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カテゴリ:中央銀行( 241 )

ECBは9月の理事会でテーパリング計画を発表か、注目はジャクソンホール。

6月27日にポルトガルで開催されたECBの年次政策フォーラムで、ECBのドラギ総裁は景気回復に即した緩和策の調整、つまり景気が順調に回復するのであれば、緩和効果を一定に保つための利上げの可能性を指摘した。つまりECBが年内にも理事会で政策修正を検討する可能性が出てきた。

また、ドラギ総裁は今年のジャクソンホール会合に3年ぶりに出席すると伝えられた。

8月24日から26日にかけて末に米国ワイオミング州ジャクソンホールで開催されるカンザスシティ連銀主催のシンポジウムは市場参加者にとり大きな注目材料となっている。これには著名学者などとともに、日銀の黒田総裁など各国の中央銀行首脳が多数出席することで、金融関係者によるダボス会議のようなものとなっている。

2010年8月27日にはバーナンキ議長(当時)がQE2を示唆する講演をジャクソンホールで行った。このシンポジウムに出席していた白川日銀総裁(当時)は予定を1日に早めて急遽帰国し、8月30日の9時から臨時の金融政策決定会合を開催し、新型オペの拡充策を決定した。

2012年のジャクソンホールでは、ECBのドラギ総裁は9月1日にECBのパネルディスカッションの出席も予定されていたにも関わらず、直前になってシンポジウムへの参加を取りやめた。その理由として向こう数日に多忙を極めると予想されるためとECB報道官は語っていたが、9月6日のECBの政策理事会では新国債買い切りプログラム(OMT)を決定していたのである。

2014年8月22日のジャクソンホール会合でECBのドラギ総裁は、ユーロ圏のインフレ期待が「大幅な低下を示した」と発言した。この発言は講演原稿にはなく同総裁の「アドリブ」であった。さらに政策姿勢を一段と調整する用意がある、とした講演原稿の中でも「必要になった場合は」の文言が省かれていた。これらはドラギ総裁は資産購入プログラムの導入を示唆したとされる。その後、9月4日のECB政策理事会では現状維持との大方の市場参加者の予想に反して、利下げとともに、10月からの資産買入れを決定した。

2015年と2016年のジャクソンホール会合にはドラギ総裁は出席しなかったが、今年の会合には参加すると発表された。前回出席した2014年のジャクソンホール会合への出席時にドラギ総裁は政策変更の可能性を示唆していたので今回も政策変更の可能性を示唆するのではとの観測が強まった。

さらにWSJはECBが資産買い入れを段階的に縮小する方針を9月の政策理事会で示唆かと報じている。資産購入規模を現行各月600億ユーロ規模から徐々に縮小する計画を発表すると見られている。


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by nihonkokusai | 2017-07-19 09:38 | 中央銀行 | Comments(0)

カナダの中央銀行が7年ぶりの利上げを決定、その意味するところ

カナダ銀行(中央銀行)は7月12日の政策決定会合で、政策金利である翌日物金利の誘導目標を0.25%引き上げ、年0.75%とした。カナダ銀行の利上げは2010年9月以来、6年10か月ぶりとなる。

イングランド銀行やECBも緩和路線からの方向転換を模索するなか、すでに正常化に向けて舵を切ったFRBに追随した最初の中央銀行となる。

カナダの場合、資源国でもあり特に原油価格の動向に影響を受けやすい。特に2014年以降の原油価格の下落により、エネルギー産業が打撃を受け、2015年に二度の利下げを行い政策金利を0.50%まで引き下げた。

またトランプ大統領の登場で、今年はじめにもカナダ銀行は利下げを検討かと伝えられた。しかし、トランプ大統領登場に伴う警戒感は後退し、原油価格が下げ止まったこと、トルドー首相の経済政策などから、今年1~3月期にカナダの成長率は年率換算で3.7%に達した。物価は2%をやや下回って推移しているものの、今後も輸出と投資が上向くとの見通しから、カナダ銀行は利上げに踏み切ったものとみられる。

今回の利上げの背景には、移民の増加や中国からの投資マネーの流入でバンクーバーなどの都市部で住宅価格が高騰しており、住宅バブルなども意識された可能性もある。

今後については、金利の先行きは指標次第とし、追加利上げの軌道を定めない立場を表明した。しかし、「雇用と賃金の増加に支えられ、家計の消費は今後数カ月堅調だろう」と声明文では先行きにも自信を示しており、年内にも追加利上げを検討する可能性がある。

ECBのドラギ総裁は今年は3年ぶりにジャクソンホール会合に出席すると伝えられた。前回のジャクソンホール会合への出席時には、ドラギ総裁はECBの大規模な資産買い入れ実施を示唆していたので今回も政策変更の可能性を示唆するのではとの観測が強まった。

タイミング良く、WSJはECBが資産買い入れを段階的に縮小する方針を次回9月の理事会で示唆かと報じた。これについてジャクソンホールでも示唆してくる可能性が出てきた。

イングランド銀行も今後、利上げを検討すると伝えられており、FRBやカナダ銀行に続き、欧米の中央銀行の正常化に向けた動きは今後本格化してくることが予想される。日銀との金融政策の方向性の違いが更に意識されてくるとみられる。


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by nihonkokusai | 2017-07-16 16:51 | 中央銀行 | Comments(0)

市場はFRBのイエレン議長の花道も意識か

7月11日に半期に一度行われる米下院金融委員会の公聴会で、FRBのイエレン議長は「FOMCは向こう数か月、インフレの動向を注視していく」と指摘した。ただその上で、金利水準が引き続き雇用増加や所得の伸びを支え、それにより消費が後押しされるというのが基本的な見通しだとも説明した。

政策金利については、経済における需要と供給の適度なバランスを保つ水準にする上で、「今後はそれほど大きく引き上げる必要はない」と指摘した。この発言が意識されてか、11日の米国市場では今後の利上げペースはより緩やかなものとなるとして、米債は買われ、ダウ平均も上昇した。

しかし、11日のイエレン議長の発言はこれまでの発言内容に即したものとなっており、軌道修正をしたものではない。ただし、前日にFRBのブレイナード理事が、バランスシート縮小について早期に進めることを支持した上で、追加利上げについては慎重な姿勢を示していたこともあり、今後の利上げは慎重になるのではとの期待感も出ていたのかもしれない。

ここ数か月の物価指標が著しく低水準にとどまっていることは、FRBも確認しているものの、それは一時的要因が物価昇を抑制しているとの認識に変わりはない。それでも、もし一時的な要因でなければ、今後のFRBの利上げペースは予定通りに行かないリスクは確かに存在する。

しかし、今回の議長発言をみても、FRBの金融政策の正常化スケジュールを変更するようなものではないことも確かである。ただ、ここにひとつ不確定要素が存在している。

イエレン議長は今回の公聴会で、今回が最後の議会証言かと問われ「来年2月に任期が切れるので、そうかもしれない」と答えた。2期目の続投に強い意欲は示さず「現在の任期を全うする」と繰り返した(日経新聞電子版)。

FRB議長の任期は4年だが、前任のバーナンキ氏やグリーンスパン氏は2期8年以上議長を務めた。もちろんこれは任期満了時の政権が再指名したことで長期体制となったわけだが、イエレン議長をトランプ政権が再任する可能性はあまり高くはないように思われる。また、イエレン氏は6月末に一時入院するなど健康面も問題視される可能性もある。

FRBの正常化に向けた歩みは当初かなり慎重となっていた。これは非伝統的手段からの出口戦略が特に市場と対話を進めながら行うにはかなりの慎重さが必要になったためとみられる。正常化の動きがいったん軌道に乗ればそのピッチを早めてもしかるべきながら、一昨年と昨年の利上げが1回、今年はそれが3回の予定、来年と再来年も3回の予定と予想以上のピッチの見込みとなっている。現在の物価水準からみても、長期の中立金利見通しである3%に達成させる必要性があるのかという疑問も残る。

もし仮にイエレン議長は自ら再任の可能性は意識しておらず、異常ともいえた緩和政策からの正常化への道筋をつけることで自らの花道にしたいと考えているのであれば、今年3回の利上げペースとバランスシート縮小への着手は納得できるような気がする。ただし、そのあとを後任に託すとなれば、2018年以降の利上げに関しては不透明感も出てくることになる。市場はそのあたりも意識し始めているということなのであろうか。


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by nihonkokusai | 2017-07-14 09:21 | 中央銀行 | Comments(0)

FRBの副議長に指名されたクオールズ氏

トランプ政権は10日、FRB副議長に元財務次官のランダル・クオールズ氏を指名すると正式発表した。クオールズ氏は2005~2006年のブッシュ政権下で国内金融担当の財務次官を務め、金融規制に精通しているそうである(日経新聞)。

FOMCでは7名の理事と5名の地区連銀総裁の計12名が投票権を有する。このうち理事とニューヨーク地区連銀総裁は常任メンバーで、残りのメンバーはその他の地区連銀総裁が輪番制で1年間担当する。

現在のFRB理事の布陣は年初、ジャネット・イエレン議長、スタンレー・フィッシャー副議長、ダニエル・タルーロ理事、ジェローム・パウエル理事、ラエル・ブレイナード理事の5名であった。

ところがタルーロ理事が4月に2022年1月まで5年の任期を残して途中辞任してしまった。

金融危機後に銀行規制担当の副議長を設置することが決定したもののオバマ政権は与野党対立のあおりで同ポストの任命を見送っていた。このため実質的にタルーロ氏が理事ポストのままで金融規制担当を担ってきた。ところがトランプ政権となり、同氏に対し共和党から反発も広がっていた。このため早期辞任となってしまい、FRBの7名の理事のうち3名が空席という異常事態となっていた。

このため、まずはこれまで見送っていた銀行規制担当の「副議長」として、ランダル・クオールズ氏を指名したものとみられる。

タルーロ理事の辞任からもわかるように、クオールズ氏が就任すれば規制緩和へ路線転向を図ることになろう。ただし、金融政策そのものについてはクオールズ氏はテイラー・ルールの支持者ともされ、現在の利上げを含む正常化路線には理解を示すとされている。


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by nihonkokusai | 2017-07-13 09:30 | 中央銀行 | Comments(0)

イングランド銀行やカナダ銀行の総裁も利上げ示唆の意味

27日にポルトガルで開催されたECBの年次政策フォーラムで、ECBのドラギ総裁は景気回復に即した緩和策の調整、つまり景気が順調に回復するのであれば、緩和効果を一定に保つための利上げの可能性を指摘した。

ただし複数の関係筋からとして、この総裁の発言について、総裁は弱めのインフレ期間への容認を示したものであり、差し迫った政策引き締めを意図していないとの見方を示した(ロイター)。

市場が予想以上に反応したため、少し火消しに走ったものとみられ、これはドラギ総裁の発言を否定するものではない。

カナダ中銀のポロズ総裁も同フォーラムで、次回7月の会合での利上げの可能性に言及した。すでにウィルキンス上級副総裁は6月12日の講演で利上げの準備が整っていると、これまでで最も強い調子で示唆していた。

さらに今度は、イングランド銀行のカーニー総裁が同フォーラムで、中銀は利上げを実施する必要が出てくる可能性があり、MPCはこの件について向こう数か月以内に討議すると述べた。カーニー総裁は20日にロンドン市内での講演で「今はまだ金融政策の調整を開始するときではない」とし、利上げは時期尚早との認識を示したばかり。

このときのMPCでは、フォーブス委員だけが利上げを主張するとみられていたのが、そこにマカファーティー、ソーンダーズ両委員が利上げ派に加わった。さらにチーフエコノミストのアンディ・ホールデン理事からも政策引き締めを遅らせ過ぎることのリスクが高まっているとの認識が示された。カーニー総裁による時期尚発言は、利上げ賛同派が増えたことによる市場の動揺を抑えるための火消しかと思われた。しかし、そのカーニー総裁自らもECBの年次政策フォーラムで利上げを示唆した格好となった。

すでにFRBは正常化に向けて利上げを行っている。バランスシートの縮小も年内に着手する予定である。イエレン議長は27日の講演で、少なくとも自分が生きているうちに再び金融危機が起きるとは考えていないと語っていたが、この認識が欧米の中央銀行にも広まりつつあるように思われる。

イングランド銀行にとっては英国のEU離脱による影響も危惧されようが、それによるポンド安と物価高も無視できなくなりつつある。ユーロ圏については金融機関等への問題やギリシャの財政問題等も残るが、少なくとも金融危機のリスクは後退というか沈静化したというのが、共通認識となっているのではなかろうか。

欧米の中央銀行による過去にない大胆な金融緩和の主目的はデフレ脱却ではない。物価目標達成も必要ながら物価そのものは日本とは違い2%に近い、もしくは英国のようにそれを大きく上回っている。

そもそも金融政策がどれだけ物価に影響を与えられるのかという疑問に対しては、特に日銀が壮大な実験を行った結果も出ていよう。少なくとも日本では消費者物価指数の構成要素などの変更がない限り、原油価格や為替動向によって一時的にコアCPIが2%台に跳ね上がってもいずれゼロ近傍に収斂する。これは日銀の金融政策如何によって動いているわけではないことは、CPIの推移と日銀の政策、もしくは原油価格の動向などを重ね合わせると理解できるはずのもので、日銀も本来は十分理解しているはずのものであろう。だから2006年の量的緩和解除の条件はCPIのゼロ%がキーになっていた。

話が少し逸れてしまったが、欧米の中央銀行による非伝統的な金融緩和を含む大胆緩和の背景にあったのものは、百年に一度という金融危機による金融経済の影響を緩和するものあった。しかし、現実には市場の動揺を沈めるという効果を意識していた。

その危機は後退し景気そのものも不透明感が薄れ、株式市場の指数は過去最高値を更新するような中、非常時の対策をいつまでも続けることによる副作用も意識されてきた。このあたりが今回の欧米の中央銀行が、非常時の政策から平時の政策に切り替えようとの動きの背景にあろう。

しかし、日銀は世界的な金融危機が沈静化しているタイミングで政権に押しつけられる格好で異次元緩和を打ち出し、本来金融政策で動かすことが困難であるにも関わらず、2%という物価目標達成を打ち出してしまった手前、引くに引けなくなってしまっている。いずれ日銀だけが蚊帳の外となり、皆帰宅してしまったのに大胆緩和組に居残り続けざるを得なくなることも想定される。


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by nihonkokusai | 2017-06-30 10:05 | 中央銀行 | Comments(0)

FRBの金融政策の正常化スケジュール予想

6月19日にニューヨーク連銀のダドリー総裁は講演で、「拡大局面がやや長期化しているが、実際のところまだ長く継続すると強く確信している」と述べ、物価に関しても、「インフレ率は望ましい水準を若干下回っているものの、労働市場の引き締まりが続き賃金も少しずつ持ち直すことで、2%の目標に緩やかに回帰するだろう」と述べた。

6月13日、14日に開催されたFOMCでは、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を年0.75~1.00%から1.00~1.25%に引き上げた。投票メンバー9人のうち8人の賛成多数での決定となり、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は金利据え置きを主張して反対票を投じた。カシュカリ総裁は16日にロイターとの電話インタビューで、利上げを見送るべきと考えるのは私一人ではないとの見方を示していた。

FOMC開催日の14日に5月の米消費者物価指数(CPI)が発表されたが、総合指数は前年同月比では1.9%上昇となり、前月の2.2%の上昇から上昇幅は縮小した。食品とエネルギーを除くコア指数も前月比0.1%上昇と予想を下回り、前年同月比では1.7%上昇と、2015年5月以来の低い伸びとなった。

これを受けて14日の米債は買われていた。今後のFRBの利上げが慎重ペースになるのではとの期待も背景にあったとみられる。しかし、ダドリー総裁はそういった観測を打ち消すべく、景気や物価に対して強気の姿勢を示した。

実はイエレン議長も14日のFOMC後の会見で、最近のインフレ指標の低下は一時的な事柄が要因と指摘していた。ダドリー総裁はイエレン議長と同じような見方をしているというか、フィッシャー副議長含めた執行部は、政策金利を長期の中立金利見通しである3%に達成させるという利上げシナリオは堅持しているとみられる。

今後のFRBのFRBの正常化スケジュールについては、利上げとともにバランスシート縮小も進めることが予想されている。4兆5000億ドルの保有証券縮小計画については年内に着手すると表明し、その手段も示した。満期を迎えた債券への再投資を減らすことで資産を縮小するかたちとなり、開始時の資産圧縮規模は米国債が月60億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)などは月40億ドルを上限とし、3か月ごとに上限を引き上げて、1年後には米国債が月300億ドル、MBSなどは月200億ドルとする。

イエレン議長は14日の会見でバランスシート縮小に関して比較的早期に開始する可能性を示した。つまり9月のFOMCあたりで決定してスタートすることが予想される。利上げについては9月にバランスシート縮小と同時に行うというよりも、少しずらして12月に決定するのではと予想される。


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by nihonkokusai | 2017-06-25 10:15 | 中央銀行 | Comments(0)

イングランド銀行の利上げ派が増加、カーニー総裁は利上げは時期尚早と火消しに走る

15日に開催されたイングランド銀行の金融政策委員会(MPC)では、政策金利を0.25%に据え置くことを決定した。今回もフォーブス委員だけが利上げを主張するとみられていたのが、そこにマカファーティー、ソーンダーズ両委員が利上げ派に加わり、5対3の僅差での現状維持決定となっていた。MPCの委員3人が利上げを支持したのは2011年以来となる。これを受けて市場では今後のイングランド銀行の利上げの可能性を意識し始めていた。

これを意識してか、イングランド銀行のカーニー総裁は20日、ロンドン市内で講演し「今はまだ金融政策の調整を開始するときではない」とし、利上げは時期尚早との認識を示し、火消しに走った。ところが、15日のMPCで据え置きに賛成していたハルデーン理事が21日の講演で、自身が近く利上げ支持に転じる公算が大きいと表明した。また、利上げ開始が後手に回るリスクが増えているとの認識を示した。さらにMPCメンバーでイングランド銀行のチーフエコノミスト、アンディ・ホールデン氏からも政策引き締めを遅らせ過ぎることのリスクが高まっているとの認識を示すとともに、6月の利上げを支持することも検討したと明らかにした。

イングランド銀行のMPCは9名のメンバーより構成される。総裁1名、副総裁2名、理事2名と、財務大臣により任命された外部委員4名の合計9名となる。しかし、3月14日に利益相反の可能性を申告しなかったとして批判されていたホッグ副総裁(銀行・市場担当)が辞任したことで一人空席となっていた。

9名のメンバーがフルで揃っていても議長以外の政策委員の意見が仮に真二つに割れた場合などは、まさに4対4となる。MPCでは採決にあたって頻繁に反対票が見られ、そして過去には9名のうち4名までもが反対に回ることもあり、総裁自身が少数派となってしまったこともあった。つまりカーニー総裁が利上げに反対しても、多数決で覆される可能性がある。

ただし、利上げを主張し続けていたフォーブス委員は、今月末に退任し、米マサチューセッツ工科大学(MIT)に戻る予定となっている。ハモンド財務相は19日にフォーブス委員の後任としてロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のエコノミストであるシルバナ・テンレイロ氏をイングランド銀行金融政策委員会(MPC)の外部委員に指名した。

マカファーティー、ソーンダーズ両委員が利上げ派に加わったのは物価を意識して、フォーブス委員の意志を引き継ぐという意味合いがあったのかもしれないが、どうやら流れは利上げに傾いているようにも感じられる。今後はテンレイロ氏の動向次第でバランスがさらに変化してくる可能性もありうる。また、ホッグ副総裁の後任もいずれ指名されるとみられ、こちらの人事にも注意しておく必要がある。


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by nihonkokusai | 2017-06-22 10:00 | 中央銀行 | Comments(0)

カナダ銀行(中央銀行)も利上げを模索

カナダの中央銀行であるカナダ銀行(Bank of Canada)のウィルキンス上級副総裁は6月12日のマニトバ州ウィニペグでの講演で、国内の景気回復が各地域やセクターに広がっていると強調し、政策当局者に「勇気づけられる理由」を与えていると述べたそうである。経済が勢いを増しつつある中、利上げの準備が整っていると、これまでで最も強い調子で示唆した。また、ポロズ総裁も13日、CBCラジオに対し、利下げは経済をショックから守るという役割を果たしたとの認識を示し、「足元の経済は勢いを強めつつあり、それも特定の分野ではなく幅広い経済でそうした状況と見受けられる」と述べていた(以上、ブルームバーグの記事より引用)。

カナダ銀行は今年1月18日に「利下げ」を検討したことが明らかになっていた。1月20日にトランプ氏が次期米国大統領に就任したが、これによる影響なども考慮していた可能性がある。しかし4月にカナダ銀行が政策金利を据え置いた際、ポロズ総裁は記者会見で、今回は「利下げ」は議題に上らなかったと明言しており、ハト派的なトーンは後退し、「中立的な立場」であることを明らかにしていた。5月24日の会合でも金融政策の据え置きを発表し、カナダ銀行は2015年7月以来、約2年間、政策金利を0.5%に据え置いている。

今回のウィルキンス副総裁やポロズ総裁の発言からは、利下げによる効果が発揮されて、国内の景気回復が顕著となりつつあるなか、今後は中立的なスタンスからの変更を検討する可能性が示された。もしカナダ銀行の「利上げ」となれば2010年以来となる。ウィルキンス副総裁はトロント住宅市場のバブルを巡る懸念は一蹴したそうだが、このあたりの懸念も背景にあるのかもしれない。

今後のカナダ銀行の金融政策を決める会合の予定は、6月はなく、7月12日、9月6日、10月25日、12月6日となっている。市場ではウィルキンス副総裁らの発言を受けて10月の会合で利上げを決定するのではとの見方が強まっているようであるが、そこまで待たずに決定する可能性もありそうである。

ちなみに現在のイングランド銀行のカーニー総裁は、元カナダ銀行の総裁である。そのイングランド銀行がFRBに続いて正常化に向けて舵を切るかとみていたが、EU離脱決定の影響もあり、ひとまず先送りされ、古巣のカナダ銀行が先に利上げを行う可能性が出てきた。ただし、15日のイングランド銀行の金融政策委員会(MPC)では、フォーブス委員だけでなくマカファーティー、ソーンダーズ両委員が利上げ派に加わり、5対3の僅差での現状維持決定となっていた。カナダ銀行とイングランド銀行の利上げ合戦の行方は、意外に良い勝負となるやもしれない。


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by nihonkokusai | 2017-06-19 09:33 | 中央銀行 | Comments(0)

イングランド銀行で利上げ派が3人に増加した理由とは

6月15日の欧米の国債は珍しく揃って下落していた。これは前日14日に発表された5月の米消費者物価指数が予想に反して前月から0.1%低下となり、今後のFRBの利上げペースについてやや懐疑的な見方となり、米10年債利回りが大きく低下した反動とも言えたが、別の要因も絡んでいた。

14日にはFOMCが開催されて予想通りの追加利上げが決定された。年内はさらに1回、2018年中にも3回の利上げを見込む政策シナリオは維持した。4兆5000億ドルの保有証券縮小計画についても年内着手と正式に表明した。さらにイエレン議長は最近のインフレ指標低下は一時的な事柄が要因と指摘していた。それにも関わらず、この日に米債が大きく買い進まれたのは、市場参加者は今後の利上げペースに疑心暗鬼になっていたためとみられる。

そこにまた別途材料が現れた。イングランド銀行である。15日のイングランド銀行の金融政策委員会では、政策金利を0.25%に据え置くことを決定した。ただし、これについては今回もフォーブス委員だけが利上げを主張するとみられていたのが、マカファーティー、ソーンダーズ両委員が利上げ派に加わり、5対3の僅差での現状維持決定となっていたのである。

1~3月期の英国の実質GDP成長率は前期比0.2%増と低調となっていただけでなく、EU離脱そのものも不透明要因となっている。メイ首相が賭けに出た総選挙では、メイ首相の保守党が議席数を減らし過半数割れとなり、さらに不透明感が増している。そのような状況下、イングランド銀行が利上げを行うことはかなり困難とみられていた。

ただし、この不透明感の強まりはポンド安を招き、ポンド安の影響もあって英国の5月の消費者物価指数は前年同月比2.9%もの上昇、英中銀の物価目標の2%を大幅に上回っていた。今回のMPCでの利上げ派はこの物価を意識したものであろう。

これにより、今後イングランド銀行が利上げを決定する可能性が多少なり出てきた。これを受けて15日にはポンドが買われ、英国債が下落した。フランスの国債入札がやや低調となっていたことも材料視された。8日のECB理事会の政策に関する声明では、追加利下げに関する文言を削除し、追加緩和に前向きの姿勢から中立姿勢に修正したことも意識されたことで、ユーロ圏の国債も売り込まれ、それが15日の米国債の売りに繋がった面もあった。

すでにカーニー総裁の古巣であるカナダ銀行も、副総裁から利上げを示唆するような発言が出ていた。欧米の中央銀行ではFRBが先んじて正常化を開始し、それにカナダ銀行、さらにはイングランド銀行が追随してくる可能性が出てきた。方向性までは変えなかったものの、ECBも緩和に傾斜していた姿勢を中立に戻している。日銀はいつでも追加緩和は可能と主張するが、すでにステルステーパリングを行っており、追加緩和といってもマイナス金利の深掘りなど現実的に困難でもある。実質的に日銀も中立スタンスにいるようにみえる。

そもそも現在、非伝統的な金融政策とか、異次元緩和が必要とされるほどの危機的状況にいるわけではない。中央銀行の正常化への歩みは当然といえば当然ながら、あまりに金融緩和に傾きすぎて、なおかつ市場の反応を過度に気にするあまり、出口政策はなかなか難しい。英国を除き物価が目標を下回っていることも、正常化を納得させずらくしている。しかし、いずれにしても日銀以外は新たなリスクが発生するようなことがない限りは、正常化に向けた歩みをはじめる準備をしていることも確かではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2017-06-17 10:23 | 中央銀行 | Comments(0)

FRBは予定通りの利上げペースが可能なのか、市場はやや懐疑的に

13日、14日に開催されたFOMCでは政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を年0.75~1.00%から1.00~1.25%に引き上げた。投票メンバー9人のうち8人の賛成多数での決定となり、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は金利据え置きを主張して反対票を投じた。

今後の利上げペースは、年内さらに1回を見込み、今回を含めて年3回とする中心シナリオを据え置いた。2018年も3回、2019年も3回程度の追加利上げを見込み、政策金利を長期の中立金利見通しである3%に達成させるという利上げシナリオを維持した。

4兆5000億ドルの保有証券縮小計画についても年内着手と正式に表明し、その手段も示した。こちらも予想通り、満期を迎えた債券への再投資を減らすことで資産を縮小するかたちとなる。開始時の資産圧縮規模は米国債が月60億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)などは月40億ドルを上限とし、3か月ごとに上限を引き上げて、1年後には米国債が月300億ドル、MBSなどは月200億ドルとする。

これまでのイエレン議長などの発言から、これらの動きはほぼ予想されていたものとなった。ところがこの日の米10年債利回りは一時2.10%と前日の2.21%から大きく低下していたのである。これは噂が売って事実で買う、といった動きではなかったように思われる。

米債が買われたきっかけは、この日発表された5月の消費者物価指数(CPI)であった。CPIの総合指数は前月比0.1%の低下となり、予想外の低下となった。前年同月比では1.9%上昇となり、前月の2.2%の上昇から上昇幅は縮小した。

食品とエネルギーを除くコア指数も前月比0.1%上昇と予想を下回り、前年同月比では1.7%上昇と、2015年5月以来の低い伸びとなっていた。

日銀の物価目標はコアCPIであるが、FRBの物価目標はPCEデフレーターの総合指数である。しかし、物価をみる上ではCPIも当然意識せざるを得ない。

イエレン議長はFOMC後の会見で、最近のインフレ指標の低下は一時的な事柄が要因と指摘していたが、市場では日銀ほどではないにしろ、物価目標達成はなかなか難しいと読んでいるようである。ちなみにFRBは2018年には2%に達すると予測している。

FRBにとっては正常化に向けて、米長期金利が過剰反応して急騰するよりも、落ち着いた動きの方がやりやすい面もある。しかし、今回の米長期金利が2.6%あたりを目先天井として上がりづらい状況となっているなか、昨日は2.1%と直近の下限程度に低下したという事実の背景には、当局者と市場参加者の物価や今後の利上げペースに対する見方に乖離が生じているようにも伺える。

これがどのように修正されるのか。個人的にはひとまず政策金利は2%程度までの上昇に止め、保有証券縮小計画については淡々と実行することで、正常化はいったん終了させる。その後は物価、経済動向を睨んでの中立的なスタンスに望んでも良いような気もするが、どうしても政策金利は3%という長期の中立金利見通しにまで引き上げる必要性をFRBは意識しているのであろうか。


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by nihonkokusai | 2017-06-16 10:03 | 中央銀行 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
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