牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

カテゴリ:中央銀行( 257 )

FRBもECBも正常化に慎重?

 31日に発表された7月の米個人消費支出(PCE)は前月比0.3%の増加となった。FRBの物価目標の基準とするPCEデフレーター(価格指数)は前年比1.4%の上昇と前月と同水準となった。市場が注目している食品とエネルギーを除くコアPCEデフレーターは前年比では1.4%の上昇に止まった。

 FRBのイエレン議長はここにきての物価の低迷が一時的なものかどうかを見極めて、追加利上げを検討するとしているが、この数字を見る限り一時的なものではない可能性もあり、30日の米国市場では年内利上げ観測がやや後退した。

 今月19、20日に開催されるFOMCにおいてバランスシートの縮小を決定するであろうことは、市場はかなり織り込んでいるため、こちらはその決定がない方がサプライズとなる。12月のFOMCでの利上げについてはかなり不透明感も残る。このあたり、次期FRB議長の後任人事なども微妙に絡んでくる可能性もある。

 31日には8月のユーロ圏消費者物価指数も発表されており、こちらも前年同期比1.5%上昇となり、コア指数は前月から変わらずの1.2%上昇にとどまった。

 ここにきての対ドルでの急激なユーロ高を懸念するECB当局者が増えており、資産買い入れ縮小が緩慢なペースとなる可能性が高まっているとロイターが伝えている。関係筋によると、2017年末までを期限としている量的緩和に関する討議は始まったばかりで、9月7日の次回理事会で何らかの決定をする可能性は非常に低いとしている。

 25日のジャクソンホールでの講演でイエレン議長もドラギ総裁も金融政策に関しては触れなかった。特にドラギ総裁は前回出席した2014年のジャクソンホール会議への出席時には政策変更の可能性を示唆していたので、3年ブリに出席した今回も政策変更の可能性を示唆するのではとの観測も出ていた。

 ECBが資産買い入れを段階的に縮小する方針を9月の政策理事会で示唆するのではとの見方も出ていたが、これも不透明感も出てきた。ただし、正常化という意味合いだけでなく、国債買入そのものに対しても限界が見え始めていることで、何らかの対応は必要となる。このあたりどのような検討をされるのか、まずは7日のECB理事会の検討内容にも注意しておく必要がありそうである。


[PR]
by nihonkokusai | 2017-09-03 12:19 | 中央銀行 | Comments(0)

ジャクソンホール会議を市場関係者が注目する理由

 米国のカンザスシティ連邦準備銀行は今年の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)を8月24~26日に開催する。

 米国ワイオミング州ジャクソンホールで開催されるカンザスシティ連銀主催のシンポジウムは市場参加者にとり大きな注目材料となっている。

 ジャクソンホール (Jackson Hole) とはワイオミング州北西部に位置する谷のことを意味する。これには著名学者などとともに、日銀の黒田総裁など各国の中央銀行首脳が多数出席することで、金融関係者によるダボス会議のようなものとなっている。

 なぜこのようなシンポジウムが、ワイオミング州ジャクソンホールという小さな街で行なわれるかといえば、FRB議長だったポール・ボルカー氏がフライ・フィッシングの趣味があり、この街を良く訪れていたお気に入りの場所であったからという説がある。

 ロシア危機とヘッジファンド危機に見舞われた1998年に、当時のグリーンスパンFRB議長がこのカンザスシティ連銀主催のシンポジウムの合間に FRB理事や地区連銀総裁とひそかに接触し、その後の利下げの流れをつくったとされている。

 1999年には日銀の山口副総裁(当時)と、バーナンキ・プリンストン大学教授(当時、のちのFRB議長)が、日本のバブルに対する日銀の金融政策の評価をめぐり、論争を行ったことでも知られる。

 さらに2010年8月27日にはバーナンキ議長(当時)がQE2を示唆する講演をジャクソンホールで行った。このシンポジウムに出席していた白川日銀総裁(当時)は予定を1日に早めて急遽帰国し、8月30日の9時から臨時の金融政策決定会合を開催し、新型オペの拡充策を決定している。

 2014年8月22日のジャクソンホール会議でECBのドラギ総裁は、ユーロ圏のインフレ期待が「大幅な低下を示した」と発言した。この発言は講演原稿にはなく同総裁の「アドリブ」であった。さらに政策姿勢を一段と調整する用意があるとした講演原稿の中でも「必要になった場合は」の文言が省かれていた。つまりこれらはドラギ総裁が資産購入プログラムの導入を示唆したとされた。その後、9月4日のECB政策理事会では現状維持との大方の市場参加者の予想に反して、利下げとともに、10月からの資産買入れを決定した。

 今年の会議では25日に「金融の安定」をテーマにイエレンFRB議長が講演する予定となっている。9月のFOMCでのバランスシートの規模縮小決定は市場もほぼ織り込んでいるが、年内の追加利上げの有無に関しては見方が分かれており、これについて何かしらの示唆があるのではないかと、今回の講演内容も注目されている。ただし、物価動向次第という姿勢に変化はないとみられる。

 2015年と2016年のジャクソンホール会議にはECBのドラギ総裁は出席しなかったが、今年の会合には参加し25日に講演を行う予定のようである。3年ぶりに出席することもあり、何かしらの政策変更の示唆の可能性がありうるか。前回出席した2014年のジャクソンホール会議への出席時にドラギ総裁は政策変更の可能性を示唆していたので今回も政策変更の可能性を示唆するのではとの観測も出ている。ECBが資産買い入れを段階的に縮小する方針を9月の政策理事会で示唆かとの観測があり、資産購入規模を現行各月600億ユーロ規模から徐々に縮小する計画を発表すると見られている。その示唆があるのかどうかが注目されている。


[PR]
by nihonkokusai | 2017-08-22 07:57 | 中央銀行 | Comments(0)

FRBの正常化に向けたロードマップに変更なしか

 ニューヨーク連銀のダドリー総裁は14日にAP通信とのインタビューで、FRBが9月にバランスシート縮小を開始するとの見通しは不合理ではなく、経済指標が持ちこたえれば年内あと1回の利上げがある、との見方を示した(ロイター)。

 7月26日のFOMCの声明文では、4兆5000億ドル規模のバランスシートの規模縮小について、前回の「年内に着手する」としていたものが、「比較的早く開始する」に修正されていた。これにより次回9月のFOMCにおいてバランスシート縮小を決定するとの見方が強まっていた。それを今回のダドリー発言が裏付けた格好となる。

 バランスシートの規模縮小の手段としては、満期を迎えた債券への再投資を減らすことで資産を縮小するかたちとなる。開始時の資産圧縮規模は米国債が月60億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)などは月40億ドルを上限とし、3か月ごとに上限を引き上げて、1年後には米国債が月300億ドル、MBSなどは月200億ドルとする。そして、今回ダドリー総裁はFRBのバランスシートの規模について、5年後には2兆5000億~3兆5000億ドルに縮小するとの見通しも示した。

 市場ではすでに9月のFOMCでのバランスシートの規模縮小決定は相当程度織り込んでいる。しかし、年内もう一回の利上げが可能かどうかについては見方が分かれ、発表される経済指標によってその予測の度合いも変化している。

 今回、ダドリー総裁は、「経済見通しがどのように推移するかによる」とし、経済が自身の予想通りに進展するなら「年内あと1回の利上げ実施を支持する」とした(ロイター)。

 7月11日の半期に一度行われる米下院金融委員会の公聴会で、イエレン議長は「FOMCは向こう数か月、インフレの動向を注視していく」と指摘した。イエレン議長は物価動向に注視しているのに対し、ダドリー総裁は経済の今後の動向を注視するとしており、物価面だけでないことを示した。

 いずれにしても物価がこのまま低迷し続け、予想を下回る経済指標が多く出るようなことになると利上げを急ぐ必要はない。しかし、余程の落ち込みがなければ利上げを検討する可能性が高いとみておく必要があろう。

 一昨年と昨年の利上げは1回に止まったが、今年はそれが3回の予定となり、FRBのロードマップでは来年と再来年も3回の予定となっているようである。いまのところはそれを修正するつもりはないようで、このあたりについては今月のジャクソンホールの会合でもさらに明らかにされるのではないかと思われる。


[PR]
by nihonkokusai | 2017-08-21 09:48 | 中央銀行 | Comments(0)

先日の米雇用統計は利上げの判断材料にはなりにくい

 7月4日に発表された7月の米雇用統計では、非農業雇用者数は前月比20.9万人増となり、18万人増程度との予想を上回った。失業率も4.3%と前月比0.1ポイントの改善となり、16年ぶりの水準となった。平均時給も前年同月比で2.5%増となり、こちらも予想の2.4%増を上回った。

 雇用統計を受けて米国債券市場で米債は下落し、10年債利回りは2.26%と前日の2.22%から上昇した。米10年債利回りはここにきて低下基調となっており、少し戻したに過ぎなかった。これによってトレンドが変わったようにも思えない。

 米国株式市場では、米長期金利の上昇などから金融株主体に買われ、ダウ平均は66ドル高と8日連続の高値更新、ナスダックも11ポイントの上昇となった。主力ハイテク株によりナスダック主体の上昇から、そのハイテク株に戻り売りが入ると、今度は好決算銘柄主体に買われてダウ平均が上昇するなど、うまく買い回転が効いている状態となっている。

 ドル円は7月11日に114円台をつけたあたりでいったんピークアウトし、110円割れたところでいったんボトムをつけた格好となっている。今年に入ってからのドル円のチャートをみると4月に108円台まで下落する場面はあったが、110円から115円のレンジ内にほぼ収まった格好となっている。これに対してユーロドルをみると今年に入ってからはほぼ一貫して上昇基調となっている。

 少なくとも今回の雇用統計の数字は、FRBの年内利上げを後押しする材料とはなろうが、市場参加者は雇用よりも物価動向を気にしている。8月1日に発表された6月の米PCEデフレーターのコア指数は前年同月比1.5%上昇と5月と変わらずとなり、2%に届いていない。

 さらにトランプ政権の行方も不透明感を強め、経済政策についてもまったく進展を見せておらず、これも利上げの行方を不透明にさせている。ここにきて原油先物が50ドルを割り込むなど、原油価格の上値の重さもやや物価をみる上では懸念材料となろう。

 次回9月のFOMCにおいてバランスシート縮小を決定することは規定路線となっているとみられるが、12月の利上げの有無については、今後発表される物価指標次第となる。イエレン議長も足元の物価の低迷は一時的なものとの見方をしている。それが確かめられれば、12月の利上げの可能性は高まる。しかし、物価の低迷が一時的なものではないとなれば、利上げが先湯送りされる可能性がある。そのあたり今回の雇用統計は判断材料とはなりにくいため、市場の反応が限られた面もあろう。


[PR]
by nihonkokusai | 2017-08-08 11:22 | 中央銀行 | Comments(0)

イングランド銀行の利上げに向けた姿勢に変化なし

 8月3日に開催されたイングランド銀行の金融政策委員会(MPC)では、政策金利を年0.25%に据え置くとともに、資産買い入れ枠も据え置いた。これは6対2の賛成多数での決定となった。

 前回のMPCでは、利上げを主張し続けていたフォーブス委員に加え、マカファーティー、ソーンダーズ両委員が利上げ派に加わった。その後、フォーブス委員は退任したことにより、今回の利上げ派はマカファーティー、ソーンダーズ両委員となった。

 ちなみにチーフエコノミストのホールデン(ハルデーン)理事からも政策引き締めを遅らせ過ぎることのリスクが高まっているとの認識が示されていたが、同理事は今回も現状維持派のままであった。

 また今回、欧州連合(EU)離脱が経済を下押しする恐れがあるとして、成長率と賃金の伸び見通しを下方修正した。また、物価見通しについても5月の見通しからやや下方修正した。

 これを受けて市場ではイングランド銀行は容易には利上げはできないとの見通しが強まり、外為市場でポンドが売られ、ロンドン株式市場はこのポンド安から上昇し、英国債は買い進まれた。

 ただし、カーニー総裁は記者会見で「持続的な物価上昇が達成できる状況になれば、金利の変更を決めることになる」と述べ、将来的な利上げの可能性を示唆した。

 今後1年以内に利上げを開始し、向こう3年間に投資家が予想しているよりも若干高めに政策金利を引き上げる可能性があることも今回の会合では、示唆されていた。

 カーニー総裁は6月27日にポルトガルで開催されたECBの年次政策フォーラムで、中銀は利上げを実施する必要が出てくる可能性があり、金融政策委員会(MPC)はこの件について向こう数か月以内に討議すると述べていた。

 ここにきて急にEU離脱による経済金融リスクが高まったわけではない。当然ながらその懸念も意識した上で、今後の利上げのタイミングを探る姿勢に変化はないとみられる。少なくとも今回が利上げを探るタイミングではなかったとの見方もできるのではなかろうか。

 年内のMPCは9月、11月、12月に予定されている。FRBは9月に保有資産の縮小開始を決定し、12月の利上げを模索しているとみられている。そうなると外為市場での影響を抑えるためにも、イングランド銀行も9月と12月のMPCで政策変更の可能性を探ることもありうるのではなかろうか。


[PR]
by nihonkokusai | 2017-08-06 11:39 | 中央銀行 | Comments(0)

結果としてFRBは市場をうまくコントロール、イエレン議長続投期待も

 7月26日のFOMCでは、全員一致で金融政策の現状維持を決めた。6月のFOMCで利上げを決定した際に金利据え置きを主張して反対票を投じたミネアポリス連銀のカシュカリ総裁も、今回の現状維持には賛成した格好となった。

 この現状維持は市場参加者の予想通り。問題は今後予定されるバランスシートの縮小開始のタイミングと年内あと一回とされる利上げの時期、もしくはその有無となった。

 4兆5000億ドル規模の保有証券の縮小について声明文では、前回の「年内に着手する」としていたものが、「比較的早く開始する」に修正されていた。これにより次回9月のFOMCにおいてバランスシート縮小を決定し、10月にも開始されると見込まれる。

 手段としては、満期を迎えた債券への再投資を減らすことで資産を縮小するかたちとなる。開始時の資産圧縮規模は米国債が月60億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)などは月40億ドルを上限とし、3か月ごとに上限を引き上げて、1年後には米国債が月300億ドル、MBSなどは月200億ドルとする。

 そしてもうひとつの注目材料となったのが、年内あと一回の利上げの有無となった。何事もなければ9月のFOMCでバランスシート縮小を決定し、やはり議長会見の予定される12月のFOMCで利上げを決定するというのが大方の予想となっている。

 これに対し今回のFOMCの声明文では、足元の物価水準に関して、前回の「inflation is running somewhat below the Fed's 2% target」という表現から「inflation is running below the Fed's 2% target」という表現に変わった。これをみて、市場では12月の利上げ観測に不透明感が出たとして米長期金利が低下し、ドルが下落した。

 7月11日に半期に一度行われる米下院金融委員会の公聴会で、FRBのイエレン議長は「FOMCは向こう数か月、インフレの動向を注視していく」と指摘した。ここ数か月の物価指標が著しく低水準にとどまっていることはFRBも認識しており、それが今回の声明文の表現修正となったとみられる。しかし、それは一時的要因が物価上昇を抑制しているとの認識に変わりはない。

 今後の物価見通しの部分に関しては今回の声明文では表現は変えていない。ここから読み取れるのは、FRBの予想通りに一時的要因が物価上昇を抑制していることが明らかになれば、予定通りに12月に利上げを決定するということになる。しかし、予想に反して物価の低迷が続いた場合には、利上げが先送りされる可能性は確かに存在する。

 今回の市場での反応は、ハト派的な表現修正とみなした過剰反応との見方もできるが、FRBの正常化に向けた動きは慎重であるとの見方も反映したのかもしれない。それが結果として米国株式市場の主要指数の過去最高値更新を招いたり、米長期金利の上昇を抑制しているのであれば、結果論ではあるがFRBはうまく市場をコントロールしているかにみえる。そうなるとイエレン議長への評価はさらに高まり、続投への期待も高まることも予想される。


[PR]
by nihonkokusai | 2017-07-28 10:00 | 中央銀行 | Comments(0)

ECBは9月の理事会でテーパリング計画を発表か、注目はジャクソンホール。

6月27日にポルトガルで開催されたECBの年次政策フォーラムで、ECBのドラギ総裁は景気回復に即した緩和策の調整、つまり景気が順調に回復するのであれば、緩和効果を一定に保つための利上げの可能性を指摘した。つまりECBが年内にも理事会で政策修正を検討する可能性が出てきた。

また、ドラギ総裁は今年のジャクソンホール会合に3年ぶりに出席すると伝えられた。

8月24日から26日にかけて末に米国ワイオミング州ジャクソンホールで開催されるカンザスシティ連銀主催のシンポジウムは市場参加者にとり大きな注目材料となっている。これには著名学者などとともに、日銀の黒田総裁など各国の中央銀行首脳が多数出席することで、金融関係者によるダボス会議のようなものとなっている。

2010年8月27日にはバーナンキ議長(当時)がQE2を示唆する講演をジャクソンホールで行った。このシンポジウムに出席していた白川日銀総裁(当時)は予定を1日に早めて急遽帰国し、8月30日の9時から臨時の金融政策決定会合を開催し、新型オペの拡充策を決定した。

2012年のジャクソンホールでは、ECBのドラギ総裁は9月1日にECBのパネルディスカッションの出席も予定されていたにも関わらず、直前になってシンポジウムへの参加を取りやめた。その理由として向こう数日に多忙を極めると予想されるためとECB報道官は語っていたが、9月6日のECBの政策理事会では新国債買い切りプログラム(OMT)を決定していたのである。

2014年8月22日のジャクソンホール会合でECBのドラギ総裁は、ユーロ圏のインフレ期待が「大幅な低下を示した」と発言した。この発言は講演原稿にはなく同総裁の「アドリブ」であった。さらに政策姿勢を一段と調整する用意がある、とした講演原稿の中でも「必要になった場合は」の文言が省かれていた。これらはドラギ総裁は資産購入プログラムの導入を示唆したとされる。その後、9月4日のECB政策理事会では現状維持との大方の市場参加者の予想に反して、利下げとともに、10月からの資産買入れを決定した。

2015年と2016年のジャクソンホール会合にはドラギ総裁は出席しなかったが、今年の会合には参加すると発表された。前回出席した2014年のジャクソンホール会合への出席時にドラギ総裁は政策変更の可能性を示唆していたので今回も政策変更の可能性を示唆するのではとの観測が強まった。

さらにWSJはECBが資産買い入れを段階的に縮小する方針を9月の政策理事会で示唆かと報じている。資産購入規模を現行各月600億ユーロ規模から徐々に縮小する計画を発表すると見られている。


[PR]
by nihonkokusai | 2017-07-19 09:38 | 中央銀行 | Comments(0)

カナダの中央銀行が7年ぶりの利上げを決定、その意味するところ

カナダ銀行(中央銀行)は7月12日の政策決定会合で、政策金利である翌日物金利の誘導目標を0.25%引き上げ、年0.75%とした。カナダ銀行の利上げは2010年9月以来、6年10か月ぶりとなる。

イングランド銀行やECBも緩和路線からの方向転換を模索するなか、すでに正常化に向けて舵を切ったFRBに追随した最初の中央銀行となる。

カナダの場合、資源国でもあり特に原油価格の動向に影響を受けやすい。特に2014年以降の原油価格の下落により、エネルギー産業が打撃を受け、2015年に二度の利下げを行い政策金利を0.50%まで引き下げた。

またトランプ大統領の登場で、今年はじめにもカナダ銀行は利下げを検討かと伝えられた。しかし、トランプ大統領登場に伴う警戒感は後退し、原油価格が下げ止まったこと、トルドー首相の経済政策などから、今年1~3月期にカナダの成長率は年率換算で3.7%に達した。物価は2%をやや下回って推移しているものの、今後も輸出と投資が上向くとの見通しから、カナダ銀行は利上げに踏み切ったものとみられる。

今回の利上げの背景には、移民の増加や中国からの投資マネーの流入でバンクーバーなどの都市部で住宅価格が高騰しており、住宅バブルなども意識された可能性もある。

今後については、金利の先行きは指標次第とし、追加利上げの軌道を定めない立場を表明した。しかし、「雇用と賃金の増加に支えられ、家計の消費は今後数カ月堅調だろう」と声明文では先行きにも自信を示しており、年内にも追加利上げを検討する可能性がある。

ECBのドラギ総裁は今年は3年ぶりにジャクソンホール会合に出席すると伝えられた。前回のジャクソンホール会合への出席時には、ドラギ総裁はECBの大規模な資産買い入れ実施を示唆していたので今回も政策変更の可能性を示唆するのではとの観測が強まった。

タイミング良く、WSJはECBが資産買い入れを段階的に縮小する方針を次回9月の理事会で示唆かと報じた。これについてジャクソンホールでも示唆してくる可能性が出てきた。

イングランド銀行も今後、利上げを検討すると伝えられており、FRBやカナダ銀行に続き、欧米の中央銀行の正常化に向けた動きは今後本格化してくることが予想される。日銀との金融政策の方向性の違いが更に意識されてくるとみられる。


[PR]
by nihonkokusai | 2017-07-16 16:51 | 中央銀行 | Comments(0)

市場はFRBのイエレン議長の花道も意識か

7月11日に半期に一度行われる米下院金融委員会の公聴会で、FRBのイエレン議長は「FOMCは向こう数か月、インフレの動向を注視していく」と指摘した。ただその上で、金利水準が引き続き雇用増加や所得の伸びを支え、それにより消費が後押しされるというのが基本的な見通しだとも説明した。

政策金利については、経済における需要と供給の適度なバランスを保つ水準にする上で、「今後はそれほど大きく引き上げる必要はない」と指摘した。この発言が意識されてか、11日の米国市場では今後の利上げペースはより緩やかなものとなるとして、米債は買われ、ダウ平均も上昇した。

しかし、11日のイエレン議長の発言はこれまでの発言内容に即したものとなっており、軌道修正をしたものではない。ただし、前日にFRBのブレイナード理事が、バランスシート縮小について早期に進めることを支持した上で、追加利上げについては慎重な姿勢を示していたこともあり、今後の利上げは慎重になるのではとの期待感も出ていたのかもしれない。

ここ数か月の物価指標が著しく低水準にとどまっていることは、FRBも確認しているものの、それは一時的要因が物価昇を抑制しているとの認識に変わりはない。それでも、もし一時的な要因でなければ、今後のFRBの利上げペースは予定通りに行かないリスクは確かに存在する。

しかし、今回の議長発言をみても、FRBの金融政策の正常化スケジュールを変更するようなものではないことも確かである。ただ、ここにひとつ不確定要素が存在している。

イエレン議長は今回の公聴会で、今回が最後の議会証言かと問われ「来年2月に任期が切れるので、そうかもしれない」と答えた。2期目の続投に強い意欲は示さず「現在の任期を全うする」と繰り返した(日経新聞電子版)。

FRB議長の任期は4年だが、前任のバーナンキ氏やグリーンスパン氏は2期8年以上議長を務めた。もちろんこれは任期満了時の政権が再指名したことで長期体制となったわけだが、イエレン議長をトランプ政権が再任する可能性はあまり高くはないように思われる。また、イエレン氏は6月末に一時入院するなど健康面も問題視される可能性もある。

FRBの正常化に向けた歩みは当初かなり慎重となっていた。これは非伝統的手段からの出口戦略が特に市場と対話を進めながら行うにはかなりの慎重さが必要になったためとみられる。正常化の動きがいったん軌道に乗ればそのピッチを早めてもしかるべきながら、一昨年と昨年の利上げが1回、今年はそれが3回の予定、来年と再来年も3回の予定と予想以上のピッチの見込みとなっている。現在の物価水準からみても、長期の中立金利見通しである3%に達成させる必要性があるのかという疑問も残る。

もし仮にイエレン議長は自ら再任の可能性は意識しておらず、異常ともいえた緩和政策からの正常化への道筋をつけることで自らの花道にしたいと考えているのであれば、今年3回の利上げペースとバランスシート縮小への着手は納得できるような気がする。ただし、そのあとを後任に託すとなれば、2018年以降の利上げに関しては不透明感も出てくることになる。市場はそのあたりも意識し始めているということなのであろうか。


[PR]
by nihonkokusai | 2017-07-14 09:21 | 中央銀行 | Comments(0)

FRBの副議長に指名されたクオールズ氏

トランプ政権は10日、FRB副議長に元財務次官のランダル・クオールズ氏を指名すると正式発表した。クオールズ氏は2005~2006年のブッシュ政権下で国内金融担当の財務次官を務め、金融規制に精通しているそうである(日経新聞)。

FOMCでは7名の理事と5名の地区連銀総裁の計12名が投票権を有する。このうち理事とニューヨーク地区連銀総裁は常任メンバーで、残りのメンバーはその他の地区連銀総裁が輪番制で1年間担当する。

現在のFRB理事の布陣は年初、ジャネット・イエレン議長、スタンレー・フィッシャー副議長、ダニエル・タルーロ理事、ジェローム・パウエル理事、ラエル・ブレイナード理事の5名であった。

ところがタルーロ理事が4月に2022年1月まで5年の任期を残して途中辞任してしまった。

金融危機後に銀行規制担当の副議長を設置することが決定したもののオバマ政権は与野党対立のあおりで同ポストの任命を見送っていた。このため実質的にタルーロ氏が理事ポストのままで金融規制担当を担ってきた。ところがトランプ政権となり、同氏に対し共和党から反発も広がっていた。このため早期辞任となってしまい、FRBの7名の理事のうち3名が空席という異常事態となっていた。

このため、まずはこれまで見送っていた銀行規制担当の「副議長」として、ランダル・クオールズ氏を指名したものとみられる。

タルーロ理事の辞任からもわかるように、クオールズ氏が就任すれば規制緩和へ路線転向を図ることになろう。ただし、金融政策そのものについてはクオールズ氏はテイラー・ルールの支持者ともされ、現在の利上げを含む正常化路線には理解を示すとされている。


[PR]
by nihonkokusai | 2017-07-13 09:30 | 中央銀行 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー