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カテゴリ:日銀( 1085 )

追い風受けた日銀の金融政策の行方

 1月30日から31日にかけて今年最初の日銀金融政策決定会合が開かれる。この会合では経済・物価情勢の展望、いわゆる展望レポートも同時に発表される。

 黒田総裁は12月26日の講演で、「日本経済は、これまでは、いわばグローバル経済の「逆風」の中で奮闘してきましたが、世界経済が新たなフェーズに入る中で、これからは「追い風」を受けてさらに前進していくことが可能な状況になってきていると思っています。」と強気の姿勢を示した。これを受けて展望レポートでは経済成長率や物価の見通しを引き上げる可能性も指摘されている。

 黒田総裁の指摘した「追い風」とは、いわゆるトランプ相場と呼ばれた円安・株高の流れを意識したものと思われる。もちろんこの背景にある百年に一度とされた大きな金融経済危機からの脱却も考慮に入れてのものとなろう。

 しかし、トランプラリーと呼ばれた動きはいったん調整局面を迎えた。それを先導した米長期金利の上昇やドル高、さらには米国株式市場の上昇の動きは昨年12月半ばあたりで一服し、その後は反動安となった。この調整の動きがどの程度続くのか。それとも単なる調整ではなく、実際のトランプ氏の大統領就任でピークアウトしてしまった可能性も全くないとは言えない。

 今後の米国経済の動向はトランプ政権の政策も大きく関わってくるであろうことは確かで、アメリカ・ファーストと呼ぶ、自国優先主義の政策が米国経済、しいては世界経済にとってどのような影響を及ぼすのか。市場はこのような保護主義的な政策に対してはリスク要因と捉えている。

 それでもトランプ政権の政策の目標は米国の雇用環境をさらに良くしようとさせようとするものであり、ここにきての米国の消費者物価指数の上昇もあり、物価がFRBの想定以上のピッチで上昇する可能性がある。そうなれば年内の複数回の利上げを可能性にさせよう。

 トランプラリーの反動は一時的なものとなり、米長期金利が3%に向けて上昇してくればドル円も再度上昇基調に転じることも予想される。日本の消費者物価も円安や原油価格の上昇を背景にいずれプラスに転じてこよう。そうなると日銀の物価目標に向けて、フォローの風が再び吹く可能性はある。

 それは日本の長期金利にとって上昇要因ともなるが、果たして日銀はゼロ%程度という長期金利の目標をそのまま維持し続けるられるのか。このあたりも今後の日銀の金融政策の動向をみる上でも注目要因となる。

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by nihonkokusai | 2017-01-31 08:42 | 日銀 | Comments(0)

日銀による国債買入の調整が債券市場参加者を疑心暗鬼にさせている

 25日の日銀の国債買入での中期ゾーンのスキップが、債券市場参加者を疑心暗鬼にさせつつある。日銀が何故スキップをしたのか、その理由が明確に見えてこないためである。

 25日夕方のロイターの記事によると、日銀幹部は同日のオペの内容について「最近のオペの結果や国債市場の需給環境を勘案して決めた」と語ったそうである。また、オペ運営に関して「国債買入オペの金額・タイミング・回数は、金融市場調節方針と整合的なイールドカーブの形成を促すために適切に対応する」と述べたとされる。

 27日の10時10分に日銀は国債買入をオファーした。国庫短期証券、1年超3年以下、3年超5年以下、5年超10年以下。1年超3年以下、3年超5年以下は予想通りで、金額も前回と同じ4000億円、4200億円。これで中期ゾーンの買入は今月5回目となる。

 スケジュール上、30日は2年国債入札があり、31日は日銀の金融政策決定会合の結果の出る日であり、両日に中期ゾーンの国債買入がオファーされる可能性は極めて薄い。これによって今月の中期ゾーンの買入は5回に止まり、12月までの6回から1回分スキップされる。

 ところが27日の国債買入では「5年超10年以下」について金額を23日のオペで4100億円となっていたものを4500億円と400億円増額させた。これを市場は好感し、債券先物は149円90銭台から150円台に上昇し、ドル円も115円台に乗せてきた。

 これは25日の国債買入での中期ゾーンスキップの代わりに、5年超10年以下を増額したとみえなくもない。これはこれでむしろ中期は1回スキップされるとの見方が強まることになる。参考までに月ベースに直すと中期ゾーン1回分のスキップは8200億円の削減、5年超10年以下は400億円6回で2400億円増とトータルでは減額となる。

参考、日銀サイトの「国債買入」
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/mkt_ope/ope_f/index.htm/
参考、日銀サイトのオペレーション(日次公表分)
http://www3.boj.or.jp/market/jp/menu_o.htm

 25日の債券市場は日銀の中期ゾーンの買入スキップを受けて売られたが、押し目買いが入り少し戻していた。ところが25日の米国市場でダウ平均は壁となっていた2万ドルを突破し、米10年債利回りも2.5%台に上昇した。これを受けて26日の円債は下落し、10年債利回りも0.085%と25日つけた0.080%を上回った。20年債は0.660%、30年債は0.840%、そして40年債利回りは1%台に乗せていた。

 このあたりも意識して27日に日銀は微調整というか金額としてスキップ分の多少の穴埋めと長期金利の0.1%も意識しての5年超10年以下での増額を行ったのであろうか。このゾーンは先物にも直結するので、先物の買い戻しを誘うことも意識したのかもしれない。

 しかし、これでまた市場関係者は余計に混乱しつつあるのではなかろうか。いったい日銀は何をしたいのか、何を考えているのかと。

 日銀が何をしたいのかは、昨年9月に長短金利操作付き量的・質的緩和の決定である程度、明らかになっている。量では物価が動かない、マイナス金利は副作用のほうが意識されている。そこで量から金利に操作対象を戻して、なおかつ長期金利を操作目標に加えた。

 本来であればマネタリーベースとともに巨額の国債買入についても修正を加えるべきであった。米国の金利上昇やその背景にある物価の上昇等を考慮すれば、日銀のマイナス金利政策そのものが時代遅れのものとなる。来年度の国債発行額の減少や日本の国債の利回り回復傾向による国債への投資家ニーズの回復も予想され、巨額の国債買入継続が難しくなることが予想される。それらを考慮した結果が中期ゾーンのスキップの本心だとしても、日銀としては為替市場などへの影響も意識され、緩和に前向き姿勢も崩せない。できることならマイナス金利政策もやめて、保有残高の増加額年間約80兆円をめどとするとの文面も削除すべきであろうが、利上げやテーパリングとみられる可能性があり、それが為替市場にも影響が出ることを恐れて踏み込めない。

 これが結果としての27日での5年超10年以下の400億円の増額の調整理由ではないかとも予想される。看板は下ろせないが先行きを考えると出来る範囲で調整を入れざるを得ない。しかし、それが市場参加者との意思疎通を余計に悪くさせる要因ともなっているのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2017-01-28 10:36 | 日銀 | Comments(0)

日銀の国債買入オペが債券市場を揺るがした理由

 1月25日の10時10分、日銀は国債買入をオファーした。内容は残存期間10年超25年以下を1900億円、残存期間25年超を1100億円、物価連動債を250億円となった。債券市場参加者はこれを確認して驚き、債券を売り急いだ。

 債券先物は150円を割り込み、149円85銭まで下落した。10年債利回りは0.080%と昨年12月19日以来の水準に上昇し、5年債利回りもマイナス0.095%、2年債利回りもマイナス0.195%をつけ、20年債利回りは0.655%、30年債利回りは0.830%、40年債利回りは0.995%に上昇したのである。10年債利回りは前日24日の引けが0.040%であったので一気に倍になった格好である。

 いったい何が起きたのか。これは毎日、日銀のオペに対応している参加者でないと即座には反応できないものであったかと思う。私はこの時間帯は昼のコラムを書いている。値動きも途中で確認はしているので、25日のこの動きにびっくりしたが、どうしてなのかはすぐには理解できなかった。

 少し時間が掛かってしまったが、次第にその理由がはっきりしはじめた。そのひとつが10年超25年以下の1900億円、残存期間25年超の1100億円という金額にあった。ここにきて超長期債の利回りが上昇してきており、12月に日銀が国債買入増額に踏み切った前の水準に上昇していたことで、一部に増額の期待があったようなのである。急激な利回り上昇ではなかったことで、増額はないと自分では思い込んでいたが、その増額期待が裏切られた格好となったようである。

 しかし、主因はこれとは違うところにあった。25日の日銀の国債買入の市場参加者の予想は、そもそも残存10年超25年以下と残存期間25年超に加えて「1年超3年以下」、「3年超5年以下」も含まれていたのである。もちろん市場の事前予想通りに日銀が買入を行うわけではなく、多少ずれることはままある。しかし、ここにカレンダーの問題があった。

 1年超3年以下と3年超5年以下は一応セットとなっており、1月はすでに4回の買入が実施されていた。12月には6回実施されており、1月も当然6回あると市場参加者は読んでいた。26日以降のカレンダーをみると27日に1年超3年以下、3年超5年以下を含めた買入が予想されているが、もう25日の買入でスキップされたことで、残り一日が見つからない状態となってしまったのである。

 これが月初めや月半ばであれば、調整が利くかもしれないが、1月も押し迫っている上に26日には流動性供給入札、30日には2年国債入札、30~31日は日銀の金融政策決定会合が予定されていたことで、市場参加者が、えっとなったのである。通常、利付国債の入札日や決定会合当日には日銀は国債買入をオファーしない。ただし、流動性供給入札日や決定会合初日にはオファーの例はあった。このため26日の可能性はあったが流動性供給入札が予定されているだけでなく、中期ゾーンの買入を2日続けて行ったケースは過去ない。現実に26日に日銀は国債買入を見送った。

 27日に中期ゾーンを含めて、予定通り実施されるとして、30日には2年国債入札、31日は決定会合の結果が出る日で中期ゾーンの買入オファーの可能性は極めて薄い。つまり、日銀は1月の1年超3年以下、3年超5年以下の買入を1回スキップするのではとの観測が強まったことで、25日の10時10分過ぎに債券が大きく売られたのである。

 1年超3年以下は一回当たり4000億円、3年超5年以下は同4200億円程度の買入を行っているので、1回分と言えども合計8200億円の買入額が12月と比べて減額となってしまう。年間にすれば8200億円の12か月分、つまり10兆円規模となる。これはテーパリングなのではないかとの観測が出てもいたしかたない。

 日銀はこれまで国債利回りの上昇に対して、指し値オペや小幅の増額などで調整を行っていたが、今回は何もしないことによって大きな金額の調整を行おうとしているのか。

 何故日銀は中期債の買入を1回スキップするのか(本当にするのかは31日までわからない)。その前兆といえるものは確かにあった。日銀は12月30日に公表された当面の長期国債等の買入れの運営についての1月分から、それまでの中期ゾーンの買入を「6回程度」から「5~7回程度」に修正していた。これは5回もありうるということを事前に示していたのかもしれない。

 今回のスキップの理由としては2年債利回りの低下なども指摘されているが、それほど急激に低下していたわけではない。ただしその裏側には中期ゾーンへの海外投資家などからの強い需要もあったことになり、市場に流通する中期債がタイトとなっていた。日銀の巨額の買入が続き、いずれ今後のオペでの札割れリスクもあって、少しペースを落とそうとしたのかもしれない。

 日銀は昨年9月に長短金利操作付き量的・質的緩和の決定において、操作対象をマネタリーベースという「量」から、長期と短期の「金利」に戻している。しかし、いわゆるリフレ派と呼ばれる委員の賛同を得る必要もあってか、マネタリーベースの拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」とともに、国債買入についての量を保有残高の増加額年間約80兆円をめどとするとして80兆円という数字を残している。ただし、あくまで「めど」であり、いまのペースでも80兆円は大きく割り込み70兆円台になると予想されている。ここでもし今後中期の回数を月5回とすると60兆円台となってしまう。

 来年度の国債発行額は中期ゾーンを含めて減額されることもあり、国債の利回りも超長期債主体に上昇しつつある。日銀にとっては巨額の国債買入を継続するのは次第に困難になることが予想される。そのため事前に手を打ったとの見方もできる。そうであれば、もしかすると31日の日銀の金融政策決定会合では、「買入れ額については、概ね現状程度の買入れペース(保有残高の増加額年間約80兆円)をめどとしつつ」との部分が削除もしくは修正される可能性がありうるということなのであろうか(問題はリフレ派委員を説得できるかとなるのだが)。

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by nihonkokusai | 2017-01-27 09:57 | 日銀 | Comments(0)

トランプ政権登場による日銀の金融政策への影響

 トランプ新米大統領の政策が如何なるものなのかは、いまだはっきりしていない面はあるが、選挙期間中からスローガンとしていた「アメリカ・ファースト」と呼ぶ自国優先主義、反グローバリゼーションを強く打ち出してくることが予想される。トランプ大統領は早速、TPPから「永久に離脱する」とした大統領令に署名した。

 トランプ氏は大統領選後初の会見で貿易赤字の相手国として、中国とメキシコとともに日本の名前を挙げていた。これに対して麻生財務相は13日の閣議後会見で「日本やメキシコよりドイツの方が(米国の赤字は)上ではないか。なぜドイツが出ていないのか」と疑問を呈した。

 日本政府は2月上旬の日米首脳会談開催を目指し、安倍首相の訪米に麻生副総理兼財務相が同行する方向で調整を進めている。麻生氏の同行は米側からの要請によるものとされる。

 果たして麻生氏の同行を米国が何故要請したのかはわからない。あの独特のスタイル(服装)をトランプ氏が気に入ったからというわけではないと思うが、貿易赤字の相手国として日本が意識されている可能性は十分ありうる。

 財務省が発表した2016年通年の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は4兆741億円の黒字だった。貿易黒字は東日本大震災前の2010年以来6年ぶり。対米黒字額は6兆8347億円の黒字となり、2年ぶりに減少したものの、巨額の黒字であることに変わりはない。

 次期財務長官に指名され承認待ちのスティーブ・ムニューチン氏は、過度に強いドルは経済に短期的にマイナスの影響を与える可能性があると発言するなど、トランプ政権はドル安政策は取らないまでもドル高に対して警戒していることも確かであろう。

 そうなると日本が円安政策を進めるようなことは今後、かなり困難となりかねない。米国がドル安誘導をすることはないとしても、日本の円安誘導と取られかねない政策もしづらくなる。

 ドル円は日米金利差だけで動くものではないが、ここにきて日米の長期金利のスプレッドに連動するような動きとなっている。トランプ政権は国内雇用を改善させようとしており、米国の物価上昇もあり、FRBは年内複数回の利上げの可能性がある。米長期金利は上昇基調にいったん調整が入ったものの、FRBの利上げが可能となれば、いずれ3%に向けて上昇していくとみられる。

 そんななか、果たして日銀は長短金利操作付き量的・質的緩和政策で、特に長期金利をゼロ%近辺で抑え続けられるのか。

 25日の日銀の国債買入では、一部に期待があった超長期債の買入増額は見送られた。さらに中期の買入も予想されたが、それが見送られたことで、債券先物は久しぶりに大きく売られる場面があった。40年債利回りは1%近くまで利回りが上昇した。

 日銀にとってトランプ政権の登場は、結果として出口政策を取らざるを得ない状況に向かわせることになるのかもしれない。消費者物価もプラスに改善することも予想され、外部環境もそれを促すのではなかろうか。追加緩和手段に乏しく、今後の国債買入についても限界が意識されるなか、長短金利操作付き量的・質的緩和政策を取らざるを得なくなった日銀にとっても、これはむしろ好都合かもしれない。問題はそれをどのようにしてスムーズに進められるのかとなり、市場参加者との対話も重視されることになる。

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by nihonkokusai | 2017-01-26 09:53 | 日銀 | Comments(0)

無理を重ねた日銀は神風に助けられるのか

 2016年12月19、20日に開催された日銀の金融政策決定会合の主な意見では、金融政策運営に関して次のようなコメントが紹介されていた。

 「ポジティブなショックがあるとき、金利をゼロ%で固定すれば金融政策は自動増幅機能がある。2%を超えて物価が上がることを容認するオーバーシュート型コミットメントの意味は、物価が上がっていないときには人々に認識されないが、実際に上がっていくときには、認識されるようになる。9月に決定した政策の意味が次第に広く理解され、効果が強まると期待される。また、実際に10年物国債の金利をゼロに抑えるオペレーションが必要である。今が、2%の「物価安定の目標」を達成する好機である。」

 これはひとりの政策委員のコメントではあるものの、この発言は日銀が今年、金融政策で右往左往したものの結果オーライといった結論を述べているかのように思われる。今回はやや辛口コメントになってしまうが、これまでの日銀の政策に批判を加えてみたい。

 日銀が今年1月に決定したのが「マイナス金利付き量的・質的緩和」であった。昨年12月に「補完措置」によって国債の買入範囲を拡げ、国債買入増額を可能にしようとした。今年に入ってのリスクオフの動きに慌てて、追加緩和を講じることにした結果が、何故か下準備していた量を諦めて、金利に戻して、スイスなどの事例を参考にマイナス金利政策の決定となった。

 これは日銀内部でも意外感もあったようである。しかし、このマイナス金利政策は急激な国債利回りの低下を招くなどしたことで、金融機関の運用に悪影響を与え、日銀のお膝元でもある金融機関からの批判が強まった。

 この批判に対処すべく、検証とするには遅きに失した感もあるものの「総括的な検証」を前面に押し出して、マイナス金利政策の修正をそっと行った。それが9月に決定した長短金利操作付き量的・質的緩和であった。

 今の日銀は意地でも緩和に対する前向きの姿勢を表面上は崩したくはない。本来ならマイナス金利政策そのものを止めるべきであり、結果として量が物価を上げることができなかった以上は、異常な国債買入も再考するなりするのが本筋であろう。しかし、それもできないことで生み出されたのが、長期金利の操作をさらに付け加えることとなった。なんてことはない長期金利をマイナスからプラスとし、イールドカーブをスティープ化させて、金融機関からの批判を少しでもかわすことが目的となった。ついでに国債の買い入れも減額出来る仕組みとした。

 本来できないとした金融政策によるに長期金利のコントロールについては、特にマイナス金利政策で予想以上に効果を発揮したとの認識が元になったとみられ、これだけ日銀の国債市場での依存度が高いと、もしかすると可能かもしれないと考えたのではなかろうか。

 もともとアベノミクスそのものは金融政策の効果というより、安倍首相や黒田総裁の金融市場に対してのアナウンスメント効果による円安や株高を招いたとの見方もできる。しかし、それで円安となって、消費増税の駆け込み需要等で一時的に物価が上がっても、日銀の買い入れる量が作用していない以上、原油価格の下落などによってあっさりと物価は前年比マイナスとなってしまった。

 ところがそこにトランプラリーという神風が吹いた。これは2016年初のリスクオフの動きが英国のEU離脱でピークアウトしたところに、原油価格の上昇の動きも出ていたところに米大統領選挙でのトランプ氏の勝利がリスクオフの反動を起こすきっかけとなった。これは2012年11月のアベノミクスの登場のタイミングとも似通っている。

 日本の国債市場はとりあえず非常に素直に日銀の買入の調節等を見ながらの金利形成をしており、トランプラリーをきっかけとした米長期金利の上昇を受けて、日米金利差が拡がっての円安の動きも出ている。ただし、トランプラリーによるドル高の影響もあるため、一概に日米金利差だけで円安となっているわけではない。

 ということで最初の日銀の某政策委員のコメントに戻る。ここで解説されているのは日本の長期金利を抑えておけば、トランプラリーのような事が起きると円安を通じて、物価にも働きかけるとの認識となっている。こればいわば結果論であることは、今年1年の日銀の金融政策の変遷を追いかけるだけでもわかる。

 日銀はたしかに2013年4月の量的・質的緩和でも長期金利を含めた金利低下を促すことも目的としていた。しかし、それよりもマネタリーベースを増やすことによる効果を期待していたはずである。それがいつの間にか量から金利にすり替えられ、それも短期金利から長期金利の操作に変えてきた。

 長期金利を押さえ込めば、金利上昇圧力の強まりそうな材料が出てくる際には効果が倍増するとの認識であろうが、仮にこのまま物価も上がってきた際に、いつまでも長期金利を押さえ込むこともできないはずである。

 消費者物価指数(除く生鮮)が2%をつけても安定的に推移するので続けるというのがオーバーシュート型コミットメントではあるが、そんな状況になったのであれば、長期金利をゼロ近辺に押さえ込むことは不可能となる。

 日銀は無限に国債買入は可能なのでできるとのご意見もあるかもしれないが、そんな状況に追い込まれると財政ファイナンスとの認識がより強まる懸念がある。もちろん日銀は長期金利の操作目標を変えてくることもありうる。しかし、それは利上げとなってしまうが、それをいまの日銀が許すであろうか。ただし、利上げのようだが利上げではなく調整であるとして長期金利の目標値をそっと引き上げてくるやもしれない。

 足元の物価は少し前の日銀の物価目標であった消費者物価の「総合」ではプラス0.5%となっている。いまの目標のコアCPIはマイナス0.4%とマイナスのままではあるが、このコア指数も2月あたりにはプラスに転じるとの予想となっている。ガソリンの値上がりも続くなど、米国の動向など次第では日本の物価も上昇に転じてくることが予想される。それは別に日銀が国債を大量に買ったためでもなく、長期金利を抑えた円安効果もないわけではないが、原油価格を含めた他の要因の影響が大きい。

 物価が低迷している間は、日銀の抱えるリスクはあまり見えてこないが、いったん物価が上がりだし、それら応じた長期金利形成ができないとなれば、いずれ債券市場に貯まったマグマが吹き出すことも予想される。日銀と市場参加者が対峙するようなこともありうるか。来年はそんな場面を迎えることもあるのではないかと予感させる。

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by nihonkokusai | 2016-12-31 09:40 | 日銀 | Comments(0)

日銀が国債買入額を元に戻した理由

 12月19、20日に開催された日銀金融政策決定会合の主な意見が公表された。このなかの金融政策運営に関する意見に次のようなものがあった。

 「現行の政策枠組みのもとでは、金融政策決定会合における決定と、調節運営との間の連携が非常に重要である。調節運営にあたっては、金融市場調節方針の範囲内において、一定の裁量の活用が望ましい一方、金融市場調節方針の決定にあたっては、調節運営などを通じて得た市場参加者の見方や市場動向を従来以上に考慮していく必要がある。」

 日銀は28日の国債買入において対象となった残存10年超25年以下と25年超オファー額を、それぞれ前回から100億円減額した。この減額は超長期債の利回りが急低下してしまったため、それを戻すためコントロールしようとしたものではない。それほど超長期の利回りは大きくは動いていなかった。

 それではどうしてこのタイミングで減額をしてきたのであろうか。ひとつの要因として日銀は公には認めないと思うが、国債の買い入れ額は増やしたくはない、むしろ減らしたいとの意向があったためとみられる。

 ただし、上記の主な意見にもあったように「金融政策決定会合における決定と、調節運営との間の連携」も絡んでいた可能性がある。日銀は月末に「当面の長期国債等の買入れの運営について」を公表しているが、この数字を変化させたくなかったのではないかとの見方もできる。金融政策を決めるのはあくまで決定会合における政策委員であり、それに基づいて調節運営を実行部隊が行う。しかし実行部隊が勝手にイールドカーブの居所を決めるというわけにはいかない。買入の調節の数字は途中はさておき、最終的なものは修正はしづらい。それが今回、買入額を元の数字に戻した背景にあるのではなかろうか。

 28日の債券市場では、この減額を受けて超長期債の利回りが大きく上昇した。しかし、債券市場のベンチマークともいえる債券先物は上昇し、10年債利回りは低下した。これを見る限り、今回の減額による市場のショックはほとんどなかったと言える。超長期債のある程度の利回り上昇は投資家目線でみると投資対象としてむしろ喜ばしいことになる。

 こうみると日銀はいまのところ市場動向をみながら、うまくコントロールしているようにみえる。しかし、今後も同様にコントロールできるかといえば、いずれ無理が来ることが予想される。主な意見では下記のような発言もあった。

 「資産買入れ額に新たに目標を設定し、それを段階的に低下させていくことで買入れの持続性と市場の安定性を高めるべきである。長短金利操作によって、為替・株式市場のボラティリティは大きく高まった。また、「指値オペ」の実施を早期に余儀なくされたことは、長短金利操作の難しさを裏付けた。国債買入れを伴わない「指値オペ」は、実効性が低い。超長期国債の買入れ増額措置は、長短金利操作のもとでは国債買入れのペースが高まるリスクが相応に高いという当初からの自身の懸念を裏付けるものである。」

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by nihonkokusai | 2016-12-30 09:47 | 日銀 | Comments(0)

日銀が目標CPIを総合からコアに変えたことで興味深い事態に

 2016年11月の消費者物価指数が27日に公表されたが、この数字がなかなか面白いことになっている。

 11月の消費者物価指数の「総合」は前年同月比でプラス0.5%、「生鮮食品を除く総合(コア)」で同マイナス0.4%、「食料及びエネルギーを除く総合(コアコア)」で同プラス0.1%となった。参考までに27日に日銀が発表した基調的なインフレ率を捕捉するための指標(速報)によると、消費者物価指数の「除く生鮮食品・エネルギー(新コアコア)」は11月がプラス0.2%と、10月のプラス0.3%からプラス幅が縮小していた。

 コア指数の低迷は11月は前年比でみてまだ原油価格が下落していたこともあり、その影響でガソリン代や電気代が下がっていたことや、携帯電話・スマートフォンの値下がりが影響したようである。為替でみても1年前に比べると円高となっており、その影響も出ていたものとみられる。

 ただし、注意すべきは11月の消費者物価指数の「総合」の方で、こちらはプラス0.5%と10月の前年比プラス0.1%、9月のマイナス0.5%から大きく改善しているのである。

 何を言っているのか、物価指数はコアもしくは日銀のコアコアをみるべきであり、変動の激しい生鮮食料品を加えた総合では、その新鮮野菜の値上がりの影響が大きいため、こちらはあくまで参考程度ではないか、との声もあるかもしれない。

 ところが日銀が2013年1月に置いた2%の物価目標、さらには同年4月の量的質的緩和政策で置いた目標とする物価は「除く生鮮」ではなく「総合」であったのである。これは2014年8月の決定会合議事要旨でも「物価安定の目標は、消費者物価の総合指数で定義している」との記述があった。ただし、展望レポートの予想物価については基調的な物価の動きを比較的よく表している「除く生鮮食品」指数を用いているとの指摘があった。

 ところがである。2016年9月の決定会合で長短金利操作付き量的・質的緩和を決定した際、日銀は何気なくこの目標とする物価を総合からコアに置き換えている。

 黒田総裁は決定会合後の会見で、「次に、「オーバーシュート型コミットメント」について説明します。日本銀行は、生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続するという新しいコミットメントを導入しました。」と述べていたのである。何故、このタイミングで変更していたのか。

 もともと展望レポートでコアを使っていたのであれば、物価目標もコアが適切であろうと思われていた。それを意識して目標値の変更であったのかもしれないが、ここでもし変えていなければ、日銀が目標とする物価が大きく違ってくることになる。9月に変えなければ目標物価は総合のプラス0.5%となる、しかし変えたことでマイナス0.4%となってしまうことになる。

 総合のままであれば2%に向けて上昇しつつあるという解釈ともなろう。日銀の大量の国債買入やイールドカーブ操作で「野菜」の値段が上がったわけではないが、効果を発揮したと解釈するかもしれない。我々消費者としても野菜やガソリン価格の上昇で、実感としては物価は上がっているとの認識も強いのではなかろうか。

 ところが日銀は目標の物価をコアに修正したことで、いまだマイナス0.4%と水面下にいることになる。これはこれで日銀の金融政策が当初予定した効果を発揮していないとの解釈ともなるが、長期金利もこれで簡単には跳ね上がることもないということにもなるのか。

 ただし、今後はコアを含めて物価の基調は上昇していくことが予想される。トランプラリーによるドル円の回復等による影響が来年1月以降に出てくる。その際に日銀は物価上昇に応じた長期金利の上昇も封じ込めるのか。それとも長期金利の目標を引き上げて、いわゆる利上げを決定してくるのか、このあたりも今後の注目点となる。

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by nihonkokusai | 2016-12-29 09:58 | 日銀 | Comments(0)

日銀の長期金利操作目標の引き上げはありうるのか

 12月20日の日銀の金融政策決定会合では、賛成多数で金融政策の現状維持を決定した。長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)、資産買入れ方針ともに7対2での賛成多数となったが、いずれも木内委員と佐藤委員が反対した。

 長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)に反対した理由として、佐藤委員は、短期政策金利をマイナス0.1%、10年金利の目標をゼロ%程度とすることは期間10年までの金利をマイナス圏で固定することにつながりかねず、金融仲介機能に悪影響を及ぼすとして反対した。木内委員は、国債市場や金融仲介機能の安定の観点から、短期政策金利はプラス0.1%が妥当であり、長期金利操作目標は国債買入れペースの一段の拡大を強いられるリスクがあるとして反対した(以上、金融政策決定会合の公表文より引用)。

 黒田総裁は20日の会見で、金利目標は「毎回の決定会合で議論される」との原則を述べつつ、「2%目標への距離はまだ遠く、具体的に議論するのは時期尚早」と発言した。トランプ相場による円安を背景に来年1月に物価見通しを引き上げる可能性も示唆した(ロイター)。

 意外に思われるかもしれないが、すでに日銀の金融政策の方向性は緩和のさらなる深入り方向ではない。9月に決定した長短金利操作付き量的質的緩和は、マイナス金利への金融機関からの批判等を受けて決定したものである。マイナス金利の深掘りは避けた上、超長期の金利上昇を促すという政策であり、この時点で日銀は総裁が何と言おうと、金融政策に関しては依然として緩和状態にあるものの、方向性としては中立の立場に転じたことになる。ここに円安株高、米金利高をともなったトランプ相場が加わって、長期金利目標の引き上げについては「時期尚早」という表現になった。

 さらに今回の会見で黒田総裁は、長期金利目標を「ゼロ%程度」ではなく、「0.1%」や「1%」と言い間違いをしていた。もちろんあまり細かいミスをつつく必要はなく、私も同じ立場なら言い間違いをした可能性がある。それはそれで0.1%とか1%が意識されていた裏返しとも言えよう。憶測とはなってしまうが、10年金利の目標をゼロ%程度という程度はマイナス0.1%からプラス0.1%という市場の認識は案外妥当性のあるものではなかろうか。

 金利目標は「毎回の決定会合で議論される」ものであり、それがたとえば10年金利の目標を実勢の長期金利の動向を睨んで、0.5%とか1.0%に引き上げることも予想される。ただしそれが意味することは「利上げ」であるということで、これは完全に日銀が方向転換をした上、FRBと同様の正常化に向けて一歩進めたと市場では捉えられる可能性がある。そうなると外為市場では円高となる懸念があり、日銀としては利上げと捉えられかねない10年金利の目標の上方修正は、よほど物価の上昇でもない限りは難しいことも確かである。

 それでも市場での長期金利上昇圧力を受けて、日銀が長期金利の目標値を引き上げざるを得ない、もしくは程度の範疇を拡げるようなことをしてくる可能性がある。この水準で長期金利が抑えられれば、日米の長期金利の格差が拡大し円安ドル高圧力となる。日銀の国債買入を利用しての長期金利操作は当面は可能かもしれない。それでも海外の長期金利の動向や足元の物価景気動向など次第では日本の長期金利にさらなる上昇圧力が加わる可能性がある。それを果たしてテクニカルな国債買入(指し値オペ)等で抑えられるのか。そのあたりの市場と日銀の駆け引きが今後行われる可能性がある。

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by nihonkokusai | 2016-12-22 10:05 | 日銀 | Comments(0)

日銀は異次元化した金融政策の縺れを解けるのか

 市場では12月13、14日のFOMCを注目しているが、19、20日の日銀の金融政策決定会合にはさほど関心がないようである。

 12月8日のECB理事会では予定通り、資産買入プログラムの延長を行った。その結果は妥協の産物ともいえる600億ユーロに減額しての9か月延長となった。これは少なくとも時間稼ぎのために延長せざるを得ない、ただし、ドイツなどは延長ならば減額をとの主張となり、結果としての妥協案が賛成多数で決定された。

 13、14日のFOMCでは昨年12月の利上げ決定時のように全会一致に近いかたちで0.25%の利上げを決定してくると予想される。毎年12月恒例の利上げみたいなかたちとなってしまうが、今後は利上げペースを少し速める可能性もある。

 これに対して日銀の金融政策決定会合に関しては、市場の注目度がそれほど高くはない。日銀は動かないであろうとの予想がこの背景にある。

 日銀の金融政策はアベノミクスと歩調を合わせるため、2013年4月の量的・質的緩和でかなり無理矢理な政策を実施することを強いられた。当初はうまくいっているかにも見えたが、量で物価を動かすことには所詮、無理があった。それを2014年10月の量的・質的緩和の拡大でさらに政策を深入りさせてしまった。

 それでも物価が動かない。しかし買い入れる国債の量には限界あり、昨年12月に補完措置で買入枠の拡大を図る。ところが買入の増額は行わず、今年1月にはマイナス金利政策という手段を講じた。しかし、マイナス金利政策は金融機関からの非難を浴びることとなり、深掘りはもってのほかとなり、長い金利の回復を意識した長短金利操作付き量的・質的緩和という、もはやすべての政策を継ぎ接ぎしたものを打ち出してきた。しかも本来、操作はできないという前提の長期金利操作を加えるという手段を加えてきたのである。

 現状はトランプ相場に助けられ、日銀が本来目指していたとも思われる円安株高が生じた。原油価格についても底を打った格好となった。国債の買い入れ額については、すでに80兆円は厳格な目標となっておらず、このままのペースでもステルス・テーパリングという格好となる。しかし、そんなことは表だっては言えないのも現在の日銀であり、相場の地合が変わっても前向きの姿勢は維持しなければならない。ただし、何もしないでも日米の長期金利の格差は拡大し、それは円安の動きをさらに促すことにはなる。

 このまま日本の物価も前年比マイナスからプラスに転じることになれば、少なくともこれ以上の金融緩和は実質的に困難になっている日銀にとって、何をしなくても済む環境となる。そうしたなかで、今後少しずつでも日銀は金融政策の縺れを解いていけるのかも課題となろう。市場はすでに過剰な金融緩和に期待するようなこともなくなっている。それが効果より副作用をもたらしかねないことにも気が付きつつあるためであろう。

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by nihonkokusai | 2016-12-13 09:29 | 日銀 | Comments(0)

日本の物価はいまだ前年比マイナスの理由

 25日に公表された10月の全国消費者物価指数は、総合が前年同月比プラス0.1%と前月のマイナス0.5%からプラスに転じた。これは生鮮野菜の値上がりが大きく影響し、宿泊料の上昇も寄与した。

 日銀が物価目標としている生鮮食品を除く総合指数は前年同月比マイナス0.4%となり、前月のマイナス0.5%からはマイナス幅は縮小しているが、いまだマイナスを脱していない。マイナス0.4%という水準は日銀が量的質的緩和を決定した月である2013年4月のマイナス0.4%と変わりはない。

 下落に寄与したのはガソリンなどエネルギー価格であるが、その下落幅が縮小しており、マイナス幅は縮小している。WTI先物の価格を1年前と比べるとすでに上回ってきており、今後エネルギー価格は前年比でみるとプラスに寄与してくると予想される。

 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は、前年同月比プラス0.2%となっている。日銀が独自に公表している基調的なインフレ率を捕捉するための指標(速報)によると、総合(除く生鮮食品・エネルギー)は 9月の0.2から10月は0.3となっている。

 原油価格の下落の影響は次第に後退するとみられ、消費者物価指数(除く生鮮)はいずれプラスに転じてこよう。もちろんこれは日銀の金融緩和の成果ではなく、原油価格の動向など外部環境の変化によるものである。

 日銀は物価の基調はしっかりしていると主張するが、前年比ゼロ近傍で日銀の物価目標たる消費者物価が推移している以上はその主張は正しくはないということになる。もともと日本の消費者物価指数は帰属家賃などの影響で上がりづらい面があるとともに、原油価格や為替市場動向に大きく左右される。

 2013年4月の消費者物価指数(除く生鮮)は前年比マイナス0.4%となっていたが、それが1年後の2014年4月にプラス1.5%にまで上昇した。これは2012年10月頃の原油先物価格が90ドル近辺、ドル円が80円割れとなっていたものが、1年後の2013年10月にそれぞれ100ドル、100円近辺上昇した影響が大きい。

 ドル円はその後も上昇し2015年には一時120円台をつけるが、原油先物は2015年に50ドル割れまで下落する。この原油価格の下落が消費者物価指数の前年比を押し下げた。結果を見る限り、日本の消費者物価指数は主に原油価格の動向に左右されがちで、そこに為替による影響もありうるといったところか。

 そこにどれだけ日銀の金融政策の余地がありうるのか。もちろん賃金が抑えられ、消費が上向かないなどの上昇抑制要因もあろう。しかしそれが日銀の金融政策で変えられるものではない。まったく効果がないとは言わないが、金融政策はあくまでその補助的な役割でしかないはずである。

 大胆な金融政策でも物価は変えられないし、世界も変えられない。金融政策はあくまで金融市場の不安を取り除くといった役割程度の認識とすべきで、過度の期待は禁物ではないかと思われる。

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by nihonkokusai | 2016-11-30 09:48 | 日銀 | Comments(0)
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