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カテゴリ:日銀( 1062 )

「鷹くん鳩さんの日銀ウォッチング」

「一時的って」

・・・・・・・・・・ はじまりはじまり

鷹「7月29日に日銀の当座預金残高が目標値下限の30兆円を割って」
鳩「8月3日からしばらくの間、30兆円割れが続くようね」
鷹「こらこら、しばらくではなくて一時的と言いなさい」
鳩「一時的って何日ぐらいのことなの」
鷹「辞典では、しばらくの間だけであるさまとなっているぞ」
鳩「じゃあ、来週の8日とか9日まで続いても一時的と言うわけね」
鷹「なんか思ったよりも短期間に済みそうになっている」
鳩「景気の踊り場からの脱却期待に」
鷹「思ったより早めに消費者物価指数もプラスになりそうだし」
鳩「それで短期金利には上昇圧力が強まり」
鷹「今のうちにと資金を取りに行っている」
鳩「期間10か月程度の手形オペの金利が上昇している反面」
鷹「期間3か月のFBの入札なんかは金利ゼロが続いている」
鳩「短いところは運用難、長くなると状況が変るとの読みなの」
鷹「大手銀行さんも、Xデーに向けて着々と準備?」
鳩「金先なんかも売りが入り債券先物もかなり重そうなのもそのせいかしら」.
鷹「債券先物などは海外からの売りもだいぶ入っていると熊さんが言っていた」
鳩「日経平均も12000円の大台に一時乗せたわね」
鷹「景色もだいぶ変わりつつある」
鳩「それでも金利の動きはまだ落ち着いているわね」
鷹「景気が良さそうなのはわかるけど」
鳩「いざ日銀が動くとしても、まず条件のひとつCPIがプラスにならないと」
鷹「まずはそれからだろうな」
鳩「それにしてもガソリンの価格もさらに上がっているわね」
鷹「それによる景気への影響も木になるところではあるものの」
鳩「それは消費者物価の押し上げ要因ともなる」
鷹「景気回復の裾野が拡大すると価格転嫁もこれまでよりも容易になる」
鳩「実際にそういった動きも出ているとも言われるわね」
鷹「来週は8日から9日にかけて金融政策決定会合が開催」
鳩「その解説はまた10日あたりにアップいたします」

・・・・・・・・・・続く。
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by nihonkokusai | 2005-08-04 13:36 | 日銀 | Comments(0)

「CPI動向再考」(一部以前のコメントと重複)

 7月以降にコアCPIがプラスに浮上する可能性が出てきたと以前のレポートでも指摘させていただいたが、特に10月以降は特殊要因の剥落とプラスに作用する特殊要因が加わることで、プラス部分が広がり、いわゆる「のりしろ」として機能するのではないかと予想している。

 5月の全国コアCPIがゼロとなったが、6月の全国コアCPIはガソリン価格の下落などからやや足踏みとなると予想される。しかし、7月にはガソリン価格の上昇などにより、再びコアCPIがゼロもしくは若干のプラスになることが予想される。すでにレギュラーガソリンの給油所店頭は7月11日時点で1リットルあたり125.1円となり2週連続で値上がりしている。125円台は1994年8月以来の高値水準となる。

 こういった原油価格の影響による価格転嫁は景気に対してマイナス効果との指摘もあるが、米中などを軸とした世界的な経済成長が続いている現れとも取れるため、それほど重視すべきマイナス材料になるとも言い切れないはずである。また、原油の上昇要因だけでなく、企業による価格転嫁の動きはかなりここにきて広がりも見せている。

 そして、特殊要因によるCPIの押し下げ効果も10月以降に順次剥落してくる。これを個別に見てみると、まず米類については高騰の反動による押し下げの影響が昨年10月から顕われており、それによる影響は今年の9月頃までとなる。今年の米が豊作により価格が急落するようなことがない限り、これはコアCPIの押し上げ要因となる。

 また、もうひとつの特殊要因である電気代について見てみると、関東地方では昨年10月から実質4%ほどの値下げが実施されている。また、東北、中部、九州地方も今年1月から、北海道、北陸、関西、中国、四国地方では4月から値下げとなっている。ちなみに沖縄は6月からの値下げになっている。これによる押し下げ効果もやはり10月に以降順次剥落してくるものと見られる。

 そして、固定電話通信料については、新規参入会社が昨年12月に基本料・通話料が割安な固定電話サービスを始めたことなどを受け、NTT東西地域会社などが今年1月から固定電話基本料の値下げに踏み切った。この影響も来年1月以降剥落するものと見られる。 以上のように特殊要因の剥落は今年10月以降となる。

 さらに、これに加えて、東京電力と東京ガスは10月から半年ぶりに料金を引き上げる。東京電力は1か月の料金を6203円、東京ガスは6699円のそれぞれの料金を10-12月に100円前後引き上げる。ガソリンも値上げが続いている。レギュラーガソリンは19日時点で125.3円で前週よりも0.2円上昇し 3週連続の値上がりとなった。8月以降も3-4円程度値上げせざるを得ない状況となっているようである。日本航空や全日空も11月以降に一律100円以上の国内線の値上げを探っているようである。

 7月の全国コアCPIが前年比ゼロとなり、7月以降にプラスに浮上する可能性が高くなっている。さらに10月以降の特殊要因の剥落とプラスに作用する特殊要因が加わることにより、いわゆるコアCPIの「のりしろ」が広がってくる可能性もある。日本経済の踊り場からの脱却は間違いないとも福井総裁がコメントしているように、景気に対しての強気の見方も強まっている。そうなれば、量的緩和解除のための下記の3条件が揃いつつあると見込まれる。

 1.消費者物価指数(生鮮食品を除く)上昇率が、基調としてゼロ%以上であると判断できること。
2.消費者物価指数(生鮮食品を除く)が先行き再びマイナスと見込まれないこと。
3.こうした条件は必要条件であって、これが満たされたとしても、経済・物価情勢によっては、量的緩和政策を継続することが適当であると判断する場合も考えられる。

 今年の10~12月期の物価と景気の状況を確かめた上で、早ければ来年1~3月期における日銀による量的緩和の解除が実施される可能性も十分にありうると見ている。
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by nihonkokusai | 2005-07-28 10:13 | 日銀 | Comments(0)

「鷹くん鳩さんの日銀ウォッチング」


「CPIっていつプラスに?」

・・・・・・・・・・ はじまりはじまり

鷹「今日の日銀の金融政策決定会合は終わるの早かったね」
鳩「うん、なんかあっさり賛成多数で現状維持と決まったようね」
鷹「今回から変な思惑呼ばないようにと票決の内容も発表されるようになった」
鳩「7対2とこれまでと変らないわね」
鷹「前回なんかも終わってから関係筋とか言う人が、何対何なんてしゃべっていた」
鳩「今回は話すことがなくなったので内容をしゃべっちゃたようよ」
鷹「秋から年末にかけてCPIプラス推移との見方が複数あった、と」
鳩「内容は少なくとも議事要旨の発表まで、細かい内容は議事録発表までは」
鷹「話ちゃいけないんじゃなかったのかしら」
鳩「それもひとつのきっかけで債券先物売られたそうだけど、それは熊さんたちに」
鷹「しかし、29日以降、目標値の下限割れが続く可能性はあるのに」
鳩「どうやら、なお書き対応で済ませるようね」
鷹「8月15日には30兆円を再びキープできることがわかっているからか」
鳩「まあ、一週間続いても一時的は一時的ということかしら」
鷹「そしてにわかにまた注目されてきたのがCPI」
鳩「というか今まで無視しすぎてきたような気もするわね」.
鷹「作者も7月全国からプラスになって10月以降はのりしろも作ってくると言っていた」
鳩「ガソリン価格の上昇や10月以降の特殊要因の剥落もあるけど」
鷹「予想以上に価格転嫁が進んでいるとも見られているようね」
鳩「もしや今週29日発表の6月全国CPIも」
鷹「うーむ、6月はガソリン少し5月より下がっているしどうだろう」
鳩「でも今日の債券先物や金先などの動きを見るとそんな思惑もありそうよ」
鷹「日銀も予想以上にCPIがプラスとなるのは早いと見ているようだけど」
鳩「植田前審議委員なんかもそういった見方をしているという話もあった」
鷹「作者ほどじゃないとは思うけど」
鳩「作者さん、短期というか気が早いというか」
鷹「年寄りはせっかちと言うしな、おっと」
鳩「さすがに熊さんたちと違って作者さんのパンチを避けるのじょうずね」
鷹「とにかく29日が俄然注目されるようになった」
鳩「今日も日銀は淡々とオペを打っているわね」

・・・・・・・・・・ 続く
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by nihonkokusai | 2005-07-27 13:35 | 日銀 | Comments(0)

「どうする日銀」(レポート向け一部修正加筆分)

 今週の29日以降、日銀が金融政策の目標としている日銀当座預金残高の下限30兆円を割込む可能性が強まっている。29日はかなり微妙なところであり、本日のオペなど次第では、なんとか乗り切れるかもしれないが、8月3日以降はほぼ確実に30兆円を割り込む可能性が強い。

 日銀は5月20日の金融政策決定会合において、「なお書きの修正」というかたちで日銀当座預金残高の目標値(30~35兆円)の一時的な下限割れを容認している。この「一時的」とはどの程度の期間を示すのかは定かではないが、普通に考えれば2~3日と見るのが妥当かと思われる。1週間以上札割れとなった場合には、この一時的という表現はあてはまらないのではなかろうかと思う。

 日銀は手形買入オペにおいて期日を来年ゴールデンウイーク明けまでとする、いわゆる長距離砲を打ってきても札割れとなるなどしていたことから、日銀にとり打つべき手段も限られている。そしてまた、6月14 日、15日の決定会合議事要旨において、資金供給オペの長期化はさけるべきとのコメントが少なくとも3人の委員から発せられている。これは日銀全体の意向にも感じられ、このため期間1年といったオペも打ちづらい。

 それならば、当初の約束どおり国債の買い切り増額をすれば良いではないかとの声もあるが、少なくとも福井日銀総裁の選択肢には国債買い切りの増額は入っていないはずである。このため、日銀の資金供給手段としては淡々とオペを打ってくるほかないと思われる。

 本日27日には日銀の金融政策決定会合が開催される。29日以降、目標値の下限割れの可能性にどのように対応をするのか注目される。日銀当座預金残高目標値の27-32兆円への引き下げも止む無しとの声も出ている。しかし、谷垣財務大臣は当預残目標値の引き下げは方針変更と捉えられるとして、反対の意向を示している。目標値の技術的な引き下げについて福井総裁は含みを持たせているものの、現実に引き下げるとなれば、政府や財務省との間での軋轢を生じさせる可能性もあり、また海外市場などは日銀の引き締め転換と捉えてしまう懸念も残る。それは福井日銀としても避けたいところとなろう。

 結局、今回の決定会合では新たな決定はないと思われる。マスコミからも観測報道もなされていない。そうなれば無理しても「一時的」を期間を広げて拡大解釈してくる可能性もある。確かに8月15日以降は30兆円台が維持されるため、一時的と言えなくもないが、やや釈然としない部分も残りそうである。次回の決定会合は下限割れ真っ只中の8月8日から9日に開催される。
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by nihonkokusai | 2005-07-27 11:02 | 日銀 | Comments(1)

「どうする日銀」

 今週29日以降、日銀が金融政策の目標としている日銀当座預金残高の下限30兆円を割込む可能性が強まっている。29日はかなり微妙なところであるが、8月3日以降はほぼ確実に割り込みそうな感じとなっている。

 日銀はなお書きというかたちで当預残目標の一時的な下限割れを容認している。この「一時的」とはどの程度の期間を示すのかは定かではないが、せいぜい 2~3日と見るのが妥当かと思われる。1週間以上札割れとなった場合には、一般的にはこの一時的という表現は当てはまらないのではなかろうか。

 ゴールデンウイーク明けの長距離砲を打っても札割れとなるなど(本日のオペは札割れ回避)打つべき手段もあまり見当たらない。6月14 日、15日の決定会合議事要旨を見ても資金供給オペの長期化はさけるべきとのコメントが少なくとも3人の委員から発せられている。また国債の買い切り増額は少なくとも福井総裁の選択肢には入っていないはずである。淡々とオペを打ってくるほかないとの見方が強い。

 今月27日には決定会合も開催される。29日以降の下限割れにどのように対応をするのであろうか。短資会社からも27-32兆円への目標値引き下げも止む無しとの声も出ている。しかし、谷垣財務大臣は当預残目標値の引き下げは方針変更と捉えられるとして、反対の意向を示している。目標値の技術的な引き下げについて福井総裁は含みを持たせているものの、しかし、現実に引き下げるとなれば、政府や財務省との間での軋轢を生じさせる可能性もあり、それは福井日銀としても避けたいところとなろう。私もできることならば段階的な目標値引き下げは避けて一気に量的緩和解除に持っていくべきと思っている。

 今回、どのように解決の方法を日銀が探っていくのか。これまではある程度の落とし所も読めなくもなかったが、今回は今のところ皆目検討つかない状況にある。「おしえて日銀」にも書いてないと思うし・・・。
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by nihonkokusai | 2005-07-25 14:19 | 日銀 | Comments(2)

「鷹くん鳩さんの日銀ウォッチング 第一回」


「プロローグ」

・・・・・・・・・・ はじまりはじまり

鷹「いきなり新シリーズが始まるって聞いて衣装もなにも揃えてないぞ」
鳩「本当に心の準備というものが必要だと思うんだけど、えっ、もう始まってるの」
鷹「えーと、今回から私、鷹と自称都会派お嬢さんの鳩さんで」
鳩「なによ自称って」
鷹「日本銀行の金融政策というのをお話することとなりました」
鳩「なんか難しそうだけど大丈夫かしら」
鷹「とりあえず日銀のホームページのおしえて日銀なんか読んで予習しないと」
鳩「あのね、もう始まった以上、ちょっと遅いんじゃないの」
鷹「それじゃあ、わかる範囲で話をするとしますか」
鳩「今、日銀の金融政策で目標にしているのが日銀の当座預金残高というものなのね」
鷹「以前は金利をターゲットにしていたんだけど、ついに目標の金利がゼロとなって」
鳩「操作の目標を日銀の当座預金残高という量に切り替えたのね」
鷹「量の目標は、これまで何度も引き上げられて、今は30~35兆円にもなっている」
鳩「なんか検討もつかない数字なんだけど、そんなに維持できるのかしら」
鷹「デフレが進行していて景気が悪くなっているときは問題はなかった」
鳩「しかも金融不安が強まっていたので資金は安全性を求めて日銀の当座預金に」.
鷹「それが流動性需要の高まりといった表現をされていたわけだね」
鳩「ところが金融不安が後退して、その金融機関の流動性需要が減少したきたと」
鷹「そのために5月20日に30~35兆円程度の目標に対してなお書きを修正し」
鳩「なお書きって、なおから先を付け加えた文章なのね、変な用語・・・」
鷹「一時的な下限割れも容認するようになったわけだね」
鳩「なお書き修正の時は、裏ではだいぶいろいろとあったようにも言われているわよ」
鷹「福井総裁はなお書き修正を方針変換の一歩と位置づけしたかったんじゃないかと」
鳩「それを谷垣財務相が強固に反対して、その結果、方針の変更はなくなったと」
鷹「すでに当預目標残高の引き下げについては2人の委員が提案している」
鳩「昨日の議事要旨を見ても市場機能を尊重しようとする委員も複数いるようね」
鷹「しかし、現実には量的緩和解除の3条件がある程度揃わないことには」
鳩「でも環境が次第次第に整いつつあると福井総裁などは見ているのかしら」
鷹「年末にかけての景気動向と消費者物価指数の動向が今後さらに注目される」
鳩「ということで、私達の新シリーズにも好御期待、週に一回ぐらい出てきます」

・・・・・・・・・・プロローグ 完。
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by nihonkokusai | 2005-07-20 10:51 | 日銀 | Comments(0)

「2005年6月14、15日開催分金融政策決定会合議事要旨より」

「当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要」を私なりの分析をしてみたい。

「当面の金融政策運営について、委員は、消費者物価の前年比が小幅ながらマイナスを続けている現状では、(1)所要準備額を大幅に上回る潤沢な流動性を供給し、(2)そうした政策を消費者物価指数に基づく「約束」に沿って続けていく、という現在の量的緩和政策の枠組みを堅持すること、が重要であるという点で、前回決定会合に続き認識を共有した。」

7月以降、特に10月以降、仮の話ではあるが予想されるように、消費者物価の前年比が小幅ながら「プラス」を続けている状況となった際には、この文面はどのように変化するのであろうか。それは置いといてこの部分には特に違和感はない。ただ本当に「認識は共有」されているのかどうかちょっと疑問も残るが。

「その上で、金融システム不安が後退するもとで、金融機関の流動性需要が減少し資金余剰感が強まっている状況を踏まえて、複数の委員は、量的緩和政策をより円滑に運営していくためには、当座預金残高目標を減額することが適当であるとの見解を示した。」

これは今回も反対した福間委員と水野委員のコメントであることは明確。

「一人の委員は、金融環境が変化しているにもかかわらず巨額の当座預金残高を維持することは市場機能の回復を妨げるほか、金融規律の低下に繋がるリスクがあるなどデメリットの方が大きいとして、当座預金残高目標を「27~32兆円程度」に減額し、「なお書き」を前回決定会合での修正前の文言に戻すことが適当であるとの見解を示した。」

上記は福間委員のコメントと見られる。「市場機能の回復を妨げる」ことや゛金融規律の低下に繋がるリスク」のデメリットに言及。そしてもし減額するならば「なお書き」を前回決定会合での修正前の文言に戻すということも当然と言えば当然。

「また、もう一人の委員は、当座預金残高をある程度引き下げていかないと短期金融市場の機能は回復しないと主張し、当座預金残高目標を「25~30兆円程度」に減額することが適当であると述べた。」

水野氏である。今回は福間氏とは別に当座預金残高目標を「25~30兆円程度」に減額することを提案している。3兆円下げるか5兆円下げるか、あまり幅は関係ないようにも思われるものの、どうせなら一緒に同じ額での引き下げを提案してほしい気もする。実際に減額するようなことになって、審議委員が皆微妙に違う数値を提案してきたら、まとまるものもまとまらなくなる懸念も(?)。

「これに対して、大方の委員は、現在の金融市場調節方針を継続することが適当であるとの見解を述べた。」

まだ、こちらの方が当然多数である。

「多くの委員は、景気が「踊り場」にある中で、金融市場調節方針の変更を行うと、日本銀行の金融緩和スタンスが後退したと誤解されるリスクがあるとの認識を示した。」

福井総裁もここにきて景気認識を前進させたようにも思われるが、もし踊り場を脱した場合には「金融緩和スタンスが後退したと誤解されるリスク」は後退するということになるのであろうか。それともまた景気が減速するリスクは存在するとかなんとか(?)

「一人の委員は、デフレ克服にマイナスの影響が出ないことへの理解を得ながら、慎重に当座預金残高目標を減額していくことは将来の選択肢の一つと指摘しつつも、景気が「踊り場」にある中では、現状の金融市場調節方針の継続が適当であると述べた。」

須田委員であろうか。減額については「踊り場」を脱した際には賛成に回るものと考えられる。

「ある委員は、量的緩和政策の効果の中には家計・企業の期待に働きかける効果があると思うが、金融市場調節方針の修正にあたっては、こうした期待に働きかける効果を損なうことのないよう、極めて慎重な配慮が必要であるとの認識を示した。」

上記は、あくまで憶測であるが、中原審議委員あたりのコメントと思われるが西村委員の可能性もありそう。

「別の一人の委員は、当座預金残高目標を減額することは、量的緩和政策の時間軸効果を減殺してしまうリスクがあり、現在の目標水準を維持することは、デフレ克服を確かなものとし、市場機能の回復を可能とする最短の途であると述べた。」

こちらは岩田副総裁のコメントか?

「前回決定会合で修正した「なお書き」の扱いについて、一人の委員は、金融機関の流動性需要の減少やそのもとでの「札割れ」の頻発といった基本的な構図に変化がないもとで、今後様々な要因によって、金融機関の資金需要が減少するような場合には、市場機能への影響に配慮しつつ、最大限の資金供給努力を行っても、当座預金残高目標の維持が難しくなる場合も考えられることから、「なお書き」を維持することが適当であると述べた。」

なお書きに対する発言である。まずは総裁から、といったところか。

「また、何人かの委員も、「なお書き」を修正した趣旨については、市場でほぼ正確に理解されてきており、「なお書き」を変更する必要はないとの見解を述べた。この間、一人の委員は、前回修正した「なお書き」を維持することには敢えて反対するものではないが、発動基準や配慮すべき市場機能の内容について、必ずしも明確でない面もあることから、今後とも議論を行いつつ、残高目標達成に向けてのオペレーション上の努力を一貫して続けていくことが重要であると述べた。」

これがどの委員の発言なのか。「敢えて反対するものではない」とのコメントも気になる。「発動基準や配慮すべき市場機能の内容について、必ずしも明確でない面もある」と疑問を呈している。こちらが中原委員のコメントである可能性も。

「この点に関連して、委員は、前回会合における「なお書き」修正の趣旨は、金融機関の流動性需要が減少していることを踏まえ、金融機関の資金需要が極めて弱いと判断される場合には、当座預金残高が一時的に目標値を下回ることがありうるとしたものであり、今後の政策決定に関して何かを積み残しているものではないという点を改めて確認した。」

上記は総裁であろう。そうなるとその前の発言者は総裁の意図するところにやや疑問を挟んでいる委員と思われる。のちほど慎重な発言をしている武藤副総裁ととれなくもないが、岩田副総裁も含めて総裁の意思と反するような発言を決定会合の場で行うというのは、考えづらい。そうなれば、目標修正には反対ながらなお書き修正には賛成票を投じた中原委員と見るのが妥当であろうか。

「複数の委員は、金利の正常化に向けた第一歩というような今後の政策と結びつけた形で解釈されることがないよう、対外的な情報発信には正確を期す必要があると付け加えた。」

これは形式上(?)の公式見解と私は見ているので、総裁や副総裁などの意見であるものと思われる。

また、量的緩和政策のもとでの資金供給が市場機能へ及ぼす影響についても議論があった。

この部分はやや興味深い。

「ある委員は、資金供給オペレーション期間の長期化により、例えば短期国債の金利がほぼ一様にゼロに貼り付くなど、タイム・バリューのない異常な金利形成になっていると述べた。」

量的緩和策の時間軸効果が働いていることを考え合わせれば、異常な金利形成は日銀自らの働きかけによるもののはずである。

「また、一人の委員は、 2006年度にかけて量的緩和政策の枠組みを変更する可能性が徐々に高まると想定されるもとで、長めの資金供給オペレーションにより金利を無理に押し下げてしまうと、金利に関する市場の情報発信機能を損なうことになるため、オペレーション期間の長期化は避けるべきであると指摘した。」

たぶん水野委員のコメントであろう。量的緩和策を行っている段階においては金利に関する市場の情報発信機能はどうしても避けられない。それが可能となるのは日銀が完全に方向を転じてからである。技術的な対応からでは情報発信は無理と思われる。

「別の委員は、同様の観点から、オペレーション期間の短期化を進めるべきとの見解を示した。」

それでなくてもオペレーション期間を短期化してはますます札割れが多発し、だからこそ今年度末を超えるような長距離砲を撃っているはずである。実際のオペレーションの現場の意見も聞いているとは思うのだが、オペレーション期間の短期化は進めるべきものであるかもしれないが、現状進められるものではないと思う。もちろんこれがいずれ時代遅れとなってしまった長距離砲を持った巨艦、戦艦大和のように大いなる無駄なものとならないことを祈るばかりでもあるが。

「これに対して、複数の委員は、市場機能の尊重は中央銀行にとって極めて重要なテーマであるが、潤沢な資金供給がイールドカーブを押し下げる効果を持ち得ることは量的緩和政策の宿命でもあると指摘した。」

まさに宿命であると私も思う。「宿命」という響きがちょっと嫌な響きにも聞こえるが。

別の一人の委員は、量的緩和政策は、当初から市場機能への影響と政策目的達成との間のバランスを保ちつつ進められてきた政策であるとした上で、経済金融情勢が変化してきている中で、当座預金残高目標が自己目的化し、市場機能に過度の悪影響を及ぼすことは出来る限り避けるべきであると述べた。

自己目的化という表現は2日の福島県金融経済懇談会における水野審議委員挨拶の中に「当座預金残高目標の維持が自己目的化しないように」というのがあるが、また、武藤副総裁も23日の大分市内で講演し「自己目的化の残高達成は止め、市場に少しでも機能が残る運営にした」ともコメントしている。上記の「2006年度にかけて量的緩和政策の枠組みを変更する可能性が徐々に高まると想定される」とのコメントがもし水野委員であれば、これは武藤副総裁のコメントである可能性がある。「市場機能への影響と政策目的達成との間のバランスを保ちつつ進められてきた政策」というコメントも武藤副総裁ではないかと思えるのだが。ただし自己目的との表現を講演等で行っているのは二人であっても、それがある程度日銀の共通用語となっている可能性もある。その場合、最後にまとめていることを考え合わせ、福井総裁の可能性もありうる。なお以上のコメントはすべてあくまで私の推測であることをお断りしておきたい。
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by nihonkokusai | 2005-07-19 16:59 | 日銀 | Comments(0)

「7月末から8月にかけての日銀当座預金残高」

 本日の来年3月決算期日を迎える手形全店買い入れオペが札割れとなった。今月末から来月中旬にかけて再び日銀の当座預金残高が目標値である30兆円を割り込む懸念があるため、今後日銀がどのように対応してくるのか注目される。

 7月25日は国債発行などもあり日銀の当座預金残高はこのままでは30兆円を割り込む可能性が強い。さらに来月3日から15日にかけては27兆円から28 兆円台となることが予想され、日銀も何がしかの資金供給手段を講ぜざるを得ない。しかし、肝心の来年3月決算期日を迎える手形全店買い入れオペが札割れとなったことなど見てもなかなか苦しい対応を迫られそうである。

 日銀の福井総裁は13日の会見において次のようにコメントしている。

 「枠組み修正ということとは全然別に、金融市場の状況の変化に即して現実的な金融政策としての何がしかの調整が必要かどうか。この点については前々回なお書きを修正することによって、この金融市場における流動性需要の大きな波という厳しい局面に対応し得るようになった。今後の市場状況の変化と照らし合わせながら、よく観察していけば良い。今のところ、ここで何らかの予定的行動を隠し持っているということはない。今後、全くオープンに判断していけば良いと思っている」

 「金融システムの安定度合いが強まるにつれて、金融市場の中の反応がどのように変わるか、それは今までのところなお書き措置で十分だということで対処したわけである。今後、市場がどのような反応をさらに示してくるかということによって判断していかなければならない。今のところそうしなければならないという感じで見ているわけではない。なお、量的緩和の枠組みそのものを修正するということとは別の話としてお答えしたところである」

 以上のコメントを見る限り、量的緩和の枠組みそのものを修正するということではなく、技術的な対応については「全くオープンに判断していく」ため、目標値の変更の可能性も全くないとは言い切れない。

 ただし武藤副総裁は「私は札割れとか資金需要の減退だけを理由に当座預金残高を下げるという立場に立っていない」とも6月23日の記者会見などでコメントしているが、これはたとえば谷垣財務相なども同様の考え方をしているとも思われる。このため技術的対応といえど非常に困難を伴いそうである。

 25日以降、いろいろな手段を講じたにもかかわらず30兆円を維持できない日が続くようなことがあれば、自然と下限変更を求める声が上がってくるといった可能性もある。今回は日銀は先んじて動くよりもそういった声の広がりを待っての変更といった可能性もないとはいえない。とにかく今後のオペ等などから今月25日以降の日銀当座預金残高の行方については目を離せない。ちなみに、日銀の金融政策決定会合は7月27日、そして8月8日と9日に開催される予定となっている。
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by nihonkokusai | 2005-07-15 15:05 | 日銀 | Comments(1)

「消費者物価指数と特殊要因」

 5月の全国コアCPIがゼロとなり今後はさらに物価の動きが注目されるものと見られる。7日でもコメントしたように、6月の全国コアCPIは足踏みとなり場合によると再びマイナスとなる可能性もあるが、7月にはガソリン価格の上昇などによりコアCPIがゼロもしくは若干のプラスになることも予想される。日経新聞などによるとレギュラーガソリンの給油所店頭は11日時点で1リットルあたり125.1円となり2週連続で値上がりしたそうである。125円台は 1994年8月以来の高値水準だとか。

 特殊要因によるCPIの押し下げ効果も10月以降に剥落してくるものとみられている。まず、米類については高騰の反動による押し下げの影響が昨年10月から顕われており、それによる影響は今年の9月頃までとなる。

 今度は電気代について見てみると、関東地方では昨年10月から実質4%ほどの値下げが実施されている。また、東北、中部、九州地方も今年1 月から。北海道、北陸、関西、中国、四国地方では4月から値下げとなっている。ちなみに沖縄は6月からの値下げに。これによる押し下げ効果もやはり10月以降順次剥落してくるものと見られる。

 固定電話通信料については、新規参入会社が昨年12月に基本料・通話料が割安な固定電話サービスを始めたことなどを受け、NTT東西地域会社などが今年1月から固定電話基本料の値下げに踏み切った。この影響も来年1月以降剥落するものと見られる。

 以上のように特殊要因の剥落は今年10月以降となる。しかし、5月の全国コアCPIは前年比ゼロとなり、7月以降はプラスに浮上する可能性もある。10月以降はそこにどれだけ上乗せされるかが注目されよう。
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by nihonkokusai | 2005-07-14 12:44 | 日銀 | Comments(0)

「量的緩和解除」

 6月にはガソリン価格が一旦低下したこともあり、やや足踏みとなるかもしれないが、7月以降は安定的にゼロ以上となる可能性が出てきている。たとえば7月出荷分のガソリンなどは、石油製品の卸値は6月比3円程度引き上げられたことで店頭価格も1リットル当たり124円台に上昇している。ガソリンだけでなく、タイヤの価格なども2年連続で引き上げられているなど、価格転嫁もここにきて次第次第に行われているとみられる。価格転化は一部に限られるとの見方もあろうが、次第に裾野も広がりつつあるようである。

 景気も外需の減速を個人消費などの内需で補ってきており、予想されたほどの落ち込みには至っていない。日銀の地域経済報告(通称さくらリポート)においても、「足もとの景気は、多くの地域で緩やかな回復基調にあり、弱めの動きも解消しつつある。」としており、全9地域のうち7地域の景気判断が「緩やかな回復基調」となっており、景気回復の一服感が弱まりつつあることを指摘している。景気の回復基調が今後も続くであろうことは、日銀の福井総裁も再三指摘していたが、このさくらリポートにおいても、それを確認させるものとなっている。

 それでは、景気の回復基調が再び強まった上に、このまま安定的にコアCPIがゼロ以上で推移するようになった際に、日銀はどのように動くであろうか。武藤副総裁は、「もし本当に予定通り(消費者物価指数の前年比が)プラスになり、それが相当続くとなればデフレ脱却と言えるではないかということは議論の余地があると思う」とかなり慎重な構えを示している。これは谷垣財務大臣の意向を受けたものとの見方もあるが、こういった意向を察して表面上の姿勢制御を行ったものと思われる。

 審議委員の一部には日銀の当座預金残高目標額の引き下げを求める声があるものの、すでにこれは量的緩和解除に向けての一歩との捉え方をされてしまっている。なお書き修正はされたものの技術的にも現在の目標額を維持させるのはなかなか厳しい。今月末から来月はじめにかけても一時的な下限割れの可能性も強い。しかし、当座預金残高目標引き下げを納得させるためには、量的緩和解除の条件がある程度揃わなければむずかしいものと思われる。

 このためコアCPIが数ヶ月に渡りゼロを上回ってさらにトレンドとして上昇基調が確認できた上で、経済指標なども考慮に入れ、目標引き下げではなく、一気に量的緩和を解除する可能性が強いものと思われる。そのためには少なくとも年内の解除の可能性は薄く10-12月のCPIの上昇幅を確認した上で、来年早々の可能性が高くなっているのではないかと考えている。
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by nihonkokusai | 2005-07-07 09:51 | 日銀 | Comments(0)
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