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カテゴリ:日銀( 1062 )

トランプ政権登場による日銀の金融政策への影響

 トランプ新米大統領の政策が如何なるものなのかは、いまだはっきりしていない面はあるが、選挙期間中からスローガンとしていた「アメリカ・ファースト」と呼ぶ自国優先主義、反グローバリゼーションを強く打ち出してくることが予想される。トランプ大統領は早速、TPPから「永久に離脱する」とした大統領令に署名した。

 トランプ氏は大統領選後初の会見で貿易赤字の相手国として、中国とメキシコとともに日本の名前を挙げていた。これに対して麻生財務相は13日の閣議後会見で「日本やメキシコよりドイツの方が(米国の赤字は)上ではないか。なぜドイツが出ていないのか」と疑問を呈した。

 日本政府は2月上旬の日米首脳会談開催を目指し、安倍首相の訪米に麻生副総理兼財務相が同行する方向で調整を進めている。麻生氏の同行は米側からの要請によるものとされる。

 果たして麻生氏の同行を米国が何故要請したのかはわからない。あの独特のスタイル(服装)をトランプ氏が気に入ったからというわけではないと思うが、貿易赤字の相手国として日本が意識されている可能性は十分ありうる。

 財務省が発表した2016年通年の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は4兆741億円の黒字だった。貿易黒字は東日本大震災前の2010年以来6年ぶり。対米黒字額は6兆8347億円の黒字となり、2年ぶりに減少したものの、巨額の黒字であることに変わりはない。

 次期財務長官に指名され承認待ちのスティーブ・ムニューチン氏は、過度に強いドルは経済に短期的にマイナスの影響を与える可能性があると発言するなど、トランプ政権はドル安政策は取らないまでもドル高に対して警戒していることも確かであろう。

 そうなると日本が円安政策を進めるようなことは今後、かなり困難となりかねない。米国がドル安誘導をすることはないとしても、日本の円安誘導と取られかねない政策もしづらくなる。

 ドル円は日米金利差だけで動くものではないが、ここにきて日米の長期金利のスプレッドに連動するような動きとなっている。トランプ政権は国内雇用を改善させようとしており、米国の物価上昇もあり、FRBは年内複数回の利上げの可能性がある。米長期金利は上昇基調にいったん調整が入ったものの、FRBの利上げが可能となれば、いずれ3%に向けて上昇していくとみられる。

 そんななか、果たして日銀は長短金利操作付き量的・質的緩和政策で、特に長期金利をゼロ%近辺で抑え続けられるのか。

 25日の日銀の国債買入では、一部に期待があった超長期債の買入増額は見送られた。さらに中期の買入も予想されたが、それが見送られたことで、債券先物は久しぶりに大きく売られる場面があった。40年債利回りは1%近くまで利回りが上昇した。

 日銀にとってトランプ政権の登場は、結果として出口政策を取らざるを得ない状況に向かわせることになるのかもしれない。消費者物価もプラスに改善することも予想され、外部環境もそれを促すのではなかろうか。追加緩和手段に乏しく、今後の国債買入についても限界が意識されるなか、長短金利操作付き量的・質的緩和政策を取らざるを得なくなった日銀にとっても、これはむしろ好都合かもしれない。問題はそれをどのようにしてスムーズに進められるのかとなり、市場参加者との対話も重視されることになる。

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by nihonkokusai | 2017-01-26 09:53 | 日銀 | Comments(0)

無理を重ねた日銀は神風に助けられるのか

 2016年12月19、20日に開催された日銀の金融政策決定会合の主な意見では、金融政策運営に関して次のようなコメントが紹介されていた。

 「ポジティブなショックがあるとき、金利をゼロ%で固定すれば金融政策は自動増幅機能がある。2%を超えて物価が上がることを容認するオーバーシュート型コミットメントの意味は、物価が上がっていないときには人々に認識されないが、実際に上がっていくときには、認識されるようになる。9月に決定した政策の意味が次第に広く理解され、効果が強まると期待される。また、実際に10年物国債の金利をゼロに抑えるオペレーションが必要である。今が、2%の「物価安定の目標」を達成する好機である。」

 これはひとりの政策委員のコメントではあるものの、この発言は日銀が今年、金融政策で右往左往したものの結果オーライといった結論を述べているかのように思われる。今回はやや辛口コメントになってしまうが、これまでの日銀の政策に批判を加えてみたい。

 日銀が今年1月に決定したのが「マイナス金利付き量的・質的緩和」であった。昨年12月に「補完措置」によって国債の買入範囲を拡げ、国債買入増額を可能にしようとした。今年に入ってのリスクオフの動きに慌てて、追加緩和を講じることにした結果が、何故か下準備していた量を諦めて、金利に戻して、スイスなどの事例を参考にマイナス金利政策の決定となった。

 これは日銀内部でも意外感もあったようである。しかし、このマイナス金利政策は急激な国債利回りの低下を招くなどしたことで、金融機関の運用に悪影響を与え、日銀のお膝元でもある金融機関からの批判が強まった。

 この批判に対処すべく、検証とするには遅きに失した感もあるものの「総括的な検証」を前面に押し出して、マイナス金利政策の修正をそっと行った。それが9月に決定した長短金利操作付き量的・質的緩和であった。

 今の日銀は意地でも緩和に対する前向きの姿勢を表面上は崩したくはない。本来ならマイナス金利政策そのものを止めるべきであり、結果として量が物価を上げることができなかった以上は、異常な国債買入も再考するなりするのが本筋であろう。しかし、それもできないことで生み出されたのが、長期金利の操作をさらに付け加えることとなった。なんてことはない長期金利をマイナスからプラスとし、イールドカーブをスティープ化させて、金融機関からの批判を少しでもかわすことが目的となった。ついでに国債の買い入れも減額出来る仕組みとした。

 本来できないとした金融政策によるに長期金利のコントロールについては、特にマイナス金利政策で予想以上に効果を発揮したとの認識が元になったとみられ、これだけ日銀の国債市場での依存度が高いと、もしかすると可能かもしれないと考えたのではなかろうか。

 もともとアベノミクスそのものは金融政策の効果というより、安倍首相や黒田総裁の金融市場に対してのアナウンスメント効果による円安や株高を招いたとの見方もできる。しかし、それで円安となって、消費増税の駆け込み需要等で一時的に物価が上がっても、日銀の買い入れる量が作用していない以上、原油価格の下落などによってあっさりと物価は前年比マイナスとなってしまった。

 ところがそこにトランプラリーという神風が吹いた。これは2016年初のリスクオフの動きが英国のEU離脱でピークアウトしたところに、原油価格の上昇の動きも出ていたところに米大統領選挙でのトランプ氏の勝利がリスクオフの反動を起こすきっかけとなった。これは2012年11月のアベノミクスの登場のタイミングとも似通っている。

 日本の国債市場はとりあえず非常に素直に日銀の買入の調節等を見ながらの金利形成をしており、トランプラリーをきっかけとした米長期金利の上昇を受けて、日米金利差が拡がっての円安の動きも出ている。ただし、トランプラリーによるドル高の影響もあるため、一概に日米金利差だけで円安となっているわけではない。

 ということで最初の日銀の某政策委員のコメントに戻る。ここで解説されているのは日本の長期金利を抑えておけば、トランプラリーのような事が起きると円安を通じて、物価にも働きかけるとの認識となっている。こればいわば結果論であることは、今年1年の日銀の金融政策の変遷を追いかけるだけでもわかる。

 日銀はたしかに2013年4月の量的・質的緩和でも長期金利を含めた金利低下を促すことも目的としていた。しかし、それよりもマネタリーベースを増やすことによる効果を期待していたはずである。それがいつの間にか量から金利にすり替えられ、それも短期金利から長期金利の操作に変えてきた。

 長期金利を押さえ込めば、金利上昇圧力の強まりそうな材料が出てくる際には効果が倍増するとの認識であろうが、仮にこのまま物価も上がってきた際に、いつまでも長期金利を押さえ込むこともできないはずである。

 消費者物価指数(除く生鮮)が2%をつけても安定的に推移するので続けるというのがオーバーシュート型コミットメントではあるが、そんな状況になったのであれば、長期金利をゼロ近辺に押さえ込むことは不可能となる。

 日銀は無限に国債買入は可能なのでできるとのご意見もあるかもしれないが、そんな状況に追い込まれると財政ファイナンスとの認識がより強まる懸念がある。もちろん日銀は長期金利の操作目標を変えてくることもありうる。しかし、それは利上げとなってしまうが、それをいまの日銀が許すであろうか。ただし、利上げのようだが利上げではなく調整であるとして長期金利の目標値をそっと引き上げてくるやもしれない。

 足元の物価は少し前の日銀の物価目標であった消費者物価の「総合」ではプラス0.5%となっている。いまの目標のコアCPIはマイナス0.4%とマイナスのままではあるが、このコア指数も2月あたりにはプラスに転じるとの予想となっている。ガソリンの値上がりも続くなど、米国の動向など次第では日本の物価も上昇に転じてくることが予想される。それは別に日銀が国債を大量に買ったためでもなく、長期金利を抑えた円安効果もないわけではないが、原油価格を含めた他の要因の影響が大きい。

 物価が低迷している間は、日銀の抱えるリスクはあまり見えてこないが、いったん物価が上がりだし、それら応じた長期金利形成ができないとなれば、いずれ債券市場に貯まったマグマが吹き出すことも予想される。日銀と市場参加者が対峙するようなこともありうるか。来年はそんな場面を迎えることもあるのではないかと予感させる。

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by nihonkokusai | 2016-12-31 09:40 | 日銀 | Comments(0)

日銀が国債買入額を元に戻した理由

 12月19、20日に開催された日銀金融政策決定会合の主な意見が公表された。このなかの金融政策運営に関する意見に次のようなものがあった。

 「現行の政策枠組みのもとでは、金融政策決定会合における決定と、調節運営との間の連携が非常に重要である。調節運営にあたっては、金融市場調節方針の範囲内において、一定の裁量の活用が望ましい一方、金融市場調節方針の決定にあたっては、調節運営などを通じて得た市場参加者の見方や市場動向を従来以上に考慮していく必要がある。」

 日銀は28日の国債買入において対象となった残存10年超25年以下と25年超オファー額を、それぞれ前回から100億円減額した。この減額は超長期債の利回りが急低下してしまったため、それを戻すためコントロールしようとしたものではない。それほど超長期の利回りは大きくは動いていなかった。

 それではどうしてこのタイミングで減額をしてきたのであろうか。ひとつの要因として日銀は公には認めないと思うが、国債の買い入れ額は増やしたくはない、むしろ減らしたいとの意向があったためとみられる。

 ただし、上記の主な意見にもあったように「金融政策決定会合における決定と、調節運営との間の連携」も絡んでいた可能性がある。日銀は月末に「当面の長期国債等の買入れの運営について」を公表しているが、この数字を変化させたくなかったのではないかとの見方もできる。金融政策を決めるのはあくまで決定会合における政策委員であり、それに基づいて調節運営を実行部隊が行う。しかし実行部隊が勝手にイールドカーブの居所を決めるというわけにはいかない。買入の調節の数字は途中はさておき、最終的なものは修正はしづらい。それが今回、買入額を元の数字に戻した背景にあるのではなかろうか。

 28日の債券市場では、この減額を受けて超長期債の利回りが大きく上昇した。しかし、債券市場のベンチマークともいえる債券先物は上昇し、10年債利回りは低下した。これを見る限り、今回の減額による市場のショックはほとんどなかったと言える。超長期債のある程度の利回り上昇は投資家目線でみると投資対象としてむしろ喜ばしいことになる。

 こうみると日銀はいまのところ市場動向をみながら、うまくコントロールしているようにみえる。しかし、今後も同様にコントロールできるかといえば、いずれ無理が来ることが予想される。主な意見では下記のような発言もあった。

 「資産買入れ額に新たに目標を設定し、それを段階的に低下させていくことで買入れの持続性と市場の安定性を高めるべきである。長短金利操作によって、為替・株式市場のボラティリティは大きく高まった。また、「指値オペ」の実施を早期に余儀なくされたことは、長短金利操作の難しさを裏付けた。国債買入れを伴わない「指値オペ」は、実効性が低い。超長期国債の買入れ増額措置は、長短金利操作のもとでは国債買入れのペースが高まるリスクが相応に高いという当初からの自身の懸念を裏付けるものである。」

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by nihonkokusai | 2016-12-30 09:47 | 日銀 | Comments(0)

日銀が目標CPIを総合からコアに変えたことで興味深い事態に

 2016年11月の消費者物価指数が27日に公表されたが、この数字がなかなか面白いことになっている。

 11月の消費者物価指数の「総合」は前年同月比でプラス0.5%、「生鮮食品を除く総合(コア)」で同マイナス0.4%、「食料及びエネルギーを除く総合(コアコア)」で同プラス0.1%となった。参考までに27日に日銀が発表した基調的なインフレ率を捕捉するための指標(速報)によると、消費者物価指数の「除く生鮮食品・エネルギー(新コアコア)」は11月がプラス0.2%と、10月のプラス0.3%からプラス幅が縮小していた。

 コア指数の低迷は11月は前年比でみてまだ原油価格が下落していたこともあり、その影響でガソリン代や電気代が下がっていたことや、携帯電話・スマートフォンの値下がりが影響したようである。為替でみても1年前に比べると円高となっており、その影響も出ていたものとみられる。

 ただし、注意すべきは11月の消費者物価指数の「総合」の方で、こちらはプラス0.5%と10月の前年比プラス0.1%、9月のマイナス0.5%から大きく改善しているのである。

 何を言っているのか、物価指数はコアもしくは日銀のコアコアをみるべきであり、変動の激しい生鮮食料品を加えた総合では、その新鮮野菜の値上がりの影響が大きいため、こちらはあくまで参考程度ではないか、との声もあるかもしれない。

 ところが日銀が2013年1月に置いた2%の物価目標、さらには同年4月の量的質的緩和政策で置いた目標とする物価は「除く生鮮」ではなく「総合」であったのである。これは2014年8月の決定会合議事要旨でも「物価安定の目標は、消費者物価の総合指数で定義している」との記述があった。ただし、展望レポートの予想物価については基調的な物価の動きを比較的よく表している「除く生鮮食品」指数を用いているとの指摘があった。

 ところがである。2016年9月の決定会合で長短金利操作付き量的・質的緩和を決定した際、日銀は何気なくこの目標とする物価を総合からコアに置き換えている。

 黒田総裁は決定会合後の会見で、「次に、「オーバーシュート型コミットメント」について説明します。日本銀行は、生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続するという新しいコミットメントを導入しました。」と述べていたのである。何故、このタイミングで変更していたのか。

 もともと展望レポートでコアを使っていたのであれば、物価目標もコアが適切であろうと思われていた。それを意識して目標値の変更であったのかもしれないが、ここでもし変えていなければ、日銀が目標とする物価が大きく違ってくることになる。9月に変えなければ目標物価は総合のプラス0.5%となる、しかし変えたことでマイナス0.4%となってしまうことになる。

 総合のままであれば2%に向けて上昇しつつあるという解釈ともなろう。日銀の大量の国債買入やイールドカーブ操作で「野菜」の値段が上がったわけではないが、効果を発揮したと解釈するかもしれない。我々消費者としても野菜やガソリン価格の上昇で、実感としては物価は上がっているとの認識も強いのではなかろうか。

 ところが日銀は目標の物価をコアに修正したことで、いまだマイナス0.4%と水面下にいることになる。これはこれで日銀の金融政策が当初予定した効果を発揮していないとの解釈ともなるが、長期金利もこれで簡単には跳ね上がることもないということにもなるのか。

 ただし、今後はコアを含めて物価の基調は上昇していくことが予想される。トランプラリーによるドル円の回復等による影響が来年1月以降に出てくる。その際に日銀は物価上昇に応じた長期金利の上昇も封じ込めるのか。それとも長期金利の目標を引き上げて、いわゆる利上げを決定してくるのか、このあたりも今後の注目点となる。

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by nihonkokusai | 2016-12-29 09:58 | 日銀 | Comments(0)

日銀の長期金利操作目標の引き上げはありうるのか

 12月20日の日銀の金融政策決定会合では、賛成多数で金融政策の現状維持を決定した。長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)、資産買入れ方針ともに7対2での賛成多数となったが、いずれも木内委員と佐藤委員が反対した。

 長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)に反対した理由として、佐藤委員は、短期政策金利をマイナス0.1%、10年金利の目標をゼロ%程度とすることは期間10年までの金利をマイナス圏で固定することにつながりかねず、金融仲介機能に悪影響を及ぼすとして反対した。木内委員は、国債市場や金融仲介機能の安定の観点から、短期政策金利はプラス0.1%が妥当であり、長期金利操作目標は国債買入れペースの一段の拡大を強いられるリスクがあるとして反対した(以上、金融政策決定会合の公表文より引用)。

 黒田総裁は20日の会見で、金利目標は「毎回の決定会合で議論される」との原則を述べつつ、「2%目標への距離はまだ遠く、具体的に議論するのは時期尚早」と発言した。トランプ相場による円安を背景に来年1月に物価見通しを引き上げる可能性も示唆した(ロイター)。

 意外に思われるかもしれないが、すでに日銀の金融政策の方向性は緩和のさらなる深入り方向ではない。9月に決定した長短金利操作付き量的質的緩和は、マイナス金利への金融機関からの批判等を受けて決定したものである。マイナス金利の深掘りは避けた上、超長期の金利上昇を促すという政策であり、この時点で日銀は総裁が何と言おうと、金融政策に関しては依然として緩和状態にあるものの、方向性としては中立の立場に転じたことになる。ここに円安株高、米金利高をともなったトランプ相場が加わって、長期金利目標の引き上げについては「時期尚早」という表現になった。

 さらに今回の会見で黒田総裁は、長期金利目標を「ゼロ%程度」ではなく、「0.1%」や「1%」と言い間違いをしていた。もちろんあまり細かいミスをつつく必要はなく、私も同じ立場なら言い間違いをした可能性がある。それはそれで0.1%とか1%が意識されていた裏返しとも言えよう。憶測とはなってしまうが、10年金利の目標をゼロ%程度という程度はマイナス0.1%からプラス0.1%という市場の認識は案外妥当性のあるものではなかろうか。

 金利目標は「毎回の決定会合で議論される」ものであり、それがたとえば10年金利の目標を実勢の長期金利の動向を睨んで、0.5%とか1.0%に引き上げることも予想される。ただしそれが意味することは「利上げ」であるということで、これは完全に日銀が方向転換をした上、FRBと同様の正常化に向けて一歩進めたと市場では捉えられる可能性がある。そうなると外為市場では円高となる懸念があり、日銀としては利上げと捉えられかねない10年金利の目標の上方修正は、よほど物価の上昇でもない限りは難しいことも確かである。

 それでも市場での長期金利上昇圧力を受けて、日銀が長期金利の目標値を引き上げざるを得ない、もしくは程度の範疇を拡げるようなことをしてくる可能性がある。この水準で長期金利が抑えられれば、日米の長期金利の格差が拡大し円安ドル高圧力となる。日銀の国債買入を利用しての長期金利操作は当面は可能かもしれない。それでも海外の長期金利の動向や足元の物価景気動向など次第では日本の長期金利にさらなる上昇圧力が加わる可能性がある。それを果たしてテクニカルな国債買入(指し値オペ)等で抑えられるのか。そのあたりの市場と日銀の駆け引きが今後行われる可能性がある。

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by nihonkokusai | 2016-12-22 10:05 | 日銀 | Comments(0)

日銀は異次元化した金融政策の縺れを解けるのか

 市場では12月13、14日のFOMCを注目しているが、19、20日の日銀の金融政策決定会合にはさほど関心がないようである。

 12月8日のECB理事会では予定通り、資産買入プログラムの延長を行った。その結果は妥協の産物ともいえる600億ユーロに減額しての9か月延長となった。これは少なくとも時間稼ぎのために延長せざるを得ない、ただし、ドイツなどは延長ならば減額をとの主張となり、結果としての妥協案が賛成多数で決定された。

 13、14日のFOMCでは昨年12月の利上げ決定時のように全会一致に近いかたちで0.25%の利上げを決定してくると予想される。毎年12月恒例の利上げみたいなかたちとなってしまうが、今後は利上げペースを少し速める可能性もある。

 これに対して日銀の金融政策決定会合に関しては、市場の注目度がそれほど高くはない。日銀は動かないであろうとの予想がこの背景にある。

 日銀の金融政策はアベノミクスと歩調を合わせるため、2013年4月の量的・質的緩和でかなり無理矢理な政策を実施することを強いられた。当初はうまくいっているかにも見えたが、量で物価を動かすことには所詮、無理があった。それを2014年10月の量的・質的緩和の拡大でさらに政策を深入りさせてしまった。

 それでも物価が動かない。しかし買い入れる国債の量には限界あり、昨年12月に補完措置で買入枠の拡大を図る。ところが買入の増額は行わず、今年1月にはマイナス金利政策という手段を講じた。しかし、マイナス金利政策は金融機関からの非難を浴びることとなり、深掘りはもってのほかとなり、長い金利の回復を意識した長短金利操作付き量的・質的緩和という、もはやすべての政策を継ぎ接ぎしたものを打ち出してきた。しかも本来、操作はできないという前提の長期金利操作を加えるという手段を加えてきたのである。

 現状はトランプ相場に助けられ、日銀が本来目指していたとも思われる円安株高が生じた。原油価格についても底を打った格好となった。国債の買い入れ額については、すでに80兆円は厳格な目標となっておらず、このままのペースでもステルス・テーパリングという格好となる。しかし、そんなことは表だっては言えないのも現在の日銀であり、相場の地合が変わっても前向きの姿勢は維持しなければならない。ただし、何もしないでも日米の長期金利の格差は拡大し、それは円安の動きをさらに促すことにはなる。

 このまま日本の物価も前年比マイナスからプラスに転じることになれば、少なくともこれ以上の金融緩和は実質的に困難になっている日銀にとって、何をしなくても済む環境となる。そうしたなかで、今後少しずつでも日銀は金融政策の縺れを解いていけるのかも課題となろう。市場はすでに過剰な金融緩和に期待するようなこともなくなっている。それが効果より副作用をもたらしかねないことにも気が付きつつあるためであろう。

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by nihonkokusai | 2016-12-13 09:29 | 日銀 | Comments(0)

日本の物価はいまだ前年比マイナスの理由

 25日に公表された10月の全国消費者物価指数は、総合が前年同月比プラス0.1%と前月のマイナス0.5%からプラスに転じた。これは生鮮野菜の値上がりが大きく影響し、宿泊料の上昇も寄与した。

 日銀が物価目標としている生鮮食品を除く総合指数は前年同月比マイナス0.4%となり、前月のマイナス0.5%からはマイナス幅は縮小しているが、いまだマイナスを脱していない。マイナス0.4%という水準は日銀が量的質的緩和を決定した月である2013年4月のマイナス0.4%と変わりはない。

 下落に寄与したのはガソリンなどエネルギー価格であるが、その下落幅が縮小しており、マイナス幅は縮小している。WTI先物の価格を1年前と比べるとすでに上回ってきており、今後エネルギー価格は前年比でみるとプラスに寄与してくると予想される。

 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は、前年同月比プラス0.2%となっている。日銀が独自に公表している基調的なインフレ率を捕捉するための指標(速報)によると、総合(除く生鮮食品・エネルギー)は 9月の0.2から10月は0.3となっている。

 原油価格の下落の影響は次第に後退するとみられ、消費者物価指数(除く生鮮)はいずれプラスに転じてこよう。もちろんこれは日銀の金融緩和の成果ではなく、原油価格の動向など外部環境の変化によるものである。

 日銀は物価の基調はしっかりしていると主張するが、前年比ゼロ近傍で日銀の物価目標たる消費者物価が推移している以上はその主張は正しくはないということになる。もともと日本の消費者物価指数は帰属家賃などの影響で上がりづらい面があるとともに、原油価格や為替市場動向に大きく左右される。

 2013年4月の消費者物価指数(除く生鮮)は前年比マイナス0.4%となっていたが、それが1年後の2014年4月にプラス1.5%にまで上昇した。これは2012年10月頃の原油先物価格が90ドル近辺、ドル円が80円割れとなっていたものが、1年後の2013年10月にそれぞれ100ドル、100円近辺上昇した影響が大きい。

 ドル円はその後も上昇し2015年には一時120円台をつけるが、原油先物は2015年に50ドル割れまで下落する。この原油価格の下落が消費者物価指数の前年比を押し下げた。結果を見る限り、日本の消費者物価指数は主に原油価格の動向に左右されがちで、そこに為替による影響もありうるといったところか。

 そこにどれだけ日銀の金融政策の余地がありうるのか。もちろん賃金が抑えられ、消費が上向かないなどの上昇抑制要因もあろう。しかしそれが日銀の金融政策で変えられるものではない。まったく効果がないとは言わないが、金融政策はあくまでその補助的な役割でしかないはずである。

 大胆な金融政策でも物価は変えられないし、世界も変えられない。金融政策はあくまで金融市場の不安を取り除くといった役割程度の認識とすべきで、過度の期待は禁物ではないかと思われる。

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by nihonkokusai | 2016-11-30 09:48 | 日銀 | Comments(0)

トランプ効果で金融緩和の影響度が強まることも

 9月21日に日銀が金融政策決定会合で決定した金融緩和強化のための新しい枠組み「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」で日銀はいったい何をしようとしているのか。米大統領選挙でのトランプ氏の勝利が金融市場を取り巻く環境が大きく変化しつつあり、これを踏まえて考えてみたい。

 日銀は9月21日に金融緩和の「総括的な検証」を行っている。このなかで、2%の物価目標が実現していない理由を指摘している。当初は「予想物価上昇率の引き上げ」と「名目金利の引き下げ」による実質金利の引き下げが経済を刺激し、物価が上がるというメカニズムが働いたとした。それにより実施1年後には消費者物価は1.5%に上がったと結論づけた。

 物価の上昇基調は2013年4月の量的・質的緩和の決定のタイミングですぐに上向きはじめたように見える。タイムラグもなしに上向いたのは、大胆な金融緩和による予想物価上昇率が引き上げられたというよりも、外部要因によるものとの説明のほうが適切ではなかった。急激な円安と消費増税前の駆け込み需要等の要因で説明すべきではないのか。

 事実、日銀は物価が下がった要因について、2014年夏以降の原油価格の下落と消費税率の引き上げ後の需要の弱さ、2015年夏以降の新興国経済の減速とそれを受けた世界的な金融市場の不安定化という逆風を指摘し、この外部要因で実際の物価上昇率が低下してしまったとしている。それならば物価の上昇も外部要因で説明すべきものではないのか。

 つまり日銀による大胆な金融緩和だけで物価が動かせるものではない。金融政策はあくまで経済や物価の悪化を食い止めるための金融市場を通じた環境作りでしかなく、金融政策そのものが景気や物価を動かすものではない。

 ただし、この環境が変化すると金融政策の影響度が強まることも考えられる。金融政策ではなく外部環境がもしデフレ脱却の方向に向かいつつなれば、金融政策がそれを加速させることになる。ここにきての円安や米国株式市場の上昇もあっての東京株式市場の上昇は、それを予感させるものとなる。

 環境が変わると日銀の金融政策の影響にも変化が出てくる。金利については無理に引き下げても、実体経済に上向きの力がなければ生かされない。ところが実態経済に上向きの力が加われば、それに応じた金利上昇が予想されるが、それを日銀のイールドカーブ・コントロールで押さえつけることとなる。

 いわゆる「金融抑圧」や「高圧経済(high-pressure economy)」といった状況を強めることが予想される。実体経済に即した金利形成を阻害する形だが、それは景気そのものの回復力を強めることも予想される。しかし、これはなかなか危険な賭ともなりうる。

 日銀は「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」で「イールドカーブ・コントロール」とともに、消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%の「物価安定の目標」を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」も打ち出している。つまり2%が見えるまでは、「金融抑圧」や「高圧経済」を続けるということでもある。

 実際に外部環境に本当の意味で変化が生じているのかどうかは、今後の経済物価指標等を確認する必要はある。金融政策では物は動かせなくても、その動きを加速させる要因ともなりうることで、今後の外部環境の変化にも注意しておく必要がある。

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by nihonkokusai | 2016-11-29 09:59 | 日銀 | Comments(0)

日銀による初の国債の指し値オペの目的は何だっのか

 日銀は11月は17日に初の国債の指し値オペをオファーした。この目的は何かと問われれば、トランプ相場によるところの米長期金利の上昇を受けての日本の国債利回り上昇の抑制となる。

 日経QUICKニュース社の取材に答えた日銀の金融市場局の担当者は、指し値オペの実施を初めて通知したことについて「短中期の金利の急速な上昇を踏まえたもの」とした。

 黒田日銀総裁は17日午前の参院財政金融委員会で、米金利の上昇につれて日本の金利に上昇圧力がかかる中、長短金利を操作目標としたイールドカーブ・コントロール政策の下では、日本の金利上昇を容認することはないと語った(ロイター)。

 日銀が17日は20年国債の入札日であるにも関わらず、異例の国債買入、しかも初の国債の指し値オペをオファーした背景には16日の債券相場の動きがあった。10年債利回りは16日の引け後にプラス0.035%まで上昇し、2年債利回りはマイナス0.095%、5年債利回りはマイナス0.040%に上昇したのである。

 日銀によるオペの指し値が、2年利付国債370回の買入利回りで-0.090%、5年利付国債129回の買入利回りは-0.040%とまさに16日に売り込まれた水準であったことからもそれが伺える。

 それでは何故、「長短金利」操作をうたった日銀が「中期」の金利の抑制に動いたのか。これは長期は0.035%まで上昇したとはいえ、概ねゼロ%という水準に近いことで動きづらい面があった可能性がある。それよりも16日の債券市場でまとまった売りが中期ゾーンに入り、中期ゾーンの利回り上昇に対して日銀が意識した可能性がある。

 当然ながらこの中期ゾーンの売りの要因なり売り手を探るため、日銀は市場関係者にヒアリングを実施した事も考えられる(通常でも意見交換はあると見られるが特に念入りに)。その結果、指し値水準から見ても16日の段階で17日中には初の国債の指し値オペを実施することを決めていたのではないかと思われる。国会に出席する黒田総裁の耳にも事前に入れておいたはずである。

 これにより日銀のイールドカーブコントロールが試される。17日の初の国債指し値オペの応札はゼロとなった。実勢利回りが指し値よりも低下したためのことではあるが、これで2年債と5年債の利回りの下値の防衛ラインが意識されることとなった。

 米金利はそれ以降も上昇基調となり、今後さらに上昇する事態も考えられる。また、16日の中期債の売り手が国内投資家ではなく海外投資家の可能性もある。日銀は無制限に買い入れるとしているが、海外の金利動向次第では、日本の長期金利形成が歪なものとなる可能性もある。為替介入でも自国通貨安を食い止めることに無理はあった。このようなことをもし日銀が続けるとなれば、いずれ日銀は市場参加者と立ち向かうことにもなりかねない。

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by nihonkokusai | 2016-11-28 09:54 | 日銀 | Comments(0)

金融市場のトランプ現象による日銀への影響

 11月8日の米大統領選挙における予想を覆してのトランプ候補の勝利を受けて、世界の金融市場の景色が変わった。21日の米国株式市場ではダウ平均、ナスダック、S&P500種株価指数の3指数そろっての過去最高値更新となった。ドルも上昇し、ドル円は一時112円台に乗せてきた。さらに米国債は売られ、米10年債利回りは2.3%台に上昇した。

 この背景にはトランプ氏の経済政策への期待がある。積極的な財政政策や規制緩和等を推し進めるとの期待を背景に、物価の上昇や財政赤字の拡大なども予想されることで、株やドルは買われ、米長期金利は上昇した。物価上昇観測はFRBの正常化の後押しともなる。このため12月のFOMCでの利上げ観測が強まり、市場は来年の再利上げも視野に入れつつある。これも米長期金利やドルを上昇させた要因となった。

 ただし、トランプ氏から具体的な政策が公表されているわけではない。いまのところ大統領着任初日に大統領特別命令でTPPからの撤退を発令すると宣言した程度となっている。

 具体的な政策が打ち出されずともトランプ氏の登場で金融市場の潮目が変化したのは、期待感だけでなく、そちらの方向に向けたエネルギーが蓄積されていたともいえる。これは2012年11月あたりからの日本でのアベノミクスと呼ばれた現象とも似ている。

 米国金融市場の影響は、当然ながら日本の金融市場にも影響を与えた。急速な円安と米株高を受けて東京株式市場は上昇基調となり、日経平均は18000円台を回復した。トランプ氏の勝利で一時的に日経平均は16000円近くまで下落したが、すぐに17000円程度に切り返し、そこからじりじりと上昇してきた格好となった。

 トランプ現象は日本の債券市場にも影響を与えた。円安株高も要因ではあるが、それ以上にFRBの追加緩和観測も手伝っての米長期金利の上昇により、日本の国債利回りも上昇した。今年1月の日銀のマイナス金利政策の導入決定を受けて、日本国債の利回りは一時20年債までマイナスとなった。超長期ゾーンはプラス金利を回復した。しかし、10年債利回りは9月の日銀による長短金利操作付き量的・質的金融緩和の決定で一時的にプラスになる場面もあったがマイナスが継続していた。ところがトランプ候補の勝利とそれによる米長期金利の上昇を背景に、11月15日に日本の10年債利回りはプラスに転じたのである。

 中期ゾーンの金利も上昇したが、これに対して日銀は17日に中期債を対象とした初の国債指し値オペを実施した(応札額はゼロ)。日銀の目的が水準を意識したものなのか、それとも利回り上昇ピッチを警戒したものかは不透明ながら、これで中期ゾーンの利回り上昇はいったん抑えられた。しかし、超長期債を中心に利回り上昇は続いている。

 日銀にとって円安株高は願ったり叶ったりとなる。原油先物はOPECの生産調整を巡って下落する場面もあったが、再びWTIは50ドル台に迫るなど、原油価格の底打ちもあって日本の物価も今後はマイナスを脱してくる可能性も出ている。

 ただし、イールドカーブコントロールを打ち出した以上は、国債利回りの上昇についてはあまり容認できないところでもあろう。しかし、米国の長期金利の上昇やドル高を背景に海外投資家の円債への巨額投資に今後変化が起きる可能性もある。日本の国債利回りが今後さらに上昇圧力が強まれば、日銀が無理矢理それを押さえつけるような事態になることも予想される。

 今後はマイナス金利政策そのものの意味も問われよう。すでに債券市場は需給バランスなどでかなり歪なものとなっているが、それがさらに歪になってしまうこともありある。日銀はそろそろ正常化路線に戻れとまでは言わないまでも、マイナス金利政策あたりは撤回することも視野に入れる必要もあるのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2016-11-24 09:20 | 日銀 | Comments(0)
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