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物価目標の呪縛から日銀を解き放つ必要も、見えない我々への負担も意識すべき

 新年早々の東京株式市場は米国主体にロケットスタートとなっており、日経平均株価があっさりと23000円台に乗せて、上げ幅を拡大させてきている。この背景にあるのは、世界的な景気の回復である。リーマン・ショックやギリシャ・ショックに代表される世界的な金融経済危機が終焉し、新たなステージに入ってきたとも言えよう。

 2度の世界的な金融経済危機に際して、日米欧の中央銀行は過去に例のない大規模な金融緩和策を講じてきた。米国の中央銀行であるFRBはすでに正常化に着手しているものの、それも極めて慎重に行っている。英国の中央銀行のイングランド銀行も同様であり、欧州中央銀行(ECB)も正常化に向けた動きは極めて慎重である。日銀は表面上は向きさえ変えていないものの、とりあえず追加緩和に目を向けることはなくなりつつある。

 いずれにしても日米欧の積極的な金融緩和策により、大量の資金が金融市場で渦巻いており、その資金が米国の株式市場に向けられ、日本の株式市場にも入り込んでいる。もしかすると今後はコモディティと呼ばれる商品にも向けられる可能性もあり、原油価格が思わぬ上昇となる可能性もないとはいえない。

 見方によればこの状況はバブルの様相に見えなくもない。しかし、特に日本をみると来年の新元号のスタートや2020年の東京でのオリンピック・パラリンピックの開催なども控え、国内景気がさらに拡大し、株価はこれから本格的に上昇トレンドを迎える可能性も十分にありうる。

 あまり楽観的な見方も禁物であり、北朝鮮の地政学的リスクや中東リスク、欧州の政治動向などリスク要因にも目を配る必要はある。しかし、2007年あたりから2012年あたりにかけての世界的な危機的状況が再来する可能性は極めて低いことも確かである。

 このような好環境にあって、実は景気そのものの足を引っ張りそうなのが、日銀の異次元緩和ではなかろうか。経済・物価動向に沿った金利水準を市場で形成させず、日銀が無理矢理金利を押さえ込む必然性がますます見えてこない。国民に金利を与えずその分が我々の負担ともなっており、結局、日銀の異次元緩和政策は膨大な債務を抱えた国の財政には貢献する格好となっている。この状態で本当に良いものなのか、我々がよく考える必要があろう。もし金利が動けば金融機関も資金運用がやりやすくなり、その結果収益が改善し、これが金融株の上昇要因となり、株価をさらに上昇させる要因にもなりうる。潤沢な資金を抱える企業も多く、金利の上昇は以前に比べてそれほどのマイナス要因にならない。

 もしかすると今年は順調に物価が上昇してくる可能性もありうる。そうなれば、日銀は2%という物価目標に固執せずに、柔軟に政策金利、つまり長短金利の目標水準を変更させ、それにより景気や物価に好影響を与えるようにすべきではなかろうか。非常時の対策を現在のような好況時まで続けるのは極めておかしい。その分の負担がどこかに掛かることになり、それが実は我々国民に掛かっていることも認識すべきである。そろそろ物価目標の呪縛から日銀を解き放つ必要がある。今年は意外にそのチャンスなのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2018-01-07 11:13 | Comments(0)

もし原油先物が100ドル台回復となれば日銀の物価目標達成も?

 1月3日のニューヨーク原油先物市場でウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は大幅反発となり、中心限月の2月限は前日比1.26ドル高の1バレル61.63ドルで引けた。中心限月ベースでは2014年12月初旬以来、約3年1か月ぶりの高値を付けた。この水準は新たなシェール掘削が正当化されるために必要とされる水準の61ドルを上回っているとされる。

 ここにきての原油価格の上昇は、米北東部を寒波が襲っているためにヒーティングオイルの需要が高まったことなどによる短期的な要因も背景にあるものの、世界的な景気拡大による需要増加などが大きな要因である。

 それだけでなく過剰供給の緩和も当然ながら背景にある。石油輸出国機構(OPEC)とOPEC非加盟国のロシアなどの主要産油国による協調減産の効果が出ている。また、イラクのルアイビ石油相が、世界の原油在庫が減少している一方で、中国とインドの需要が増加していることから、2018年に原油価格が上昇すると楽観視していると述べていた(ブルームバーグ)。

 WTI先物のチャートをみるとすでに4日に62ドル台を付けて、節目とされる2015年につけたの目先の高値を抜けてきた。ただし、原油の需要が急激に増加したわけではなく、ここにきてややショートカバー的な動きも出たとみられ、いったんはこの水準が目先高値となる可能性も高いとみている。

 それでも、もしこのまま原油先物の上昇基調が止まらないとなれば、次の節目は100ドルあたりまで特にない。チャートを見る限りにおいてWTIの100ドル台回復は十分ありうる。ただし、シェールオイルとの兼ね合いなどもあり、WTIが100ドル台を回復する理由はいまのところ見い出せない。それでも2017年12月の世界の製造業購買担当者景気指数(PMI)が、約7年ぶりの水準になるなど、さらに世界的に景気が拡大する可能性もあり、WTIの100ドル台回復が絶対にないとも言い切れないことも確かである。

 景気の回復とそれに伴う原油価格の上昇となれば、日本の物価にも当然影響が出てくる。日銀の物価目標である消費者物価指数(除く生鮮食料品)は、日銀の金融政策などよりも原油価格の影響を受けやすい。原油価格の上昇などを背景に11月の消費者物価指数(除く生鮮食料品)は、すでに前年比プラス0.9%まで上昇してきている。

 ちなみにWTIが100ドルを超えるとなれば2014年7月以来となる。2014年7月の日本の消費者物価指数(除く生鮮食料品)は前年比プラス1.3%、同じ年の4月に直近のピークとなる前年比1.5%をつけていた。これには急激な円安調整、さらにはこの年4月の消費増税を控えての駆け込み需要や便乗値上げなども影響していたことも確かである。

 ただし、今回は2017年のような原油価格の高止まり状態継続ではなく、100ドルに向けた上昇基調となれば、消費者物価指数(除く生鮮食料品)の「前年比」への影響はさらに大きくなる。円安などにはあまり期待はできないものの、世界経済の回復により国内景気も好調を持続し、雇用のタイト化などの物価上振れ可能性要因もあり、これによって日銀の物価目標が達成される可能性もないとは言い切れなくなってきている。。

 そうは言っても、いまのところWTIの100ドル台を正当化しうる材料も見当たらないため、あくまでこれはいまのところ初夢というか、仮定・想定の話ではある。ただし、この点だけは強調しておきたいが、もし仮に原油価格の上昇を背景に日銀の物価目標が達成されたとしても、日銀の異次元緩和が主要因ではない。


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by nihonkokusai | 2018-01-05 10:17 | Comments(0)

韓国の利上げを指摘した日銀の政策委員の意図とは

 12月20、21日に開催された日銀の金融政策決定会合における主な意見が28日に公表された。このなかで「金融政策運営に関する意見」をピックアップしてみて行きたい。

 「現在の金融緩和政策のもとで、企業や家計の支出活動を支える金融環境は、きわめて緩和した状態にある。」

 これについては異論はない。

 「当面の金融政策運営については、これまでの方針を維持し、2%の「物価安定の目標」の実現に向けて、現在の政策枠組みのもとで、強力な金融緩和を粘り強く進めていくことが適当である。」

 このときの決定会合でも金融政策は現状維持となったが、それについての説明といえる。

 「息長く経済の好循環を支えて「物価安定の目標」の実現に資するべく、現在の金融政策を継続するべきである。」

 現状維持派の意見が続く。ただし、「息長く経済の好循環」を何故、非常時の対応の拡大版ともいえる異次元の緩和政策で支えねばならないのかはわからない。

 「2%の「物価安定の目標」達成にまだ距離がある現在は、金融政策は現状維持が妥当である。」

 つまりまだ出口の議論は早いぞということであろうか。

 「物価上昇の勢いが増す状況には距離があることから、腰を据えて、きわめて緩和的な金融環境を維持すべく、金融政策を運営していくことが必要であると判断している。」

 こちらも同様。

 「2%の「物価安定の目標」を実現するためには、適合的期待による予想物価上昇率の引き上げに時間がかかる可能性があることを踏まえ、強力な金融緩和を息長く続けることが重要である。」

 あれほどの緩和策を打ち出したにもかかわらず、適合的期待による予想物価上昇率の引き上げに時間がかかり過ぎていることについては、どのように説明するのであろうか。

 「今後、2%に向けて物価が上昇し、経済の中長期的な成長力が高まるもとでは、金融緩和政策の効果は強まることになる。そうした環境変化や政策の副作用も考慮しながら政策運営にあたることが必要である。」

 「政策の副作用」という言葉が出てきた。

 「海外の状況をみて「量的・質的金融緩和」の出口を求める議論が盛んである。しかし、直近の韓国の政策金利引き上げの背景を考えた場合、物価は 1.5%程度でアンカーされているといえ、実質GDPは平均3%以上で成長している。さらに、家計の債務残高はGDPの90%にもなっている。韓国の状況と比べても、日本の金融政策の転換は時期尚早である。」

 なぜ、突然、韓国を事例に持ってきたのであろうか。この発言は原田委員からのものとみられるが、日本の金融政策の転換は時期尚早であることを示すのに、韓国の事例を持ち出してくる必要があるのかががわからない。

 「先行き、経済・物価情勢の改善が続くと見込まれる場合には、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みのもとで、その持続性を強化する観点も含め、金利水準の調整の要否を検討することが必要になる可能性もあるのではないか。」

 内容からみて銀行出身の鈴木委員あたりからの発言か。今後、金利水準の調整の要否を検討してくるのかどうか。副作用についての発言とともに、金利水準の微調整についての意見が出てきたことはかなり興味深い。

 「消費税増税や米国景気後退などのリスク要因を考慮すると 、2018年度中に「物価安定の目標」を達成することが望ましく、10年以上の国債金利を幅広く引き下げるよう、長期国債の買入れを行うことが適当である。」

 片岡委員の発言であろう。10年以上の国債金利を幅広く引き下げれば、物価目標が達成できる仕組みについて具体的に説明してほしい、気がする。

 「ETFをはじめ各種リスク資産の買入れについては、株価や企業収益などが大きく改善していることや、今後も堅調に推移すると見込まれることを踏まえると、政策効果と考え得る副作用について、あらゆる角度から検討すべきである。」

 こちらでも「副作用」という表現が出ている。トヨタ出身の布野委員の意見のようにもみえる。ETFの買入に対しても調整する必要はあると思う。これについては市場との対話を重視すればできないことではないと思う。

 「現在の金融緩和政策は、企業の新陳代謝や規制改革によって労働生産性が高まる過程で増大する失業を吸収しうる経済環境を整えることで、労働生産性引き上げにも貢献する。」

 物価はどこに行ってしまったのか。労働生産性引き上げが物価にも影響するということなのであろうが、そもそも現在の金融緩和政策、つまり国債をたくさん買っているような政策がどのように雇用に働きかけているのか。まったく影響はないとは言わないまでも、あくまで金融政策は後方支援的なものではないのかと思うのだが。


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by nihonkokusai | 2017-12-29 09:30 | Comments(0)

紙幣はどのようにして誕生したのか

 中国の唐の時代の後期には、茶・塩・絹などの遠距離取引が盛んになるなど商業の発達に伴い銭貨の搬送を回避する手段として「飛銭」と呼ばれた送金手形制度が発生した。高額商品の売買には銭貨の「開元通宝」などでは量がかさんでしまう上、途中での盗賊などによる盗難の危険もあった。このため、長安や洛陽などの大都市と地方都市や特産品の産地などを結んで、当初は民間の富商と地方の商人との間によって「飛銭」という送金手形制度が開始された。

 これはたいへん便利なものであるとともに、手数料収入に目を付けた節度使(地方の軍司令官)や三司(財政のトップ)などもこれを模倣した。飛銭を利用する際に使われた証明書(預り証)が、宋代になると交子・会子・交鈔・交引などと呼ばれ、証明書それ自体が現金の代わりとして取引の支払に用いられるようになった。特に四川地方で発行された交子は世界史上初の紙幣とされている。

 紙幣はたいへん便利なものであったことで、その需要が増え、それに目をつけた政府は軍事費に当てるための財源として交子を乱発し、その価値を失ってしまった。政府に発行をまかせると紙片を乱発しかねないのは歴史が証明している。その後、新たな紙幣を発行するものの、やはり信用を落としてしまい、最終的には銅銭が復活することになった。

 しかし、なぜ中国で世界最初の紙幣が誕生したのであろうか。貨幣の材料となる貴金属などの産出が限られていたこともあるが、宋や元の時代の国家権力が強かったことも要因であろう。それとともに遠隔地との交易など商業の発達がそれを促したものといえよう。忘れてならないのは、紙そのものが中国で発明されたものであり、さらに印刷術も発達していたことが、紙幣の発行を可能にしたといえる。マルコ・ポーロの「東方見聞録」には、元で通貨ではなく紙幣で買い物をする様子を見て驚く場面が登場する。

 日本における現存する最古の紙幣は、1610年に伊勢の山田において、支払いを約束する預り証の形式をとって発行された山田羽書(はがき)とされる。

 伊勢神宮に仕える有力商人が、高い信用力と宗教的権威を背景に、釣銭などの煩わしさを少なくするために発行された紙幣であり、額面金額も銀1匁以下の小額となっていた。形や文様が統一されたことで、不特定多数の人々に交換手段として利用が可能なように作られており「紙幣」として利用されたのである。

 世界で最古の紙幣は10世紀に四川地方で発行された交子とされるが、日本はこれに次いで世界で二番目に古く紙幣を発行していたことになる。

 その後、私札は伊勢国、大和国、摂津国など近畿地方を中心に、有力商人がその「信用力」を元に発行し、室町時代末期から江戸時代初期にかけて約60年の間、流通した。

 こうした私札に目をつけた各藩が発行したのが「藩札」と呼ばれる紙幣である。藩札の最初は1630年に始まった備後の福山版のものと言われているが現物は残っておらず、現存するものとしては1661年の福井藩の札が最古のものとなっている。

 私札も藩札も江戸時代後期まで、ほとんど銀立の額面で発行されていたが、これは西日本では銀が経済の主流であったことが要因である。

 紙幣については乱脈な発行によるインフレへの懸念とともに、偽札の問題が生じる。世界で最初に紙幣を発行した中国では、偽札防止のため細かな文字や文様などを組み合わせ簡単には真似のできない工夫がされていたが、日本の藩札も同様に色刷りや透かしなどが実用化されていた。1856年に浜松藩が出した銀札にはオランダ語を入れるなどの工夫も行っていたのである。


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by nihonkokusai | 2017-12-14 09:36 | Comments(0)

現金が消えたスウェーデンの事例

 11月27日の毎日新聞に「スマホ決済、現金消えた スウェーデン、パンも献金も」との記事が掲載されていた。日本ではやっと1万円超え5万円以下の支払いでカード派が現金派を上回った程度で現金の流通量は先進国のなかでも極めて高い。それに対してスウェーデンでは、中央銀行のリクスバンクが実施した調査で、財布に現金を入れていない人は15%に達したそうである。

 スウェーデンでは現金の代わりに何が使われているのかといえば、もちろんビットコインのような仮想通貨ではない。カード決済も多いようだが、近年急速に普及したモバイル決済である。特に同国の複数の有力銀行が共同で開発したスウィッシュ(Swish)と呼ばれるモバイル決済が広く使われている。

 日本ではなかなか普及が進まないものの、海外でよく利用されているものとして「デビットカード」がある。デビットカードは自分の銀行口座から即時決済されるものであり、このアプリ版といえるものがスウィッシュといえる。

 2012年に運営を開始したスウィッシュは、携帯番号と銀行口座が紐付けされ、店での支払いや個人間のお金のやりとりが瞬時にできる。国民の半数以上が使い、若年層(19~23歳)の利用率は95%に達するそうである(毎日新聞)。

 日本でも高額紙幣の廃止論議が出てはいるが、現金の使い勝手が良すぎる面もあって、キャッシュレス化は進んでいない。海外では脱税やマネーローンダリング対策もあっての高額紙幣廃止も行われている。しかし、日本では多少の脱税目的等の現金保有があったとしても、早急に高額紙幣を廃止する必要性は感じられない。また、偽造防止技術も進み偽札製造も難しいとされている。

 ただし、高額紙幣廃止云々ではなく、このようなモバイル決済を利用したキャッシュレス化に関しては今後、日本でも進むことが予想される。すでにSuicaなどJRのカードやnanacoなどのコンビニのカードを使うことで、小銭を持ち歩くことも少なくなった人も多いのではなかろうか。

 大手銀行でも三菱UFJが「MUFGコイン」を発表するなど、銀行口座のお金をスマートフォンで簡単に支払えるような仕組みが検討されている。これは仮想通貨とされているが、1円が1コインとすることで結局は円の支払いと同じ仕組みとなる。しかし、各銀行がそれぞれモバイル決済を導入するとなれば、小売店側の対応も銀行毎に必要となってしまう。このためスウェーデンのように大手行などが共同で開発して単一のモバイル決済の仕組みを作れば、日本でも現金決済ではなくモバイル決済が急速に普及する可能性がある。

 現金は持ち歩くなり、保存するなりすることで、大きな負担やリスクを伴う。それがモバイル決済を使えば軽減される。金融機関にとってもモバイル決済が普及すれば、ATMなどの設置費用を軽減できる。また、モバイル決済では小額といえども手数料を取れることも魅力となろう。

 ただし、それを使う側からすればお金の流れをすべて銀行に把握されてしまうという懸念もあるかもしれない。しかし、それ以上に使い勝手が良ければ利用は進むのではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2017-11-28 09:51 | Comments(0)

米国債保有高は引き続き中国がトップ

 米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、9月の国別の米国債保有高は中国が4か月連続のトップとなった。ただし、中国の米国債の買い越し継続は8月での7か月連続でストップした。

 9月の中国(China、Mainland)の米国債保有高は1兆1808億ドルとなった。2位は日本で1兆0960億ドルの保有高となった。上位10か国は次の通り(単位、10億ドル)

中国(China, Mainland)  1180.8

日本(Japan)  1096.0

アイルランド(Ireland)  310.8

ブラジル(Brazil)  272.8

ケイマン諸島(Cayman Islands ) 267.6

スイス(Switzerland)  254.9

英国(United Kingdom) 237.4

ルクセンブルグ(Luxembourg )214.1

香港(Hong Kong)  194.7

台湾(Taiwan) 183.9

 ベスト10の顔ぶれは前回と同じで順位にも変化はなかった。日本は昨年10月に中国を抜いて米国債保有額でトップとなっていたが、今年6月に再び中国に抜かれ、9月も2位のままとなった。

 中国の外貨準備高は増加し続けており、7月には3兆ドルを突破し、9月末の外貨準備高は3兆1090億ドルとなり、8か月連続で増加していた。しかし、米国債の保有高そのものは9月は1兆1808億ドルと、8月の 1兆2005億ドルからは減少した。

 米10年債利回りの推移をみると9月はそれまでの低下基調から一転し、再び上昇基調となった。9月8日頃に2%近くまで低下していた米10年債利回りは、北朝鮮リスクが後退し、フロリダ州を直撃したハリケーン被害が警戒されたほど大きくないとの観測も加わり、12月のFOMCでの利上げ観測が再び強まったことなどから、リスク回避の巻き戻しにより上昇基調となった。9月末に米10年債利回りは2.33%台に上昇しており、中国の米国債保有高の減少は相場の下落過程での利益確定売りを急いだ可能性がある。

 ちなみに日本も8月の1兆1017億ドルから9月は1兆960億ドルに減少させており、やはり利益確定売りを進めていた可能性がある。


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by nihonkokusai | 2017-11-27 09:28 | Comments(0)

FRBのイエレン議長は理事ポストも辞すると発表

 FRBのイエレン議長は20日、パウエル次期議長が就任した時点で、理事ポストも退任すると表明した(日経新聞電子版)

 トランプ大統領は11月2日に来年2月に任期満了を向かえるイエレンFRB議長の後任に、FRBのパウエル理事を指名した。これによりイエレン議長の再任はなくなった。イエレン氏は来年2月に議長職は失うが、これでイエレン氏がFRBを去るとは限られなかった。イエレン氏はFRBの理事としての任期が残されていたためである。

 FRB議長の任期は4年だが、FOMCで投票権を持つ理事職は任期が14年と長い。中央銀行の独立性を保つためとして、理事には長い任期が与えられている。イエレン氏は2010年にサンフランシスコ連邦準備銀行総裁からFRB副議長に就任した。このため、理事としては2024年まで任期が残っていた。

 このため、イエレン氏は議長職の任期が切れても理事としてFRBに残る可能性があったが、今回あらためて、トランプ大統領への書簡で、パウエル次期議長が正式に就任するのにあわせて理事職も退任する意向を伝えたのである。

 FRBはトランプ氏が指名した金融監督担当のクオールズ副議長がすでに就任しているが、フッシャー氏が10月に副議長職を辞しており、7席ある理事ポストのうち、現時点で既に3つが空席となっている。イエレン氏の退任により、これが4つとなる。

 さらにニューヨーク連銀のダドリー総裁も2018年半ばまでに退任する予定と伝えられている。FOMCの投票権のあるメンバーは理事会からの7名の理事全員と地区連銀から5名の連銀総裁で12名によって構成されている。連銀総裁の参加者のうち1名はニューヨーク連銀総裁が常任となり、残りの4名はその他の地区連銀総裁が1年交替で務める。決定された金融政策に基づいて金融政策を実行するのがニューヨーク連銀であるように、ニューヨーク連銀総裁も立場上は副議長クラスとなっている。

 つまりダドリー総裁も辞任するとなれば、FOMCの投票権を持つメンバーがもうひとつ減ることになる。FRB理事は大統領が任命し、上院の承認を受ける必要がある。これに対してニューヨ-クの総裁はニューヨーク連銀理事会が後任指名のための委員会を設置し候補者を指名するようである。

 いずれにしても今後、FOMCの投票権を持つメンバーにトランプ大統領が指名するとみられる4名の理事と、同じく投票権をもつニューヨーク連銀総裁も入れ替わる可能性が高い。これにより、FOMCの今後の勢力図にどのような変化が起きるのかも注意する必要がある。


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by nihonkokusai | 2017-11-22 09:45 | Comments(0)

アベノミクス再考の必要性

 2016年の伊勢志摩サミット後に安倍首相は、今年4月に予定されていた消費税率の10%への引き上げを延期すると表明した。

 伊勢志摩サミットで議長の安倍首相は機動的な財政戦略や構造改革を提案し、リーマン・ショックを引き合いに出して世界経済の危機(クライシス)に懸念を示したが、危機の度合いの表現をめぐって疑問も出たことから調整もあった。欧州の首脳らがかなり困惑したとも伝えられている。

 景況認識は民間エコノミストどころか霞が関内でも共有されていなかったと、11月17日の日経新聞の大機小機でもコメントがあった。

 何故に安倍首相は今年4月の消費税の10%の引き上げは先送りしたのか。現実にリーマン・ショック級の世界経済の危機など起きてはおらず、むしろ長きにわたり景気回復基調は継続し、株価はバブル崩壊後の高値を更新している。

 安倍首相が消費増税を2度に渡り先送りされた背景には、いわゆるリフレ派と呼ばれる人達の主張が影響していたとされる。アベノミクスの柱が異常な金融緩和策となっていたり、日銀の政策委員人事などをみて明らかである。さらに日銀の異次元緩和によって物価目標達成ができなかったことも2014年4月の消費増税を主犯としているくらいであった。

 しかし、世界的な物価の低迷そのものが日本の消費増税による影響によるわけはない。また、リーマン級の危機どころか、順調に世界経済が回復している。世界経済の回復そのものは、日本の消費増税を延期したり、日銀の異次元緩和によるものではない。株価の上昇など、多少の過剰流動性は生み出しているのかもしれないが、少なくとも日銀の異常な緩和が物価への刺激というバイパスを通じずに直接、雇用の回復に影響を与えているとの見方もおかしい。

 17日の日経新聞の大機小機では次のようなコメントがあった。

 「中央銀行の役割は「パーティーが盛況なときにカクテル入りのパンチボウルを片付けだす」ことにたとえられるが、今の日銀は相変わらず酒を出し続けているどころか、もういいといっている客にまだどうぞと杯を押しつけているようにさえ見える。」

 これがどのような副作用を招きかねないのか。日銀も総裁がその副作用に言及するようになってきた。首相官邸もこのあたりを十分意識しておく必要があり、日銀総裁人事などでもこの点に注意すべきではないかと思われる。



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by nihonkokusai | 2017-11-19 10:21 | Comments(0)

日経平均がバブル崩壊後の高値更新、気をつけるべきリスクとは

 11月7日の東京株式相場では日経平均株価が389円25銭高の22937円60銭で引けたことで、1996年6月に付けたバブル崩壊後の高値となる22666円80銭を抜け、1992年1月以来、25年ぶりの水準を回復させてきた。

 この背景にあるのは国内企業の業績回復などもあるが、海外株式市場の上昇による影響が大きい。米国株式市場ではダウ平均、ナスダック、S&P500の主要3指数が過去最高値を更新し続けており、ロンドン株式市場でもFTSE100種総合株価指数やフランクフルト株式市場でドイツ株式指数(DAX)も過去最高値を更新している。

 欧米の株式市場が過去最高値を更新している割に、日本の株価はやっとバブル崩壊後の高値を更新した程度ともいえるかもしれない。それでもやっとここにきて世界的な株価の上昇トレンドに東京株式市場も乗ってきた。

 実感なき景気回復と言われてはいるが、それでも企業の決算等は好調となるなど景気が回復していることは確かである。ただし、今回の世界の株高には物価上昇が伴っていないことも特色となっており、それが熱狂なき株高といえるような状況となっている。

 物価が上昇しないことで、日米欧の中央銀行の金融政策は異常ともいえる緩和策を継続させている。米国のFRBはいち早く出口政策をとってはいるが、それでもかなり慎重に進めており、膨れあがった買入資産の縮小にも慎重である。イングランド銀行は10年ぶりの利上げを決定したが、再利上げは予想以上の慎重姿勢を見せている。ECBもテーパリングではなくダウンサイジングとの表現を使うなど買入規模の縮小にも慎重姿勢となっている。日銀も出口との表現は封印せざるを得ない状況にある。

 この日米欧の中央銀行の慎重姿勢も手伝っていわゆる金融相場と業績相場が同時に起きるという状況となっている。

 リーマン・ショックやギリシャ・ショックに代表される大きな世界的な金融経済リスクが後退し、世界経済は回復基調となり企業業績は回復し、そこに大規模な緩和効果も残っていたことで、株価をつり上げている。

 現在の世界的株価の上昇はバブルなのかと言えば、いずれはバブルと呼ばれる可能性は高い。ただし、その頂点が見えているわけではない。日本のバブルも崩壊して初めてバブルと呼ばれた。

 ではどのようなタイミングで今回の株価の上昇トレンドが変化するのか。それもまた日米欧の中央銀行の行方に掛かっているような気がする。物価の低迷と中央銀行による大規模な国債を主体とした資産買入は特に日本で財政への懸念を覆い隠すかたちになっている。この好環境が崩れることになると、あらたなリスクが生じる可能性がある。その意味では東京オリンピックが開催される2020年は注意すべき年となるかもしれない。戦後初めて国債が発行されたのは、前回の東京オリンピック後であった。


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by nihonkokusai | 2017-11-09 09:56 | Comments(0)

イングランド銀行による利上げの可能性が高まる

 英国政府統計局(ONS)が25日発表した英国の7~9月の国内総生産(GDP)速報値は前期比0.4%増となり、市場予想を上回った。

 英国の中央銀行であるイングランド銀行は9月14日の金融政策委員会(MPC)で、政策金利を過去最低の0.25%で据え置くことを決めた。7対2の賛成多数での決定となり、マカファティー氏とソーンダース氏が前回会合に続き、0.25ポイントの利上げを主張した。この会合からホッグ委員の後任のラムズデン委員が加わり3月以降で初めて、フルメンバーとなる9人での採決となった。

 市場では9月のMPCで利上げ主張派がひとり増えて6対3とすることで将来の利上げの可能性を示唆するのではとの観測も出ていた。しかしそうはならなかった。そのような回りくどいやり方ではなく、同時に発表したMPCの議事要旨で「経済が継続的な緩みの縮小や基調インフレ圧力の段階的な上昇の見通しと一致する経路をたどるなら、今後数か月(over the coming months)での一定の金融刺激策縮小は適切となる可能性があると、過半数の委員は判断した」と年内の利上げの可能性を示唆していた。

 カーニー総裁もあらためて、向こう数か月で緩和縮小が必要になるかもしれないと自らも判断していると会見で発言しており、イングランド銀行は早ければ次回11月のMPCで利上げに踏み切る可能性を強く示唆した格好となった。

 次回のMPCは来週の11月2日に開催される。今回のGDP統計はイングランド銀行による11月のMPCで経済動向を確認するための最後の主要経済指標となる。それが市場予想を上回ったことにより、11月のMPCでの利上げ観測がさらに高まった。

 英政府統計局が10月17日に発表した9月の消費者物価指数は前年同月3.0%増となっており、2012年4月以来、約5年半ぶりに上昇率が3%台に乗せていた。これも利上げを後押しする材料となる。

 イングランド銀行のカンリフ副総裁は23日に11月のMPCで利上げを支持するかどうかについて、あらためて疑念を表明していた。このため、カンリフ副総裁が利上げに反対票を投じる可能性がある。日銀の金融政策決定会合では執行部と呼ばれる総裁と2人の副総裁の票が割れることは皆無ではないが、通常は考えづらい。これに対してイングランド銀行は総裁自身が少数派に回ることがあるなど、個人の意見が重視される。このため副総裁が反対したとしてもそれが多数派になるとは限らない。

 市場では11月2日のMPCで0.25ポイントの利上げを約80%程度織り込んでいるとされる。もし利上げが決定されるとなれば、10年ぶりとなる。



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by nihonkokusai | 2017-10-27 09:52 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


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