牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

2015年 11月 29日 ( 2 )

五代友厚が設立した証券取引所

 大阪取引所の見学者が急増しているそうである。大阪取引所には連続テレビ小説「あさが来た」の登場人物である五代友厚の銅像がエントランス前に立っており、ギャラリーには五代が署名した設立趣意書なども展示されており、このあたりが女性ファンのお目当てとなっているようである(産経新聞の記事より一部引用)。

 なぜここに五代友厚の像があるのかといえば、五代は堂島米会所を復興するとともに、株式取引所条例の成立を受けて、自ら大阪証券取引所の前身である大阪株式取引所の発起人となり、その設立に尽力したためである(大阪取引所のサイトより一部引用)

 そもそも証券取引所とは何か。ここは主に株式や債券など証券の売買取引を行うための場所であり、資本主義経済における中心的な役割を果たしている。証券取引所は、投資家や証券会社自身の株式などの売買注文を市場に集中させることにより、大量の取引を可能にさせ、市場の流動性を高めるとともに、公正な価格形成を図るということが可能となっている。投資家は証券取引所で自らが直接取引を行うことはできない。会員である証券会社を通じて取引を行わなければならない。証券取引所における取引においては、大量の売買注文を公正かつ円滑に執行するために、取引時間、値段を指定する方法、取引単位、決済方法などについての細かな規定が定められている。また、売買は基本的に競争売買によって行われている。

 この取引所の起源は意外と古い。欧州では金融・貿易の一大拠点として繁栄したブリュージュに変わり、アントワープがヨーロッパの商業拠点となり、喜望峰周りのインド航路の発見によりその繁栄は支えられた。このアントワープ(アントウェルペン)に1531年、現在のようなかたちの証券取引所が歴史上初めて設立されたとされる。

 ブリュージュにおける手形の取引所をモデルにしてつくられたとされるアントウェルペン取引所では、手形や商品などの取引が行なわれていた。ここでは現金による決済以外にすでに商品のオプション取引に対する契約も扱っていた。このオプションは現在のデリバティブ取引と同様に、ヘッジとともに投機としても使われた。さらに債券を取引する第二市場も現れたのである。

 アントウェルペン取引所の銘板には「国籍と言語の如何を問わず、すべての商人に役立てるために」とあるそうで、交易の自由が保証され、イギリスやポルトガルなどヨーロッパ各国が商館や駐在員を配置し、資金調達などを行っていた。またアントウェルペンでは「アントウェルペン慣習法集成」という商法も制定され、この商法がオランダの東インド会社の設立に大きな影響を与えたと言われている。また、アントワープでは船舶の売買に加え海上保険といった取引も盛んに行われ、ヨーロッパ最大の商業・金融の中心地となっていった。

 アントウェルペン取引所の取引で一躍有名になった人物がいる。それが「悪貨は良貨を駆逐する」という言葉でも有名なトーマス・グレシャムである。グレシャムはイギリス王室から海外負債管理の任務を託され、アントウェルペンに派遣された。アントウェルペン取引所において商才というか相場師の才能を発揮し、スペイン金の投機で成功し、イギリスの海外負債の大部分を清算したそうである。その結果、1559年にはエリザベス1世からナイトの称号を与えられた。

 アントウェルペン取引所の運営に目をつけたグレシャム卿は、ロンドンに戻ってから同様の取引所を設立し、それが王立取引所と改称され、イギリスにおける取引所の始まりになる。

 世界最初の取引所といわれている16世紀のアントウェルペン取引所では、すでにオプション取引や先渡し取引が行われていたが、現在の形式での先物取引などのデリバティブ取引の原型となっていたのは、江戸時代の大阪堂島で行われた米の先物取引であった。それがルーツとなり、現在、大阪取引所では日経平均先物や債券先物などのデリバティブ取引を主に取り扱っている。

 1874年に株式取引条例が制定された。1878年5月に渋沢栄一らが東京株式取引所を設立したが、1878年6月に五代友厚が発起人となって設立したのが大阪株式取引所であった。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2015-11-29 17:18 | 金融の歴史 | Comments(0)

雇用は回復するも物価は上がらず

 11月27日に発表された10月の消費者物価指数は、指標となっている生鮮食料品を除く総合(コア)で前年同月比マイナス0.1%となった。日銀の物価目標となっている総合指数では前年比プラス0.3%となった(9月は前年比ゼロ%)。ただし、食料及びエネルギーを除く総合では前年比0.7%と9月の0.9%から低下した。

 電気代などの下落幅が縮小したことなどから総合の上昇幅が拡大し、食料品などの価格が上昇したが、ガソリン価格の下落などにより相殺された格好に。11月の東京都区部の消費者物価指数は、生鮮食品を除く総合が前年同月と同水準となり、6月以来、5か月ぶりにマイナス圏を脱した。

 10月の完全失業率(季節調整値)は3.1%となり、前月比0.3ポイントの改善となった。0.3%の低下は2011年9月以来の大幅なものとなるようで、3.1%の水準は1995年7月以来の低水準となるとか。また、10月の有効求人倍率は前月比横ばいの1.24倍となっていた。

 10月の家計調査によると、2人以上の世帯の消費支出は1世帯当たり28万2401円となり、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比2.4%の減少となった。前年同月を下回るのは2か月連続となる。

 米国と同様に日本も雇用の改善は進んでいるようであるが、それが賃金には反映されず、個人消費は抑えられ、原油価格の下落も手伝い物価も低迷している状況にある。

 日銀は今回から毎月の全国消費者物価指数の公表後に、除く生鮮食品・エネルギーなどの試算結果を定期的にホームページ上で公表した。14時に日銀が発表した10月総合(除く生鮮食品・エネルギー)は前年比プラス1.2%となった。やや無理矢理感のある数字ではあるものの、それでも2.0%には届いていない。念のため確認すると、日銀の目標とする物価指数はあくまで消費者物価指数の総合指数であり、前年比プラス0.3%である。

 たしかに物価を多様な側面から見る必要があり、帰属家賃の影響など含めて消費者物価のクセのようなものも考慮する必要がある。しかし、日銀がすべきことは異次元緩和から2年以上経過し、大量に国債を買えば物価が上がるとの理由説明の方にあるのではなかろうか。

 消費増税による悪影響、原油価格下落による影響は確かにあったであろうが、そのような要因を含めた上でレジームチェンジは可能という前提があったはず。さらに物価は上がらずとも企業業績が回復し、雇用も回復していることで、これは異次元緩和を主体としたアベノミクスの恩恵との都合の良い解釈も一部にある。しかし、異次元緩和によるデフレマインドの払拭がなされずに、雇用が回復しているというのは物価とは別の要因も働いているのではなかろうか。円安などの影響はあったろうが、海外要因などの影響も大きかったはずである。現在の日本経済の状況についても、もう少し冷静な分析も必要なのではなかろうか。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2015-11-29 10:24 | 景気物価動向 | Comments(1)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー