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2017年 06月 30日 ( 2 )

欧州中央銀行(ECB)も軸足を金融緩和縮小に修正か、取り残される日銀

27日にポルトガルで開催されたECBの年次政策フォーラムで、ECBのドラギ総裁は「景気回復が続く中、政策スタンスはより緩和的になる。ECBは政策手段のパラメーターを調整することで景気回復に対応することが可能だ。これは政策スタンスを引き締めるためではなく、ほぼ同じに維持することが狙いだ」と語った。

かなり回りくどい発言ながら、「今は全ての兆候がユーロ圏の回復の強さが増し、裾野が広がっていることを指し示している。 デフレ圧力はリフレの力に置き換わった」とも語っており、つまり景気回復が続くと金融緩和の効果がより大きくなるとし、その効果を一定に保つには緩和そのものを調整、つまり緩和策を縮小することを示唆した格好となった。

ドラギ総裁は、インフレ基調が持続的かつ自律的になるためには、かなりの金融緩和が依然必要だとも述べているが、引き締めではなく景気回復に即した緩和策の調整であるならば、それがありうることを示した。

6月8日のECB理事会では政策金利の据え置き、量的緩和プログラムの現状維持を決定した。政策に関する声明では、追加利下げに関する文言を削除し、追加緩和に前向きの姿勢から中立姿勢に修正した。ただし、基調的インフレの指標は引き続き弱い状態にとどまっていると慎重姿勢は維持しており、大規模な刺激策を維持すると表明していた。債券購入プログラムの縮小について話し合われなかったとされている。

この時点で市場は、ECBはひとまず「追加緩和」に向けた前傾姿勢から中立姿勢に戻しただけと判断していた。テーパリングなどの緩和策の縮小にはまだ距離があるのではとの見方も強かった。しかし27日のドラギ総裁の発言から、9月の理事会あたりで緩和策の縮小を検討するのではとの観測が出てきた。

市場はこれに反応し、27日のドイツの10年債利回りは0.37%と前日の0.24%から大きく上昇した。フランスの10年債利回りも0.73%と前日の0.59%から大きく上昇し、英国10年債利回りも1.09%と前日の1.01%から上昇した。欧州の国債安を受けて米国債にも売りが波及し、10年債利回りは2.20%と前日の2.13%から上昇した。

ただし、複数の関係筋からとして、この総裁の発言について、総裁は弱めのインフレ期間への容認を示したものであり、差し迫った政策引き締めを意図していないとの見方を示した(ロイター)。これは急激なユーロ安や欧州の長期金利の上昇をみて、少しブレーキを掛けておこうとの意図も働いたとみられる。

FRBはすでに正常化路線を歩んでいる。27日の講演でイエレン議長は、少なくとも自分が生きているうちに再び金融危機が起きるとは考えていないと語っていたが、これこそFRBの正常化に向けた動きの背景にあろう。いまは非常時ではない。それにも関わらず非常時の対策を続けるのはやはりおかしい。

カナダの中央銀行であるカナダ銀行は利上げを模索しており、ポロズ総裁は次回7月の会合での利上げの可能性に言及した。イングランド銀行でも利上げ派が増えてきていたが、ついにカーニー総裁も今回のECBのフォーラムで中銀は利上げを実施する必要が出てくる可能性があり、MPC(イングランド銀行の金融政策を決める金融政策委員会)はこの件について向こう数か月以内に討議すると述べた。そして、最も緩和に積極的であったECBも慎重ながら大胆な緩和策の調整を準備しはじめた。

日銀もステルステーパリングは国債需給の関係から行っているとはいえ、物価目標にはかなりの距離があり、考え方を大きく変えない限り、異常な建て付けとなってしまった金融緩和策を継続せざるを得ない状況にある。いずれ日銀だけが取り残され、緩和することだけに意義があるような状況に追い込まれるリスクも出てこよう。


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by nihonkokusai | 2017-06-30 10:05 | Comments(0)

イングランド銀行やカナダ銀行の総裁も利上げ示唆の意味

27日にポルトガルで開催されたECBの年次政策フォーラムで、ECBのドラギ総裁は景気回復に即した緩和策の調整、つまり景気が順調に回復するのであれば、緩和効果を一定に保つための利上げの可能性を指摘した。

ただし複数の関係筋からとして、この総裁の発言について、総裁は弱めのインフレ期間への容認を示したものであり、差し迫った政策引き締めを意図していないとの見方を示した(ロイター)。

市場が予想以上に反応したため、少し火消しに走ったものとみられ、これはドラギ総裁の発言を否定するものではない。

カナダ中銀のポロズ総裁も同フォーラムで、次回7月の会合での利上げの可能性に言及した。すでにウィルキンス上級副総裁は6月12日の講演で利上げの準備が整っていると、これまでで最も強い調子で示唆していた。

さらに今度は、イングランド銀行のカーニー総裁が同フォーラムで、中銀は利上げを実施する必要が出てくる可能性があり、MPCはこの件について向こう数か月以内に討議すると述べた。カーニー総裁は20日にロンドン市内での講演で「今はまだ金融政策の調整を開始するときではない」とし、利上げは時期尚早との認識を示したばかり。

このときのMPCでは、フォーブス委員だけが利上げを主張するとみられていたのが、そこにマカファーティー、ソーンダーズ両委員が利上げ派に加わった。さらにチーフエコノミストのアンディ・ホールデン理事からも政策引き締めを遅らせ過ぎることのリスクが高まっているとの認識が示された。カーニー総裁による時期尚発言は、利上げ賛同派が増えたことによる市場の動揺を抑えるための火消しかと思われた。しかし、そのカーニー総裁自らもECBの年次政策フォーラムで利上げを示唆した格好となった。

すでにFRBは正常化に向けて利上げを行っている。バランスシートの縮小も年内に着手する予定である。イエレン議長は27日の講演で、少なくとも自分が生きているうちに再び金融危機が起きるとは考えていないと語っていたが、この認識が欧米の中央銀行にも広まりつつあるように思われる。

イングランド銀行にとっては英国のEU離脱による影響も危惧されようが、それによるポンド安と物価高も無視できなくなりつつある。ユーロ圏については金融機関等への問題やギリシャの財政問題等も残るが、少なくとも金融危機のリスクは後退というか沈静化したというのが、共通認識となっているのではなかろうか。

欧米の中央銀行による過去にない大胆な金融緩和の主目的はデフレ脱却ではない。物価目標達成も必要ながら物価そのものは日本とは違い2%に近い、もしくは英国のようにそれを大きく上回っている。

そもそも金融政策がどれだけ物価に影響を与えられるのかという疑問に対しては、特に日銀が壮大な実験を行った結果も出ていよう。少なくとも日本では消費者物価指数の構成要素などの変更がない限り、原油価格や為替動向によって一時的にコアCPIが2%台に跳ね上がってもいずれゼロ近傍に収斂する。これは日銀の金融政策如何によって動いているわけではないことは、CPIの推移と日銀の政策、もしくは原油価格の動向などを重ね合わせると理解できるはずのもので、日銀も本来は十分理解しているはずのものであろう。だから2006年の量的緩和解除の条件はCPIのゼロ%がキーになっていた。

話が少し逸れてしまったが、欧米の中央銀行による非伝統的な金融緩和を含む大胆緩和の背景にあったのものは、百年に一度という金融危機による金融経済の影響を緩和するものあった。しかし、現実には市場の動揺を沈めるという効果を意識していた。

その危機は後退し景気そのものも不透明感が薄れ、株式市場の指数は過去最高値を更新するような中、非常時の対策をいつまでも続けることによる副作用も意識されてきた。このあたりが今回の欧米の中央銀行が、非常時の政策から平時の政策に切り替えようとの動きの背景にあろう。

しかし、日銀は世界的な金融危機が沈静化しているタイミングで政権に押しつけられる格好で異次元緩和を打ち出し、本来金融政策で動かすことが困難であるにも関わらず、2%という物価目標達成を打ち出してしまった手前、引くに引けなくなってしまっている。いずれ日銀だけが蚊帳の外となり、皆帰宅してしまったのに大胆緩和組に居残り続けざるを得なくなることも想定される。


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by nihonkokusai | 2017-06-30 10:05 | 中央銀行 | Comments(0)
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