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カテゴリ:中央銀行( 222 )

正常化に舵を取る欧米の中央銀行とそれが出来ない日銀

15日に開催された米国の金融政策を決めるFOMCでは、追加利上げを賛成多数で決定した。政策金利であるフェデラル・ファンド金利の誘導目標を年0.50~0.75%から0.75~1.00%に引き上げた。ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が金利据え置きを主張して反対票を投じた。イエレン議長は「利上げが遅れればリスクになる」と強調し、ドットチャートによる年内利上げの見通しは今回含めて3回という数字が示された。市場では年4回の可能性もあるのではと懸念していたことで、この結果をみてむしろ安堵した。

昨日のイングランド銀行のMPCでは、賛成多数で金融政策の現状維持を決定したが、フォーブス委員が利上げを主張して反対票を投じた。他のメンバーも早期の景気支援策縮小が正当化される可能性を示唆し、イングランド銀行の次の選択肢は利上げとなる可能性が出てきた。ちなみにフォーブス委員は6月に退任する予定となっている。

9日のECB理事会後の会見でドラギ総裁は、ユーロ圏にはデフレリスクはもはや見られないとの認識を示した。デフレリスクへの対応として一段の行動を必要とする切迫性がもはや存在しないことを主に示唆しているとも述べ、デフレ脱却宣言とも取れる発言となった。

16日の日銀の金融政策決定会合では、金融政策の維持を決定した。景気の総括判断も据え置かれた。黒田総裁は会見で、米国の利上げは国内金利の引き上げに直接的な影響はないとの認識を示した。

FRBの利上げペースは2015年、2016年の年一回から今年はすでに複数回の利上げの可能性が高くなっている。正常化に向けて慎重なスタンスからここにきてペースを早めた格好である。それだけ経済環境が好転していることになるとともに、世界的なリスクの後退も当然影響しているとみられる。

いわゆるリーマン・ショックに代表される米国の金融機関を中心に発生した世界的な金融経済危機、その後、ギリシャを発端とした欧州でのユーロ危機は、とりあえず収束した。しかし、なかなかリスクへの警戒を緩めることはできなかった。

それでもいち早く正常化路線を歩んだFRBがそのペースを速めつつある。EU離脱という選択をした英国も混乱は一時的となり、むしろポンド安で物価は上昇し、株価も上昇した。イングランド銀行も中立姿勢に戻しつつあり、正常化にむけたタイミングを計っている。日銀と同様に緩和政策に前傾姿勢をとっていたECBも、ここにきてやっと中立姿勢に戻そうとしつつある。そのなかにあって日銀だけがいつまでも非常時の体制を維持し、かなり無理な緩和策を継続し、緩和に前向きな姿勢を崩そうとしていない。

中央銀行の金融政策で物価を能動的に動かすことはかなり困難であることは、日銀の異次元緩和の進み方と物価の動向を重ねれば明らかで、それならば今度は財政でというような妙な意見まで出ている。それほど無理を重ねて物価を上げようとする前に、なぜ日本の物価は上がりづらいのか。日銀が目標としている消費者物価をあらためて分析する必要もあるのではなかろうか。といってもこれは日銀が実は一番良くわかっている問題でもあり釈迦に説法か。日銀自体、大量に長い期間の国債を買うことで物価が上がるというロジックは通用しないことはわかっていたはずである。

ここにきての欧米の物価上昇も中央銀行の金融緩和が効いているというよりも、世界的なリスクの後退により景気そのものが回復し、心配された新興国経済も思いの外しっかりしていること、そこに原油価格の上昇も影響して生じたものと言えよう。

世界的な潜在リスクは当然、いつも存在する。しかし、現実のリスクそのものは金融市場を見る限り後退しているなかで、中央銀行の金融政策だけが異次元のまま非常時の対応が続けられることに違和感はないのか。違和感だけで済めば良いが、それがいずれマーケットの歪みを生む懸念もありうるのではないか。日銀にはリスクを警戒するあまり、自ら別なリスクを高めているようにも見えてしまう。


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by nihonkokusai | 2017-03-19 11:52 | 中央銀行 | Comments(0)

米国の利上げで注意すべきこと

FRBのイエレン議長などから利上げに向けた前向きの姿勢が示され、3月14日、15日に開催されるFOMCで追加利上げが決定される可能性が強まっている。10日に発表された2月の米雇用統計でも非農業雇用者数が前月比23.5万増と予想を上回ったことも後押し材料になろう。2015年と2016年のFRBによる利上げはそれぞれ12月のFOMCでの1回に止まった。しかし、もし今年は3月に利上げが決定されるとなれば、年複数回の利上げが視野に入る。

3月3日の講演でイエレン議長は、「われわれは支援策の一部の縮小を過度に長期間待てば、将来のある時点で急速な利上げが必要となり、金融市場を混乱させ、米経済をリセッションに陥らせる恐れがある公算を認識している」と語った。経済見通しに修正を加える予想外のイベントがない場合、「金融緩和の度合い」を弱めるスピードは2015年や2016年のような緩慢なものにはならないであろうともコメントしている。

この発言からも年複数回の利上げが意識されていることが伺える。それでは2015年と2016年に1回しかできなかったものが、仮に今年は複数回できるとしたら何が変わったのであろうか。

雇用を中心に米経済が予想以上のペースで回復し、物価もFRBの目標に近くなっていることが挙げられよう。正常化を進め、経済環境に適した政策金利の水準まで引き上げたいとの意向があろう。意外に米長期金利の上昇が慎重となっていることも、利上げを進めやすくなっている面があるかもしれない。

トランプ大統領の登場も影響しているとみられる。しかし、トランプ大統領の経済政策はまだ具体性に乏しいため、その予防策を打つにしてはやや気が早い。ただし、FRB理事や2018年のイエレン議長やフィッシャー副議長の任期なども影響している可能性はある。トランプ政権の意向も不透明なだけに、早めに手を打とうとしていることも考えられる。

そして、3月のオランダ総選挙、4月と5月のフランス大統領選挙を前に利上げを行いたいとの意向があった可能性もある。ポピュリズム政党の躍進を受けて、ユーロ崩壊の可能性などが意識され、市場が動揺するようことになると、再び緩和政策が必要となる可能性がある。そのための糊代を作っておきたいとの意向が働いている可能性もある。ただこれについても、ある意味予防的な動きともみられるため、リスク要因としてまったく影響はないとは言えないが、それほど利上げを急ぐ理由にはならないように思われる。

いずれにしてもFRBの今後の利上げに注意すべきことは、年複数回の利上げを意識しているのか、意識しているとして2015年や2016年のように慎重とならざるを得ない状況に陥ることはないのか。利上げによる長期金利の上昇はどの程度まで容認しているのか、バランスシートの縮小はどのタイミングで行おうとしているのか、あたりとなるとみられる。


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by nihonkokusai | 2017-03-12 09:51 | 中央銀行 | Comments(0)

大胆な金融緩和にブレーキをかけ始めたECB

ECBは9日の理事会で、主要金利と資産買い入れ策を据え置きを決定した。これは予想通りであり、市場へのインパクトも限定的かとみられていたが、市場はドラギ総裁の会見内容などから、ECBのスタンスの微妙な変化を感じ取ったようである。

ドラギ総裁は理事会後の会見で、ECBは今回の声明から「目標達成に向け正当化されるなら理事会は利用可能なあらゆる措置を利用する」との文言を削除したと表明した。削除理由について「デフレリスクに促された一段の措置の導入に向けた緊急性がもはや存在しないことを示唆するために削除された」と説明した(ロイター)。

さらにドラギ総裁はデフレリスクはおおむね無くなったと言えるとし、市場ベースのインフレ期待は目に見えて高まったと指摘した。また、景気に対するリスクバランスの改善を指摘したほか、利下げを示唆する言及を削除するかどうか協議したことも明らかにした。

この発言を受けて9日の欧州市場ではユーロが買われ、欧州の国債は軒並み売られた。ドイツの10年債利回りは0.42%と前日の0.36%から上昇し、フランスの10年債利回りも1.07%と前日の1.01%から上昇した。オランダやスペイン、イタリア、ポルトガルの国債も売られた。

ECBの追加緩和に対する前傾姿勢に変化がみられ、大胆な緩和政策にややブレーキを掛けた格好となった。日本でリーマン・ショックやギリシャ・ショックと呼ばれた世界的な金融経済危機のための大胆な緩和策は、そろそろ打ち止めとなる。ただし、来週のオランダでの総選挙、フランス大統領選などでポピュリズム政党の躍進の可能性もあり、英国のEU離脱もあってあらたなユーロ危機が訪れる懸念は残る。このためすぐに方向転換はできないものの、大きな危機は去り、物価も上昇しつつあり、循環的な景気回復の勢いが増している可能性もあるなかでの大胆な緩和策が異質に見えてきている。

これは日本も同様である。ただし、日銀は量を求める政策に限界があることもあり、結果として行き着いた先が、長短金利操作付き量的・質的緩和となった。これは全部ありの政策に見えるが、量は目標から外しており、フレキシブルに変更可能な金利を操作目標に戻したことで、すでに大胆な緩和策には結果としてブレーキが掛かった状態となっている。ただし、これを日銀は表だって認めようとはしていない。このあたり黒田総裁は会見等で、少しトーンの変化を示しても良いのではなかろうか。頑なに長期金利の目標値を引き上げることは考えていないのではなく、状況に応じて検討するとしておいた方が、柔軟な対応も可能になるのではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2017-03-11 15:10 | 中央銀行 | Comments(0)

3月のFOMCでの利上げがほぼ確定的に、背景にはトランプ大統領による影響も

イエレン議長は2月14日の上院銀行委員会における半期に一度の証言で、緩和措置の解除を待ち過ぎることは賢明ではないと指摘し、利上げを遅らせれば後手に回り、結果的に速いペースでの利上げを余儀なくされると指摘した。

フィッシャー副議長は16日、ブルームバーグテレビのインタビューで、この時期に想定していた状況と現状は一致している、つまりインフレ率が2%に近づき、労働市場は力強さを増し続けるという想定だと発言し、この二つが実現すれば、ほぼ想定していた通りの軌道に乗ることになるだろうと述べた。

2月22日に公表された1月31~2月1日のFOMC議事要旨では、多くのメンバーが雇用とインフレをめぐる指標が予想通りに推移すれば「比較的早期に」利上げを実施することが適切になる可能性があるとの認識を示していた。

しかし、昨年も利上げに前向きな姿勢を示しながらも結果として利上げは年末の一回に止まったこともあり、市場では早期利上げの可能性は少ないとの読みとなっていた。

2月27日にはダラス連銀のカプラン総裁が、近い将来に利上げする必要があるだろうとの認識を示し、3月の可能性を示唆。

28日にはサンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁も、3月のFOMC会合では利上げを「真剣に協議」すると見込まれると語った。

そしてニューヨーク連銀のダドリー総裁も28日にCNNテレビのインタビューで、追加利上げについて「金融政策を引き締める根拠はより説得力を増している」と語ったことで、市場では急速に3月の利上げを意識し始めた。

たたみかけるように3月の利上げの可能性を関係者が指摘し、ハト派とみられるニューヨーク連銀のダドリー総裁の発言もあって市場はここにきて急速に早期利上げを織り込みにきた。

28日のフェデラルファンド金利先物市場が織り込む3月の米利上げの確率は70%余りとなっていた。この数値は無視できず、3月14、15日に開かれるFOMCで利上げが決定される可能性は極めて高くなってきたと見ざるを得ない。

昨年と一昨年はそれぞれ12月のFOMCで一回利上げを決定した。しかし、今年は早くも3月のFOMCで利上げを決定するとしたらその根拠は何か。物価をみると上昇圧力は強まりつつある。雇用も好調さを持続している。だからといってこれまでの慎重姿勢を崩す理由とはならない。

ここにはやはりトランプ大統領就任による影響が大きいのかもしれない。ただし、それはトランプ政権による経済政策への期待といったものよりも、トランプ氏の影響力がFRBに及ぶ前に利上げを急ぐ必要があった可能性がある。FRB理事の人事に加え、来年はイエレン議長とフッシャー副議長も任期が来る。この人事は大統領が握っている。そのトランプ大統領もいまのところは利上げについては容認しているようにもみられ、タイミングとしても早めに利上げしておきたいという意向が働いたのではなかろうか。

そしてFOMCメンバーのなかでも最もハト派的とされているブレイナード理事は3月1日に、世界経済の回復と堅調な米国経済は、FRBによる利上げが「早期に」適切となることを意味するとの見解を示した(ロイター)。これにより、余程のアクシデントか14日までに発表される米経済指標が予想外の悪化を示すようなことがなければ、3月14、15日に開かれるFOMCでの利上げ決定は確定的となったと見ざるを得ない。


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by nihonkokusai | 2017-03-02 09:49 | 中央銀行 | Comments(0)

FRBの利上げとバランスシート縮小の行方

FRBのイエレン議長は14日、上院銀行委員会における半期に一度の証言で、緩和措置の解除を待ち過ぎることは賢明ではないと指摘し、利上げを遅らせれば後手に回り、結果的に速いペースでの利上げを余儀なくされると指摘した。今後数か月に、どのようにバランスシートを縮小していくかについて協議することも明らかにした。ただし、政策金利を十分引き上げるのが先決で、バランスシートの縮小に取りかかるのはそれ以後だとの発言もあった。

フィッシャー副議長は16日、ブルームバーグテレビのインタビューで、この時期に想定していた状況と現状は一致している、つまりインフレ率が2%に近づき、労働市場は力強さを増し続けるという想定だと発言し、この二つが実現すれば、ほぼ想定していた通りの軌道に乗ることになるだろうと述べた。

ニューヨーク連銀のダドリー総裁は15日、米経済がトレンドを上回るペースで成長し続け、予想通りに財政政策が景気を刺激すれば、FRBは今後数か月に利上げするとの見通しを示した。

ここにきてFRBの中心人物の3人が相次いで金融政策について発言があった。3人ともに共通しているのは、インフレ率が2%に近づき、労働市場は力強さを増し続けるという想定通りの状況となりつつあるなか、利上げについては前向きの姿勢であるということである。

市場参加者にとって目先の問題となるのは、3月のFOMCでの利上げの可能性の有無である。2015年、2016年とも年一回ペースの利上げに止まっており、3月の利上げを予想する向きは少ない。ところがイエレン議長やフッシャー議長の利上げに前向きな発言を受けて、一時早期利上げの可能性が意識され、3月利上げ観測が強まった。しかし、ニューヨーク連銀のダドリー総裁による「今後数か月」との表現などもあり、3月の利上げ観測は後退した。

FOMCでの金融政策の変更は、7名の理事と5名の地区連邦銀行総裁の合計12名による多数決で決められる(現在は理事2名欠員で、理事5名と連銀総裁5名の10名)。しかし、その流れを決めているのは執行部とされるイエレン議長とフィッシャー副議長、そしてこちらも副議長待遇のダドリー総裁とみられる。

その意味では前向きのイエレン議長の発言に対して、ダドリー総裁が少しブレーキを掛けたようにもみられ、少なくとも3月の可能性より6月の可能性のほうが確かに高いのかもしれない。

利上げ時期も注目されるが、それとともにバランスシートの縮小についてはかなり慎重になっていることも個人的には気掛かりである。2006年の日銀は量的緩和を解除してからゼロ金利政策を解除した。これに対してFRBはまずはテーパリングを行ってから、ゼロ金利解除を行い、膨らんだバランスシートの縮小は後回しとした。

これは米国債券市場にも配慮してものではあろうが、償還分を乗り換えない程度の縮小であれば、米国債券市場に大きな影響を与えるとも思われない。大きなバランスシートがあれば物価を押し上げるわけではないことは日銀も証明した格好となっており、なぜ縮小についてこれほど慎重になっているのかが個人的には疑問である。


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by nihonkokusai | 2017-02-18 10:27 | 中央銀行 | Comments(0)

FRBも次第にトランプ色が強まることに

FRBは10日、タルーロ理事が今年4月5日をメドに退任すると発表した。タルーロ理事がトランプ大統領に退任の意向を伝える手紙を提出したそうである。タルーロ理事はオバマ前大統領の指名を受け2009年1月28日に就任した。空席となっていた金融監督担当副議長の任務を代行し、金融危機後の金融システムの規制強化に関わった。任期は2022年1月末まで残っていた(日経新聞電子版)。

FOMCの投票権のあるメンバーは理事会から7名の理事と、地区連銀から5名の地区連邦銀行総裁の合計12名によって構成される。現在のFRB理事の布陣は、ジャネット・イエレン議長、スタンレー・フィッシャー副議長、ダニエル・タルーロ理事、ジェローム・パウエル理事、ラエル・ブレイナード理事の5名である。FRBの理事会は本来、7人の理事で構成されるが現在空席が2つある。

タルーロ理事は、FRBの金融監督当局者として新たな規制の導入を主導するなどし、金融危機や深刻な景気後退への対応に尽力、最も厳しい銀行監督当局者の一人として高い評価を得ていた。しかし、金融規制を見直す大統領令にトランプ氏が署名するなど、今後は規制緩和の動きを強めることが予想され、タルーロ氏が退任表明は想定内との見方もあった。タルーロ氏が退任する意向を示したとのニュースが伝わると、株式市場では銀行株が上昇するなどしていた。

これで4月5日以降のFRB理事の空席は3つとなる。さらにイエレン議長の任期が2018年1月までとなっており、トランプ氏は再任しないことをすでに表明している。またフィッシャー副議長の任期も2018年中となっている。

トランプ氏は空席となっているFRB理事の3つの席をいずれ指名してくると予想され、いずれ議長、副議長も変えるとなれば、FRB理事会がトランプ色の強いものに刷新される可能性が出てきた。ラエル・ブレイナード理事はトランプ候補と大統領選挙で戦ったクリントン氏に近く、いずれブレイナード理事の去就が注目されることがあるかもしれない。

トランプ政権がFRBの政策に対してどのような認識を持っているのかはいまだはっきりしていない。ただし、現在の正常化路線については否定はしておらず、過度な金融緩和を求めるようなことはせず、ファンダメンタルに即したある程度の金利上昇も容認してくる可能性はある。このあたりが次第にはっきりしてくると、今後のFRBの政策にも影響が出てくる可能性があり、それはつまり日銀の金融政策の行方にも影響を与えてくる可能性がある。


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by nihonkokusai | 2017-02-14 09:28 | 中央銀行 | Comments(0)

2017年に日銀やFRBの人事等で気をつけるべきこと

 2017年の日銀とFRBの金融政策を決める会合のスケジュールを確認してみたい。FOMC後の議長会見は今年も四半期ごとに年4回、3、6、9、12の各月に予定されている。

1月30日(月)・31日(火)、January 31-February 1 (Tuesday-Wednesday)
3月15日(水)・16日(木)、March 14-15 (Tuesday-Wednesday)
4月26日(水)・27日(木)、May 2-3 (Tuesday-Wednesday)
6月15日(木)・16日(金)、June 13-14 (Tuesday-Wednesday)
7月19日(水)・20日(木)、July 25-26 (Tuesday-Wednesday)
9月20日(水)・21日(木)、September 19-20 (Tuesday-Wednesday)
10月30日(月)・31日(火)、October 31-November 1 (Tuesday-Wednesday)
12月20日(水)・21日(木)、December 12-13 (Tuesday-Wednesday)

 FOMCでは7名の理事(現在2名空席)と5名の地区連銀総裁の計12名が投票権を有する。このうち理事とニューヨーク地区連銀総裁は常任メンバーで、残りのメンバーはその他の地区連銀総裁が輪番制で1年間担当する。

 2017年に投票権を有する地区連銀総裁はエバンス・シカゴ連銀総裁、ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、カプラン・ダボス連銀総裁、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁となる。タカ派とかハト派の区別はさておき、利上げの行方については議長や副議長の意向が強く反映されるとみられ、メンバー構成よりも特にイエレン議長の意向次第とも言えよう。ただし、空席となっている理事2名をトランプ次期大統領が指名してくる可能性があり、その人事次第では金融政策の行方に影響を及ぼす可能性はある。

 日銀についても引き続き、黒田総裁の意向が強く反映されるものとみており、長短金利操作付き量的・質的金融緩和という、まるで戦艦扶桑の艦橋のような政策がうまくいくのかどうかが注目される。

 黒田総裁、岩田副総裁、中曽副総裁の任期は2018年3月までとあと1年とちょっとあるが、佐藤審議委員と木内審議委員の二人は今年7月に任期を迎える。この二人は異常な金融政策に対して批判的な見方をしており、2014年10月の量的・質的緩和の拡大、2016年1月のマイナス金利政策、9月の長短金利操作に関して反対票を投じている。これらについては反対票が投じられて当然と私は思うし、また委員会制度をとっている以上はこのような反対意見があってしかるべきと思う。しかし、佐藤委員と木内委員は再任はないとみられ、現状の日銀の金融政策に理解ある人物が政府から指名される可能性が高い。

 これはこれで日銀の金融政策において黒田総裁の意向がさらに強く反映されることになるかもしれないが、すでに日銀の金融政策はいろいろと限界も見えてきていることや、長期金利を取り巻く情勢如何では、方針そのものが微妙に変化してくることも予想される。結果としての出口政策に向けてはむしろ佐藤委員や木内委員の存在は必要とされる可能性があり、ボードメンバーの方向性が妙に一方的になると微妙な舵取りがより難しくなる可能性もある。

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by nihonkokusai | 2017-01-13 10:04 | 中央銀行 | Comments(0)

通貨がいらない国、通貨が多い国、通貨が流出する国

 2016年末現在、マイナス金利政策を導入しているのは日本とユーロ圏、そしてデンマーク、スウェーデン、スイスの中央銀行となっている。このうちデンマークやスウェーデンはキャッシュレス化が急ピッチで進んでいる。これはノルウェーなども同様で北欧諸国の現金通貨流通高はここ数年間が大きく減少している。これらの国に行く際は現金を持つ必要はない反面、クレジットカードなどがないとスウェーデンなどでは地下鉄に乗ることもできない。反対に少額の買い物でもカードで決済が可能となっている。

 現金の流通を減らそうとしているのはこれら国々だけではない。韓国中央銀行は2020年までに硬貨を廃止する計画を立てている。韓国もカード決済システムが確立されているため、現金の決済率は低いそうである。硬貨製造や回収、管理コストなどのコストが軽減されるだけでもそれなりの経済効果が期待されるとか。

 インドでは昨年、突然、高額紙幣が廃止されて大きな混乱を招いた。この処置は、インドでは国内でテロ行為を行っている過激派グループが、紙幣を大量に偽造し活動資金に充てているためとした。また市民の間でも、脱税目的の現金決済が行われているとされる。ただし、モンティ首相はこの措置についてキャッシュレス社会も念頭に置いているようである。

 また欧州中央銀行(ECB)は2018年末で500ユーロの紙幣の発行を停止することを発表している。これらは犯罪に使われることを阻止するためのもので、マネーロンダリングに悪用されているとの懸念が高まっているための措置とされている。ただし。これに対し現金志向が強いドイツで廃止に否定的な意見が強かったようである。

 世界的にキャッシュレス化が進むなかにあって、何故か現金の流通額が増えている国がある。それは日本である。12月に日銀は紙幣流通額が100兆4661億円と過去最高になったと明らかにした。100兆円を突破するのは初めてとなる。世界的にキャッシュレス化が進むなか、何故に日本の現金が増加しているのか。これは日銀のマイナス金利政策が影響しているようである。日銀のマイナス金利政策により金利が下がり運用先が見当たらなくなったことで、お札を銀行等から引き出し、自宅でためこむタンス預金が増えたことが背景にあるとされる。たしかに金庫が売れているとのニュースもあった。これにはマイナンバー制度の影響との指摘もある。

 ただし、日本で現金が増加した背景にはそれだけ円の信用度が高いことも要因となっていよう。インドなどのように偽札が入り込む余地は少ないこともあるが、円そのものへの信認が高く現金で保管しようとのインセンティブが働いているとみられる。日本でキャッシュレス化が進みにくい背景にも円そのものへの信用度の高さがあるのではなかろうか。

 これに対称的な国が中国となる。中国から海外への資金流出が2016年に過去最大になり、流出から流入を差し引いた金額は3千億ドル(約35兆円)超と前の年に比べ6割拡大した(日経新聞)。

 M&Aなど直接投資で流出した面も大きいが、現金の海外持ち出し、地下銀行を通じた違法送金などもあったとされる。ビットコインが一時急騰したが、その取引の9割が中国であった。

 中国当局はHIBORの翌日物金利を大きく上昇させて元の下落を防ごうとしたのは、ヘッジファンドの買い戻しを誘うためとされるが、年が変わると年間外貨両替枠が更新されて、中国からの資金流出が加速される恐れも懸念されていたことへの対処でもあった。

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by nihonkokusai | 2017-01-09 15:47 | 中央銀行 | Comments(0)

中国の短期金利が一時100%となった原因

 昨年の年初の金融市場はリスクオフの動きでスタートした。中国経済の先行き懸念にそれに伴っての原油価格の下落、原油価格の下落による資源国への影響なども意識されて、円高が進むなどリスクオフの動きを強めることとなった。

 そして2017年の相場がスタートして、またもや中国市場がおかしな動きを見せている。1月5日の東京市場の引けあと、ドル円があっさりと116円台を割り込んだ。特に国内の材料が見当たらず、何か起きたのかと思われたが、この背景に中国の人民元の急反発があり、それによってドルが下落し、ドル円も116円を割り込んだという図式であった。

 人民元は昨年10月にIMFの定める特別引き出し権(SDR)に採用された。このあたりからドルに対して下落傾向が続いていた。ドルそのものも12月のFOMCの利上げ観測もあり、上昇しやすい地合のなか、米大統領選挙におけるトランプ氏の勝利を受けて、さらにドル高圧力が強まった。そのトランプ氏は中国を「為替操作国」に指定すると広言しており、中国政府は為替介入という手段が取りづらくなっていた。

 ここに外貨準備の減少も懸念材料となっていた。中国人民銀行が元安の急激な進行を抑えようとドル売り介入を断続的に実施してきた結果、2016年11月末の中国の外貨準備高は3兆516億ドルと14年のピークに比べて1兆ドル近く減少していたのである(日経新聞電子版)。

 これは中国の米国債の保有額の減少要因ともなっており、米財務省が発表している米国債国別保有残高によると昨年10月時点で、これまでトップを走っていた中国を抜いて日本がトップに返り咲いていた。

 介入を行うと外貨準備が減少するが、外貨準備の減少は元安要因ともなりかねない。このため、中国政府は年が変わってから介入ではない手段を講じてきたようである。それは短期金利の操作で、いわゆる短期金利の高め誘導を行ってきた。

 比較的、元を自由売買できる香港短期金融市場で、オフショア人民元の流動性をひっ迫させ、香港銀行間取引金利(HIBOR)の翌日物が前日の16.9%から38.3%へと約1年ぶりの水準に上昇し、午後には100%を超える取引も成立したようである。ちなみに昨年1月にも香港市場で中国国有銀行を通じて、ドル売り元買いの市場介入を行ったことでHIBORが急騰し、翌日物HIBORは12日には60%台に急上昇するという場面もあった。

 今回は外国為替市場での大規模な元買いドル売り介入は見送られているようで、中国の国有銀行などが短期市場への資金供給を絞ったための短期金利の急騰とされる(日経電子版の記事より一部引用)。年が変わると年間外貨両替枠が更新されて、中国からの資金流出が加速される恐れも懸念されていたことへの対処でもあったとみられる。

 HIBORの上昇をみて、ヘッジファンドなど元を売っていた投機筋などが、コストの増加を嫌気して外為市場では元の買い戻しの動きを強めることとなった。人民元が急反発し、その余波で上昇し続けていたBitcoinが急落するなどした。

 ただし、インターバンク市場の流動性ひっ迫は、銀行に深刻な影響を与えかねない。企業や市場などにも影響を与えることで、昨年のような景気減速そのものへの警戒が強まることもありうる。さすがに昨年の二の舞はないと思われるものの、当面の中国人民元の行方も注意する必要がありそうである。

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by nihonkokusai | 2017-01-07 11:28 | 中央銀行 | Comments(0)

トランプ政権とFRBの関係性と今後の米利上げの行方

 12月4日のイタリアの憲法改正の是非を問う国民投票では、予想されていたように憲法改正が否決され、この結果を受けてレンツィ首相は辞任の意向を表明した。しかし、市場はそれほど動揺を見せず、イタリアの銀行への影響は危惧されるものの、イタリアショックへの懸念は後退した。

 同日のオーストリアの大統領選ではリベラル系・緑の党のベレン元党首が僅差で勝利した。トランプ効果により、EU離脱派でもある極右・自由党候補のホーファ氏が勝利する可能性も指摘されていた。しかし、ひとまず極右の流れが欧州にも広まることは避けられた格好となった。

 ユーロに対する警戒が後退したことで、あらためて市場の焦点はFRBの利上げペースに移ってきた。12月2日に発表された11月の米雇用統計で非農業雇用者数は17.8万人と予想を少し下回り、10月分は下方修正されたが、失業率は4.6%と0.3ポイント低下した。この数字であれば、12月13、14日のFOMCで利上げを妨げる要因とはならない。

 市場での12月のFOMCでの利上げ予想はほぼ100%に近い。こうなると利上げしない方がむしろリスク要因ともなりうる。市場はさらに先を読んで2017年のFRBの利上げペースを意識している。

 来年の米国経済が果たしてどうなるのかは不透明感が強い。トランプ氏の経済政策への期待もあってトランプ相場と呼ばれる米長期金利や株式市場、ドルの上昇が起きたが、これにはFRBの利上げ観測も絡んでいる。

 現実に景気が回復し、物価の上昇圧力が強まれば、慎重なFRBも利上げのペースを早める可能性がある。OPECの減産合意による原油価格の上昇も後押し材料となろう。それでも不確実性は残る。

 トランプ政権とFRBとの距離感も良く掴めない。クリントン氏が大統領選で勝利するとクリントン氏と近いブレイナードFRB理事の存在が政権との関係に強く影響するとみられた。しかし、トランプ氏となるとFRBも戸惑っているのではなかろうか。イエレン議長の再任はないといった意見も出ている。今後は空席の理事について指名があるのではないかとみられ、トランプ氏に近い人物のFRB理事就任の可能性もある。

 トランプ氏もアベノミクスのようなリフレ政策を行うとの見方もあるが、物価や景気動向に即した利上げについては容認してくるのではなかろうか。むしろ正常化を進めることによって、米国経済の力強さをアピールしてくることもありうる。

 トランプ政権の金融政策運営についての方針は、はっきりしないものの、日本や欧州の動向なども参考に、少なくとも政府が積極的に金融緩和を促すようなことはしてこないのではないかと思われる。むしろ正常化に向けた利上げ方針を黙認し、FRBも景気物価動向次第の面はあるものの、年複数回の利上げを模索する可能性がある。

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by nihonkokusai | 2016-12-12 10:03 | 中央銀行 | Comments(0)
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