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カテゴリ:債券市場( 655 )

日本の国債市場への危機感

 8日から9日にかけての日本の債券市場での超長期債を中心とする乱高下は、日本の債券市場が機能不全に陥りつつあることを示している。日銀は年間に入札等で発行される国債のほとんどを買いオペで吸い上げている。この場合の新規で発行される国債には借換債も含まれることで、来年度でみると短期債を除く新規発行額の122兆円のうち日銀は120兆円(増額分80兆円プラス償還乗り換え分40兆円)を買い入れる計画となっている。

 日本の国債は国内投資家が95%を保有している。そのうち日銀が268兆2810億円で29.9%、 銀行など民間預金取扱機関が245兆7416億円で27.4% 民間の保険・年金が232兆6832億円で25.9%、公的年金が52兆3086億円で5.8%、海外が45兆7410億円で5.1%などとなっている(2015年9月末現在)。

 つまり新規国債は日銀が独占的に買い占めてしまうことになり、国内の金融機関保有の国債の償還を乗り換えようとしても買い入れる国債は計算上はない。さらに日銀はマイナス金利政策まで導入してしまった結果、一時残存12年あたりまでの国債までがマイナス金利となった上に、超長期債の利回りも急低下してしまったことで、運用利回りそのものが求められない状態となっている。

 9日に年金などのパッシブ運用のベンチマークとなっているBPIと呼ばれる指数がマイナス0.01%と初めてマイナスとなってしまった。ベンチマークに合わせて運用すると損失が発生する計算になる。このため、運用先として外債等の割合が大きくなるのかもしれないが、これはあらたに為替リスクなどを負うことにもなる。

 短期金融市場もマイナス金利政策によりかなりの動揺を受けているが、システム対応等は徐々に進むとしても、そもそもマイナス金利という状況下では市場参加者は極めて限られることになり、市場の流動性が後退してこよう。

 債券市場も同様であり、本来の中心プレーヤーであったはずのメガバンクや生保、年金などはマイナス利回りの国債は購入しづらい上、新発債中心に日銀に国債が吸い上げられたことで市場の流動性が枯渇していることで手が出せない状況にある。

 海外投資家に関しては、日本の機関投資家の外債需要にともなうドル需要を受けて調達した円の運用でマイナス金利での日本国債も購入できる外銀などはあっても、海外の年金運用などは日本国債の運用利回りの低下で保有額を減額させているところもある。

 そして今回の乱高下によって最も動揺を見せたのがプライマリーディーラーなどの業者であったかもしれない。3月は償還月ということで新たに入札された10年債や30年債の発行日がいつもよりも先になる。つまり国債を入札で仕入れて日銀の買入に向けて売却するという簡単なお仕事のはずが、保有期間が長くなることでその間の価格変動リスクに晒される。そのリスク回避の動きも今回の国債の相場の乱高下のひとつの要因となった可能性がある。

 このように今回の日本国債の乱高下は償還月といった特殊な要因に影響された可能性はあるものの、日本の債券市場の流動性がかなり後退し、きっかけ次第では価格変動リスクに晒される懸念も示された。

 すでに日本の債券市場を形成するプレーヤーは、発行する財務省と大量に買い入れる日銀、その間を繋ぐ業者だけという構図となっている。この業者がもし市場リスクを意識して売買を手控えるようなことになると債券市場そのものがさらに機能しなくなる懸念も存在しよう。日銀の追加緩和期待も一部にあるようだが、日銀がもしまた国債の買い入れを増額するなり、マイナス金利を深めるような追加緩和を実施するとなれば、債券市場がさらに危機的状況に陥る懸念が存在することを改めて認識すべきであろう。

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by nihonkokusai | 2016-03-11 09:54 | 債券市場 | Comments(0)

個人向け社債は買いなのか

 24日の日経新聞によると、22日に社債の利回りが初めてマイナスを付けたようである。日銀が22日に実施した社債の買入において、平均落札利回りがマイナス0.031%と初めてマイナスとなった。これを受けて市場でも初めてマイナス金利での出合いがあり、ファーストリテイリングやJR東日本の社債がマイナスで取引された。

 通常であれば投資家はマイナス金利の債券を購入して運用することはしない(絶対しないわけではなく、しかたなくせざるを得ないケースはある模様)。国債も同様ながらマイナス金利となった背景には、オペでさらなるマイナスで日銀が購入することが見込まれることや、一部外銀などがマイナス金利でも円資金を運用できるためである。

 そして「個人向けに高利回り債」として三菱UFJフィナンシャル・グループが個人投資家向けに劣後債を1000億円発行するそうである。10年満期ながら5年目以降に銀行が期限前償還できる条項が付いた10年債である。利率は2月26日に決定されるが0.1~0.5%となる見込みのようである。

 劣後債とは、劣後特約のついた社債のことである。劣後特約とは社債に付けられた特約条項のことである。その特約条項の内容は通常、劣後債を発行した企業が倒産した場合、劣後特約のついた社債の返済は一般債権者への支払いが全て完了した後に行うという内容となっている。デフォルト時の元利金の支払い順位が一般債務よりも低くなっており、もし発行した企業が経営破たんした場合には、株式と同じく紙切れ同然になるリスクがある。劣後債のリスクは、一般に普通社債と株式の間くらいとの認識のようであるが、その分、普通社債よりも利率は高く設定されている債券である。

 劣後債の発行体をみると、金融機関が非常に多い。金融機関は法律で一定以上の自己資本比率の維持を義務付けられている。劣後債は、会計上は負債に分類されるものの、銀行経営の健全性を維持するための国際ルールであるBIS規制では、自己資本の補完的項目(Tier2)への算入が一定限度まで認められている。このため、株主の権利を希薄化させずに、金融機関は自己資本を高められるというメリットがあるため、金融機関は劣後債を発行している。以前は、劣後債の大半は機関投資家向けとなっていたが、リーマン・ショック以降は一時、機関投資家向けの社債の発行ができなくなるなどしたことで、個人向け劣後債の発行も多くなった。個人投資家にしても、金融市場の混乱と円高進行などから、円建てでより安全とみられる商品へのニーズが強まったことで人気化した。

 金融機関の発行する劣後債には、今回のものを含めて、満期前に繰上償還される「期限前償還(コーラブル)条項」が付いているものが比較的多い。劣後債の期限前償還条項とは、発行体が債券の繰上償還をするかどうかは決めることができるもので、いつ償還となるか事前には確定していない。しかし、劣後債を自己資本とみなすルールには、劣後債の償還まであと5年以上残っていなければならない、というルールが存在する。残存期間が5年を切ると年率20%で累積的に減価しなければならないのである。このため、実際には残存5年のタイミングで繰上償還となるケースが「大半」となっている。劣後債は、BIS規制において自己資本に算入可能であるため、金融機関には残存5年のタイミングで繰上償還し、再度劣後調達を行うインセンティブが働くのである。

 ただし、絶対にコールがかかるというわけではない。これまで大手金融機関が発行した劣後債で、繰上償還が見送られた事例は少ない。しかし、発行体の財務内容が大幅に悪化し繰上償還するだけの余裕がなかったり、金利の上昇などにより再調達コストが大幅に上昇した場合などでは、期限前償還が見送られる可能性があることにも留意する必要がある。

 個人投資家にとって劣後債を買い付ける際には、上記の劣後債そのものの性質とともに、買付金額の大きさや途中売却の難しさも意識する必要がある。

 金融機関の発行する劣後債の最低単位は通常の個人向け債券よりも大きくなっている。劣後債は売りたい時に必ず売れるとは限らず、その流動性の低さに注意が必要である。個人向け国債は途中売却の際には財務省が買い取るが、劣後債は発行する銀行側が買い戻す義務はない。ただし、発行した証券会社が買い取ることは考えられるが、流動性がない分、購入価格よりも安い値段で買い取ることも考えられるため、できる限り途中売却は避け、基本的には購入したら償還まで持ちきることを前提に購入する必要がある。

 そして本来であれば上記の条件が付いているため、金利は比較的高く設定される。今回も預金金利の0.001%などに比べれば高そうに見えるが、ある程度のリスクもありながら0.1~0.5%しかない実質5年債の社債を購入すべきかについては私は疑問である。

 現在の金利は日銀により作為的に作られたマイナス金利であり、その反動なども意識して資金は待機すべきものと思われる。無理にリスクは取るべきではない。その意味では最低金利の0.05%が保証されている個人向け国債(お薦めは10年変動タイプ)や、いまのところはマイナス金利ではない預貯金に資金を置いておく方がベターであると考える。

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by nihonkokusai | 2016-02-25 09:35 | 債券市場 | Comments(0)

マイナス金利導入に身構える市場

 2月12日の東京市場で日経平均は大きく下落し一時、15000円の大台を割り込む場面もあった。11日にドル円が一時110円台をつけるなどの円高や欧米の株式市場の下落も嫌気された。この株価の下落や円高はリスク回避の動きの強まりを示すものであり、そうであればリスク回避資産として国債は買われるはずである。ところが12日の債券先物は寄り付きこそ買われたが、その後は下落基調を強め、78銭安の151円11銭で引けている。10年債利回りは9日と10日にマイナス0.035%まで以下したが、12日にはプラス0.075%に上昇した。

 長期金利のマイナス化の背景には、1月29日の日銀の金融政策決定会合でマイナス金利付き量的・質的緩和の導入が決定された。これにより長期金利はさらに低下し、そこに海外発のリスク回避の動きが加わって、2月9日に10年債利回りが一気にマイナスに低下したのである。

 ただし、この間のいわゆるイールドカーブはかなりぬ興味深い格好となった。最も短い金利である無担保コール翌日物の金利はいまのところマイナスとなっていない。これはマイナス金利の適用が16日からということで、先んじたような動きとなっていなかった面もあるが、取引する金融機関のシステムが無担保コール翌日物の取引のマイナス化を想定しておらず、対応し切れていない面も指摘されている。

 10日のイールドカーブをみてみると、短いところがゼロ近辺で、そこからマイナスとなり、残存4年程度のマイナス0.2%台が底となって上昇し、10年でゼロ近辺、さらに長いところはスティープ化している。

 10年以下の国債利回りがマイナスとなったことにより、国内投資家はこのマイナス金利での国債運用は躊躇せざるを得ない。しかし、いきなりプラス利回りの期間の長い国債にシフトすることも難しいとなれば、ある程度のマイナス利回りは許容しても運用せざるを得ない面もある。

 それでも現実に16日以降のマイナス金利の適用で短期市場ばかりでなく、債券市場でもどのような動きになるのか、いまのところ予想が付かない面もある。このため、12日は高値警戒もあったろうが、16日のマイナス金利導入前にポジションをいったん手仕舞うような動きが出た可能性もある。もちろん金利がマイナスのタイミングで利益確定売りを出したこともありうる。

 はたして16日以降、短期金融市場や債券市場はどのような動きをみせるのか。短期市場に関してはマイナス金利へのシステムの未対応のところもあって、当面はマイナス化はないとの見方が強い。債券市場にあってはマイナス化はやむを得ないという面はあるが、マイナス金利の国債を積極的に買える状況でもない。

 当面は国債の入札や日銀の国債買入をこなしながら、少しずつ落ち着きどころを探る展開となりそうながら、そこに海外初の相場変動が加わると、ますます参加者が減って値動きが荒くなることも予想されるのである。

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by nihonkokusai | 2016-02-16 09:47 | 債券市場 | Comments(1)

日本の長期金利がマイナスとなった理由

 2月10日の新聞各紙の一面トップは「長期金利、初のマイナス」との見出しが踊っていた。これほどまでに長期金利が大きくニュースに取り上げられるのは、やや意外感もあった。株式市場や外為市場の動向が取りあげられることはあっても長期金利、つまり債券市場の動向がこのように取りあげられるのは極めて珍しい。それだけ、今回の長期金利のマイナス化は注目を集めていたということになる。

 私自身は長期金利、つまり10年債カレントのゼロ%までの低下はいずれあるかもしれないが、マイナスには簡単にはならないのではないかと漠然と考えていた。10年債利回りのマイナス化にはさすがに抵抗があるだろうと思っていたが、市場の勢いは止まることなく9日の前場に長期金利はゼロ%をつけ、後場にはあっさりマイナスとなり一時マイナス0.035%まで低下することになった。

 なぜ日本の長期金利がマイナスとなったのか。これについては日銀の金融政策が大きく影響していたことは間違いない。

 9日にこの長期金利のマイナス化についてのコラムの依頼があり、それを書いた際に長期金利とは何かという肝心の説明が抜けていたことにあとで気がついた。いやあえて触れなかったともいえるか。つまり、本来の長期金利とは日本の経済・物価の動向などを反映し、投資家のニーズ、財務省の国債発行計画などを考慮して、市場において需給バランスが取れたところの10年国債の利回りが長期金利となる。

 ところが現在の長期金利はそのような需給バランスは反映されていない、というよりも日銀がほぼ発行額の全額近くを買い込み、需給バランスを崩してしまっている。

 外国の銀行などは日本の機関投資家からのドルの要請ニーズに応えると大きな利息付きの円が手に入る状況が続いており、外銀などは結果として保有することになる円の運営上は、ある程度のマイナス金利も許容できることで比較的短いところの金利はすでにマイナス化していた。これに加え、ECBのマイナス金利政策により、欧州で中期ゾーンあたりまでの利回りがマイナス化していたことも日本の中期ゾーンあたりまでのマイナス金利の要因となっていた。

 そこに突如、出てきたのが、1月29日の日銀のマイナス金利付き量的・質的緩和政策の決定である。マネタリーバランスを維持したまま、一部の超過準備の付利をマイナスにするという良いとこ取りの荒技政策を打ち出した。

 金利に関しては日銀の思惑通り、これによって足元の金利がさらにマイナス化することとなり、それが長い期間の国債に波及した。いきなり残存8年あたりまでの国債利回りがマイナスとなってしまったのである。

 日銀がそもそもこのタイミングで追加緩和を決定したのは、年初からの円高株安の動きによるものであった。その背景には中国など新興国の経済減や原油安が要因となっていた。日銀は追加緩和で2014年10月のバズーカ第二弾のような円安株高効果を期待したと思うが、すでに市場は追加緩和への感応度は低下していた。日銀のマイナス金利政策で一時的に円安株高となったものの、それはあっさりと剥げ落ち、日経平均は16000割れとなり、ドル円は11日に113円割れとなった。つまりリスク回避の動きをさらに強める結果となってしまったのである。

 このリスク回避の動きが加わったことにより安全資産としてさらに国債が買われることとなり、その結果、2月9日に期間10年の国債利回りがマイナスとなってしまったのである。日銀としては長期金利のマイナス化は想定内であったかもしれないが、リスク回避による円高株安を伴った格好での長期金利のマイナス化は想定外であったかと思う。

 実際にマイナス金利が適用されるのは2月16日以降であるが、このマイナス金利は様々なところに影響を与えつつある。もちろん住宅ローン金利の引き下げなど良い面はあるかもしれないが、金融市場関係者、特に資産運用を手がける人たちは悲鳴をあげている。銀行などの利ざやも縮小させることになり、欧州や日本の銀行株が大きく下落し、これがさらにリスク回避の動きを強めるという悪循環になりつつある。

 日本の長期金利がマイナスとなったが、それを促進させた格好の中央銀行の金融政策に対し、風当たりが強まるという皮肉な結果を招いている。ここにきての円高などの強まりで、もし日銀が緊急の決定会合を開催し追加緩和を決定するようなことをすれば、むしろ絶好の円買いドル売りのチャンスを作ってしまうことにもなりかねない。そのような状況に陥りつつある。

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by nihonkokusai | 2016-02-11 10:58 | 債券市場 | Comments(1)

年間の国債売買高が減少

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 1月20日に日本証券業協会(JSDA)は12月の公社債投資家別売買高を公表した。発表される公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。それが下記となる。

12月の公社債投資家別差し引き売買高
注意、マイナスが買い越し、単位・億円
()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 1485(-70、1822、-352)
地方銀行 3117(-403、3993、745)
信託銀行 -1234(-979、-600、869)
農林系金融機関 -2422(-2273、526、-139)
第二地銀協加盟行 -545(-199、-420、57)
信用金庫 -904(-56、295、85)
その他金融機関 -1429(-584、152、-643)
生保・損保 -2707(-2316、912、-633)
投資信託 -1890(-97、268、-995)
官公庁共済組合 -47(-129、111、0)
事業法人 -800(39、-236、-287)
その他法人 -717(73、-361、-59)
外国人 -12155(1401、-3625、-9895)
個人 476(-7、58、9)
その他 16598(4319、3216、12242)
債券ディーラー -206(203、-1194、815)

 都銀は4か月連続での売り越しとなったが、1485億円の売り越しと11月の8377億円の売り越しからは売越額は大きく減少した。地銀が長期債主体に3117億円の売り越し、信託銀行や農林系金融機関などは超長期債主体の買い越しとなった。そして12月も「その他」が1兆6598億円の売り越しとなっていた。

 これらに対して外国人は、12月も1兆2155億円の買い越しとなった。11月は1兆8004億円の買い越しとなっていた。外国人は18か月連続の買い越しとなる。外国人は超長期債を1401億円売り越していたが、長期債は3625億円の買い越し、そして中期債は9895億円の買い越しとなった。

 国債投資家別売買高(一覧)をもとに国債の合計(超長期と長期と中期のみ)の売りと買いを合算してみたところ、2015年11月の国債売買高は2004年4月以降の統計で2005年12月以来の低い数字となっていた。ただし、12月は11月からやや回復していた。

 今回は1月から12月までの年間の国債売買高の合計(超長期債・長期債・中期債)を手元で算出したところ下記のような結果となった。日銀の量的・質的緩和を導入した2013年以降は売買高は少しずつ落ち込み、2015年はこの10年のなかで最低となった。大きく落ち込んでいるわけではないとは言え、国債の残存額そのものは年々膨らんでいることを考慮すると確実に流動性は低下しつつあると言えるのではなかろうか。

 1月29日の日銀のマイナス金利の導入により、国債利回りは大きく低下し残存7年半あたりまでの国債利回りがマイナスとなった。国内機関投資家はマイナス金利での運用は難しいことで、今後さらに債券市場の流動性が後退する懸念が強まるものと思われる。

年国債売買高(億円)
200518949931
200621009723
200721834443
200821327591
200919345330
201022105342
201123339194
201223806957
201318377996
201420851281
201517619226

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by nihonkokusai | 2016-01-31 11:18 | 債券市場 | Comments(0)

長期金利が過去最低の0.190%を付けた場面

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 2016年1月14日の東京株式市場は大荒れの展開となっていた。日経平均は年初の1月4日の大発会から12日にかけて6営業日続落となったが、これは戦後初の事態となった。その下落が13日でいったんストップした。ドル円が118円台を回復したこともあり、13日の日経平均は496円高で引けた。ここでいったん調整は終了かとの期待も出ていたところに、13日の米国株式市場ではダウ平均が364ドル安と再び大きく下落したことで、14日の東京株式市場は売りが先行し、日経平均は前日比700円を超す下げとなったのである。

 日本の債券市場は、中国経済の減速やそれにも影響を受けた原油先物の下落などによるリスク回避の動きの強まりで、債券先物は連日の最高値更新となっていた。ところが10年債については2015年1月20日につけた過去最低利回りの0.195%には届かなかった。しかし、それでも10年341回債の利回りはじりじりと低下して0.200%に迫ってきていた。

 1月14日の前場に10年債利回りは0.200%に低下した。日経平均はかろうじて17000円割れを回避していた。ところが後場に入り、日経平均先物主体に仕掛け的な売りが入ったものとみられ、13時半過ぎに日経平均そのものも17000円割れとなった。ドル円も売り込まれ、117円30銭近辺に下落した。同じようなタイミングで債券先物は買い進まれて、149円66銭まで上昇し、10年債利回りは0.195%をつけ、さらに0.190%が買われたのである。こうして日本の長期金利は過去最低を更新した。

 この場合の現物債の動きとは日本相互証券(BB)での値動きとなるが、実は10年債の0.190%の商いはBBでの取引の最小ロットの5億円しかなかった。つまり、0.190%を付けに行った人が一人だけいたということになる。たしかにこれまで最高値や最安値を更新する際は果敢に付けに行く人は存在していた。それはさておき、問題はそのあとの動きである。

 日経平均の17000円割れは一時的で、その後押し目買いが入り、下げ幅を大きく縮小させた。ドル円も117円30銭あたりから118円30銭あたりへと1円近くも上昇した。奇妙であったのは、債券先物は149円66銭の高値を付け、10年債利回りが0.190%をつけたあとに、こちらは急落していたことである。

 株が買われたので債券が売られても不思議ではない、と思われるかもしれないが、日経平均先物と債券先物はそれほど相関が高いわけではない。たしかに円高株安債券高がセットになっているようにみられるが、常にそのように動くわけではない。たとえば13日は日経平均も債券先物も買われていた。

 さらに奇妙な点は、債券先物の値幅の大きさである。ここにきて10銭から20銭程度の日中値幅であったのが、14日は商いをともなって31銭も動いていた。そして現物債も10年債は0.190%から0.225%に後退し、20年債にいたっては0.900%から0.950%と大きく下落していたのである。

 つまり14日の株と為替と債券の動きには何かしらの連動性がみられ、仕掛け的な動きが入っていた可能性が高い。日経平均の17000円割れと10年債の0.190%を試して、そのタイミングでまとまった反対売買が控えていたと思われる。

 債券に関しては超長期債の利回り上昇幅が大きかったことで、そこそこまとまった利益確定売りが超長期債を主体に持ち込まれた可能性がある。

 日経平均の17000円近辺(9月29日の16901円49銭)は昨年9月末につけた安値でもある。ここを大きく下回ると次のポイントは15000円あたりとなる。そこまでの下落はどうしても止めたいとの意向が働いた可能性もある。その際に現物の超長期債を売却していたとすれば、自ずと仕掛け人も見え隠れする。ポートフォリオで債券の比率を低めた一方でデュレーションを長め、つまり中短期債から超長期債に乗り換えていた大手投資家が存在している。むろん海外ヘッジファンドも動いていた可能性もあり、たまたま動きが重なったとの見方もできるかもしれない。しかし、日経平均の17000円近辺が絶対防衛ラインとして意識されていた可能性もありうるのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2016-01-16 12:26 | 債券市場 | Comments(0)

2016年の金融市場を見る上での注意ポイント

 2016年の金融市場は波乱含みでのスタートとなったが、今年の相場動向を占う上での注意ポイントを確認してみたい。

 今年は金融市場の変化の年になるのではないかと予想している。その理由のひとつがFRBの利上げである。サブプライムローン問題からリーマン・ショックに至る金融ショックに続き、ギリシャを発端とした欧州の信用不安というふたつの大きなショックが過ぎ去った。その間に日米欧の中央銀行は異常ともいえる金融緩和策を取ってきたが、FRBが真っ先に正常化に向かった。

 過剰流動性相場により覆い隠されていた格好の、中国を中心とする新興国経済の悪化が明らかになりつつある。それによる原油の需要後退と原油の供給超過が相まって原油価格が下落した。これにより資源国経済にも影響を与えることになり、サウジアラビアの財政悪化を招き、中東情勢が新たなリスクとして浮上した。

 新興国の経済成長がピークアウトしたことで、世界経済の牽引役としては雇用情勢などを確認した上で利上げに踏み切った米国経済に対する期待も強まりそう。その米国では今年は大統領選挙が控えている。新大統領が誰になるのかとともに、新大統領がどのような経済戦略を取るのか、このあたりにも注目しておく必要がある。

 FRBについては利上げのペースも気になるものの、年2回から4回程度の緩やかな利上げペースが予想され、テーパリングと同様に市場に大きなインパクトを与えることは考えづらい。

 それよりもECBや日銀の動向が気になる。特に日銀である。物価目標達成時期の先送りの可能性もあるため、市場では日銀に対する根強い追加緩和期待がある。しかし、黒田総裁が必要とあればもっと大胆な措置を取ると発言しようと、新たに大胆な政策を取ることにはあまり現実味がない。12月の異次元緩和の補完措置は、国債の買い入れ余地を拡げたが、あくまで現在の国債買入ペースを2016年も維持するためのものといえる。それでも、もし日銀が国債をさらに買い増すような政策を打ち出すと、来年度の国債発行額をも上回ってしまうことになる。ECBの12月の追加緩和の際の市場の反応を見ても、市場は単純に追加緩和を好感するような地合でもなくなりつつあるだけに、日銀が追加緩和に動いた際の市場の反応は素直なものになるとは考えづらい。

 そして今年は参議院選挙が控えている。衆参同時選挙の可能性を指摘する声も出ている。この選挙結果次第では安倍政権がより強固なものとなる可能性もある。憲法改正の行方なども気になるが、注目すべきは2017年4月からの消費増税の行方ではなかろうか。増税延期の可能性もありうることで、その際に国債市場に与える影響なども念のため、注意しておく必要がある。

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by nihonkokusai | 2016-01-10 12:05 | 債券市場 | Comments(0)

無視はできない金利上昇リスク

 財務省は2016年度予算案で長期金利の想定を4年ぶりに引き下げ、2015年度に比べ0.2%下げて1.6%とした。日銀の異次元緩和などにより、長期金利が低水準を維持しているのを反映したものである。ただし、足元の長期金利は0.250%近辺となっており、1.6%に引き下げてもまだ大きな乖離が存在している。

 そして、6日付けの日経新聞によると、金融庁は銀行が保有する住宅ローンや国債などで市場金利の上昇によって損失が生じかねない「金利リスク」を厳しく点検する新たな監督の枠組みを検討するそうである。

 日銀は銀行と信用金庫は金利が1%上昇すると全体で10兆円ほど損失が発生すると試算しているようだが、日経新聞の記事によると各銀行のリスク量の算定においては、過去の市場の動きをもと算定しているため、0.3%程度の金利変動しか考慮していないとの指摘もあるようである。

 予算案で長期金利の想定を1.6%と実勢からかなり高く見積もっているのは、この水準まで上昇したとしても、国債発行計画などに支障が出ないようにするためである。日銀がこれだけ国債を大量に買い入れており、物価も上昇せず、欧米の長期金利も低位安定している状況下、長期金利が1.6%に上昇するのはあり得ない、との見方も当然あろう。

 QUICKの月次調査をみても、2016年の長期金利の高値は0.5%近辺を予想している人が多く、個別で見ても1%程度あたりまでの予想となっている。特にここにきて債券市場の値動きそのものも小さくなっており、国債が大きく下落する気配は全くといって良いほどない。ただし、債券も市場で取引されている以上、何かしらのきっかけで大きく変動するリスクは常に存在する。

 2003年の6月あたりまでの債券市場も日中の動きは鈍かったものの、当時の日銀の量的緩和政策も影響し、ジリ高(利回りはじり安)基調となっていた。ところが長期金利が6月に0.430%と当時の過去最低を更新したあたりから、債券相場は急変した。7月には1.4%台に上昇したのである。このように何かしらのきっかけで長期金利が1%程度跳ね上がるようなリスクは過去の事例からも十分にありうる。

 それでも日本国債の急落を想定した発言やポジションに関しては、オオカミ少年とも揶揄された。国債の急落はありえないとの声も聞かれるが、金利上昇リスクは常に想定しておく必要はある。

 2016年の債券相場の予想をみると、大きな変動が起きるのではないかとの見方もある。そのリスクのひとつは日銀の大量の国債買入と物価目標との兼ね合いにあるのではなかろうか。12月の異次元緩和の補完措置により、国債の買い入れ余地は拡がったが、これはつまりまだ日銀は大量の国債を買い続けることを意味し、それは債券市場の流動性をさらに低下させることにもなる。米国は利上げを開始したことで、金利を取り巻く環境に変化の兆しもある。日本の金利上昇リスクに関しては、完全に無視できる状況にあるとは考えづらいのである。

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by nihonkokusai | 2016-01-07 09:28 | 債券市場 | Comments(0)

2016年の金融市場では何が焦点となるのか

 2015年の金融市場は日米欧の金融政策の行方が金融市場にとっての大きな焦点となっていた。リスク要因として前半はギリシャ、後半は中国と原油価格の動向が注目された。それでは2016年の金融市場では何が焦点となるのであろうか。

 突発的なテールリスクに関しては予測が難しい面もあり、とりあえず予測が可能なものから見てみたい。まずFRBの金融政策に関しては年に2回から4回の利上げが行われる可能性が高い。

 FOMCの2016年の日程は1月26~27日、3月15~16日(議長会見有)、4月26日~27日、6月14~15日(会見有)、7月26~27日、9月20~21日(会見有)、11月1~2日、12月13~14日(会見有)となる。段階的に4回であれば議長会見のある3、6、9,12月。もし慎重に年2回であれば6月、12月か。テーパリングとは影響は異なると言ってもマーケットフレンドリーなペースで行うと予想され、市場への影響は限定的となろう。

 イングランド銀行も利上げのタイミングを計る年になるとみられる。ちなみに2016年のMPCは毎月開催となるが、英国議会で承認が得られれば、2016年9月以降は年8回ペースでの開催に変更される。その場合に10月のMPCは中止となる。

 ECBについては12月3日の追加緩和が予想された最低限のものであったことで、緩和余地を残しているため追加緩和の可能性はある。しかし、12月3日の市場の反応をみても中途半端な追加緩和はむしろ市場には逆効果と認識される可能性がある。追加緩和でユーロ安が期待できないとなれば、ドラギ総裁は新たな手段を講じてくる可能性もある。しかし、ドイツ出身者などとの対立をさらに深める懸念もある。ECBは2016年から政策理事会は年8回となる。

 日銀に関しては12月18日の異次元緩和の補完措置による適格担保の拡充と長期国債買入れの平均残存期間の長期化により、2016年の国債買入をより容易にさせることになる。しかし、すでに国債発行額の100%近くを買い入れることになり、さらなる大量の国債買入による追加緩和の可能性は薄い。かといって小出しの追加緩和では、ECBの追加緩和のように市場はネガティブな反応をする可能性が高い。日銀も2016年は金融政策決定会合の開催は年8回となる。

 12月の米国の利上げにより、金融市場は金融緩和に対する依存度が後退しつつあるように思われる。2016年の焦点のひとつが日米欧の中央銀行の金融政策であることは確かながら、その注目度は2015年と比較して低下してこよう。むしろ物価動向にかかわらず日銀の出口政策の行方が注視される可能性もある。

 現時点でのリスク要因となりそうなのが、原油価格の下落である。原油価格の下落傾向はまだ続くとみられる。その原因のひとつである中国などの新興国の景気拡大のピークアウト、さらに原油価格下落によるサウジアラビアなど中東の国々含めた資源国の景気への影響も危惧される。金融市場を取り巻く資金の流れがFRBの正常化と原油安により大きく変化してきており、それが一層顕著となるのが2016年となるのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2015-12-30 09:46 | 債券市場 | Comments(0)

2015年の金融市場を振り返る

 2015年の金融市場を振り返ってみたい。2015年の金融市場を巡る大きな注目材料となったのは日米欧の金融政策の方向性の違いではなかったろうか。ECBは1月22日の理事会で量的緩和の導入を決定した。このECBの追加緩和期待により1月20日に5年債利回りは一時マイナスとなり、10年債は0.195%まで低下した。

 その後、ギリシャの債務問題を巡る警戒感が強まり、一時ギリシャのデフォルト懸念が強まった。しかし、7月にギリシャ議会は金融支援の条件となる財政改革法案を賛成多数で可決したことなどから、デフォルトの懸念は次第に後退した。市場の視線はギリシャから今度は中国に向けられた。

 8月11日に中国人民銀行は人民元取引の目安となる基準値の算出方法を変更し、事実上の人民元の切り下げを行った。中国経済の減速が意識されて市場は再びリスクオフの動きを強めた。これは人民元ショックとも称された。中国経済の減速は原油需要の後退も意識され、原油価格の下落基調も強まった。

 そんななかにあって、もうひとつの市場の焦点がFRBの正常化、つまり利上げの時期となった。9月のFOMCでの利上げ観測があったものの、人民元ショックにより先送りされたとの見方も強かった。しかし、かなり時間を掛けることで、FRBは9月ではなく12月に標準を合わせていた可能性がある。

 10月にはECBのドラギ総裁が年内の追加緩和を示唆し、中国人民銀行が政策金利と預金準備率の引き下げを発表した。あらためて12月に向けて日米欧を中心とした金融政策に焦点が集まった。日銀に関しても4月や10月の決定会合などを中心に一部に追加緩和期待も出ていたが日銀に動きはなかった。

 FOMCの前にECBは追加の緩和策を決定し、預金金利をマイナス0.3%とし債券購入の期間を2017年3月まで延長する方針を示した。ところが市場はこれを受けて期待外れとして株も債券も下落した。12月16日のFOMCでは予想通りに0.25%の利上げを決定したが、市場はほぼ織り込み済みとなり影響は限定的となった。さらに日銀は18日の決定会合で異次元緩和の補完措置を決定したが、これを受けて東京株式市場は乱高下した。  12月の日米欧の金融政策の変更もしくは微調整による市場の反応を見ると、追加緩和に期待するだけのような市場から変化が現れているようにも思えた。

 原油価格は下落基調を続け、WTI先物は12月に入り35ドルを割り込んだ。原油価格の下落とそれによる新興国経済への影響なども懸念材料となった

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by nihonkokusai | 2015-12-28 09:19 | 債券市場 | Comments(0)
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