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カテゴリ:中央銀行( 257 )

試行錯誤しているFRBの出口政策

 中央銀行による超緩和政策からの出口政策は非常に難しい。市場がその緩和策に慣れてしまい、それに依存してしまっている状況となると尚更である。昨日発表された6月18・19日分のFOMC議事要旨の内容や、その後のバーナンキFRB議長の講演後の会見内容からもその困難さが垣間見られる。

 FOMCの議事要旨では、複数のメンバーが資産買い入れの縮小が近く正当化される可能性があると判断していたが、多くのメンバーが、資産買い入れのペースの減速が適切となる前に、労働市場の見通しの一段の改善が必要と指摘していた。

 バーナンキ議長は会見で、インフレ率は依然低水準で失業率は雇用情勢を誇張している可能性があり、当面は金融緩和策を継続する、との方針を示した。運が良ければ、より高い成長や労働市場の継続的改善を生むようなプラス要因もあると発言したようで、これまでの出口に向けた前向きの姿勢を少し改めた格好となった。

 市場では5月と6月のバーナンキ議長の発言から、早ければ9月のFOMCで量的緩和政策の縮小を開始するのではとの見方が強まり、米国の長期金利は7月7日に2.7%台に上昇した。5月22日に2%台に乗せてから上昇基調を強めており、このままの上昇ピッチが続くと3%台に乗せるのは時間の問題となる。10日のバーナンキ議長の発言で、出口に向けた政策に関してトーンダウンしたのは、この米長期金利の上昇も意識されていたものとみられる。

 それでも7月5日に発表された6月の雇用統計でも雇用の改善は確認されており、FRBのスタンスとしては出口に向けた政策を今後は淡々と打ってくると予想される。これに対して市場はかなり敏感に反応していたが、米国政府からは特にそれを非難するような声は飛んできていない。

 日銀が最初のゼロ金利政策を2000年8月に解除した際に、政府は議決延期請求権を行使し、反対の姿勢を明確にしていた。2006年3月の量的緩和政策と7月のゼロ金利政策の解除に際しては、表だっての反対はなかった。しかし、当時の安倍晋三官房長官は、金融面から経済を十分支えてほしいとの観点で、当面ゼロ金利政策の継続が望ましいとの考えを示していた(ロイター)。実際のところはかなり反対していたらしいが、政府はあくまで日銀が独立性をもってやる判断だとの認識を示していたことで、表だっての反対姿勢は示さなかった。そのときの反省も踏まえ、リフレ政策を中心としたアベノミクスが生まれたとも言える。

 日銀の場合には市場よりも政府の反応、FRBの場合には政府よりも市場の反応をかなり意識せざるを得ない。これは世界経済に与える影響度の違いとともに、中央銀行の存在そのものに対する政府による認識の違いが現れているためと思われる。

 日銀の場合、出口政策は2年後にコアCPIが2%になりそうな際に考えるべきものとなっているようであり、いま考えるものではないとの雰囲気であるが、FRBはできれば早めに、巨額の債券買入はブレーキを掛けたいというのが本音であろう。過去にこのような出口政策はあまり経験はないはずであり、試行錯誤し、市場との対話を進めながら、そのタイミングを計っているようである。

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by nihonkokusai | 2013-07-12 09:38 | 中央銀行 | Comments(0)

フォワード・ガイダンスが欧米の金融政策の柱に

 ECBのドラギ総裁は4日、定例理事会後の記者会見で、「理事会はECBの主要金利が長期間にわたり、現行水準もしくはそれを下回る水準になると予想する」と発言した。これまでECBは、金利に関して予断を持たず、形式上は事前に将来の金融政策についてコミットしないという方針を貫いてきたが、その方針を変更してきたようである。

 ECBのクーレ専務理事は仏紙ルモンドのインタビューで「これはコミュニケーション上の変化であって、金融政策の戦略変更ではない」と発言していた。また、ECB理事会メンバーであるフランス銀行のノワイエ総裁は6日に、「フォワード・ガイダンスはわれわれの責務に完全に付随しており、われわれの戦略の2本柱とも一致している」と記者団に述べたそうである(以上、ロイター)。

 イングランド銀行でも、7月1日に就任したばかりのカーニー新総裁が早速動きを見せた。7月4日のMPCにおいて、金融政策そのものは据え置いたが、政策金利を市場が想定したよりも長期にわたって過去最低に据え置くことを示唆し、こちらも封印していた将来の金融政策見通しを示すガイダンスをはじめた。8月のMPCでは「インフレ・レポートと同時に、何らかのフォワード・ガイダンスを導入する」としている。カーニー総裁は前カナダ中銀総裁であり、そのカナダ中銀はフォワード・ガイダンスをすでに導入していたことで、イングランド銀行でもそれを採用するのではとの観測も流れていたようである。

 フォワード・ガイダンスとは、将来の政策金利などについて事前に示唆することにより、市場の期待に働きかけようとする、中央銀行の市場とのコミュニケーション手段である。それを最初に取り入れたのが日本銀行である。1999年2月の最初のゼロ金利政策を導入した日銀はその2か月後の4月に「デフレ懸念の払拭が展望できるような情勢になるまで」ゼロ金利政策にコミットすることを公表した。2001年3月に量的緩和策を導入した際には、「コアCPIの前年比上昇率が安定的にゼロ%以上になるまで、量的緩和政策を継続する」とし、量的緩和政策の継続に関するコミットメントの条件を明確化した。

 ドラギ総裁は、ECBがフォワード・ガイダンスを取るのは初めてと強調したそうだが、なぜこのタイミングでそれを表明したのか。FRBの量的緩和の縮小に向けた動きで市場が動揺したのを鎮めるためとの見方もできるが、超低金利政策の効果を持続させるために、イングランド銀行の動きも気にしながら、それを検討した可能性もありそうである。

 FRBの債券買入の縮小は9月にも決定されるとの見方が強まっている。そうなると実際に大量の国債を買い入れるような政策を行っている主要な中央銀行は日銀だけとなる。FRBも量的緩和策は縮小しても、超低金利政策は当面継続してくるとみられ、欧米の金融政策はフォワード・ガイダンスを意識したものに主軸が置かれるものと予想される。

 これに対して日銀は2年後にコアCPIを2%にするとの物価目標を主軸にしており、それがもし達成可能であれば、フォワード・ガイダンスについてはかなり不透明なものとなる。これが中期ゾーンの金利を不安定にさせたひとつの要因でもあった。このあたりの日銀と、欧米の中銀のスタイルの違いからも、日銀の現在の政策が現在の世界の金融政策の流れのなかで、極めて異質に見える。現在の政策には柔軟さはなく、その波及経路もはっきりしないにも関わらず、闇雲に目標に向けて邁進しているだけの政策のような見えてしまうのは私だけであろうか。

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by nihonkokusai | 2013-07-10 09:25 | 中央銀行 | Comments(0)

ドラギ・マジックは健在

 どうやらドラギ・マジックは健在のようである。ドラギ・マジックとは欧州の信用不安が強まると、ドラギECB総裁が何かしらの手段を講じてそれを抑えに掛かること、との解釈も可能かも知れないが、私はそれよりも何ら具体的な手段を講じなくても、言葉だけで市場を安定化させてしまうことがマジックだと思っている。

 2011年11月にはトリシェ総裁の任期満了に伴いドラギ氏がECB総裁に就任したが、11月から12月にかけて連続利下げを実施し、政策金利は1.0%に戻した。さらに非標準的手法として、流動性を供給するため期間36か月の長期リファイナンス・オペ(LTRO)を新設した。ドラギ総裁はユーロ圏の信用不安払拭のためには、とにかく行動するということをまず印象づけた。

 そして、欧州の信用不安後退の大きなきっかけとなったのが、ドラギ総裁が2012年7月に、ユーロ存続のために必要な、いかなる措置を取る用意があると表明したことであった。これに加え2012年9月のECB理事会では、市場から国債を買い取る新たな対策を打ち出した。これにより市場に安心感を与えたものの、実はここでは何ら具体的な手段は講じていない。言葉だけで市場心理を好転させていた。これがマジックであったと思う。もちろんそれにはドラギ総裁への絶大なる信認が背景にあったと言える。

 7月4日のECB政策理事会では、主要な政策金利を0.5%のまま据え置いている。ただし、追加利下げの可能性も強く示唆しており、今後、0.25%程度の引き下げの可能性はある。それよりも、今回はとっておきのカードを使ってきた。ただし、今回も言葉だけで。

 理事会後の記者会見でドラギ総裁は、政策金利は長期にわたって今と同じか、より低い水準にとどまることが見込まれると発言した。これは一見、あたりまえのことを言っているように思われる。FRBや日銀は時間軸政策をとっており、それに慣れているとこの発言は何らサプライズとは思えない。

 ところが、これまでのECBは将来の政策をコミットメントしないというのが原則だったのである。今回はその原則を放棄して、いわゆる時間軸政策に踏み切った格好となった。今回もドラギ総裁は何か具体的な手を打たずして、期待に働きかけて市場を動かした。

 FRBの出口政策が意識されて市場が不安定となっていたことに加え、ポルトガルの政情不安もあり、ポルトガルだけてなく周辺国の国債利回りがここにきて上昇していた。まさに、うまいタイミングで切り札を出し、動揺を抑えに掛かった格好になった。

 さらにイングランド銀行でも、7月1日に就任したばかりのカーニー新総裁が早速動きを見せた。金融政策そのものは据え置いたが、政策金利を市場が想定したよりも長期にわたって過去最低に据え置くことを示唆し、こちらも封印していた将来の金融政策見通しを示すガイダンスをはじめたのである。ECBとイングランド銀行は共に、時間軸効果を意識した政策に軸足を起き始めた、というよりもFRBの出口政策に対して、あらたなカードを出してきて、ECBとBOEは超緩和策の出口をあえて遠ざけて、市場心理を好転させた。

 これに対して、日銀が異次元緩和で行ったのは異常ともいえる大量の国債買入であり、そう簡単に達成できるものではない2年以内で2%の物価目標の設置であった。これらは国債市場の流動性を不安定化させたばかりか、先行きの金利観も不安定化させている。円安・株高を招いたアベノミクスではあるが、これはアベ・マジックもしくはクロダ・マジックであったのか。少なくとも債券市場から見る限り、市場との対話に成功しているわけではなく、マジックと評されるかは疑問である。

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by nihonkokusai | 2013-07-06 09:51 | 中央銀行 | Comments(0)

カーニー総裁登場でイングランド銀行は変わるのか

 イングランド銀行では10年の任期を勤め上げたキング総裁に代わり、7月1日から先月までカナダの中央銀行総裁を務めていたマーク・カーニー氏が、外国人としては初めてイングランド銀行総裁に就任した。

 マービン・キング前総裁は、英国が1992年にインフレ目標値を採用した際に関わっている。イングランド銀行のチーフエコノミストであったマービン・キング氏は、もともとインフレ・ターゲッティングに意欲的で、ニュージーランドの事例を研究していた。

 英国ポンドがジョージ・ソロスらの投機筋により売り叩かれ、この結果、イギリスは1992年9月16日にEMRから離脱させられることになった。このブラック・ウェンズデーをきっかけに、英国は長期にわたる経済成長や低失業率とともに、歴史的にも低いインフレ率を享受、これをきっかけとしてイギリスはインフレ目標を導入する。ブラック・ウェンズデーから一週間もたたないうちに導入の基本路線が固まり新政策が生まれた。1992年10月29日に当時のラモント財務相がインフレ目標導入に伴う新政策の内容を発表したのである。この際のインフレ目標は年率1~4%とした。

 実はイングランド銀行より前にインフレ目標を導入していたのがカナダである。カナダでは、1991年に連邦消費税を導入し、この導入による物価上昇は一時的ではあるが、インフレ期待が強まらないようにするため、政府とともに中銀がインフレ率の低下に取り組む姿勢を示す必要があった。

 カナダ銀行(中央銀行)は、それまで為替レートや失業率等の指標を総合的に判断する裁量的な政策運営を行っていたが、これがインフレ抑制に十分な効果を挙げていないとの認識から、1991年2月にインフレ率を目標とする政策を導入したのである。このあたり、インフレではなくデフレではあったが、2013年1月の日銀のインフレ目標導入と似たような経緯があったようである。

 インフレ目標については歴史があるカナダ銀行の総裁が今度はイングランド銀行の総裁となった。ただし、このカーニー氏はインフレ目標から進化させた、名目GDPターゲットを提唱していていたりする。カーニー氏は「私はカナダと英国で採用されているような弾力的なインフレターゲティングが、これまでのところ最も効果的な金融政策の枠組みだ」との発言もあったが、その後は柔軟化が行き過ぎれば信頼を損なう恐れがあるとの認識も示している。

 カーニー氏はアベノミクスへの理解を示した一人である。しかし、日銀の異次元緩和に対して5月21日のカナダ中銀総裁としての最後の講演で、「中途半端な対応策の危険性という面では、欧州は日本から教訓を引き出すことができる」と述べ、自身が「大胆な政策上の実験」と呼ぶ日本の大規模金融緩和が成功するかどうかは今後数年の世界経済見通しに影響するだろうと述べたそうである。

 イングランド銀行総裁がカーニー氏に代わって、イングランド銀行の金融政策に変化はあるのか。7月3日・4日にMPCが開催される。FRBのバーナンキ議長は量的緩和政策の出口について示唆しており、これが米国だけでなく英国の長期金利の上昇要因となった。このあたりの動きを含めてどのような対応をするのか。グローバルなリスクは後退しているが、景気については米国と英国では温度差もある。カーニー総裁は就任早々、なかなか難しい手綱さばきが求められそうである。

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by nihonkokusai | 2013-07-03 09:16 | 中央銀行 | Comments(0)

出口を意識しつつあるFRB

 20日に発表された1月29、30日開催のFOMC議事要旨によると、何人かの委員が、「経済見通しの変化や、資産購入の有効性とコストに対する評価の変化に応じ、資産購入のペースを変える準備をすべきだと強調した」とある。現在、FRBは毎月総額で850億ドルの米国債などを購入している。

 その前に資産買入についてのリスクも述べられていた。何人かの委員からは出口政策の困難さが指摘された。つまり買い入れた資産をスムーズに売却が可能であるかということになる。日本の場合を考えると、たとえ物価が上昇してきたからといって日銀が保有する国債を果たして売却できるかどうか。日本よりは容易かもしれないが、市場にも大きな影響を与えかねないはずである。

 数人の委員はインフレに対する警戒を指摘し、さらに何人かの委員は金融の安定を妨げるような市場行動への警戒を指摘していた。これに関しては、FRBのスタイン理事が2月7日の講演で、長期間の低金利政策は金融安定を脅かすリスクをもたらしかねないと警告していた。つまり資産バブルへの警戒である。資産価格が加熱状態にあることを示す決定的な根拠が出そろうまで待つのでは遅いとの指摘もあった。

 さらにFOMCの議事要旨によると、何人かの委員から、「有効性やコスト、リスク次第では、労働市場が相当程度改善したと判断する前に資産買入を減速もしくは停止せざるを得ないのではないか」との指摘もあった。

 米国の経済情勢が改善しつつあることは確かであり、その背景のひとつには欧州のリスク後退もある。リーマン・ショックに続く欧州の信用不安により、世界的な金融不安の高まりが経済にも影響し、日欧米の中央銀行は積極的な金融緩和策を講じてきた。米国では財政の崖問題等もあったが、これは現実にはさほど大きな懸念材料ではなかった。根本的なリスクは欧州にあった。今後も米国の債務問題等は残るが、それで非常時にあったための積極的金融政策を続けなければいけない理由とはならない。

 もちろんすぐに撤退することは考えづらくても、経済が上向きとなってきているとなれば、通常の金融政策に戻ることを考えることは自然なことと思われる。それに対して日本ではデフレからの脱却を旗印に、さらなる追加緩和の可能性が高まっており、その追加緩和に積極的な人物を日銀総裁に推そうとしている。金融政策にはタイムラグがあるとともに、リスクが高まっている際には効果が薄いが、そのリスクが後退すれば緩和効果が強まることも考えられる。その緩和効果がどのようなかたちで現れるのかも、今後は注意する必要がある。今回のFOMCの議事要旨からはそのリスクも意識して、今後FRBは動いてくるであろうと思われる。

 日銀の独立性がなぜ重要なのかを解き明かすため、書き下ろしたのが「日銀の独立性がなくなる日 [Kindle版]」です。ぜひご一読いただけるとうれしいです。キンドルの端末でダウンロードいただくか、スマートフォンやタブロイドでもキンドルのアプリでダウンロードできます。定価は250円です(こちらでの無料キャンペーンはいまのところ予定しておりません)。

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by nihonkokusai | 2013-02-23 08:55 | 中央銀行 | Comments(0)

英国に学ぶべき中央銀行総裁人事の在り方

 11月28日にコラム「カナダ人のカーニー氏がイングランド銀行総裁に」 でも書いたが、次期イングランド銀行総裁人事はたいへん興味深い。新政権には、来年4月の日銀総裁選びに参考にしてもらいたいが、その参考にすべき部分がまだあった。12月2日の毎日新聞の社説「視点・英国中銀の人事 政治の対応に学びたい」でそれが指摘されている。

 「衆院選でかつてなく金融政策が話題になっている日本でも、参考になりそうなことがある。外国人の起用そのものではない。中央銀行やその最高責任者である総裁というポストを国の資産として大事にする英政治家の姿勢である。」(毎日新聞社説より)

 日銀はイングランド銀行などが採用しているインフレターゲットを見習うべきとの意見があるが、その英国の政治家は果たして中央銀行総裁人事をどのように捉えているのか。今回のイングランド銀行の総裁人事で、そのあたりが明らかになった。

 「今回、外国人でしかも現職より17歳若いカーニー氏を起用する異例の人事となったが、議会は与野党を通じ好意的だった。英国では財務相が首相に人事案を示し、首相がそれを女王に諮り、女王の承認を経て任命する形をとっている。ジョージ・オズボーン財務相は議会を発表の場に選び、カーニー氏が「実績、資質両面において世界で最も適任だ」と強調した。」(毎日新聞社説より)

 伝統あるイングランド銀行の総裁に外国人を起用するという、ある意味突拍子もない人事について、その発表の場にいた議員達は与野党ともに好意的であったという。これにはカナダの中央銀行総裁としての実績も意識されていたろうが、しかし外国人である。

 「カナダは先進国で一番早くリーマン・ショックから抜け出した。危機前の健全財政や銀行規制が奏功したという。そのカナダで中央銀行の正副総裁を務め、民間金融機関での経験もあり、国際的な金融規制にあたる組織の長も務めるカーニー氏の力を借りよう、と呼びかけた。」

 「それに対し、労働党の影の財務相、エド・ボールズ氏が「カーニー氏を選んだ大臣をたたえたい」といち早く評価。オズボーン財務相も、「イングランド銀の独立性上重要なことは、党派を超えた支持だ。我々は総裁人事を日々の政治対立に巻き込まないよう努めねばならないが、本日、ボールズ氏はそれを実践してくれた」と感謝した。」(毎日新聞社説より)

 エド・ボールズ氏といえば、1997年5月にイングランド銀行に独立性をもたらした影の立役者というかシナリオライターであったことはご承知の通り。真っ先に評価したのが、その野党側の影の財務相であった。それについてオズボーン財務相は感謝の言葉を述べている。「(中央銀行)総裁人事を日々の政治対立に巻き込まないよう努めねばならない」との言葉は、日本の政治家にもしっかりと聞いてほしいところである。英国の与野党との間では、特に中央銀行の在り方については、独立性という観点で認識を共有していた。

 「こうした対応は今に始まったわけではない。労働党が政権交代を狙っていた90年代半ば、イングランド銀への独立性付与を検討していたボールズ氏らは当時のエディ・ジョージ総裁との定期的な対話を望んだ。総裁が保守党政権のケネス・クラーク財務相に相談すると「労働党が政権を取る日も来るだろうから、対話は大いに結構」と、むしろ後押ししてくれたという。」(毎日新聞社説より)

 このあたり政治家の器量もうかがわせる。中央銀行総裁人事は決して政争の具にしてはいけない。そのような当たり前の認識を英国の政治家には共通認識として持っていたようである。ある意味、世界史の中で中央銀行の基盤を作ったのがイングランド銀行であるが、政治と中央銀行の在り方としては歴史ある国に日本も見習うべき点もあるのではなかろうか。

 「そうした風土に支えられた中央銀行総裁と、常に政治圧力にさらされた総裁のいずれが、国益により貢献できるだろう。」

 「日銀や日銀総裁の人事を巡る議論には世界も注目している。中央銀行という国民の資産は、当事者だけでなく、政治家も価値を高める努力が必要だということを忘れてはいけない。」(毎日新聞論説委員・福本容子)

 今回の衆院選挙では、金融政策もひとつの焦点となっている。日銀法改正まで党の公約として出している党もある。日銀法を改正して、いったい何をしたいのか。さらに闇雲にインフレ政策を取るような総裁を選ぶべきであるのか。このあたりについては選挙を控えた我々にも責任がある以上、しっかりと考えておく必要がある。

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by nihonkokusai | 2012-12-05 09:16 | 中央銀行 | Comments(0)

カナダ人のカーニー氏がイングランド銀行総裁に

 英国政府は11月26日に、英国の中央銀行であるイングランド銀行のキング総裁の後任にカナダの中央銀行であるカナダ銀行のマーク・カーニー総裁を任命すると発表した。

 現在のイングランド銀行総裁はマーヴィン・キング氏である。キング総裁は2003年6月30日に前任のエドワード・ジョージから引き継いで総裁就任し、任期は2013年6月30日までとなる。

 イングランド銀行総裁の人事については、副総裁含めて、首相の助言に基づいて女王が任命する形式となっている。任期は5年で再任できる。人選にあたっては財務省の影響が大きく、これまでは現役の総裁や財務次官などと検討し、財務相が首相に候補者を推薦する格好となっていた(このあたりは日銀総裁人事とも似ているか)。ちなみに現在のキング総裁は副総裁から総裁に就任した。

 イギリスのオズボーン財務相はキング総裁の後任について、9月に公募する方針を明らかにしたが、どうやらこれはいわゆる出来レースとなっていたようである。つまり、オズボーン財務相が白羽の矢を立てていたのは、そのときすでにカナダ銀行のマーク・カーニー総裁であったようである。11月28日の日経新聞の記事によると、10か月かがりで説得したとある。オズボーン財務相は公募について「公正で開かれた手続きで行う」と述べ、選考過程の透明性を高めるためだと説明したようだが、どうやらこれは別の意図もあったように思われる。

 次期イングランド総裁候補にはタッカー副総裁が最有力とされていたものの、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の不正操作問題で関与が疑われたことがネックとなったようである。また、ターナーFSA長官との声もあったようだが、こちらも中銀保有国債の償却発言などがネックとなったのかもしれない。ただし、この時点でカナダ銀行のカーニー総裁を推す声もあるとの指摘もあった(共同通信)。少し、情報は漏れていたのかもしれない。

 中央銀行総裁に外国人を起用するのは極めて異例であるが、これはある意味、イングランド銀行らしいものでもあった。実は1997年のイングランド銀行の改革により政府からの独立後最初のMPCメンバーにすでに2人の外国人が入っていた。現在もアメリカ人のボーゼン委員がMPCメンバーに入っている。

 しかし、総裁そのものに外国人を起用するというのは、結果的に選出の責任者といえるジョージ・オズボーン財務相は、なかなか思い切ったことをしたと思う。しかも、2月に就任を打診しても、カナダに住み続けたいとして就任要請を断ったとされるカーニー氏を、いろいろな待遇込みでなんとか口説き落としたとされる。

 ちなみにカーニー氏には、イギリスとカナダの二重国籍を持つ奥さんと、娘4人がいるとか。イングランド銀行総裁になるにあたり、イギリスの市民権も取り二重国籍となるようである。

 カーニー氏が率いるカナダ銀行はリーマン・ショックなどによる金融危機後に、G7の中でいち早く引き締めを実施し、2010年には政策金利を3度にわたって引き上げている(ロイター)。また、カナダ中銀は2009年に条件付きながら政策金利を翌年半ばまで過去最低の0.25%で据え置く姿勢を示し、いわゆる時間軸政策の先鞭をつけたとされる(これについては日銀が先輩のような気がするが)。

 このような手腕が評価されての起用とみられる。さらにカーニー氏は金融安定化理事会(FSB)議長でもあり、銀行に対しては規制強化が必要との立場でもある。

 イングランド銀行総裁となれば、カナダ銀行とはまた大きく状況も異なる。来年6月までにはいろいろと情勢も異なってくると思われるが、どんな手段を講じてくるのか楽しみである。ちなみに日銀の白川総裁の任期は来年4月である。こちらの人事の行方も注目だが、誰が選ばれるのか以前に、誰が選ぶのかも分からない状況にある。

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by nihonkokusai | 2012-11-29 09:43 | 中央銀行 | Comments(0)

日本の商業銀行と中央銀行設立の背景

 銀行の設立も明治政府にとり大きな課題となった。民間からも銀行設立の願いなどが相次いでいた。日本における本格的な商業銀行は、明治維新後に誕生した第一国立銀行とされている。明治政府は大蔵少輔伊藤博文の建議に基づいて、アメリカのナショナル・バンク制度にならった発券銀行制度を導入することとなった。

 米国では1863年に国法銀行が設立され、国法銀行による銀行券発行について規定する全国通貨法が制定された。これによって南北戦争以前の複数通貨がグリーンバックと銀行券が流通する単一通貨の制度となったのである。渡米し現地視察を行っていた伊藤の建議により1872年12月に国立銀行条例が定められたのである。

 この銀行制度の導入にあたり、伊藤案に対し、イングランド銀行をモデルにした中央銀行制度を導入すべし、とした吉田清成との間で銀行論争が闘わされた。結局、井上馨の裁断によって、伊藤案が採用されることになったのである。伊藤案を起案した人の中には、銀行界の中心的な人物となる渋沢栄一もいた。

 1877年2月に西南戦争が勃発。政府はこの戦争のための費用を調達するため、大量の不換政府紙幣、不換国立銀行紙幣を発行したことで、貨幣の価値が急落し激しいインフレーションが発生した。

 当時の大蔵卿(現在の財務大臣)は大隈重信。大隈は積極財政を維持したまま、外債を発行することによって不足している銀貨を得て、それを市場に流せば安定すると主張した。ちなみに当時、対外決済に通常用いられていたのは銀貨であった。

 これに対して、現在の次官にあたる大蔵大輔の松方正義は、明治維新以来の政府による財政の膨張がインフレの根本原因であるとし、不換紙幣を回収することがインフレに対しての唯一の解決策であると主張したのである。

 松方の主張は大隈の財政政策を根幹から否定するものであり2人は対立する。このため伊藤博文が松方を内務卿に抜擢すると言う形で財政部門から切り離して、一旦は事態収拾が図られた。

 ところが、1881年の「明治14年の政変」によって大隈や、大蔵卿を務めた佐野常民らが政府から追放されると、今度は松方が大蔵卿に任命され、インフレ対策のために自らの主張した政策を実行することとなったのである。

 1881年大蔵卿に就任した松方正義は、政府紙幣や国立銀行紙幣などの不換紙幣を消却し、正貨準備を増やすなどの政策を行ってきた。そして、不換紙幣の整理をするため正貨兌換の銀行券を発行するための「中央銀行の創立」を提議した。通貨価値の安定を図るとともに、中央銀行を中核とした銀行制度を整備し、近代的な信用制度を確立することが不可欠であるとしたのである。

 日本銀行設立にあたって、そのモデルとしたのはベルギー国立銀行であった。松方は1876年に一時パリを中心に滞在しており、その際にフランス蔵相レオン・セーから、日本が発券を独占する中央銀行をもつべきこと、さらにそのモデルとしては歴史あるイングランド銀行などではなく比較的設立が新しいベルギー国立銀行が良いのではないかといった助言を得ていたのである。

 こうして1882年6月に日本銀行条例が制定され、日本の中央銀行として日本銀行が設立され、同年10月10日に業務が開始された。ちなみに日銀本館は東京駅同様に辰野金吾が設計した物であるが、建物もベルギー国立銀行を参考にしたとされている。

 松方正義は政府発行紙幣の整理を中心とする金融政策の実現に取り組み、この日本銀行の設立を経て、政府発行紙幣の全廃と兌換紙幣である日本銀行券の発行を行う。国立銀行が発行した紙幣も、1883年の国立銀行条例の改正により兌換銀行券である日本銀行券に置きかえられた。

 松方正義は長らく大蔵卿を勤めたのち、内閣制度の発足に伴い1885年に伊藤内閣での初代大蔵大臣となる。その後、1891年に第4代内閣総理大臣に就任した。

「マネーの日本史」http://p.booklog.jp/book/58552より


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by nihonkokusai | 2012-10-17 09:17 | 中央銀行 | Comments(0)

IMF・世銀年次総会に中国の財務相と中央銀行総裁もドタキャン

 報道によると、東京で開催中のIMF・世銀年次総会に出席予定だった中国の謝旭人財政相と中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁が来日を取りやめたそうである。詳しい理由は明らかにされていないが、日本の沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)国有化に対する対抗措置とみられる(毎日新聞)。IMF・世銀年次総会には金融当局者ばかりでなく、世界の金融機関の幹部らも出席するが、中国工商銀行、中国銀行、中国建設銀行、中国農業銀行の四大銀行首脳は既に欠席が決定していた。しかし、中国の財務相や中央銀行総裁は予定通り出席かとみられていたことで、いわばこのタイミングでドタキャンとなる。

 IMFのスポークスマンによると、周総裁については、「所用のため、東京での講演をキャンセルするかもしれない」との連絡が2日前にあり、その後、代理として易綱副総裁が総会と講演に出席するそうである。また、謝財政相の代理には、朱光耀財政次官が来日するとか(毎日新聞)。世界188か国の財務相・中銀総裁が一堂に会する総会にも関わらず、トップが病気等の理由でなく、多忙を理由に欠席するとは極めて異例である。

 謝財政相と周総裁は当初、総会に出席し、周総裁は最終日の14日に都内で講演を行う予定になっていたことで、まさにドタキャンといえる。もちろんその背景には領土問題があり、政治上の理由での欠席ではあろうか、いくら日本での開催であるからといって、自らも大きく関わるIMF・世銀年次総会に欠席することは、決して良い印象は与えないはずである。ここまで持ち込むのかとの印象であり、この中国の姿勢には世界各国から批判や懸念がむしろ強まるのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2012-10-10 14:17 | 中央銀行 | Comments(0)

ECBは背水の陣型金融政策、FRBは後方支援的金融政策か

 日銀の白川方明総裁は8月24日の大阪市内での講演・会見において、円高是正のため「劇場型金融政策」を求める会場の声に対して、白川総裁は「普段から金融政策が理解されていればサプライズはない。驚かせるより、よく理解されるのが大事」と反論した(ロイター)。

 個人的には、金融引き締めの際には市場に事前に浸透させることが必要であり、金融緩和の際にはサプライズの方が効果的と考えるが、白川総裁が指摘したように効果が一時的であるのも確かである。しかし、それでもその際のショックを市場は覚えており、日銀の金融政策の変更の影響度をまざまざと感じさせることにもなり、その意味では効果的と考えられなくもない。それは裏を返すと金融政策への市場の依存度を高めさせる結果ともなる。

 現状型の金融政策を試した例としては、今年1月25日のFRBによる物価に対してのゴールの設定と2月14日の日銀によるバレンタイン緩和(物価の目途の設定)がそうではなかったろうか。しかし、どうやらFRBも日銀もこれについては、あまり成功例としは見ていない節がある。外部から見れば、ついにFRBも日銀もインフレターゲット政策を導入かとみられたが、どうもそのようには受け取ってほしくない感じのようである。日銀としては、結果として劇場型金融政策を試す例になったが、これが金融政策の良い事例とはならなかったのではなかろうか。

 その後のFRBやECBの動きを見ても、たしかに劇場型金融政策を行ってはいない。どちらかといえば、これまでのような「予告型の金融政策」とも言える。

 9月6日のECBによる国債買入については、ユーロ圏の危機回避のためドラギ総裁がユーロ安定のために「あらゆる手段を取る」と表明し、やれることはやるとして退路を自ら断ってしまい、「背水の陣型金融政策」を行った。

 それに対して9月13日FOMCでの決定は、デュアルマンデートのうち、金融政策には直接影響を与える術のない雇用の回復を旗印にしたものであった。米国経済の回復、ECBの国債買入とタイミングを合わせて、リスクオンの動きを加速させるといった効果も考えた上でのものであろうが、実際には大統領選挙を踏まえ、現職大統領に対する「後方支援的金融政策」とも言えた。

 大統領選挙を控えての10月に入ってからのあからさまな金融緩和は当然非難されよう。効果的なカードは限られるため、大統領選挙後、財政の崖への対応等見定めて、カードを切るのが適切と思われた。しかし、共和党のロムニー候補はFRB議長は再指名せずと発言し、ライアン副大統領候補も追加緩和策は悪い考えとの認識を示した。これに何も感じないのがおかしいと言えばおかしい。自らの進退はさておき、追加緩和も否定されてはたまらない。ここで追加緩和のカードを出して、現職大統領にとって再任のカギともなる雇用に対し少しでも働きかけたいとの気持ちがあったとしてもおかしくない。

 これに対して9月18日、19日の日銀の金融政策決定会合でもし追加緩和が実施されれば(どうやら可能性は薄いようだが)、「相乗効果型金融政策」となることが期待される。ただし、考えられる追加の緩和手段は限られる。もし基金よる国債買入を5兆円程度増額するには、下限金利の撤廃をもう少し長めの年限まで適用させるなり、買入国債の対象となる年限をさらに長期化する必要も出てくる。今回は7月に行ったように固定金利オペを減額し、その分を短国の買入に切り替えるのではないかとの見方もある。これは実質的な追加緩和ではないが、追加緩和と同様の効果をもたらすとして行えば、アナウンス効果は出るかもしれない。

お知らせ、9月20日に秀和システムより >「ポケット図解 日本銀行の仕組みがわかる本」
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by nihonkokusai | 2012-09-19 09:26 | 中央銀行 | Comments(0)
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