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カテゴリ:インフレ・デフレ( 1 )

もはやデフレではない、の意味

 政府が月内に策定する経済財政運営の基本方針「骨太の方針」の原案が判明し、このなかで日本経済の現状を「もはやデフレ状況ではない」と強調し、戦後復興を象徴する流行語となった「もはや戦後ではない」(1956年の経済白書)を彷彿とさせる表現で経済政策「アベノミクス」の成果を評価した(毎日新聞)。

 国際通貨基金や国際復興開発銀行などの組織を中心したブレトン・ウッズ体制のもと、1955年あたりから日本経済は高度経済成長の波に乗り、好景気が1964年まで続いた。その期間の中でも、1955年から1957年にかけて日本は「神武景気」と呼ばれた大型景気を迎えたのである。主要な経済指標は戦前水準を回復し、1956年度の「経済白書」では「もはや戦後ではない」と宣言した。それだけ戦後の日本経済が立ち直ってきたという証でもあった。

 「骨太の方針」の原案によるとアベノミクスの成果として、1~3月期まで6四半期連続のプラス成長となった実質GDPや、3%台半ばまで低下した失業率などの経済指標を取り上げ、「もはやデフレ状況ではなく、デフレ脱却に向けて着実に前進している」と明記しているそうである。

 念のため、日本のGDPの推移を確認してみるとアベノミクスが登場した2012年第4四半期にプラスに転じ、そこから2014年第1四半期まで6四半期連続でプラスとなっている。米国はこの間、2014年第1四半期がマイナス1.0%となるまでプラスが維持されている。ユーロ圏は日本よりは遅れたが、2013年第2四半期にプラスとなり4期連続のプラスとなっている。英国は日本と同じく2012年第4四半期にプラスに転じ、そこから2014年第1四半期まで6期連続でプラスとなっている。日本の6四半期連続のプラス成長の要因とは何であったのか。アベノミクスによる急激な円高修正が影響したことは確かであるが、それ以外の要因も考慮する必要がある。

 失業率についても、アベノミクスが開始される前にすでに改善傾向にあった。景気回復がさらなる改善に寄与した可能性はあるが、世界的な危機の後退による経済の回復や円高修正による影響を除いて、どの程度アベノミクスと呼ばれた政策が寄与したのか。特に第三の矢と呼ばれた成長戦略に具体性がなかったこともあり疑問が残る。

 物価そのものについては、市場よりも日銀の見方が正しかったという結果となっており、その意味で予想以上の物価上昇となっている。4月は消費増税の影響を除くと日銀が目標としているコアCPIは前年比プラス1.5%となっている。これには円安の影響もあり、消費増税を機にこれまで売上げの伸び悩みを恐れて行ってこなかった価格転嫁も起きていた可能性も否定はできない。

 しかし、そもそもデフレとは何か。今回のデフレ脱却宣言に見えるものも、物価そのものを全面に押し出すのではなくGDPや失業率を持ってきている。物価さえ上がればうまくゆくとしたのがリフレ政策であったとすれば、物価上昇を基調において、その結果としてGDPや雇用も回復したものであったのか。景気が回復してその結果物価も上がるというのは本来あるべきものと思うが、少なくとも一本目の矢は物価そのものをターゲットにおいていたはずである。この最初の矢の効果はどれだけあったのか。アベノミクスの成果を評価するのであれば、ここをまず重視しなければいけないのではあるまいか。

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by nihonkokusai | 2014-06-06 09:11 | インフレ・デフレ | Comments(0)
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