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スウェーデン中央銀行(リクスバンク)も緩和バイアスを解除

 7月4日のスウェーデン中央銀行(リクスバンク)は、政策金利のレポ金利をマイナス0.5%で据え置いた。また、当面の追加利下げの可能性を否定し、政策金利は2018年半ばまで現行水準にとどまるとの見通しを示した。

 声明では「インフレ率が最近、予想を若干上回る上昇を続けていることと、海外からの悪影響のリスクが低下したと考えられることから、政策金利のレポ金利をさらに引き下げる可能性は目先後退した」と説明した(ブルームバーグ)。

 リクスバンクのイングベス総裁は記者会見で「緩和政策の縮小や利上げは時期尚早」と発言したものの、ECBと同様に追加緩和に向けた前傾姿勢から普通の姿勢に戻したといえよう。

 カナダ銀行(中央銀行)は7月12日の政策決定会合で、政策金利である翌日物金利の誘導目標を0.25%引き上げ、年0.75%とした。カナダ銀行の利上げは2010年9月以来、6年10か月ぶりとなる。

 6月27日にポルトガルで開催されたECBの年次政策フォーラムで、ECBのドラギ総裁は景気回復に即した緩和策の調整、つまり景気が順調に回復するのであれば、緩和効果を一定に保つための政策修正の可能性を指摘した。つまりECBが年内にも理事会で政策修正を検討する可能性が出てきた。

 また、ドラギ総裁は今年のジャクソンホール会合に3年ぶりに出席すると伝えられた。ECBは資産買い入れを段階的に縮小する方針を9月の政策理事会で示唆するのではとの観測が出ている。

 このように、ここにきて欧米の中央銀行は、FRBを筆頭に緩和政策を解除しての正常化、もしくは緩和バイアスを解除する方向で足並みを揃えてきているように見受けられる。これは6月27日にポルトガルで開催されたECBの年次政策フォーラムにおいて、為替に影響を与えることのないように、なんらかの密約があったのではとの観測も出ていた。

 BISによる直近の年次報告書によると、金融政策正常化の議論をしていたことが示されていたが、それが徐々に実行に移されているように見受けられる。報告書では「インフレ率が上がらなくとも、長期にわたり金利を低過ぎる水準に維持すれば、金融安定とマクロ経済のリスクを将来的に高めかねない。債務は引き続き累積し、金融市場のリスクテークは勢いを増すことになる」と指摘していた。

 ただし、この動きのなか、緩和バイアスの解除もできずにいるのが日銀となっている。それでもいまのところ円安の動きは緩やかなものとなっている。しかし、日銀と欧米中銀の金融政策の方向性の違いが、あらためて為替市場で材料視され、大きく円安が進むようなことになると、日本に対して海外から批判が出てくるようなこともありえよう。


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by nihonkokusai | 2017-07-24 09:56 | Comments(0)

日銀決定会合で反対者がいなくなる日

 7月19、20日の日銀金融政策決定会合では、今回も賛成多数で現状維持が決定された。今回も長短金利操作、資産買入れ方針ともに7対2の賛成多数となっていたが、反対したのはいずれも佐藤審議委員と木内審議委員である。

 長短金利操作について、佐藤委員は、短期政策金利をマイナス0.1%、10 年金利の目標をゼロ%程度とすることは期間10年までの金利をマイナス圏で固定することにつながりかねず、金融仲介機能に悪影響を及ぼすとして反対した。木内委員は、国債市場や金融仲介機能の安定の観点から、短期政策金利はプラス0.1%が妥当であり、長期金利操作目標は国債買入れペースの一段の拡大を強いられるリスクがあるとして反対した(日銀「当面の金融政策運営について」より)。

 資産買入れ方針については、佐藤委員は約6兆円のETF買入れは、市場の価格形成や日本銀行の財務健全性に及ぼす悪影響などを踏まえると過大であるとして反対した。なお、木内委員より、資産買入れ額を操作目標とする枠組みとしたうえで、長期国債保有残高が年間約45兆円、ETFが約1兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行うなどの議案が提出された(日銀「当面の金融政策運営について」より)。

 佐藤健裕審議委員と木内登英審議委員の任期は7月23日までとなり、今回の会合が最後となる。

 上記の反対理由については、至極もっともであるが、反対理由はあくまで、金融仲介機能に悪影響、国債買入れペースの一段の拡大懸念、日本銀行の財務健全性に及ぼす悪影響などとなっている。それ以前に異次元緩和が効果を及ぼしていないという事実が含まれていない。これを含めて本来であれば、長短金利操作付き量的・質的緩和というタイトルだけが長くなっている緩和策を再検証すべきものではなかろうか。

 すでに欧米の中央銀行は正常化に向けて舵を取りつつある。そんななか、日銀だけが取り残されそうな雰囲気にある。この状況下で正論ともいえる意見を言い続けた二人の委員がいなくなってしまうと、日銀はますます異質な政策を一丸となって続けるような印象も与えかねない。

 政府との共同文書や物価目標、さらにはリフレ政策を日銀に押しつけた政権にそもそも問題があり、日銀審議委員の人事も官邸が行っている以上、このようなことになってしまうのは当然ではあるが、それが日銀の異質さをさらに際立てしまう懸念がある。

 佐藤委員と木内委員の後任は三菱UFJ&コンサルティングの片岡剛士上席主任研究員と三菱東京UFJ銀行の鈴木人司取締役となる。リフレ派である片岡氏はさておき、鈴木氏にはあらためてこの現状をしっかり認識していただき、的確な意見を述べていただきたい。これはほかの政策委員にも希望したい。もしこのまま全員一致で現状維持を続けることになれば、その政策についてますます疑問符が付いてしまうことになりかねないのではなかろうか。



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by nihonkokusai | 2017-07-21 10:05 | Comments(0)

欧米の中央銀行による金融政策の正常化に向けた動きのひとつの背景

ここにきて欧米の中央銀行のトップから相次いで正常化に向けた動きを進めるような発言が相次いでいる。そのひとつのきっかけがBISの年次報告書にあった。

国際決済銀行(BIS)とは、1930年に設立された中央銀行をメンバーとする組織で、スイスのバーゼルに本部がある。ドイツの第1次大戦賠償支払に関する事務を取り扱っていたことが行名の由来だが、それ以外にも当初から中央銀行間の協力促進のための場を提供しているほか、中央銀行からの預金の受入れ等の銀行業務も行っている(日銀のサイトより引用)。

そのBISによる直近の年次報告書のなかで、金融政策正常化の議論をしていたことが示されている。「インフレ率が上がらなくとも、長期にわたり金利を低過ぎる水準に維持すれば、金融安定とマクロ経済のリスクを将来的に高めかねない。債務は引き続き累積し、金融市場のリスクテークは勢いを増すことになる」と指摘していた。

すでに正常化に向けて歩みをはじめているFRBは利上げとともにバランスシート縮小も進めることが予想されている。保有証券縮小計画については9月のFOMCで決定される可能性が高い。そして年内あと一回の利上げは12月のFOMCで決定されるとの予想になっている。

27日にポルトガルで開催されたECBの年次政策フォーラムで、ECBのドラギ総裁は景気回復に即した緩和策の調整、つまり景気が順調に回復するのであれば、緩和効果を一定に保つための利上げの可能性を指摘した。つまりECBが年内にも理事会で利上げを検討する可能性が出てきた。ただし、いまのところ具体的な日程が示されているわけではない。

イングランド銀行のカーニー総裁も同フォーラムで、中銀は利上げを実施する必要が出てくる可能性があり、金融政策委員会(MPC)はこの件について向こう数か月以内に討議すると述べていた。MPCでフォーブス委員だけが利上げを主張していたが、前回からマカファーティー、ソーンダーズ両委員が利上げ派に加わった。さらにチーフエコノミストのアンディ・ホールデン理事からも政策引き締めを遅らせ過ぎることのリスクが高まっているとの認識が示された。年内のMPCは8月、9月、11月、12月に予定されている。やはり9月と12月のMPCに特に注意したい。

イングランド銀行にとっては英国のEU離脱による影響も危惧されようが、それによるポンド安と物価高も無視できなくなりつつある。ユーロ圏については金融機関等への問題やギリシャの財政問題等も残るが、少なくとも金融危機のリスクは後退というか沈静化したというのが、共通認識となっているのではなかろうか。

いわゆるBISビューで正常化に向けた議論が行われていた意味は大きいように思われる。6月29日~7月2日の日程でスイスのバーゼルで開かれた国際決済銀行(BIS)国際会議には日銀からは中曽宏副総裁が出席していた。正常化向けた動きに取り残されている日銀が今後、どのような動きをみせてくるのかも注目したい。


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by nihonkokusai | 2017-07-10 10:04 | Comments(0)

日銀 vs 債券市場参加者

日銀で行われた第5回「債券市場参加者会合」の議事要旨が5日、日銀のサイトにアップされた。この中から市場参加者による「債券市場の機能度・流動性についての見方」を見てみたい。

「イールドカーブ・コントロールの導入以降、長期ゾーンを中心にボラティリティが低下し、価格変動に対する安心感が広がっている。」

最初はひとまず日銀の政策の効果について好意的な意見が載せられているが、

「ボラティリティの低下は、一見機能度改善にも見えるが、実際には取引量の減少や既存の市場参加者の退出という形で機能度の低下に繋がっている。」

こちらが本音の部分といえよう。取引量の減少も無視できないが、既存の市場参加者の退出は、今後の市場の大きな不安要因となりかねない。

「現在の市場は、日本銀行のコントロールの下で安定しているが、金利水準もボラティリティも極端に低い市場環境の下で、これまでの日本国債のプレーヤーが市場から退出するなど、参加者層が薄くなっている。」

金融市場への直接参加者は金融業界全体からみるとそれほど多くはない。しかもここでは経験が重要な要素となる。日銀の異次元緩和は債券市場の参加者を減らすばかりか、金利が動くという経験もさせなくさせている。このため下記のような意見も出ている。

「中長期的に金利を市場に委ねるとなった際に、市場参加者の厚みが足りないが故にボラティリティが急に上昇することを懸念。参加者層の厚みや多様性も市場機能の一つだと思うので、引き続き留意して欲しい」

今の日銀にとって金融政策の正常化の動きは「他人事」かもしれないが、政権の行方等次第で状況も変わりうる。また、何かのきっかけで金利が大きく動く懸念は現在の日銀のコントロール下であっても存在する。

「良くコントロールされていると思うが、一方で債券市場の価格発見機能は失われている。株価は上昇し、日本経済の状況も良くなっているなかで、長期金利が殆ど反応しないという状況は健全ではない。」

このあたりの歪みも知らず知らずに蓄積されている可能性がある。価格発見機能は失われているのではなく、日銀が力尽くで見せなくさせているだけである。

「現状、市場機能が低下しているとすると、調節運営のなかでもう少し変動幅を許容するようにしないと、実際にマーケットで金利が動き始めた際に市場が対応できないのではないかと危惧している。」

少しでも市場参加者の経験を積み上げることも大事であり、日銀もある程度、長期金利の変動幅を許容したほうが、マーケットの機能は多少なり回復しよう。日銀はマイナス金利を残したいのであれば、長期金利の目標値をもう少しフレキシブルにしてプラス0.5%あたりまで許容するなりすれば、債券市場の機能がある程度改善してくるのではなかろうか。本来市場に委ねていたはずの長期金利である以上、変動幅の許容範囲をある程度大きく持っても問題はないのではなかろうか。それが今日の日銀の国債買入等で試される。


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by nihonkokusai | 2017-07-07 09:39 | Comments(0)

都議選受けての安倍政権の行方が日銀にも影響か

7月2日の東京都議会選挙の結果は、小池知事の支持勢力が79議席を獲得し圧勝となった。自民党は選挙前の57議席から23議席となり、歴史的な敗北を期した。都知事選の勢いにのって新党を立ち上げ、新人候補を中心に大量の当選者を獲得するというパターンは、今年のフランスの大統領選挙でのマクロン氏の勝利とその後の国民議会(下院)選挙でマクロン大統領の新党「共和国前進」グループが大勝した流れにも通じる。

都議会議員選挙の結果がそのまま国政選挙にも影響するのか。今回の都議選を見る限り、受け皿さえあれば安倍一強と言われた安倍政権を揺るがす可能性があることを示した。現在の自民党政権の強さは、野党の敵失の面も大きく、野党よりもまだましな政権なのでとの認識も強いための支持ではなかろうか。しかし、ここにきてその支持率も低下基調となっており、都議選の結果がその傾向を顕著に示すことになった。

今後は安倍政権の求心力の低下により、じわりじわりと影響が出てくることが予想される。安倍政権の支持率低下が自民党の支持率低下に影響を及ぼすことになれば、自民党内で対策を講じる必要性が意識されるかもしれない。フランスで若手の大統領が出たように、日本でも若い首相の誕生を期待する声も上がるかもしれない。あくまでいまのところは憶測に過ぎないが。

今後の安倍政権の求心力の低下が金融市場にどのような影響を及ぼすのか。安倍首相は都議選の結果を受けて、初心に帰ると発言していた。まさか2012年11月の輪転機発言に戻るわけではないと思うが、新アベノミクスを掲げるのではないかとの期待もあるようである。

すでに日銀は使えそうなあらゆる手段を講じてしまった。ここで政権による意向でさらに強力な金融緩和策を依頼されても、それに答えることは難しい。マイナス金利の深掘りもできなくはないが、期間の長い国債利回りが再びマイナス化してしまうと、以前に増しての金融機関からの反発が予想される。国債をさらに大量に買い入れることも数字上はありうるとしても現実的ではない。それ以前に、あれだけの緩和をしておきながら、物価目標達成がいっこうに見えない原因についてしっかり説明しなければ、追加緩和の必要性を納得させられまい。

それでは金融政策がだめなら財政政策か。国債残高が1000兆円に膨れあがったのは何が要因だったのか。これは特に自民党政権下での度重なる経済政策による影響が大きかったはずであり、社会保障費の抜本改革を進めなかったことによるものではなかったのか。

ここでさらなる財政政策を講じるのであれば、かなり効果的なものを打ち出さなければ、日本の財政悪化による悪影響の方がクローズアップされる懸念がある。いずれにしても新アベノミクスというよりも、当初のアベノミクスが何であり、その効果が具体的にあったのかを立証する必要も出てこよう。

安倍政権の求心力が落ちるとなれば、日銀にとっては突貫工事で作り上げたバベルの塔のような金融政策、「長短金利操作付き量的・質的緩和」を調整するチャンスなのかもしれない。欧米の中央銀行も出口に向けて歩き始めており、日銀も早めにリフレ的な発想を排除し、より現実的な政策に戻し、市場と向き合う必要があるのではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2017-07-05 09:50 | Comments(2)

欧州中央銀行(ECB)も軸足を金融緩和縮小に修正か、取り残される日銀

27日にポルトガルで開催されたECBの年次政策フォーラムで、ECBのドラギ総裁は「景気回復が続く中、政策スタンスはより緩和的になる。ECBは政策手段のパラメーターを調整することで景気回復に対応することが可能だ。これは政策スタンスを引き締めるためではなく、ほぼ同じに維持することが狙いだ」と語った。

かなり回りくどい発言ながら、「今は全ての兆候がユーロ圏の回復の強さが増し、裾野が広がっていることを指し示している。 デフレ圧力はリフレの力に置き換わった」とも語っており、つまり景気回復が続くと金融緩和の効果がより大きくなるとし、その効果を一定に保つには緩和そのものを調整、つまり緩和策を縮小することを示唆した格好となった。

ドラギ総裁は、インフレ基調が持続的かつ自律的になるためには、かなりの金融緩和が依然必要だとも述べているが、引き締めではなく景気回復に即した緩和策の調整であるならば、それがありうることを示した。

6月8日のECB理事会では政策金利の据え置き、量的緩和プログラムの現状維持を決定した。政策に関する声明では、追加利下げに関する文言を削除し、追加緩和に前向きの姿勢から中立姿勢に修正した。ただし、基調的インフレの指標は引き続き弱い状態にとどまっていると慎重姿勢は維持しており、大規模な刺激策を維持すると表明していた。債券購入プログラムの縮小について話し合われなかったとされている。

この時点で市場は、ECBはひとまず「追加緩和」に向けた前傾姿勢から中立姿勢に戻しただけと判断していた。テーパリングなどの緩和策の縮小にはまだ距離があるのではとの見方も強かった。しかし27日のドラギ総裁の発言から、9月の理事会あたりで緩和策の縮小を検討するのではとの観測が出てきた。

市場はこれに反応し、27日のドイツの10年債利回りは0.37%と前日の0.24%から大きく上昇した。フランスの10年債利回りも0.73%と前日の0.59%から大きく上昇し、英国10年債利回りも1.09%と前日の1.01%から上昇した。欧州の国債安を受けて米国債にも売りが波及し、10年債利回りは2.20%と前日の2.13%から上昇した。

ただし、複数の関係筋からとして、この総裁の発言について、総裁は弱めのインフレ期間への容認を示したものであり、差し迫った政策引き締めを意図していないとの見方を示した(ロイター)。これは急激なユーロ安や欧州の長期金利の上昇をみて、少しブレーキを掛けておこうとの意図も働いたとみられる。

FRBはすでに正常化路線を歩んでいる。27日の講演でイエレン議長は、少なくとも自分が生きているうちに再び金融危機が起きるとは考えていないと語っていたが、これこそFRBの正常化に向けた動きの背景にあろう。いまは非常時ではない。それにも関わらず非常時の対策を続けるのはやはりおかしい。

カナダの中央銀行であるカナダ銀行は利上げを模索しており、ポロズ総裁は次回7月の会合での利上げの可能性に言及した。イングランド銀行でも利上げ派が増えてきていたが、ついにカーニー総裁も今回のECBのフォーラムで中銀は利上げを実施する必要が出てくる可能性があり、MPC(イングランド銀行の金融政策を決める金融政策委員会)はこの件について向こう数か月以内に討議すると述べた。そして、最も緩和に積極的であったECBも慎重ながら大胆な緩和策の調整を準備しはじめた。

日銀もステルステーパリングは国債需給の関係から行っているとはいえ、物価目標にはかなりの距離があり、考え方を大きく変えない限り、異常な建て付けとなってしまった金融緩和策を継続せざるを得ない状況にある。いずれ日銀だけが取り残され、緩和することだけに意義があるような状況に追い込まれるリスクも出てこよう。


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by nihonkokusai | 2017-06-30 10:05 | Comments(0)

FRBの正常化のゴールは政策金利の3%としているが、それは可能なのか

FRBのイエレン議長は今年1月18日の講演で、米雇用の回復とインフレ基調の継続を受け、「2019年末まで、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利を年2、3回のペースで引き上げる」との見通しをFRB内でおおむね共有していると述べていた。政策金利が長期の中立金利見通しである3%に近づくとの見方も示した。

今年3回の利上げと、2018年と2019年も0.25%刻みでそれぞれ3回ずつ引き上げるとすれば2019年末までには3%に届く計算となる。ちなみに6月13、14日でのFOMCで政策金利は0.75~1.00%から1.00~1.25%に引き上げられる見込みとなっている。

FRBの物価目標はPCEの物価指数(PCEデフレーター)の総合指数の2%としているが、今年4月のPCEのデフレーターは前年同月比1.7%の上昇となっており、FRBの目標には届いていない。それでもFRBの年内3回程度とする利上げに意向は変えていない。

米国の経済指標は、6月2日に発表された米雇用統計の非農業雇用者数が予想を下回ったが、失業率は4.3%に低下するなど、ややまだら模様となってはいる、しかし総じてしっかりしており、それが米国株式市場にも反映されて、ここにきてS&P500やダウ平均、ナスダックは過去最高値を更新していた。

ハト派の代表格であるはずのブレイナード理事も5月25日に世界経済について「ここ数年で最も明るい」との認識を示し、「欧州経済の成長が堅調なうえ、日本は安定し、新興国も良好になりつつある」と説明した。そのうえで「FRBの経済見通しに対する下振れリスクは軽減された」と述べていた。

トランプ政権の誕生や欧州での選挙などがリスク要因となり、米利上げペースを遅らせる懸念はあったが、いまのところはそのリスクは顕在化していない。欧州ではオランダの総選挙、フランスの大統領選挙でもポピュリズムの台頭は抑えられた。今後、ドイツ、イタリアでの選挙も予定されているが、ユーロというシステムは維持されていくものとみられる。中東や北朝鮮などの地政学的リスクも残るが、こちらも金融市場を混乱させるほどの影響を与えうる可能性はいまのところ小さい。

もちろんこれまで百年に一度とされた金融危機が立て続けに起きるなどしており、油断は禁物ではある。しかし、むしろその歴史的なリスクの後退が、FRBの正常化を可能にさせているともいえる。それでも本当に政策金利を3%にまで引き上げられるのかといえば、低位安定している米長期金利の動きをみても容易ではないようにみえる。個人的にはせいぜい2%あたりが限度かなと思うのであるが。



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by nihonkokusai | 2017-06-12 09:29 | Comments(0)

FRBの正常化のゴールは政策金利の3%としているが、それは可能なのか

FRBのイエレン議長は今年1月18日の講演で、米雇用の回復とインフレ基調の継続を受け、「2019年末まで、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利を年2、3回のペースで引き上げる」との見通しをFRB内でおおむね共有していると述べていた。政策金利が長期の中立金利見通しである3%に近づくとの見方も示した。

今年3回の利上げと、2018年と2019年も0.25%刻みでそれぞれ3回ずつ引き上げるとすれば2019年末までには3%に届く計算となる。ちなみに6月13、14日でのFOMCで政策金利は0.75~1.00%から1.00~1.25%に引き上げられる見込みとなっている。

FRBの物価目標はPCEの物価指数(PCEデフレーター)の総合指数の2%としているが、今年4月のPCEのデフレーターは前年同月比1.7%の上昇となっており、FRBの目標には届いていない。それでもFRBの年内3回程度とする利上げに意向は変えていない。

米国の経済指標は、6月2日に発表された米雇用統計の非農業雇用者数が予想を下回ったが、失業率は4.3%に低下するなど、ややまだら模様となってはいる、しかし総じてしっかりしており、それが米国株式市場にも反映されて、ここにきてS&P500やダウ平均、ナスダックは過去最高値を更新していた。

ハト派の代表格であるはずのブレイナード理事も5月25日に世界経済について「ここ数年で最も明るい」との認識を示し、「欧州経済の成長が堅調なうえ、日本は安定し、新興国も良好になりつつある」と説明した。そのうえで「FRBの経済見通しに対する下振れリスクは軽減された」と述べていた。

トランプ政権の誕生や欧州での選挙などがリスク要因となり、米利上げペースを遅らせる懸念はあったが、いまのところはそのリスクは顕在化していない。欧州ではオランダの総選挙、フランスの大統領選挙でもポピュリズムの台頭は抑えられた。今後、ドイツ、イタリアでの選挙も予定されているが、ユーロというシステムは維持されていくものとみられる。中東や北朝鮮などの地政学的リスクも残るが、こちらも金融市場を混乱させるほどの影響を与えうる可能性はいまのところ小さい。

もちろんこれまで百年に一度とされた金融危機が立て続けに起きるなどしており、油断は禁物ではある。しかし、むしろその歴史的なリスクの後退が、FRBの正常化を可能にさせているともいえる。それでも本当に政策金利を3%にまで引き上げられるのかといえば、低位安定している米長期金利の動きをみても容易ではないようにみえる。個人的にはせいぜい2%あたりが限度かなと思うのであるが。



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by nihonkokusai | 2017-06-12 09:29 | Comments(0)

ドイツのメルケル首相がECBの緩和策を遠回しに批判

ドイツのメルケル首相は22日、ベルリンの学校で開かれたイベントで学生たちに「ユーロは弱過ぎる。これは欧州中央銀行(ECB)の政策が理由だ。これによってドイツ製品が相対的に安くなっている。従って、ドイツ製品はよく売れている」と語ったそうである(ブルームバーグ)。

また原油安も輸入価格の低下を通じてドイツ貿易黒字の一因になっているとして、原油価格が今の1.5倍ならドイツの輸入額は増えると指摘。「ではどうしたらよいのか。我々にできるのは国内で投資を増やすことだ」と語った。

中央銀行の金融緩和によって通貨安にし、通貨安によって国内製品の輸出を促進させて国内景気を回復させ、ついでに物価も上昇させるというのは、我が国ではアベノミクスと呼ばれている。ところが今回のメルケル首相の発言はメルケルミクスを意識した発言などではない。

むしろドイツの貿易黒字の拡大が米国などから批判されており、そのドイツの貿易黒字問題についてメルケル首相はユーロ相場と原油価格の2つが押し上げ要因となっており、これらはいずれも政府の管轄外だとも指摘したのである。

今週開催される主要7か国首脳会議(G7)で、米国政府がドイツの貿易黒字問題について一段の対処を求めることが予想され、それに対して予防線を張ったとも言えよう。また、こういった批判の矛先をECBに向けさせようとしているようにも見受けられる。今回のメルケル発言を受けて、市場ではドイツが欧州中央銀行(ECB)に対し緩和解除への圧力を強めるのではないかとの観測も広がっていた。

そもそもドイツ関係者はECBの緩和政策に対して批判的な見方をしてきた。ドイツの中央銀行(ブンデスバンク)は過去の教訓から金融緩和による国債買入等に対して反対の立場を取ってきた。それは下記のような歴史の教訓によるものである。

第一次世界大戦の敗戦により、ドイツは天文学的な賠償金を背負わされ、財政支出の切り札になったのが、国債を大量発行しライヒスバンクに買い取らせるという手法であった。その結果、ドイツはハイパーインフレに見舞われ、ライヒスバンクの後継者であるブンデスバンク(連邦銀行)は、インフレに対して極度に神経質となり、その要因となった中央銀行による国債買入に対して警戒感というか嫌悪感を強めることになる。


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by nihonkokusai | 2017-05-24 09:26 | Comments(0)

4月に地銀などが米国債やフランスの国債を過去最大規模で売り越しか

5月11日に公表された4月の対外対内証券投資売買契約の状況によると、居住者による対外債券(中長期債)投資は4兆2559億円の処分超となり、月次の売り越し額としては過去最大規模となったようである。

「4月の対外対内証券投資売買契約の状況」財務省

http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/itn_transactions_in_securities/month.pdf

11日の発表には国別の状況は記載されておらず、これは6月に公表される国際収支の付表で確認するほかない。

国際収支の付表がアップされるサイト

http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/release_date.htm

上記のサイトでは3月の数字まで確認できるが、対外証券投資(中長期債)に関しては、昨年11月までは全体での買い越しが続いていたのが、12月に2兆1136億円の売り越しとなり、今年1月も1兆2593億円の売り越し、2月が2兆1164億円の売り越しと大量の売り越しが続いていた。3月は3727億円の売り越しとなり、売り越し額は減少していた。

昨年12月からの売り越しの内訳を「主要国・地域ソブリン債への対外証券投資」で確認してみると12月は米債を2兆3894億円、フランスの債券を1483億円売り越していた。1月は米債を1兆6298億円、フランス国債を1894億円売り越し、2月は米債を1326億円、フランス国債を1兆5180億円売り越し。3月は米債は1兆398億円の買い越しとなっていたが、フランス国債を9428億円売り越していた。

フランスの10年債利回りの推移をみると、昨年11月の米大統領選挙を受けての米10年債利回りと連動するかのようにフランスの10年債利回りも上昇してきた。米大統領選挙前に0.5%割れとなっていたフランスの10年債利回りは、今年1月末に1%台に乗せてきた。米10年債利回りが12月のFOMCでの利上げ決定を受けていったんピークアウトしていたにもかかわらず、フランスの10年債利回りは3月半ばあたりまで上昇を続けた。この背景にあったのは今年4月、5月のフランス大統領選挙に向けた思惑であった。

国内投資家による12月以降の米国債の売却の要因のひとつとしては、米大統領選挙の結果を受けたトランプ政権の経済政策への思惑やFRBによる昨年12月と今年の3月の利上げにみられる正常化を睨んだものであったとみられる。

またフランス国債についてはフランスの大統領選挙を睨んだものであったとみられ、4月と5月の大統領選挙を前にして、4月もフランス国債を大量に売り越していた可能性はある。また売り越し規模からみても米国債も大量に売り越していた可能性がある。

さらに別の要因が影響していた可能性がある。5月16日の日経新聞の記事によると、昨年12月以降のフランス国債の売却は地銀などの売りではないかとの指摘があった。地銀などは日銀のマイナス金利政策の影響で日本国債などでは運用益が稼げず、外債投資を活発化させていた。しかし、上記のような米国債やフランス国債の利回りの上昇などもあり、金融庁が外債運用を拡大させている一部の地域金融機関を対象に米国債などの価格下落が経営に与える影響などの立ち入り検査を実施することになったと3月に報じられた。このため特に4月に地銀などが保有する米国債やフランス国債のポジションを大きく削減させていた可能性がある。いずれにしても来月発表される国際収支の付表にて確認してみたい。


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by nihonkokusai | 2017-05-16 09:41 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
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