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カテゴリ:債券市場( 677 )

メガバンクの国債売買高が大きく落ち込む

 9月20日に日本証券業協会は8月の公社債投資家別売買高を発表した。公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

8月の公社債投資家別差し引き売買高 注意、マイナスが買い越し、単位・億円
()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行-5354(-3637、730、-2074)
地方銀行 1057(-287、1964、265)
信託銀行-256(-1177、-2413、2094)
農林系金融機関-4167(-2416、42、-150)
第二地銀協加盟行-363(-60、-50、45)
信用金庫 3138(-89、121、3186)
その他金融機関-3683(-283、-46、-3214)
生保・損保-2761(-2808、123、647)
投資信託 21(381、-370、471)
官公庁共済組合-46(-99、44、0)
事業法人-76(38、10、2)
その他法人-754(-496、31、9)
外国人-16838(-1108、-5390、-9702)
個人 266(1、32、6)
その他 19172(9845、6303、7208)
債券ディーラー 471(91、191、158)

 都銀は7月に続いて買い越しとなった。特に超長期債を3637億円の買い越しとなり、業態別では超長期を最も買い越した格好となった。地銀は7月の買い越しから売り越しに転じた。海外投資家は中期ゾーンを主体に引き続き大幅買い越しとなった。海外投資家の買い越しは26か月連続となる。

 7月には欧米の長期金利が過去最低を記録し、日本の10年債利回りも7月8日にマイナス0.3%をつけた。20年債利回りも7月6日にマイナス0.005%をつけてマイナスとなったが、ここからこの超長期債主体に売り込まれた。20年までの国債利回りがマイナスとなったところで超長期債を売却した投資家もいたようで、ここからの利回り低下は考えられないとの見方も強まっていた。

 7月27日に154円台まで上昇していた債券先物は7月29日の日銀金融政策決定会合をきっかけに急落することになる。日銀は「金融政策の強化」としてETFの買入を現行の3.3兆円から6兆円とすることなどを決定したが、一部期待のあったマイナス金利の深掘りや国債買入の増加などは見送られた。ヘリコプターマネーへの期待などもあったことで、この決定会合結果を受けて債券相場は調整局面入りした。

 8月2日の10年国債入札が低調な結果となったことで債券先物は150円66銭まで売られたが、この150円66銭が債券先物中心限月の直近安値となり、それ以降は先物に関しては151円台中心のレンジ相場が続くことになる。ただし、超長期債はじりじりと売り込まれ、20年債利回りは8月末にかけて0.3%台に上昇していた。この超長期債を主体とした下落局面で都銀、農林系金融機関、生保などは淡々と押し目買いを入れていたようである。

 国債の投資家別売買高(一覧)での合計の国債売買高でみてみると2016年5月分の国債売買高は162兆1940億円となり、統計のある2004年4月以降最低となっていた。6月は201兆7760億円と回復し、7月は183兆9885億円と6月からは減少した。そして8月は189兆9590億円と7月に比べて小幅増加した。

 ただし、個別でみると都銀の国債売買高は8月は1兆7326億円にとどまりデータがある過去最低と2004年4月からでは過去最低となった。ピークは日銀が国債の買い入れ対象の国債を残存1年以上3年以下に延長した2012年4月の78兆4276億円となっていたが、そこからいったん10兆円割れまで落ち込んだが、日銀が量的・質的緩和の拡大を決定した2014年10月に40兆円台を回復。しかし、そこから再び売買高が落ち込み、特に今年に入り日銀のマイナス金利政策の影響もあって、1兆円台にまで落ち込んだ。21日に日銀が金融政策の枠組みを修正し、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入したひとつの要因として、国債市場のメインプレーヤーであったはずの都銀の国債売買高の落ち込みも影響していたのではないかと思われる。

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by nihonkokusai | 2016-09-24 10:44 | 債券市場 | Comments(0)

債券先物の建玉が映し出す国債の流動性低下

 大阪取引所に上場している長期国債先物(以下、債券先物)は3月限、6月限、9月限、12月限があり、9月の限月の取引最終日は9月12日となった。なぜこのような限月といったシステムにしたのかといえば、金融先物の元祖と言うべき江戸時代の大坂堂島での米の先物がそのようなシステムとなっていたからである。それはさておき債券先物は中心限月に売買が集中しており、取引最終日までに中心限月が今回で言えば9月限から12月限に移行する。

 実際の中心限月移行の認定はナイトセッション含めた約定日の期先出来高が期近の出来高を逆転したその翌営業日であるが、それもさておいて現場では売買高が逆転した瞬間に中心限月が移行したと認定される。過去再逆転したケースは私の記憶の上ではたぶんなかったはずである。

 今回実質的に中心限月が9月限から12月限に移行したのは9月9日であった。この日新しく中心限月となった12月限の建玉に異変が起きていた。中心限月が交代したばかりは当然ながら建玉はそれほど多くない。それでも限月間スプレッド取引を利用した、いわゆるロールオーバーによって9月限の建玉が12月限に移行されるため、ある程度の建玉が存在する。ところが9月9日の債券先物の建玉がわずか5兆円台しかなかったのである。

 過去の手元のデータで実質的な中心限月のあった日の建玉を確認してみた(手元の数字は速報ベースなので確報ペースと多少誤差がある)。すると2012年末のいわゆるアベノミクスの登場から2013年4月の異次元緩和も登場時あたりは8兆円規模あり、その後それが10兆円近くまで増加していた。ところが、今年3月あたりからその建玉が減少し始め、今回の5兆円台にまで低下してしまったのである。

 これは当然ながら債券先物を取引している参加者が減ったことを意味しよう。特に今年3月から顕著になったということは今年1月に決定し2月から施行された日銀のマイナス金利による影響が大きかったとみて間違いはないのではなかろうか。これは日銀のマイナス金利政策の導入により、国債市場の流動性が落ち込んでいたことを示す。

 21日に公表される日銀の総括的な検証では、この債券市場の流動性の低下も意識されたものになると予想される。そのための手段として国債のイールドカーブのスティープニングが意識された可能性がある。しかし、足元金利についてはマイナス金利を深掘りすることも予想されており、これにより中期債の利回りが低下している。する債券先物は残存7年の国債に連動する。このため多少イールドカーブがスティープ化しようとも中期ゾーンに引っ張られる格好で7年ゾーンは上昇しづらくなる。

 もし国債市場の流動性を向上させたいのであれば、10年債利回りは当然ながら、7年ゾーンあたりまでの利回りをプラスに引き上げる必要もあるのではなかろうか。そうでなければ国債の流動性に大きな役割を果たしている債券先物市場の流動性が今後さらに低下してしまう懸念もあるのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2016-09-16 09:38 | 債券市場 | Comments(0)

ひと足先にドイツの長期金利がマイナスからプラスに

 先週8日のECB理事会では金融政策の現状維持を決定した。ドラギ総裁は会合後の会見で、資産買入れ策の期限延長について議論しなかったと説明した。市場では来年3月までの資産買入の時期を延長するのではとの期待が一部にあった。ドラギ総裁は資産買入れの円滑な実施を確実にするための選択肢を検討するよう指示したとも発言しており、これの意味するところは、ECBの国債買入についても限界が見えており、何かしら買入対象の変更等を行わなければ期間延長も難しくなっているのではとの見方もできる。

 そこにボストン連銀のローゼングレン総裁が利上げを長く待ち過ぎれば米経済が過熱する恐れがあるとの指摘したことで、9月のFOMCでの利上げ観測が再燃した。また、ブレイナード理事が12日に講演することが8日にFRBから発表された。利上げ慎重派とみられるブレイナード理事が利上げを示唆することで利上げに向けた地均しをしてくるのではないかとの観測も強まった。

 これらを受けて9日の欧米の国債は大きく下落した。米10年債利回りは1.67%と前日の1.60%から上昇し、英国の10年債利回りも0.86%と前日の0.76%から上昇した。そしてドイツの10年債利回りはプラス0.01%とプラスに浮上した。6月23日の英国でのEU離脱を問う国民投票の結果が出る以前の水準を回復した格好となった。

 今回の欧米の長期金利上昇の背景には、ECBの追加緩和に対する限界説やFRBの早期利上げ観測の再燃なども大きな要因であった。それだけではなく日本の国債利回りの上昇も影響していたと思われる。日本の超長期債を中心とした利回り上昇の背景には、日銀の総括的な検証への思惑もあったとみられる。

 このように日米欧の中央銀行のスタンスがあらためて国債市場で材料視されるようになり、異常に低下し過ぎていた日欧米の長期金利が水準訂正を行っているように思われる。

 ECBについてはすでにこれ以上のマイナス金利の深掘りはしないことをすでに表明しており、追加緩和手段として市場が期待していたのが、資産買入の時期を延長するという手段であった。しかしそれは日銀の国債買入以上に困難さを増していたとみられ、何かしら買入対象の変更等を行わなければならないことを示す結果となった。日銀もECBも認めたくはないであろうが、これ以上の金融緩和策に限界があることを示すものとなった。

 そこに正常化を進めたFRBがやや遅れていた利上げをこのタイミングで行うのではないかとの観測が強まった。というよりも6月、7月にできなかった利上げは9月も無理、去年もそうではなかったかといった市場の見方に対して、あらためてFRBが9月の利上げに向けた地均しをしてきたとの認識が強まった。今年は特に11月の大統領選挙を控えている以上、利上げをする意向であれば12月よりも9月の方が可能性は本来高いはずである。昨年9月のFRBの利上げ見送りは中国経済の減速をきっかけにした世界的な株価の急落などを踏まえ慎重になっていた可能性はあるが、いまのところ新興国の株式市場はそれほどの動揺も見せてはいない。

 日銀が21日の金融政策決定会合後に公表されるであろう総括的な検証については、金融緩和の時間軸をどのようにして延長させるのかが大きなテーマになると考えられる。そのためには市場との対話が必要となり、金融機関の収益面も意識したものとなることが予想される。結果としてそれはイールドカーブのスティープ化を促すことになるのと見方となっているものと思われる。

 9日にロイターは「日銀、中短期金利重視の緩和強化検討へ 具体策も議論」と報じている。日銀は金融機関の収益減や生保・年金の運用難など副作用の要因になっているイールドカーブのフラット化の修正策を検討するとしており、これを受けて9日の夕方から12日にかけて日本国債のイールドカーブは大きくスティープニング圧力を強めた格好となっている。ただし、日本の10年債利回りはまだプラスには転じていない。

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by nihonkokusai | 2016-09-13 09:52 | 債券市場 | Comments(0)

7月以降、日本国債が売られた背景

 10年国債の利回りのチャートをみると今年に入ってから、利回りの低下傾向を強めていた。これは原油価格の下落とその背景となっていた中国などの新興国の景気減速への懸念が背景にあった。ところが7月初めあたりがボトムとなり、利回りは上昇トレンド入りしている(価格は下落)。

 7月初めまでの日本国債の買いの背景にはいくつか理由があった。そのひとつに6月23日の英国の国民投票で予想外のEU離脱が決まったことによるリスク回避の動きがあった。ドイツや英国の10年債利回りが過去最低を更新し、日本国債もリスク回避の風を受けて買い進まれ、利回りが低下していった。

 7月6日には20年国債の利回りがマイナス0.005%をつけてついにマイナスとなった。20年までの国債利回りがマイナスとなったことで、ここで超長期債を売却した投資家もいたようで、ここからの利回り低下は考えられないとの見方も強まっていたようである。

 20年債の利回りは結果としてここでボトムアウトした。10年債利回りもやや遅れて7月8日にマイナス0.300%をつけたところでボトムアウトしている。いったん戻り売りが入るが、10年債利回りはその後再びマイナス0.3%に接近することになる。ここで材料視されたのが、いわゆるヘリコプターマネーであった。しかし、7月29日の日銀の金融政策決定会合では、当然ながらヘリマネの導入など決定するはずもなく、追加緩和はETFの買入増額などに止まった。

 ヘリコプターマネーについては9月5日の黒田総裁の講演のなかでも、「例えば国債の引き受けや財政ファイナンスのように、「法律的にできない」あるいは「やるべきではない」という意味での限界は存在します。」と明確に否定している。ヘリマネを期待するのは勝手であるが、日銀主導でそれが決められることは絶対にありえない。

 ヘリマネ期待の後退も加わって、日本国債は再び調整局面を迎える。特に超長期への売り圧力が強まった。20年債利回りは9月に入り0.4%台まで回復した。この背景にあったのも日銀の金融政策に対する市場の見方の変化となっていたようである。

 それが顕在化したのが、9月2日の櫻井審議委員のロイターとの単独インタビューと9月5日の黒田日銀総裁の共同通信主催のきさらぎ会の講演となっていた。日銀は国債のイールドカーブのスティープ化を意識するようになっていたのである。

 10年債利回りは9月5日と6日にマイナス0.010%まで上昇しゼロ%に接近した。9月7日に大手投資家からとみられる買いが超長期債に入ったとの観測もあって、いったん超長期債への売り圧力も後退しつつある。

 しかし、20、21日の日銀の金融政策決定会合とFOMCの開催を控えて、これで利回り上昇が終わったとも考えづらい。FOMCでは利上げの可能性は依然高いとみている。日銀の総括的な検証では追加緩和への期待感を強めさせることよりも、市場との対話を図ることを優先してくると考えており、その意味でイールドカーブのスティープ化を意識したような対策が打ち出される可能性が高いと思われる。10年債利回りがプラスに転じることも十分ありうる。

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by nihonkokusai | 2016-09-09 09:35 | 債券市場 | Comments(0)

日銀サーベイが示した日本の国債市場の機能不全とそのための対応策

 日銀は9月1日に「債券市場サーベイ」を公表した。これは国債売買オペ対象先のうち、調査協力を得られた先(39社)へのアンケート調査である。回答期間は2016年8月8日~8月17日となっている。

 債券市場の機能度という質問に対しては、DIとしての数字となっているが、前回調査(5月)に比べて「高い」との回答が5からゼロとなっている。「さほど高くない」が56から54、「低い」が38から46に。なぜか機能度の「高い」と答えていた向きが前回まであったものの、ここにきてついにゼロになった。

 次にビッド・アスク・スプレッドについて回答があった。ビッドとアスクというのは、取引する際の買い値(ビッド)と売り値(アスク)のことである。たとえば20年債を買いたいときに業者に売値を尋ねたら0.350%という提示があり、それでは売りたいのだけれど買値はと尋ねたら0.360%という提示かせなされたとすればスプレッドは0.01%となる。通常、カレントと呼ばれるもののビッド・アスク・スプレッドは最低取引単位の0.005%(5糸とも言う)となっていておかしくはないが、流動性が低下するとこのスプレッドが拡大する。

 ビッド・アスク・スプレッドについての回答は「タイトである(狭い)」との答えが前回の15ポイントから10ポイントに低下、「さほどタイトでは」ないが56から51に、「ワイドである」が28から38となっており、スプレッドが拡がり流動性がますます低下している様子がうかがえる。

 市場参加者の注文量に関して、板の厚み等を念頭においての回答は、「多い」が前回も今回もゼロ、「さほど多くない」が前回の56から44に、「少ない」が44から56に増加している。板ということで、これは日本相互証券などのブローカーの画面上の板、もしくは大阪取引所の長期国債先物の板の様子が想定されていると思われる。

 取引頻度の変化については「増加した」との割合がやや増加したものの(3から5)、「さほど増加していない」も増えている(54から77)。取引ロット(1回あたりの取引金額)の変化に関しても、「増加した」が5から0に、「さほど増加していない」が59から74となっている。

 国債の取引量の減少傾向に関しては、たとえば8月19日の日銀が公表した「国債市場の流動性指標」のなかでの、「現物国債のディーラー間取引高」や「ディーラーの対顧客取引高」のグラフが低下傾向を示していることからも明らかである。

 もちろんこの背景には、日銀の異次元緩和による大胆な国債の買い入れとマイナス金利政策が大きく影響していることも間違いない。いわゆる流動玉というか浮動玉の減少は、いずれ日銀の国債買入において、金融機関保有の国債の引きはがしに限界がくるであろうことも意味している。

 この結果がはたして9月20、21日の金融政策決定会合で示される「総括的な検証」にどのように生かせられるのか。国債の流動性が低下していることは明白であり、何らかの対応策が講じられる可能性がある。そのひとつの可能性として国債のイールドカーブのスティープ化がある。短い金利を低いままとし(もしくは更に深掘りし)、長期そして超長期の国債の利回りを上昇させることである。長いところの国債買入ペースを落とすことで日銀の国債買入の限界時期を少しでも先送りすることは可能となる。さらに10年債利回りあたりがマイナスからプラスに転じることになれば、そこにあらためて投資家需要も見えてくることになり、国債市場の流動性が回復する期待も出てこよう。

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by nihonkokusai | 2016-09-04 09:47 | 債券市場 | Comments(0)

債券市場は情報が命

 8月27日に17,18年ぶりとなる屋形船での牛熊友の会を開催させていただいた。いわゆるオフ会である。金融市場関係者を中心に80名を超える方達に集まっていただいた。1998年の屋形船にも参加いただいたベテラン勢に加え、比較的若い人達も加わり、年代もそこそこ幅広い層の会となった。

 屋形船ということで途中、レインボーブリッジやスカイツリー近くで停船し、夜景を楽しめるのだが、この夜景を見る間も惜しんで話し込んでいる市場参加者が多数いた。もちろん飲み会の席であり久しぶりに再会し近況報告等している方もいたとみられるが、参加していた方々によると債券市場についての熱い議論があちらこちらで行われていたそうである。

 債券市場に限らず金融市場での戦いはまさに情報戦となる。ただし、情報を単に掴むだけでなく、その背景にあるものを含めて認識しないと、なかなか相場を読み切れないところがある。以前であれば、その中心にあったのが投資家の情報となっていた。今回の屋形船にもセルサイドだけでなくバイサイドの方も多数参加されていた。ただし、いまは債券市場の主要投資家が偏っている。現在の債券市場を動かしているのは日銀と海外投資家が中心となっている。

 特に日銀については9月の金融政策決定会合で総括的な検証が発表され、それを受けての追加緩和手段の変化なども市場参加者の大きな関心となっている。その日銀の動向なども車座になって議論されていたものと思われる。

 ちょうどジャクソンホールでカンザスシティ連銀主催のシンポジウムが開催されていたタイミングでもあり、FRBの利上げの行方などについても議論が交わされていたものと思われる。

 債券市場はこのように社内ではなく社外の人との交流というか、情報の共有が非常に大切なものとなる。これは金融機関等同士だけでなく、たとえば日銀と本来の意味での市場との対話などにも必要なものとなるのではなかろうか。市場は人と人によって形成されている以上は、その人との繋がりは重要である。

 今回の屋形船がそういった一助となってくれればと思っている。そこにベテラン勢と若手との世代間の交流も加わってくれるとなおうれしい。若い世代は金利がある世界をあまり体験していないはずであり、金利があった時の債券市場の話をベテランから聞くだけでも参考にしてもらえるのではないかと思う。

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by nihonkokusai | 2016-09-03 09:32 | 債券市場 | Comments(0)

7月の国債売買はさほど盛り上がらず

 8月22日に日本証券業協会は7月の公社債投資家別売買高を発表した。公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

7月の公社債投資家別差し引き売買高 注意、マイナスが買い越し、単位・億円
()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 -975(-865、748、-482)
地方銀行 -5351(-2377、-2446、161)
信託銀行 1237(-559、2950、464)
農林系金融機関 -2048(-1598、76、155)
第二地銀協加盟行 -1678(-800、-520、-20)
信用金庫 -3089(-2382、381、520)
その他金融機関 1842(-388、984、1335)
生保・損保 -3402(-2875、439、382)
投資信託 682(541、218、510)
官公庁共済組合 -175(-47、-3、3)
事業法人 -264(12、-22、2)
その他法人 -73(-37、289、130)
外国人 -16693(1860、-4453、-13200)
個人 432(2、33、6)
その他 11357(10690、3833、731)
債券ディーラー -304(53、487、-763)

 都銀はそれほど金額は大きくはないが買い越しに転じた。6月に大きく売り越していた地銀は買い越しとなっていた。長期ゾーンを買い戻した格好に。海外投資家は中期ゾーンを主体に引き続き大幅買い越しとなった。買い越しは25か月連続となっている。

 国債の投資家別売買高(一覧)での合計の国債売買高でみてみると2016年5月分の国債売買高は162兆1940億円となり、統計のある2004年4月以降最低となっていた。しかし、6月は201兆7760億円とかなり回復していた。6月は英国のEU離脱によりリスク回避の動きを強め、日本国債も買い進まれていたことで売買高が膨れた面もあった可能性もある。そして7月の数字をみると183兆9885億円と6月から減少していた。

 7月に入り米10年債利回りは一時1.3%台をつけ過去最低を更新し、30年国債の利回りも過去最低を更新した。ドイツの10年債利回りもマイナス0.2%台をつけ、スイスの50年債利回りが初のマイナスとなった。この世界的な金利低下の動きもあり、日本の債券市場も連日のように国債は過去最低利回りを更新した。バーナンキ前FRB議長が日銀総裁や安倍首相と会談したことでいわゆるヘリコプターマネー政策への期待も出ていた。日銀の追加緩和期待なども出たことで債券先物は過去最高値を更新するなど買い進まれた。

 しかし、7月29日の日銀金融政策決定会合では「金融政策の強化」としてETFの買入を現行の3.3兆円から6兆円とすることなどを決定。一部期待のあったマイナス金利の深掘りや国債買入の増加などは見送られた。これをきっかけに債券相場は調整局面入りすることとなった。

 7月は債券先物が高値を更新するなどしていたが、全体の現物出来高はそれほど多くはない。相場が調整局面を迎えた8月に特に海外投資家がどのような動きを示し、売買高にどのような影響があったのか。債券の流動性が低下しつつあるのかどうかは、8月の数字を確認する必要もありそうである。

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by nihonkokusai | 2016-08-24 10:14 | 債券市場 | Comments(0)

債券相場の地合の変化

 7月29日の日銀金融政策決定会合を境に債券相場の地合が変わった。すでに超長期債については7月6日に20年債利回りがマイナスとなったところでボトムアウトしており、10年債も7月8日にマイナス0.3%台に乗せたところでボトムアウトしていた。ところが中期ゾーンはその後も低下基調となり、結局7月27日に2年債利回りと5年債利回りがそれぞれマイナス0.370%、5年債がマイナス0.380%をつけてボトムアウトした。

 債券先物も前後場では7月27日の154円ちょうどが高値となった。その日のナイトセッションで154円01銭を付けており、これが過去最高値となった。債券先物はここでピークアウトした。

 7月29日に債券先物は決定会合結果を受けて152円44銭まで急落し、1円20銭安の152円60銭で引けたのである。さらに8月2日の10年国債入札が低調な結果となったことを受けて、債券先物は150円66銭まで下落した。

 これら一連の動きをみると誰が仕掛けていたのかはおおよその見当が付きそうである。日本のいわゆる投資家は20年債の利回りがマイナスとなったことでいったん見切りをつけていたとみられ、そこから超長期債が下落しても積極的な買いは見当たらなかった。

 しかし、日銀の追加緩和への過剰な期待が中期ゾーンと債券先物を押し上げ、それぞれ過去最低利回りと過去最高値を更新することになる。これはつまりこのゾーンを買える投資家、海外投資家による仕掛け的な動きであろう。それともうひとつマイナス金利でも購入できる業者も絡んでいた可能性はある。

 ところが7月29日の日銀の追加緩和は量の拡大やマイナス金利の深掘りはなかった。ましてやヘリコプターマネーは気配すら見せなかった。その上、いままでの緩和策を総括することまで加えたことで海外投資家は日銀の金融政策の先行きが読めなくなったとみられる。いったんポジションを外す動きに出たとみられ、それが中長期債主体の急落に繋がる。価格変動リスクの高まりにより、10年国債入札も絡んで業者も先物や10年債そのものでヘッジを掛けざるを得なくなったのではなかろうか。

 日銀は9月に金融政策のフレームワークを変更するのではとの思惑も出ている。黒田総裁は強気の姿勢は崩しておらず、マイナス金利政策の解除やテーパリングをすぐに行ってくることは考えづらい。しかし、金融政策決定会合の追加緩和時の声明文のタイトルを「金融緩和の強化について」と白川時代のものに戻したことはなぜなのか。日銀はリフレ策から昔のスタイルに戻ろうとしている、そんな思惑も今回の債券相場の下落の背景にあったのかもしれない。

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by nihonkokusai | 2016-08-08 09:37 | 債券市場 | Comments(0)

これまでの日本国債急落の場面

 今回の日本国債の急落が世界の市場を揺るがすなど、久しぶりに日本国債への注目度が高まっている。ここで過去に日本国債が急落したケースをいくつか振り返ってみたい。

ロクイチ国債の暴落

 国債の流動化があまり進んでいなかったころに、国債は一度大きな暴落を経験している。それが、ロクイチ国債と呼ばれた国債の暴落である。1978年は当時とすれば低金利局面であり、4月にそれまで発行された10年国債の最低利率である利率6.1%(通称、ロクイチ国債)の国債が発行された。

 1979年4月以降、本格的な金利上昇局面となり、国債価格は大きく下落。景気拡大や原油価格の上昇により、6月にロクイチ国債の利回りは9%を超えてきた。この国債の下落を受けて、12月には金融機関の保有国債の評価法が、従来の低価法から原価法または低価法の選択性となった。

 1980年に入り、日銀は2月、3月と立て続けに公定歩合を引き上げ、長期金利も大きく上昇し、ロクイチ国債は暴落した。4月にロクイチ国債の利回りが12%台にまで上昇し、金融機関がパニック状況に陥ったのである。その後、米国金利の急激な低下などにより債券市況は急回復したが、ロクイチ国債の暴落は大蔵省(現、財務省)の国債管理政策にも大きな影響を与えたとされる。

プラザ合意に伴う債券先物の急落

 1985年10月に日本初の金融先物である債券先物取引が東証に上場された。この上場直後に債券相場は急落した。その要因は1985年9月22日にニューヨークのプラザホテルで秘密裏に開かれた会議にあった。ドルを引き下げる方向で合意した。プラザ合意である。プラザ合意が発表される前のドル円相場は1ドル242円であった。そして、合意発表後に開いた23日のニュージーランド市場では1ドル234円程度まで円高ドル安が進行したものの、大蔵省と日銀が必死の努力でドルを売り、口先介入などを行っても、そこからなかなか進まなかった。そこで日銀は、10月25日に短期金融市場を操作して第二の公定歩合といわれた短期金利の高め誘導を実施した。短期金利を高くすることで、ドル売り・円買いの動きを誘ったのである。日銀のオペで2か月物の手形レートは0.5625%上昇して7.125%となり、コールレートも上昇した。

 債券先物にとってこれは最悪のタイミングであった。短期金利を無理やり上げたことで、長期金利にも上昇圧力が加わり、債券が売られる展開となったのである。債券先物市場に大量の売り注文が殺到した。そうでなくても債券はスタートしたばかりであり、ご祝儀による大量の買いポジションを抱える証券会社が多かった。売りが売りを呼ぶ展開となり2日間値がつかないという大混乱となったのである。

 1985年10月24日の債券先物は101円63銭で引けていた。25日、26日は値が付かず、ストップ安で張り付いたままとなった。28日にようやく96円63銭で寄り付いたものの、その後も下げて、11月14日に安値89円82銭を付けて、ようやく底入れしたのである。実に12円近い下落であった。

債券バブル崩壊とタテホショック

 5月14日、89回債は10年債でありながら、当時の代表的な短期金利であった公定歩合の2.5%に接近する。日本相互証券の端末には、89回債の売りが、2.555%に約3000億円、2.550%には約2000億円もまとまって並んでいた。ところが、それが一気に買い上げられたのである。これを全部買ったのが「公定歩合が高すぎる」というコメントをした大手証券会社のチーフディーラーともいわれている。

 結局、ここで債券バブルは終焉する。この2.550%が当時の10年債の最低利回りとして記録されることになった。ちなみに債券先物は前日13日につけた119円24銭が当時の高値となる。

 債券バブルの崩壊で金融機関のみならず、事業法人でも大きな損失が発生した。1987年9月2日、タテホ化学工業が債券先物で286億円もの損失を出したことが明らかになった。このニュースで債券相場は暴落(長期金利は急上昇)した。

 いわゆるタテホショックである。9月3日から5日までの3日間で、89回債は1%あまりも上昇した。債券先物市場では、9月2日の終値が104円10銭だった87年12月限が、5日終値が100円30銭になった。

資金運用部ショック

 1998年4月1日に日本銀行法の全文改正を内容とする日本銀行法(新日銀法)が施行された。すでに1月から金融政策決定会合が開始されていた。日銀の金融政策の決め方がこれにより大きく変わったのである。日銀は世界的な金融システム不安の台頭を受けて、1998年9月の金融政策決定会合において3年ぶりとなる金融緩和を決定した。これを受けて長期金利は低下し、初めて1%を割り込んだ。

 1998年7月の小渕政権成立後、次々に経済政策が打ち出され、1998年11月16日に発表された緊急経済対策の財源として12兆円を上回る国債が第三次補正予算にて手当てされた。翌日に米国格付け会社ムーディーズが、初めて「日本国債の格下げ」を発表した。公的部門の債務膨張も格下げの大きな理由とされていた。

 そして1998年の年末に翌年度の国債発行計画が発表された際、旧大蔵省資金運用部の国債引受額が減少し、国債の市中消化額が急増することが明らかにされた。大蔵省資金運用部による国債買い切りオペの中止も発表された。債券市場にとり9月に大きく買われた反動もあるなか、需給悪化につながる複数の悪材料が重なったことで、債券相場は急落した(長期金利は急騰)。

 12月22日に債券先物は1988年8月以来、10年ぶりにストップ安をつけた。1999年度の運用部の国債引き受けシェアーもやはり大きく低下し、それでなくても過去最大規模の国債発行額だけに市中消化は60兆円を超えるものとなった。しかも投資家も0.9%で発行された国債などほとんど食指をみせず、ある程度の利回りが必要との見方も働いたのであろうか。追随的に正式に来年1月からの資金運用部の債券買い切りオペが中止されることが発表され、加えて日銀では50兆円にも及ぶ国債保有は異常との見方を総裁が示したことで、微かな期待の「輪番オペ増額」も否定されるにいたり、先物はついにストップ安をつけた。高値からすでに10円近く下落していた。9月に0.7%を割り込んでいた長期金利は12月30日には2%台に乗せてきた。 これはのちに「運用部ショック」と呼ばれたのである。

VARショック

 2003年5月のりそな銀行に対する資本注入によって、大手銀行は潰さないといった意識が強まり、その結果、株式市場では銀行株などが買われ、海外投資家の買いなどにより、日経平均株価は2003年4月の7607.88円がバブル崩壊後の安値となり底打ちした。米国や中国などの経済成長などを背景に、日本の景気も徐々に回復し始め、その後上昇基調を強めた。

 6月までは債券相場は1日あたりの値幅も限られながらも、じりじりと高値を更新し続け11日に30年債が0.960%、20年債0.745%、そして10年債0.430%とそれぞれ過去最低利回りを記録した。

 この相場上昇過程において、目立ったのが都市銀行の一角や地銀を含めた銀行主体の債券買いであった。銀行などがポジションのリスク管理に使っているバリュー・アット・リスク(VAR)の仕組み上、変動値幅が少ないことでそのリスク許容度がかなり広がりをみせていた。日銀の量的緩和政策に加え、株価の低迷にともなって債券での収益拡大の狙いもあり、必要以上にポジションを積み上げ、異常なほどの超低金利を演出した。

 しかし、これもいわゆる債券バブルに近いものとなり、6月17日日経平均株価が9000円台を回復し、この日実施された20年国債の利率が1%割れのクーポンとなり、大手投資家などが超長期国債の購入を手控えたことをきっかけにして、債券相場が急落したのである。 17日から19日の3日間で先物は、144円76銭から141円80銭に急落した。10年債利回りも0.730%、20年利回りも1.075%にまで利回りが上昇したのである。この暴落はVARショックと呼ばれた。

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by nihonkokusai | 2016-08-05 09:44 | 債券市場 | Comments(0)

国債の流動性がさらに低下

 債券市場関係者が現在最も危惧しているのが債券市場の流動性の低下であろう。20年国債も一時マイナス金利となるなどしており、国債市場における国内投資家の出番はほとんどなくなっている。

 現在の日本の債券市場のメインプレーヤーは海外投資家である。日本の投資家が外債を購入する際に、高いプレミアムを払って円をドルに交換し、その相手方となっている外銀など海外投資家がそのプレミアムの範囲内でマイナス金利でも円債を購入している。

 そしてその外銀などの海外投資家と、日銀トレードと称される売買を行っている業者と日銀が国債の主な取引先となっている。日中の売買も主に業者と海外投資家を中心とした売買が主な物となっている。

 これに対して債券先物は反対売買を前提とした取引であれば、マイナス金利などを意識せずともトレードが可能となる。しかし、その債券先物の板にやや変調の兆しも出てきた。

 1985年にスタートした長期国債先物(債券先物)は日本初の金融先物取引であった。この年に銀行による国債のフルディーリングも開始されたことで、いわゆる債券ディーリングが活発化する。債券先物は海外の金融先物とやや趣が異なり、異常に中心限月に商いが集中する商品となった。その分、流動性が高くたとえばドル円や日経平均先物などと同様にほぼ取引時間中は値が付いて動いている。

 このため、たとえば板が1銭以上空いた状態が1秒以上続くといった場面はあまりこれまで見たことがなかった。しかし、ここにきてそのような場面が債券先物の中心限月の板に出るようになってきたのである。

 現物債は相対取引ということもあり、カレント物と呼ばれる直近に入札されたものでも常に出合いがあるわけではない。しかし、債券先物は取引時間中であれば常に価格が動いていたことで、相場の方向性などをみる羅針盤の役割ともなっていた。しかし、日銀による国債の大量買い入れとマイナス金利導入に伴う国債利回りのマイナス化は、この債券先物の流動性をも低下させつつある。

 債券の流動性の低下はその参加者の厚みがなくなったためであり、このままの状態が続くと市場がいずれ凍り付いてしまう懸念がある。そんなときに債券市場に大きな売り要因が出た際に価格が予想以上に動いてしまう懸念も強まる。

 このように市場の流動性は非常に重要なものである以上、それを枯渇させるような事態に追い込むべきではない。日銀はなるべく早いうちに国債の流動性を維持させるためにも、テーパリングに着手する必要があるのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2016-07-19 09:43 | 債券市場 | Comments(0)
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