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カテゴリ:日銀( 1069 )

「バランサーとしての武藤副総裁」

 2日の日銀武藤副総裁の発言を見て、副総裁のスタンスが変化したとかの見方があったが、それは違うものと思われる。武藤副総裁は極めてニュートラルな立場にいて、なおかつ日銀のスタンスへの思惑がマーケットなどで強まった際には、そのバランスを戻す方向での発言などをしている。今回のブルムバーグでのコメントにしても、米国ハリケーンの影響により米利上げ継続困難といった見方から日銀も量的緩和解除には踏み切れないとの思惑も強まった。そういった思惑を多少なり打消し、裁量が狭められるような状況は未然に防ごうとしたものとも考えられる。反対に6月23日の会見においては、量的緩和解除の可能性は徐々に高まるとの見方にややバイアスがかかりすぎてしまったものを調整してきたものと見られる。

 武藤副総裁の本音がどこにあるのかはつかみづらいが、当面の間はバランサー(調整役)としての立場を維持しもマーケットにややバイアスがかかり過ぎた際などには比重を反対に移すことによって調整を行う立場をつ続けるものと思われる。

 福井総裁が日銀のプロパーであることもあり、また景気に対しても強気の姿勢を示していることでややタカ派的と思われるようなコメントも多くなりがちであり、その意味での調整も行っているものと思われる。

 さらに前事務次官という立場から首相官邸や財務省には太いパイプも持っているものと見られ、政府や財務省との調整役との立場もある。

 そして、福井総裁とはこと以前にもコメントしたように金融政策に関しては一枚岩であることも確かであり、福井総裁が決断したことに対してはそれに反対することなくフォローしてくる立場にもあると思われる。量的緩和解除を行う際には心強い参謀役の立場にもなるのではなかろうか。総裁をフォローするという点については、政策的にやや総裁とは意見を異にすると思われる岩田副総裁も同様であろう。

 それにしても、ここまでバランサーに徹する武藤副総裁というのもある意味すごい人物でもある。時期総裁との声も強いが、日銀内部からの評判も高いとも聞く。しかし、武藤副総裁が、もし日銀総裁になってしまうと、私にとっては日銀のスタンスが非常に読みづらくなってしまことも確かであり、ちょっと困るかもしれない。
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by nihonkokusai | 2005-09-07 17:07 | 日銀 | Comments(0)

「武藤日銀副総裁のインタビューより、その2」

 「政府・財政当局が財政再建を優先する立場から、金融政策に注文を付けるのではないか、と勘ぐる向きもあるが、わたしは財政再建と金融政策のどちらかが他方に優先するという関係ではなく、財政政策も金融政策も日本経済の持続的な発展という目的は同じで、手段が違うに過ぎないと思っている。われわれ日銀としては、あくまで消費者物価に基づく約束に従って、量的緩和政策の解除について適切に判断していく」

 国の財政問題が量的緩和解除の足枷となるのではないかとの見方がある。財政再建への道筋が見えていないにもかかわらず、日銀が金融引き締めに動くと、政府による利払い負担の増加や負債を抱えている民間企業への影響などが懸念される。しかし、現在の金融政策は、言葉は悪いが「甘やかし過ぎ」の状態にある。予想以上のデフレ圧力により、それだけ日銀も金融政策上追い込まれたともいえる。

 しかし、日本の景気はすでに底を打ち、回復基調を強めているのは明らかである。踊り場からの脱却うんぬんよりも、基礎体力が回復してきている。しかも体も絞って筋肉質となっているにもかかわらず、病院では退院させるどころか、まだ過剰に薬品を投与しつつある状況にある。

 院長先生たちの判断で、薬品の過剰投与を止めるための条件を決めているため、この条件が満たされるのを待っている。「あくまで消費者物価に基づく約束に従って、量的緩和政策の解除について適切に判断していく」ということは、約束には直接的には含まれていない財政問題といったものとは切り離されて判断されるものと思われる。これは下記の武藤副総裁によるコメントからも伺える。「市場規律についてもモラルハザードを起こしているのではないかという指摘もある。」という言葉は市場参加者もしっかり認識すべきものとも思われる。

 「確かに、長期金利が極めて低い水準で推移していることで、財政面で国債の利払い費が抑制されているのは事実だ。財政規律だけでなく、市場規律についてもモラルハザードを起こしているのではないかという指摘もある。金融資産の保有者にとってもメリットが少ないなど、いろいろなことが副作用として言われている。しかし、われわれが何のために現在の金融政策をやっているかというと、財政のためではなく、あくまでデフレ脱却と経済の持続的な発展が目的だ」
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by nihonkokusai | 2005-09-05 10:21 | 日銀 | Comments(0)

「武藤日銀副総裁のインタビュー」

 日本銀行の武藤敏郎副総裁はブルームバーグ・ニュースとのインタビューで下記のようなコメントをしている。

 「わが国の景気は、情報技術関連分野の調整が進むもとで回復を続けている」と指摘。先行きも「海外経済の拡大が続くもとで輸出の伸びが次第に高まっていくとみられ、国内民間需要も高水準の企業収益や雇用者所得の緩やかな増加を背景に、引き続き増加していく可能性が高い。こうしたことから、緩やかながらも息の長い景気回復が続くと考えている」

 ほぼこれまでの日銀福井総裁のコメントに近い内容となっている。

 「今年末から来年初にかけて、コメ価格の下落や電気、電話料金の引き下げといった特殊要因の影響がはく落していくとみられるので、そういう過程でプラスに転じていくだろう。2006年度にかけて、安定的にゼロ%以上と判断できるようになる可能性が高くなってきているのではないか」

 「本年末から来年初にかけて、米価格の下落や電気・電話料金引き下げといった特殊要因の影響が剥落していく過程で、プラスに転じる可能性が高くなると判断している」との福井総裁のコメントから、さらに踏み込んだコメントとなっている。これで福井総裁と武藤副総裁が一枚岩であることもやはり確かとなろう。今年10月から12月がプラスとなりさらに来年初めにかけても、コアCPIがプラスと確認されれば、解除の2条件が整うとの見方もこれで裏付けられた。

 日銀は4月の「経済・物価情勢の展望」で、量的緩和の解除時期について「今回の経済・物価見通しが実現することを前提とすると、2006 年度にかけてその可能性は徐々に高まっていく」と予測した。副総裁は「今日までの時間的経過のなかで、その見通しが実現するがい然性は次第に高まっている」と言明。さらに、今年度後半にもそうした可能性があるのか、という問いに対しては「そういう可能性も出てくると考えてよいのではないか」と述べた。

 あくまで可能性ではあるものの、ここまで指摘してくるとは思わなかった。早ければ来年早々にもとの見方はそれほど間違ったものでもなかったようである。ただし1月にはメガバンクの統合が控え、3月は決算期末などもある。実際に条件が整うとしても、2月中の解除とかはさすがに難しそう。早くても4月以降になるのではないかとやや時期を修正したい。

 来年8月に行われる消費者物価指数の基準年改定に伴い、同年1月以降の指数は下方修正される公算が大きい。2000年基準に改定された5 年前は、0.3%ポイント程度の下方修正が行われた。今回の改定では0.1%ポイント-0.2%ポイントの下方修正にとどまるという見方も多いが、事後的にマイナスに覆るような小さなプラス幅での解除は避けるべきだ、という声もあるとの見方について副総裁は、

 「量的緩和政策の解除を消費者物価に基づく約束に沿って判断していくとき、当然ながら、その時点において利用可能なデータを用いるしかない。したがって、判断の時点において想定していた先行きの見通しが、物価指数の技術的な改定に伴って事後的に幾分異なった姿になることは十分考えられる」と指摘。「多少、事後的に変わっても、それは仕方のないことだと思う」と語った。

 先行き技術的な要因でマイナス転換したとしても、それは解除条件には抵触しないとの見方を示したものとみられる。これについてもまさに同意。現在算出しているCPIにおいて安定的にゼロ以上と判断しうるならばそれは解除条件を満たすものと考えられる。

 「一つ申し上げたいのは、先行きの物価情勢の判断に当たって、背景にある経済情勢を含めて、広い意味での物価の基調を見極めることが非常に重要だということだ。物価指数改定に伴って多少振れる可能性があるとしても、景気が回復を続けていくもとで、物価が基調として上昇していくと見込まれる状況であるかどうかを的確に判断していくことが必要だ」

 3条件が揃ったかどうか見なすのも日銀である。広い意味での物価の基調を見極めることも重要んことから解除については慎重に望む姿勢も示している。しかし、解除する際には慎重かつ大胆な決断も求められよう。

 「日銀としては、金融経済情勢を的確に見極めながら、適切な金融政策を運営することによって、物価の安定と経済の持続的な発展を図っていく。その結果、適切な金融政策運営を通じて、マクロ的な経済環境の安定が維持されれば、結果的に財政再建にも寄与すると考えている」

 財政再建のため量的緩和解除のタイミングを遅らせるべきではない。経済学的には反対する人も多いものと思われるが、いつまでもモルヒネを打っていては本当の意味での体力回復には繋がらないはずである。量的緩和政策はあくまで緊急時の異例とも言える政策であることを意識すべきと思う。

 「ひとたび日銀副総裁に任命された以上、財務省寄りという物差しを持つようなことはあってはならないと思っている。もし、わたしが財務省寄りという見方があるのであれば、それはまったくの誤解であり、大変心外だ」

 これはある程度日銀の動向をチェックしている者にとってはある意味当たり前とも思えることでもある。武藤副総裁は日銀の副総裁であり、次期総裁の有力候補とも言われる方であるため、財務省寄りという物差しを持って見ると見方を誤る。

 「量的緩和政策の解除が今後の大きな課題であるわけだが、物価の安定を通じて、国民経済の健全な発展に資するという日銀本来の使命に照らして、この課題に取り組んでいく。したがって、日銀政策委員会の1員として、自らの見識に基づき、そうした議論に参画していくことが責務だと思っている」

 そして副総裁という執行部の一人としての立場もある。これまでの副総裁のコメントなどを見ると、調整役という立場にもいるのではないかとも思える。あくまで私見ではあるが。

 「金融システムが安定しているもとで、金融機関が資金繰り上、必要としている流動性需要そのものはすう勢的に弱まってきているのも事実だ」と指摘。今後の金融政策運営は「毎回の政策決定会合で経済、物価情勢や金融市場動向などを踏まえて検討し、決定していくことに尽きる」と述べると同時に、量的緩和解除条件が達成される前に当座預金残高目標を引き下げる可能性について「否定も肯定もしない」と述べた。

 武藤副総裁は6月23日の会見において、私は(当座預金残高目標を)引き下げるという議論に与していないともコメントしている。量的緩和解除条件が達成される前に当座預金残高目標を引き下げる可能性について明確には否定しなかったことで、引き下げに同意を示したとみるのも早計かと思われるが。
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by nihonkokusai | 2005-09-05 09:43 | 日銀 | Comments(0)

「量的緩和解除巡ってのせめぎ合い???」

 今朝の日本経済新聞に「量的緩和 せめぎあい」との記事があったが、さすがにこれは捉え方が違うと思われる。

 「政府は税金や社会保険料を受け入れる一方、年金や公共工事の代金を支払っている。政府と民間銀行がそれぞれ日銀に持つ当座預金口座の間で資金を受け払いしている。国庫は巨額の受け払いをするため、日々、資金の大幅な不足や余剰が生じる。」

 日経ネット版には上記の補足コメントがあったが、これは間違いない。7月末から8月上旬にかけての、日銀当座預金目標額の一時的な下限割れの要因も、この巨額資金の受払いが影響している。

 日経新聞によると、「民間金融機関を通じて自治体に支払う交付税の支給日を、毎月下旬から2日に変更。交付税の支給額は一回あたり4兆円で、(2日の)納税によって日銀当座預金が減っても補えるとみている。」

 これについて、財務省が量的緩和の早期解除をけん制していると日経は指摘しているが、実際にはそうではないはずである。量的緩和が解除されるなりして当預残目標額が引き下げられるまでは、30兆円を維持できるようにと、日銀を側面支援するために実施されるものであろう。これによって、30兆円を維持させるため、日銀としてはできれば避けたい期間の長い手形買いオペを無理に打つ必要もなくなる。その意味からはむしろ当預残引き下げをしやすくさせることも意味しよう。

 財務省内部でも日銀の早期の量的緩和解除には反対しているところもあると聞いているが、反面、日銀の姿勢に理解を示しているところもあると聞く。解除に伴う長期金利の上昇による国債の利払い増は避けたいというのは確かであろうが、量的緩和解除の3条件が整えば、金利機能を回復させ正常化させたいとの日銀の意向も重視すべきであろう。

 財務省としては、たとえ早期解除には反対であったとしても、今回の措置の目的は量的緩和解除をしにくくさせるために行うものではないはずである。
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by nihonkokusai | 2005-08-25 09:57 | 日銀 | Comments(0)

「手形オペの期日短縮」

 2005年 6月14、15日開催分の日銀金融政策決定会合記事要旨に以下のような記述があった。

 「資金供給オペレーション期間の長期化により、例えば短期国債の金利がほぼ一様にゼロに貼り付くなど、タイム・バリューのない異常な金利形成になっていると述べた。」

 「一人の委員は、2006年度にかけて量的緩和政策の枠組みを変更する可能性が徐々に高まると想定されるもとで、長めの資金供給オペレーションにより金利を無理に押し下げてしまうと、金利に関する市場の情報発信機能を損なうことになるため、オペレーション期間の長期化は避けるべきであると指摘した。」

 「別の委員は、同様の観点から、オペレーション期間の短期化を進めるべきとの見解を示した。」

 23日にオファーされた日銀の全店での手形買入オペの期間は8月25日から4月14日までとなり、前回の309日から232日と短縮してきた。景況感の改善から、金融機関による資金調達への意欲も高まり、札割れがここにきて回避されてきたことなどが要因と見られる。今回の平均落札レートは期間が短縮されたにも関わらず、前回の0.005%に比べて0.007%にアップしている。

 あまり長い期間のオペに対して、日銀は上記の決定会合を見てもわかるように、市場機能を損なう可能性や、当預残高を減らせにくくなるという事情から、本来回避したい意向であったと思われる。このため、資金ニーズに合わせるかたちで今回から期間短縮に動いた。11月ごろまで大幅な資金不足はないことで、今後も期間の短縮を図っていくのではないかと見られている。

 福井総裁はすでに景気の踊り場からの脱却を明言しており、日経平均株価は12000円を抜け大幅に上昇している。また、10月以降のコアCPIが前年比プラスとなるというのが市場のコンセンサスにもなっている状況下、解除の3条件が整ってくるのもそれほど先の話ではないと思われる。正常化に向けて、日銀も市場参加者の意識の変化に応じて、少しずつ準備を始めてきたとしても何らおかしくはないものと思われる。

 議事要旨には下記コメントもあった。

 「別の一人の委員は、量的緩和政策は、当初から市場機能への影響と政策目的達成との間のバランスを保ちつつ進められてきた政策であるとした上で、経済金融情勢が変化してきている中で、当座預金残高目標が自己目的化し、市場機能に過度の悪影響を及ぼすことは出来る限り避けるべきであると述べた。」
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by nihonkokusai | 2005-08-23 16:43 | 日銀 | Comments(2)

「福井日銀総裁記者会見」

景気について・・・。
「前回、『踊り場局面から脱却しつつある』と言ったが、今回も同じかというと同じではなく、少し前進している。」
牛熊「同意、政治的配慮というのはやや考えすぎであると思う。元々景気については強気のコメントを出されていた上、最近の経済指標もそれを裏付けている。」

物価について・・・。
「本年末から来年初にかけて、米価格の下落や電気・電話料金引き下げといった特殊要因の影響が剥落していく過程で、プラスに転じる可能性が高くなると判断している。」
牛熊「同意、とりあえず7月にもプラスになると私は予想・・・。」

解散総選挙に関して・・・
「長期的に考えれば、日本経済の新しいダイナミズムを確立するためには、民間部門だけではなく、公的部門のリストラ、構造改革がしっかり伴っていって初めて完成形に近づいていく。将来の課題は非常に明確である。従って、今後の政治情勢の展開が、公的部門の構造改革推進という国民の期待にしっかりと沿うようなかたちで進展していくことが、経済にとって非常に重要である。」
牛熊「民意もどうやらその方向を向いてきたように思われる。やっと普通の国になりつつあるのか、わがニッポン?」

3日間の当預目標下限割れについて・・・
「十分ご承知の通り、このごく短期間の下限割れに、市場が格別動揺を示しておらず、市場は「なお書き」適用の範囲内と冷静に受け止めている。このような事実からもわかる通り、日本銀行と市場の間のこの点に関するコミュニケーションには、一切ほころびがない。従って、今回は、下限割れについての日本銀行の理解、つまり資金需要が著しく後退する局面における一時的な下限割れという文字通り定義の範囲内にしっかり入っている。金額的にも、時間的な長さもしっかり入っている。」
牛熊「すみません、まさか3日で済んでしまうとは思っておりませんでした。そこまで読んでおられたとしたら、すごい・・・。」

マニフェストについて・・・
「マニフェストと金融政策の関係については、ご承知の通り日本銀行法では、金融政策は、これも一から十まで完全に日本銀行政策委員会・金融政策決定会合で決定するもので、100%日本銀行の責任の範囲内にある。マニフェストとは切り離して理解されるべき性格のものだと思う。」
牛熊「民主党はまたマニフェストにゼロ金利・量的緩和解除の終息を盛り込む方針だそうですが、私もこれにはかなり違和感が・・・。」

長期金利について・・・
「債券市場を見ると、長期金利がごく僅かずつ上がってきているが、リスク・プレミアムが上がっているとか、期間プレミアムが上がっているというような不安定な状況は出ておらず、市場は落ち着いている。為替市場も比較的安定した動きが続いている。」
牛熊「落ち着きながらもじりじりと上昇するとの私の読みですが。今回、長期金利の2%までにはそれなりの時間もかかりそうです。年内は無理かもしれませんね。もちろん急激な金利上昇は日銀も政府、財務省も避けたいところかと思われ、現在の状況は居心地も良いものとも思われます。」

財政収支の均衡について・・・
「民間企業、民間金融機関は、新しい局面に入りつつあるとの認識を強めて、長い時間的距離をもった先行きの展望に立って新しい戦略を生み出す段階に入ってきている。財政再建、社会保障制度の改革、郵貯、政府系金融機関のあり方、いずれについても、今後の長期を展望した改革のプログラムを明確に認識した上で行動していく必要もあり、そうでなければそれらと民間部門の新しい戦略との平仄が合ってこないことになる。今後どのように政治が形成されていくかに関係なく、政治に対しては経済の面からそういう意味での強い要請が出てくることはおっしゃる通りだと思う。その改革のプログラムがしっかりしたものであり、特にその根底に財政規律がきちんと強化されていき、さらに世代間の利害対立が民主的なプロセスを経てきちんと調整される、といった認識が非常に重要である。また、その改革のプログラムの実行の過程においては、その時々の経済情勢に応じて、ある程度弾力的にこれを実行に移していく、このような認識が国民の皆様の間で共有されていくことが非常に重要であると思う。」
牛熊「せっかくのこの機会、しっかりした改革プログラムを次期政権には作っていただきたいと私も思います。」
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by nihonkokusai | 2005-08-11 10:31 | 日銀 | Comments(0)

「メガバンク統合と日銀当座預金残高目標値の技術的引き下げの可能性」

 7月29日の当座預金残高は6月3日以来の目標下限割れとなり、8月3日以降8日もしくは9日あたりまで下限割れが続く予定だが、これについてはあくまで「なお書き」修正で対処するようである。少なくとも10日あたりには再び30兆円以上となることが明らかとなっているため、一時的との解釈であろう。

 これにともなう当預残目標値の技術的引き下げは今回なかったが、年内にもうひとつのチャンスが存在すると見られていた。それはメガバンクの統合に伴うものであった。

 7月28日の読売新聞ネット版において、今年10月に合併が予定されている東京三菱とUFJについて、みずほフィナンシャルグループの時のようなシステム障害が発生する懸念が払拭しきれない可能性が出ており、金融庁が銀行法に基づき、システム統合作業の進展状況に関する異例の再報告を求め、三菱東京と UFJは事実上の合併延期要請と受け止め、両銀行の合併を延期し、来年1月以降にする方向で検討に入ったようであると伝えた。

 上記記事については、最終テストが今月末に控えているため、やや先走った感もあると指摘され、実際に他紙での同様の報道はなかったものの、市場関係者の間では延期される可能性は高いとも見られている。

 もし、両メガバンクの合併が延期されるとなると、当事者だけでなく別途日銀のシナリオが狂ったとのではないかとの思惑も広がった。日銀は当座預金残高が大量に存在するメガバンク2行の合併を理由に、日銀当座預金残高目標値の技術的引き下げを模索していた可能性があると考えられていたのである。確かに日銀当座預金残高目標値の技術的引き下げに対して名目が立つ大きなチャンスであることに間違いはない。これには財務省や政府なども反論するのも難しいものと思われた。しかし、実際に合併が延期となれば年内唯一とも思えた引き下げのチャンスも消滅しかねない。

 この可能性もなくなったとなれば、日銀の当預残の技術的な引き下げは行われず、10月以降のCPIの推移や経済動向を見ながら、早ければ来年の1~3月あたりにかけて、直接、量的緩和政策が解除される可能性が高いものと思われる。

 ちなみに、メガバンク統合に伴う日銀当座預金残高目標値の技術的引き下げに関する憶測については、メガバンクの当預残が明確になってしまうこともあり、実際には実現性は薄いとの見方もあった。
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by nihonkokusai | 2005-08-04 13:54 | 日銀 | Comments(4)

「鷹くん鳩さんの日銀ウォッチング」

「一時的って」

・・・・・・・・・・ はじまりはじまり

鷹「7月29日に日銀の当座預金残高が目標値下限の30兆円を割って」
鳩「8月3日からしばらくの間、30兆円割れが続くようね」
鷹「こらこら、しばらくではなくて一時的と言いなさい」
鳩「一時的って何日ぐらいのことなの」
鷹「辞典では、しばらくの間だけであるさまとなっているぞ」
鳩「じゃあ、来週の8日とか9日まで続いても一時的と言うわけね」
鷹「なんか思ったよりも短期間に済みそうになっている」
鳩「景気の踊り場からの脱却期待に」
鷹「思ったより早めに消費者物価指数もプラスになりそうだし」
鳩「それで短期金利には上昇圧力が強まり」
鷹「今のうちにと資金を取りに行っている」
鳩「期間10か月程度の手形オペの金利が上昇している反面」
鷹「期間3か月のFBの入札なんかは金利ゼロが続いている」
鳩「短いところは運用難、長くなると状況が変るとの読みなの」
鷹「大手銀行さんも、Xデーに向けて着々と準備?」
鳩「金先なんかも売りが入り債券先物もかなり重そうなのもそのせいかしら」.
鷹「債券先物などは海外からの売りもだいぶ入っていると熊さんが言っていた」
鳩「日経平均も12000円の大台に一時乗せたわね」
鷹「景色もだいぶ変わりつつある」
鳩「それでも金利の動きはまだ落ち着いているわね」
鷹「景気が良さそうなのはわかるけど」
鳩「いざ日銀が動くとしても、まず条件のひとつCPIがプラスにならないと」
鷹「まずはそれからだろうな」
鳩「それにしてもガソリンの価格もさらに上がっているわね」
鷹「それによる景気への影響も木になるところではあるものの」
鳩「それは消費者物価の押し上げ要因ともなる」
鷹「景気回復の裾野が拡大すると価格転嫁もこれまでよりも容易になる」
鳩「実際にそういった動きも出ているとも言われるわね」
鷹「来週は8日から9日にかけて金融政策決定会合が開催」
鳩「その解説はまた10日あたりにアップいたします」

・・・・・・・・・・続く。
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by nihonkokusai | 2005-08-04 13:36 | 日銀 | Comments(0)

「CPI動向再考」(一部以前のコメントと重複)

 7月以降にコアCPIがプラスに浮上する可能性が出てきたと以前のレポートでも指摘させていただいたが、特に10月以降は特殊要因の剥落とプラスに作用する特殊要因が加わることで、プラス部分が広がり、いわゆる「のりしろ」として機能するのではないかと予想している。

 5月の全国コアCPIがゼロとなったが、6月の全国コアCPIはガソリン価格の下落などからやや足踏みとなると予想される。しかし、7月にはガソリン価格の上昇などにより、再びコアCPIがゼロもしくは若干のプラスになることが予想される。すでにレギュラーガソリンの給油所店頭は7月11日時点で1リットルあたり125.1円となり2週連続で値上がりしている。125円台は1994年8月以来の高値水準となる。

 こういった原油価格の影響による価格転嫁は景気に対してマイナス効果との指摘もあるが、米中などを軸とした世界的な経済成長が続いている現れとも取れるため、それほど重視すべきマイナス材料になるとも言い切れないはずである。また、原油の上昇要因だけでなく、企業による価格転嫁の動きはかなりここにきて広がりも見せている。

 そして、特殊要因によるCPIの押し下げ効果も10月以降に順次剥落してくる。これを個別に見てみると、まず米類については高騰の反動による押し下げの影響が昨年10月から顕われており、それによる影響は今年の9月頃までとなる。今年の米が豊作により価格が急落するようなことがない限り、これはコアCPIの押し上げ要因となる。

 また、もうひとつの特殊要因である電気代について見てみると、関東地方では昨年10月から実質4%ほどの値下げが実施されている。また、東北、中部、九州地方も今年1月から、北海道、北陸、関西、中国、四国地方では4月から値下げとなっている。ちなみに沖縄は6月からの値下げになっている。これによる押し下げ効果もやはり10月に以降順次剥落してくるものと見られる。

 そして、固定電話通信料については、新規参入会社が昨年12月に基本料・通話料が割安な固定電話サービスを始めたことなどを受け、NTT東西地域会社などが今年1月から固定電話基本料の値下げに踏み切った。この影響も来年1月以降剥落するものと見られる。 以上のように特殊要因の剥落は今年10月以降となる。

 さらに、これに加えて、東京電力と東京ガスは10月から半年ぶりに料金を引き上げる。東京電力は1か月の料金を6203円、東京ガスは6699円のそれぞれの料金を10-12月に100円前後引き上げる。ガソリンも値上げが続いている。レギュラーガソリンは19日時点で125.3円で前週よりも0.2円上昇し 3週連続の値上がりとなった。8月以降も3-4円程度値上げせざるを得ない状況となっているようである。日本航空や全日空も11月以降に一律100円以上の国内線の値上げを探っているようである。

 7月の全国コアCPIが前年比ゼロとなり、7月以降にプラスに浮上する可能性が高くなっている。さらに10月以降の特殊要因の剥落とプラスに作用する特殊要因が加わることにより、いわゆるコアCPIの「のりしろ」が広がってくる可能性もある。日本経済の踊り場からの脱却は間違いないとも福井総裁がコメントしているように、景気に対しての強気の見方も強まっている。そうなれば、量的緩和解除のための下記の3条件が揃いつつあると見込まれる。

 1.消費者物価指数(生鮮食品を除く)上昇率が、基調としてゼロ%以上であると判断できること。
2.消費者物価指数(生鮮食品を除く)が先行き再びマイナスと見込まれないこと。
3.こうした条件は必要条件であって、これが満たされたとしても、経済・物価情勢によっては、量的緩和政策を継続することが適当であると判断する場合も考えられる。

 今年の10~12月期の物価と景気の状況を確かめた上で、早ければ来年1~3月期における日銀による量的緩和の解除が実施される可能性も十分にありうると見ている。
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by nihonkokusai | 2005-07-28 10:13 | 日銀 | Comments(0)

「鷹くん鳩さんの日銀ウォッチング」


「CPIっていつプラスに?」

・・・・・・・・・・ はじまりはじまり

鷹「今日の日銀の金融政策決定会合は終わるの早かったね」
鳩「うん、なんかあっさり賛成多数で現状維持と決まったようね」
鷹「今回から変な思惑呼ばないようにと票決の内容も発表されるようになった」
鳩「7対2とこれまでと変らないわね」
鷹「前回なんかも終わってから関係筋とか言う人が、何対何なんてしゃべっていた」
鳩「今回は話すことがなくなったので内容をしゃべっちゃたようよ」
鷹「秋から年末にかけてCPIプラス推移との見方が複数あった、と」
鳩「内容は少なくとも議事要旨の発表まで、細かい内容は議事録発表までは」
鷹「話ちゃいけないんじゃなかったのかしら」
鳩「それもひとつのきっかけで債券先物売られたそうだけど、それは熊さんたちに」
鷹「しかし、29日以降、目標値の下限割れが続く可能性はあるのに」
鳩「どうやら、なお書き対応で済ませるようね」
鷹「8月15日には30兆円を再びキープできることがわかっているからか」
鳩「まあ、一週間続いても一時的は一時的ということかしら」
鷹「そしてにわかにまた注目されてきたのがCPI」
鳩「というか今まで無視しすぎてきたような気もするわね」.
鷹「作者も7月全国からプラスになって10月以降はのりしろも作ってくると言っていた」
鳩「ガソリン価格の上昇や10月以降の特殊要因の剥落もあるけど」
鷹「予想以上に価格転嫁が進んでいるとも見られているようね」
鳩「もしや今週29日発表の6月全国CPIも」
鷹「うーむ、6月はガソリン少し5月より下がっているしどうだろう」
鳩「でも今日の債券先物や金先などの動きを見るとそんな思惑もありそうよ」
鷹「日銀も予想以上にCPIがプラスとなるのは早いと見ているようだけど」
鳩「植田前審議委員なんかもそういった見方をしているという話もあった」
鷹「作者ほどじゃないとは思うけど」
鳩「作者さん、短期というか気が早いというか」
鷹「年寄りはせっかちと言うしな、おっと」
鳩「さすがに熊さんたちと違って作者さんのパンチを避けるのじょうずね」
鷹「とにかく29日が俄然注目されるようになった」
鳩「今日も日銀は淡々とオペを打っているわね」

・・・・・・・・・・ 続く
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by nihonkokusai | 2005-07-27 13:35 | 日銀 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
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