取引の確保、およびそのためのマーケットメイク活動の重要性を、十分認識しておられることを示しているように思います。」

 これはつまり、このルールの規制案で米国債を除外したのは、国債の流動性等が非常に重要なものであり、それに支障が出ると金融システムそのものにも影響を与えかねないためであろう。

 「市場の流動性は、言うまでもなく、米国債以外の国債にとっても重要です。しかしながら、現状の規制案は、日本やカナダ、欧州諸国などの国債は適用除外としていません。したがって、仮にボルカー・ルールが字句通り厳格に施行されれば、海外ソブリン債市場の流動性を損なう可能性もあると考えられます。」

 もし日本国債も除外されなければ、日本国債を保有する米国の金融機関に影響を与えかねず、それは日本の国債市場にも大きな影響を与えかねない。これは日本だけでなく、カナダや欧州諸国も同じ危惧を抱いていると思われる。

 もう一つの問題として、西村副総裁は短期の為替スワップへの規制の可能性についても次のように危惧している。

 「短期の為替スワップが、現状の規制案ではボルカー・ルールの適用対象となり得ることも挙げられます。このことは、為替スワップを通じた金融機関の外貨流動性調達が、より困難となるリスクを孕んでいます。このことも、とりわけ外貨流動性の調達環境が世界的にタイト化している状況では、多くの金融機関にとっての関心事となり得ます。 」

 西村総裁は「市場参加者の一部は、ボルカー・ルールがどのようにソブリン債市場や資金調達環境に影響を及ぼすのかについて、不確実性を払拭しきれていないように伺われます。」とコメントしているが、市場にとってこれはかなりの不安材料にもなりかねない。

 「とりわけ、欧州ソブリン債市場の緊張が高まっている中、ドッド=フランク法の施行が、海外のソブリン債市場や金融機関の資金調達に及ぼす影響を、十分慎重に見極めることが重要です。」(西村日銀副総裁)

 日本だけでなくカナダや欧州にも大きな影響を及ぼしかねないことから、適用除外の対象を日本国債などにも拡大することが求められる。ただし、もし拡大されるとしても、その適用対象のラインをどこにするのかといった問題も残り、今後の行方についても注目しておく必要がありそうである。


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by nihonkokusai | 2012-03-08 09:58 | 国債 | Trackback | Comments(0)

経常収支と国債の関係

 3月6日付けの日経新聞の経済教室では、早稲田大学の谷内満教授が経常収支問題を考えるとして「赤字転落を嘆く必要なし」との論文を寄稿している。この中で、経常収支と国債に関するコメントがあり、今回はこの論文を元に特に経常収支と国債の関係を見てみたい。

 まず貯蓄と投資とのバランスの部分をチェックしてみたい。谷内教授は「家計貯蓄は1980年代以降、高齢化を反映して趨勢(すいせい)的な低下傾向にある。財政赤字が拡大し家計貯蓄が減れば、日本の経常収支黒字は減少しそうだが、GDP比でみると90年代の平均2.4%から2000年代平均では3.3%に拡大している」

 その理由として、「その背景には企業部門の大きな変化がある。企業貯蓄が増加する一方、企業の投資が減少傾向にあるので、企業の貯蓄・投資差がプラスで拡大している」点を指摘している。

 つまり企業活力の低下により、家計に代わり企業が日本の経常収支の黒字を支えてきたということになる。このため谷内教授は、「先行きの展望が開けない中での企業の投資行動も大きく変わらず、企業利益を支える低金利も続くと思われるので、近い将来経常収支が赤字化する可能性は低いだろう」と指摘している。

 ただ、将来たとえば「財政再建がいつまでも先延ばしされて大幅な財政赤字が続き、一方で企業部門では、国債利回り上昇に伴う企業の借入金上昇で利子支払いが増加したり、本業の利益が減少したりして、企業貯蓄が減少する場合」には、経常収支が赤字となる可能性があるとしている。

 そして経常収支と国債の関係について、通説的な見方として経常収支黒字は巨額の国債の国内消化に不可欠との見方について異を唱えている。

 「例えば、ドイツは経常収支黒字が大幅で、かつ家計貯蓄率もかなり高いが、国債の約半分が外国保有である」ことを谷内教授は指摘している。

 ドイツの場合はユーロ圏に属し、圏内諸国からの為替リスクなしのドイツ国債への投資もあるため、一概に比較はできない部分もあろうが、それでも経常収支と海外からの国債投資の関係に何らかの方程式が存在しているわけではないのも確かと思われる。

 このため谷内教授は「国内投資家の国債投資意欲が減退するかどうかは、今後も巨額の国債増発が続くかどうかにかかっている。財政悪化が続けば、経常収支黒字でも国債の国内保有が大きく減少することは十分にありうる」としている。

 これについては、国内投資家の国債保有そのものが大きく減少することは、現在の日本の金融システムの中に存在している国内金融機関の投資行動を見る限り考えづらい。一部の資産を海外に向けることはあっても、国債についてはせいぜいデュレーションを短期化する程度ではないかと推測されるのだが。それでも国内投資家にとり、「今後も巨額の国債増発が続くかどうか」ということは、かなり注目しているポイントであることは確かであろう。

 海外諸国の事例を見ても、経常収支と国債需給にそれほど因果関係がなく、経常収支の動向だけを見て、国債市場に大きな影響が出るということは考えづらい。ただし、今後も財政悪化が続くとなれば、いずれそれが国債市場に影響をもたらす可能性はある。つまり大事なことは「経常収支動向の背景にある財政悪化、高齢化、企業の活力低下、日本経済の低成長といった問題に正面から取り組むことだ」との谷内教授の指摘は正論であろう。


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by nihonkokusai | 2012-03-07 10:04 | 国債 | Trackback | Comments(0)

個人向け復興国債が他の個人向け債券より優れているポイント

 3月5日から個人向け復興国債と個人向け復興応援国債の募集が開始された(3月30日まで)。昨日の日経新聞にも一面広告が出ていたが、今回は金額に応じて金貨や銀貨がもらえる復興応援国債も募集されることで注目が集まるものと予想される。

 今回は個人向け復興(応援)国債と他の個人向け債券と比較することで、個人向け国債の魅力について探ってみたい。

 その前に個人向け復興国債と個人向け復興応援国債は、名称がたいへん似ているため、購入する際には注意が必要である。特に10年変動タイプを購入される方は、通常の個人向け国債である個人向け「復興国債」か、金額に応じて金貨・銀貨がもらえる個人向け「復興応援国債」であるのか、そのあたり金融機関の窓口ではっきり指摘する必要がある。

 個人向け復興国債の概要、さらに個人向け復興応援国債はどのような条件で金貨、銀貨がもらえるのかについては、下記の財務省のサイトにて確認していただきたい。また、取り扱っている金融機関の窓口でも教えてくれるはずである。

「財務省サイト内の個人向け国債に関するページ」 http://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/index.html

 まず、個人向け復興国債と他の個人向け債券との違いについて最も注目すべきポイントは、リターンとリスクの比較であると思われる。リターンとはたとえば利率である。これについては、条件決定のタイミングが同じ時期で同じ償還期間のものであれば、通常は個人向け復興国債より他の個人向け債券の方が高いはずである。特に個人向け劣後債などはかなり高めの設定となっている。

 ただし、個人向けの劣後債は個人向け復興債と発行量が大きく異なり、販売する証券会社なども限られ、人気化したものなどはなかなか購入が難しいケースもある。そして、額面金額も大きいなど注意すべき点がある。これについては私のブログ(牛さん熊さんブログ)にアップした「金融機関発行の個人向け劣後債を購入する際の注意点」を参照していただきたい。

 個人向け復興国債の長所としては、債券のリスクのうち「価格変動リスク」と「流動性リスク」が極力抑えられている点が大きい。1年間の途中売却ができない期間が存在しているため、流動性リスクが全くないとは言えないが、その1年を過ぎればいつでも財務省が額面で買い取ってくれる。つまり発行後1年を過ぎれば、価格変動リスクと流動性リスクはなくなることになる。これは他の債券にはない大きな魅力と言える。

 そして債券のリスクとして、もうひとつ存在する信用リスクについてであるが、国債についてはソブリンリスクが存在するのは確かである。しかし、少なくとも国内金融商品の中にあって国債は最も安全性が優れているというのが、それを運用している金融機関の認識となっている。国債以外の債券は同年限の国債の利回りが基準になり、その上乗せ金利の幅などで信用力が計られる。つまりは、個人向けを含む国債の信用リスクについては、他の個人向け債券よりも信用力は高いとの認識で良いかと思う。

 このようにリスク面を考慮すれば、個人向け復興国債は非常に有利なものとなっている。ただしその分、他の個人向け債券と比較して利率等がやや不利となっている。しかし、現在の超低金利下にあってはその差は限定的であるのも確かである。個人向け劣後債など利率が高く設定されているものもあるが、それについては購入そのものの難しさとともに、途中売却時のリスク、また信用リスクなどのリスクが存在しており、そのあたりはしっかりチェックしておく必要がある。

 最後に10年変動タイプでの個人向け復興国債と個人向け復興応援国債の選択に関しては、利率のみを考えれば個人向け復興国債の方がたぶん有利であろうと思われる。しかし、少なくとも3年間、1000万円を置いておけるのであれば記念金貨を入手できる(銀貨ならば100万円)個人向け復興応援国債も選択肢としてはありかなと思う。復興記念硬貨には金や銀の価値等だけでは判断できない価値、たとえば復興への思いを含めたものも含まれているように思う。このあたりは購入される方の判断にお任せしたいところである。


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by nihonkokusai | 2012-03-06 09:59 | 国債 | Trackback | Comments(0)
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