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2016年 07月 27日 ( 2 )

日本でも50年国債の発行を検討?

 日本でも50年国債の発行が検討されているとWSJが伝えた。この記事によると「その詳細は安倍政権が経済対策の一環として公表される可能性がある」そうである。国債は現在、最長は40年国債であるが、これは財務省主導で発行されたものである。ところが今回の50年国債は、WSJの記事をみる限り官邸主導の気配がある。もしそうであればヘリコプターマネーを意識したものとの憶測が出てくる可能性もあろう。財務省はこの50年国債の発行を検討しているとの報道を否定した。

 ただし、50年国債については、たとえば2006年の「国の債務管理の在り方に関する懇談会」の資料のなかでも大きくスペースを割いての説明もあった。財務省はいずれ50年国債の発行を目指していたことは確かであろう。ただし、直近の国債市場特別参加者会合では触れられていないなど、今回のことはやや唐突感もあったことも確かである。

 少し古い資料ながら、2006年の「国の債務管理の在り方に関する懇談会」の資料を基にして海外の50年以上国債発行についてみてみたい。

 フランスでは、オランダにおける年金基金の制度改正など年金に関する制度改革などにともなって、超長期債のニーズ増大に応えることを目的とし、2005年2月に50年固定利付債をシンジケート方式にて発行した。発行額は60億ユーロ。

 イギリスでは「利払負担の軽減」を目的として、2005年5月に50年固定利付債を入札方式にて発行している。発行額は25 億ポンド(約0.53兆円)。さらに9月には50年物価連動債をシンジケート方式にて発行。その後、それぞれリオープンを行っている。また、2006年5 月には40年固定利付債を入札方式にて発行しており、発行額は22.5 億ポンド。

 50年以上の国債は、他にポーランドで50年債、スイスでも50年債、中国では100年債が発行されている。

 もし50年債発行の可能性があるのであれば、50年ではなく60年債の発行が望ましい。国債(建設国債と赤字国債)には60年償還ルールがあるため、60年国債ならば借換債の発行をしなくても済むためである。しかし、その前に30年国債や40年国債の流通市場を整備するのが先決かとも思われるのだが。

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by nihonkokusai | 2016-07-27 13:39 | 国債 | Comments(0)

ヘリコプターマネーの議論の意味のなさ

 もうヘリコプターはどこかに飛んで行ってしまったようだが、ヘリコプターマネーの議論の意味のなさをあらためて確認してみたい。

 政府の経済対策の真水と呼ばれる部分は3兆円程度とされていたが、数年掛けて6兆円程度に修正されているようである。いずれにしても国債の増発はあったとしても限定的である。仮に10兆円規模で国債増発があったとしても、特に消化に支障を来すようなことは考えづらい。国債増発により財政規律が緩むため国債価格の下落を招くから、日銀が直接引き受ければ問題ないわけではなく、その方がむしろ財政規律の緩みがより意識されよう。

 国債発行に支障がないのに、政府の財政政策の財源に永久国債を発行する必要性はまったくない。しかもそれを日銀が直接引き受ける必要性もない。以前指摘したように仮に永久国債を発行するのであれば、建設国債や赤字国債は60年償還ルールがあり、このかたちでは発行ができないため、あらたに発行根拠法を制定し、新規の国債として発行する必要がある。これは国会で決めることで、日銀の金融政策決定会合で決めるものでもない。

 日銀が保有する国債を永久国債に置き換えるという手段もヘリコプターマネーの形態のひとつだそうだが、日銀保有の国債を別なものに置き換えても反対側にある日銀の負債が消えるわけではない。その負債とは現金と日銀の当座預金残高である。つまり我々の持っている現金そのものと日銀の口座に置いてある民間銀行の資金である。それを政府・日銀の都合で勝手にないものとすることなどできやしない。いや、そんなことをしたら国民が黙ってはいない。

 そして日銀保有の国債を永久国債に置き換えるにしても、当たり前だが手続きがいる。まず現在発行されている国債は途中償還条項が削除されている。つまり繰り上げ償還はできない。これをまず修正する必要がある。政府がその分を途中償還した上で、永久国債を新規に発行しなければならない。利率がゼロであろうか、マイナスであろうがとにかく、永久国債を発行するには繰り返しになるが新たに法律を制定しなければならない。そこまでしてこれをすることで何が変わるというのか。

 永久国債との名称ではあっても過去に海外で発行された永久債はすでに償還されているように、永久に償還されないわけではない。その国債を大量に日銀が直接引き受けを続けるようなことになれば、何が起きるかは過去のドイツや日本の歴史をみれば明らかである。なぜ中央銀行の国債直接引き受けは各国で禁じられているのかを確認すべきである。

 いやすでに日銀は国債の直接引き受けに近いことをしている、それにも関わらず国債利回りは低位安定している。だから直接引き受けを行っても問題はない、ヘリマネも一回ぐらいならば問題はないとの意見もある。

 アベノミクスと呼ばれたリフレ政策の原点はヘリコプターマネーに近いものであった。だから私を含めて警鐘を鳴らす向きも多かったはずである。いまのところ国債市場は非常に素直に利回りを低下させている。これは裏返せば、それだけこれまで積み上げてきた国債への強固な信認が存在していたためと考える。しかし、その信認を取り崩そうとするようなヘリマネ論議まで出てきている現状は国債への信認がいずれ崩れ落ちるリスクを増加させているようにしか思えない。ヘリマネは技術的にも無理がある上、それが孕むリスクは金融市場を崩壊させるほど大きなものといえる。

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by nihonkokusai | 2016-07-27 09:37 | 日銀 | Comments(0)
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