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カテゴリ:債券市場( 653 )

日銀による初の国債の指し値オペの目的は何か

 日銀は17日に初の国債の指し値オペをオファーした。この目的は何かと問われれば、トランプ相場によるところの米長期金利の上昇を受けての日本の国債利回り上昇の抑制となる。

 日経QUICKニュース社の取材に答えた日銀の金融市場局の担当者は、指し値オペの実施を初めて通知したことについて「短中期の金利の急速な上昇を踏まえたもの」とした。

 黒田日銀総裁は17日午前の参院財政金融委員会で、米金利の上昇につれて日本の金利に上昇圧力がかかる中、長短金利を操作目標としたイールドカーブ・コントロール政策の下では、日本の金利上昇を容認することはないと語った(ロイター)。

 日銀が17日は20年国債の入札日であるにも関わらず、異例の国債買入、しかも初の国債の指し値オペをオファーした背景には16日の債券相場の動きがあった。

 10年債利回りは16日の引け後にプラス0.035%まで上昇し、2年債利回りはマイナス0.095%、5年債利回りはマイナス0.040%に上昇した。

 今回の指し値オペの指し値が、2年利付国債370回の買入利回りで-0.090%、5年利付国債129回の買入利回りは-0.040%とまさに16日に売り込まれた水準であったことからもそれが伺える。

 それでは何故、「長短金利」操作をうたった日銀が「中期」の金利の抑制に動いたのか。これは長期は0.035%まで上昇したとはいえ、概ねゼロ%という水準に近いことで動きづらい面があった可能性がある。それよりも16日の債券市場でまとまった売りが中期ゾーンに入り、中期ゾーンの利回り上昇に対して日銀が警戒した可能性がある。

 当然ながらこの中期ゾーンの売りの要因なり売り手を探るため、日銀は市場関係者にヒアリングを実施した事も考えられる(通常でも意見交換はあると見られるが特に念入りに)。

 その結果、指し値水準から見ても16日の段階で17日中には初の国債の指し値オペを実施することを決めていたのではないかと思われる。国会に出席する黒田総裁の耳にも事前に入れておいたはずである。

 これでいよいよ日銀のイールドカーブコントロールが試されることとなる。17日の初の国債指し値オペの応札はゼロとなった。実勢利回りが指し値よりも低下したためのことではあるが、これで2年債と5年債の利回りの下値の防衛ラインが意識される。

 ただし、今後米金利がさらに上昇する事態も考えられる上に、16日の中期債の売り手が国内ではなく海外投資家の可能性もある。日銀は無制限に買い入れるとしているが、海外の金利動向次第では、日本の長期金利形成が歪なものとなる可能性もある。為替介入でも自国通貨安を食い止めることに無理はある。このようなことをもし日銀が続けるとなれば、いずれ日銀は市場参加者と立ち向かうことにもなりかねない。

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by nihonkokusai | 2016-11-21 09:59 | 債券市場 | Comments(0)

トランプ効果で日本の長期金利がプラスに転じる

 16日に10年国債の利回り(長期金利)がプラス0.005%を付けた。日本の10年債利回りがプラスとなったのは、9月21日に日銀が「長短金利操作付き量的・質的金融緩和政策」を決定したことを受けて一時的に10年債利回りがプラス0.005%に跳ね上がって以来となる。

 9月21日に瞬間的にプラスに転じた10年債利回りはその後、日銀のイールドカーブコントロールの居所を探るような展開となった。長短金利操作に関して日銀は「10年物国債金利が概ね現状程度(ゼロ%程度)で推移するよう、長期国債の買入れを行う」としていたが、「概ね」ということで市場ではそれはある程度のレンジを想定しているとし、その下限を探りにいった。

 なぜ下限を探りに行ったのかといえば、日銀の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和政策」ではイールドカーブコントロールとともに、消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%の「物価安定の目標」を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続するという「オーバーシュート型コミットメント」が加わっていたためである。

 足元の消費者物価上昇率は前年比マイナスの状態が続いており、日銀の目標値を大きく下回っている。目標達成時期も先送りせざるを得ない状況で、いずれ日銀は追加緩和をせざるをえないのではとの見方も一部にあり、金利のバイアスとしては下方に働きやすかった。その結果、10年債利回りは下がったが、マイナス0.1%が下限として意識された。その後、ゼロ%からマイナス0.1%の間でのレンジ内相場が続いた。その地合を変化させたのが、トランプ氏の米大統領選の勝利をきっかけとした米国の長期金利の上昇であった。

 米国の10年債利回りは大統領選挙前は1.8%近辺にあったが、大統領選挙でのトランプ氏の勝利を受けて、あっさりと2%を超えて上昇した。14日には一時2.3%台をつけてきた。これは欧州の債券市場にも大きな影響を与え、ドイツや英国だけでなく、イタリアやスペインなどを含めて国債の利回りが大きく上昇した。ドイツやフランス、英国の長期金利上昇はトランプ氏の勝利をきっかけとした米長期金利に連動した面が大きいのに対し、南欧諸国の国債利回りはイタリアの12月の国民投票に対してトランプ勝利の影響が危惧された面も大きかった。

 米長期金利の上昇を受けて、外為市場ではドルも上昇した。ドル円は16日に109円台をつけた。円安によって東京株式市場は上昇し、日経平均は18000円に迫る勢いとなっている。

 債券市場は日銀の顔色をうかがいながらの動きが続いていたが、さすがにこの外部環境の変化を受け、ここにきてイールドカーブ全体が水準訂正を行ってきた。トランプ氏の登場で米国の物価が上昇し、日本にも波及するというようなシナリオに沿ったものというより、米金利上昇と円安株高に反応した面が大きいと言える。さらに日銀のシナリオからみて10年債利回りもゼロ%はまさに目標値であり、ここで日銀が金利上昇抑制の動きに出ることも考えづらい。問題はここからである。

 トランプ効果による米長期金利の上昇とドルの上昇がどこまで行くのか。米長期金利の目処としては2013年末につけた3%あたりとなる。ドル円は目先110円が意識されよう。米長期金利上昇の背景には12月のFOMCでの利上げ観測の再燃もある。しかし、前回の昨年12月から1年も費やしてやっと追加利上げができたとしても、さらなる追加緩和は容易ではない。このあたりトランプ大統領の就任後の政策を見極め、それが本当に物価上昇に結びつくのかを検証する必要がある。

 日本の長期金利は日銀の想定する下限ではなく、今度は上限を探る展開となることが予想される。そうなるとプラス0.1%あたりが想定されよう。そのあたりまでの金利上昇であれば許容範囲内となるのではなかろうか。ただし、生保などの投資家は、超長期債の利回りが1%あたりまでの上昇を望んでいると思われ、多少利回りが上昇したところで、積極的に買い進むという地合でもない。いまのところはまだ日本の長期金利は日銀の手のひらのうちにある。あくまで「いまのところは」であるが。

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by nihonkokusai | 2016-11-17 10:08 | 債券市場 | Comments(0)

金融政策によって長期金利をコントロールすることは可能か

 日銀はこれまで長期金利は操作できないとしていた。すでに更新されてしまっているが、日銀のサイト内に「日本銀行の金融調節を知るためのQ&A」というコーナーがあり、このなかで次のような説明がなされていた。

 「金利は期間が長いほど、将来のインフレなどの経済情勢に関する予想や将来の不確実性に左右されます。しかし、中央銀行は、人々の予想や将来の不確実性を思いのままに動かすことはできません。また、このような期間の長い金利の動きから、市場参加者が将来のインフレ情勢等に関しどのような予想を持っているかを読み取ることも、金融経済の状況を判断するうえで非常に重要です。つまり、中央銀行が誘導するのに適しているのは、ごく短期の金利なのです。期間が長い金利の形成は、なるべく市場メカニズムに委ねることが望ましいのです。」(以前にあった日銀のサイトから引用)

 日銀は「長短金利操作付き量的・質的緩和」の決定もあり、上記の部分を修正し、それを「教えて日銀」と言うコーナーで金融政策によって長期金利をコントロールすることは可能なのですか、という質問に答える格好で説明している。

 これに対する回答としてまず、「リーマン・ショック以降、まず米・英などの中央銀行が長期金利に働きかける政策を実施しました。短期の政策金利がゼロ%に達し、いわゆる「ゼロ制約」に直面する中で、更なる金融緩和効果を実現するために、長期国債等の買入れを通じて、長期金利を引き下げる政策を始めた」ことを説明している。さらに日銀も2013年4月に導入した「量的・質的金融緩和」では、イールドカーブ全体の金利低下を促す観点から、大規模な国債の買入れを開始したと説明した。

 「2016年1月に日本銀行が導入した「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の経験から、マイナス金利と大規模な国債買入れの組み合わせが、長短金利全体に影響を与えるうえで、有効であることがわかりました。」

 つまり結論として日銀は長期金利をコントロールすることができるとしている。大胆な金融緩和とマイナス金利により長期金利もマイナスに誘導し、「長短金利操作付き量的・質的緩和」によってイールドカーブのスティープ化も可能との認識である。

 過去にできないとしていたことが結果としてできてしまったことにより、説明を修正した。これはある意味、現在の日銀の政策はこうした前提を替えないと矛盾が生じてしまうためでもあろう。果たして金融政策で長期金利はコントロールできるのか。それはこれから試されてくるものと思われる。

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by nihonkokusai | 2016-11-14 09:43 | 債券市場 | Comments(0)

トランプ勝利が世界的な長期金利上昇の引き金に

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 米大統領選挙でのトランプ氏の勝利を受けて、どうやら市場の潮目が変化してきたようにも見える。それを顕著に示しているのが、長期金利の上昇である。

 米国やドイツ、英国の10年国債の利回り、いわゆる長期金利の推移をグラフでみてみると2014年あたりからの低下トレンドがすでに終了し、何かしらをきっかけとして反発局面に移行してもおかしくはなかった。

 そのきっかけが米大統領選挙の結果となることは予想されていた。ただしこれはクリントン候補の勝利により市場が安堵し、12月のFOMCでの利上げも予定通り実施されると予想され、それを背景に米長期金利は2%に向けてじりじりと上昇と、そんなシナリオを描いていた。

 ところが米大統領選挙の蓋を開けてみると、なんとびっくりのトランプ候補の圧勝となった。金融市場では当初、リスクオフの動きが吹き荒れたのだが、懸念は期待に変化してきた。トランプ氏は選挙前の過激な発言は控え、オバマ大統領と早速合うなど融和を図る姿勢に転じた。

 トランプ氏は米国の成長率を2倍に引き上げるとの姿勢も示し、経済成長に向けたテコ入れを図る姿勢も示した。インフラを中心とした財政出動となれば財政悪化も懸念される。すべての国の輸入品に関税をかけるとのトランプ氏の発言もあり、関税引き上げによる物価上昇も意識された。

 10日の米国株式市場では民主党政権下で強まった金融や製薬業界への規制が緩和されるとの思惑も出てきたことで、建機などとともに金融や薬品会社の株が買われ、ダウ平均は過去最高値を更新した。これに対してトランプ氏が距離を置きそうなIT絡みの銘柄は売られたことでナスダックは下落するなど二極化も進行した。

 物価上昇観測、財政赤字拡大の懸念とともに、規制緩和による成長率の引き上げなどが今回の米長期金利の上昇の背景にあるようだが、FRBの動向に向けた思惑も影響を与えている。

 トランプ氏が勝つと市場は混乱し、12月のFOMCでの利上げは先送りされるとの見方が強かった。確かに市場は混乱したが、リスクオフからすぐにリスクオンに転じ、むしろ今後の米国の景気への期待感を強め、物価上予想も強まった。つまりFRBにとっては利上げに動きやすい環境となりつつある。いったん引き下げられた12月のFOMCでの利上げ予想は再び上昇してきており、市場の予想通りにFRBが利上げを決定するとの可能性が出てきた。これも今回の米長期金利上昇の背景にある。10日に米長期金利は2.15%に上昇した。

 この米長期金利の上昇に影響され、ドイツや英国を中心に欧州の国債利回りも大きく上昇した。あきらかに地合は変化しつつある。つまりきっかけ次第で上がることが予想された欧米の長期金利がここにきて底打ち感を強めて、上昇トレンド入りしてきた可能性がある。

 すでに日米欧の大胆な金融緩和政策には限界が見えていた。そもそもさらに金融を緩和しなければいけない状況でもない。それでも市場の期待を引き込もうと日銀など緩和への前傾姿勢を維持させているように見せてはいるが、すでに緩和の時代ではなくなっている。金利がつかない、もしくはマイナスという異常な状態から脱する時がきている。

 日本の長期金利もわずかではあるが上昇しつつある。長期金利をコントロールしようとしている日銀ではあるが、長期金利は日銀の政策だけで動くものでもない。海外の金利動向なども当然影響を受けるし、環境そのものが変化してきた可能性がある。今後の日本の長期金利の動向と、それに対し日銀がどう動いてくるのかも非常に興味深いところである。

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by nihonkokusai | 2016-11-12 11:03 | 債券市場 | Comments(0)

10月の債券先物の値動きが記録的な小ささに

 債券先物の日足チャートを見てみると9月末あたりから非常に小さいものとなっている。ここ4か月の月別の債券先物の日中(ナイトセッション除く)の値幅と出来高の平均値を手元のデータから算出してみたところ、下記のようになった。

7月の平均値幅は33銭、平均出来高は21283億円
8月の平均値幅は33銭、平均出来高は20238億円
9月の平均値幅は27銭、平均出来高は23435億円
10月の平均値幅は11銭、平均出来高は16170億円

 時間の関係で債券先物の過去すべての平均値を確認できなかったが、今年10月の平均値幅の11銭は記録的な小ささになるのではないかと思われる。この数字が示しているのは、日本の国債市場の流動性の低下と言える。

 日本の債券市場の流動性を見るには、もちろん派生商品であるところの債券先物よりも現物債のデータを見る必要がある。しかし、債券先物は債券市場のベンチマークの役割を果たしていることも確かであり、先物の値動きの縮小は債券市場全体の流動性が低下していることを示すものとなる。

 この流動性低下の原因となっているのは言うまでもなく、日銀の金融政策である。10月の流動性が大きく低下したのは、9月21日に決定された「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」によるところが大きい。つまりイールドカーブ・コントロールである。これによって10年債利回りがマイナス0.1%からゼロ近辺と動きが小さくなり、債券先物も日々の値動きが小さくなってしまった。出来高も減少していることで市場参加者そのものが減少していることも確かである。

 ただし、中央銀行が本当にイールドカーブをコントロールできるのか。債券の動きが小さくなったのは、大量に国債を買い入れている日銀の政策に因るところが大きいが、物価が低迷していることも要因となり、さらに債券市場を大きく動かすような材料に乏しかったこともある。このような状況が果たしていつまで続くのか。世界第2位の規模となっている日本の債券市場がこのままおとなしくなっていくことも考えづらい。

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by nihonkokusai | 2016-11-02 09:48 | 債券市場 | Comments(0)

ドイツや英国の国債がここにきて売られている理由

 ドイツの10年債利回りは低下を続け、9月28日にマイナス0.15%まで低下した。ここにいたるまでの過程ではいくつもの要因が絡んでいたが、最後のひと押しとなっていたのが、ドイツ銀行の問題となった。米司法省から140億ドルの和解金支払いを要求されているドイツ銀に対し、ドイツ政府は支援の可能性を否定したと報じられたことなどが嫌気されてリスク回避の動きからドイツの国債の利回りに低下圧力が掛かった。

 そもそもドイツの10年債利回りがマイナスとなったのは、ECBによるマイナス金利政策を含めた積極的な金融緩和策による影響が大きかったといえる。その後のドイツの10年債利回りはじりじりと上昇し、プラスに転じている(国債価格は下落している)。

 英国の10年債利回りは8月12日に0.54%に低下した。こちらは英国のEU離脱によるリスク回避の動きとともに、8月4日にイングランド銀行が利下げや量的緩和を含む包括緩和を決定したためである。しかし、その後の英10年債利回りも上昇し1%台を回復している。

 ドイツと英国の10年債利回りが、これでボトム(底値)をつけたかどうかはまだわからないものの、いずれもチャート上でみるとトレンドラインを上抜けてきたように思われる。欧州の国債には明らかな地合の変化も感じとれる。もちろんこの背景としては米10年債利回りが7月8日の1.35%近辺をボトムにじりじりと利回りが上昇してきたことも背景にあろうが、個別の要因も存在する。

 これにはそれぞれの利回りを押しつけていたいくつかの要因が後退してきたことも挙げられよう。ドイツ銀行に対しては米司法省への支払額が当初の140億ドルから、大幅に減額された54億ドルで和解する方向で合意に近付いているとの報道をきっかけにドイツ銀行に対する不安が後退しつつある。

 そして英国のEU離脱の影響についても、当初懸念されていたような金融市場を揺るがすようなショックは起きず、こちらも不安感が後退してきた。新たに首相となったメイ氏はEU離脱プロセスについて、単一市場に可能な限り最大限のアクセス維持を模索する意向を表明したとされる。これが実現可能なのかどうは不透明ながら、英国のEU離脱がそれほど懸念材料視されなくなった。

 それだけではない。ECBの金融政策に変化が生じている。8月にイングランド銀行が包括緩和を決定してもECBは動かなかった。正確には動けなかったとも言うべきか。すでにマイナス金利の深入りの可能性はなくなっており、国債の買い入れ期間の延長すらもできなくなりつつある状況が見えてきた。ユーロ圏の複数の中央銀行当局者から、量的緩和の期間終了前に段階的に買い入れを減らすというテーパリングの可能性すら指摘されていた。

 日銀の9月に決定した「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」政策についても、緩和の姿勢を維持しながらも大胆な金融緩和の調整を余儀なくされたと見る事ができる。イングランド銀行も8月に追加緩和をせざるを得なかったのかもしれないが、これでむしろさらなる緩和余地を自らなくしてしまった格好となっている。

 これらから言えることは日欧の中央銀行はこれ以上の大胆な金融緩和に踏み込む余地がほとんどなくなっているということである。日銀はまだまだやれると豪語しているが、これは現実的ではない。つまりこれから大きなショックがくるとなれば、それに対抗しうる手段が限られてしまっているともいえる。

 しかし、そのようなショックがこないとなれば、異常時の政策からの店じまいを考える必要が出てくる。ここにきてのドイツや英国の10年債利回りの動きは、そのような予兆も感じさせるものとなっている。

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by nihonkokusai | 2016-10-14 09:45 | 債券市場 | Comments(0)

メガバンクの国債売買高が大きく落ち込む

 9月20日に日本証券業協会は8月の公社債投資家別売買高を発表した。公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

8月の公社債投資家別差し引き売買高 注意、マイナスが買い越し、単位・億円
()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行-5354(-3637、730、-2074)
地方銀行 1057(-287、1964、265)
信託銀行-256(-1177、-2413、2094)
農林系金融機関-4167(-2416、42、-150)
第二地銀協加盟行-363(-60、-50、45)
信用金庫 3138(-89、121、3186)
その他金融機関-3683(-283、-46、-3214)
生保・損保-2761(-2808、123、647)
投資信託 21(381、-370、471)
官公庁共済組合-46(-99、44、0)
事業法人-76(38、10、2)
その他法人-754(-496、31、9)
外国人-16838(-1108、-5390、-9702)
個人 266(1、32、6)
その他 19172(9845、6303、7208)
債券ディーラー 471(91、191、158)

 都銀は7月に続いて買い越しとなった。特に超長期債を3637億円の買い越しとなり、業態別では超長期を最も買い越した格好となった。地銀は7月の買い越しから売り越しに転じた。海外投資家は中期ゾーンを主体に引き続き大幅買い越しとなった。海外投資家の買い越しは26か月連続となる。

 7月には欧米の長期金利が過去最低を記録し、日本の10年債利回りも7月8日にマイナス0.3%をつけた。20年債利回りも7月6日にマイナス0.005%をつけてマイナスとなったが、ここからこの超長期債主体に売り込まれた。20年までの国債利回りがマイナスとなったところで超長期債を売却した投資家もいたようで、ここからの利回り低下は考えられないとの見方も強まっていた。

 7月27日に154円台まで上昇していた債券先物は7月29日の日銀金融政策決定会合をきっかけに急落することになる。日銀は「金融政策の強化」としてETFの買入を現行の3.3兆円から6兆円とすることなどを決定したが、一部期待のあったマイナス金利の深掘りや国債買入の増加などは見送られた。ヘリコプターマネーへの期待などもあったことで、この決定会合結果を受けて債券相場は調整局面入りした。

 8月2日の10年国債入札が低調な結果となったことで債券先物は150円66銭まで売られたが、この150円66銭が債券先物中心限月の直近安値となり、それ以降は先物に関しては151円台中心のレンジ相場が続くことになる。ただし、超長期債はじりじりと売り込まれ、20年債利回りは8月末にかけて0.3%台に上昇していた。この超長期債を主体とした下落局面で都銀、農林系金融機関、生保などは淡々と押し目買いを入れていたようである。

 国債の投資家別売買高(一覧)での合計の国債売買高でみてみると2016年5月分の国債売買高は162兆1940億円となり、統計のある2004年4月以降最低となっていた。6月は201兆7760億円と回復し、7月は183兆9885億円と6月からは減少した。そして8月は189兆9590億円と7月に比べて小幅増加した。

 ただし、個別でみると都銀の国債売買高は8月は1兆7326億円にとどまりデータがある過去最低と2004年4月からでは過去最低となった。ピークは日銀が国債の買い入れ対象の国債を残存1年以上3年以下に延長した2012年4月の78兆4276億円となっていたが、そこからいったん10兆円割れまで落ち込んだが、日銀が量的・質的緩和の拡大を決定した2014年10月に40兆円台を回復。しかし、そこから再び売買高が落ち込み、特に今年に入り日銀のマイナス金利政策の影響もあって、1兆円台にまで落ち込んだ。21日に日銀が金融政策の枠組みを修正し、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入したひとつの要因として、国債市場のメインプレーヤーであったはずの都銀の国債売買高の落ち込みも影響していたのではないかと思われる。

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by nihonkokusai | 2016-09-24 10:44 | 債券市場 | Comments(0)

債券先物の建玉が映し出す国債の流動性低下

 大阪取引所に上場している長期国債先物(以下、債券先物)は3月限、6月限、9月限、12月限があり、9月の限月の取引最終日は9月12日となった。なぜこのような限月といったシステムにしたのかといえば、金融先物の元祖と言うべき江戸時代の大坂堂島での米の先物がそのようなシステムとなっていたからである。それはさておき債券先物は中心限月に売買が集中しており、取引最終日までに中心限月が今回で言えば9月限から12月限に移行する。

 実際の中心限月移行の認定はナイトセッション含めた約定日の期先出来高が期近の出来高を逆転したその翌営業日であるが、それもさておいて現場では売買高が逆転した瞬間に中心限月が移行したと認定される。過去再逆転したケースは私の記憶の上ではたぶんなかったはずである。

 今回実質的に中心限月が9月限から12月限に移行したのは9月9日であった。この日新しく中心限月となった12月限の建玉に異変が起きていた。中心限月が交代したばかりは当然ながら建玉はそれほど多くない。それでも限月間スプレッド取引を利用した、いわゆるロールオーバーによって9月限の建玉が12月限に移行されるため、ある程度の建玉が存在する。ところが9月9日の債券先物の建玉がわずか5兆円台しかなかったのである。

 過去の手元のデータで実質的な中心限月のあった日の建玉を確認してみた(手元の数字は速報ベースなので確報ペースと多少誤差がある)。すると2012年末のいわゆるアベノミクスの登場から2013年4月の異次元緩和も登場時あたりは8兆円規模あり、その後それが10兆円近くまで増加していた。ところが、今年3月あたりからその建玉が減少し始め、今回の5兆円台にまで低下してしまったのである。

 これは当然ながら債券先物を取引している参加者が減ったことを意味しよう。特に今年3月から顕著になったということは今年1月に決定し2月から施行された日銀のマイナス金利による影響が大きかったとみて間違いはないのではなかろうか。これは日銀のマイナス金利政策の導入により、国債市場の流動性が落ち込んでいたことを示す。

 21日に公表される日銀の総括的な検証では、この債券市場の流動性の低下も意識されたものになると予想される。そのための手段として国債のイールドカーブのスティープニングが意識された可能性がある。しかし、足元金利についてはマイナス金利を深掘りすることも予想されており、これにより中期債の利回りが低下している。する債券先物は残存7年の国債に連動する。このため多少イールドカーブがスティープ化しようとも中期ゾーンに引っ張られる格好で7年ゾーンは上昇しづらくなる。

 もし国債市場の流動性を向上させたいのであれば、10年債利回りは当然ながら、7年ゾーンあたりまでの利回りをプラスに引き上げる必要もあるのではなかろうか。そうでなければ国債の流動性に大きな役割を果たしている債券先物市場の流動性が今後さらに低下してしまう懸念もあるのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2016-09-16 09:38 | 債券市場 | Comments(0)

ひと足先にドイツの長期金利がマイナスからプラスに

 先週8日のECB理事会では金融政策の現状維持を決定した。ドラギ総裁は会合後の会見で、資産買入れ策の期限延長について議論しなかったと説明した。市場では来年3月までの資産買入の時期を延長するのではとの期待が一部にあった。ドラギ総裁は資産買入れの円滑な実施を確実にするための選択肢を検討するよう指示したとも発言しており、これの意味するところは、ECBの国債買入についても限界が見えており、何かしら買入対象の変更等を行わなければ期間延長も難しくなっているのではとの見方もできる。

 そこにボストン連銀のローゼングレン総裁が利上げを長く待ち過ぎれば米経済が過熱する恐れがあるとの指摘したことで、9月のFOMCでの利上げ観測が再燃した。また、ブレイナード理事が12日に講演することが8日にFRBから発表された。利上げ慎重派とみられるブレイナード理事が利上げを示唆することで利上げに向けた地均しをしてくるのではないかとの観測も強まった。

 これらを受けて9日の欧米の国債は大きく下落した。米10年債利回りは1.67%と前日の1.60%から上昇し、英国の10年債利回りも0.86%と前日の0.76%から上昇した。そしてドイツの10年債利回りはプラス0.01%とプラスに浮上した。6月23日の英国でのEU離脱を問う国民投票の結果が出る以前の水準を回復した格好となった。

 今回の欧米の長期金利上昇の背景には、ECBの追加緩和に対する限界説やFRBの早期利上げ観測の再燃なども大きな要因であった。それだけではなく日本の国債利回りの上昇も影響していたと思われる。日本の超長期債を中心とした利回り上昇の背景には、日銀の総括的な検証への思惑もあったとみられる。

 このように日米欧の中央銀行のスタンスがあらためて国債市場で材料視されるようになり、異常に低下し過ぎていた日欧米の長期金利が水準訂正を行っているように思われる。

 ECBについてはすでにこれ以上のマイナス金利の深掘りはしないことをすでに表明しており、追加緩和手段として市場が期待していたのが、資産買入の時期を延長するという手段であった。しかしそれは日銀の国債買入以上に困難さを増していたとみられ、何かしら買入対象の変更等を行わなければならないことを示す結果となった。日銀もECBも認めたくはないであろうが、これ以上の金融緩和策に限界があることを示すものとなった。

 そこに正常化を進めたFRBがやや遅れていた利上げをこのタイミングで行うのではないかとの観測が強まった。というよりも6月、7月にできなかった利上げは9月も無理、去年もそうではなかったかといった市場の見方に対して、あらためてFRBが9月の利上げに向けた地均しをしてきたとの認識が強まった。今年は特に11月の大統領選挙を控えている以上、利上げをする意向であれば12月よりも9月の方が可能性は本来高いはずである。昨年9月のFRBの利上げ見送りは中国経済の減速をきっかけにした世界的な株価の急落などを踏まえ慎重になっていた可能性はあるが、いまのところ新興国の株式市場はそれほどの動揺も見せてはいない。

 日銀が21日の金融政策決定会合後に公表されるであろう総括的な検証については、金融緩和の時間軸をどのようにして延長させるのかが大きなテーマになると考えられる。そのためには市場との対話が必要となり、金融機関の収益面も意識したものとなることが予想される。結果としてそれはイールドカーブのスティープ化を促すことになるのと見方となっているものと思われる。

 9日にロイターは「日銀、中短期金利重視の緩和強化検討へ 具体策も議論」と報じている。日銀は金融機関の収益減や生保・年金の運用難など副作用の要因になっているイールドカーブのフラット化の修正策を検討するとしており、これを受けて9日の夕方から12日にかけて日本国債のイールドカーブは大きくスティープニング圧力を強めた格好となっている。ただし、日本の10年債利回りはまだプラスには転じていない。

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by nihonkokusai | 2016-09-13 09:52 | 債券市場 | Comments(0)

7月以降、日本国債が売られた背景

 10年国債の利回りのチャートをみると今年に入ってから、利回りの低下傾向を強めていた。これは原油価格の下落とその背景となっていた中国などの新興国の景気減速への懸念が背景にあった。ところが7月初めあたりがボトムとなり、利回りは上昇トレンド入りしている(価格は下落)。

 7月初めまでの日本国債の買いの背景にはいくつか理由があった。そのひとつに6月23日の英国の国民投票で予想外のEU離脱が決まったことによるリスク回避の動きがあった。ドイツや英国の10年債利回りが過去最低を更新し、日本国債もリスク回避の風を受けて買い進まれ、利回りが低下していった。

 7月6日には20年国債の利回りがマイナス0.005%をつけてついにマイナスとなった。20年までの国債利回りがマイナスとなったことで、ここで超長期債を売却した投資家もいたようで、ここからの利回り低下は考えられないとの見方も強まっていたようである。

 20年債の利回りは結果としてここでボトムアウトした。10年債利回りもやや遅れて7月8日にマイナス0.300%をつけたところでボトムアウトしている。いったん戻り売りが入るが、10年債利回りはその後再びマイナス0.3%に接近することになる。ここで材料視されたのが、いわゆるヘリコプターマネーであった。しかし、7月29日の日銀の金融政策決定会合では、当然ながらヘリマネの導入など決定するはずもなく、追加緩和はETFの買入増額などに止まった。

 ヘリコプターマネーについては9月5日の黒田総裁の講演のなかでも、「例えば国債の引き受けや財政ファイナンスのように、「法律的にできない」あるいは「やるべきではない」という意味での限界は存在します。」と明確に否定している。ヘリマネを期待するのは勝手であるが、日銀主導でそれが決められることは絶対にありえない。

 ヘリマネ期待の後退も加わって、日本国債は再び調整局面を迎える。特に超長期への売り圧力が強まった。20年債利回りは9月に入り0.4%台まで回復した。この背景にあったのも日銀の金融政策に対する市場の見方の変化となっていたようである。

 それが顕在化したのが、9月2日の櫻井審議委員のロイターとの単独インタビューと9月5日の黒田日銀総裁の共同通信主催のきさらぎ会の講演となっていた。日銀は国債のイールドカーブのスティープ化を意識するようになっていたのである。

 10年債利回りは9月5日と6日にマイナス0.010%まで上昇しゼロ%に接近した。9月7日に大手投資家からとみられる買いが超長期債に入ったとの観測もあって、いったん超長期債への売り圧力も後退しつつある。

 しかし、20、21日の日銀の金融政策決定会合とFOMCの開催を控えて、これで利回り上昇が終わったとも考えづらい。FOMCでは利上げの可能性は依然高いとみている。日銀の総括的な検証では追加緩和への期待感を強めさせることよりも、市場との対話を図ることを優先してくると考えており、その意味でイールドカーブのスティープ化を意識したような対策が打ち出される可能性が高いと思われる。10年債利回りがプラスに転じることも十分ありうる。

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by nihonkokusai | 2016-09-09 09:35 | 債券市場 | Comments(0)
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