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カテゴリ:日銀( 1090 )

「日銀の展望レポート」

 10月31日に発表された日銀の展望レポートにおいて、コアCPIの今年度及び来年度予想は、ほぼ事前に新聞などで報道されていたものと同じものとなった。しかも政策委員全員の見通しと大勢の見通しが全く同じものとなっていた。これは予測ではあるものの、審議委員が一丸となって量的緩和解除に向けての強い意志表示を示したものとも受け取れる。

 ちなみに、2005年度のコアCPI予想は0.0~+0.1%で中央値は+0.1%(4月の見通しは、-0.1~+0.1%、中央値-0.1%)、2006年度の予想は+0.4~+0.6%で中央値は+0.5%(同+0.2~+0.4%、+0.3%)。

 そして展望レポートの「金融政策運営」においては、今回の展望レポートの経済・物価見通しが実現することを前提とした上で、「現在の金融政策の枠組みを変更する可能性は、2006年度にかけて高まっていく」「枠組みの変更は、日本銀行当座預金残高を所要準備の水準に向けて削減し、金融市場調節の主たる操作目標を日本銀行当座預金残高から短期金利に変更することを意味する。」「枠組み変更後のプロセスを概念的に整理すると、極めて低い短期金利の水準を経て、次第に経済・物価情勢に見合った金利水準に調整していくという順序をたどることになる」としている。

 量から金利への枠組み変更の宣言ののち、ある程度の時間をかけて当座預金残高を所要準備の水準に向けて削減し、その間はゼロ金利政策とし、その後状況を見ながら金利の目標水準を引き上げていくと見られる。

 それでは、量的緩和解除の時期はいつ頃と推測できるであろうか。レポートでは「現在の金融政策の枠組みを変更する可能性は、2006年度にかけて高まっていくと」しており、これまでの福井総裁コメントとほぼ同じ内容となっているが、コアCPIの予想をこの時点で、緩和解除の条件を満たす水準にまで引き上げられている点に気をつけたい。来年4月末に発表される展望レポートの内容を確認してとの見方も現在強いが、すでに10月レポートの予測でその基準は満たしているとも思える。このため、実際に全国コアCPIがゼロ以上に浮上し、それが数か月続くことを確認し、その間、レポートの指摘する「海外経済の想定外の減速など大きな外的ショック」などなければ解除に踏み切る可能性が高い。

 10月の全国コアCPIはゼロ以上になる可能性が高く、その後もゼロもしくはプラスとなろう。3か月分のコアCPIを確認できるのは来年1月27日であり、確認後の決定会合は2月8・9日となり、この際に量的緩和が解除される可能性が高まったと思われる。
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by nihonkokusai | 2005-11-01 15:06 | 日銀 | Comments(0)

「水野シナリオに沿った量的緩和解除プロセス?」

 まずは、以下のコメントを読んでいただきたい。

 「個人的には、金利を中心とする枠組みへの移行、すなわち、金融市場調節の誘導目標を量から金利へ移行する場合、(1)当座預金残高目標を引き下げるプロセス、(2)無担保コール翌日物金利をゼロ近傍に維持して短期金融市場の機能回復を待つプロセス、(3)無担保コール翌日物金利をゼロ近傍から中立的な水準に近づけるプロセス、という3つのプロセスを念頭においています。もちろん、当座預金残高目標を引き下げるプロセスをスタートさせる前に、日本銀行が量的緩和政策の枠組みから、金利を中心とする枠組みへのシフトを宣言する可能性はあります。しかし、その場合でも、無担保コール翌日物金利をゼロ近傍からプラスの水準に誘導するには、当座預金残高目標をいわゆる所要残高近辺まで引き下げる必要があります。」(2005年 6月 2日福島県金融経済懇談会における水野審議委員挨拶要旨より)

 そして、10月31日に発表された日銀の展望レポートは下記のような内容となっていた。「枠組みの変更は、日本銀行当座預金残高を所要準備の水準に向けて削減し、金融市場調節の主たる操作目標を日本銀行当座預金残高から短期金利に変更することを意味する。」「枠組み変更後のプロセスを概念的に整理すると、極めて低い短期金利の水準を経て、次第に経済・物価情勢に見合った金利水準に調整していくという順序をたどることになると考えられる。」

 展望レポートにも量的緩和解除のプロセスが明記され、日銀は来春に向けての量的緩和解除に向けての強い意志表示を示したものと思われるが、そのプロセスの内容自体は、水野審議委員のイメージしていたものと非常に近いことが、この2つのコメントを比較するとわかる。

 水野審議委員も量的緩和解除に向けて就任時から強い意思表示を示していたとも言われるが、福井総裁自身の考え方に非常に近いものであったと思われる。水野氏は当座預金残高目標を引き下げるプロセスを先に行うことを主張していたが、実際に日銀は5月20日の決定会合を前に、それを検討していた節がある。ただし、谷垣財務大臣の強力な反対にあったために「なお書き」修正に留めたといった見方もあった。

 このように、現在の福井日銀が描いている量的緩和解除のプロセスは、これまで水野審議委員の描いていたプロセスにたいへん近いものとなっており、今後さらに水野審議委員のコメントがクローズアップされてくる可能性もある。
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by nihonkokusai | 2005-11-01 10:11 | 日銀 | Comments(0)

「日銀の国債買い」

 2001年3月19日に量的緩和政策が取られてからの金融政策の変更における当座預金残高と国債買いをピックアップしてみると下記のとおりとなる。

2001年3月19日 当座預金残高5兆円程度に増額。
2001年8月14日 当座預金残高6兆円程度に増額。国債買入月6千億円ペースに。
2001年9月18日 当座預金残高が6兆円を上回ることを目標に。
2001年12月19日 当座預金残高が10~15兆円程度に。国債買入月8千億円ペースに。
2002年2月28日 当座預金残高が10~15兆円程度に。国債買入月1兆円ペースに。
2002年10月30日 当座預金残高15~20兆円程度に。国債買入月1兆2千億円ペースに。

2003年3月20日 福井俊彦氏日銀総裁に就任。

2003年3月25日 4月1日以後郵政公社の発足に伴い当座預金残高17~22兆円程度に。
2003年4月30日 当座預金残高22~27兆円程度に。
2003年5月20日 当座預金残高が27~30兆円程度に。
2003年10月10日 当座預金残高の目標値の上限を引き上げ27~32兆円程度に。
2004年1月20日 当座預金残高が30~35兆円程度に。
2005年5月20日 なお書き修正

 10月20日の参院財政金融委員会においても、「政府に対し直接ファイナンスする意図は一切持たないことが大事」といったコメントもあったように、福井総裁は、財政問題に組み入れられることは極力避けていると思われる。そして、国債買入は量的緩和解除後も簡単には減額できないであろうことを就任時より認識していたものとも推測されるのである。
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by nihonkokusai | 2005-10-25 14:39 | 日銀 | Comments(0)

「日銀はバーナンキ氏指名を意識していたのか」

 日銀が来春あたりに向けての量的緩和解除への意向を強めた背景には、米国の次期FRB議長人事が少なからず影響していた可能性がある。10月上旬のレポートにおいてインフレ目標導入の可能性について次のようにコメントした。

 「仮に米FRBの次期議長が、もしインフレ目標政策を導入した際には、世界の主な中銀が採用したこととなり、将来、日銀としてもその導入の検討をする可能性は否定できないことも確かではある。」

 次期FRB議長がバーナンキ氏に指名されたが、バーナンキ氏の持論でもあるインフレ目標政策を導入する可能性は否定できない。もちろん、そのためには多くの壁があることも事実である。議会の承認も必要となるであろうし、それ以前にFOMCメンバーでインフレ目標導入賛成派が多数になる必要がある。また当初は、市場へのあらぬ混乱を避ける上でも前任のグリーンスパン議長の方針を世襲してくる可能性が高い。

 しかし、それでも持論をいずれ展開してくる可能性がないわけできなく、日銀としてもFRBがインフレ目標政策を取ってくる可能性もある程度は意識せざるを得ない。

 あまり勘繰ってもいけないが、先日はグリーンスパン議長を福井総裁は日本にも呼んでいる。この際にも、次期議長についても何がしかの話もあってしかるべきではなかったかとも思われる。もちろん次期議長を決めるのは米大統領ではあるが。

 バーナンキ氏が議会で承認されれば、次期FRB議長に就任するのは来年2月1日と予定されている。また、就任後の新議長を迎えてのFOMC は3月28日に開催される。ここにきて日銀は、早ければ今年度中にも量的緩和解除の3つの条件が整うといった見方もしている。3月決算はあまり意識していないといった声も日銀内部にはあるようにも聞いている。このため解除については、4月末が本命とも見られるものの2月あたりの解除の可能性もないとは言えない。

 「来年1~3月内での量的緩和解除の可能性もあらためて出てきている。たとえ今年10月のCPIからゼロ以上となったとしても、3か月分のコアCPIを確認できるのは1月27日であり、確認後の決定会合は2月8・9日となる」(9月末拙著レポートより)

 日銀の量的緩和解除に向けての動きは当然ながら、景気や物価動向を睨んで3つの条件が満たされることを前提にしている。しかし、ここにきて解除に向けての姿勢を強めていること自体、地ならし的なものを指摘する声もあるが、多少なりとも米FRB新議長就任時期といったものも意識されていた可能性もあるのではなかろうか。
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by nihonkokusai | 2005-10-25 10:45 | 日銀 | Comments(0)

「朝日新聞一面に、量的緩和を来春にも解除との記事」

 本日の朝日新聞の一面は、「量的緩和を来春にも解除」との記事であったのだが、何故今になってこの記事を一面に持ってきたのか、やや不可解な部分があり気になる。もちろんこれまでに朝日自体が量的緩和解除に関する記事をあまり出していなかったためもあるのかもしれない。大きなニュースがない場合には、こういった記事で一面を埋めるといったこともよくある。もし、それならば事前にある程度の準備も進んでいたはずである。しかし、ネットでこの記事が配信されたのは10時頃であった。急遽、一面トップにこの記事を入れてきた可能性もありそうである。

 それにも関わらずその内容にはあまり新鮮さはない。すでに今月末発表される展望リポートにおいて、2006年度のCPIの見通しについても0.3%の上昇から0.1か0.2ポイント程度引き上げる方向で検討するとは日経新聞などで報じられており、これはスクープといったものにはならない。「(CPIは)年末にかけてゼロ%ないし若干のプラスに転じる」との見方も、すでに会見などで福井総裁は繰り返し述べているものである。

 もし何がしかのスクープのようなものが含まれるとすれば、政府の見方であろうか。量的緩和解除のための3条件を達成すれば、解除に対する政府の反対は少ないとの「見方もある」としている。3つめの条件を確認する上では来年3月の日銀短観の結果が出る来年4月ごろの解除が有力であるとしている。もちろん来年4月末の可能性というのはマーケットではコンセンサスにすでになりつつはあるが。

 そして「政府内では景気回復を前提に財政再建路線を強める動きがあり」とも指摘している。小泉首相の在任中に脱デフレ宣言はしたい意向も強いことも確かであろう。最近になって、日銀に向けての竹中氏のトーンがややダウンしているという印象を個人的に持っていたが、今回の朝日の記事はこういった微妙な政府の日銀の姿勢への対応の変化を示しているとも取れるのではないかとも考えられる。

 あまり穿った見方も禁物であり、日銀の記事でやや乗り遅れたとみた朝日がここにきてトップに持ってきたといった解釈もあるかもしれない。ネットへのアップの遅れも別途事情があってのものの可能性もあるため、あくまで個人的にこの記事がやや気になったというも付け加えておきたい。
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by nihonkokusai | 2005-10-24 10:58 | 日銀 | Comments(0)

「日銀の国債買い切り」

 量的緩和解除観測が強まる中、日銀執行部はこれまであえて国債の買い切りには触れないようにしてきたようにも見受けられた。日銀総裁が速水さんから福井さんに代わってからの金融政策の変更時において決定的な違いがひとつある。日銀の当座預金残高を引き上げた際に国債の買い切りを増やし続けた速水さんに対して福井総裁に代わってからは一度も国債買い切りの額は引き上げられていないのである。

 2001年3月19日に量的緩和政策が取られてからの金融政策の推移をここで簡単に見て行きたい。

2001年3月19日
1.金融市場調節の操作目標の変更、金融市場調節に当たり、主たる操作目標を、これまでの無担保コールレート(オーバーナイト物)から、日本銀行当座預金残高に変更する。(日銀当座預金残高が5兆円程度となるよう金融市場調節を行う。なお、資金需要が急激に増大するなど金融市場が不安定化するおそれがある場合には、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。)
2.新しい金融市場調節方式は、消費者物価指数(全国、除く生鮮食品)の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで継続する。
3.日本銀行当座預金残高を5兆円程度に増額する(最近の残高4兆円強から1兆円程度積み増し
3.長期国債の買入れ増額、日本銀行当座預金を円滑に供給するうえで必要と判断される場合には、現在、月4千億円ペースで行っている長期国債の買い入れを増額する。ただし、日本銀行が保有する長期国債の残高は、銀行券発行残高を上限とする。

2001年8月14日

1.金融市場調節方針の変更、日本銀行当座預金残高をこれまでの5兆円程度から6兆円程度に増額する。
2.これまで月4千億円ペースで行ってきた長期国債の買い入れを、月6千億円ペースに増額する。

2001年9月18日
1.金融市場調節方針の変更、当面、日本銀行当座預金残高が6兆円を上回ることを目標として、潤沢な資金供給を行う。
2.公定歩合を0.15%引き下げ0.10%とし、明日より実施する。
3.補完貸付制度、補完貸付制度(いわゆるロンバート型貸付制度)の公定歩合による利用上限日数を、今積み期間(9月16日~10月15日)について、5営業日から10営業日に引き上げる。

2001年12月19日
1.金融市場調節方針の変更、日本銀行当座預金残高が10~15兆円程度となるよう金融市場調節を行う。なお、資金需要が急激に増大するなど金融市場が不安定化するおそれがある場合には、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。
2.長期国債買入れの増額、これまで月6千億円(年7.2兆円)ペースで行ってきた長期国債の買い入れを月8千億円(年9.6兆円)ペースに増額する。
3. 金融市場調節手段の拡充(CP現先オペの積極的活用、資産担保CPを現先オペ対象と適格担保に加えるための実務的検討を早急に進める、住宅ローン債権・不動産担保証券を裏付け資産とするABSを適格担保に加えるための実務的検討を早急に進める。手形オペ・全店買入のオファー頻度引き上げ、国債買入・国債レポ・CP現先・手形売出オペの輪番制を廃止し全先に毎回オファーを行う)

2002年2月28日
1.年度末に向けた一層潤沢な資金供給、日本銀行当座預金残高が10~15兆円程度となるよう金融市場調節を行う。なお、当面、年度末に向けて金融市場の安定確保に万全を期すため、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。
2.長期国債買入の増額、資金供給を円滑に行うため、長期国債の買い入れを、これまでの月8千億円(年9.6兆円)ペースから、月1兆円(年12兆円)ペースに増額する。
3.ロンバート型貸出における公定歩合適用期間の拡大、3月1日~4月15日までの間、すべて公定歩合による利用を可能とする。
4.適格担保拡大の検討、預金保険機構向け・地方交付税特別会計向け貸付債権の適格担保化の実務的検討を早急に進める。

2002年9月18日
「金融システムの安定に向けた日本銀行の新たな取り組みについて」を公表
1.金融機関による保有株式削減努力の促進策=日銀による銀行保有株の直接買取=の導入検討(10月11日に「株式買入等基本要領」を制定
2.不良債権問題についての基本的な考え方の整理・公表
(金融政策決定会合終了後、通常会合で決定)

2002年10月30日
1.金融市場調節方針の変更、日本銀行当座預金残高の目標値を、これまでの「10~15兆円程度」から、「15~20兆円程度」に引き上げる。
2.長期国債買入れの増額、これまで月1兆円ペースで行ってきた長期国債の買い入れを、月1兆2千億円ペースに増額する。
3.手形買入期間の延長、これまで「6か月以内」としてきた手形買入の期間を「1年以内」に延長する。

2002年12月17日
「企業金融円滑化策について」を公表
1.証書貸付債権の担保拡大、債務者種類および当初貸付期間毎に担保掛け目を細分化し、3年以内の証貸債権の担保掛け目を引き上げるとともに、5年超10年以内の証貸債権を、新たに適格担保化。
2.資産担保コマーシャル・ペーパー(ABCP)の適格基準の緩和、2004年度末までの時限措置として日銀取引先の保証するABCPを適格の扱いとする。
3.ストリップス債の適格担保化

2003年3月20日、福井俊彦氏日銀総裁に就任。

2003年3月25日
金融市場調節の変更
3月31日までは、日本銀行当座預金残高が15~20兆円程度となるよう金融市場調節を行う。4月1日以後は、日本郵政公社の発足に伴い、日本銀行当座預金残高が17~22兆円程度となるよう金融市場調節を行う。
2.なお、当面、国際政治情勢など不確実性の高い状況が続くとみられることを踏まえ、金融市場の安定確保に万全を期すため、必要に応じ、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。
ロンバート型貸出における公定歩合適用期間の拡大、当分の間、すべての営業日を通じて公定歩合による利用を可能とする。 
金融機関保有株式の買入れ上限の引上げ、買入総額の上限を2兆円から3兆円、買入対象先毎の累計買入限度額5,000億円から7,500億円に。

2003年4月8日潤沢な資金供給が経済活動の拡大に効果的に結びついていくためには、金融緩和の波及メカニズムを強化するため、中堅・中小企業関連資産を主たる裏付資産とする資産担保証券を、時限的措置として金融調節上の買入れ対象資産とすることについて検討を進める。

2003年4月30日
1.金融市場調節方針の変更
日銀当座預金残高の目標値を、これまでの「17~22兆円程度」から「22~27兆円程度」に引き上げることを決定。
産業再生機構に対する証書貸付債権を新たに日本銀行の適格担保とする。

2003年5月20日
金融市場調節方針の変更、日本銀行当座預金残高が27~30兆円程度となるよう金融市場調節を行う。なお、資金需要が急激に増大するなど金融市場が不安定化するおそれがある場合には、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。

2003年6月11日
「資産担保証券の買入れとその考え方について」を公表、具体的スキームの骨子を取りまとめ、7月末までの実施に向けて所要の準備を進める。

2003年9月12日
1.「国債現先オペの期間延長の検討について」を公表。次回決定会合で報告するよう執行部に指示。
2.「シンジケートローン債権の担保受入について」を公表、実務面での検討を進めている執行部からの報告、

2003年10月10日
1.金融調節の柔軟性を高め、流動性供給面から機動的に対応する余地を広げる観点から、日本銀行当座預金残高の目標値の上限を引き上げ、これまでの「27~30兆円程度」から、「27~32兆円程度」とする。
2.金融調節を機動的に行う観点から、国債買現先オペの最長期間を現在の6か月から1年に延長する。
3.「金融政策の透明性強化について」を公表
(1)経済・物価情勢に関する日本銀行の判断についての説明の充実。「経済・物価の将来展望とリスク評価」(4月・10月に公表。以下「展望レポート」という)で示した標準的な見通しに比べ、上振れまたは下振れが生じていないか、3か月毎の(1月・7月の)決定会合で検討し、「金融経済月報」の「基本的見解」の中で公表する。
「金融経済月報」は、現在、決定会合の翌営業日に公表しているが、このうち「基本的見解」部分について、即日公表することとする。
総裁記者会見は、現在、月1回目の決定会合の翌々営業日に行っているが、月2回目の会合を含めてすべての決定会合後、当日中に行うこととする。
(2)量的緩和政策継続のコミットメントの明確化
金融政策面から日本経済の持続的な経済成長のための基盤を整備するため、消費者物価指数(全国、除く生鮮食品。以下略)の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで、量的緩和政策を継続することを約束している。日本銀行としては、このコミットメントについては以下のように考えている。
第1に、直近公表の消費者物価指数の前年比上昇率が、単月でゼロ%以上となるだけでなく、基調的な動きとしてゼロ%以上であると判断できることが必要である(具体的には数か月均してみて確認する)。
第2に、消費者物価指数の前年比上昇率が、先行き再びマイナスとなると見込まれないことが必要である。この点は、「展望レポート」における記述や政策委員の見通し等により、明らかにしていくこととする。具体的には、政策委員の多くが、見通し期間において、消費者物価指数の前年比上昇率がゼロ%を超える見通しを有していることが必要である
。こうした条件は必要条件であって、これが満たされたとしても、経済・物価情勢によっては、量的緩和政策を継続することが適当であると判断する場合も考えられる。

2004年1月20日
金融市場調節方針の変更、日本銀行当座預金残高が30~35兆円程度となるよう金融市場調節を行う。 なお、資金需要が急激に増大するなど金融市場が不安定化するおそれがある場合には、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。

2004年2月26日
「国債市場の流動性向上に向けた制度導入の検討」を公表、日銀保有国債を市場に供給しうる制度(いわゆる品貸し)の導入に関する実務的な検討を行い、準備が整い次第、決定会合に報告するよう執行部に指示。

2004年4月9日
「国債の補完供給制度の導入について」を公表、いわゆる「品貸し」の導入を決定。

2005年5月20日
一時的な日銀当座預金残高目標割れの容認、いわゆる「なお書き」の変更、日本銀行当座預金残高が30~35兆円程度となるよう金融市場調節を行う。なお、資金需要が急激に増大するなど金融市場が不安定化するおそれがある場合には、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。また、資金供給に対する金融機関の応札状況などから資金需要が極めて弱いと判断される場合には、上記目標を下回ることがありうるものとする。
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by nihonkokusai | 2005-10-21 14:10 | 日銀 | Comments(0)

「第二条件のCPIが安定的にプラスとは」

 12日の福井日銀総裁記者会見において、量的緩和解除の三条件のうちの第二条件である「政策委員の多くが、見通し期間において、消費者物価指数の前年比がゼロ%を超える見通しを有していること」の解釈についての質問に対して、福井総裁は下記のようなコメントをしている。

 「足許の物価が何か月も続いてプラスであり、先行きもプラスであると言う時に、一回マイナスとなることを前提に議論することは、あまり生産的ではないと思われる。素直に理解すれば、足許がプラス、先行きの年度の見通しがプラスという限りにおいては、多少の波があっても概ねプラスで推移することが当然想定されているのであって、時々大きく沈むことを想定して、予測を立てるということは多分ないのではないか。」

 安定的にゼロ以上という表現をどのような解釈するのか。5年後、10年後の経済情勢など予測は困難であるため、再びCPIがマイナスとなる可能性はないとは言い切れない。たとえ先行き1年、2年後でも一時的にマイナスとなる可能性は当然あるため、一時的にせよマイナスとなることがないとするのはあまりに縛りがきついものと思われた。

 それに対して、福井総裁は「足許がプラス、先行きの年度の見通しがプラスという」ことをもって第二条件を満たすことを示唆しているものとみられる。実際に2003年10月10日の「金融政策の透明性の強化について」においては下記のようなコメントとなっている。

 「第2に、消費者物価指数の前年比上昇率が、先行き再びマイナスとなると見込まれないことが必要である。この点は、展望レポートにおける記述や政策委員の見通し等により、明らかにしていくこととする。具体的には、政策委員の多くが、見通し期間において、消費者物価指数の前年比上昇率がゼロ%を超える見通しを有していることが必要である」

 そして今年4月に、日銀は公表する「経済・物価情勢の展望」が対象とする期間について、今後、当該年度に加え、翌年度を含めることにしており、そうなれば翌年度を含めた対象期間において、政策委員の多くがプラスとの見通しとなれば条件が満たされるものと思われる。

 今月31日に発表が予定されている「展望リポート」では、すでに新聞などが報じていたように、「2005年度の消費者物価指数(生鮮食品を除く)について前年度比0.1%下落としていた4月の予測を上方修正し、ゼロ%か0.1%の上昇にする見通し。2006年度の見通しについても0.3%の上昇から、0.1か0.2ポイント程度引き上げる方向で検討する」としている。

 もし、この報道どおりの内容となれば、今月末時点において第二条件がクリアされることにもなる。もちろん肝心の第一条件、「直近公表の消費者物価指数の前年比上昇率が、単月でゼロ%以上となるだけでなく、基調的な動きとしてゼロ%以上であると判断する」ことが達成されてはいないが。
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by nihonkokusai | 2005-10-17 09:46 | 日銀 | Comments(0)

「量的緩和解除後の日銀当預残の引き下げ」

 何度も繰り返しとなってしまうが、外部環境等に大きな変化がない限り、日銀は10月以降のコアCPIの動向を見ながら今年度末から来年度初めにかけて量的緩和政策を解除する可能性が高い。

 その解除の方法については、3条件を満たしたことを明らかにした上で金融政策を量から金利へと戻す所謂、量的緩和を解除することを宣言するものと見られる。このタイミングとしては、「展望リポート」の発表される来年4月末の決定会合の可能性が現在のところ最も高いものと思われる。

 ただし、金利については「不連続に変化することを意味しない」との総裁発言もあったように、当面ゼロを目標とするゼロ金利政策を取っていくものと予想される。ゼロ金利の期間は少なくとも、日銀の当座預金残高を必要額まで減額するまでの期間か、さらにその後もう少し様子を見てくる可能性もある。

 それでは現在30兆円以上積みあがっている日銀当座預金残高をどのように、どの程度の期間で減らしていくのであろうかという点について考えてみたい。その前に当預残の必要額とはどのぐらいになるのであろうか。所要額としては6兆円程度と言われているが、ある程度のバッファー等が必要ともみられ、その額は10兆円程度ではないかと指摘されている。

 このため20兆円以上の当預残を減少させる必要がある。これには資金吸収などによって急激に減額するような政策も取りづらく、オペを少しずつ短期化し、手形の買いオペの期日がきたものをロールしないといった方法で徐々に引き下げを図っていくものと見られる。それでもある程度の期間は必要とも見られ、数か月といった期間をかけて減額するのではないかと予想されている。

 また、現在3.5兆円程度あるとされる郵貯の保有する当座預金残高についてどのような処理がなされるのかといったことも注目されているようである。

 結局、上記のように日銀の当預残を10兆円程度に引き下げるには、市場に大きなインパクトを与えないためにも数か月といった期間を要するものと見られ、その間はゼロ金利が維持されるものと予想される。このため、利上げが実施されるとしても来年秋以降となりそうである。また、その上げ幅について現時点で予想するのも時期尚早かもしれないが、以前に25bpではないかと指摘したが、以前の日銀の金融政策などから見て、10bpや15bp刻みとなる可能性もないとは言い切れない。
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by nihonkokusai | 2005-10-13 10:50 | 日銀 | Comments(0)

「武藤副総裁のコメント」

 昨日の日銀金融政策決定会合後の、福井総裁会見に注目が集まっていたが、引き続き量的緩和解除に対して前向きの姿勢に変りはなく、まさに想定の範囲内といった内容であった。それよりも、その前に行われた衆院財務金融委員会での武藤副総裁のコメントが一部気になった

 質問者が注目されている佐藤ゆかり氏だからではないが、武藤総裁のコメントを生で聞きたいと予定されていた13時半からネットでの中継をパソコンで見た。ここで気になったのは「今年度末から来年度にかけて消費者物価はプラスに転じる可能性が高まっている」とのコメントであった。これは明らかに言い間違えではなかろうか。実際に、9月2日のブルムバーグのインタビューにて武藤副総裁は、コアCPI前年比については「今年末から来年初にかけて、コメ価格の下落や電気、電話料金の引き下げといった特殊要因の影響がはく落していくとみられるので、そういう過程でプラスに転じていくだろう」と指摘している。今年度末ではなく今年末から、来年度ではなく来年にかけてとおっしゃりたかったのではなかろうか。

 決定会合終了してその足で国会に向かうなどたいへん過密スケジュールの影響などもあると思われ、細かいミスまで突っつくなとも言われそうだが、とりあえず指摘しておきたい。

 そして、この答弁の様子でもうひとつ注意していたことがある。たまたまであるが、武藤副総裁の答弁の際、すぐ後ろの谷垣財務大臣がテレビに映っていた。武藤氏のコメントに対してどのような反応を示すのか、興味深く観察させていただいたのだが、ほとんど表情を変えなかった。答弁の内容をあらかじめご存知であった可能性もあるが、量的緩和解除に向けて大臣の本音が多少なり表情に表れはしないかと思ったが、残念ながら(?)期待外れとなった。
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by nihonkokusai | 2005-10-13 10:49 | 日銀 | Comments(0)

「日銀の現体制下でのインフレ目標導入の可能性は薄い」

 現在の福井日銀総裁がインフレ目標といったものを導入することはないと思われる。欧州などではインフレ目標政策を導入しているところが多く、また日本でも学者を中心に「インフレターゲット」を導入するように求めた経緯があった。しかし、前任の速水総裁も現在の福井総裁も、その導入に対しては面と向かっての反対は表明しなかったものの、のらりくらりとかわしててきているように思われる。

 10月3日の衆院予算委員会でも導入を強く勧めていた質問者に対して、「透明性を高めるためのひとつの枠組み、道具立てである」との認識をまず示したが、「オールマイティーであるという考え方は取っていない」と、その導入については否定的なコメントをしている。

 執行部のひとり岩田副総裁は副総裁就任前からインフレ目標の導入には積極的と見られ、竹中大臣の意向といったものも意識されてはいるが、現在の日銀の金融政策を決定しているキーマンである福井総裁自身がその導入に否定的である限り、その導入の可能性はないと言える。審議委員においても積極的に導入すべきとの意見は少なく、その有効性を認めることはあっても導入に踏み切るべきとの主張は見えていない。

 ただし、正常時に戻った際には検討課題との意見も見られていることも事実であり、完全に否定されているわけではない。また、仮に米FRB の次期議長が、もしインフレ目標政策を導入した際には、世界の主な中銀が採用したこととなり、将来、日銀としてもその導入の検討をする可能性は否定できないことも確かではある。

 現在の日銀が無理にインフレ目標を導入する必要性を感じず、その動きに対して否定的な姿勢を示せるのは、やはりインフレ目標導入に反対しているグリーンスパン議長の存在が大きいのではないかと、個人的には思っている。

 そしてまた、日銀はすでに擬似的なインフレ目標を導入しているのではないかとの意見もあろう。量的緩和解除に際しての条件がつけられていることこそ、確かにインフレ目標と言えなくもない。しかし、福井総裁はできれば条件が整い次第、すみやかに「正常な状態」に戻したい意向も強いものと思われる。その正常な状態という中には、あらためてインフレ目標政策を取るといったことは意識されていないものと思われる。
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by nihonkokusai | 2005-10-07 10:45 | 日銀 | Comments(0)
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