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カテゴリ:債券市場( 677 )

金融市場との対話が何故必要なのか

 市場との対話というのは、たとえば財務省や日銀などがその政策を実施するにあたって市場参加者の意向も配慮するということになろうか。

 日本で金利が自由化されたのはそれほど大昔のことではない。国債が市場で積極的に売買されて国債の利回りが市場で決定されるようになったこともそれほど昔ではない。

 1985年に金利が市場の実勢で決められる大口定期預金が導入され、また金融機関によるフルディーリング開始されたのが1985年であり、このあたりから金利が市場で決定されるようになった。1994年に民間銀行の金利は完全に自由化される。

 財務省や日銀が市場との対話を本格化させるきっかけとなったのが1998年だと思われる。この年に改正日本銀行法が施行され、金融政策決定会合が始まった。これまでの日銀の金融政策の透明性は高くなかったのが、改正日銀法により独立性を強めるとともに、透明性も強め、それはつまり市場と直接向き合うようになった。政策金利も公定歩合(日銀貸出の基準金利)から市場で決定される無担保コール翌日物金利に変わった。

 1998年には大蔵省資金運用部の国債運用に関する報道をきっかけとした運用部ショックと呼ばれた国債急落が起きた。これをきっかけに当時の大蔵省は市場の対話を重視しながらの国債管理政策を進めることになる。その結果のひとつとして日本版プライマリーディーラー制度などが作られた。

 日銀も金融政策に関しては市場と直接向き合う必要がある。そもそも現在の金融政策は金融調整によって市場で形成される金利に働きかけて、経済や物価動向に影響を与えようとするものである。

 ところがアベノミクスによる政策によって状況が大きく変わった。まさに先祖返りとも言うべき状況となってしまっているのである。国債の大量発行などもあって金利は自由化された。ところが日銀の長短金利操作付き量的・質的緩和政策は日銀が国債を年間発行額分も買い込んで、さらにその長期金利も操作しようとするものであり、ここに市場の思惑等は入り込めなくなってしまっている。こうなると市場との対話は当然失われてしまうリスクが存在する。

 別に政府が大量に発行する国債をすべて日銀が購入するとなれば、市場などいらないということにもなる。しかし、このパターンは歴史上数々の悲劇を生んできたものであり、日本でも財政法で本来禁じられている中央銀行による国債引受となんら変わらないものとなる。現在のやり方がこのまま永久に続けられるとは思えない。

 市場もいずれ日銀も出口を模索することで、いまの財政ファイナンスに近い状況は解消されるはずと認識し、国債に対する信認は維持されている。しかし、本当に出口からすんなり出られるのかは、日銀と市場との対話に掛かっている。これに失敗することになると国債価格の急変という事態も招きかねない。もし出口から出られないとなれば、今度は国債への信認そのものが失われかねない。いずれこの市場との対話が大きなキーになることも予想されるのである。


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by nihonkokusai | 2017-09-06 09:21 | 債券市場 | Comments(0)

日本の長期金利が再びマイナスに

 9月1日の債券市場では、後場に入り先物が一段高となり、引けにかけて10年国債のカレント(直近発行された銘柄)である347回債がマイナス0.005%をつけ、昨年11月16日以来の長期金利のマイナス化となった。

 日本の長期金利は慣例で、10年国債のなかで最近発行されたカレント物の利回り(単利)を差している。実は10年国債のなかでもカレント以外のものはすでに利回りがマイナスとなっていたことで、カレントのマイナス化は時間の問題となっていた。

 日本の10年債利回りは7月7日に日銀が指し値オペを実施したあたりから、低下基調となっている。ちなみに7月7日に10年債利回りは0.105%まで上昇し、0.110%で指し値オペが実施されている。

 7月7日には指し値オペとともに国債買入で5年超10年を5000億円に増額し、7月12日には3年超5年以下を3300億円に300億円増額していた。その後の利回りの低下もあり、5年超10年以下は8月25日に300億円減額したことで今年1月27日前の水準の4100億円まで戻していた。また、9月1日には3年超5年以下を300億円減らして3000億円と7月7日以前の水準に戻している。

 これらの国債買入の減額は売り要因とはならず、むしろ国債は買い進まれている。それだけ地合が好転しているということであるが、その背景には米国の長期金利の低下がある。

 日銀が指し値オペを実施した7月7日あたりを天井として、米国の長期金利も低下基調となっていたのである。もちろん米国債が日銀のオペレーションの影響を直接受けて買われたわけではなく、物価上昇が抑制されていることもあり、FRBの正常化の動きがかなり慎重になるのではといった思惑もあろう。この米長期金利の低下もあって日本の国債利回りも低下基調となり、日本の長期金利も再びマイナスとなったといえる。

 しかし、日銀の長短金利操作付き量的・質的緩和の背景には、マイナス金利政策への金融界からの批判等があったことで、イールドカーブを立てることが目的としてあったはずである。そもそも20年債利回りまでマイナスとなってしまい運用難となっていたことが長期金利操作の要因となっていた。つまり市場としては、ここからさらなる10年債利回りのマイナス化は受け入れづらいはずであり、日銀としてもあまりマイナスが深掘りされたくはないのではなかろうか。

 とはいえ外部環境次第ではさらに10年債利回りが低下してしまう可能性はある。4日の債券市場では北朝鮮の核実験によるリスク回避の動きも手伝って、10年債利回りはマイナス0.010%をつけている。なぜ北朝鮮と地理的に近い日本の国債が、北朝鮮の地政学的リスクが意識されて買われるのかといえば、安全資産とされるものへの資金シフトの動きが連想されたためといえる。


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by nihonkokusai | 2017-09-05 10:06 | 債券市場 | Comments(0)

7月の中期ゾーンの国債売買高は2004年以降の最低水準に、ディーラーが大幅縮小

 8月20日に日本証券業協会は7月の公社債投資家別売買高を発表した。公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

注意、マイナスが買い越し

単位・億円

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 -799(-1413、-703、1905)

地方銀行 -1825(31、-630、180)

信託銀行 -1902(-664、-2278、685)

農林系金融機関 -2716(-2239、70、-30)

第二地銀協加盟行 -1668(-315、-886、0)

信用金庫 -2920(-475、-880、30)

その他金融機関 -1414(-17、-413、-225)

生保・損保 -2973(-2549、-92、66)

投資信託 136(115、372、-293)

官公庁共済組合 -283(-62、0、0)

事業法人 -515(-16、-4、0)

その他法人 -966(-217、-50、103)

外国人 -7394(353、-411、-7001)

個人 191(1、26、3)

その他 23165(12863、-5406、19687)

債券ディーラー -277(-225、-301、288)

 7月の国債の投資家別売買高をみると投資信託、個人、その他を除いて総じて買い越しとなっていた。

 都銀は799億円の買い越し。6月は2兆2512億円と大幅買い越しと2年7か月ぶりの水準となっていたが、7月の買越額は大きく減少した。

 海外投資家は買い越しではあったものの7394億円の買い越しに止まり、6月の7993億円の買い越しに続いて1兆円を割り込んでいる。期間別にみると海外投資家は昨年10月以来の超長期債の売り越しともなっていた。  7月に入っての債券相場は、ECBの緩和バイアス解除が意識されて10年債利回りは0.105%と日銀の長期金利の誘導目標を試す動きとなった。日銀はこれに対し10年債の0.110%の水準で指し値オペを実施した。これ以降の債券先物はじりじりと戻りを試すような展開となったが、商いそのものは多くはなかった。

 下記のデータをみると投資家全体の商いはそれほど落ち込んではいないが、中期ゾーンの国債売買高は35兆円弱となっており、これは証券業協会のデータ(2004年4月)以降では過去最低水準となっている。海外投資家の中期ゾーンの売買減少も影響していたとみられるが、海外投資家による中期ゾーンの7月の売買高は6月に比べて8966億円の減少にすぎなかった。ところが全体では21兆5365億円も前月から減少していた。これを部門別で確認してみたところ、証券会社などの「債券ディーラー」の売買高の落ち込みが反映されていたのである。

投資家全体の売買状況

全体     超長期   長期   中期

1月1996647、303116、412877、588101

2月1958526、340593、481039、496524

3月2041609、385293、472883、558183

4月1914346、373287、391855、488680

5月1707093、320073、345208、435486

6月2124250、448132、436196、565359

7月1741728、379807、439950、349994

海外投資家の売買状況(マイナスは買い越し)

差し引き売買高、(超長期、長期、中期)、国債売買高、うち中期

2016年

4月-36565(328、-9142、-27271)、294983、62513

5月-16775(1347、-6186、-10933)、246889、34315

6月-36565(328、-9142、-27271)、344055、65055

7月-16693(1860、-4453、-13200)、275366、61036

8月-16838(-1108、-5390、-9702)、302397、65718

9月-27674(-3320、-4283、-19310)、380542、102124

10月-5717(1051、-5636、166)、264616、62534

11月-11672(2275、-2448、-10674)、302551、48912

12月-26198(-970、2054、-26261)、317612、57609

2017年

1月-23784(-1153、-504、-19500)、294839、61994

2月-11210(-2687、3009、-10323)、292813、51127

3月-17190(-4603、1222、-12886)、312730、58810

4月-21075(-3562、-4623、-11957)、321272、43951

5月-19887(-803、-6541、-11738)、269888、47170

6月-7993(-3809、557、-3745)、286134、45447

7月-7394(353、-411、-7001)、254981、36481



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by nihonkokusai | 2017-08-23 09:58 | 債券市場 | Comments(0)

国債の流動性がここにきてさらに落ち込む

 国債の流動性がここにきてさらに落ち込んでいる。7月28日の債券先物の日中値幅(ナイトセッションを除く)はわずか4銭しかなかった。10年国債のカレント物と呼ばれる直近発行された銘柄が一日の動きがひとつのレートもしくは、0.005%の動きに止まることが普通になってきてしまった。金利が凍結しつつある。

 この要因としては日銀の金融政策にある。日銀による長短金利操作は、本来であれば市場によって形成される長期金利を日銀が金融政策によって操作しようとするものである。

 足元金利をマイナスに低下させた上に、長期国債を大量に日銀が購入することよって確かに長期金利のコントロールは可能であるように見えた。現実に日銀は市場に国債買入額の増減、さらには指し値オペという強力な手段によって長期金利を一定レンジに押さえ込もうとしている。

 7月はじめにECBの緩和バイアス解除を意識し、欧米の長期金利がやや動意を示した。この海外での金利上昇を受けて7月7日の日本の10年債利回りは0.105%に上昇した。今年2月3日に日銀は指し値オペを実施したが、その水準が10年債利回りの0.110%となっており、その水準に接近した。

 7月7日に日銀は5年超10年以下の国債買入額をそれまでの4500億円から5000億円に増額した。同時に固定利回り方式での残存期間5年超10年以下の国債買入もオファーした。「指し値オペ」である。10年利付国債347回の買入利回りは0.110%となった。日銀としては0.110%が絶対防衛ラインということをあらためて示した。これにより日銀の長期金利の誘導目標値はマイナス0.1%からプラス0.1%であろうことが再確認された。

 しかし、ここにきて日本の消費者物価指数も前年比でプラス0.4%あたりとなっていることや、欧米の中央銀行の正常化に向けた動きによって長期金利は低下しづらくなっている。このため、それ以降の日本の長期金利が0.050%から0.100%の間での降着相場となってしまった。

 欧米の長期金利は物価の上昇圧力の鈍さもあり、思ったほどの上昇とはなっていない。これもあり、日本の長期金利もこの水準で均衡が保たれることになった。しかし、このような環境がこの先、永遠に続くわけではない。

 この均衡が崩れた際、特に金利上昇圧力が掛かった際に、日銀はどのような対処をするのか。指し値オペを何度も使うようなことも考えづらい。さらに債券市場は流動性が低下している分、大きな衝撃に対しての抵抗力が失われているようにも見える。債券市場ではこのような潜在リスクが次第次第に増加しつつある。


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by nihonkokusai | 2017-08-05 11:30 | 債券市場 | Comments(0)

6月の債券市場では都銀が大量買い越しに

7月20日に日本証券業協会は6月の公社債投資家別売買高を発表した。公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

注意、マイナスが買い越し

単位・億円

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 -22512(-2198、-4472、-15574)

地方銀行 -2533(918、-937、-806)

信託銀行 -4465(-2127、-116、-1862)

農林系金融機関 -2729(-1938、-299、-150)

第二地銀協加盟行 109(192、-236、360)

信用金庫 -4584(-557、-722、20)

その他金融機関 -1035(-294、99、-40)

生保・損保 -2211(-1627、-152、67)

投資信託 -1621(339、-527、-760)

官公庁共済組合 -63(-120、3、0)

事業法人 -414(63、9、4)

その他法人 -628(47、36、5)

外国人 -7993(-3809、557、-3745)

個人 167(1、14、3)

その他 6742(4592、-2422、9218)

債券ディーラー -493(-138、271、-583)

 6月の国債の投資家別売買高をみると第二地銀、個人、その他を除いて総じて買い越しとなっていた。

 特に都銀は2兆2512億円と大幅買い越しとなっていた。これは2年7か月ぶりの水準に。先月は1兆4782億円の買い越しとなっていたが、さらに買いポジションを膨らませた格好に。特に中期ゾーンの買い越し額が大きい。6月は5年債利回りがマイナス0.1%を割り込むなど債券相場は下落基調(利回りは上昇基調)となっており、国内投資家は一般債含めて押し目買いを入れていたようである。

 先月までの買越額トップだった海外投資家は買い越しではあったものの、7993億円の買い越しに止まった。買越額が1兆円を割り込んだのは昨年10月の5717億円の買い越し以来となる。海外投資家の買い圧力の後退で中期ゾーンのマイナスの利回り幅が縮小し、付利の0.1%割れで銀行などの買いが入りやすくなっていたものとみられる。

投資家全体の売買状況 全体 超長期 長期 中期

1月1996647、303116、412877、588101

2月1958526、340593、481039、496524

3月2041609、385293、472883、558183

4月1914346、373287、391855、488680

5月1707093、320073、345208、435486

6月2124250、448132、436196、565359

海外投資家の売買状況

月 売り越し買い越し(マイナスは買い越し)、(超長期、長期、中期)、国債売買高、うち中期

2016年

4月-36565(328、-9142、-27271)、294983、62513

5月-16775(1347、-6186、-10933)、246889、34315

6月-36565(328、-9142、-27271)、344055、65055

7月-16693(1860、-4453、-13200)、275366、61036

8月-16838(-1108、-5390、-9702)、302397、65718

9月-27674(-3320、-4283、-19310)、380542、102124

10月-5717(1051、-5636、166)、264616、62534

11月-11672(2275、-2448、-10674)、302551、48912

12月-26198(-970、2054、-26261)、317612、57609

2017年

1月-23784(-1153、-504、-19500)、294839、61994

2月-11210(-2687、3009、-10323)、292813、51127

3月-17190(-4603、1222、-12886)、312730、58810

4月-21075(-3562、-4623、-11957)、321272、43951

5月-19887(-803、-6541、-11738)、269888、47170

6月-7993(-3809、557、-3745)、286134、45447


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by nihonkokusai | 2017-07-22 10:15 | 債券市場 | Comments(0)

11日に中期ゾーンでの指し値オペ観測も出たが入札順調で動きなし

日銀は7月7日に10年国債を対象とした指し値オペを実施した。これは10年国債利回り(長期金利)が、0.105%に上昇したことが原因とみられる。

今年2月3日に市場は日銀の長期金利コントロールのゼロ%の範囲を探るような動きを見せ、通常の国債買入での増額がなかったことを確認後、10年債利回りは0.150%まで上昇した。これに対し日銀は変則的な時間帯の12時半に(オペタイムは午前は10時10分、午後は通常14時)指し値オペを実施した。その水準が10年債利回りの0.110%であった。

2月3日の指し値オペの水準が0.110%であったことで、7月7日はその水準を試しにきた。0.110%はつけなかったものの、日銀は予防線を張った。7日の国債買入で5年超10年以下のオファー額をこれまでの4500億円から5000億円に増額し、さらに日銀は日銀は通常のオペと同時に固定利回り方式での残存期間5年超10年以下の国債買入もオファーした。「指し値オペ」である。固定利回較差は0.015%。この結果、10年利付国債347回の買入利回りは、0.110%となった。日銀としては0.110%が絶対防衛ラインということを示し、それを付ける前にストッパーを入れてきた。0.110%以上はつけていなかったために、この指し値オペに応札する業者はおらず、日銀はほとんど実弾を伴わず(通常のオペのプラス500億円のみ)、利回り上昇を抑えつけた。

しかし、これで日本の債券相場の下落(利回り上昇)が抑えられたわけではない。今年2月3日の指し値オペのあとも10年債利回りは抑えられても超長期ゾーン主体に利回りは上昇していた。

今回も11日の5年債入札を控え、10日に5年国債の利回りがマイナス0.035%まで上昇してきた。これは日銀が初めて指し値オペを実施してきた昨年11月の利回り水準を上回ってきたことになる。

日銀が初めて指し値オペを実施したのは昨年11月17日で対象は何故か中期債であった。17日は20年国債の入札日であるにも関わらず、異例の国債買入、しかも初の国債の指し値オペを中期ゾーン対象にオファーしてきた。この背景には16日の債券相場の動きがあった。トランプ相場によるところの米長期金利の上昇を受けての日本の国債利回り上昇も中期債主体に上昇し、10年債利回りは16日の引け後にプラス0.035%まで上昇、2年債利回りはマイナス0.095%、5年債利回りはマイナス0.040%に上昇したのである。

日銀によるオペの指し値が、2年利付国債370回の買入利回りでマイナス0.090%、5年利付国債129回の買入利回りはマイナス0.040%となった。しかし、実勢利回りが指し値よりも低下したため、11月17日の初の国債指し値オペの応札はゼロとなった。実弾を使わず空砲で利回り上昇を押さえ込む格好となっていた。

この昨年11月17日の初の指し値オペの水準であるところの5年国債でのマイナス0.040%を、10日にマイナス0.035%をつけて利回り水準が上回ってきたことで、11日の日銀の対応が注目された。

11日は国債の入札日ということで、通常の国債買入の予定はない。しかし、5年国債の入札が低調となり、ここからさらに5年債利回りが上昇するとかなれば、昨年11月17日と同様に国債入札日にもかかわらず、指し値オペ等を実施する可能性はないとはいえなかった

さらに市場が動揺を示すようなことがない限り、日銀の本来の操作対象(短期と長期)ではないはずの中期も一定水準で押さえ込んでくるのかは疑問である。市場では中短期ゾーンの海外投資家からの需要の後退、日銀の買入削減などから、ゼロ%あたりまでの上昇は黙認するのではとの見方もある。

しかし、その反面、日銀の支店長会議の総裁挨拶をみても日銀のスタンスに変化なく、7日の10年債と同様の対応を行ってくる可能性が全くないとはいえなかった。結果は11日の5年国債入札そのものが順調な結果となったこともあり、日銀は動きを見せなかった。

ただし、12日の日銀の国債買入では、1年超3年以下2800億円は前回5日と変わらず。3年超5年以下3300億円と前回5日の3000億円から300億円増額した。5年超10年以下は5000億円と7日に4500億円から5000億円に増額したままの金額とし、5年ゾーンと10年ゾーンの利回り上昇に配慮した格好となった。


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by nihonkokusai | 2017-07-12 10:22 | 債券市場 | Comments(0)

5月の債券市場ではメガバンクが買い越しに転じる

6月20日に日本証券業協会は5月の公社債投資家別売買高を発表した。公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

注意、マイナスが買い越し

単位・億円

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行-14782(-5216、-1087、-7778)

地方銀行-2150(500、-1082、-200)

信託銀行 1822(-1816、2954、676)

農林系金融機関-2589(-1812、0、105)

第二地銀協加盟行-479(-86、-145、0)

信用金庫-3475(-488、-97、32)

その他金融機関-698(-302、463、46)

生保・損保-2863(-2597、314、19)

投資信託-372(-439、88、330)

官公庁共済組合-138(20、0、2)

事業法人-238(-21、1、0)

その他法人-595(-89、-29、15)

外国人-19887(-803、-6541、-11738)

個人 163(2、28、3)

その他 19645(9555、1265、13598)

債券ディーラー-449(-61、-250、-128)

5月の国債の投資家別売買高をみると「信託銀行」、「個人」、「その他」を除いて総じて買い越しとなっていた。4月が銀行系主体に売り越しとなっていたが、それと対称的な動きとなった。期初の売り等でいったん外したポジションを買い戻した格好か。

都銀は1兆4782億円の買い越し。先月は1兆3436億円の売り越しとなり、4か月ぶりの買い越しとなる。超長期と中期ゾーン主体の買い越しとなった。超長期の買い越し額は2011年9月以来の大きさとなっていた。地銀は長期主体、農林系は超長期主体の買い越し。ただし、信託銀行は長期主体の売り越しとなっていた。売り越し金額でのトップは引き続き「その他」の1兆9645億円の売り越し。中期と超長期主体に売り越しとなった。

買い越し額のトップは引き続き海外投資家で、中期債主体に1兆9887億円の買い越しとなっていた。

5月の債券相場を振り返るとゴールデンウイーク中の債券相場は閑散小動き。7日のフランス大統領選の決選投票ではマクロン氏が勝利し、リスクオンの動きが意識されて円債は上値が抑えられた。FRBの緩やかな正常化の動きを連想さて米債は買われ、円債も月末にかけてやや押し目買いが入った。ただし、5月の10年国債の利回りの月中値幅がどうやら過去最小となったようで値動きは限られた。全体の売買高も海外投資家を含めてやや低調なものとなっていた。

投資家全体の売買状況 全体 超長期 長期 中期

1月1996647、303116、412877、588101

2月1958526、340593、481039、496524

3月2041609、385293、472883、558183

4月1914346、373287、391855、488680

5月1707093、320073、345208、435486

海外投資家の売買状況

月 売り越し買い越し(マイナスは買い越し)、(超長期、長期、中期)、国債売買高、うち中期

2017年

1月-23784(-1153、-504、-19500)、294839、61994

2月-11210(-2687、3009、-10323)、292813、51127

3月-17190(-4603、1222、-12886)、312730、58810

4月-21075(-3562、-4623、-11957)、321272、43951

5月-19887(-803、-6541、-11738)、269888、47170


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by nihonkokusai | 2017-06-21 10:02 | 債券市場 | Comments(0)

5月の債券市場ではメガバンクが買い越しに転じる

6月20日に日本証券業協会は5月の公社債投資家別売買高を発表した。公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

注意、マイナスが買い越し

単位・億円

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行-14782(-5216、-1087、-7778)

地方銀行-2150(500、-1082、-200)

信託銀行 1822(-1816、2954、676)

農林系金融機関-2589(-1812、0、105)

第二地銀協加盟行-479(-86、-145、0)

信用金庫-3475(-488、-97、32)

その他金融機関-698(-302、463、46)

生保・損保-2863(-2597、314、19)

投資信託-372(-439、88、330)

官公庁共済組合-138(20、0、2)

事業法人-238(-21、1、0)

その他法人-595(-89、-29、15)

外国人-19887(-803、-6541、-11738)

個人 163(2、28、3)

その他 19645(9555、1265、13598)

債券ディーラー-449(-61、-250、-128)

5月の国債の投資家別売買高をみると「信託銀行」、「個人」、「その他」を除いて総じて買い越しとなっていた。4月が銀行系主体に売り越しとなっていたが、それと対称的な動きとなった。期初の売り等でいったん外したポジションを買い戻した格好か。

都銀は1兆4782億円の買い越し。先月は1兆3436億円の売り越しとなり、4か月ぶりの買い越しとなる。超長期と中期ゾーン主体の買い越しとなった。超長期の買い越し額は2011年9月以来の大きさとなっていた。地銀は長期主体、農林系は超長期主体の買い越し。ただし、信託銀行は長期主体の売り越しとなっていた。売り越し金額でのトップは引き続き「その他」の1兆9645億円の売り越し。中期と超長期主体に売り越しとなった。

買い越し額のトップは引き続き海外投資家で、中期債主体に1兆9887億円の買い越しとなっていた。

5月の債券相場を振り返るとゴールデンウイーク中の債券相場は閑散小動き。7日のフランス大統領選の決選投票ではマクロン氏が勝利し、リスクオンの動きが意識されて円債は上値が抑えられた。FRBの緩やかな正常化の動きを連想さて米債は買われ、円債も月末にかけてやや押し目買いが入った。ただし、5月の10年国債の利回りの月中値幅がどうやら過去最小となったようで値動きは限られた。全体の売買高も海外投資家を含めてやや低調なものとなっていた。

投資家全体の売買状況 全体 超長期 長期 中期

1月1996647、303116、412877、588101

2月1958526、340593、481039、496524

3月2041609、385293、472883、558183

4月1914346、373287、391855、488680

5月1707093、320073、345208、435486

海外投資家の売買状況

月 売り越し買い越し(マイナスは買い越し)、(超長期、長期、中期)、国債売買高、うち中期

2017年

1月-23784(-1153、-504、-19500)、294839、61994

2月-11210(-2687、3009、-10323)、292813、51127

3月-17190(-4603、1222、-12886)、312730、58810

4月-21075(-3562、-4623、-11957)、321272、43951

5月-19887(-803、-6541、-11738)、269888、47170


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by nihonkokusai | 2017-06-21 10:02 | 債券市場 | Comments(0)

債券先物中心限月が9月限に交代、この債券先物の仕組みについて

 6月12日に債券先物9月限の売買高が6月限の売買高を上回ったことで実質的な中心限月の移行となった。ただし、取引所での中心限月の交代は、正式にはイブニング・前場・後場のオークション取引(つまり立会外取引除く)の出来高が逆転した翌営業日から中心限月の定義が変わる。つまり13日となる。この13日が債券先物6月限の取引最終日となっていた。


 今回はこの債券先物の仕組みについて確認してみたい。債券先物の受渡日は3月、6月、9月、12月の20日(休業日にあたるときは順次繰り下げ)と決められており、この取引期限を限月(げんげつ)と呼んでいる。限月の取引最終日は各限月20日の6日前となっている(休業日は除外する)。


 取引限月が3か月刻みである理由として、当時の債券現先取引などの利用期間がおおむね3か月となっていたことや、日本の国債の利払いが半年ごとであったこと、さらに世界的に金融先物の限月は3か月刻みが標準となっていたことなどが挙げらている。


 ただし、この世界的に3か月刻みとなっていたのは、現在の金融デリバティブの原型となっている堂島の米の先物取引、つまり帳合米商が影響していたのではないかとも思われる。帳合米商では1年を春夏冬の三期にわけてそれぞれ4月28日、10月9日、12月24日を精算日としていた。


 受渡日の近い先物限月のことを期近物、もしくは当限(とうぎり)と呼ぶ。また、受渡日が期近物よりも遠いものは期先物と呼んでいる。そして、出来高が最も多い限月を中心限月と呼ぶ。日本の債券先物については、海外の債券取引などに比べて、取引最終日近くまで最も取引期間の短い期近物が中心限月となり、売買がこれに集中しているという特性がある。


 債券先物の売買の最低単位は1億円(ミニは10分の1)、呼値の単位(価格の最小単位)は額面金額100円につき1銭として裸相場で行う。裸相場とは、経過利子を含まない債券価格のことを示す。このように債券先物は債券であるにもかかわらず、現物債のように利回りで売買されるのではなく、常に価格で売買されていることが特徴となっている。これは債券先物の標準物が、常に利率と残存年数(10年)が同じになるように作られ、価格と利回りが常に一致するためであり、そのため価格の連続性が保たれている。


 債券先物では取引を集中させるため、額面100円、利率6%、残存期間10年の仮想国債を「標準物」としている。決済期日が各限月の20日と固定されているので、売買した日が異なっても残存年数は常に10年であるこの標準物の国債は、現実には存在しない架空の債券である。標準物を取引対象にすることで、対象銘柄を変更する必要がないし、個別銘柄の属性を意識することがない。価格の連続性が維持されることになる。



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by nihonkokusai | 2017-06-15 09:55 | 債券市場 | Comments(0)

8日の一時的な円高と日本国債の急速な下落の仕掛け人

凍り付いていた債券市場が8日に突然氷解した。同じにドル円も急落し、一時109円30銭台をつけた。いったい何があったのか。

その兆候は中短期債にあった。膠着相場のなかにあって中短期ゾーンの国債がじりじりと売られていた。昨年11月17日に日銀は中期ゾーン主体の急激な金利上昇を抑制するため、初の指し値オペを実施した。その水準が2年利付国債370回の買入利回りでマイナス0.090%、5年利付国債129回の買入利回りはマイナス0.040%であった。

日銀にとっては中短期債の目安として、超過準備の一部にかかる付利のマイナス0.1%がある。長短金利操作付き量的・質的緩和の政策金利は短期でマイナス0.1%、長期でゼロ%程度となる。このため中期ゾーンでのマイナス0.1%以上の利回りに上昇してきたことで、昨年11月17日に指し値オペを実施してきたといえる。

今回も中期債はその水準に接近していた。この背景には中短期債への需要が後退したことがあげられよう。マイナス金利でも買える投資家は限られるというか実質、日銀と海外投資家となる。そのうち日銀は今年度の国債発行額の減少に合わせて買入額を減額した。さらに海外投資家にとってベーシススワップにおけるプレミアムの縮小で妙味が薄れてきた。

ベーシススワップにおけるプレミアムが存在していたのは、国内投資家による外債への需要があった。日銀のマイナス金利政策もあり、国内での利回り追求が難しくなり地銀などを中心に外債投資を増加させていた。円をドルに替える必要があり、その需要の強さがプレミアムを発生させ、外銀などがそのプレミアムの範囲内で多少のマイナス金利でもお釣りがくる日本国債での運用を行っていた。また単純にこのプレミアムによって日本国債投資を行っていた海外投資家も存在していたとみられる。

ところが、昨年12月あたりから国内投資家は外債を売り越すようになった。金融庁が外債運用を拡大させている一部の地域金融機関を対象に米国債の価格下落が経営に与える影響などの立ち入り検査を実施することなども影響した可能性があるが、いずれにしてもプレミアム分が剥げ落ちた分、日本国債の中短期債への投資妙味が後退した。

6月8日には5年国債の入札が予定されていた。日銀の絶対防衛ラインとみられるマイナス0.1%に接近していたこともあり、これはかなり警戒されていた。8日の前場に2年債利回りはマイナス0.100%、5年債利回りはマイナス0.080%にそれぞれ上昇していた。この日は3か月物TDBの入札もあったが、こちらもマイナス0.1%を上回る結果となっていた。ただし、この日の5年債入札は大手銀行系証券などが積極的に応札したこともあり、順調な結果となった。

このようなタイミングで8日の13時半過ぎあたりから、債券先物とドル円に仕掛け的な売りが入ったのである。ドル円は110円あたりから109円30銭台に下落、債券先物は高値から40銭下落した。40銭というのは以前では普通に動いた値幅ではあったが、ここにきて膠着感が強まっていただけに大きな動きに見えた。債券先物が日中40銭も動いたのは、2月3日に59銭動いて以来となる。しかもここにきての債券先物の日中出来高は1兆円から2兆円台で推移していた。ところが8日の債券先物の日中出来高は限月間スプレッド取引の分を差し引いても5兆円程度あり、なんらかの仕掛け的な動きとみることができる。

また、現物債は10年債も0.075%まで利回りが上昇したが、40年債は1%台に、30年債は0.8%台に利回り上昇するなど超長期ゾーンの下落幅が大きかった。超長期債の商いは中期債などに比べて、さほど多くはないこともあり、これまでも海外投資家が仕掛ける際は超長期債を使うことも多いように思われ、仕掛け的な動きの可能性があった。

同じようなタイミングでドル円も下落し、下げ幅は限られたものの日経平均も下落した。この仕掛け的な売りのきっかけとして、「日銀、出口論は「時期尚早」から「説明重視」に」とのブルームバーグの記事や、日経新聞の「金融庁が地銀の債券保有に新規制」との報道も指摘された。ただし、海外で大きなイベントを控えているなか、国内投資家がポジションを大きく減少させなければいけないほどインパクトのある記事の内容ではなかったように思われる。

むしろここにきての日本の債券市場の中短期債の軟調な地合と5年債入札、さらに海外での英国の総選挙、ECB理事会、コミー前FBI長官の議会証言などを控えて、国内投資家が動きづらいところに、仕掛け的な動きでロスカットなどを誘った可能性がある。

ドル円は8日の段階で110円台を回復し、英国の総選挙、ECB理事会、コミー前FBI長官の議会証言などでは特にサプライズもなく、9日の東京株式市場でも日経平均は2万円台を回復している。

しかし、債券については中短期債の地合悪化は続くとみられる。昨年11月のトランプ相場による急激な金利上昇ではなく、今回はあくまで緩やかな金利上昇に止まっており、9日の日銀の国債買入でも特に増額等の処置はとられていない。中短期債はマイナス0.1%以上の金利ならば、銀行などのニーズも出てくることで自動ブレーキが掛かることへの期待もあるが、いずれにしても海外投資家などの動向見ながら、債券は神経質な展開が継続すると予想される。


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by nihonkokusai | 2017-06-11 10:14 | 債券市場 | Comments(0)
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