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カテゴリ:財政( 40 )

米国のデフォルトは回避、今後への影響

 米国のデフォルトはぎりぎりになって回避された。まさにチキンレースとなり、野党・共和党が最後の最後におれて、与党・民主党が粘り勝ちした格好なのかもしれないが、無益な争い、というより有害な争いは勘弁してほしいところである。

 米議会上院は、米政府に来年2月7日まで国債発行を認めると同時に、閉鎖中の政府機関を再開するため1月15日までの暫定予算案を本会議で採決し可決された。下院でも可決し、オバマ大統領の署名により成立した。

 こうして最大の懸念材料となっていた米国のデフォルトは回避されることになったが、2週間以上に渡り続いていた政府機関の一部閉鎖による影響も無視はできない。政府機関は、法案に大統領が署名後ただちに再開すると伝えられている。

 FRBが発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)によると、「政府機関閉鎖と債務上限協議を主な要因とする不透明感の増大を指摘する向きも多かった」との報告があった。ただし、経済への影響はそれほど深刻な問題にはならないだろうとの見方もある。直接的な影響は限定的であったとしても、間接的な影響も存在する。そのひとつが経済指標に関するものとなる。

 10月4日に発表される予定であった9月の米雇用統計の発表は22日となる。また、10月集計分の発表は11月8日に延期されるとか。問題となりそうなのは集計期間中に政府機関が閉鎖となってしまった10月分の数字となる。遡っての集計がどれだけ可能なのか。特に家計調査に基づく失業率の数字がどうなるのかも気になるところ。特に雇用に関する経済指標はFRBの金融政策にも影響を与えうる。

 そのFRBであるが、市場参加者の多くはすでに年内でのテーパリング開始は困難との見方を強めている。しかも、今回の妥協案となる予算案は1月15日まで、国債発行については2月7日までという暫定的なものであるため、2014年1月28日、29日に開催されるFOMCでのテーパリング開始決定も難しいかもれない。1月末で任期終了となるバーナンキFRB議長は、自らの任期中に出口への道筋をつけることはできず、イエレン次期議長にそれを委ねることになる可能性も出てきた。



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by nihonkokusai | 2013-10-18 09:54 | 財政 | Comments(0)

政府のシステムは複雑、米国危機回避は急ぐ必要も

 米国の財政問題を巡る与野党の協議に動きが見えてきた。米国下院の共和党指導部は債務上限を無条件で11月22日まで引き上げる案を提示した。無条件の債務上限引き上げ案が可決するとなれば、オバマ大統領は署名するとの観測もあり、これにより、米国の債務不履行がひとまず回避されるとの見方が強まった。

 10日の米国市場ではデフォルト回避との見方が強まった。ただ、12月や1月に償還を迎えるTBの利回りは上昇した。あくまで一時的なデフォルトリスクを回避しただけであり、11月22日までに解決されなければ再びデフォルトの可能性が出てくる。

 ところが、日本時間の11日の朝にオバマ大統領は共和党の短期間の債務上限引き上げ案を拒否するの観測が流れた。政府機関再開が提案に含まれていないためだそうだが、拒否との報道は誤報とも。オバマ大統領、下院共和党提案にイエスともノーとも言わなかったとの報道もあった(ロイター)。

 すでに2週目に突入している政府機関の閉鎖も早めに解決しなければ、各所に影響が及ぶ。米雇用統計の調査対象期間となるのは、日曜日から数えて12日を含む週となり、10月の調査週は今週(10月6日~12日)となり、このまま政府閉鎖が続けば調査ができない可能性が指摘されている。非農業雇用者数については遡っての集計も可能かも知れないが、失業率のもとになる家計調査に支障が出ることも考えられる。もし10月の米雇用統計がパスされるようなことになれば、FRBの金融政策にも影響を与えかねない。

 ブルームバーグによると米政府機関閉鎖で電子機器の発売に遅れが出る懸念についても報じられている。コンピューターや携帯電話、ゲーム機、テレビ、無線医療機器など電波を出す製品はいずれも、米連邦通信委員会(FCC)の審査を通過する必要があるが、それが滞る可能性があるとか。

 政府機関の閉鎖が今回のように長期に及ぶと、予想外の影響が出てくる可能性があるが、その影響度を個別に確認することは難しい。政府のシステムはかなり複雑となっており、その影響を完全に把握することは当事者も容易ではないのではなかろうか。

 米国のルー財務長官は、米債務上限が期限まで引き上げられずに米国がデフォルト(債務不履行)に陥った場合、政府が支払い義務を選択的に果たすことはシステム上不可能との見解を示した(ロイター)。

 米債務上限が期限まで引き上げられない際に、支払い義務を選択すれば良いとの見方があったが、「そのようなことができると考える人は、われわれの複合的支払いシステムの構造を分かっていない。非常に複雑なシステムであり、われわれが適切に支払うことを意図したものだ。支払いをしないために作られているわけではいない」と説明した(ロイター)。

 政府資金のシステムは支払いをしない前提で構築されているわけではなく、しかも支払先が多岐にわたり、一部の支払いを停止するなどいうことは技術的に困難であろう。仮に人海戦術で何とかしようとしても、現在、政府機関は閉鎖中でそれを準備できるような状況にもない。

 今月17日までに債務上限を引き上げる対応を議会が取らなければ、米国が債務不履行(デフォルト)に陥るのは時間の問題となる。まずはこのデフォルトの懸念を取り除き、多方面に影響を与えかねない政府機関の閉鎖についても、早急な解決が求められる。政治上の駆け引きも時には重要なのかもしれないが、世界経済を混乱に陥れる「懸念」がある以上は、そのようなことをしている場合ではない。



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by nihonkokusai | 2013-10-12 10:59 | 財政 | Comments(0)

米国の債務不履行(デフォルト)のリスク

 米国議会では暫定予算を巡っての攻防が続き、政府機関の一部閉鎖は続いている。政府機関閉鎖に伴う米経済への影響も気掛かりながら、今月17日までに債務上限を引き上げる対応を議会が取らなければ債務不履行(default)に陥りかねない深刻な事態も迫ってきている。

 10月2日に米国財務省は「Report on Macroeconomic Effect of Debt Ceiling Brinkmanship」というレポートを発表し、仮に債務不履行に陥れば金融市場や雇用、消費に破滅的な影響を及ぼし2008前のリーマン・ショック時の金融危機か、それ以上の打撃となると警告した。

 米国では2011年にも債務上限引き上げを巡り、与野党での合意が得られず債務不履行のリスクが高まった。しかし、これは期限である8月2日に民主・共和両党指導部が合意したことで、ぎりぎりになって回避され、デフォルトは免れた。この際、協議が難航した要因として、ティー・パーティーの存在があげられていた。

 米国の大手民間の格付会社スタンダード・アンド・プアーズは、その合意した数日後の8月6日に、自国である米国の長期格付けを最上位のAAAからAA+に1段階引き下げた。S&Pは1941年に米国の格付けを最上級格のAAAを付与していたが、米国債の格下げは初めてであった。

 米国が債務不履行に陥るとどのような影響か出るのか。米財務省のレポートは、ドルと財務省証券は国際金融システムの中心にあることで、壊滅的な事態になる恐れがあると指摘している。ドルが急落し、米国の長期金利の急上昇により世界経済に悪影響を及ぼし、リーマン・ショック時かそれ以上の金融危機やリセッション(景気後退)を引き起こしかねないとしている。

 ただ、現実にはそれほどの影響は与えないのではないかと予想される。もしデフォルトが発生したとしても、あくまでこれは技術的な問題であり、2010年のギリシャのような信用不安が発生するようなことは考えづらい。ただし、ドルは世界の基軸通貨であり、米国債は世界の金融商品にあって中心的な役割を果たしている以上、まったく影響が出ないとたかをくくるわけにはいかない。

 金融市場にあっては信用が最も重要である。特に通貨や国債への信用維持はそれが金融市場の根幹を成しているともいえることで、最大限信用を維持させる必要がある。それを少しでも毀損させるようなことは、避けられるものは極力避けるべきものである。安倍首相が来年4月からの消費増税を表明したのも、国債への信認維持のためであったはずである。米国も与野党の意地の張り合いで、自国の信用を傷つけ、それが世界経済に悪影響を与えることは極力慎むべきであり、もしデフォルトを起こしてしまうと歴史に汚点を残すことになることを認識すべきである。

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by nihonkokusai | 2013-10-05 17:41 | 財政 | Comments(0)

1940年の幻の東京五輪と財政悪化

 過去の日本でのオリンピックの開催年が、日本の財政の転換点となっていたことは、これまで何度か指摘してきた。あらためてまとめてみると

1964年の東京オリンピック、昭和40年不況、戦後初の国債発行、均衡財政主義の転換
1972年の札幌オリンピック、日本列島改造論・福祉元年、社会保障費増加のきっかけ
1998年の長野オリンピック、不良債権問題、日本国債の格下、運用部ショック


 日本の財政悪化のきっかけとなったのが東京オリンピック後であり、1965年に均衡財政主義が転換され、戦後初めての国債が発行された。その国債は現在まで発行され続けていている。

 国債発行額の増加は公共投資と社会保障費の増加が主な要因であるが、そのきっかけとなったのが1972年の日本列島改造論であり、さらに福祉元年と呼ばれたこの年である。そして、日本国債の発行額が急増したのが1998年であり、国債格下げや運用部ショックと呼ばれた国債の急落もこの年に起きていた。

 このようにこれまで国内でオリンピックが開催された年は日本の財政悪化の大きな分岐点となっていたことは明らかである。1964年の東京オリンピックは国の威信をかけたものであり、大規模なインフラ整備が実施されたことで、その反動が財政悪化を招いたことは理解できる。しかし、札幌と長野の冬季オリンピックは直接的に日本の財政に影響を及ぼすようなものではなかったように思われる。それでも分岐点になっているということは何らかの関わりがある可能性がある。いずれこのあたりを調べてみたいが、実は日本でのオリンピック開催年はもうひとつあった。1940年の幻となったオリンピック東京大会である。

 東京での開催は1936年(昭和11年)の国際オリンピック委員会(IOC)で決定された。1940年が紀元2600年にあたり、これを記念する一大行事としてオリンピックが位置付けられ、昭和6年(1931年)から招致活動が実施された。この招致活動が実施された年に高橋財政がスタートしている。高橋財政の円安政策、財政政策、金融政策により日本は不況から一気に脱却した。

 この幻のオリンピックが決定したのが1936年7月31日であった。この東京でのオリンピック開催が決定される数か月前の1936年2月26日に起きたのが2・26事件であり、高橋是清蔵相が軍部により暗殺された。このあたりの経緯については拙著「聞け! 是清の警告」で確認していただきたいが、緊縮財政に移行しようとして軍部と対立した是清が暗殺されてしまったのである。その後も1940年の東京オリンピック開催の準備が進められていたが、日中戦争等の影響から日本政府は1938年(昭和13年)7月にその実施の中止を決定した。

 高橋是清は日銀による国債引受という手段を使って国債発行を容易にした。それにより財政拡大を可能にしたが、不況から脱したあとインフレを懸念して財政拡大にブレーキを掛けようとしたときに、是清自身が暗殺されてそれが不可能となった。つまり、その後の日本の財政は悪化の一途を辿ることになる。このあたり、日銀百年史のデータを元にして確認してみたい。

 東京オリンピック開催が決定した昭和11年度末の日本の政府債務残高のGNP比は63.5%、オリンピックが開催されていたはずの昭和15年度末が78.7%、16年度末が93.1%、17年度末が105.1%、18年度末が133.4%、19年度末が204.0%となっている。

 これを見ても明らかなように、幻となった東京オリンピック開催の年も日本の財政の大きな分岐点となっていた。もちろんこの背景には戦争があったことは確かであるが、それでも国内開催のオリンピックイヤーは日本の財政の分岐点になっていたことは事実である。

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by nihonkokusai | 2013-09-19 09:15 | 財政 | Comments(0)

東京五輪開催の2020年は日本の財政の分岐点に

 2020年の夏季オリンピック・パラリンピックの東京開催が決まった。スペインのマドリードが東京を追い上げたとされていたが、決選投票は東京とトルコのイスタンブールの対決となり、東京が選出された。一部のニュースによるとIOC委員の44、45人の票が見込めるとされていたそうだが、最初の投票で東京が獲得したのは42票とほぼ読み通りとなっていたようである。このあたりロビー活動がかなり功を奏しており、決選投票での圧勝は日本のプレゼンテーションもかなり影響していたと思われる。

 東京オリンピック開催決定で今後7年間での日本経済への回復期待も強まろう。9日の東京株式市場は買いが先行し日経平均は14000円台を回復し、外為市場では日本のデフレ脱却が意識されてドル円は一時100円台を回復した。日銀の異次元緩和による期待創出についてはその波及経路がはっきりしないものの、東京でのオリンピック開催による期待は波及経路もはっきりしている。ここにきて回復基調となりつつある日本経済への効果も大きなものとなろう。

 9月9日に発表された4~6月期GDP改定値は前期比年率3.8%増と、速報値の2.6%増から上方修正された。2日公表された法人企業統計の内容が加味され、設備投資が大きく引き上げられたことによる。安倍首相は10月1日の日銀短観を確認してから来年度の消費増税について判断するとしている。その短観も現在調査期間中であり、元々良い数字が期待されているが、そこにオリンピック効果もオンされる。来年4月の消費税の引き上げは予定通りに実施される公算が高くなってきた。

 消費税の引き上げは、日本の財政再建が大きな目的となっている。政府は2020年度までにプライマリーバランスを黒字化するのを目的としているが、予定通りの消費税の引き上げが行われたとしても、その達成は困難との見方も出ている。東京オリンピック開催の2020年までにプライマリーバランスを均衡もしくは黒字化は可能となるのか。過去の自国開催のオリンピックが日本の財政にとって分岐点となっているだけに、2020年も日本の財政にとっても大きな分岐の年となることが予想される。

 ここでも何度か指摘したが、過去のオリンピックの自国開催と財政の動向を再確認してみたい。1964年の東京オリンピックに向けてのインフラ整備等の反動が、昭和40年不況を呼び、戦後初の国債発行に繋がった。札幌で冬季オリンピックが開催された1972年は日本列島改造論が出た事に加え、福祉元年とも言われた年となった。その後のオイルショックも加わり、高度成長から低成長時代に移るとともに、一般歳出に占める社会保障費を増加させるきっかけとなった。長野で冬季オリンピックが開催されたのが、1998年2月である。この2月に30兆円の公的資金枠を設けた金融システム安定化法が成立するなど、日本では不良債権問題が大きくクローズアップされた。11月にはムーディーズによる日本国債の格下げがあり、年末には運用部ショックもあった。日本の財政悪化が加速されたのが、この1998年あたりからである。

 2020年が日本の財政にとり分岐点となるならば、それはこれまでのように悪い方向に向かうのか、それとも良い方向に向かうのか。すでに1000兆円を超えている国の借金がさらに増え続け、日本の債務状態が深刻な問題となり、長期金利が大きく上昇するといった事態が発生するのか。それとも日本の債務悪化に一定の歯止めが掛かり、オリンピック開催をきっかけに日本の債務問題が解消の方に向かうのか。何かしら起きるとすれば前者の可能性が高いように思われるが、後者となるような努力がいまは必要になると思われる。7年という月日は決して長くはない。

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by nihonkokusai | 2013-09-10 09:47 | 財政 | Comments(0)

消費増税に対する浜田氏の意見

 安倍首相は消費増税についての最終判断は10月1日に発表される日銀短観を確認してから行うとか。何のために60人もの有識者を集めて会合を行ったのか、との疑問はさておき、この会合は消費増税に関して、有識者と呼ばれる人達がどのような認識を持っているのかを確認する上でも、貴重な機会であったのかもしれない。

 各参加者の用意した資料とともに、どのような議論が交わされていたのかも議事要旨から確認できる。今回はそのなかで、消費増税反対の急先鋒といえる浜田宏一内閣官房参与のコメントから見て見たい。

 増税の反対理由として、「税率を上げても、それが国民所得を減らすような形で働く状況では何の役にも立たず、国民に負担がかかるだけである。 」と指摘していた。これは長らく議論されていたものであり、これまで消費税引き上げが先送りされた大きな理由であると思われる。

 そして「次に先日発表された第1四半期の4-6月期のGDPの伸びは十分な力が不足している。」としている。

 9月9日に発表されるGDP改定値では、8月発表の速報値から大きく上方修正され、民間調査機関10社がまとめた予測の平均は前期比年率換算で実質3.8%増と速報値(2.6%増)を上回るとされている(日経新聞)。これは2日に発表された4~6月期の法人企業統計でGDP改定値を算出する基礎となる季節調整済みのソフトウエアを除く全産業の設備投資額が予想以上に増加したためである。ところがこのあとのコメントをみると、浜田氏は設備投資の伸び悩みを指摘している(たぶん製造業の伸び悩みの指摘だとは思うが)。

 「今、潜在成長率は、日本経済の成長できる天井のようなところで、そこに向けて一生懸命アベノミクスの一の矢で日本経済を天井まで持っていこうと努力している。それで、雇用も改善している。 しかし、まだGDPギャップが2%ぐらいは存在するので、設備が余っている。設備が余っているところに投資が大きく生まれるはずがない。」

 日銀が国債を大量に買い込むことで、どのようにして潜在成長率を引き上げることができるのか。そこには期待という魔法の効果が存在するのであれば、人々の消費意欲だけでなく企業の投資意欲も引き上げて設備投資も自然に伸びていくというのが、リフレ派の発想ではなかったろうか。もちろんその効果はあるが、それでも時間が掛かるために、増税は時期尚早との指摘のようである。しかし、本当に魔法の効果は現れてくるのであろうか。

 この増税反対意見に対しては、中空麻奈氏が「最近、消費税率の増税の方ばかりに目が行き過ぎているかと思う。消費増税はあくまでも社会保障との一体改革と理解しているので、やはり両輪で考えないとそれは違うのではないかというのがベーシックなところである。 」と指摘している。これが正論のように思う。

 消費増税に反対しているのは浜田・本田両官房参与を筆頭とするいわゆるリフレ派である。黒田日銀総裁は増税賛成派であり、日銀としてはそのようにまとまっているように見えるが、過去の岩田副総裁の発言等からは岩田副総裁は本音では増税に反対しているのではないかとも推測される。読売新聞の社説でも増税反対との意見が出され、政治に影響力を持つある人物の影も見え隠れする。

 アベノミクスはリフレ派の主張をほぼ100%取り入れた政策であった。それが円安株高を招いたとして安倍政権の支持率を押し上げた。このため消費増税の行方についてもリフレ派の主張をある程度尊重さぜるを得ないために、結論をぎりぎりまで先送りしているように思える。

 ここで最も問題となるのは、そのリフレ派の政策は本当に正しいものであったのかという点である。さらに過去のリフレ派の主張には、財政規律については蔑ろにしている面が多分にあった。消費増税の扱いも同様といえる。もし消費増税が先送りされるとなれば、4月4日の異次元緩和とともに財政規律に対する懸念がリスクとして浮かび上がってくる可能性がある。これが最も重要な問題点となる。

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by nihonkokusai | 2013-09-06 09:42 | 財政 | Comments(4)

首相は消費税をどうしたいのか

 政府は消費税率を来年4月に引き上げるかどうか、安倍首相の判断の参考にするため有識者60人から意見を聴く「集中点検会合」を26日にスタートさせた。いまさら60人の話を聞いても、ある程度結論は出ているはずである。まさか多数決で決めるわけではないと思うが、増税反対派、増税賛成派それぞれの意見もすでに集約されているものであり、いまさら話を聞いてどうするのか。

内閣府「今後の経済財政動向等についての集中点検会合」、http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/tenken/index.html

 この有識者会号は政府向けではなく、マスコミや国民向けのものと理解すべきかと思う。すでに法律を通してしまったものであり、国際公約となってしまっているものを覆すには、増税反対派もかなりおり、その意見に耳を傾け国民の間でも賛否両論ある以上は、いったん見送りにして1年後に再び考えても良いのではないかとするつもりなのであろうか。

 そもそもアベノミクスのブレーンであり、生みの親ともいえる浜田宏一、本田悦朗両内閣官房参与が消費税の引き上げに反対しており、首相も本音では増税の見送りを意識していると考えざるを得ない。そうでなければ、今頃になって費用もかけての有識者会合など開く必要性がないはずである。

 リフレ派といってもいろいろいるが、その壮大な実験を始めたばかりであり、円安・株高とそれによる影響以外には、異次元緩和により目立った効果は見当たらない。コアCPIのプラス転換も規定路線である。景気の回復についても、アベノミクスによるものというよりも、世界的なリスク後退とそれによる欧米の景気回復に負うところも大きく、そこに円安の影響が加わっている。

 浜田宏一内閣官房参与は集中点検会合の2回目会合で、 消費税率引き上げの1年先送り、または毎年1%ずつの引き上げを提言したが、1年先送りについては、壮大な実験を行ってしまった以上はその効果を確認する必要があり、消費増税がその結果そのものを不透明にさせかねないとの意識があるのかもしれない。興味深いことに浜田氏は1年後は景気の善し悪しに関わらず、消費増税を行うとしている点である。つまりは増税そのものを引っ込めるべきとの主張ではないが、1年先送りする理由を明らかにしてもらわないと、意味がわからない。

 この2人のブレーンだけでなく、ある人物が安倍首相の消費増税に対する揺らぎに影響していた可能性が出てきた。8月31日の読売新聞の社説のタイトルが「消費税率 「来春の8%」は見送るべきだ」となっていた。内容については下記を読んでいただきたいが、無利子非課税国債にも触れている。つまりこの社説は、自民党にも大きな影響力を持っており、無利子国債について以前から主張していた人物の意向が反映されている可能性があり、安倍首相にもその影響が及んでいる可能性がある。

消費税率 「来春の8%」は見送るべきだ(8月31日付・読売社説)、http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130830-OYT1T01397.htm  

 この社説では景気の本格回復を実現したうえで、2015年10月に5%から10%へ引き上げることが現実的な選択としている。ただし、浜田氏のように1年後は景気の善し悪しに関わらず、消費増税を行うとは指摘していないが、似たように主張とも言える。

 個人的には消費増税は予定通りに実行すべきと思ってはいるが、この際、リフレ的な政策をどんどん推し進めて何が起きるのかを試してもらうのもひとつの手なのかもしれない。消費増税は先送りし、東京オリンピックの招致も決まれば、公共投資も積極化できる。日銀が大量の国債を買い入れている状況化、国債発行には支障はなく、過去最大規模の予算も組める。物価が思うように上がらなければ、日銀にはさらなる国債買入を行わせ、財政ファイナンスとの懸念も出ようが、それで円安・株高が進行すれば目先は問題はない?。日本国債は簡単には暴落はしないし、需給は日銀がコントロールできる。そんな状況はあと1年ぐらいは継続できるのかもしれない。しかし、そのあとに何が待ち構えているのか。リフレ的な政策の行き着く先に何があるのか、それはぜひ拙著『聞け! 是清の警告 アベノミクスが学ぶべき「出口」の教訓』を首相にも読んでいただきたいと思う。

拙著「聞け! 是清の警告 アベノミクスが学ぶべき「出口」の教訓」、発売中です。 8月31日の日本経済新聞朝刊に広告が掲載されています。


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by nihonkokusai | 2013-08-31 12:54 | 財政 | Comments(0)

日本の財政の分岐点となった過去のオリンピック自国開催

 2020年の夏季オリンピック開催地を決める国際オリンピック委員会総会の9月7日の開催まで11日に迫った。東京、マドリード、イスタンブールの3都市が名乗りを上げ、現在は東京、マドリードの一騎打ちとの見方となっているようだが、かなりの接戦とも伝えられている。

 東京でオリンピックが開催されたのは1964年(昭和39年)であるが、実はその前に1940年(昭和15年)に東京でオリンピックが開催されることが予定されていたことをご存じであろうか。このオリンピックは日中戦争の拡大などにより東京は開催権を返上し、未開催となった。

 この幻のオリンピックが決定したのが1936年7月31日であった。この東京でのオリンピック開催が決定される数か月前の1936年2月26日に起きたのが2・26事件であり、高橋是清蔵相が軍部により暗殺されたのである。

 拙著『聞け! 是清の警告 アベノミクスが学ぶべき「出口」の教訓』(すばる舎)では、高橋財政とアベノミクスの共通項をいくつか指摘した。世界的な恐慌、デフレ、震災などの共通項を指摘したが、どうやらこのオリンピック招致も共通項であった。

 オリンピック招致は国が行うものではなく都市が行うものであるが、もしオリンピック招致が決まれば国が動く。昭和39年の東京オリンピックに向けては、国内で大規模なインフラ整備が急ピッチで行われた。東海道新幹線、東名高速道路、首都高、東京モノレール、青山通り等々である。現在はこれらのインフラの老朽化も問題化している。

 東京オリンピックに向けてのインフラ整備等の反動が昭和40年不況を呼び、戦後初の国債発行に繋がった。実は過去のオリンピックの国内開催は、すべて日本の財政面で大きな転換の年となっていた。

 札幌で冬季オリンピックが開催された1972年は日本列島改造論が出た事に加え、福祉元年と言われた年となった。その後のオイルショックも加わり、高度成長から低成長時代に移るとともに、一般歳出に占める社会保障費を増加させるきっかけともなった。

 そして、長野で冬季オリンピックが開催されたのが1998年である。日本では不良債権問題が大きくクローズアップされ、11月にはムーディーズによる日本国債の格下げがあり、年末には運用部ショックもあった。このあたりから日本の財政が急速に悪化した。

 このオリンピック招致が高橋財政時に行われていたということは興味深い。軍拡が背景にあったが、当時の産業は中小企業中心のものから重化学工業に移りつつあった。産業構造が変わり、高橋財政により景気そのものも回復し、オリンピックが招致できる下地となっていた。当時のオリンピック招致には高橋財政によるデフレからの脱却も大きく関係していたと思われる。

 アベノミクスを打ち出した安倍政権は4年前の民主党政権時とは異なり、自ら陣頭に立って招致活動を行っている。安倍首相の外遊の多さの背景には、このオリンピック招致も関係しているとされている。

 9月7日にどのような決定が下されるのか。もし東京に決まったとなれば、2020年が日本の財政にとり転換の年となる可能性が高い。1940年の東京オリンピックは幻に終わったがその後日本ではハイパーインフレを迎えた。1964年の東京オリンピックは戦後の財政の転換の年となり、1972年の札幌オリンピックは財政悪化のきっかけとなり、それが加速したのが1998年の長野オリンピックあたりからとなる。

 参考までに、政府は次回東京でオリンピックが開催されるかもしれない2020年度までに、プライマリーバランスを黒字化することを国際公約としている。

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by nihonkokusai | 2013-08-28 09:39 | 財政 | Comments(2)

消費増税を予定通り実施すべき理由

 ねじれ解消後初の臨時国会が8月2日に召集された。国会のねじれが解消し、安定政権が少なくとも3年程度は続くことも予想されるなか、安倍政権の最初の試金石は消費増税の行方となりそうである。消費増税法案は2012年8月に民主、自民、公明3党などが賛成したことで可決、成立している。ただし、この消費増税法案には附則18条が含まれており、安倍首相は種々の指標を確認し、経済情勢をしっかりと見極めながら判断していくとしている。つまり見直す可能性を残した格好となった。

 これに対して公明党の山口代表は記者会見で「消費税率を2段階で引き上げることは、いろいろな議論を経て法律で決めたことであり、重いものだ。いま出されている意見はすでに検討済みのものであり、変えなければならない状況にあるとは判断していない」と述べ、消費増税の見直しについては否定的な考えを示した(NHKニュース)。

 自民党の大島・前副総裁は派閥の会合で、「基礎的財政収支の赤字を平成27年度までに半減するなどとした財政健全化目標については、閣議決定であるとともに、国際公約でもある」と指摘。自民党の野田税制調査会長も、「財政健全化のシナリオが崩れることになれば相当のダメージがある。さまざまな経済指標を見ると、消費税率を引き上げる数少ないチャンスになりつつあり、タイミングが来れば安倍総理大臣は淡々と決断すると期待している」と述べた(NHKニュース)。

 さらに黒田東彦日銀総裁は7月29日の講演のあとの質疑応答で、「消費税の2段階の引き上げによって日本経済の成長が大きく損なわれるということにはならないと、日銀政策委員会のメンバーは考えている」と語った(日経新聞電子版)。

 「私は」ではなく「日銀政策委員会のメンバーは」としていたのは個人的な考え方というよりも、日銀としてそのような認識を持っており、予定通りの消費増税を実施するよう働きかけたように思われる。

 消費増税が景気に対してマイナスの影響を与える以上、このタイミングでの引き上げは避けるべきとの意見はある。しかし、そもそも社会保障費の増加に対して何ら踏み込んだ手段を講じてこなかったのは、この消費増税を担保にしていたからであり、このタイミングでも遅いくらいである。世界的なリスク後退もあり、米経済の回復等も見込まれ、国内景気も回復しているなかにあり、いまが引き上げの良いタイミングであろうことも確かではなかろうか。

 それよりも注意すべきは、黒田総裁の発言である。アベノミクスの実質的な主軸は、成長戦略でも財政政策でもなく、リフレ政策を意識した大胆な金融政策である。その異次元緩和の手段が日銀による巨額の国債買入である。これは見方によれば、財政ファイナンスと認識されかねない。それが財政ファイナンスではないことを示すためには、政府が財政規律を守る姿勢を見せることが重要となる。その財政再建策の中心に消費増税がある以上、これをもし予定通り実施しないとなれば、自民党の野田税制調査会長が指摘したように、財政健全化のシナリオが崩れ、長期金利に財政リスクプレミアムが上乗せされて、相当のダメージが加わる懸念が生じる。

 これについてはIMFも、「財政再建が遅れ日本の国債に対する投資家の信頼が揺らげば、市場の混乱などを通じて世界全体の成長率を大きく押し下げるおそれがある」との指摘をしている(NHK)。

 長期金利に財政リスクプレミアムが上乗せされるといったテールリスクを心配する必要はないと、これは債券市場関係者からも指摘されるかもしれない。それほどまでに日本国債への信頼度は高いものがある。しかし、それに頼っていつまでも巨額債務問題を野放しにしてしまうと、大きなしっぺ返しが訪れるであろうことも確かではなかろうか。そのようなリスクを避けるためにも、特に日銀が大胆な国債の買い入れを実施しているなかにあり、消費増税は予定通りに実施するべきものであろう。

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by nihonkokusai | 2013-08-03 08:37 | 財政 | Comments(0)

消費税引き上げを躊躇するリスク

 日本の景気は着実に回復基調となっている。2013年4~6月期のGDP実質成長率は年率で前期比3.5%増の予想となっており、消費の盛り上がりが生産を押し上げ、雇用の改善が再び消費を促す好循環の兆しが出ている(日経新聞)。その雇用についても6月の完全失業率は前月比0.2ポイント低下の3.9%と4%割れに。失業率の改善は2か月ぶり。3%台はリーマン・ショック当時の2008年10月以来となった。6月の有効求人倍率は前月より0.02ポイント上昇して0.92倍となり、2008年6月以来の高水準に。円安による自動車などの輸出企業の業績回復が求人を増加させてきているようである。

 この日本の景気回復の背景に円安効果があり、その円安にはアベノミクスによる影響があったことは間違いない。異次元緩和が物価を押し上げるかはさておいて、安倍自民党総裁の輪転機発言に飛びついた海外投資家が、円安や日本株高を仕掛けたことは確かである。その背景には欧州リスクを中心とした世界的なリスク後退があったにしても、急激な円安にはリフレ派の意見を取り入れたアベノミクスが効果を発揮したと言わざるを得ない。

 このアベノミクスが模倣したとするのが高橋是清による高橋財政であり、リフレ派はこれをレジーム・チェンジという言葉を使って称賛しており、デフレ脱却の手本としている。この高橋財政は円安政策と財政政策、そして金融政策をミックスした政策であり、昭和恐慌と呼ばれた不況から脱することを目指したものであった。当然ながらデフレ脱却というより不況からの脱却に向けて政策を総動員した。

 アベノミクスは不況ではなくデフレからの脱却を意図したものであるが、デフレ脱却のためには政策を総動員する必要があるとリフレ派は考えているのであろう。このため来年4月からの消費増税はなんとしても止めたいとの意向も強いように思われる。安倍晋三首相のブレーンで内閣官房参与を務める浜田宏一氏は、「2年で5%の増税は景気に与えるショックが大きく、かえって税収が減少する可能性があるとし、1年ごとに1%ずつ引き上げていくなど漸次的な増税が望ましいと表明」(ロイター)し、安倍首相も同様の考えを持っているようである。

 政府が来週にもまとめる中期財政計画では、4月からの消費税率の引き上げを今の時点では明確には盛り込まないようである。消費税引き上げには、景気情勢などを総合的に判断して引き上げを最終判断することになっており、その前に税率を引き上げた場合、景気などに与える影響や必要な経済対策について有識者らから意見を聴くよう指示する方針も伝えられた。

 これに対して甘利明経済再生担当相は30日の経済財政諮問会議終了後の会見で、消費税引き上げについて、リーマン・ショックのようなよほどの外的要因がない限り、消費税を引き上げないとの選択肢はないと述べた。ただし、上げ幅については「私が言及することではない」とし、専門家の意見なども踏まえて安倍晋三首相が最終判断すると指摘している(ロイター)。

 ここで注意すべきは、高橋財政の結末である。高橋財政は「その後」をみるべきではなく、それ以前の政策とその成功だけをみるべきとの意見もリフレ派からはあったが、高橋財政の出口の失敗は見て見ないふりはできない。要するに極端なリフレ政策のリスクは財政規律を蔑ろにするところにある。高橋是清は緊縮財政に移行しようとして、2・26事件で暗殺されてしまう。

 IMFのチーフ・エコノミストのオリビエ・ブランシャール氏は、アベノミクスに対して、「公的債務が極めて高水準なことを踏まえると、中期的な財政再建計画がないのであれば財政による景気刺激策を実施するのはリスクが高いといえる」と指摘していた。その中期的な財政再建計画の要のひとつが消費増税である。このあたりをしっかりと認識しておかなければ、市場が動揺しかねず、アベノミクスが結果として失敗する可能性もある。

 日銀の異次元緩和で大量の国債を購入しても、それが財政ファイナンスと認識されないのは、政府による財政規律の維持が大前提となっているはずである。景気への配慮も必要かもしれないが、現在の日本の債務状況のなかで異次元緩和を行ってしまった以上、財政規律を維持する姿勢を堅持することのほうが重要ではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2013-08-01 09:43 | 財政 | Comments(0)
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