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2015年 10月 24日 ( 2 )

中国が金利自由化、日本は30年前あたりから

 中国人民銀行は10月23日に、銀行が預金金利を決める際の上限金利を撤廃し、銀行金利を原則自由化すると発表した。すでに貸出金利の下限規制は撤廃しているため、制度上は銀行の裁量で金利水準を自由に決めることができる。これは人民元がIMFの特別引き出し権(SDR)と呼ばれる準備通貨に早期に採用されるよう、金融自由化に向けた取り組みを強化することが大きな狙いとされる(日本経済新聞)。

 特別引出権(SDR)とは、加盟国の準備資産を補完する手段として、IMFが1969年に創設した国際準備資産である。SDRの価値は主要4大国・地域(ユーロ、日本円、 スターリング・ポンド、及び米ドル)の国際通貨バスケットに基づいて決められ、自由利用可能通貨との交換が可能。2015年3月17日時点で2040億SDRが加盟国に配分されている(IMFのサイトより)。

 中国政府は人民元の国際化を目指し、IMFが設定している特別引き出し権(SDR)の構成通貨に人民元を採用するように要請している。今回の金融自由化に向けた取り組みはその一環とみられる。

 それでは日本の金利の自由化が始まったのはいつのことであったろうか。2015年10月21日は1989年に公開された「バック・トゥ・ザ・フューチャー 2」で、主人公マーティがタイム・トリップした1985年から30年後のその日であった。1985年はプラザ合意があり、債券先物も上場された年であったが、この年に日本では金利が市場の実勢で決められる大口定期預金が導入されていた。日米円ドル委員会作業部会報告書に基づいて、円の一層の国際化を含む新しい金利自由化の指針が1984年に提示された。1970年代後半から金利自由化が推進されていたが、これをきっかけに一連の金利の自由化が促進された。その後、1994年10月に民間銀行の金利は完全に自由化された。

 いまから30年前の日本は現在の中国といろいろな面で共通点があるとの指摘もある。日本では1964年に海外旅行が自由化され、高度経済成長期を迎えた1985年頃には日本からも大量の観光客が海外に出かけていった。中国では1997年に観光目的の海外団体旅行が解禁され、現在では中国からの多くの観光客が日本に押しかけている。30年前頃に日本が国際化を強めていたように、現在の中国も国際化を推し進めようとしていると言える。

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by nihonkokusai | 2015-10-24 11:35 | 金融の歴史 | Comments(0)

ドラギマジックは日銀を動かすか

 10月22日にマルタで開かれたECB政策理事会では、主要政策金利である短期買いオペの最低応札金利は0.05%で、中銀預金金利と限界貸出金利もそれぞれマイナス0.2%とプラス0.3%に据え置かれた。

会合後の会見でドラギ総裁は、「今日、事態は変わった。これは必ずしも、特定のこの手段を使うことを示唆しているわけではない。が、議論は非常にオープンだった」と述べた(ブルームバーグ)。

 ドラギ総裁は、採用の可能性がある複数の緩和手段について、「非常に濃い議論」があったとし、さらに金融緩和の度合いを最新のマクロ経済予測が手に入る12月に再検証する必要がある」と発言した上で、近い時期の緩和を示唆する「警戒を怠らずにいたい」とトリシェ前総裁が使った言葉を付け加えた。つまり次回、12月3日のECB政策理事会において追加緩和を打ち出す可能性を示唆したのである。

 追加の緩和手段としては、2016年9月までとしている量的緩和の期間を延長することのほか、銀行が中銀に余剰資金を預け入れる際の手数料(マイナス金利)を拡大することなどを、今回の理事会で協議したこともドラギ総裁は認めた。

 今回もドラギマジックは遺憾なく発揮され、欧米の株式市場は上昇し、23日の東京株式市場も上昇した。外為市場ではユーロが売られ、リスクオンの動きから円安も進行し、ドル円は121円近くまで上昇した。

 ドラギ総裁は追加緩和の内容よりも、行動を起こすことにより、市場参加者への期待感を強めようとした。その手段はどうあれ、金融政策で直接、物価などに働きかけることは難しいものの、ユーロ安や株高に働きかけることで多少なりの効果を狙ったものと思われる。

 ドラギマジックに市場は素直に反応した。これに対して日銀はドラギマジックのようなピーターパン効果を与えることは可能なのであろうか。ドラギ総裁は緩和ありきの姿勢を示した。しかし、日銀は物価の基調は回復しているとの姿勢は崩しておらず、付利の引き下げも否定している。ECB同様に日銀も道具箱にはあまり道具はない。その道具を適切に使うとすれば、マジックも必要になる。

 10月30日の展望レポートが発表されるタイミングでの追加緩和があるのか。もし追加緩和をするのであれば、大胆なものは難しく、金融政策のスタイルを以前の姿に戻すことが必要になる。フレキシブルな金融政策に戻した上での、追加緩和というのであれば少ない道具でも有効に使えるかもしれない。しかし、それはアベノミクスで打ち出した金融政策とは趣が違うものとなり、異次元から通常の次元に戻ることになる。ここにきて、いわゆるリフレ派の重鎮とされる国会議員や内閣参与から日銀の追加緩和に対して消極的な発言が出ているのも、リフレ派の主張する政策に限界が見えてしまうことを嫌ってのもの、との見方も可能ではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2015-10-24 10:10 | 日銀 | Comments(0)
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