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カテゴリ:中央銀行( 264 )

FRBは2008年の金融危機後の量的緩和政策を完全に終結

 9月19、20日に開催されたFOMCでは、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は年1.00~1.25%のまま据え置いた(全員一致)。そして、2008年~14年に購入した米国債などの保有量を10月から段階的に減らすことを決定した。2008年の金融危機後の量的緩和政策を完全に終結し、大幅に膨らんだ保有資産の縮小を始める(日経新聞)。

 2008年から14年10月までのQEと市場で呼ばれた量的緩和で、FRBは米国債や住宅ローン担保証券(MBS)を大量に買い入れたことで、保有する資産量が9千億ドルから4.5兆ドルまで膨らんだ。10月以降は満期を迎えた債券や証券への再投資を取りやめる格好で資産圧縮に着手する。保有する米国債やMBSを10月から3か月の縮小幅は米国債が月60億ドル、MBSなどは40億ドル削減する。削減額の上限は段階的に増やし、いずれは月500億ドルまで引き上げる。

 FOMC後に公表した政策金利見通し(ドットチャート)では、参加者16人のうち11人が年末までに追加利上げを予測していることを明らかにした。利上げ回数の見通しは2018年が3回、2019年が2回、2020年は1回となった。長期の中立金利予測は前回の3%から2.75%に引き下げられた。

 10月からの資産縮小開始は事前にかなりアナウンスされていたことで予想通り。ただし、年内3回目の利上げについては市場参加者の間でも見方が分かれていたこともあり、20日の米国市場はこの利上げを織り込むような動きとなった。ただし、米10年債利回りの上昇はそれほど大きくはなく2.3%台には乗せてこなかった。

 FOMC後の会見でイエレン議長は、物価動向には「今後数年で2%の近辺に回復し、安定する」という見通しを変えなかった。しかし、数年前までの物価停滞は、労働市場のたるみやエネルギー価格の低迷といった「非常に納得できる理由があった」のに対し、「今年はこうした要素がなく、物価の2%割れは多分にミステリーだ」と発言していた。

 ドットチャートやイエレン議長の発言からは、12月のFOMCでの今年3回目の利上げの可能性は高いと見ざるを得ない。金融市場も落ち着いており、利上げ観測の再燃や資産圧縮に対する警戒感はそれほど強くはないことで、これもFRBの正常化をやりやすくさせよう。


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by nihonkokusai | 2017-09-22 09:33 | 中央銀行 | Comments(0)

FRBのイエレン議長が会っていた意外な人物

 FRBのイエレン議長は、ドナルド・トランプ大統領の長女で大統領補佐官を務めるイバンカ・トランプ氏と7月に会談していた。公表された同議長の月間の動静で明らかになったとWSJが伝えた。

 FRB議長の任期は4年で、イエレン議長は来年2月3日で任期満了となる。その後任を巡ってはコーン国家経済会議(NEC)委員長が有力とされていたが、トランプ大統領はコーン氏を次期議長の候補としないと伝えられた。このため、FRB議長の後任については不透明感を強め、イエレン議長の再任の可能性も浮上している。

 イエレン議長とイバンカ氏の朝食を取りながらの会談は、次期FRB議長を巡ってのものではない、と思われるものの、なかなか興味深い。

 FRB議長の毎日のスケジュールは一定期間後に公開されている。公開されたイエレン議長の今年に入っての動向(1月から7月まで)を確認してみた。

February 6, Monday 11:20 AM- 11:50 AM Phone call with Governor Mark Carney, Bank of England

       12:00 PM- 1:00 PM 12:00 PM- 1:00 PMLunch with Gary Cohn, National Economic Council

February 16, Thursday9:45 AM- 10:00 AM Phone call with Secretary Mnuchin

February 23, Thursday 12:00 PM- 1:00 PM Lunch with Governor Mark Carney, Bank of England

February 27, Monday 9:00 AM- 10:00 AM Meeting with Governor Agustin Carstens, Bank of Mexico

           2:30 PM- 3:25 PM Meeting with Kiyohiko G. Nishimura, Former Deputy Governor, Bank of Japan

March 8, Wednesday 12:15 PM- 1:30 PM Lunch with Secretary Mnuchin

March 22, Wednesday 10:15 AM- 11:15 AM Meeting with Jamie Dimon, J P Morgan

April 19, Wednesday 9:00 AM- 10:00 AM Meeting with Chairman Thomas Jordan, Swiss National Bank

May 16, Tuesday 10:45 AM- 11:30 AM Meeting with Lord Mervyn King, former governor, Bank of England

          12:00 PM- 1:00 PM Lunch with Secretary Mnuchin

May 23, Tuesday 12:15 PM- 1:15 PM Lunch with Secretary Mnuchin

May 30, Tuesday 8:00 AM- 9:00 AM Breakfast with Secretary Mnuchin

June 21, Wednesday 8:00 AM- 9:00 AM Breakfast with Secretary Mnuchin

July 17, Monday 8:00 AM- 9:00 AM Breakfast with Ivanka Trump

July 18, Tuesday 4:00 PM- 5:00 PM Meeting with Chris Giancarlo, Acting Chairman, U.S. Commodity Futures Trading Commission

July 27, Thursday 8:00 AM- 9:00 AM Breakfast with Secretary Mnuchin

10:30 AM- 11:00 AM Phone call with Mr. Tharman Shanmugaratnam, Deputy Prime Minister of Singapore

12:30 PM- 1:30 PM Lunch with Gary Cohn, National Economic Council July 28, Friday

9:00 AM- 9:30 AM Meeting with Democratic Leader Nancy Pelosi

 朝食を挟んだり、電話で何度か会議をしていた相手として多かったのが、ムニューシン財務長官であった。財務長官と中央銀行のトップが相談し合うのは当然といえば当然に見えるが、果たして日本では麻生財務大臣と黒田日銀総裁は同様の会談を定期的に行っているのであろうか。

 他の中央銀行のトップとの会談で多かったのが、イングランド銀行のカーニー総裁であった。G7やG20などで会談する機会もあるとみられるが、それとは別に昼食を挟んだり、電話で会議をしていた。またキング前総裁とも会談していた。

 ほかの中央銀行のトップとの会談はメキシコとスイスの中銀トップとの会談であった。たまたまかもしれないが、ドラギECB総裁や黒田日銀総裁とのランチを挟んだり、電話での会談はなかった。ただし、日銀の元副総裁の西村氏とは2月に会談していた。どうやら距離感からみるとECBや日銀よりも、FRBはイングランド銀行に近いように思える。

 ほかにはコーンNEC委員長やJPモルガンのダイモンCEOとの会談もあった。次期FRB議長候補であったコーン委員長と、どのような話し合いがなされたのかも興味深い。トランプ大統領はコーン氏をFRB議長に指名しないようだが、コーン氏本人は意外にやる気であったのかもしれない。

 先日、ビットコインを巡る発言が注目されたダイモンCEOであるが、このところのワシントン詣でが多くなったそうであり、その一環としてイエレン議長と会ったようである。ダイモンCEOはどうやら大統領の座も狙っているのではとの観測もある。


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by nihonkokusai | 2017-09-18 11:36 | 中央銀行 | Comments(0)

イングランド銀行も早期利上げが視野に

 英国の中央銀行であるイングランド銀行は14日の金融政策委員会(MPC)で、政策金利を過去最低の0.25%で据え置くことを決めた。7対2の賛成多数での決定となり、マカファティー氏とソーンダース氏が前回会合に続き、0.25ポイントの利上げを主張した。今回からホッグ委員の後任のラムズデン委員が加わり3月以降で初めて、フルメンバーとなる9人での採決となった。

 市場では今回のMPCで利上げ主張派がひとり増えて6対3とすることで将来の利上げの可能性を示唆するのではとの観測も出ていた。しかしそうはならなかった。そのような回りくどいやり方ではなく、同時に発表した議事要旨で「経済が継続的な緩みの縮小や基調インフレ圧力の段階的な上昇の見通しと一致する経路をたどるなら、今後数か月(over the coming months)での一定の金融刺激策縮小は適切となる可能性があると、過半数の委員は判断した」とした。

 カーニー総裁もあらためて、向こう数か月で緩和縮小が必要になるかもしれないと自らも判断していると発言していた。イングランド銀行は早ければ次回11月のMPCで利上げに踏み切る可能性を強く示唆した格好となった。

 さらにハト派(緩和派)と見なされていたブリハ委員も講演で「経済指標の動きは中銀が利上げをしなければならない瞬間に近づいていることをますます強く示唆するようになっている」と述べた(ロイター)。

 英政府統計局が12日に発表した8月の消費者物価指数は前年同月比2.9%上昇と7月の2.6%上昇から加速し、4年ぶり高水準となっていた。この物価上昇が継続すれば、それを理由に利上げつまりFRBと同様に正常化に向けた動きを強めることになる。

 ECBも10月の理事会で国債買入の縮小などを決定するとみられている。ECBは今年12月末までは月600億ユーロペースで国債などの資産を買い入れていくことが決まっているが、来年以降はこのペースを徐々に落としていくことが予想される。利上げについては簡単には踏み込みそうにもないが、まずはテーパリングを視野に入れている。

 FRBは今月のFOMCで保有資産の縮小を決定するとみられている。年内あと一回とみられる利上げについてはやや不透明感を強めたが、14日に発表された8月の米消費者物価指数は前年同月比で1.9%の上昇と予想を上回っており、2%に届かなくてもこのあたりの水準であれば、利上げに支障は出ない可能性がある。ちなみに変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は同1.7%の上昇となっていた。


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by nihonkokusai | 2017-09-17 13:12 | 中央銀行 | Comments(0)

中央銀行による国債大量買いの時代は終焉

 いわゆるリーマン・ショックとギリシャ・ショックと呼ばれた百年に一度のショックが続けておきたことによる世界的な金融経済危機は後退した。リーマン・ショックとはあくまでリーマンの破綻によるショックが大きかったことで象徴的なものとなっているが、米国のサブプライム問題と複雑化した金融商品が原因となっていた。住宅バブルや金余りによる金融資産バブルが崩壊し、欧米の金融機関を直撃したことによる金融不安である。

 ギリシャ・ショックもギリシャの財政に対する懸念が発端ながら、財政に不安を抱えた国をユーロ圏に止められるのかといった問題から、欧州の信用不安が強まり、ギリシャやポルトガル、イタリアなどの国債が急落し、これによって金融経済リスクを強めた。

 これらの金融経済危機に対する財政面からの救済措置には限界もあった。金融危機は金融市場を通じて顕在化していたこともあり、市場参加者の不安を除去する必要もあった。そこで動いたのが中央銀行となる。政策金利の低下余地は限られたことで、日米欧の中央銀行が採用したのが、非伝統的な金融政策となった。その手段として取られたのがマイナス金利政策や、以前に日銀が世界の中央銀行で初めて実施した量的緩和政策であった。

 米国のFRBやイングランド銀行はこの量的緩和を主眼に置いた。ECBは市場の正常化という目的のもとに国債の買入を行った。日銀も国債の買入を増額させていったが、このリスクに対しては長期国債の買入などには手をつけなかった。それでも長期金利は低位で推移していた。

 日米欧の非伝統的な金融緩和策、特にECBの政策が功を奏して、市場はリスク回避の動きを後退させつつあったのが、日本でアベノミクスと呼ばれたものが登場したタイミングとなった。特段、世界的なリスクが強まっていたわけでなく、むしろリスクが後退していたところに、日銀が異次元の金融緩和を行ったことになる。アベノミクスの登場で円安株高が進んだが、あくまでそんなタイミングだからこその動きであり、巻き戻しの動きが一巡すれば落ち着いてしまうことも当然といえる。

 大きなリスクが後退したことで、今度は非常時の金融緩和から正常に戻る動きは当然といえる。英国のEU離脱や新興国の経済への不安等もあり、さらに正常化はつまり金融引き締めにも映ることで市場への影響も警戒され、なかなか踏み出せなかった。日銀はなぜか一層の金融緩和をせざるを得ない状況に追い込まれていった。

 しかし、中央銀行が大量に国債を買い続けるにも限界があり、いつまでも緊急時の対応を続けるわけにもいかない。いち早くそこから脱してきたのは雇用がしっかりしていた米国である。それでもテーパリングとその後の利上げはかなり慎重に行った。ここにきてやっと資産の縮小に手を付けることが予想される。

 ECBも10月にも資産買入の縮小を検討するとみられる。イングランド銀行は新たな国債買入は行っておらず、まずは利上げを視野に入れている。日銀は物価目標を達成するとしてしまったため、出口政策は取れないながらも、政策目標を量から金利に置き換えた上で、国債の買入額を縮小しつつある。

 中央銀行による国債大量買いの時代は終焉しつつある。これは物価が上がってきているからではなく、あくまで大きな危機が去ったからであることを認識する必要があろう。


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by nihonkokusai | 2017-09-15 09:58 | 中央銀行 | Comments(0)

FRBのフィッシャー副議長が辞める理由

 FRBは6日、フィッシャー副議長が辞表を提出したと発表した。「個人的な理由」という。FRB理事からも退くそうで、完全にFRBの職を辞することになる。

 スタンレー・フィッシャー氏は、米国とイスラエルの両国籍を持ち、前職はイスラエル銀行の総裁だった。バーナンキFRB議長やドラギECB総裁などを教えた大学教授だけでなく、世界銀行チーフエコノミスト、IMF筆頭副専務理事、民間銀行などで実務も経験している。指名した当時のオバマ大統領は、世界で最も優秀で経験豊かな経済政策の専門家のひとりとして広く認められていると語ったが、それに嘘偽りはないであろう。

 バーナンキ元FRB議長やドラギECB総裁が一目置く存在であるフィッシャー氏の存在は、イエレン次期議長を補佐するだけの立場には止まらなかったと思われる。

 FRBの舵取りはイエレン氏とフィッシャー氏が二人三脚で行ってきたとみられ、特に正常化の道筋をつけたのもフィッシャー副議長の働きが大きかったと予想される。そのフィッシャー氏が何故、任期を残してこのタイミングで退任するのであろうか。ちなみに任期は副議長としては2018年6月12日まで、理事としては2020年1月末となっていた。

 フィッシャー副議長は8月に英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙のインタビューに応じ、米国政府が銀行規制の緩和に取り組んでいることについて「危険であり、極めて近視眼的だ」と述べていた。

 FRBではタルーロ理事が今年4月に2022年1月まで5年の任期を残して途中辞任した。金融危機後に銀行規制担当の副議長を設置することが決定したもののオバマ政権は与野党対立のあおりで同ポストの任命を見送っていた。このため実質的にタルーロ氏が理事ポストのままで金融規制担当を担ってきた。ところがトランプ政権となり、同氏に対し共和党から反発も広がっていた。このため早期辞任となってしまったのである。

 トランプ政権は7月10日にFRB副議長に元財務次官のランダル・クオールズ氏を指名すると正式発表した。クオールズ氏は2005~2006年のブッシュ政権下で国内金融担当の財務次官を務め、金融規制に精通しているとされる。しかし、タルーロ理事の辞任からもわかるように、クオールズ氏が就任すれば規制緩和へ路線転向を図ることになる。

 フッシャー氏とクオールズ氏が金融規制に関して意見の食い違いが生じることが予想された。しかし、それ以前にフィッシャー氏としてはトランプ政権による銀行規制の緩和そのものに反対であり、結果としてタルーロ理事と同様の早期辞任というかたち取らざるを得なくなったものとみられる。

 フッシャー氏が辞任となれば、まだクオールズ氏が議会の承認待ち状態となっていることもあり、7名の理事のうち空席が4名という事態となる。イエレン議長にとっても強力な支持者を失うことになる。FRBの部屋はイエレン議長のとなりとされるブレイナード理事は正常化に向けた特に利上げに関しては極めて慎重である。ニューヨーク連銀のダドリー総裁もイエレン議長を支えてきた人物であるが、それでもフィッシャー氏の抜けた穴は大きすぎる。さらにはトランプ政権との対応に今後いっそう苦慮しかねない。イエレン議長が続投する可能性はこれでむしろ薄れた可能性もあるのではないか。


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by nihonkokusai | 2017-09-12 09:44 | 中央銀行 | Comments(0)

量的緩和政策の縮小にも慎重なECB

 9月7日のECB政策理事会では金融政策の現状維持を決定したが、市場が注目していたのは、量的緩和縮小に関するドラギ総裁の会見内容となっていた。

 7日の欧州市場では株式市場は上昇し、ユーロ圏の国債もイタリアやポルトガルなどを中心に買い進まれた。外為市場ではユーロがドルに対して買われユーロドルは1.2ドルを超えてきた。この動きをどう説明したら良いのか、ドラギ総裁の発言内容などから追ってみたい。

 欧州の株式市場はユーロ高などよりも、ECBが2017年の成長率見通しを2.2%と、6月時点の1.9%から上方修正したことを素直に好感したようである。

 ユーロ圏の国債が大きく買われたのは、量的緩和政策の縮小に着手することに関してのドラギ総裁の会見での発言によるものとみられる。結論としては2018年以降の資産買い入れの縮小について予備的な議論を始めたものの、これに関しての発言は極めて慎重となっていた。

 ドラギ総裁は「決定事項は多く、複雑で、向こう数週間、もしくは数か月で現実化する可能性のあるリスクを考慮するため、特定の期日の指定を巡り慎重さが出ている。大方、こうした決定の多くは10月になされる」と発言していた(ロイター)。

 10月に量的緩和政策の縮小に関して議論がスタートされることは市場はかなり織り込んでいたが、積極的に量的緩和縮小に向かって動いているというよりも、極めて緩和的な環境を維持することが重視されている。このあたりFRBの正常化に向けた動きに比べて、かなり慎重になっている。これを受けてユーロ圏の国債が買い進まれたということになろうか。

 ユーロに関してドラギ総裁は、このところの為替相場のボラティリティーは不透明性の要因となっている、といったようにユーロを巡る懸念を繰り返し表明したものの、何かしらの対策を打つことは表明しなかった。そして予定通り10月にも量的緩和政策の縮小に関して議論がスタートするであろうとの見方が、ユーロ買いを誘ったのではないかとみられる。

 量的緩和政策の縮小に関しては正常化に向けた意味合いよりも、ECBにとっては日銀と同様に大規模な買入継続に対する限界が見えてきたことや、各国の財政規律を緩めてしまうとの懸念などがその大きな要因となっている可能性がある。

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by nihonkokusai | 2017-09-09 09:52 | 中央銀行 | Comments(0)

FRBの年内利上げに黄色信号

 FRBのブレイナード理事は5日のニューヨークでの講演で、「物価上昇率が(2%の)目標達成に向けて軌道に乗っていると確信が持てるまで、追加利上げには慎重になるべきだ」と発言した。

 これを受けてFRBによる年内の利上げ観測が後退し、地政学的リスクやハリケーンのイルマが勢力を強めていることも意識され、5日に米債は買い進まれて、10年債利回りは2.06%と1日の2.16%から大きく低下した。

 格付け会社ムーディーズは米国がデフォルトに陥れば最上級の格付けを下げると表明したことも、リスク回避要因となっていた。米国債の格下げ観測で米債が買われるというのも興味深い。実際に2011年8月6日にS&Pが米国の長期格付けを最上位のAAAからAA+に1段階引き下げた際に米国債は売られるのではなくリスク回避の動きから買い進まれていた。

 それはさておき、ブレイナード理事は市場を動揺させるほどのサプライズなものではない。7月10日にもブレイナード理事は、バランスシート縮小について早期に進めることを支持した上で、追加利上げについては慎重な姿勢を示していた。

 元々ブレイナード理事はハト派とされ、利上げには慎重な姿勢を示すとみられていたことで違和感はない。ただし、このタイミングでの同じような発言が市場に多少なりインパクトを与えたのは、イエレン議長のこれまでの発言内容と足元物価の動向が影響していた。

 イエレン議長は、ここ数か月の物価指標が著しく低水準にとどまっていることは、FRBも確認しているものの、それは一時的要因が物価昇を抑制しているとの認識であった。ところが、米商務省が8月31日発表した7月の個人消費支出(PCE)統計によると、FRBが利上げ判断で重視するPCEデフレーターは前年同月比1.4%上昇にとどまり、目標の2%に届いていなかった。

 市場ではここにきての物価の低迷が一時的なものではないかもしれないとの見方も強めている。ジャクソンホールの講演でイエレン議長が金融政策に触れなかったことも、利上げについては慎重になっていたためではないかとの見方もできなくはない。

 9月のFOMCでのバランスシート縮小の決定については、むしろない方がサプライズとなっている。しかし、12月の利上げについてはFRB内部でも、また市場の観測でもかなり不透明感が強まっていることは事実なのかもしれない。


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by nihonkokusai | 2017-09-07 09:58 | 中央銀行 | Comments(0)

FRBもECBも正常化に慎重?

 31日に発表された7月の米個人消費支出(PCE)は前月比0.3%の増加となった。FRBの物価目標の基準とするPCEデフレーター(価格指数)は前年比1.4%の上昇と前月と同水準となった。市場が注目している食品とエネルギーを除くコアPCEデフレーターは前年比では1.4%の上昇に止まった。

 FRBのイエレン議長はここにきての物価の低迷が一時的なものかどうかを見極めて、追加利上げを検討するとしているが、この数字を見る限り一時的なものではない可能性もあり、30日の米国市場では年内利上げ観測がやや後退した。

 今月19、20日に開催されるFOMCにおいてバランスシートの縮小を決定するであろうことは、市場はかなり織り込んでいるため、こちらはその決定がない方がサプライズとなる。12月のFOMCでの利上げについてはかなり不透明感も残る。このあたり、次期FRB議長の後任人事なども微妙に絡んでくる可能性もある。

 31日には8月のユーロ圏消費者物価指数も発表されており、こちらも前年同期比1.5%上昇となり、コア指数は前月から変わらずの1.2%上昇にとどまった。

 ここにきての対ドルでの急激なユーロ高を懸念するECB当局者が増えており、資産買い入れ縮小が緩慢なペースとなる可能性が高まっているとロイターが伝えている。関係筋によると、2017年末までを期限としている量的緩和に関する討議は始まったばかりで、9月7日の次回理事会で何らかの決定をする可能性は非常に低いとしている。

 25日のジャクソンホールでの講演でイエレン議長もドラギ総裁も金融政策に関しては触れなかった。特にドラギ総裁は前回出席した2014年のジャクソンホール会議への出席時には政策変更の可能性を示唆していたので、3年ブリに出席した今回も政策変更の可能性を示唆するのではとの観測も出ていた。

 ECBが資産買い入れを段階的に縮小する方針を9月の政策理事会で示唆するのではとの見方も出ていたが、これも不透明感も出てきた。ただし、正常化という意味合いだけでなく、国債買入そのものに対しても限界が見え始めていることで、何らかの対応は必要となる。このあたりどのような検討をされるのか、まずは7日のECB理事会の検討内容にも注意しておく必要がありそうである。


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by nihonkokusai | 2017-09-03 12:19 | 中央銀行 | Comments(0)

ジャクソンホール会議を市場関係者が注目する理由

 米国のカンザスシティ連邦準備銀行は今年の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)を8月24~26日に開催する。

 米国ワイオミング州ジャクソンホールで開催されるカンザスシティ連銀主催のシンポジウムは市場参加者にとり大きな注目材料となっている。

 ジャクソンホール (Jackson Hole) とはワイオミング州北西部に位置する谷のことを意味する。これには著名学者などとともに、日銀の黒田総裁など各国の中央銀行首脳が多数出席することで、金融関係者によるダボス会議のようなものとなっている。

 なぜこのようなシンポジウムが、ワイオミング州ジャクソンホールという小さな街で行なわれるかといえば、FRB議長だったポール・ボルカー氏がフライ・フィッシングの趣味があり、この街を良く訪れていたお気に入りの場所であったからという説がある。

 ロシア危機とヘッジファンド危機に見舞われた1998年に、当時のグリーンスパンFRB議長がこのカンザスシティ連銀主催のシンポジウムの合間に FRB理事や地区連銀総裁とひそかに接触し、その後の利下げの流れをつくったとされている。

 1999年には日銀の山口副総裁(当時)と、バーナンキ・プリンストン大学教授(当時、のちのFRB議長)が、日本のバブルに対する日銀の金融政策の評価をめぐり、論争を行ったことでも知られる。

 さらに2010年8月27日にはバーナンキ議長(当時)がQE2を示唆する講演をジャクソンホールで行った。このシンポジウムに出席していた白川日銀総裁(当時)は予定を1日に早めて急遽帰国し、8月30日の9時から臨時の金融政策決定会合を開催し、新型オペの拡充策を決定している。

 2014年8月22日のジャクソンホール会議でECBのドラギ総裁は、ユーロ圏のインフレ期待が「大幅な低下を示した」と発言した。この発言は講演原稿にはなく同総裁の「アドリブ」であった。さらに政策姿勢を一段と調整する用意があるとした講演原稿の中でも「必要になった場合は」の文言が省かれていた。つまりこれらはドラギ総裁が資産購入プログラムの導入を示唆したとされた。その後、9月4日のECB政策理事会では現状維持との大方の市場参加者の予想に反して、利下げとともに、10月からの資産買入れを決定した。

 今年の会議では25日に「金融の安定」をテーマにイエレンFRB議長が講演する予定となっている。9月のFOMCでのバランスシートの規模縮小決定は市場もほぼ織り込んでいるが、年内の追加利上げの有無に関しては見方が分かれており、これについて何かしらの示唆があるのではないかと、今回の講演内容も注目されている。ただし、物価動向次第という姿勢に変化はないとみられる。

 2015年と2016年のジャクソンホール会議にはECBのドラギ総裁は出席しなかったが、今年の会合には参加し25日に講演を行う予定のようである。3年ぶりに出席することもあり、何かしらの政策変更の示唆の可能性がありうるか。前回出席した2014年のジャクソンホール会議への出席時にドラギ総裁は政策変更の可能性を示唆していたので今回も政策変更の可能性を示唆するのではとの観測も出ている。ECBが資産買い入れを段階的に縮小する方針を9月の政策理事会で示唆かとの観測があり、資産購入規模を現行各月600億ユーロ規模から徐々に縮小する計画を発表すると見られている。その示唆があるのかどうかが注目されている。


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by nihonkokusai | 2017-08-22 07:57 | 中央銀行 | Comments(0)

FRBの正常化に向けたロードマップに変更なしか

 ニューヨーク連銀のダドリー総裁は14日にAP通信とのインタビューで、FRBが9月にバランスシート縮小を開始するとの見通しは不合理ではなく、経済指標が持ちこたえれば年内あと1回の利上げがある、との見方を示した(ロイター)。

 7月26日のFOMCの声明文では、4兆5000億ドル規模のバランスシートの規模縮小について、前回の「年内に着手する」としていたものが、「比較的早く開始する」に修正されていた。これにより次回9月のFOMCにおいてバランスシート縮小を決定するとの見方が強まっていた。それを今回のダドリー発言が裏付けた格好となる。

 バランスシートの規模縮小の手段としては、満期を迎えた債券への再投資を減らすことで資産を縮小するかたちとなる。開始時の資産圧縮規模は米国債が月60億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)などは月40億ドルを上限とし、3か月ごとに上限を引き上げて、1年後には米国債が月300億ドル、MBSなどは月200億ドルとする。そして、今回ダドリー総裁はFRBのバランスシートの規模について、5年後には2兆5000億~3兆5000億ドルに縮小するとの見通しも示した。

 市場ではすでに9月のFOMCでのバランスシートの規模縮小決定は相当程度織り込んでいる。しかし、年内もう一回の利上げが可能かどうかについては見方が分かれ、発表される経済指標によってその予測の度合いも変化している。

 今回、ダドリー総裁は、「経済見通しがどのように推移するかによる」とし、経済が自身の予想通りに進展するなら「年内あと1回の利上げ実施を支持する」とした(ロイター)。

 7月11日の半期に一度行われる米下院金融委員会の公聴会で、イエレン議長は「FOMCは向こう数か月、インフレの動向を注視していく」と指摘した。イエレン議長は物価動向に注視しているのに対し、ダドリー総裁は経済の今後の動向を注視するとしており、物価面だけでないことを示した。

 いずれにしても物価がこのまま低迷し続け、予想を下回る経済指標が多く出るようなことになると利上げを急ぐ必要はない。しかし、余程の落ち込みがなければ利上げを検討する可能性が高いとみておく必要があろう。

 一昨年と昨年の利上げは1回に止まったが、今年はそれが3回の予定となり、FRBのロードマップでは来年と再来年も3回の予定となっているようである。いまのところはそれを修正するつもりはないようで、このあたりについては今月のジャクソンホールの会合でもさらに明らかにされるのではないかと思われる。


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by nihonkokusai | 2017-08-21 09:48 | 中央銀行 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


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