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カテゴリ:債券市場( 682 )

今年のびっくり予想?、米国の長期金利の3%台回復

 10日の米10年債利回りは一時2.59%まで上昇した。これは9日に日銀が超長期ゾーンの国債買入を減額したことで、日銀も正常化路線に向きを変えてくるのではとの思惑で米債売りを誘い、それに加えて、中国当局が米国債の購入縮小もしくは停止を検討していると報じられたことで米10年債利回りは2.6%近くに上昇した。

 日銀が超長期ゾーンの国債買入を減額したのは正常化ではない。日銀の緩和策において、量の追求が厳しくなったことで、政策目標を金利に変更し、量の買入も長期化出来るように調整しているともいえる。

 15日の日銀支店長会議の挨拶でも、黒田総裁は「金融政策運営については、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。」とこれまでの発言内容を繰り返している。

 ただし、ECBも量的緩和の修正を検討するなどしており、原油高を受けて物価のさらなる上昇も予想される。このため市場では日銀による金融政策の正常化も今後は意識せざるを得なくなるとみられ、今回の米債の下落はそれがきっかけかと思われる。

 中国当局が米国債の購入縮小もしくは停止を検討していると報については中国当局が否定コメントを出している。

 このため、米10年債利回りが一時2.6%近くまで上昇した材料そのものはそれほどインパクトのあるものではなかった。ただし、2.6%という水準は実は節目にあたり、この水準に接近したことに意味があった。

 米10年債利回りは昨年3月に一時2.6%台に上昇したが、それ以降は低下基調となり、昨年9月に2%近くまで低下した。その後再び上昇基調に転じて2.6%に接近したのである。チャートからは2.6%を抜けてくると次の節目は3%までない。

 FRBはすでに正常化を進めており、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は1.25~1.50%まで引き上げている。しかし、米10年債利回りは2.6%以下の水準で推移を続けるなど米10年債利回りにはそれほど上昇圧力は加わっていない。これは物価がFRBの目標水準まで上がっていないことなども要因となっていようが、その物価についても世界的な景気拡大によって、今後さらに上昇圧力が加わる可能性がある。そうであれば今年の米10年債利回り(米長期金利)は2.6%近辺を上抜けて、3%を目指す可能性はありうると見ている。


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by nihonkokusai | 2018-01-16 10:04 | 債券市場 | Comments(0)

2017年の債券相場を振り返る

 2017年の債券相場を一言で表すと、「動かない」ということになりそうである。債券先物の中心限月(除くナイトセッション)でみると、年内の高値は9月8日につけた151円51銭、年内の安値は2月3日につけた149円28銭。つまり年内の債券先物の値幅は2円23銭しかなく過去最少値幅を更新した。

 また、現物の10年債利回りもマイナス0.015%から0.150%の間の動きとなって、こちらも過去最低の値幅となっていた。

 何故、動かないといえば、日銀のイールドカーブコントロールが効いているとしか言いようがない。日銀が2016年9月に決定した長短金利操作付き量的・質的金融緩和によって、金融政策のターゲットが量から金利に戻り、長期金利そのものもターゲットとなった。ターゲットはゼロ%としているものの、これまでの指し値オペなどの状況からみて、マイナス0.10%あたりからプラス0.1%あたりに置いていると推測され。10年債利回りはほぼその水準に収まっている。

 日銀により10年債利回りが抑えられたのが2月3日であり、10年債利回りが0.150%まで上昇した際に、0.110%水準での指し値オペが実施され、これによって長期金利の上値が抑えられた。また、9月には10年債利回りが一時マイナスとなったが、これは日銀というよりも市場が10年債利回りのマイナス化を高値警戒といったかたちで嫌ったような格好となった。

 FRBは3月、6月、12月のFOMCで追加利上げを決定した。しかし、物価がFRBの想定する水準に届いていないこともあり、米10年債利回りの上昇は限られた。3月に2.6%近辺に上昇したあと、9月に2%近くまで低下し、その後2.5%あたりまで戻した。

 今年はオランダの議会下院選挙やフランス大統領選などもあり、政治リスクも気にされていたが、大きなリスク要因とはならなかった。英国のEU離脱についてもいまのところそれほど大きなリスク要因とはされていない。むしろ北朝鮮や中東の地政学的リスクが意識されたが、こちらも大きく材料視されることはなかった。

 米国株式市場は上昇を続け、3指数は過去最高値を更新し続けた。日本でも雇用を主体とした景気回復もあって、日経平均は23000円近くまで上昇した。物価も前年比で1%近くまで上昇しているが、いまのところ日銀は動く姿勢をみせておらず、長期金利は日銀のターゲットのなかで推移している状況となった。


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by nihonkokusai | 2017-12-31 12:23 | 債券市場 | Comments(0)

パンダ債とは何か

 日本と中国の金融当局は、日本企業が中国で人民元建ての債券、いわゆる「パンダ債」を発行できるようにすることで合意した(NHK)。

 パンダ債とは何か。この不思議な名前の債券のことはわかりづらい面があるかもしれない。

 日本政府や日本の企業が日本で発行する債券は国内債とも呼ばれるが、これに対して日本企業などが海外で発行する債券や、海外の政府や企業などが日本国内で発行する債券を「外債」と呼んでいる。たとえば、最初に発行された日本国債は鉄道敷設を目的とした九分利付外貨国債で、これはロンドンで発行した外債である。現在、日本国債は国内で消化可能となっているため、外貨建ての発行はされていない。

 外債には海外の政府や政府系機関、地方公共団体や国際機関、また民間企業が日本国内で発行する債券もある。国際機関や外国の政府、法人が日本国内で発行する円貨建の債券は「円建て外債」と呼ばれるが、なぜか通称があり、「サムライ債」とも呼ばれる。

 海外の発行体が外貨建てで、しかも日本国内で発行するという「外貨建て外債」という債券もある。債券市場関係者はこれを「ショーグン債」と呼んでいる。

 このように外債には呼称が付けられることがあり、オーストラリア市場において非居住者によって起債される豪ドル建債券はカンガルー債、英国内で非居住者によって起債されるポンド建て債券はブルドッグ債と称されている。この流れで非居住者が中国で人民元建て発行される債券のことを「パンダ債」と呼んでいる。

 今回、パンダ債の発行についてはみずほ銀行が中国人民銀行から発行の認可を得たと発表した。日本企業としては初めてとなる。発行額は5億人民元、年限は3年を予定しているそうである。三菱東京UFJ銀行も中国当局に申請中とのこと。

 パンダ債の発行により、日本企業の元の調達手段が広がることになり、中国事業の拡大に追い風となる(日経新聞)。また、この動きは領土問題でぎくしゃくしていた日中関係が改善に向かいつつあることを示すものともみられる。

 中国はこのところ中国政府はヨーロッパ連合やロシアなどにもパンダ債の発行を相次いで認めており、金融市場の国際化を進めていることを内外にアピールする狙いがあるともされている(NHK)。


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by nihonkokusai | 2017-12-26 09:04 | 債券市場 | Comments(0)

11月の公社債売買、「その他」が大量売り越しに

 12月20日に発表された11月の公社債投資家別売買高によると、都銀は6266億円の売り越しとなっていた。10月の1兆2339億円の買い越しから再び売り越しに転じた。10月に都銀は超長期債を買い越していたものの、中長期債は売り越していた。

 海外投資家は11月に1兆8565億円の買い越しとなった。10月の買越額は8963億円と1兆円割れとなっていたが、11月は再び大きく買い越していた。海外投資家は中期債主体に長期、超長期債ともに買い越していた。

 気になるのは「その他」の2兆5746億円の売り越しか。中期と超長期をそれぞれ1兆円以上売り越している。「その他」は主に政府関係機関であり、ゆうちょ銀行やかんぽ生命も含まれており、金額からみて、ゆうちょ銀行による売り越しとみられる。

 公社債投資家別売買状況の下記データは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 6266(-3164、1179、8604)

地方銀行 3462(-212、2698、330)

信託銀行 -2433(-1794、1797、-1829)

農林系金融機関 -1676(-896、207、20)

第二地銀協加盟行 320(290、180、0)

信用金庫 -7(514、609、0)

その他金融機関 2053(1522、1436、143)

生保・損保 -2255(-2093、277、127)

投資信託 -906(-372、-52、-116)

官公庁共済組合 327(37、110、80)

事業法人 -221(-8、-2、1)

その他法人 -456(16、-16、70)

外国人 -18565(-4201、-1544、-11347)

個人 215(1、42、2)

その他 25746(10155、3395、15595)

債券ディーラー -577(-343、9737、11886)

 11月の全体の国債売買高は203兆円程度となり、10月は183兆円程度と200兆円を割り込んでいたが再び200兆円台を回復した。

 債券相場は9月の下降トレンドが終了し、10月がもみ合いとなっていたが、11月上旬に先物は151円台を一時回復するなど買い戻された。現物は中長期債主体に買い進まれた。その後は10年債利回りのゼロ%も意識されて高値警戒も出たことで、150円台後半での膠着相場となった。


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by nihonkokusai | 2017-12-25 09:25 | 債券市場 | Comments(0)

欧米の国債の動向に注意せよ

 12月20日に米上下両院が税制改革法案を可決し、成立が確実となった。これを受けて19日の米国債券市場で、米10年債利回りは一時2.47%をつけて10月につけた水準に接近した。ここはひとつの節目といえる。20日には2.5%台をつけてこの節目を抜けてきた。今年3月につけた2.6%が次の節目となる。

 FRBは今月のFOMCでも利上げを決定したが、米国債の利回りはほとんど上昇する兆しをみせていなかった。しかし、ここにきて再び動意を示してきた背景にはいくつかの要因が絡んでいる。

 19日の米債下落の要因としては、税制改革法案が可決・成立したとなれば、それによる経済効果を期待してのものとの見方もある。しかし、現実にはあまりその効果は期待ではないとの見方も強い。むしろ、減税分の負担が意識されたのではなかろうか。それは結局、米国債の増発によってカバーされる可能性が強く、米国債の需給面が意識された。

 それともうひとつ大きな要因があった。それは19日から20日にかけて、同日に欧州の国債利回りも米国債同様に大きく上昇していたことである。むろん、ドイツや英国の国債は米国債との連動性は高いものの、欧州の国債下落の背景は米国債以外のところにあったことも注意すべきかと思われる。

 欧州の国債下落の背景のひとつは、ドイツ政府の来年の債券発行予定額は1470億ユーロとなり、特に30年債が増発される事を嫌気したものであった。しかし、ドイツなど中核国だけでなくイタリアなど周辺国の国債利回りの上昇が大きくなっていたのは、別の理由があった。それはECB関係者の発言によるものであった。

 11月22日にECBのクーレ理事(フランス出身)は、インフレが回復軌道に戻ると政策担当者らがより楽観的になる状況で、来年は債券購入よりも金利を重視する方向で金融政策のガイダンスを修正することになりそうだと語った(ブルームバーグ)。

 ドイツなどに比べてより中立的でドラギ総裁に近いとされたクーレ理事のこの発言により、ECBがより正常化を意識し始めていることが明らかになった。ここに他の委員からの発言が加わったのである。

 スロバキア中銀のマクチ総裁は「現在、議論は資産の購入から、将来的な金利の上げ下げへとシフトしている」と話した。エストニア中銀のハンソン総裁も「金利を含めた金融政策のさまざまな面について注意をしてもらうよう市場と対話することが、今後数か月で考えていくべきことだろう」と指摘した(ロイター)。

 ドイツ連銀のワイトマン総裁はこれまで、ECBは量的緩和について完全な終了時期を明示すべきだとの従来の見解を繰り返してきた、これは主流派ではないとの見方も強かったが、マクチ総裁、ハンソン総裁、そしてクーレ理事の発言内容からみると、来年9月まで延長した資産買入についての再延長は考えておらず、来年は利上げを視野に入れてそのタイミングを計ることが意識され始めていることが伺える。今回の欧州の国債が売られた背景は、ECBが利上げも意識しつつあることを察知してのものではなかろうか。

 米国債と欧州の国債はタイミングを同じくして売られたが、それぞれ売られた要因は異なっていた。しかし、米国債とドイツ、英国の国債の連動性が高いことも確かであり、今後はそれぞれの要因が相まって、さらに利回りが上昇してくる可能性がある。むろん、今後の物価動向も意識する必要もある。ただし、これまでおとなしかった分、年末で流動性が低下している面もあり、変動幅が大きくなる可能性がある。


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by nihonkokusai | 2017-12-21 09:39 | 債券市場 | Comments(0)

10月の債券売買、都銀が大きく買い越しに

 11月20日に発表された10月の公社債投資家別売買高によると、都銀は1兆2339億円の買い越しとなった。9月に都銀は1兆1532億円の売り越しとなっており、決算を意識した動きとみられる。都銀は9月に中期債を9050億円売り越していたが、10月には中期債を1兆5060億円買い越していた。

 海外投資家は10月に8963億円買い越しとなっていた。9月は2兆4042億円と久々に大きく買い越していたが、10月の買い越し額は7月以来の1兆円割れとなった。海外投資家は長期債を3366億円、中期債を4360億円買い越していた。

 公社債投資家別売買状況の下記データは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

注意、マイナスが買い越し

単位・億円

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 -12339(2421、1054、-15060)

地方銀行 -4913(-440、-1258、-1342)

信託銀行 -946(-828、-3162、3866)

農林系金融機関 -4457(-2640、177、0)

第二地銀協加盟行 -1350(-560、-391、0)

信用金庫 -3802(-884、-619、20)

その他金融機関 -743(531、-241、4)

生保・損保 -4103(-2059、-10、-285)

投資信託 -1174(-222、6、-935)

官公庁共済組合 -226(-143、2、0)

事業法人 -750(-59、-4、2)

その他法人 -587(-164、-5、431)

外国人 -8963(496、-3366、-4360)

個人 237(0、22、3)

その他 4230(3274、-394、5094)

債券ディーラー 186(81、-8、209)

 10月の全体の国債売買高は183兆円程度となり、9月の201兆円程度から減少していた。全体の中期ゾーンの売買高は10月は51兆円程度となり、50兆円台を維持させているが、このうちの海外投資家は26兆円程度となり、9月の30兆円程度からは減少した。

 10月の債券相場は9月の下降トレンドがいったん収まり、債券先物で150円台前半主体のもみ合い相場となっていた。このなかで都銀などは決算を意識した売買を行っていたとみられ、相場そのものは膠着相場となっていたが、それなりに出来高も維持していた。


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by nihonkokusai | 2017-11-21 09:14 | 債券市場 | Comments(0)

米国、ドイツ、英国の長期金利動向に変化

 米国とドイツ、英国の10年国債の利回り、いわゆる長期金利の動きはかなり似通っている。格付け上位国であり、お互いの影響も受けやすい。これは日本の長期金利にも、ある程度はあてはまるが、こちらは日銀のイールドカーブコントロールに抑えられていることで、日本の長期金利は大変狭いレンジ内で似通った動きとなっている。

 しかし、ここにきて米国、ドイツ、英国の長期金利の動きに連動性がなくなりつつある。

 米国の長期金利は9月上旬に2%近辺まで低下していたが、ここからトレンドラインを形成し上昇基調となっている。市場では12月のFOMCでの年内3回目の利上げに不透明感をいだいていたが、FRB関係者の発言などから、利上げ観測が強まってきた。さらにFRB議長人事で、タカ派とされるテイラー氏の可能性が浮上したことでの米債安、つまり長期金利の上昇もあった。FRB議長人事はパウエル理事の昇進が有力視されているが、テイラー氏の副議長就任の可能性もある。いずれにしてもこれまでのFRBの政策が維持されるとみて良いと思われる。12月の利上げが意識されれば、2.6%あたりまでの長期金利の上昇があってもおかしくはない。

 これに対してドイツの長期金利は9月上旬の0.3%付近からいったん0.5%近くに上昇後は、0.35%あたりから0.50%のレンジ内での上げ下げとなり、ここにきて再び0.4%割れとなっている。ECBは26日の理事会で量的緩和政策の縮小を決めた。今回の決定は大規模な緩和政策のペースを緩めるものであり、正常化に向けた一歩との見方ができなくはないが、FRBなどに比べると極めて慎重姿勢となっている。このECBの慎重さがドイツの長期金利の戻りが抑えられている要因となり、米長期金利とはやや異なった動きとなっている。さらにスペインの政治情勢も意識されているとみられ、リスク回避によるドイツ国債への買いとの動きも絡んでいよう。

 そして英国の長期金利であるが、9月上旬の1%割れから米・独の長期金利と同じように上昇したものの、1.3%台でもみ合う格好となっている。ドイツの長期金利ほどの落ち込みはなく、高い水準で次のトレンドを探ろうとしている。11月2日のイングランド銀行のMPCでは10年ぶりの利上げが予想されているのが、この水準を維持している背景にあるとみられる。利上げが決定してもある程度は織り込み済みかもしれないが、問題はFRBのように正常化の歩みをここから始めるのかどうかである。つまりイングランド銀行はここから利上げを続けてくるのかどうか。それともECBのような慎重さを前面に出してくるのか。MPCの動向が英国の長期金利の動向を握っている。

 結論としては、ここにきて米国とドイツ、英国の長期金利の動きにやや違いが出ているのはそれぞれの中央銀行のスタンスの違いが反映されていると言える。


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by nihonkokusai | 2017-10-31 09:35 | 債券市場 | Comments(0)

9月の債券、海外投資家は押し目買い

 20日に発表された9月の公社債投資家別売買高によると、都銀は1兆1532億円の売り越しとなり、それに対して海外投資家は2兆4042億円の買い越しとなっていた。海外投資家は6月、7月と買い越し額は1兆円を割り込んでいたが、8月は3兆円近くの買い越しとなっており、9月はそれよりは買い越し額は縮小していたとはいえ、存在感を示した格好となった。

 8月の都銀は小幅買い越しとなっていたが、9月は1兆円を越す売り越しとなり、同時に発表された国債の投資家別売買高をみると中期ゾーンを9050億円、 超長期ゾーンを2357億円売り越していた。これに対して海外投資家は中期ゾーンを1兆8317億円、長期ゾーンを4557億円買い越していた。

 公社債投資家別売買状況の下記データは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

注意、マイナスが買い越し

単位・億円

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 11532(2357、816、9050)

地方銀行 -35(674、-231、850)

信託銀行 -4208(-2913、1061、-1079)

農林系金融機関 -2722(-2512、284、20)

第二地銀協加盟行 312(364、-114、0)

信用金庫 -1643(-562、306、40)

その他金融機関 -1366(-259、-218、60)

生保・損保 -4227(-3647、41、14)

投資信託 -477(151、306、-430)

官公庁共済組合 -262(-212、2、0)

事業法人 -473(-57、1、0)

その他法人 -925(-188、-39、90)

外国人 -24042(-967、-4557、-18317)

個人 241(-34、26、4)

その他 18967(7153、-5340、21058)

債券ディーラー 415(-5、931、-460)

 9月の全体の国債売買高は201兆円程度となり、6月の212兆円以来の200兆円台を回復した。中期ゾーンの売買高は7月に35兆円程度と一時的に落ち込んでいたが、8月、9月と50兆円台を回復させている。

 9月の債券相場は米債が年内利上げ観測の強まりなどから下落トレンドとなり、円債も同様に下落した。この間に都銀などは利益確定売りを急いだようだが、海外投資家はしっかり押し目買いを入れていたようである。


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by nihonkokusai | 2017-10-21 13:22 | 債券市場 | Comments(0)

ロクイチ国債の暴落を知っているか

 10月の日本経済新聞の「私の履歴書」は、野村證券株式会社副社長や日本取引所グループの最高経営責任者(CEO)などに就任した斉藤惇氏が執筆している。10月12日の「私の履歴書」では下記のような記述があった。

 「78年から79年にかけて発行された表面利率6.1%の国債、いわゆるロクイチ国債が、79年から80年にかけて大暴落する局面にも立ち会った。そんな中でも野村はしぶとかった。」

 ロクイチ国債と聞いてピンとくるのは、当日の債券市場を知る一部の人に限られようが、日本国債の最初の暴落とも言える出来事であった。

 国債の流動化があまり進んでいなかったころに、国債は一度大きな暴落を経験している。それがロクイチ国債と呼ばれた国債の暴落である。1978年は当時とすれば低金利局面であり、4月にそれまで発行された10年国債の最低利率である利率6.1%(通称、ロクイチ国債)の国債が発行された。

 1979年4月以降は本格的な金利上昇局面となり、国債価格は大きく下落した。景気拡大や原油価格の上昇により、6月にロクイチ国債の利回りは9%を超えてきた。この国債の下落を受けて、12月には金融機関の保有国債の評価法が、従来の低下法から原価法または低価法の選択性となった。

 1980年に日銀は2月、3月と立て続けに公定歩合を引き上げ、長期金利も大きく上昇し、ロクイチ国債は暴落した。4月にロクイチ国債の利回りが12%台にまで上昇し、国債を保有している金融機関がパニック状況に陥ったのである。その後、米国金利の急激な低下などにより債券市況は急回復したが、ロクイチ国債の暴落は大蔵省(現財務省)の国債管理政策にも大きな影響を与えたとされる。

 斉藤惇氏によるロクイチ国債に関する記述は少なかったものの、最後の「そんな中でも野村はしぶとかった」との部分が非常に気になった。ロクイチ国債の暴落に当時の野村證券がどう立ち向かったのか。数少ない国債暴落時の経験だけに、できればその経験を将来に生かすためにも、そのときの状況を知りたいものである。


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by nihonkokusai | 2017-10-13 09:38 | 債券市場 | Comments(0)

ここにきて日米欧の国債が売られている理由

 米10年債利回りは7月上旬に2.4%近くまで上昇していたが、その後低下トレンド入りし、9月上旬に2.0%近くまで低下した。この間に米10年債利回りが低下した背景として、イエレンFRB議長が謎とした足元物価の低迷があった。FRBの年内あと一回の利上げは見送られるのではとの見方もあり、金利を押し下げた。また、北朝鮮が相次いでミサイルを発射し、核実験を行うなど地政学的リスクも意識されて、リスク回避による米債買いもあった。

 米10年債利回りの低下に合わせるようにドイツの10年債利回りも低下し、7月中旬に0.6%近辺にいたドイツの10年債利回りは9月上旬に0.3%近辺に低下した。ドイツの10年債利回りの低下の背景には米債が買われたことだけでなく、ユーロ圏の物価も低迷し、ECBの超緩和策の修正も極めて慎重に行うとの見方などもあったとみられる。

 日本の10年債利回りも7月7日に0.105%まで上昇し、日銀が指し値オペを実施したタイミングがピークとなり、9月1日に10年債利回りが再びマイナスとなった。しかし、この水準がボトムとなり、今度は上昇基調となってきている。

 日本の10年債利回りは足元、0.080%あたりまで上昇し、再び0.1%を試すかのような動きとなっている。米10年債利回りも9月上旬の2.0%近辺から2.3%台に上昇した。ドイツの10年債利回りも9月上旬の0.3%近辺から0.5%近くまで上昇している。

 ここにきて日米欧の国債が売られている理由としては、足元物価は謎としても、9月のFOMCにおける金融政策見通しで、会合参加者の多くが年内1回の追加利上げを予想するなど年内利上げ観測が再燃したことも挙げられよう。また、2日に発表された9月のISM製造業景気指数が2004年5月以来の高水準を記録し、この日の米国株式市場は3指数ともに過去最高値を記録したが、米景気の好調さも米10年債利回りの押し上げ要因となっているとみられる。

 ここに財政面の懸念も出てきている。トランプ大統領は連邦法人税率を35%から20%に下げる税制改革案を正式に発表したが、財源の問題があり、米国債の増発など財政悪化も懸念材料となりつつある。

 日本では衆院選挙が実施されることとなったが、安倍首相は消費税の増収分の使途変更を表明した上で、2兆円規模の新たな経済対策を行うとしている。対抗馬となりそうな小池氏率いる希望の党は消費税の凍結を打ち出すなど、日本でも財政健全化に対する懸念が生じつつあり、これが日本国債を買いづらくさせている。

 北朝鮮問題については、ひとまず軍事衝突は避けられるとの見方もあり、地政学的リスクの後退により、米債、ドイツ国債、日本国債ともに再度売られた側面もある。

 このようにいくつかの要因によって、日米欧の国債の利回りは揃って上昇基調にあるが、注目は日本の10年債利回りがどこまで上昇するのかということになるのではなかろうか。再び日銀が0.1%で抑えに掛かれば、日本国債の利回りだけでなく、米国債やドイツの国債利回りも抑えられる可能性がある。しかし、日本国債の利回りだけが強制的に抑えられ、米国やドイツの国債利回りがさらに上昇するとなれば、日本国債を取り巻く状況に変化が生じる可能性もある。


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by nihonkokusai | 2017-10-04 10:07 | 債券市場 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
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