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2014年 12月 07日 ( 1 )

日銀の異次元緩和を評価しづらいドラギ総裁

 12月4日のECB政策理事会では、金融政策の現状維持を決めた。12月にECB本部は移転し、新しいビルにおいて会見したドラギ総裁は、「来年の早い時期に現在の金融緩和策の効果を再評価する」と述べた。これはつまり、効果が不十分だと判断した場合には、追加の金融緩和に踏み切る可能性を示唆した。さらに、量的緩和の導入にあたっては、理事会で全会一致で決める必要はないという認識を明らかにし、反対者がいても量的緩和に踏み切る姿勢をあらためて示した。広範なQEプログラムは1月22日のECB理事会で検討することが予想される。

 ECBは2015年のユーロ圏の実質成長率見通しを9月時点の1.6%から1.0%に引き下げ、物価上昇率は1.1%から0.7%に下方修正した。ドラギ総裁はこの原因のひとつとして、地政学リスクなどとともに、原油価格の下落をあげていた。原油価格の下落は、コアインフレ率に影響を与えるだろうとのコメントもあった。

 原油価格の下落が想定外であったとして、追加緩和を10月31日に決定していたのが日銀であった。それに対してとにかく量的緩和をなんとしても実行したいドラギ総裁は日銀同様にこの原油価格の下落も都合の良い材料として利用したいようである。

 そのドラギ総裁が会見で次のような発言をしている。

 「Well, QE has been shown to be effective in the United States and the UK. In Japan, it’s harder to assess because other things have taken place concerning the process of structural reforms and the fiscal policy decisions that have taken place. So the assessment on the effectiveness of QE there is more complicated.」(ECBのサイトより)

 QEと言い切ってしまっているがFRBはQEとは正式に認めていなかったはずだが、それはさておき、量的緩和は米英で効果を発揮したとしている。だからすでにFRBとイングランド銀行は出口に向けた動きを始めているということであろう。

 これに対して日銀は、量的緩和政策の元祖であり、より大胆に異次元緩和と呼ばれるような量的緩和をしていながら評価が難しいとしている。構造改革やら財政政策に絡んでいる、つまりは同時に実施された二の矢、三の矢にも絡むものであることや、消費増税なども意識してのコメントかと思われる。しかし、その効果について評価は難しいとして、日銀の異次元緩和そのものの効果についてのコメントは避けている。これは日本では残念なことにその効果が現れていないと暗に示唆しているようにも思われる。

 しかし、ドラギ総裁がしようとしていることは日銀のコピーにほかならない。過去最低にまで低下しているユーロ圏各国の長期金利の低下圧力を加えても大きな効果は望み薄。そこでドラギ総裁が期待しているのは日銀と同様に通貨安であろう。しかし、その手段は財政ファイナンスに近いものとならざるを得ない。ならざるを得ないというより、日銀同様に財政ファイナンスに近い政策をとることで物価に刺激を与えようとのリスクの高い政策をとりたいようにもみえる。これに対しては当然ながら、ドイツなどは反対してこよう。それが果たして物価にも影響を与えられるのか。その結果は日本で先に出ているように思われる。

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by nihonkokusai | 2014-12-07 12:34 | 中央銀行 | Comments(0)
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