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カテゴリ:債券市場( 664 )

国債の流動性がここにきてさらに落ち込む

 国債の流動性がここにきてさらに落ち込んでいる。7月28日の債券先物の日中値幅(ナイトセッションを除く)はわずか4銭しかなかった。10年国債のカレント物と呼ばれる直近発行された銘柄が一日の動きがひとつのレートもしくは、0.005%の動きに止まることが普通になってきてしまった。金利が凍結しつつある。

 この要因としては日銀の金融政策にある。日銀による長短金利操作は、本来であれば市場によって形成される長期金利を日銀が金融政策によって操作しようとするものである。

 足元金利をマイナスに低下させた上に、長期国債を大量に日銀が購入することよって確かに長期金利のコントロールは可能であるように見えた。現実に日銀は市場に国債買入額の増減、さらには指し値オペという強力な手段によって長期金利を一定レンジに押さえ込もうとしている。

 7月はじめにECBの緩和バイアス解除を意識し、欧米の長期金利がやや動意を示した。この海外での金利上昇を受けて7月7日の日本の10年債利回りは0.105%に上昇した。今年2月3日に日銀は指し値オペを実施したが、その水準が10年債利回りの0.110%となっており、その水準に接近した。

 7月7日に日銀は5年超10年以下の国債買入額をそれまでの4500億円から5000億円に増額した。同時に固定利回り方式での残存期間5年超10年以下の国債買入もオファーした。「指し値オペ」である。10年利付国債347回の買入利回りは0.110%となった。日銀としては0.110%が絶対防衛ラインということをあらためて示した。これにより日銀の長期金利の誘導目標値はマイナス0.1%からプラス0.1%であろうことが再確認された。

 しかし、ここにきて日本の消費者物価指数も前年比でプラス0.4%あたりとなっていることや、欧米の中央銀行の正常化に向けた動きによって長期金利は低下しづらくなっている。このため、それ以降の日本の長期金利が0.050%から0.100%の間での降着相場となってしまった。

 欧米の長期金利は物価の上昇圧力の鈍さもあり、思ったほどの上昇とはなっていない。これもあり、日本の長期金利もこの水準で均衡が保たれることになった。しかし、このような環境がこの先、永遠に続くわけではない。

 この均衡が崩れた際、特に金利上昇圧力が掛かった際に、日銀はどのような対処をするのか。指し値オペを何度も使うようなことも考えづらい。さらに債券市場は流動性が低下している分、大きな衝撃に対しての抵抗力が失われているようにも見える。債券市場ではこのような潜在リスクが次第次第に増加しつつある。


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by nihonkokusai | 2017-08-05 11:30 | 債券市場 | Comments(0)

6月の債券市場では都銀が大量買い越しに

7月20日に日本証券業協会は6月の公社債投資家別売買高を発表した。公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

注意、マイナスが買い越し

単位・億円

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 -22512(-2198、-4472、-15574)

地方銀行 -2533(918、-937、-806)

信託銀行 -4465(-2127、-116、-1862)

農林系金融機関 -2729(-1938、-299、-150)

第二地銀協加盟行 109(192、-236、360)

信用金庫 -4584(-557、-722、20)

その他金融機関 -1035(-294、99、-40)

生保・損保 -2211(-1627、-152、67)

投資信託 -1621(339、-527、-760)

官公庁共済組合 -63(-120、3、0)

事業法人 -414(63、9、4)

その他法人 -628(47、36、5)

外国人 -7993(-3809、557、-3745)

個人 167(1、14、3)

その他 6742(4592、-2422、9218)

債券ディーラー -493(-138、271、-583)

 6月の国債の投資家別売買高をみると第二地銀、個人、その他を除いて総じて買い越しとなっていた。

 特に都銀は2兆2512億円と大幅買い越しとなっていた。これは2年7か月ぶりの水準に。先月は1兆4782億円の買い越しとなっていたが、さらに買いポジションを膨らませた格好に。特に中期ゾーンの買い越し額が大きい。6月は5年債利回りがマイナス0.1%を割り込むなど債券相場は下落基調(利回りは上昇基調)となっており、国内投資家は一般債含めて押し目買いを入れていたようである。

 先月までの買越額トップだった海外投資家は買い越しではあったものの、7993億円の買い越しに止まった。買越額が1兆円を割り込んだのは昨年10月の5717億円の買い越し以来となる。海外投資家の買い圧力の後退で中期ゾーンのマイナスの利回り幅が縮小し、付利の0.1%割れで銀行などの買いが入りやすくなっていたものとみられる。

投資家全体の売買状況 全体 超長期 長期 中期

1月1996647、303116、412877、588101

2月1958526、340593、481039、496524

3月2041609、385293、472883、558183

4月1914346、373287、391855、488680

5月1707093、320073、345208、435486

6月2124250、448132、436196、565359

海外投資家の売買状況

月 売り越し買い越し(マイナスは買い越し)、(超長期、長期、中期)、国債売買高、うち中期

2016年

4月-36565(328、-9142、-27271)、294983、62513

5月-16775(1347、-6186、-10933)、246889、34315

6月-36565(328、-9142、-27271)、344055、65055

7月-16693(1860、-4453、-13200)、275366、61036

8月-16838(-1108、-5390、-9702)、302397、65718

9月-27674(-3320、-4283、-19310)、380542、102124

10月-5717(1051、-5636、166)、264616、62534

11月-11672(2275、-2448、-10674)、302551、48912

12月-26198(-970、2054、-26261)、317612、57609

2017年

1月-23784(-1153、-504、-19500)、294839、61994

2月-11210(-2687、3009、-10323)、292813、51127

3月-17190(-4603、1222、-12886)、312730、58810

4月-21075(-3562、-4623、-11957)、321272、43951

5月-19887(-803、-6541、-11738)、269888、47170

6月-7993(-3809、557、-3745)、286134、45447


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by nihonkokusai | 2017-07-22 10:15 | 債券市場 | Comments(0)

11日に中期ゾーンでの指し値オペ観測も出たが入札順調で動きなし

日銀は7月7日に10年国債を対象とした指し値オペを実施した。これは10年国債利回り(長期金利)が、0.105%に上昇したことが原因とみられる。

今年2月3日に市場は日銀の長期金利コントロールのゼロ%の範囲を探るような動きを見せ、通常の国債買入での増額がなかったことを確認後、10年債利回りは0.150%まで上昇した。これに対し日銀は変則的な時間帯の12時半に(オペタイムは午前は10時10分、午後は通常14時)指し値オペを実施した。その水準が10年債利回りの0.110%であった。

2月3日の指し値オペの水準が0.110%であったことで、7月7日はその水準を試しにきた。0.110%はつけなかったものの、日銀は予防線を張った。7日の国債買入で5年超10年以下のオファー額をこれまでの4500億円から5000億円に増額し、さらに日銀は日銀は通常のオペと同時に固定利回り方式での残存期間5年超10年以下の国債買入もオファーした。「指し値オペ」である。固定利回較差は0.015%。この結果、10年利付国債347回の買入利回りは、0.110%となった。日銀としては0.110%が絶対防衛ラインということを示し、それを付ける前にストッパーを入れてきた。0.110%以上はつけていなかったために、この指し値オペに応札する業者はおらず、日銀はほとんど実弾を伴わず(通常のオペのプラス500億円のみ)、利回り上昇を抑えつけた。

しかし、これで日本の債券相場の下落(利回り上昇)が抑えられたわけではない。今年2月3日の指し値オペのあとも10年債利回りは抑えられても超長期ゾーン主体に利回りは上昇していた。

今回も11日の5年債入札を控え、10日に5年国債の利回りがマイナス0.035%まで上昇してきた。これは日銀が初めて指し値オペを実施してきた昨年11月の利回り水準を上回ってきたことになる。

日銀が初めて指し値オペを実施したのは昨年11月17日で対象は何故か中期債であった。17日は20年国債の入札日であるにも関わらず、異例の国債買入、しかも初の国債の指し値オペを中期ゾーン対象にオファーしてきた。この背景には16日の債券相場の動きがあった。トランプ相場によるところの米長期金利の上昇を受けての日本の国債利回り上昇も中期債主体に上昇し、10年債利回りは16日の引け後にプラス0.035%まで上昇、2年債利回りはマイナス0.095%、5年債利回りはマイナス0.040%に上昇したのである。

日銀によるオペの指し値が、2年利付国債370回の買入利回りでマイナス0.090%、5年利付国債129回の買入利回りはマイナス0.040%となった。しかし、実勢利回りが指し値よりも低下したため、11月17日の初の国債指し値オペの応札はゼロとなった。実弾を使わず空砲で利回り上昇を押さえ込む格好となっていた。

この昨年11月17日の初の指し値オペの水準であるところの5年国債でのマイナス0.040%を、10日にマイナス0.035%をつけて利回り水準が上回ってきたことで、11日の日銀の対応が注目された。

11日は国債の入札日ということで、通常の国債買入の予定はない。しかし、5年国債の入札が低調となり、ここからさらに5年債利回りが上昇するとかなれば、昨年11月17日と同様に国債入札日にもかかわらず、指し値オペ等を実施する可能性はないとはいえなかった

さらに市場が動揺を示すようなことがない限り、日銀の本来の操作対象(短期と長期)ではないはずの中期も一定水準で押さえ込んでくるのかは疑問である。市場では中短期ゾーンの海外投資家からの需要の後退、日銀の買入削減などから、ゼロ%あたりまでの上昇は黙認するのではとの見方もある。

しかし、その反面、日銀の支店長会議の総裁挨拶をみても日銀のスタンスに変化なく、7日の10年債と同様の対応を行ってくる可能性が全くないとはいえなかった。結果は11日の5年国債入札そのものが順調な結果となったこともあり、日銀は動きを見せなかった。

ただし、12日の日銀の国債買入では、1年超3年以下2800億円は前回5日と変わらず。3年超5年以下3300億円と前回5日の3000億円から300億円増額した。5年超10年以下は5000億円と7日に4500億円から5000億円に増額したままの金額とし、5年ゾーンと10年ゾーンの利回り上昇に配慮した格好となった。


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by nihonkokusai | 2017-07-12 10:22 | 債券市場 | Comments(0)

5月の債券市場ではメガバンクが買い越しに転じる

6月20日に日本証券業協会は5月の公社債投資家別売買高を発表した。公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

注意、マイナスが買い越し

単位・億円

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行-14782(-5216、-1087、-7778)

地方銀行-2150(500、-1082、-200)

信託銀行 1822(-1816、2954、676)

農林系金融機関-2589(-1812、0、105)

第二地銀協加盟行-479(-86、-145、0)

信用金庫-3475(-488、-97、32)

その他金融機関-698(-302、463、46)

生保・損保-2863(-2597、314、19)

投資信託-372(-439、88、330)

官公庁共済組合-138(20、0、2)

事業法人-238(-21、1、0)

その他法人-595(-89、-29、15)

外国人-19887(-803、-6541、-11738)

個人 163(2、28、3)

その他 19645(9555、1265、13598)

債券ディーラー-449(-61、-250、-128)

5月の国債の投資家別売買高をみると「信託銀行」、「個人」、「その他」を除いて総じて買い越しとなっていた。4月が銀行系主体に売り越しとなっていたが、それと対称的な動きとなった。期初の売り等でいったん外したポジションを買い戻した格好か。

都銀は1兆4782億円の買い越し。先月は1兆3436億円の売り越しとなり、4か月ぶりの買い越しとなる。超長期と中期ゾーン主体の買い越しとなった。超長期の買い越し額は2011年9月以来の大きさとなっていた。地銀は長期主体、農林系は超長期主体の買い越し。ただし、信託銀行は長期主体の売り越しとなっていた。売り越し金額でのトップは引き続き「その他」の1兆9645億円の売り越し。中期と超長期主体に売り越しとなった。

買い越し額のトップは引き続き海外投資家で、中期債主体に1兆9887億円の買い越しとなっていた。

5月の債券相場を振り返るとゴールデンウイーク中の債券相場は閑散小動き。7日のフランス大統領選の決選投票ではマクロン氏が勝利し、リスクオンの動きが意識されて円債は上値が抑えられた。FRBの緩やかな正常化の動きを連想さて米債は買われ、円債も月末にかけてやや押し目買いが入った。ただし、5月の10年国債の利回りの月中値幅がどうやら過去最小となったようで値動きは限られた。全体の売買高も海外投資家を含めてやや低調なものとなっていた。

投資家全体の売買状況 全体 超長期 長期 中期

1月1996647、303116、412877、588101

2月1958526、340593、481039、496524

3月2041609、385293、472883、558183

4月1914346、373287、391855、488680

5月1707093、320073、345208、435486

海外投資家の売買状況

月 売り越し買い越し(マイナスは買い越し)、(超長期、長期、中期)、国債売買高、うち中期

2017年

1月-23784(-1153、-504、-19500)、294839、61994

2月-11210(-2687、3009、-10323)、292813、51127

3月-17190(-4603、1222、-12886)、312730、58810

4月-21075(-3562、-4623、-11957)、321272、43951

5月-19887(-803、-6541、-11738)、269888、47170


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by nihonkokusai | 2017-06-21 10:02 | 債券市場 | Comments(0)

5月の債券市場ではメガバンクが買い越しに転じる

6月20日に日本証券業協会は5月の公社債投資家別売買高を発表した。公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

注意、マイナスが買い越し

単位・億円

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行-14782(-5216、-1087、-7778)

地方銀行-2150(500、-1082、-200)

信託銀行 1822(-1816、2954、676)

農林系金融機関-2589(-1812、0、105)

第二地銀協加盟行-479(-86、-145、0)

信用金庫-3475(-488、-97、32)

その他金融機関-698(-302、463、46)

生保・損保-2863(-2597、314、19)

投資信託-372(-439、88、330)

官公庁共済組合-138(20、0、2)

事業法人-238(-21、1、0)

その他法人-595(-89、-29、15)

外国人-19887(-803、-6541、-11738)

個人 163(2、28、3)

その他 19645(9555、1265、13598)

債券ディーラー-449(-61、-250、-128)

5月の国債の投資家別売買高をみると「信託銀行」、「個人」、「その他」を除いて総じて買い越しとなっていた。4月が銀行系主体に売り越しとなっていたが、それと対称的な動きとなった。期初の売り等でいったん外したポジションを買い戻した格好か。

都銀は1兆4782億円の買い越し。先月は1兆3436億円の売り越しとなり、4か月ぶりの買い越しとなる。超長期と中期ゾーン主体の買い越しとなった。超長期の買い越し額は2011年9月以来の大きさとなっていた。地銀は長期主体、農林系は超長期主体の買い越し。ただし、信託銀行は長期主体の売り越しとなっていた。売り越し金額でのトップは引き続き「その他」の1兆9645億円の売り越し。中期と超長期主体に売り越しとなった。

買い越し額のトップは引き続き海外投資家で、中期債主体に1兆9887億円の買い越しとなっていた。

5月の債券相場を振り返るとゴールデンウイーク中の債券相場は閑散小動き。7日のフランス大統領選の決選投票ではマクロン氏が勝利し、リスクオンの動きが意識されて円債は上値が抑えられた。FRBの緩やかな正常化の動きを連想さて米債は買われ、円債も月末にかけてやや押し目買いが入った。ただし、5月の10年国債の利回りの月中値幅がどうやら過去最小となったようで値動きは限られた。全体の売買高も海外投資家を含めてやや低調なものとなっていた。

投資家全体の売買状況 全体 超長期 長期 中期

1月1996647、303116、412877、588101

2月1958526、340593、481039、496524

3月2041609、385293、472883、558183

4月1914346、373287、391855、488680

5月1707093、320073、345208、435486

海外投資家の売買状況

月 売り越し買い越し(マイナスは買い越し)、(超長期、長期、中期)、国債売買高、うち中期

2017年

1月-23784(-1153、-504、-19500)、294839、61994

2月-11210(-2687、3009、-10323)、292813、51127

3月-17190(-4603、1222、-12886)、312730、58810

4月-21075(-3562、-4623、-11957)、321272、43951

5月-19887(-803、-6541、-11738)、269888、47170


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by nihonkokusai | 2017-06-21 10:02 | 債券市場 | Comments(0)

債券先物中心限月が9月限に交代、この債券先物の仕組みについて

 6月12日に債券先物9月限の売買高が6月限の売買高を上回ったことで実質的な中心限月の移行となった。ただし、取引所での中心限月の交代は、正式にはイブニング・前場・後場のオークション取引(つまり立会外取引除く)の出来高が逆転した翌営業日から中心限月の定義が変わる。つまり13日となる。この13日が債券先物6月限の取引最終日となっていた。


 今回はこの債券先物の仕組みについて確認してみたい。債券先物の受渡日は3月、6月、9月、12月の20日(休業日にあたるときは順次繰り下げ)と決められており、この取引期限を限月(げんげつ)と呼んでいる。限月の取引最終日は各限月20日の6日前となっている(休業日は除外する)。


 取引限月が3か月刻みである理由として、当時の債券現先取引などの利用期間がおおむね3か月となっていたことや、日本の国債の利払いが半年ごとであったこと、さらに世界的に金融先物の限月は3か月刻みが標準となっていたことなどが挙げらている。


 ただし、この世界的に3か月刻みとなっていたのは、現在の金融デリバティブの原型となっている堂島の米の先物取引、つまり帳合米商が影響していたのではないかとも思われる。帳合米商では1年を春夏冬の三期にわけてそれぞれ4月28日、10月9日、12月24日を精算日としていた。


 受渡日の近い先物限月のことを期近物、もしくは当限(とうぎり)と呼ぶ。また、受渡日が期近物よりも遠いものは期先物と呼んでいる。そして、出来高が最も多い限月を中心限月と呼ぶ。日本の債券先物については、海外の債券取引などに比べて、取引最終日近くまで最も取引期間の短い期近物が中心限月となり、売買がこれに集中しているという特性がある。


 債券先物の売買の最低単位は1億円(ミニは10分の1)、呼値の単位(価格の最小単位)は額面金額100円につき1銭として裸相場で行う。裸相場とは、経過利子を含まない債券価格のことを示す。このように債券先物は債券であるにもかかわらず、現物債のように利回りで売買されるのではなく、常に価格で売買されていることが特徴となっている。これは債券先物の標準物が、常に利率と残存年数(10年)が同じになるように作られ、価格と利回りが常に一致するためであり、そのため価格の連続性が保たれている。


 債券先物では取引を集中させるため、額面100円、利率6%、残存期間10年の仮想国債を「標準物」としている。決済期日が各限月の20日と固定されているので、売買した日が異なっても残存年数は常に10年であるこの標準物の国債は、現実には存在しない架空の債券である。標準物を取引対象にすることで、対象銘柄を変更する必要がないし、個別銘柄の属性を意識することがない。価格の連続性が維持されることになる。



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by nihonkokusai | 2017-06-15 09:55 | 債券市場 | Comments(0)

8日の一時的な円高と日本国債の急速な下落の仕掛け人

凍り付いていた債券市場が8日に突然氷解した。同じにドル円も急落し、一時109円30銭台をつけた。いったい何があったのか。

その兆候は中短期債にあった。膠着相場のなかにあって中短期ゾーンの国債がじりじりと売られていた。昨年11月17日に日銀は中期ゾーン主体の急激な金利上昇を抑制するため、初の指し値オペを実施した。その水準が2年利付国債370回の買入利回りでマイナス0.090%、5年利付国債129回の買入利回りはマイナス0.040%であった。

日銀にとっては中短期債の目安として、超過準備の一部にかかる付利のマイナス0.1%がある。長短金利操作付き量的・質的緩和の政策金利は短期でマイナス0.1%、長期でゼロ%程度となる。このため中期ゾーンでのマイナス0.1%以上の利回りに上昇してきたことで、昨年11月17日に指し値オペを実施してきたといえる。

今回も中期債はその水準に接近していた。この背景には中短期債への需要が後退したことがあげられよう。マイナス金利でも買える投資家は限られるというか実質、日銀と海外投資家となる。そのうち日銀は今年度の国債発行額の減少に合わせて買入額を減額した。さらに海外投資家にとってベーシススワップにおけるプレミアムの縮小で妙味が薄れてきた。

ベーシススワップにおけるプレミアムが存在していたのは、国内投資家による外債への需要があった。日銀のマイナス金利政策もあり、国内での利回り追求が難しくなり地銀などを中心に外債投資を増加させていた。円をドルに替える必要があり、その需要の強さがプレミアムを発生させ、外銀などがそのプレミアムの範囲内で多少のマイナス金利でもお釣りがくる日本国債での運用を行っていた。また単純にこのプレミアムによって日本国債投資を行っていた海外投資家も存在していたとみられる。

ところが、昨年12月あたりから国内投資家は外債を売り越すようになった。金融庁が外債運用を拡大させている一部の地域金融機関を対象に米国債の価格下落が経営に与える影響などの立ち入り検査を実施することなども影響した可能性があるが、いずれにしてもプレミアム分が剥げ落ちた分、日本国債の中短期債への投資妙味が後退した。

6月8日には5年国債の入札が予定されていた。日銀の絶対防衛ラインとみられるマイナス0.1%に接近していたこともあり、これはかなり警戒されていた。8日の前場に2年債利回りはマイナス0.100%、5年債利回りはマイナス0.080%にそれぞれ上昇していた。この日は3か月物TDBの入札もあったが、こちらもマイナス0.1%を上回る結果となっていた。ただし、この日の5年債入札は大手銀行系証券などが積極的に応札したこともあり、順調な結果となった。

このようなタイミングで8日の13時半過ぎあたりから、債券先物とドル円に仕掛け的な売りが入ったのである。ドル円は110円あたりから109円30銭台に下落、債券先物は高値から40銭下落した。40銭というのは以前では普通に動いた値幅ではあったが、ここにきて膠着感が強まっていただけに大きな動きに見えた。債券先物が日中40銭も動いたのは、2月3日に59銭動いて以来となる。しかもここにきての債券先物の日中出来高は1兆円から2兆円台で推移していた。ところが8日の債券先物の日中出来高は限月間スプレッド取引の分を差し引いても5兆円程度あり、なんらかの仕掛け的な動きとみることができる。

また、現物債は10年債も0.075%まで利回りが上昇したが、40年債は1%台に、30年債は0.8%台に利回り上昇するなど超長期ゾーンの下落幅が大きかった。超長期債の商いは中期債などに比べて、さほど多くはないこともあり、これまでも海外投資家が仕掛ける際は超長期債を使うことも多いように思われ、仕掛け的な動きの可能性があった。

同じようなタイミングでドル円も下落し、下げ幅は限られたものの日経平均も下落した。この仕掛け的な売りのきっかけとして、「日銀、出口論は「時期尚早」から「説明重視」に」とのブルームバーグの記事や、日経新聞の「金融庁が地銀の債券保有に新規制」との報道も指摘された。ただし、海外で大きなイベントを控えているなか、国内投資家がポジションを大きく減少させなければいけないほどインパクトのある記事の内容ではなかったように思われる。

むしろここにきての日本の債券市場の中短期債の軟調な地合と5年債入札、さらに海外での英国の総選挙、ECB理事会、コミー前FBI長官の議会証言などを控えて、国内投資家が動きづらいところに、仕掛け的な動きでロスカットなどを誘った可能性がある。

ドル円は8日の段階で110円台を回復し、英国の総選挙、ECB理事会、コミー前FBI長官の議会証言などでは特にサプライズもなく、9日の東京株式市場でも日経平均は2万円台を回復している。

しかし、債券については中短期債の地合悪化は続くとみられる。昨年11月のトランプ相場による急激な金利上昇ではなく、今回はあくまで緩やかな金利上昇に止まっており、9日の日銀の国債買入でも特に増額等の処置はとられていない。中短期債はマイナス0.1%以上の金利ならば、銀行などのニーズも出てくることで自動ブレーキが掛かることへの期待もあるが、いずれにしても海外投資家などの動向見ながら、債券は神経質な展開が継続すると予想される。


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by nihonkokusai | 2017-06-11 10:14 | 債券市場 | Comments(0)

国内投資家は4月の大量の外債の売り越しから、5月は大量の買い越しに転じていた

少し前のデータとなってしまうが、5月11日に公表された4月の対外対内証券投資売買契約の状況によると、居住者による対外債券(中長期債)投資は4兆2559億円の処分超となり、月次の売り越し額としては過去最大規模となってた。

ただし、このデータでは具体的にどの国の債券を売ったのなかまでは把握できなかった。それが6月8日に公表された国際収支の付表で確認することができた。参考までにこの国際収支の付表がアップされるサイトは下記となっており、そのなかで今年4月分の速報値の「付表3」の「主要国・地域ソブリン債への対外証券投資」で確認できる。

http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/release_date.htm

これによると4月に国内投資家は米国のソブリン債(中長期)を3兆6642億円売り越していた。ソブリン債とは主に国債のことを示すため、米国債を大量に売却していたのである。また、ドイツのソブリン債(中長期)も6319億円売り越していた。

昨年12月からの売り越しの内訳を「主要国・地域ソブリン債への対外証券投資」で確認してみると12月は米債を2兆3894億円、フランスの債券を1483億円売り越していた。1月は米債を1兆6298億円、フランス国債を1894億円売り越し、2月は米債を1326億円、フランス国債を1兆5180億円売り越し。3月は米債は1兆398億円の買い越しとなっていたが、フランス国債を9428億円売り越していた。

4月のフランスのソブリン債(中長期)については1971億円の売り越しに止まっていたため、4月の外債の売り越しの要因はフランス大統領選挙などを睨んだリスク回避とかではなかったようである。

地銀などは日銀のマイナス金利政策の影響で日本国債で利回りが稼げず、外債投資を増加させていた。しかし、金融庁は外債運用を拡大させている一部の地域金融機関を対象に米国債の価格下落が経営に与える影響などの立ち入り検査を実施することになり、特に4月に地銀などが保有する米国やドイツの国債のポジションをいったん大きく削減させていた可能性もあった。

ところが、6月8日に公表された5月の対外対内証券投資売買契約の状況をみると、今度は 3兆1074億円の買い越しとなっていた。米国債利回りは5月11日あたりに2.4%台に上昇後、直近では2.1%台にまで低下している。これは日本の投資家の買いも背景にあった可能性が出てきた。4月は単純に利益確定売りであった可能性も否定はできない。また、それまでかなり売り越してしまった分、資金の運用先に困っている状況に変わりはなく、米債の利回りなどをみて押し目買いを入れてきた可能性もある。

「5月の対外対内証券投資売買契約の状況」財務省

http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/itn_transactions_in_securities/month.pdf


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by nihonkokusai | 2017-06-09 09:43 | 債券市場 | Comments(0)

中期国債利回りが日銀の絶対防衛ライン?に接近中

ここにきて債券市場は膠着感をさらに強めているが、その膠着相場のなかにあって中期ゾーンの国債がじりじりと売られている。債券先物は150円台後半でしっかりしているように、総じて債券相場は堅調ななか中期債、特に2年債が売られている。

5月当初はマイナス0.200%台となっていた2年国債の利回りは本日一時マイナス0.100%まで売られた。また5年債利回りも5月当初はマイナス0.160%あたりだったのが、本日入札を控えていることもあり、マイナス0.080%とマイナス0.1%を割り込んでいる。債券は利回りと価格が反対に動く事に加え、マイナス金利となっていることで、ややっこしいが、マイナス金利幅が縮小していることは利回りが上昇していることになり、利回りが上昇しているということは価格は下落していることになる。

2年債のマイナス0.100%という水準は昨年11月16日につけたマイナス0.095%以来の水準となる。その翌日の11月17日に日銀は初の指し値オペを実施した。しかもその対象に2年債と5年債が入っていた。日銀の指し値オペとは金利上昇を抑制するために行われる。つまりそのような水準までここにきて2年債と5年債利回りは上昇してきたといえる。なぜ昨年11月17日に日銀は指し値オペを実施したのかを振り返ってみたい。

日銀は2016年11月17日に初の国債の指し値オペをオファーした。この目的は何かと問われれば、トランプ相場によるところの米長期金利の上昇を受けての日本の国債利回り上昇の抑制となる。

日経QUICKニュース社の取材に答えた日銀の金融市場局の担当者は、指し値オペの実施を初めて通知したことについて「短中期の金利の急速な上昇を踏まえたもの」とした。

黒田日銀総裁は17日午前の参院財政金融委員会で、米金利の上昇につれて日本の金利に上昇圧力がかかる中、長短金利を操作目標としたイールドカーブ・コントロール政策の下では、日本の金利上昇を容認することはないと語った(ロイター)。

日銀が17日は20年国債の入札日であるにも関わらず、異例の国債買入、しかも初の国債の指し値オペをオファーした背景には16日の債券相場の動きがあった。10年債利回りは16日の引け後にプラス0.035%まで上昇し、2年債利回りはマイナス0.095%、5年債利回りはマイナス0.040%に上昇したのである。

日銀によるオペの指し値が、2年利付国債370回の買入利回りでマイナス0.090%、5年利付国債129回の買入利回りはマイナス0.040%とまさに16日に売り込まれた水準近辺であった。

17日の初の国債指し値オペの応札はゼロとなった。実勢利回りが指し値よりも低下したためのことではあるが、これで2年債と5年債の利回りの下値の防衛ラインが意識されることとなる。2年債利回りでマイナス0.090%、5年債入利回りでマイナス0.040%の指し値オペの水準もしくは、日銀の超過準備の一部に掛かるマイナス金利、つまり付利のマイナス0.1%がある意味、日銀の防衛ラインともいえる。

ここにきての中期債の利回りの上昇は、海外投資家からのニーズの低下で需給そのものが緩んできたためともいえる。その背景には地銀などが海外の国債投資を抑制しつつあることで、ドルの調達ニーズの後退なども影響している可能性がある。つまり外的要因よりも需給に絡んでの利回り上昇といえる。

昨年11月の指し値オペは利回りの水準というよりも、日銀関係者の発言などから上昇ピッチの速さを意識していた可能性もある。今回のような緩やかな利回り上昇であれば、日銀は無理やり押さえ込むようなことをしてくるのかどうかは疑問である。ただし、一応防衛ラインともいえるマイナス0.1%に近づいたことで指し値オペの警戒とともに、付利の水準を下回ると押し目買いも入るとみられ、いったん利回り上昇にブレーキが掛かることが予想される。


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by nihonkokusai | 2017-06-08 10:13 | 債券市場 | Comments(0)

長期金利が1日半も値がつかず、日本の国債市場は大丈夫か

5月1日の日本の債券市場はまれに見る閑散相場となった。ベンチマートともいえる大阪取引所に上場している長期国債先物(債券先物)は、日中(ナイトセッション除く)で1.3兆円弱と、少ないながらも極端に少ないわけではなかった。しかし、問題は現物債であった。

日本の長期金利は10年国債の新発債の利回りとなっている。債券市場での現物債の取引は店頭取引と呼ばれる相対取引となっている。このため投資家と業者がいくらでどれだけ売買したのかは当事者以外にはわからない(当然ながら守秘義務も発生する)。このため現物債の動きをみるために使われているのが主に日本相互証券(BB)での売買となる。

日本相互証券とは証券会社が出資をして証券会社同士の国債を主体とした債券の売買をするために設立されたものである。ここは業者と呼ばれる証券会社などが自分のポジションの調整のために売買を行う。取引相手はわからないようにしながら、BBの専用画面で株式市場のような板を見る事ができる。もちろん商いの動向も端末を持っていれば把握できる。

この日本相互証券会社での10年国債の新発債(カレント物とも呼ばれる)で出合った利回りが、現物債の利回りとして市場で把握されることとなる。つまり日本の「長期金利」とは、日本相互証券会社で出合った10年国債の新発債の利回りとなっている。

そのBBでの10年カレントが5月1日にまったく出合いがなかったのである。しかも2日の前場も出合いなく、日本の長期金利は1日半も値がつかない状態となっていた。ただし、1日出合いなしというのは初めてのケースではない。5月2日の日経新聞の記事によると異次元緩和導入でみると、これまで計4回発生している。

ただし、1日は10年債のカレントの売買がなかっただけでなく、2年、5年、20年、30年、40年のカレントが先物の大引けとなる15時までに一本しか値がついていなかった。しかも、15時現在で、2年カレントが10億円だけ、5年カレントは20億円だけ、10年カレントは出合いなく、20年カレントは10億円だけ、30年カレントと40年カレントはそれぞれ5億円しか出合っていなかった。これはまさに異様に少ないと言わざるを得ない。

債券市場が冬眠状態となってしまった要因としては、5月1日は大型連休の狭間にあたったためということがある。また2日からのFOMC、5日の米用統計発表、7日のフランス大統領選挙の決選投票を控えて動きづらかった面もある。

しかし、そもそも日銀が異常な額の国債を市場から買い上げている上に、イールドカーブコントロール政策まで取り入れて、市場機能が失われつつあることが大きく影響していよう。日銀は物価目標を達成するまでこの異常ともいえる政策を続けるようであるが、それはつまり今後さらに債券市場の機能が失われる懸念は強まる。日銀の国債買入額は2017年度が前年度よりも国債発行額が減少することもあって、少しずつ減らしてはいるものの(ステルステーパリング)、それでも大量の国債買入が続いているのも確かである。

日本の国債市場は発行残高が膨大であることもあり、米国に次ぐ大きさとなっている。その機能が失われつつあるということは、経済や物価の動向を映す鏡が曇ってしまうだけでなく、人的資源の損失にも繋がりかねない。市場参加者そのものが減少するだけでなく、ファンダメンタルズなどに即して長期金利が動くことを経験する機会も失われることになる。果たしてこれで本当に良いのであろうか。


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by nihonkokusai | 2017-05-03 10:59 | 債券市場 | Comments(0)
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